第1章 心理学への入門

図1.1 | 心理学とは、心と行動の科学的研究です。(credit “background”: modification of work by Nattachai Noogure; credit “top left”: modification of work by U.S. Navy; credit “top middle-left”: modification of work by Peter Shanks; credit “top middle-right”: modification of work by “devinf”/Flickr; credit “top right”: modification of work by Alejandra Quintero Sinisterra; credit “bottom left”: modification of work by Gabriel Rocha; credit “bottom middle-left”: modification of work by Caleb Roenigk; credit “bottom middle-right”: modification of work by Staffan Scherz; credit “bottom right”: modification of work by Czech Provincial Reconstruction Team)

この章の概要

1.1 心理学とは何でしょうか?
1.2 心理学の歴史
1.3 現代の心理学
1.4 心理学におけるキャリア

はじめに

クライヴ・ウェアリングは熟練の音楽家であり、46歳で病気になったときに新しい記憶を形成する能力を失いました。彼はピアノの弾き方は完璧に覚えていますが、ほんの1時間前に朝食で何を食べたかは思い出すことができません(Sacks, 2007)。ジェームズ・ワナートンは、言葉の音に関連付けられた味覚感覚を経験しています。彼の以前のガールフレンドの名前はダイオウのような味がします(Mundasad, 2013)。ジョン・ナッシュは傑出した数学者であり、ノーベル賞受賞者でもあります。しかしながら、彼は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授をしていた時に、ニューヨーク・タイムズ紙には自分に宛てられた地球外生命体からの暗号化されたメッセージが含まれていると人々に話すようになりました。彼はまた、さまざまな声が聞こえはじめ、周囲の人間を疑うようになりました。その後まもなく、ナッシュは統合失調症と診断され、国営の精神科病院に入院しました(O’Connor & Robertson, 2002)。ナッシュは2001年の映画『ビューティフル・マインド』の題材となりました。なぜ、これらの人々はこのような経験をしたのでしょうか?人間の脳はどのように機能しているのでしょうか?そして、脳の内的なプロセスと人の外的な行動との間にはどのようなつながりがあるのでしょうか?この教科書では、心理学の分野がこれらの疑問を探求してきたさまざまな方法をあなたに紹介します。

1.1 心理学とは何でしょうか?

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 心理学を定義する
  • 心理学教育の利点を理解する

創造性とは何でしょうか?なぜホームレスになる人がいるのでしょうか?先入観や差別とは何ですか?意識とは何ですか?心理学の分野では、このような疑問を探求しています。心理学とは、心と行動の科学的研究のことを指します。心理学者は、科学的方法を用いて知識を獲得します。科学的方法を適用するには、何かがどのようにして起こるのか、なぜ起こるのかという疑問を持った研究者が、その現象を説明するための(仮説と呼ばれる)暫定的な説明を提案することになります。仮説は、科学的な理論の文脈に適合する必要があります。科学的な理論とは、自然界のある側面に関する広範な説明やいくつかの説明のグループであり、長期にわたって一貫して証拠によって裏付けられているものです。理論とは、自然界のその部分について私たちが持っている最良の理解です。研究者はその後、仮説の妥当性を検証するために観察を行ったり、実験を行ったりします。これらの結果は、他の人が結果を再現したり、その結果の上にさらに積み上げたりできるようにするために、出版されたり、研究会議で発表されたりします。

科学者は、知覚可能で測定可能なものを検証します。たとえば、「鳥は幸せだから鳴く」という仮説は、鳥の幸せを測定する方法がないので、検証することのできる仮説ではありません。私たちは異なる質問をしなければなりません。それはおそらく、鳥の脳の状態についてのものでしょう。なぜなら、鳥の脳の状態は測定することができるからです。しかしながら、私たちは、ある人間が幸せだから歌っているのかどうかについて、その個人に尋ねることができます。なぜなら、彼らは私たちにそれを教えてくれることができるからです。このように、心理学の科学は、測定可能なデータに基づいた経験主義的なものです。

一般的に、科学は物質やエネルギー、つまり測定できるものしか扱わないので、科学では価値観や道徳性についての知識に到達することができません。これが、心についての科学的な理解が非常に限られている理由の1つです。なぜなら思考は、(少なくとも私たちが思考を経験する際には、)物質でもエネルギーでもないからです。科学的方法は経験主義の一形態でもあります。知識を得るための経験主義的な方法は、論理的な議論や昔ながらの権威の形態だけに基づいた方法ではなく、実験を含む観察に基づいたものです。

心理学が独自の学術的な学問分野として受け入れられるようになったのは1800年代後半になってからです。それ以前は、心の働きは哲学の傘下にあるものと見なされていました。あらゆる行動がその根底においては生物学的なものであることを踏まえると、心理学のいくつかの分野は、生物学のような自然科学の側面を持っています。どんな生物も孤立しては存在せず、私たちの行動は私たちと他の人との相互作用によって影響を受けます。したがって、心理学は社会科学でもあります。

なぜ心理学を学ぶのでしょうか?

しばしば、学生たちは他人を助けることに興味があり、自分自身についてもっと知りたい、なぜ自分たちがやるような形で行動するのかを知りたいという理由で、最初の心理学コースを受講します。時には、学生が心理学コースを受講するのは、それが一般教養科目の要件を満たすためであったり、看護資格や医科大学院入学のような学習プログラムのために必要な場合であったりします。これらの学生の多くは、この学問分野に対して非常に大きな関心を抱き、自身の専攻として心理学を申告するところまで進みます。その結果、心理学は、米国全土の大学キャンパスにおいて最も人気のある専攻の1つとなっています(Johnson & Lubin, 2011)。多くの有名な人たちが心理学を専攻していました。このリストのうちのわずか数人の有名な名前として、Facebookの生みの親であるマーク・ザッカーバーグ、テレビのパーソナリティーで政治風刺者のジョン・スチュワート、女優のナタリー・ポートマン、映画監督のウェス・クレイヴンが挙げられます(Halonen, 2011)。米国で授与されるすべての学士号のうち、約6%が心理学の分野です(U.S. Department of Education, 2016)。

心理学の教育は、多くの理由から価値のあるものです。心理学の学生は批判的思考のスキルを磨き、科学的方法の使用について訓練を受けます。批判的思考とは、情報の理解と評価のために、一連のスキルをその情報に対して積極的に適用していくことです。情報の評価、つまり情報の信頼性と有用性を評価することは、競合する「事実」が溢れている世界では重要なスキルです。(その「事実」の多くは、誤解を招くように設計されています。)たとえば、批判的思考には、懐疑的な態度を維持すること、内なるバイアスを認識すること、論理的思考を活用すること、適切な質問をすること、および観察を行うことが含まれます。また、心理学の学生は、学部の講義の過程で、より良いコミュニケーション能力を身につけることもできます(American Psychological Association, 2011)。これらの要素が組み合わさって、学生の科学的リテラシーを高め、学生が遭遇するさまざまな情報源を批判的に評価できるように準備します。

これらの幅広いスキルに加えて、心理学の学生は、自分の行動を形成する複雑な要因を理解するようになります。彼らは、自分が何者であるか、どのように行動するかを決定する上で、生物学、環境、そして経験が相互に作用していることを理解します。彼らは、私たちがどのように考え、どのように行動するかを導く基本的な原則について学ぶとともに、さまざまな個人にわたって、そして文化の境界にわたって存在する途方もない多様性を認識するようになります(American Psychological Association, 2011)。

学習へのリンク

心理学を専攻することを決める前に考慮すべきいくつかの質問についての短いビデオを見て(http://openstax.org/l/psycmajor)、さらに学んでください。

1.2 心理学の歴史

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 心理学の発展におけるヴントとジェームズの重要性を理解する
  • 心理学へのフロイトの影響を評価する
  • ゲシュタルト心理学の基本的な考え方を理解する
  • 心理学の歴史の中で行動主義が果たした重要な役割を評価する
  • 人間主義の基本的な考え方を理解する
  • いかにして認知革命が心理学の焦点を心へと戻したかを理解する

心理学は、たとえばかなり昔に始まった人間生理学と比べると比較的若い科学であり、その実験的なルーツは19世紀にあります。前述したように、心に関連する問題を探求することに興味を持っている人は、19世紀以前には一般に哲学的な文脈でそれを行っていました。19世紀の2人の学者、ヴィルヘルム・ヴントとウィリアム・ジェームズは、哲学とは異なる科学であり学術的な学問分野としての心理学の創始者であると一般的に認められています。この節では、ヴントとジェームズから今日に至るまで、心理学に影響を与えてきたパラダイムの変遷を概観していきます。

ヴントと構造主義

ヴィルヘルム・ヴント(1832-1920)は、ドイツの科学者であり、心理学者と呼ばれた最初の人物です。彼の有名な著書『生理学的心理学の原理』は1873年に出版されました。ヴントは、心理学を意識経験についての科学的研究と捉えており、彼は、意識の構成要素を特定し、それらの構成要素がどのように組み合わさって意識経験をもたらすのかを明らかにすることが心理学の目的であると考えていました。ヴントは、内観(彼はこれを内的知覚と呼びました)、すなわち、自身の意識経験を可能な限り客観的に調べるプロセスを用いることで、人間の心を、科学者が観察する自然界の他の側面と同じようにしました。彼は、主意主義の観念、すなわち、人々は自由意志を持っており、もし彼らが心理学的実験に参加するのであれば、彼らはその意図を知っているであろうという考え方を信じていました(Danziger, 1980)。ヴントは、彼の見解のことを実験的な内観と考えており、反応時間を測定するもののような装置を使用しました。彼はまた、1904年に『民族心理学』を著し、その中で彼は、心理学は人々の研究を伴うものであり、文化の研究を含むべきであることを示唆しました。彼の教え子の1人であるエドワード・ティチェナーは、構造主義を発展させました。その焦点は、精神的プロセスの機能よりもむしろその内容にありました(Pickren & Rutherford, 2010)。ヴントは、1879年にライプツィヒ大学に心理学の研究室を設立しました(図1.2)。この研究室で、ヴントと彼の学生たちは、たとえば反応時間に関するものなどの種々の実験を行いました。被験者は、時には科学者とは隔離された部屋の中で、光や映像、音などの刺激を受けました。刺激に対する被験者の反応はボタンを押すことであり、装置は反応までの時間を記録しました。ヴントは反応時間を1000分の1秒単位で測定することができました(Nicolas & Ferrand, 1999)。

図1.2 | (a)ヴィルヘルム・ヴントは心理学の創始者の1人として認められています。彼は心理学研究のための最初の実験室を立ち上げました。(b)この写真は、ドイツにある彼の研究室で、研究者仲間と機器に囲まれて座っているところを撮影したものです。

しかしながら、内観のプロセスについて人々を訓練する努力をしたにもかかわらず、このプロセスはかなり主観的なままにとどまり、個人間の一致はほとんど存在しませんでした。

機能主義

ウィリアム・ジェームズ、ジョン・デューイ、およびチャールズ・サンダース・パースは、機能心理学を確立するのに尽力しました(図1.3)。彼らは、ダーウィンの自然選択による進化の理論を受け入れ、この理論を生物の特徴を説明するものとして捉えていました。その理論の鍵を握るのは、自然選択によって、行動も含めて環境に適応した生物が生まれるという考え方です。適応とは、生物のある形質が自然に選択されてきたために、その個体の生存と繁殖のための機能を持っているということを意味します。ジェームズの理解としては、心理学の目的とは、世界における行動の機能を研究することであり、そのため、彼の視点は機能主義として知られるようになりました。機能主義は、精神活動がどのようにして生物の環境への適合を助けるかということに焦点を当てていました。機能主義には2つ目の、より繊細な意味合いがありました。それは、機能主義者が、構造主義の焦点である心の個別の部分よりも、むしろ心全体の働きのほうにより関心を持っていたという点です。ヴントと同様に、ジェームズは精神活動を研究する手段の1つとして内観が有効であると考えていましたが、ジェームズは、さまざまな記録装置の使用や、精神活動の具体的な産物の調査や解剖学・生理学の検査など、より客観的な手段にも頼っていました(Gordon, 1995)。

図1.3 | この自画像に示されているウィリアム・ジェームズは、最初のアメリカの心理学者です。

フロイトと精神分析理論

おそらく、心理学の歴史の中で最も影響力があり、最もよく知られている人物の1人が、ジークムント・フロイトです(図1.4)。フロイト(1856-1939)はオーストリアの神経学者で、「ヒステリー」と神経症に苦しむ患者に魅了されました。ヒステリーは、さまざまな障害についての古めかしい診断であり、主に女性を対象とし、身体症状や情緒的な混乱を含む多種多様な症状を持つものの、いずれも明らかな身体的原因を持たないもののことです。フロイトは、彼の患者の問題の多くは無意識の心から生じていると理論化しました。フロイトの見解では、無意識の心は、私たちが気づいていない感情や衝動の貯蔵庫でした。したがって、無意識へのアクセスを得ることは、患者の問題を成功裏に解決するために非常に重要なことでした。フロイトによると、無意識の心は、夢の分析を通じて、人々の心に思い浮かんだ最初の言葉の調査によって、そして、一見したところ何の害もないような言い間違いを通じてアクセスすることができるものです。精神分析理論は、人の無意識の役割とともに、子供の頃の経験にも焦点を当てており、この特定の視点は数十年にわたって臨床心理学を支配してきました(Thorne & Henley, 2005)。

図1.4 | (a)ジークムント・フロイトは、心理学の歴史において非常に影響力のある人物でした。(b)彼の多くの著書の1つである『精神分析入門』は、精神分析療法についての彼の考え方を伝えたもので、1922年に出版されました。

フロイトの考え方は影響力を持っていました。あなたは、生涯発達、人格、療法を学ぶ際に、その考え方をより深く知ることになるでしょう。たとえば、多くのセラピストは、無意識や幼児期の経験がその後の人生に与える影響を強く信じています。患者が自分の経験や自己について話すことを伴う精神分析の方法は、フロイトが発明したものではありませんが、フロイトによって広められたことは確実であり、現在でも使われています。しかしながら、フロイトの他の考え方の多くは、議論の的になっています。ドリュー・ウェステン(Westen, 1998)は、フロイトの考え方に対する批判の多くは、後の著作を考慮に入れることなく、彼の古い考え方を攻撃しているという点で、見当違いであると主張しています。ウェステンはまた、大人の動機付けにおける幼少期の経験の重要性、私たちの行動を駆動させる際における無意識的動機付けと意識的動機付けの役割、動機付けが葛藤を引き起こし、それが行動に影響を与える可能性があるという事実、私たちの相互作用を導く上での自分自身と他者の心的表象の影響、そして、時間の経過に伴う人格の発達など、フロイトが導入または発展させた広範な考え方の成功を考慮することに批判者たちが失敗していると論じています。ウェステンは、これらの考え方のすべてについて、その後の研究が支持していることを特定しています。

フロイトの臨床的アプローチのより現代的な手法は効果的であることが実証的に示されています(Knekt et al., 2008; Shedler, 2010)。現在の心理療法の実践の中には、しばしばセラピストとクライエントの間の関係性を通じて、自己と関係性の無意識的な側面を検討するものもあります。フロイトの歴史的意義と臨床的実践への貢献は、心理学における歴史的な動きの議論の中にフロイトを含めるだけの価値があります。

ヴェルトハイマー、コフカ、ケーラー、およびゲシュタルト心理学

マックス・ヴェルトハイマー(1880-1943)、クルト・コフカ(1886-1941)、およびヴォルフガング・ケーラー(1887-1967)は3人のドイツの心理学者であり、ナチスドイツから逃れるために20世紀初頭に米国に移住しました。これらの学者は、さまざまなゲシュタルトの原則を米国の心理学者に紹介したという功績が認められています。ゲシュタルトという言葉は、大まかには「全体」と訳されます。ゲシュタルト心理学では、感覚的な経験は個々の部分に分解することができるものの、それらの部分が全体としてお互いに関係する仕方が、しばしば、個人が知覚において反応するものである、という事実を扱うことに重点を置いています。たとえば、ある曲は異なる楽器によって演奏される個々の音符で構成されているかもしれませんが、その曲の本当の性質は、メロディー、リズム、およびハーモニーを形成するこれらの音符の組み合わせで知覚されます。この特定の視点は、多くの点で、ヴントの構造主義の考え方とは正反対のものであったでしょう(Thorne & Henley, 2005)。

残念ながら、これらの科学者たちは、アメリカに移住するに際し研究の多くを放棄せざるを得なくなり、大規模な研究を続けることができなくなってしまいました。これらの要因と、米国での行動主義の台頭(後述)により、ゲシュタルト心理学の原則は、母国ドイツで持っていたのと同じほどには米国で影響力を持つことができませんでした(Thorne & Henley, 2005)。このような問題があったにもかかわらず、ゲシュタルト心理学のいくつかの原則は、今日でも非常に影響力のあるものです。個々に測定された部分の合計としてではなく、全体としての人間の個人を考えることは、世紀の後半に人間性の理論の重要な基礎となりました。ゲシュタルトの考え方は、感覚や知覚の研究に影響を与え続けています。

構造主義、フロイト、そしてゲシュタルトの心理学者たちはみな、内なる経験を記述し、理解することに何らかの形で関心を持っていました。しかし、他の研究者たちは、内なる経験が科学的調査の正当な対象となり得るかどうかについて懸念を持ち、その代わりとして行動、つまり精神的プロセスの客観的に観察可能な結果のみを研究することを選びました。

パブロフ、ワトソン、スキナー、および行動主義

行動の分野における初期の研究は、ロシアの生理学者イワン・パブロフ(1849-1936)によって行われました。パブロフは、条件反射と呼ばれる学習行動の一形態を研究しました。これは、動物や人間が刺激に対して反射(無意識的な)反応を起こし、時間の経過とともに、実験者が元の刺激と関連付けた異なる刺激に対して反応を起こすように条件付けするものです。パブロフが取り組んだ反射は、食べ物の存在に反応する唾液分泌でした。唾液分泌反射は、最初の食物刺激と関連して数回提示された第二の刺激(特定の音など)を使用して誘発することができます。ひとたび第二の刺激への反応が「学習」されたら、食物刺激を省略することができます。パブロフの「古典的条件付け」は、行動主義者によって研究されている学習行動の一形態に過ぎません。

ジョン・B・ワトソン(1878-1958)は、影響力のあるアメリカの心理学者であり、彼の最も有名な研究は20世紀初頭にジョンズ・ホプキンス大学で行われました(図1.5)。ヴントやジェームズが意識的経験の理解に関心を持っていたのに対し、ワトソンは意識の研究には欠陥があると考えていました。ワトソンは心の客観的な分析は不可能だと考えていたため、彼は観察可能な行動に直接焦点を当て、その行動を制御下に置こうとすることを好んだのです。ワトソンは心理学の焦点を心から行動に移すことについての主要な提唱者であり、行動を観察して制御するというこのアプローチは行動主義として知られるようになりました。行動主義者による研究の主要な対象は、学習された行動、および、それらと生物の先天的な資質との相互作用でした。動物モデルを使って学んだことはある程度、人間の行動にも適用できるという前提のもと、行動主義では一般的に実験において動物を使っていました。実際、トールマンは、「心理学において重要なことはすべて(社会や言葉に関わること…を除けば)、本質的には、迷路の中の選択点でのラットの行動の決定要因を実験的・理論的に分析し続けることによって、調査できると信じている」と述べました(Tolman, 1938)。

図1.5 | ジョン・B・ワトソンは、心理学における行動主義の父として知られています。

行動主義は数十年にわたって実験心理学を支配し、その影響は今日でもまだ感じられます(Thorne & Henley, 2005)。行動主義は、その客観的な方法、特に実験を通して心理学を科学的な学問分野として確立したことについて大きく貢献しました。さらに、それは行動療法や認知行動療法にも用いられています。行動変容は、一般的に教室の状況で使用されています。また、行動主義は、人間の行動に対する環境の影響に関する研究にもつながっています。

B・F・スキナー(1904-1990)は、アメリカの心理学者でした(図1.6)。スキナーはワトソンと同様に行動主義者であり、行動がその結果によってどのように影響を受けるかについて専心していました。そのため、スキナーは行動を推進する際における主な要因として、強化と弱化を挙げました。彼の研究の一環として、スキナーは、強化と弱化を通じて行動を変容するという原理の慎重な研究を可能にするようなチャンバーを開発しました。この装置は、オペラント条件付けチャンバーとして(または、もっと親しみのある形でスキナー箱として)知られており、行動を研究する研究者にとって重要なリソースであり続けています(Thorne & Henley, 2005)。

図1.6 | (a)B・F・スキナーは、オペラント条件付けの研究で有名です。(b)オペラント条件付けチャンバー(スキナー箱)を改変したものは、今日でも研究の場で広く使われています。(credit a: modification of work by “Silly rabbit”/Wikimedia Commons)

スキナー箱は、対象者を外部環境から隔離するチャンバーであり、レバーやボタンなどの行動測定器を備えています。動物がボタンやレバーを押すと、この箱は、その行動についての正の強化(食品など)または正の弱化(雑音など)、あるいは正の強化や弱化のいずれかと相関しているトークンコンディショナー(光など)を提供することができます。

スキナーが学習された行動についての正の強化と負の強化に焦点を当てたことは、心理学に永続的な影響を与えましたが、認知心理学の研究が発展して以来、それは幾分衰えてきました。これにもかかわらず、条件付け学習はまだ人間の行動変容において使用されています。スキナーの2つの広く読まれている、幸せな生活を作り出すためのオペラント条件付けの価値についての物議を醸すような人気の科学の本は、彼のアプローチについての示唆に富んだ議論として残っています(Greengrass, 2004)。

マズロー、ロジャーズ、および人間主義

20世紀初頭には、アメリカの心理学は行動主義と精神分析によって支配されていました。しかしながら、一部の心理学者は、彼らが限られた視点であると見なすようなものが、この分野に対してあまりにも大きな影響力を持っていることに不快感を抱いていました。彼らは、フロイトの悲観主義と決定論(すべての行動が無意識によって駆動されるということ)に異議を唱えました。彼らはまた、行動主義の還元主義的な、あるいは単純化された性質を嫌っていました。行動主義は人間の行動のことを遺伝学と環境の組み合わせによって完全に決定されるものとして見ているので、それもまた、その中核において決定論的です。幾人かの心理学者は、私たちの自己概念と私たちの行動について重要なものとして、個人的なコントロール、意図性、および「善」のための真の傾向を強調した独自の考え方を形成し始めました。このようにして、人間主義が出現しました。人間主義は、すべての人間に生得的に備わっている善の可能性を強調する心理学の中の1つの視点です。人間性心理学の最もよく知られた2人の提唱者はアブラハム・マズローおよびカール・ロジャーズです(O’Hara, n.d.)。

アブラハム・マズロー(1908-1970)はアメリカの心理学者で、行動を動機付ける際における人間の欲求の階層を提唱したことで最もよく知られています(図1.7)。この概念は後の章でより詳しく論じることとしますが、ここで簡単な概要を提供しておきます。マズローは生存のために必要な基本的な欲求(たとえば、食糧、水、住居)が満たされる限りにおいて、より高レベルの欲求(たとえば、社会的な欲求)が行動を動機付け始めると主張しました。マズローによれば、最高レベルの欲求は自己実現、つまり私たちが自らの完全な潜在能力を達成するプロセスに関連しています。明らかに、人間主義の視点の特徴である人間の性質の肯定的な面への焦点は歴然としています(Thorne & Henley, 2005)。人間性心理学者は、物理学や生物学といった諸科学の伝統にある還元主義的な実験に基づいた研究アプローチを原則として拒絶しました。なぜなら、それは人間の「全体性」を見落としていたからです。マズローおよびロジャーズから始まって、人間主義的な研究プログラムへの主張がありました。このプログラムは、主として定性的な(測定ベースではない)ものでしたが、人間性心理学の中には、幸福度、自己概念、瞑想、および人間主義的心理療法の成果に関する研究を含む、多くの定量的な研究の派生物が存在します(Friedman, 2008)。

図1.7 | マズローの欲求の階層が示されています。

カール・ロジャーズ(1902-1987)もアメリカの心理学者で、マズローと同様に、すべての人の中に存在する善の可能性を強調していました(図1.8)。ロジャーズは、彼のクライエントがそもそも心理療法を求める原因となった問題含みの出来事に対処するようにクライエントを支援するという、クライエント中心療法として知られている治療技術を使用しました。意識的な行動が無意識の心について明らかにするものを解釈する上でセラピストが重要な役割を果たしている精神分析的アプローチとは異なり、クライエント中心療法では、患者が治療セッションの主役になっています。ロジャーズは、セラピストがこの特定のアプローチの有効性を最大化するために3つの特徴を表出する必要があると考えていました:それは、無条件の肯定的な関心、真正さ、そして共感です。無条件の肯定的な関心とは、クライエントの言うことに関係なく、セラピストが、クライエントの人となりを受け入れるという事実を指します。ロジャーズは、これらの要因があれば、人は自身の問題に対処し、自分自身の問題に取り組むことができると考えました(Thorne & Henley, 2005)。

図1.8 | この肖像画に示されるカール・ロジャーズは、臨床現場で影響力のあるクライエント中心療法を開発しました。(credit: “Didius”/Wikimedia Commons)

人間主義は心理学全体に影響を与えています。マズローとロジャーズは、心理学を学ぶ学生の間ではよく知られた名前であり(この教科書の後ろの方で、両者について詳しく読むことになります)、彼らの考え方は多くの学者に影響を与えてきました。さらに、ロジャーズによる治療に対するクライエント中心アプローチは、今日でも心理療法の現場で一般的に使われています(O’hara, n.d.)。

学習へのリンク

カール・ロジャーズが自身の治療アプローチについて説明している短いビデオ(http://openstax.org/l/crogers1)を見て、さらに学んでください。

認知革命

行動主義は、客観性を重視し、外的な行動に焦点を当てることで、長期にわたって心理学者の注意を心から引き離していました。人間性心理学者の初期の仕事は、全体としての個々の人間、そして意識的で自己認識している存在としての個々の人間に注意を向け直しました。1950年代までに、言語学、神経科学およびコンピュータ科学において新しい学問分野の視点が出現してきて、これらの領域は科学的な探求の焦点としての心に対する関心を復活させました。この特定の視点は、認知革命として知られるようになりました(Miller, 2003)。1967年には、ウルリック・ナイサーが『認知心理学』と題した最初の教科書を出版し、これは全国の認知心理学コースの核となる教科書としての役目を果たしました(Thorne & Henley, 2005)。

認知革命を起こしたことについて完全な責任を負う人はいませんが、ノーム・チョムスキーはこの運動の初期に大きな影響力を持っていました(図1.9)。アメリカの言語学者であるチョムスキー(1928-)は、行動主義が心理学に与えていた影響に不満を持っていました。彼は、心理学が行動に焦点を当てることは近視眼的であり、行動を理解することに対して意味のある貢献をするためには、心理学の分野は精神機能をその領域に再統合しなければならないと考えていました(Miller, 2003)。

図1.9 | ノーム・チョムスキーは認知革命を起こす上で非常に大きな影響力を持っていました。2010年には、彼を称える壁画がペンシルバニア州フィラデルフィアに設置されました。(credit: Robert Moran)

ヨーロッパの心理学は、実際のところアメリカの心理学ほどには行動主義の影響を受けたことはありませんでした。そのため、認知革命は、ヨーロッパの心理学者とアメリカの心理学者との間のコミュニケーションの筋道を再確立するのに役立ちました。さらに、心理学者は、人類学、言語学、コンピュータ科学、および神経科学など、他の分野の科学者と協力するようになりました。このような学際的なアプローチは、しばしば認知科学と呼ばれ、この特定の視点の影響と顕著さは、現代の心理学にも反映されています(Miller, 2003)。

深く掘り下げてみよう

フェミニスト心理学

心理学の科学は、肯定的なものと否定的なものの両方で、人間の福利に影響を与えてきています。心理学の歴史の初期には、西洋の、白人で、男性の学者が支配的な影響力を持っていたため、心理学はそれらの個人に内在するバイアスを持って発展しました。それはしばしば、白人や男性以外の社会のメンバーについて否定的な結果をもたらすことがありました。女性、アメリカや他の国々における民族的に少数派の人々、および異性愛以外の性的指向を持つ個人は、心理学の分野に参入することが困難であり、したがって、心理学の発展に影響を与えることも困難でした。白人で男性の心理学者たちは、自分たちが育ち、仕事をしている社会に蔓延している非科学的な態度に免疫がないため、彼らはそれらの心理学者の態度からも苦しめられました。1960年代までは、心理学の科学は大部分が「女性のいない」心理学でした(Crawford & Marecek, 1989)。これはつまり、心理学に従事することのできる女性はほとんどいなかったので、女性が研究される内容に対してほとんど影響を与えなかったということを意味します。さらに、心理学の実験の被験者はほとんどが男性でした。これは、ジェンダーが心理学に影響を与えることはなく、女性は研究するのに十分な関心のないものであるという潜在的な仮定に起因するものでした。

1968年に最初に発表されたナオミ・バイスシュタインの論文(Weisstein, 1993)は、科学としての心理学に対する批判を提示することによって、心理学におけるフェミニスト革命を刺激しました。彼女はまた、男性の心理学者が、完全に自分たち自身の文化的な偏見から、女性に対する特徴付けを検証するための慎重な実験的テストも行わずに、女性の心理学を構築していることを具体的に批判しました。バイスシュタインは、1960年代の著名な心理学者たちの発言、たとえばブルーノ・ベッテルハイムによるこの引用文のようなものを例として使用しました:「私たちは、女性が優れた科学者や技術者になりたいと願うのと同じくらい、女性は、何よりもまず、男性に対する女性らしい同伴者になりたい、母親になりたいと願っているという認識から始めなければならない。」バイスシュタインの批判は、女性の心理学に関する私たちの知識が男性の文化的偏見の影響を受けないようにしようとするフェミニスト心理学のその後の発展のための基盤を形成しました。

クロウフォードとマレチェク(Crawford & Marecek, 1989)は、フェミニスト心理学として記述できる心理学へのいくつかのフェミニスト的アプローチを特定しています。これらには、心理学の歴史に対する女性の貢献を再評価し発見すること、心理学的なジェンダーの違いを研究すること、知識に対する科学的アプローチの実践全体に存在する男性のバイアスに疑問を呈することが含まれています。

多文化の心理学と文化横断的な心理学

文化は個人や社会の心理に重大な影響を与えますが、文化が心理学に与える影響については、まだ十分に研究されていません。白人のアメリカ人という環境から導き出された心理学の理論やデータは、他の文化圏の個人や社会集団にも適用することができると仮定することには危険性があり、それはおそらく当てはまりません(Betancourt & López, 1993)。文化横断的な心理学の分野における弱点の1つは、文化間の心理的特性の違いを探す際に、単純な記述統計学を超える必要性が残っているということです(Betancourt & López, 1993)。この意味で、文化心理学は原因と結果を明らかにしようとする科学ではなく、記述的な科学にとどまります。たとえば、ヒスパニック系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、コーカサス系[白人系]アメリカ人の個人の中でむちゃ食い障害の治療を受けようとしている人の特徴を調査した研究では、集団間で有意な差が見られました(Franko et al., 2012)。この研究では、いずれかの集団を研究した結果を他の集団に広げることはできないと結論付けましたが、その違いの潜在的な原因は測定されませんでした。多文化の心理学者は、一般的には1つの国の中で、多様な人口集団を対象に理論を発展させ、研究を行います。文化横断的な心理学者は、米国からの参加者と中国からの参加者を比較するなど、国を超えた人口集団を比較します。

1920年、フランシス・セシル・サムナーは、米国で心理学の博士号を取得した最初のアフリカ系アメリカ人となりました。サムナーは、ハワード大学で心理学の学位プログラムを確立し、新世代のアフリカ系アメリカ人心理学者の教育へとつなげました(Black, Spence, and Omari, 2004)。初期の多様な背景を持つ心理学者の仕事の多くは、知能テストに対して挑戦を投げかけ、子供たちのための革新的な教育方法を奨励することに捧げられました。ジョージ・I・サンチェスは、メキシコ系アメリカ人の子供たちに対するそのようなテストについて異議を唱えました。メキシコ系の出自を持つ心理学者である彼は、テストにおける言語や文化の障壁が、子供たちに平等な機会を与えることを妨げていると指摘しました(Guthrie, 1998)。1940年までに、彼は博士号を取得してテキサス大学オースティン校で教鞭をとり、分離された教育慣行に挑戦していました(Romo, 1986)。

2人のアフリカ系アメリカ人の研究者で心理学者として有名な人物が、マミー・フィップス・クラークとその夫ケネス・クラークです。彼女たちは、アフリカ系アメリカ人の子供と人形の嗜好性に関して行った研究で最もよく知られており、ブラウン対教育委員会の最高裁における人種差別撤廃事件ではその研究が役に立ちました。クラーク夫妻はその研究を社会事業に応用し、ハーレムに最初の児童相談所を開設しました(American Psychological Association, 2019)。

クラーク夫妻の研究と最高裁判決への影響を説明した以下のポッドキャストを聞いてみてください。

学習へのリンク

歴史的なブラウン対教育委員会の公民権事件に対するアフリカ系アメリカ人による心理学研究の影響についてのポッドキャスト(http://openstax.org/l/crogers2)を聞いて、さらに学んでください。

アメリカ心理学会には、メンバー間の交流を促進するために、職業的な心理学者のためのいくつかの民族をベースにした組織があります。特定の民族集団や文化に属する心理学者は、自分たちのコミュニティーの心理学を研究することに最も関心を持っているので、これらの組織は、文化と心理学の間の相互作用に関する研究を発展させる機会を提供しています。

心理学における女性

めったに評価されることはありませんが、女性は心理学が研究分野として発足して以来、心理学に貢献してきています。1894年、マーガレット・フロイ・ウォッシュバーンは、心理学の博士号を授与された最初の女性となりました。彼女は『動物の心:比較心理学の教科書』を著し、それは20年以上にわたってこの分野の標準となりました。1890年代半ば、メアリー・ウィットン・カルキンズは、心理学の博士号に向けてすべての要件を完了しましたが、彼女が女性だったので、ハーバード大学は彼女にその学位を授与することを拒否しました。彼女はウィリアム・ジェームズから教育と指導を受けており、彼はハーバード大学が彼女に博士号を授与するように説得を試みましたが失敗に終わりました。彼女の記憶についての研究は、初頭性と新近性を調べるものであり(Madigan & O’Hara, 1992)、彼女はまた、構造主義と機能主義の両方が自我心理学をどのように説明するかについても書いています(Calkins, 1906)。

もう1人の影響力のある女性、メアリー・カバー・ジョーンズは、ジョン・B・ワトソンの「アルバート坊や」の研究(あなたはこの研究について「学習」の章で学ぶことになります)の続きと見なしていた研究を行いました。ジョーンズは、ウサギのことを恐れていたピーター坊やの恐怖を解消させました(Jones, 1924)。

心理学の分野に貢献した民族的に少数派の女性には、マーサ・バーナルとイネス・ビバリー・プロッサーがいます。彼女たちの研究は教育に関連していました。心理学で博士号を取得した(1962年)最初のラテン系女性であるバーナルは、彼女の研究の多くをメキシコ系アメリカ人の子供たちについて行いました。プロッサーは、アフリカ系アメリカ人女性として最初の博士号を1933年にシンシナティー大学で授与されました(Benjamin, Henry, & McMahon, 2005)。

1.3 現代の心理学

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 心理学における関心と焦点の多様性を把握する
  • 心理学の記述された各領域の基本的な関心と応用を理解する
  • 心理学の記述された各領域の主要な概念や重要な人物のいくつかについての知識を有していることを示す

現代の心理学は多様な分野であり、前節で述べた歴史的な視点のすべてによって影響を受けています。この学問分野の多様性を反映しているのが、アメリカ心理学会(APA)の中で見られる多様性です。APAは米国の心理学者を代表する職能団体です。APAは世界最大の心理学者の組織であり、その使命は、人々の向上のために心理学の知識を進歩させ、普及させることにあります。APAの中には54の部門があり、宗教・スピリチュアリティー心理学会から運動・スポーツ心理学会、行動神経科学・比較心理学会まで幅広い専門分野を代表しています。心理学という分野そのものの多様性を反映して、会員、賛助会員、準会員は、学生から博士レベルの心理学者まで幅広く、教育現場、刑事司法、病院、軍隊、産業界などさまざまな場所から集まっています(American Psychological Association, 2014)。G・スタンレー・ホールが、APAの初代会長でした。彼は博士号を取得する以前に、歴史的に黒人の多いカレッジ/大学(HBCU)であるウィルバーフォース大学で非常勤講師を務める一方、アンティオクカレッジで教員を務めていました。ホールはウィリアム・ジェームズの下で働き、博士号を取得しました。最終的には、彼はマサチューセッツ州にクラーク大学が設立された際に初代学長に就任しました(Pickren & Rutherford, 2010)。

心理科学会(APS)は1988年に設立され、心理学の科学的な方向性を推進することを目的としています。APSの設立は、APA内の心理学の科学部門と臨床部門のメンバー間の意見の相違に起因しています。APSは5つの研究ジャーナルを発行し、資金提供機関とともに教育や権利擁護活動に従事しています。その会員の大部分は米国内に居住していますが、そのかなりの割合が国際的なものです。その他の組織としては、全米ラテン系心理学協会(NLPA)、アジア系アメリカ人心理学協会(AAPA)、黒人心理学者協会(ABPsi)、インディアン心理学者協会(SIP)などがあり、心理学に携わるいくつかの民族や人種の専門家にネットワーキングや協働の機会を提供しています。また、これらのグループのほとんどは、それぞれの特定のコミュニティーの中で心理学的・社会的問題を研究することに専念しています。

この節では、今日の心理学における主要な下位分野の概要を、この教科書の残りの部分を通して紹介する順番に沿って説明します。これは網羅的な列挙を意味するものではありませんが、現代の心理学者の研究と実践の主要な分野についての洞察を提供してくれるでしょう。

学習へのリンク

APA内の部門についてのこのウェブサイト(http://openstax.org/l/biopsychology)を参照して、さらに学んでください。

また、APAが提供する学生用リソース(http://openstax.org/l/studentresource)も見てください。

生物心理学と進化心理学

その名が示すように、生物心理学は、私たちの生物学的性質がどのようにして私たちの行動に影響を与えるかを探究しています。生物学的心理学は幅広い分野ですが、多くの生物学的心理学者は神経系の構造や機能が行動にどのように関係しているかを理解したいと考えています(図1.10)。そのため、彼らはしばしば心理学者と生理学者の両方の研究戦略を組み合わせて、この目標を達成します(Carlson, 2013で議論されているように)。

図1.10 | 生物学的心理学者は、神経系の構造と機能がどのようにして行動を生み出すのかを研究しています。

生物学的心理学者の研究の関心は、感覚系・運動系、睡眠、薬物使用・乱用、摂食行動、生殖行動、神経発達、神経系の可塑性、および心理学的障害の生物学的相関など多岐にわたりますが、これだけに限りません。生物学的心理学の傘下に入る関心の領域が広いことを考えると、生物学者、医療専門家、生理学者、化学者など、さまざまなバックグラウンドを持つ人々がこの研究に関わっているというのは驚くことではないでしょう。このような学際的なアプローチは、しばしば神経科学と呼ばれ、生物学的心理学はその構成要素の1つです(Carlson, 2013)。

生物心理学が通常、人間や他の動物の生理学に基づく行動の直接的な原因に焦点を当てるのに対し、進化心理学は行動の究極的な生物学的原因を研究しようとしています。行動が遺伝の影響を受けている範囲において、行動は、人間や動物の解剖学的特徴と同様に、その周囲の環境への適応を示すことになります。これらの周囲の環境には、物理的な環境、および、生物間の相互作用が生存と繁殖に重要である場合があるために、社会的な環境が含まれます。進化の文脈での行動の研究は、自然選択による進化論の共同発見者であるチャールズ・ダーウィンに起源を持っています。ダーウィンは、行動が適応的であるべきであることをよく認識しており、この分野を探求するために、『人間の由来』(Darwin, 1871)と『人及び動物の表情について』(Darwin, 1872)、というタイトルの本を書きました。

進化心理学、具体的には、人間の進化心理学は、ここ数十年でその人気が再興しています。自然選択による進化の対象となるためには、ある行動は、顕著な遺伝的原因を有していなければなりません。一般的に、人間の集団間の遺伝的差異は小さいため、ある行動は、それが遺伝的に引き起こされたものであるならば、すべての人間の文化がその行動を表すということが期待されます。ほとんどの進化心理学者がとるアプローチは、進化論に基づいて特定の状況での行動の結果を予測し、その結果が理論と一致するかどうかを判断するために、観察や実験を行うことです。これらのタイプの研究は、ある行動が適応的であるという強力な証拠にはならないということを認識しておくことが重要です。なぜなら、その行動がある部分では遺伝的であり、完全に文化的ではないという情報を欠いているからです(Endler, 1986)。ある形質、特に人間におけるものが、自然に選択された形質であることを証明するのは非常に困難です。おそらくこの理由から、一部の進化心理学者は、研究している行動には遺伝的決定要因があると仮定することで満足しています(Confer et al., 2010)。

進化心理学の他の欠点の1つは、私たちが今持っている形質は、人類の歴史の中ではるかに遡るころの環境や社会的条件の下で進化したということであり、私たちはこれらの条件が何であったかについての理解が不十分である、ということです。これは、ある行動について何が適応的であるのかについての予測を難しいものとします。行動的な形質は、現在の条件下では適応的である必要はなく、それらが進化した過去の条件下でのみ適応的であることが必要であり、それについては私たちは仮説を立てることしかできません。

進化が予測を行うことができるような人間の行動についての多くの分野があります。例としては、記憶、結婚相手の選択、親族間の関係性、友情と協力、子育て、社会組織、および地位が含まれます(Confer et al., 2010)。

進化心理学者は、観察と期待の間の実験的な対応物を見つけることに成功しています。一例として、37の文化にわたる男女間での結婚相手の選好の違いの研究において、バス(Buss, 1989)は、女性は結婚相手の候補において収入を得る能力の要因を男性よりも高く評価し、男性は結婚相手の候補において生殖の能力の要因(若さと魅力)を女性よりも高く評価していることを発見しました。一部の文化では逸脱がありましたが、予測は一般的には進化についての予測と一致していました。

感覚と知覚

感覚系の生理学的側面と感覚情報の心理的経験との両方に関心を持つ科学者は、感覚と知覚の領域で研究を行っています(図1.11)。そのため、感覚と知覚の研究は非常に学際的です。あなたがある教室から別の教室に移動するときに、建物の間を歩くことを想像してみてください。あなたには、光景、音、触覚、匂いが押し寄せてきます。また、あなたは周囲の空気の温度も経験し、自分のバランスを保ちながら歩くことになります。これらはすべて、感覚と知覚の領域で研究をする人にとって興味のある要素です。

図1.11 | あなたがこの画像を見るとき、あなたにはアヒルが見えるかもしれませんし、ウサギが見えるかもしれません。感覚的な情報は同じですが、あなたの知覚は劇的に変化することがあります。

感覚と知覚の研究結果に焦点を当てた後の章で説明するように、私たちの世界の私たちによる経験は、すべての感覚情報(すなわち感覚)の総和のような単純なものではありません。むしろ、私たちの経験(すなわち知覚)は複雑であり、私たちがどこに注意を向けるか、私たちの過去の経験、さらには私たちの文化的背景からも影響を受けています。

認知心理学

前節で述べたように、認知革命は、心理学者が行動の根底にある心や心的プロセスをよりよく理解することに注意を向けるきっかけを作りました。このように、認知心理学とは、認知(または思考)、および、それらと私たちの経験や行動との関係性を研究することに重点を置いた心理学の分野です。生物学的心理学と同様に、認知心理学はその範囲が広く、しばしば多様な学問的背景を持つ人々の間で共同研究が行われています。このことから、この研究分野の学際的な性質を表現するために、認知科学という言葉を作り出す人もいました(Miller, 2003)。

認知心理学者は、注意力から問題解決、言語から記憶に至るまで、さまざまなトピックにまたがる研究に関心を持っています。これらのトピックを研究する際に使用されるアプローチも同様に多様です。そのような多様性を踏まえると、認知心理学をこの教科書の1つの章で捉えることはできません。むしろ、認知心理学に関連するさまざまな概念は、感覚と知覚、思考と知能、記憶、生涯発達、社会心理学、および治療に関するこの教科書のそれぞれの章の関連する部分で取り上げられることになるでしょう。

発達心理学

発達心理学とは、生涯にわたる発達の科学的研究です。発達心理学者は、身体的成熟に関連するプロセスに興味を持っています。しかしながら、彼らの焦点は加齢に伴う身体的な変化に限定されてはおらず、彼らはまた、認知スキル、道徳的推論、社会的行動、および他の心理的特性の変化にも焦点を当てています。

初期の発達心理学者は、主に成人期に至るまでに起こる変化に焦点を当てており、非常に幼い子供と大人との間に存在する身体的、認知的、社会的能力の違いについて膨大な洞察を提供しました。たとえば、ジャン・ピアジェの研究(図1.12)は、非常に幼い子供が物体の永続性を示さないことを実証しました。物体の永続性とは、たとえそれらが私たちの目に見えないところにあったとしても、物理的なものは存在し続けているという理解のことを指します。もしあなたが大人におもちゃを見せて、それからカーテンの後ろに隠したとしても、大人はそのおもちゃがまだ存在していることを知っています。しかしながら、非常に幼い幼児は、隠されたものがもはや存在しないかのように行動します。物体の永続性に到達する年齢については、やや議論の余地があります(Munakata, McClelland, Johnson, and Siegler, 1997)。

図1.12 | ジャン・ピアジェは、幼年期から成人期への移行に伴って起こる認知能力の変化に関する理論で有名です。

ピアジェは成人期へと向かう際における乳児期や幼少期の認知的な変化に焦点を当てていましたが、人生のずっと後になってから起こる変化について研究を広げることに関心が高まっています。これは、先進国全体の人口動態の変化を反映していると考えられます。長生きする人が増えれば増えるほど、高齢者の数は増え続けるでしょう。実際、米国では2010年に65歳以上の高齢者が4000万人強いると推定されていました。しかしながら、2020年にはこの数は約5500万人に増加すると予測されています。2050年までには、この国の約9000万人が65歳以上になると推定されています(Department of Health and Human Services, n.d.)。

人格心理学

人格心理学は、それぞれの個人を独特なものとするような思考や行動のパターンに焦点を当てています。心理学の歴史の概観ですでに取り上げた何人かの個人(たとえば、フロイトやマズロー)や、アメリカの心理学者ゴードン・オールポートは、初期の人格の理論に貢献しました。これらの初期の理論家たちは、個人の人格がどのように発展していくのかを、彼または彼女の所与の視点から説明しようと試みました。たとえば、フロイトは、心の意識的な部分と無意識的な部分の間の葛藤が生涯にわたって行われることで人格が生じると提案しました。具体的には、フロイトは、個人がさまざまな心理性的な発達段階を経ると理論化しました。フロイトによると、大人の人格は、口唇(口)から肛門、男根、性器へといった性感帯(すなわち性的快楽を生み出す場所)の移動を中心とした、さまざまな葛藤の解消から生じることになります。フロイトの理論の多くがそうであるように、この特定の考え方は議論の的となり、実験的テストには適していませんでした(Person, 1980)。

より最近では、人格の研究はより定量的なアプローチをとるようになっています。人格がどのようにして生じるかを説明するのではなく、人格特性を特定し、その特性を測定し、特定の文脈の中でそれらの特性がどのように相互作用して、ある人物がどのような状況でどのように振る舞うかを決定することに研究の焦点が置かれています。人格特性とは比較的一貫した思考と行動のパターンであり、多くの人は、個人間で見られる人格のばらつきを把握するには、5つの特性の特徴で十分であると提案してきました。この5つの特徴は「ビッグ・ファイブ」または5因子モデルとして知られており、誠実性、同調性、神経症的傾向、開放性、外向性の特徴が含まれています(図1.13)。これらのそれぞれの特性は、生涯にわたって比較的安定していることが実証されており(たとえば、Rantanen, Metsäpelto, Feldt, Pulkinnen, and Kokko, 2007; Soldz & Vaillant, 1999; McCrae & Costa, 2008)、遺伝の影響を受けます(たとえば、Jang, Livesly, and Vernon, 1996)。

図1.13 | 5因子モデルのそれぞれの特徴が、この図に示されています。提供されている説明は、その与えられた特徴で高得点を獲得した人のことを記述するでしょう。与えられた特徴の得点が低い人は、反対の用語で記述される可能性があります。

社会心理学

社会心理学は、私たちが他の人とどのように相互作用し、関係するかに焦点を当てています。社会心理学者は、私たちが自分自身の行動を説明する方法と他人の行動を説明する方法の違い、先入観や魅力、私たちが対人関係の葛藤をどのように解決するかなど、さまざまなトピックについて研究を行っています。社会心理学者はまた、他の人々の間にいることがどのように私たち自身の行動や思考パターンを変更するかを突き止めようと追求しています。

社会心理学の研究には興味深い例がたくさんあり、あなたはこの教科書の後の章でその多くを読むことになるでしょう。その前に、これまでに行われた心理学研究の中でも最も論争の的となった研究の1つを紹介しておきます。スタンレー・ミルグラムはアメリカの社会心理学者で、彼が行った服従に関する研究で最も有名です。ホロコーストの後、1961年に、ナチスの戦争犯罪者アドルフ・アイヒマンが、大量の残虐行為を犯した罪に問われ、裁判にかけられました。多くの人々は、ドイツの兵士が強制収容所で囚人を拷問することができたのはどうしてなのかと不思議に思い、兵士が述べた「単純に命令に従っただけである」という言い訳に納得がいきませんでした。当時、ほとんどの心理学者は、単純に命令に従っていたからといって、このような尋常でない痛みや苦しみを与えようとする人はほとんどいないだろうということで一致していました。ミルグラムは、これが本当かどうかを判断するために研究を行うことにしました(図1.14)。あなたはこの教科書の後のほうで読むことになりますが、ミルグラムは、参加者の3分の2近くが、権威のある人物(この場合は白衣を着た男性)によって指示されたからという単純な理由で、致死的であると信じ込まされているショックを他人に与えるのを厭わないことを発見しました。これは、参加者が単純に研究に姿を現しただけで報酬を受け取っているとともに、研究から身を引くことにより、他人に痛みやより深刻な結果を与えないことを選ぶことができたにもかかわらず、起こりました。実際にはいかなる形においても誰も傷ついたり、怪我をしたりはしていませんでした。ミルグラムの実験は、研究協力者を利用した巧妙な策略でした。その人たちは、研究への参加者のふりをしていましたが、実際には研究者のために働いており、研究中にどのように振る舞うかについて明確で具体的な指示を受けていました(Hock, 2009)。ミルグラムの研究や他の人の研究では、研究参加者を欺き、研究参加者に感情的な危害を与える可能性があったため、心理学的研究を実施する際に研究対象者を欺く手法を使うことを(危害を与えないと主張できる場合を除き)思いとどまらせるとともに、一般的に研究参加者のインフォームド・コンセントを求めるような倫理的ガイドラインの策定を促進しました。

図1.14 | スタンレー・ミルグラムの研究は、人々が権威のある人物からの命令にどこまで従おうとするかを実証しました。この広告は、彼の研究の被験者を募集するために使用されました。

産業-組織心理学

産業-組織心理学(I-O心理学)は、産業や組織の現場で心理学の理論や原理、研究成果を応用する心理学の下位分野です。I-O心理学者は、しばしば人事管理、組織構造、職場環境に関する問題に関与しています。企業では、最適な採用判断や、従業員の生産性や効率性のレベルを高める環境づくりのために、I-O心理学者の力を借りることがよくあります。I-O心理学は、その応用的な性質に加えて、I-Oの状況の中での行動に関する科学的な研究を行うことも含まれています(Riggio, 2013)。

健康心理学

健康心理学では、健康が生物学的、心理学的、社会文化的要因の相互作用によってどのように影響を受けるかに焦点を当てています。この特定のアプローチは、生物心理社会モデルとして知られています(図1.15)。健康心理学者は、公共政策、教育、介入、研究を通じて、個人がより良い健康を達成できるように支援することに関心を持っています。健康心理学者は、人の遺伝的構成、行動のパターン、人間関係、心理的ストレス、および健康の間の関係性を探る研究を行うことがあります。彼らはまた、健康状態を悪化させる原因となる行動パターンに対処するために、人々を動機付ける効果的な方法を研究することもあります(MacDonald, 2013)。

図1.15 | 生物心理社会モデルは、健康/不調はこれら3つの要因の相互作用によって決定されることを示唆しています。

スポーツと運動の心理学

スポーツと運動の心理学の研究者は、動機付けやパフォーマンスの不安などを含むスポーツのパフォーマンスの心理的側面や、スポーツが精神的・感情的な福利に与える影響を研究しています。また、一般的な身体運動に関連する同様のトピックについても研究が行われています。さらに、この分野には、消防、軍事活動、芸術的パフォーマンス、外科手術などといった、スポーツや運動よりも広い範囲ではあるものの、過酷な状況下での心身のパフォーマンスの相互作用に関連したトピックも含まれています。

臨床心理学

臨床心理学とは、心理学的障害やその他の問題のある行動パターンの診断と治療に焦点を当てた心理学の領域です。そのため、一般的には心理学の中ではより応用的な分野であると考えられています。しかしながら、臨床家の中には科学的な研究に積極的に取り組んでいる人もいます。カウンセリング心理学は同様の学問分野で、心理的に健康であると考えられる個人の感情的、社会的、職業的、健康関連の結果に焦点を当てています。

先に述べたように、フロイトとロジャーズの両者は、臨床家が心理療法を求める人々と相互作用するやり方を形作る上で影響力のある視点を提供しました。精神分析理論の側面は、精神力学的観点からの訓練を受けた現在のセラピストの一部の間でまだ見られますが、クライエント中心療法についてのロジャーズの考え方は、多くの臨床家がどのように活動するかを形作る上で特に影響力を持っています。さらに、行動主義と認知革命の両方が、行動療法、認知療法、認知行動療法の形で臨床の実践を形成してきています(図1.16)。心理学的障害や問題のある行動パターンの診断と治療に関連する問題については、この教科書の後の章で詳細に論じていくことになります。

図1.16 | 認知行動療法のセラピストは、心理療法を提供する際に、認知プロセスと行動を考慮に入れます。これは、臨床心理学者によって用いられることのあるいくつかの戦略のうちの1つです。

これは、一般的なメディアで群を抜いて最も注目されている心理学の分野であり、多くの人は誤ってすべての心理学が臨床心理学であると思い込んでいます。

法心理学

法心理学は、司法制度の文脈の中で発生する心理学の疑問を扱う心理学の一分野です。たとえば、法心理学者(および司法精神医学者)は、ある人が裁判を受ける能力があるかを評価したり、被告人の精神状態を評価したり、子供の親権事件のコンサルタントとして行動したり、判決や治療の推奨について相談を受けたり、目撃者の証言や子供の証言などの問題について助言したりします(American Board of Forensic Psychology, 2014)。このような立場において、彼らは通常は専門家証人として行動し、法廷事件についてどちらか一方の側から喚問され、研究や経験に基づいた意見を述べることになります。法心理学者は、専門家証人として、法律をよく理解し、単に心理学の領域内だけでなく、法制度の文脈の中における情報を提供しなければなりません。法心理学者は、陪審員の選考プロセスや証人の準備にも携わります。彼らはまた、刑事司法制度の中で心理的な治療を提供することに関与することもあります。犯罪者のプロファイラーは、法執行機関へのコンサルタントとして活動する、心理学者の比較的小さな割合の人たちです。

1.4 心理学におけるキャリア

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 学術的な環境でのキャリアのための教育要件を理解する
  • 学術的な環境でのキャリアの需要を理解する
  • 学術的な環境以外のキャリアの選択肢を理解する

心理学者は、多くの異なる場所で多くの異なることをやって働くことができます。一般的に、高等教育の4年制機関で心理学のキャリアを継続したいと望む人は、いくつかの専門分野について心理学の博士号を取得し、他の分野について少なくとも修士号を取得しなければなりません。心理学のほとんどの分野では、これは心理学の関連分野で博士号(PhD)を取得することを意味します。文字通りに言えば、博士号(PhD)とは哲学の博士号を指しますが、ここでは、「哲学」とは哲学それ自体の分野を指しているものではありません。そうではなくて、この文脈での「哲学」は、リベラルアーツと諸科学の伝統的な大学に収容されるであろう多くの異なる学問分野の視点のことを指しています。

博士号を取得するための要件は国によって、また学校によっても異なりますが、通常では、この学位を取得する個人は学位論文を完成させなければなりません。学位論文とは、本質的には、候補者の博士課程訓練の一環として実施された研究を記述した長い研究論文、または公表された論文をまとめたものです。米国では、学位が授与される前に、専門家のレビュアーによる審査委員会の前で論文の査問を受けなければならないのが一般的です(図1.17)。

図1.17 | 博士号の授与は、特別な服装や儀式を伴う正式な式典の中で行われるのが一般的です。(credit: Public Affairs Office Fort Wainwright)

ひとたびある人が博士号を取得すれば、彼らはカレッジや大学で教員の職を求めることになるかもしれません。カレッジまたは大学の教員になるということは、しばしば教育、研究、機関や団体への貢献の間で時間を振り分けることになります。これらの主な責務のそれぞれに費やされる時間の量は、学校によって劇的に異なり、さまざまな学術的な環境の中で自分に最適なものを求めて、教員があちこちに移動することも珍しくありません。前節では、全国の心理学の学部で一般的に提供される主要な領域のいくつかを詳述しました。このように、受けた訓練に応じて、個人は、学術的な環境において、生物学的心理学者から臨床心理学者までどのようなものにもなれる可能性があります(図1.18)。

図1.18 | 心理学の博士号を取得した人は、雇用の選択肢の範囲を有しています。

学習へのリンク

このインタラクティブなツールを使用して、学位レベルに基づいて心理学のさまざまなキャリアを探ってみましょう(http://openstax.org/l/degreecareer)。

学術的な環境での他のキャリア

多くの場合、学校では、フルタイムの教員が教えることができる数よりも多くの心理学のコースを提供しています。このような場合には、非常勤の教員や講師を招くことも珍しくありません。非常勤の教員や講師は通常、心理学の高度な学位を持っていますが、彼らはしばしば、学術界の外で優先的な仕事を有しており、副業としてこの役割を果たしています。あるいは、彼らは、ほとんどの4年制の機関で必要とされている博士号を持っておらず、教職経験を積むためにこのような機会を利用している場合もあります。さらに、多くの2年制のカレッジや学校では、心理学のコースを教えるための教員を必要としています。一般的に、これらの機関でキャリアを追求する人の多くは、心理学の修士号を持っていますが、中には博士号を有する人がこれらの機関でキャリアを築くこともあります。

博士号を取得した人の中には、学術的な場での研究を満喫する人もいます。しかしながら、彼らは教職には興味がないかもしれません。そのような個人は、研究を行うことだけに専念する教員の職に就くかもしれません。このような種類の職は、研究に重点を置いた大規模な大学での選択肢である可能性がより高いでしょう。

心理学のいくつかの分野では、最近博士号を取得した個人は、教員として勤めるようになる前に利用可能な博士号取得後の研修プログラムの職を探すのが一般的です。ほとんどの場合、若い科学者は、フルタイムの教員職に応募する前に、1つまたは2つの博士号取得後のプログラムを修了することになります。博士号取得後の研修プログラムは、若手科学者が自身の研究プログラムをさらに発展させ、その分野の他の専門家の監督の下で研究スキルを広げることを可能にします。

学術的な環境以外のキャリアの選択肢

開業している臨床心理学者になりたいと望む個人は、心理学博士号(PsyD)として知られている博士号を取得するという別の選択肢を持っています。心理学博士号(PsyD)は、臨床心理学のキャリアを追求することに興味を持っている個人の間でますます人気が高まっている心理学の博士の学位です。PsyDプログラムは、一般的に研究指向のスキルにさほど重点を置かず、臨床の文脈で心理学の原則を応用することに多くの焦点を当てています(Norcorss & Castle, 2002)。

博士号(PhD)を取得しているか、心理学博士号(PsyD)を取得しているかにかかわらず、ほとんどの州では、免許を有する臨床心理学者やカウンセリング心理学者として開業することを望む個人は、免許を持つ心理学者の監督の下で博士号取得後の仕事を完了することになるでしょう。しかしながら、ここ数年の間に、いくつかの州では、人々がそのキャリアで早期のスタートを切ることができるようにするために、この要件を削除し始めています(Munsey, 2009)。個人が州の要件を満たした後、彼らが免許の試験を受けることができるかどうかを決定するために、彼らの資格が評価されます。この試験に合格した個人だけが、免許を有する臨床心理学者またはカウンセリング心理学者と名乗ることができます(Norcross, n.d.)。免許を取得した臨床心理学者やカウンセリング心理学者は、その後、民間の臨床業務から病院の環境に至るまで、多くの状況で働くことができます。臨床心理学者と精神科医では、行うことや受ける教育の種類が異なることに注意しておくべきです。どちらもセラピーやカウンセリングを行うことができますが、臨床心理学者は博士号(PhD)または心理学博士号(PsyD)を有している一方で、精神科医は医学博士号(MD)を有しています。そのため、免許を有する臨床心理学者は心理学的なテストを実施したり解釈したりすることができ、精神科医は薬を処方することができます。

博士号(PhD)を取得した個人は、専門としている分野に応じてさまざまな状況で働くことができます。たとえば、生物心理学者として訓練を受けた人は、製薬会社で新薬の有効性をテストするのを支援するために働くかもしれません。臨床経験のある人は法心理学者となり、法制度の中で刑事裁判や仮釈放審問の際に提言を行ったり、裁判において専門家として役目を果たしたりすることもあります。

心理学の博士号を取得することは、通常、大学院での5-6年間の勉強を必要とする長いプロセスですが(DeAngelis, 2010)、心理学の修士号で到達することのできるキャリアもたくさんあります。心理療法を提供したいと望む人は、さまざまなタイプの専門のカウンセラーとして働くための免許を取得することができます(Hoffman, 2012)。また、関連する修士号は、学校心理学者(National Association of School Psychologists, n.d.)、スポーツ心理学に関連するいくつかの資格(American Psychological Association, 2014)、またはさまざまな産業界の環境におけるコンサルタント(Landers, 2011, June 14)としてのキャリアを模索している個人のためにも十分なものです。心理学の学部課程は、評価やセラピーが仕事の一部となることのある精神医学的ソーシャルワークや精神医学的看護などの他のキャリアにも応用できる可能性があります。

この章の冒頭の節で述べたように、心理学の学部教育は、多くの雇用者が非常に魅力的に感じるような知識ベースとスキルセットに関連しています。そのため、表1.1に示されているように、心理学の学士号を取得した人が多くの異なるキャリアに就いていることは、驚くようなことではありません。そのようなキャリアのいくつかの例としては、ケースマネージャーとして勤めたり、営業で働いたり、人事部で働いたり、高校で教えたりすることが含まれます。急速に成長している医療従事者の領域は、心理学の教育が有用であり、時には必要とされるもう1つの分野です。たとえば、医科大学院へ出願する人が受けなければならない医科大学院進学テスト(MCAT)の試験では、行動の心理学的基盤に関する項目が出題されるようになりました。

表1.1

学習へのリンク

APAは心理学のさまざまな領域についてのキャリア情報(http://openstax.org/l/careers)を提供しています。

重要用語

アメリカ心理学会(APA):米国の心理学者を代表する職能団体

行動主義:行動を観察し、制御することに焦点を当てる

生物心理学:生物学的性質がどのようにして行動に影響を与えるかについての研究

生物心理社会モデル:生物学的、心理学的、社会的要因が相互に作用して個人の健康を決定すると主張する視点

臨床心理学:心理学的障害やその他の問題のある行動パターンの診断と治療に焦点を当てた心理学の領域

認知心理学:認知(または思考)、および、それらと経験や行動との関係性についての研究

カウンセリング心理学:心理的に健康な個人の感情的、社会的、職業的、その他の生活の側面を改善することに焦点を当てた心理学の領域

発達心理学:生涯にわたる発達の科学的研究

学位論文:候補者の博士課程訓練の一環として実施された研究についての長い研究論文

経験主義的な方法:論理的な議論や昔ながらの権威の形態だけに基づいた方法ではなく、実験を含む観察に基づいて知識を得る方法

法心理学:心理学の科学と実践を司法制度内、およびそれに関連する問題に適用する心理学の領域

機能主義:精神活動がどのようにして生物がその環境に適合するのを助けるかに焦点を当てる

人間主義:すべての人間に生得的に備わっている善の可能性を強調する心理学の視点

内観:意識経験を構成要素に分解しようとするために自身の意識経験を調べるプロセス

~学:「~の科学的な研究」を意味する接尾辞

人格心理学:それぞれの個人を独特なものとするような思考や行動のパターンの研究

人格特性:一貫した思考と行動のパターン

PhD(哲学の博士):リベラルアーツと諸科学の伝統的な大学に収容される多くの異なる学問分野の視点から授与される博士号

博士号取得後の研修プログラム:若手科学者が自身の研究プログラムをさらに発展させ、その分野の他の専門家の監督の下で研究スキルを広げることを可能にする

精神分析理論:意識的な行動に影響を与える無意識の役割に焦点を当てる

心理学:心と行動の科学的研究

PsyD(心理学の博士):研究指向のスキルにさほど重点を置かず、臨床の文脈で心理学の原則を応用することに多くの焦点を当てる博士号

スポーツと運動の心理学:スポーツ、運動、その他の活動における精神的・感情的要因と身体的パフォーマンスとの相互作用に焦点を当てた心理学の領域

構造主義:内観を通じた意識経験の理解

この章のまとめ

1.1 心理学とは何でしょうか?

心理学は、心と行動の科学的研究と定義されています。心理学の学生は、批判的思考の技能を養い、科学的方法に精通し、行動の複雑さを認識します。

1.2 心理学の歴史

ヴントとジェームズの時代以前は、心についての疑問は哲学者によって考えられていました。しかしながら、ヴントとジェームズはどちらも、心理学を別個の科学的な学問分野として確立するのに貢献しました。ヴントは構造主義者であり、私たちの認知的な経験は、その経験を構成要素に分解することによって最もよく理解されると考えていました。彼は、それが内観によって最もうまく達成されると考えていました。

ウィリアム・ジェームズは最初のアメリカの心理学者であり、機能主義の提唱者でした。この特定の視点は、精神活動がいかにして生物の環境に対する適応的な反応として役立つかに焦点を当てていました。ヴントと同様に、ジェームズも内観に頼っていましたが、彼の研究アプローチは、より客観的な尺度も取り入れていました。

ジークムント・フロイトは、意識的行動を理解するためには無意識の心を理解することが極めて重要であると考えていました。これは、彼が診察したさまざまなヒステリーや神経症に苦しんでいる個人について特に当てはまりました。フロイトは、無意識にアクセスするための手段として、夢の分析、言い間違い、および自由連想に頼りました。精神分析理論は、数十年の間、臨床心理学の支配的な勢力としてとどまりました。

ゲシュタルト心理学はヨーロッパで非常に影響力がありました。ゲシュタルト心理学は、個人とその人の経験についての全体的な見方をします。ナチスがドイツで権力を握った際、ヴェルトハイマー、コフカ、およびケーラーは米国に移住しました。彼らは自分たちの研究室とその研究を置き去りにしたものの、彼らはゲシュタルトの考え方にアメリカを導入しました。ゲシュタルト心理学の原則のいくつかは、感覚と知覚の研究において今でもまだ非常に影響力があります。

心理学の歴史の中で最も影響力のある思想の学派の1つは行動主義でした。行動主義は、明白な行動を研究し、観察不可能な精神的プロセスの重要性を軽視することによって、心理学を客観的な科学にすることに焦点を当てていました。ジョン・ワトソンはしばしば行動主義の父と見なされており、オペラント条件付けの原理を理解する上でのB・F・スキナーの貢献は過小評価することはできません。

行動主義と精神分析理論が心理学の多くの側面に浸透していくにつれ、心理学が描く人間性に不満を持つようになった人もいました。このようにして、心理学の中で人間主義的な動きが定着し始めました。人間主義はすべての人々が持つ「善さ」のための潜在能力に焦点を合わせます。マズローおよびロジャーズは両者とも人間性心理学を形作ることにおいて影響力がありました。

1950年代の間に、心理学の景色は変わり始めました。行動の科学は、精神的なプロセスに焦点を当てるというそのルーツに戻るように移行し始めました。神経科学とコンピュータ科学の出現は、この移行を助けました。最終的には、認知革命が起こり、人々は認知が行動の真の評価と理解に不可欠であることを認識するようになりました。

1.3 現代の心理学

心理学は、独特な視点を持ついくつかの主要な下位分野からなる多様な学問分野です。生物学的心理学は、行動の生物学的基盤の研究を含んでいます。感覚と知覚は、感覚様式からの情報がどのように受け取られ、その情報がどのように私たちの周りの世界についての知覚経験に変換されるかに焦点を当てた心理学の領域を指します。認知心理学は、思考と行動の間に存在する関係性に関心を抱いており、発達心理学者は、生涯にわたって起こる身体的・認知的変化を研究しています。人格心理学は、個人の行動、思考、感情の独特なパターンに焦点を当てています。産業・組織心理学、健康心理学、スポーツ・運動心理学、法心理学、臨床心理学は、すべて心理学の応用分野と考えられています。産業および組織心理学者は、心理学の概念をI-Oの環境に適用します。健康心理学者は、人々がより健康的な生活を送るのを助けるための方法を模索し、臨床心理学は、心理学的障害やその他の問題のある行動パターンの診断と治療を含みます。スポーツ・運動心理学者は、スポーツ、運動、その他の活動における思考、感情、身体的パフォーマンスの間の相互作用を研究します。法心理学者は、司法制度に伴う心理学に関連した活動を行います。

1.4 心理学におけるキャリア

一般的に、心理学の学術的なキャリアには博士号が必要です。しかしながら、心理学の修士号を持っている人には、多くの非学術的なキャリアの選択肢があります。心理学の学士号を持っている人は、心理学に関連したキャリアの選択肢がより限られていますが、心理学の学部教育の効用として身につけた技能は、さまざまな仕事の文脈で役立ちます。

レビュー問題

1.心理学の学生が触れる技能として言及されていたのは以下のうちどれですか?
a.批判的思考
b.科学的方法の使用
c.情報源の批判的評価
d.上記のすべて

2.心理学が学術的な学問分野として認められるようになる前は、心の問題は、________の中で扱われていました。
a.生物学
b.化学
c.哲学
d.物理学

3.科学的方法においては、仮説とは、________のことです。
a.観察
b.測定
c.テスト
d.提案された説明

4.あなたが読んだことに基づくと、どの理論家がこの文章に同意する可能性が最も高いでしょうか:「知覚現象は、その構成要素の組み合わせとして最もよく理解される。」
a.ウィリアム・ジェームズ
b.マックス・ヴェルトハイマー
c.カール・ロジャーズ
d.ノーム・チョムスキー

5.________は、欲求の階層を提案したことで最もよく知られています。
a.ノーム・チョムスキー
b.カール・ロジャーズ
c.アブラハム・マズロー
d.ジークムント・フロイト

6.ロジャーズは、彼のクライエントのための治療環境において、真正さ、共感、および________を提供することは、彼らが自身の問題に対処することができるようにするために重要であると考えました。
a.構造主義
b.機能主義
c.ゲシュタルト
d.無条件の肯定的な関心

7.オペラント条件付けチャンバー(別名________箱)は、オペラント条件付けの原理を研究するために使用される装置です。
a.スキナー
b.ワトソン
c.ジェームズ
d.コフカ

8.海馬(学習と記憶に関係する脳の中の1つの構造物)の細胞の変化が記憶の形成にどのように関係しているかに興味を持っている研究者は、________心理学者として特定される可能性が最も高いでしょう。
a.生物学的
b.健康
c.臨床
d.社会

9.ある個人の一貫した思考と行動のパターンは、________として知られています。
a.心理性的段階
b.物体の永続性
c.人格
d.知覚

10.ミルグラムの議論を呼んだ服従に関する研究では、参加者のほぼ________は、彼らが権威のある人物によってそうするように言われたという理由で、他の人に対して致死的であるように思われる電気ショックをすすんで与えました。
a.3分の1
b.3分の2
c.4分の3
d.5分の4

11.どのような要因が従業員を所与の仕事に最も適したものとするかに興味を持っている研究者は、________心理学者として特定される可能性が最も高いでしょう。
a.人格
b.臨床
c.社会
d.I-O

12.もしある人が4年制大学で心理学の教授になりたいと望むならば、彼らはおそらく心理学の________の学位が必要になるでしょう。
a.理学士
b.美術学士
c.修士
d.PhD

13.________は、研究にはさほど重点を置いておらず、治療技能の応用をより重視しています。
a.PhD
b.PsyD
c.博士号取得後の研修プログラム
d.学位論文

14.以下の学位のうち、高校で心理学の授業を教えるために最低限必要とされるものはどれですか?
a.PhD
b.PsyD
c.修士号
d.学士号

15.ある人は、学校心理学者として働くためには、少なくとも________の学位を必要とするでしょう。
a.準学士
b.学士
c.修士
d.博士

批判的思考の問題

16.なぜここでやっているもののような心理学のコースが、しばしば、非常に多くの異なる研究プログラムの要件であるのだと考えますか?

17.なぜ心理学が科学であることに懐疑的な人が多いのだと思いますか?

18.心理学の研究対象は、19世紀以降のこの分野の歴史の中でどのように変化してきたでしょうか?

19.心理学に対する行動主義的アプローチは、部分的には、心理学のどのような側面に対する反動だったのでしょうか?

20.この章で説明された心理学のさまざまな分野の間で信じられないほどの多様性があることを踏まえたうえで、それらはどのようにしてまとめられているのでしょうか?

21.服従に関するミルグラムの研究に関連する潜在的な倫理的懸念は何ですか?

22.なぜ心理学の学部教育は、さまざまな業種の仕事でとても役に立つのでしょうか?

23.潜在的に大きな収入がある以外に、個人が心理学の大学院の学位を取得するために学習を続ける理由は何でしょうか?

個人的に当てはめてみる問題

24.あなたはなぜこのコースを受講しているのですか?あなたはこのコースでは何を学びたいと望みますか?

25.フロイトは、おそらく心理学の歴史上最も有名な人物の1人です。あなたは、フロイトへの言及や、意識的行動を決定する際に無意識の心が果たす役割についての彼の考え方への言及にどこで遭遇したことがありますか?

26.今、あなたは心理学の主要な分野のいくつかについて簡単に紹介を受けましたが、あなたがさらに学びたいと最も興味を持っているのはどの分野ですか?その理由は何ですか?

27.心理学の分野におけるキャリアの選択肢の中で、あなたにとって最も魅力的なものはどれですか?

参考文献

American Board of Forensic Psychology. (2014). Brochure. http://www.abfp.com/brochure.asp

American Psychological Association. (2014). http://www.apa.org

American Psychological Association. (2014). Graduate training and career possibilities in exercise and sport psychology. http://www.apadivisions.org/division-47/about/resources/training.aspx?item=1

American Psychological Association. (2019). Maime Phipps Clark, PhD, and Kenneth Clark, PhD. https://www.apa.org/pi/oema/resources/ethnicity-health/psychologists/clark

American Psychological Association. (2011). Psychology as a career. http://www.apa.org/education/undergrad/psych-career.aspx

Benjamin, L., Henry, K., & McMahon, L. (2005). Inez Beverly Prosser and the education of African Americans. Journal of the History of the Behavioral Sciences, 41, 43–62. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jhbs.20058

Betancourt, H., & López, S. R. (1993). The study of culture, ethnicity, and race in American psychology. American Psychologist, 48, 629–637.

Black, S. R., Spence, S. A., & Omari, S. R. (2004). Contributions of African Americans to the field of psychology. Journal of Black Studies, 35, 40–64.

Buss, D. M. (1989). Sex differences in human mate preferences: Evolutionary hypotheses tested in 37 cultures. Behavioral and Brain Sciences, 12, 1–49.

Calkins, M. W. (1906). A reconciliation between structural and functional psychology. Psychological Review, 13, 61–81.

Carlson, N. R. (2013). Physiology of Behavior (11th ed.). Pearson.

Confer, J. C., Easton, J. A., Fleischman, D. S., Goetz, C. D., Lewis, D. M. G., Perilloux, C., & Buss, D. M. (2010). Evolutionary psychology. Controversies, questions, prospects, and limitations. American Psychologist, 65, 100–126.

Crawford, M., & Marecek, J. (1989). Psychology reconstructs the female 1968–1988. Psychology of Women Quarterly, 13, 147–165.

Danziger, K. (1980). The history of introspection reconsidered. Journal of the History of the Behavioral Sciences, 16, 241–262.

Danziger, K. (1980). Wundt’s psychological experiment in the light of his philosophy of science. Psychological Research, 42, 109–122.

Darwin, C. (1871). The descent of man and selection in relation to sex. John Murray.

Darwin, C. (1872). The expression of the emotions in man and animals. John Murray.

DeAngelis, T. (2010). Fear not. gradPSYCH Magazine, 8, 38.

Department of Health and Human Services. (n.d.). Projected future growth of the older population. http://www.aoa.gov/Aging_Statistics/future_growth/future_growth.aspx#age

Endler, J. A. (1986). Natural Selection in the Wild. Princeton University Press.

Fogg, N. P., Harrington, P. E., Harrington, T. F., & Shatkin, L. (2012). College majors handbook with real career paths and payoffs (3rd ed.). JIST Publishing.

Franko, D. L., et al. (2012). Racial/ethnic differences in adults in randomized clinical trials of binge eating disorder. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 80, 186–195.

Friedman, H. (2008), Humanistic and positive psychology: The methodological and epistemological divide. The Humanistic Psychologist, 36, 113–126.

Gordon, O. E. (1995). A brief history of psychology. http://www.psych.utah.edu/gordon/Classes/Psy4905Docs/PsychHistory/index.html#maptop

Greengrass, M. (2004). 100 years of B.F. Skinner. Monitor on Psychology, 35, 80.

Guthrie, R. (1998). Even the rat was white (2nd edition). Allyn and Bacon.

Halonen, J. S. (2011). White paper: Are there too many psychology majors? Prepared for the Staff of the State University System of Florida Board of Governors. http://www.cogdop.org/page_attachments/0000/0200/FLA_White_Paper_for_cogop_posting.pdf

Hock, R. R. (2009). Social psychology. Forty studies that changed psychology: Explorations into the history of psychological research (pp. 308–317). Pearson.

Hoffman, C. (2012). Careers in clinical, counseling, or school psychology; mental health counseling; clinical social work; marriage & family therapy and related professions. http://www.indiana.edu/~psyugrad/advising/docs/Careers%20in%20Mental%20Health%20Counseling.pdf

Jang, K. L., Livesly, W. J., & Vernon, P. A. (1996). Heritability of the Big Five personality dimensions and their facets: A twin study. Journal of Personality, 64, 577–591.

Johnson, R., & Lubin, G. (2011). College exposed: What majors are most popular, highest paying and most likely to get you a job. Business Insider.com. http://www.businessinsider.com/best-college-majors-highest-income-most-employed-georgetwon-study-2011-6?op=1

Jones, M. C. (1924). A laboratory study of fear: The case of Peter. Pedagogical Seminary, 31, 308–315.

Knekt, P. P., et al. (2008). Randomized trial on the effectiveness of long- and short-term psychodynamic psychotherapy and solution-focused therapy on psychiatric symptoms during a 3-year follow-up. Psychological Medicine: A Journal of Research In Psychiatry And The Allied Sciences, 38, 689–703.

Landers, R. N. (2011, June 14). Grad school: Should I get a PhD or Master’s in I/O psychology? http://neoacademic.com/2011/06/14/grad-school-should-i-get-a-ph-d-or-masters-in-io-psychology/#.UuKKLftOnGg

Macdonald, C. (2013). Health psychology center presents: What is health psychology? http://healthpsychology.org/what-is-health-psychology/

Madigan, S. & O’Hara, R. (1992). Short-term memory at the turn of the century: Mary Whiton Calkins’s memory research. American Psychologist, 47, 170–174.

McCrae, R. R. & Costa, P. T. (2008). Empirical and theoretical status of the five-factor model of personality traits. In G. J. Boyle, G. Matthews, & D. H. Saklofske (Eds.), The Sage handbook of personality theory and assessment. Vol. 1 Personality theories and models. Sage.

Michalski, D., Kohout, J., Wicherski, M., & Hart, B. (2011). 2009 Doctorate Employment Survey. APA Center for Workforce Studies. http://www.apa.org/workforce/publications/09-doc-empl/index.aspx

Miller, G. A. (2003). The cognitive revolution: A historical perspective. Trends in Cognitive Sciences, 7, 141–144.

Munakata, Y., McClelland, J. L., Johnson, M. H., & Siegler, R. S. (1997). Rethinking infant knowledge: Toward an adaptive process account of successes and failures in object permanence tasks. Psychological Review, 104, 689–713.

Mundasad, S. (2013). Word-taste synaesthesia: Tasting names, places, and Anne Boleyn. http://www.bbc.co.uk/news/health-21060207

Munsey, C. (2009). More states forgo a postdoc requirement. Monitor on Psychology, 40, 10.

National Association of School Psychologists. (n.d.). Becoming a nationally certified school psychologist (NCSP). http://www.nasponline.org/CERTIFICATION/becomeNCSP.aspx

Nicolas, S., & Ferrand, L. (1999). Wundt’s laboratory at Leipzig in 1891. History of Psychology, 2, 194–203.

Norcross, J. C. (n.d.) Clinical versus counseling psychology: What’s the diff? http://www.csun.edu/~hcpsy002/Clinical%20Versus%20Counseling%20Psychology.pdf

Norcross, J. C., & Castle, P. H. (2002). Appreciating the PsyD: The facts. Eye on Psi Chi, 7, 22–26.

O’Connor, J. J., & Robertson, E. F. (2002). John Forbes Nash. http://www-groups.dcs.st-and.ac.uk/~history/Biographies/Nash.html

O’Hara, M. (n.d.). Historic review of humanistic psychology. http://www.ahpweb.org/index.php?option=com_k2&view=item&layout=item&id=14&Itemid=24

Person, E. S. (1980). Sexuality as the mainstay of identity: Psychoanalytic perspectives. Signs, 5, 605–630.

Pickren, W. & Rutherford, A. (2010). A history of modern psychology in context. Wiley.

Rantanen, J., Metsäpelto, R. L., Feldt, T., Pulkkinen, L., & Kokko, K. (2007). Long-term stability in the Big Five personality traits in adulthood. Scandinavian Journal of Psychology, 48, 511–518.

Riggio, R. E. (2013). What is industrial/organizational psychology? Psychology Today. http://www.psychologytoday.com/blog/cutting-edge-leadership/201303/what-is-industrialorganizational-psychology

Romo, R. (1986). George I. Sanchez and the civil rights movement: 1940–1960. La Raza Law Journal, 1, 342–362.

Sacks, O. (2007). A neurologists notebook: The abyss, music and amnesia. The New Yorker. http://www.newyorker.com/reporting/2007/09/24/070924fa_fact_sacks?currentPage=all

Shedler, J. (2010). The efficacy of psychodynamic psychotherapy. American Psychologist, 65(2), 98–109.

Soldz, S., & Vaillant, G. E. (1999). The Big Five personality traits and the life course: A 45-year longitudinal study. Journal of Research in Personality, 33, 208–232.

Thorne, B. M., & Henley, T. B. (2005). Connections in the history and systems of psychology (3rd ed.). Houghton Mifflin Company.

Tolman, E. C. (1938). The determiners of behavior at a choice point. Psychological Review, 45, 1–41.

U.S. Department of Education, National Center for Education Statistics. (2016). The Condition of Education, 2016 (NCES 2016-144).

Weisstein, N. (1993). Psychology constructs the female: Or, the fantasy life of the male psychologist (with some attention to the fantasies of his friends, the male biologist and the male anthropologist). Feminism and Psychology, 3, 195–210.

Westen, D. (1998). The scientific legacy of Sigmund Freud, toward a psychodynamically informed psychological science. Psychological Bulletin, 124, 333–371.


この訳文は元の本のCreative Commons BY 4.0ライセンスに従って同ライセンスにて公開します。問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。この本は、https://openstax.org/details/books/psychology-2eで無料でダウンロードできます。