第16章 療法と治療

図16.1 | さまざまな問題を治療するために、多くの形態の療法が開発されています。イラクとアフガニスタンで従軍したこれらの海兵隊員たちは、地域のメンタルヘルス・ボランティアとともに、キャンプ・ペンドルトンで行われているオーシャン・セラピー・プログラムに参加しています。このプログラムでは、サーフィンを学びながら、グループ討論を行います。このプログラムは、退役軍人、特に心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ退役軍人の回復を支援しています。

この章の概要

16.1 メンタルヘルス治療:過去と現在
16.2 治療の種類
16.3 治療の様相
16.4 物質関連障害と嗜癖障害:特殊なケース
16.5 社会文化モデルと療法の利用

はじめに

心理的な問題に対する療法(セラピー)について考えるとき、あなたの心の中には何が思い浮かぶでしょうか?ジークムント・フロイト風に、誰かがソファに寝そべって子供の頃の話をし、セラピストが座ってメモを取っている姿をあなたは思い描くかもしれません。しかし、誰かが蛇に対する恐怖心を克服するためにバーチャルリアリティーのヘッドギアを装着して行う療法セッションをあなたは想像できるでしょうか?

この章では、あなたは、療法のアプローチには心理学的介入と生物学的介入の両方が含まれており、そのすべては苦痛を和らげることを目的としているということを見ていきます。心理学的な問題は、生物学、遺伝学、幼少期の経験、条件付け、および社会文化的な影響など、さまざまな源に端を発しているため、心理学者はさまざまな治療技術やアプローチを開発してきました。図16.1に示されるオーシャン・セラピー・プログラムでは、複数のアプローチを用いて、グループに参加している退役軍人のメンタルヘルスを支援しています。

16.1 メンタルヘルス治療:過去と現在

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • さまざまな時代を通じて、心理学的障害を持つ人々がどのように扱われてきたかを説明する
  • 脱施設化について議論する
  • 今日のメンタルヘルスサービスの提供方法について議論する
  • 自発的治療と非自発的治療を区別する

今日使用されているさまざまな療法のアプローチを探求する前に、どれくらいの人が精神疾患を経験し、どれくらいの人が治療を受けているのかを見ることから私たちの学習を始めましょう。米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services, 2017)によると、2017年に米国の成人の18.9%が精神疾患を経験しています。10代(13~18歳)の場合、その割合は成人と同様であり、8~15歳の子供の場合、現在の推計では1年間に約13%が精神疾患を経験していることが示唆されています(National Institute of Mental Health [NIMH], 2017)。

さまざまな治療の選択肢が利用可能な中で、年間におよそ何人の人がメンタルヘルスの治療を受けているのでしょうか?物質乱用・精神衛生サービス局(SAMHSA)によると、2017年には、成人の14.8%がメンタルヘルスの問題で治療を受けていました(NIMH, 2017)。図16.2に示されるこれらの割合は、入院や外来で治療を受けた、および/または心理学的障害のために処方薬を使用した成人の数を反映しています。

図16.2 | 2004~2008年にメンタルヘルスの治療を受けた成人の割合が示されています。治療を求める成人は、2004年から2008年にかけてわずかに増加しました。

子供や青年もメンタルヘルスのサービスを受けています。米国疾病管理予防センターの国民健康栄養調査(NHANES)によると、精神障害のある子供の約半数(50.6%)が、過去1年以内に障害に対する治療を受けていたことがわかりました(NIMH, n.d.)。しかしながら、障害の種類によって、治療を受けた率にはいくらかの違いがありました(図16.3)。たとえば、不安障害を持つ子供は過去1年間に治療を受けた可能性が最も低く、ADHDや行為障害を持つ子供は治療を受ける可能性が高かったです。あなたは、このような治療の受け方の違いの理由として、いくつか思い浮かぶことはありますか?

図16.3 | 米国では、精神障害のある青年(8~15歳)の約3分の1から2分の1が治療を受けており、行動関連障害の方が治療を受ける傾向にあります。

今日においてメンタルヘルスの障害の治療にさまざまな形態が利用可能であることを考えると、これらの治療形態ははたしてどのようにして生まれてきたのでしょうか?ここでは、過去(現代の精神疾患に対する理解に照らして疑問のあるアプローチもあります)から現在に至るまでのメンタルヘルスの治療の歴史を見てみましょう。

過去の治療

歴史上の多くの期間において、精神疾患のある人は非常に粗末に扱われてきました。精神疾患は、悪魔の憑依、魔術、あるいは神の怒りによって引き起こされると信じられていました(Szasz, 1960)。たとえば、中世の時代には、異常な行動はその人が悪魔に憑依されていることを示す兆候だと見なされていました。もしある人が憑依されていると考えられた場合、その人から悪霊を引き離すためにいくつかの治療形態がありました。最も一般的な治療はエクソシズム(悪魔祓い)で、しばしば司祭やその他の宗教家によって行われました:その人物の身体に向けて呪文を唱えられたり、祈りが捧げられたりすることや、何らかの薬の液体を飲ませることもあったようです。また、極端な精神疾患に対する別の治療形態は、穿孔術と呼ばれるものです:これは、病人の頭蓋骨に小さな穴を開けて、霊を体外に出すものです。この方法で治療されたほとんどの人は死亡しました。悪魔祓いや穿孔術に加えて、他の実践には心理学的障害を持つ人の処刑や投獄が含まれていました。また、住むところのない乞食として放置される人もいました。一般的には、奇妙な行動をとる人のほとんどは、大きな誤解を受けて残酷な扱いを受けていました。歴史の初期において優勢であった精神病理学の理論は、精神疾患は悪霊か邪悪な神に憑依された結果であるというものでした。なぜなら、かつての信仰では、説明のつかない現象はすべて善悪どちらかの神に起因すると誤って考えられていたからです。

1400年代後半から1600年代後半にかけて、悪魔と契約し、赤ん坊を食べるなどの恐ろしい行為をする人がいるという共通の信念が一部の宗教組織によって広められました(Blumberg, 2007)。これらの人々は魔女と見なされ、裁判にかけられて糾弾され、しばしば火あぶりにされました。世界全体では、数万人もの精神疾患の人々が、魔女であるとか、魔術の影響を受けているといった理由で告発され、殺されたと推定されています(Hemphill, 1966)。

18世紀になると、奇妙であり、尋常でないと見なされた人々は、精神科施設に収容されるようになりました(図16.4)。精神科収容施設は、心理学的障害のある人々を収容するという特定の目的のために作られた最初の施設でしたが、その焦点は、障害を治療することではなく、社会から追放することでした。それらの人々は、しばしば窓のない地下牢に入れられたり、殴られたり、ベッドに鎖でつながれたり、介護者との接触がほとんど、あるいはまったくなかったりすることがありました。

図16.4 | フランシスコ・ゴヤの『精神病院』と呼ばれるこの絵画は、1800年代初頭の精神科収容施設とそこに住む人々を描いたものです。これは、心理学的障害を持つ人々を被害者として描いています。

1700年代後半、フランスの医師であるフィリップ・ピネルは、精神疾患のある人々をより人道的に扱うことを主張しました。彼は、精神疾患のある人々を鎖から外して話しかけることを提案しました。そして、それこそが、彼が1795年にパリのサルペトリエールで患者のために行ったことでした(図16.5)。患者はこのような人間味のある治療から恩恵を受け、多くの人が病院を去ることができました。

図16.5 | このトニ・ロベール=フルーリーの絵画は、フィリップ・ピネル医師がパリのサルペトリエール精神科収容施設の患者から鎖を外すよう命じている様子を描いています。

19世紀には、アメリカ合衆国でドロシア・ディックスがメンタルヘルス医療の改革の取り組みを主導しました(図16.6)。彼女は、精神疾患を持つ貧しい人々がどのように看護されているかを調査し、資金が不足して、規制されていないシステムが、このような人々への虐待を永続させていることを発見しました(Tiffany, 1891)。ディックスはこの知見に愕然とし、さまざまな州の議会や連邦議会に対して変化のための働きかけを始めました(Tiffany, 1891)。彼女の努力により、アメリカで最初の精神科収容施設が設立されました。

図16.6 | ドロシア・ディックスは、社会改革者であり、困窮した精神障害者の擁護者となり、アメリカで最初の精神科収容施設の創設に貢献しました。彼女は、州議会や連邦議会に対してそのような施設の設立と資金援助を熱心に働きかけることによって、それを行いました。

しかしながら、改革者たちの努力にもかかわらず、典型的な精神科収容施設は不潔で、ほとんど治療を行わず、何十年にもわたって人を収容することがしばしばありました。たとえば、ニューヨーク州北部にあるウィラード精神療養センターでは、患者を長時間冷たい風呂に浸すことが治療の1つでした。電気ショック療法も行われていましたが、その治療の実施方法では患者の背骨が折れることもしばしばありました。1943年にはウィラード精神療養センターの医師は1443回のショック療法を行いました(Willard Psychiatric Center, 2009)。(電気ショックは現在、電気けいれん療法と呼ばれており、安全策を講じた上で麻酔をかけて行われています。短時間の電気刺激を与えることで、全身性の発作を起こすことができます。その効果と副作用をめぐっては論争が続いています。)病棟や部屋の多くはとても寒く、朝になるとコップの水が凍ってしまうほどでした(Willard Psychiatric Center, 2009)。ウィラード精神療養センターが閉鎖されたのは1995年のことでした。このような状況は、20世紀に入ってからもかなりの間、ありふれたものとして残り続けていました。

抗精神病薬の投与の導入は、1954年に始まり、1960年代に普及しました。抗精神病薬の投与は、精神病のような特定の心理学的障害の症状を制御するのに非常に有効であることがわかりました。精神病とは、精神病院に入院している人の一般的な診断名であり、幻覚や妄想などの症状が現れ、現実との接触ができなくなることによってしばしば診断が下されていました。その後、1963年に連邦議会を通過し、ジョン・F・ケネディが署名した「精神遅滞者施設および地域精神衛生センター建設法」により、地域精神衛生センターに対する連邦政府の支援と資金援助が行われるようになりました(National Institutes of Health, 2013)。この法律は、米国におけるメンタルヘルスサービスの提供方法を変えました。それは、人々が地域社会にとどまり、地元で治療を受けられるようにすることによって、大規模な精神科収容施設を閉鎖する脱施設化のプロセスを開始しました。1955年には、公立病院に収容されていた重度の精神疾患患者は55万8239人でした(Torrey, 1997)。1994年までに、人口比で92%も入院患者が減少しました(Torrey, 1997)。

今日のメンタルヘルス治療

今日では、全国各地に地域精神衛生センターがあります。これらのセンターは、クライエントの家の近隣に設置されており、さまざまな種類の問題に対して、多くの人々にさまざまな種類のメンタルヘルスサービスを提供しています。残念なことに、脱施設化に伴って起こることの一部として、施設を退所した人々は新設されたセンターに行くことになっていましたが、そのシステムは効果的に構築されていませんでした。センターは資金不足で、スタッフは統合失調症のような重度の病気を扱う訓練を受けておらず、スタッフの燃え尽きも多く、住居や食事、職業訓練など、人々が必要とする他のサービスも提供されていませんでした。このような支援がなかったために、脱施設化の流れの中で放り出された人がホームレスになってしまうこともしばしばありました。現在でも、ホームレス人口の大きな部分は精神疾患を患っていると考えられています(図16.7)。統計によると、シェルターに住むホームレスの成人の26%が精神疾患を患っています(U.S. Department of Housing and Urban Development [HUD], 2011)。

図16.7 | (a)米国のシェルターにいるホームレスのうち、約4分の1が重度の精神疾患を患っています(HUD, 2011)。(b)矯正施設でも、精神疾患を抱えている人が多いということが報告されています。(credit a: modification of work by “Carl Campbell”/Flickr; credit b: modification of work by Bart Everson)

精神疾患のある人々の中の別のグループは、矯正制度に関わっています。司法統計局(BJS)の2006年の特別報告書によると、約70万5600人の精神疾患のある人が州刑務所に収監されており、さらに7万8800人が連邦刑務所に収監されていました。さらに47万9000人が地方の刑務所に収監されていました。この調査によると、「保護観察や仮釈放を受けている人の中には、精神疾患を持つ人が一般人口の2倍から4倍の割合で含まれていると推定され」ました(Prins & Draper, 2009, p. 23)。トリートメント・アドボカシー・センターは、精神疾患の受刑者の増加が矯正制度に負担をかけていると報告しました(Torrey et al., 2014)。

今日では、精神科収容施設の代わりに、州政府が運営する精神科病院や、短期的なケアに焦点を当てた地域のコミュニティー病院があります。どのタイプの病院でも、短期滞在が重視されており、平均滞在期間は2週間以下、多くの場合は数日しかありません。これは、精神科の入院費が非常に高額であることが一因であり、それは一晩あたり約800ドルから1000ドルにもなります(Stensland, Watson, & Grazier, 2012)。そのため、保険の補償範囲では、人が治療のために入院できる期間が制限されていることがしばしばあります。通常では、人々が入院するのは自分や他人に対して差し迫った脅威がある場合に限られます。

学習へのリンク

アメリカの精神科施設の歴史を示したタイムライン(http://openstax.org/l/timeline)を見て、さらに学んでください。

精神疾患を患っている人のほとんどは、入院することはありません。もし誰かが非常に落ち込んでいたり、声が聞こえると訴えたり、いつも不安を感じていたりする場合、その人は心理的な治療を求めるかもしれません。友人、配偶者、または親などから治療を紹介されることもあります。本人がまずかかりつけの医師に会いに行き、その後、メンタルヘルスの開業医に紹介されることもあるかもしれません。

一部の人は、州の児童保護サービスに関与している(つまり、虐待や育児放棄のために子供の養育から引き離された)ために治療を受けています。親は精神科や薬物乱用の施設に紹介され、子供はトラウマの治療を受けることになるかもしれません。もしその親がよりよい親になることに関心があり、その能力があれば、治療の目標は家族の再統合となるでしょう。親が変わることができない子供たち、たとえば、親に重度の薬物の嗜癖があり治療を受けることを拒否している場合には、子供たちが里親および/または養子縁組に適応できるように助けることがセラピーの目標となるかもしれません(図16.8)。

図16.8 | 子供のセラピーには、遊びが含まれることがあります。(credit: modification of work by UNHCR Ukraine/Flickr)

刑事司法制度によって紹介されたり、要求されたりしてセラピーを受ける人もいます。たとえば、一部の人々では、週1回のカウンセリングに参加することが仮釈放の条件になっているかもしれません。もしある人がセラピーへの参加を義務付けられている場合、その人は非自発的にサービスを求めていることになります。非自発的治療とは、本人が選択したものではない治療のことです。他の人は自発的に治療を求めるかもしれません。自発的治療とは、その人が症状を改善するためにセラピーに通うことを選択することを意味します。

心理学的治療はさまざまな場所で行われます。個人の場合は、地域精神衛生センターや、個人または地域の診療所の開業医のもとで治療を受けることがあります。子供は、スクールカウンセラー、学校心理学者、スクールソーシャルワーカーなどに診てもらうかもしれません。収監されている人は、刑務所で集団療法を受けるかもしれません。治療を提供する人にはさまざまな種類があり、ライセンス要件は州ごとに異なります。心理学者や精神科医のほかに、臨床ソーシャルワーカー、結婚・家族セラピスト、訓練を受けた宗教家でカウンセリングやセラピーを行う人がいます。

メンタルヘルスの治療には、健康保険、政府、個人の支払いなど、さまざまな資金源によって支払いが行われています。以前は、人が健康保険に加入していても、メンタルヘルスサービスには保険が適用されないことがありました。これは、2008年のメンタルヘルスパリティおよび嗜癖平等法で変わりました。この法律では、グループ医療プランや保険会社に対して、メンタルヘルスサービスのパリティ(同等性)を確保するよう求めています(U.S. Department of Labor, n.d.)。これは、メンタルヘルスや物質乱用の治療のための自己負担額、総受診回数、控除額は、身体的な病気や内科的/外科的な問題に対するものと同等である必要があり、それ以上に制限したり厳しくしたりすることはできないということを意味します。

治療の提供場所を見つけることも必ずしも容易ではありません:特に地方部や低所得の都市部では選択肢が限られていたり、待ち行列ができていたり、困窮している患者が利用できる医療の質が低かったり、自己負担金や控除、仕事を休むなどの経済的な障害があったりします。連邦政府が指定したメンタルヘルス専門家不足の地域1669箇所のうち85%以上が地方部にあります。しばしば、かかりつけ医や法執行者が第一線のメンタルヘルス提供者となりますが(Ivey, Scheffler, & Zazzali, 1998)、彼らは、医療を提供する能力をよく備えたメンタルヘルス専門家のような特化した訓練を受けていません。利用可能性、アクセスのしやすさ、受容性(精神疾患に付随する汚名)はすべて、地方部で問題になります。症状のある人の約3分の2は、まったく医療を受けていません(U.S. Department of Health and Human Services, 2005; Wagenfeld, Murray, Mohatt, & DeBruiynb, 1994)。2013年末、米国農務省は、オバマ政権の農村地域強化の取り組みの一環として、メンタルヘルス問題へのアクセスと治療を改善するために、5000万ドルの投資を行うことを発表しました。

16.2 治療の種類

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 心理療法と生物医学療法を区別する
  • 心理療法のさまざまな方向性を認識する
  • 向精神薬について議論し、特定の心理学的障害の治療に使用される薬を認識する

療法の目的の1つは、人が破壊的なパターンを繰り返したり、再現したりするのをやめ、困難な状況に対してより良い解決策を探し始めるのを助けることにあります。この目的は次の詩に反映されています:

ポーシャ・ネルソンの「5つの短い章による自叙伝」(1993年)

第一章
私は通りを歩いている。
歩道には深い穴が開いている。
私は落ちる。
私は道に迷った。…私にはどうすることもできない。
それは私のせいではない。
抜け出す道を見つけるにはものすごい時間がかかる。

第二章
私は同じ通りを歩いている。
歩道には深い穴が開いている。
私はそれを見ていないふりをする。
私はまた落ちる。
私は自分が同じ場所にいることが信じられない。
でも、それは私のせいではない。
抜け出すにはまだ長い時間がかかる。

第三章
私は同じ通りを歩いている。
歩道には深い穴が開いている。
私はそれがそこにあるのを見る。
私はそれでも落ちてしまう。…それは習慣だ。…しかし、
私の目は開いている。
私は自分がどこにいるかわかっている。
それは私のせいだ。
私はすぐに外に出る。

第四章
私は同じ通りを歩いている。
歩道には深い穴が開いている。
私はそれをよけて歩く。

第五章
私は別の通りを歩いている。

療法には、心理療法と生物医学療法の2種類があります。どちらの治療の種類も、抑うつや不安、統合失調症などといった心理学的障害を持つ人々を助けるものです。心理療法は、人が個人的な問題を克服したり、個人的な成長を達成するために、さまざまな方法を用いるような心理的な治療法です。これは、現代における実践では、後述する精神力学療法として知られるものへと発展しています。生物医学療法は、心理学的障害を治療するために投薬および/または医療処置を行います。私たちはまず、表16.1に概要が示された、さまざまな心理療法の方向性について探求します(これらの方向性の多くは「心理学への入門」の章で議論しました)。

表16.1

心理療法の技法:精神分析

精神分析は、ジークムント・フロイトによって開発された、最初の心理療法の形態です。これは20世紀初頭には支配的な治療の技法でしたが、それ以降は人気が著しく低下しています。フロイトは、私たちの心理的な問題の多くが抑圧された衝動や幼少期に経験したトラウマの結果であると考え、長年埋もれていた感情を明らかにするのに精神分析が役立つだろうと信じていました。あなたは、精神分析医のオフィスにおいて、長椅子に横たわった患者が夢や子供時代の記憶を語り、セラピストが自由連想や夢分析などのフロイト流のさまざまな手法を用いているのを目にすることがあるかもしれません(図16.9)。自由連想では、患者はリラックスした状態で、その時に思いついたことを何でも言います。しかしながら、フロイトは、自由連想の最中に、受け入れがたい衝動や痛みを伴う葛藤を自我が封じ込めようとする、あるいは抑圧しようとするときがあると考えました。その結果、患者はこれらの思考や状況を思い出すことに抵抗を示すようになるでしょう。夢分析では、セラピストは夢の根底にある意味を解釈します。

精神分析は、典型的には何年もかかる療法アプローチです。その間に、患者は自分自身について多くのことをセラピストに明かします。フロイトは、このような患者とセラピストの関係の中で、患者がセラピストに対して強い感情(肯定的な感情であるかもしれませんし、否定的な感情であるかもしれません)を抱くようになることを示唆しました。フロイトはこれを転移と呼びました:つまり、患者は、自身のその他の人間関係に関連するすべての肯定的または否定的な感情を精神分析医に移すのです。たとえば、クリスタルが精神分析医の診察を受けているとします。長年のセラピーの中で、彼女はセラピストを父親のような存在として見るようになります。彼女は自分の父親に対する感情をセラピストに転移させています。これは、もしかしたら、自分の父親から受けられなかった愛情や注目を得ようとしているのかもしれません。

図16.9 | これはフロイトの診察室にあった有名な長椅子です。患者は長椅子にゆったりと横になり、フロイトとは反対側を向くように指示されました。これは、抑制された気持ちを和らげ、患者が集中するのを助けるためでした。今日では、心理療法を受ける患者は長椅子に横たわることはなく、セラピストと向き合って座ることが多いです(Prochaska & Norcross, 2010)。(credit: Robert Huffstutter)

今日、フロイトの精神分析的な視点は、その後の理論と方法論の発展によって拡張され、精神力学的な視点が生まれました。この療法のアプローチは、人々の内的な欲求や力の役割を中心に据えていますが、フロイトのオリジナルモデルよりも治療の集中度は低くなっています。

学習へのリンク

精神分析の理論、研究、実践についての簡単なビデオの概要(http://openstax.org/l/psycanalysis)を見て、さらに学んでください。

心理療法:遊戯療法

遊戯療法は子供に対してしばしば用いられます。なぜなら、子供は長椅子に座って夢を思い出したり、伝統的な対話セラピーに参加したりすることが難しいからです。この技法は、遊びという治療的プロセスを用いて、「クライエントが心理社会的困難を防ぎ、または解決し、最適な成長を達成するのを助ける」(O’Connor, 2000, p. 7)ものです。その考え方は、子供たちが人形や動物のぬいぐるみ、砂場の箱庭と小像などを使いながら、自分の希望や空想、トラウマを演じるというものです(図16.10)。遊戯療法は、セラピストが診断を下す際にも用いられることがあります。セラピストは、子供の混乱した行動の根源を理解するための取り組みとして、子供がおもちゃ(たとえば、人形、動物、家庭の環境)とどのように交流するかを観察します。遊戯療法には、非指示的なものと指示的なものがあります。非指示的遊戯療法では、セラピストが観察している間、子供は自由に遊んで問題に取り組むように促されます(LeBlanc & Ritchie, 2001)。指示的遊戯療法では、セラピストは子供に話題を提供したり、質問をしたり、さらには子供と一緒に遊んだりすることによって、遊びのセッションをより構造化し、指導します(Harter, 1977)。

図16.10 | このタイプの遊戯療法は、箱庭療法として知られています。子供は、自分の内面の状態に対応したさまざまな人形や物を使って、三次元の世界を設定することができます(Kalff, 1991)。(credit: Kristina Walter)

心理療法:行動療法

精神分析では、セラピストは、患者が自分の過去を見つめ、抑圧された感情を明らかにするのを助けます。行動療法では、セラピストは人の無意識を深く掘り下げるのではなく、学習の原理を用いてクライエントが望ましくない行動を変えるのを手助けします。この方向性を持つセラピストは、恐怖症やおねしょのような機能不全の行動は、新しい、より建設的な行動をクライエントに教えることによって変えることができると考えています。行動療法では、行動を変えるために古典的条件付けとオペラント条件付けの両方の技法を用います。

行動療法の1つの種類では、古典的条件付けの技法を用います。この技法を用いるセラピストは、機能不全の行動は条件反応であると考えています。そのようなセラピストは、イワン・パブロフによって開発された条件付けの原理を応用して、クライエントを再条件付けし、行動を変えることを目指します。エミーは8歳で、頻繁におねしょをしてしまいます。彼女は何度かお泊り会に誘われましたが、その問題があるために行きません。条件付け療法の一種を用いて、エミーはアラームに接続された液体に反応するベッドパッドの上で寝るようになりました。水分がパッドに触れるとアラームが鳴り、エミーは目を覚まします。このプロセスが何度も繰り返されると、エミーは尿意の緩和と起床の関連性を身に着け、おねしょを止めることができます。エミーは現在、3週間おねしょをしておらず、今週末の初めてのお泊まり会を楽しみにしています。

古典的条件付けの治療技法としてよく使われるものの1つが、拮抗条件付けです:これは、以前に望ましくない行動を引き起こした刺激に対する新しい反応をクライエントが学習するものです。拮抗条件付けの2つの技法には、嫌悪条件付けと曝露療法があります。嫌悪条件付けでは、望ましくない行動を止めるために不快な刺激を用います。セラピストは、喫煙、爪を噛むこと、飲酒などの嗜癖行動をなくすためにこの技法を適用します。嫌悪療法では、クライエントは典型的には、特定の行動(爪を噛むなど)を行うのと同時に、軽い電気ショックや嫌な味などの不快なものにさらされます。不快な刺激と行動との関連付けを繰り返すうちに、クライエントは望まない行動を止めることを学習します。

嫌悪療法は、アルコール依存症の治療に長年にわたって効果的に使用されてきました(Davidson, 1974; Elkins, 1991; Streeton & Whelan, 2001)。これを生じさせる一般的な方法の1つとして、アンタビュースとして知られる化学物質を用いたものがあります。ある人がアンタビュースを服用した後にアルコールを摂取すると、吐き気、嘔吐、心拍数の増加、動悸、激しい頭痛、および息切れなどの不快な副作用が起こります。アンタビュースは、クライエントがアルコールと不快な感情を結びつけるまで、繰り返しアルコールと組み合わせて使用され、アルコールを摂取したいというクライエントの欲求を減少させます。アンタビュースは、本来の快楽反応を不快な反応に置き換えるため、アルコールに対する条件付けされた嫌悪感を生み出します。

曝露療法では、セラピストは、クライエントが最終的には慣れるだろうという考え方のもとに、問題を引き起こすような物体や状況をクライエントに提示することによってクライエントの恐怖や不安を治療しようとします。これは、現実、想像、または仮想現実を介して行うことができます。曝露療法は、行動療法の母と見なされているメアリー・カバー・ジョーンズによって1924年に初めて報告されました。ジョーンズは、ウサギを怖がるピーターという少年に取り組みました。彼女の目標は、ピーターのウサギへの恐怖を、恐怖とは相容れない反応であるリラックス状態という条件反応に置き換えることでした(図16.11)。彼女はどのようにしてそれを行ったのでしょうか?ジョーンズはまず、ピーターが午後のおやつを食べている間に、ケージに入れたウサギを部屋の中でピーターとは反対側に置くことから始めました。数日かけて、ジョーンズはウサギを、ピーターがおやつを食べている席にどんどん近づけていきました。おやつを食べながらくつろいでいる時にウサギに曝露されること2か月の後に、ピーターは食べている最中にウサギを抱いて撫でることができるようになりました(Jones, 1924)。

図16.11 | 曝露療法は、条件刺激(CS)に対する反応を変えようとするものです。条件刺激が提示された直後に、無条件刺激を何度も提示します。この図は、メアリー・カバー・ジョーンズの1924年の研究で行われた条件付けを示しています。

その30年後、ジョセフ・ウォルピ(Wolpe, 1958)がジョーンズの手法を改良し、現在使われている行動療法の技法である曝露療法が誕生しました。曝露療法の人気のある形態の1つは、系統的脱感作法です。これは、穏やかで心地よい状態の中で、不安を誘発する刺激のレベルを徐々に上げていくというものです。ここでの考え方は、あなたは同時に緊張している状態とリラックスしている状態にはなれないというものです。したがって、もしあなたが緊張や恐怖を感じさせるような環境刺激に直面したときにリラックスできるようになれば、あなたは最終的に望んでいない恐怖反応をなくすことができます(Wolpe, 1958)(図16.12)。

図16.12 | この人は、クモ恐怖症(クモへの恐怖)に苦しんでいます。曝露療法によって、彼は制御された治療環境の中で恐怖と向き合う方法を学んでいます。(credit: “GollyGforce – Living My Worst Nightmare”/Flickr)

曝露療法はどのようにして機能するのでしょうか?ジェイデンはエレベーターを怖がっています。エレベーターで彼に悪いことが起こったことはありませんが、彼はエレベーターをあまりに恐れているため、いつも階段を使っています。彼がオフィスビルの2階で働いていたときには問題ありませんでしたが、今はロサンゼルスのダウンタウンにある超高層ビルの29階で新しい仕事をしています。ジェイデンは、毎日仕事に行くために29階まで階段を上るわけにはいかないことを知っているので、行動療法士に相談することにしました。セラピストはまずジェイデンに対して、恐怖や不安を引き起こすエレベーターに関連した状況を階層化するよう求めます。それらの状況には、エレベーターの中で他の人に囲まれて緊張するなどの軽い不安の状況から、ドアに腕を挟まれるという恐怖、閉じ込められたりケーブルが切れたりするなどのパニックを引き起こす状況まで、さまざまな状況が含まれます。次に、セラピストは漸進的弛緩法を用います。セラピストは、ジェイデンがうとうとして、リラックスした心地よい心的状態になるように、それぞれの筋群をリラックスさせる方法を教えます。ひとたび彼がこの状態になったら、セラピストはジェイデンに軽い不安を覚えるような状況を想像するように言います。ジェイデンは、エレベーターの前に立って、呼び出しボタンを押そうと考えます。

もしこのシナリオがジェイデンに不安を引き起こすならば、彼は指を持ち上げます。そしてセラピストは、ジェイデンにその場面を忘れて、リラックスした状態に戻るように言います。セラピストは、ジェイデンが不安なく呼び出しボタンを押す自分を想像できるようになるまで、このシナリオを何度も繰り返します。時間をかけて、セラピストとジェイデンは漸進的弛緩法と想像力を用いて、ジェイデンの階層にあるすべての状況を、彼がそれぞれに対して鈍感になるまで進めていきます。その後、ジェイデンとセラピストは、ボタンを押すことから、実際にエレベーターに乗ることまで、セラピーで思い描いていただけであったことを徐々に実践していきます。目標は、ジェイデンが近いうちに、何の不安も感じずに、オフィスの29階までエレベーターに乗れるようになることです。

時には、不安を生み出す状況を再現することは、現実的ではなく、費用がかかり、あるいは恥ずかしいことである場合があります。そのため、セラピストは、恐怖心を克服するのに役立つシミュレーションを用いることによってバーチャルリアリティー曝露療法を採用することがあります。バーチャルリアリティー曝露療法は、人前で話すことへの恐怖、閉所恐怖症(閉鎖空間への恐怖)、飛行恐怖症(空を飛ぶことへの恐怖)、トラウマやストレス要因に関連した障害である心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、多くの不安障害の治療に効果的に使用されています(Gerardi, Cukor, Difede, Rizzo, & Rothbaum, 2010)。

学習へのリンク

兵士のPTSDを治療するために、新しいバーチャルリアリティー曝露療法が用いられています。バーチャル・イラクは、中東の都市や砂漠の道路を模したシミュレーションで、兵士がイラクに派遣されていた時に経験したものと似ている状況を再現しています。このバーチャルリアリティー曝露療法の手法は、戦闘帰還兵のPTSD治療に有効です。治療を終えた参加者の約80%で、PTSD、不安、および抑うつの症状が臨床的に有意に軽減しました(Rizzo et al., 2010)。シミュレーションで治療を受ける兵士を映したバーチャル・イラクのビデオ(http://openstax.org/l/virIraq)を見て、さらに学んでください。

行動療法の中には、オペラント条件付けを用いるものがあります。オペラント条件付けについて学んだことを思い出してみてください:私たちは、強化された行動を繰り返す傾向があります。強化されなかった行動はどうなるのでしょうか?それらは消滅してしまいます。スキナーがオペラント条件付けと定義したこの原理は、さまざまな心理的問題を持つ人々を助けるために応用することができます。たとえば、望ましい行動を強化し、望ましくない行動を弱化するように設計されたオペラント条件付けの技法は、自閉症の子供たちを支援するための効果的な行動修正ツールです(Lovaas, 1987, 2003; Sallows & Graupner, 2005; Wolf & Risley, 1967)。この技法は応用行動分析(ABA)と呼ばれています。この治療法では、子供の行動を図表化して分析します。ABAセラピストは、養育者とともに、何が子供を強化するのか、何が行動を継続させているのか、どうすれば行動を最もうまく管理できるのかを判断します。たとえば、教室が騒がしいと、ヌールは圧倒されて部屋を飛び出してしまうことがあります。ヌールが教室を飛び出すたびに教員補助者が彼を追いかけて、彼がリラックスできるような特別室に入れます。特別室に入って補助者の注意を引くことは、ヌールにとって強化につながります。ヌールの行動を変えるためには、彼が圧倒される前に他の選択肢を提示しなければなりません。また、彼は、不適応な行動を示すことで強化を受けてはなりません。

一般的なオペラント条件付けの介入として、トークンエコノミーと呼ばれるものがあります。これは、個人が望ましい行動をすると、ポーカーチップのようなトークン(物品や特典と交換できます)によって強化されるように管理された環境を含みます。トークンエコノミーは、患者の協力や活動レベルを高めるために、精神科病院でしばしば使われます。患者が前向きな行動(たとえば、ベッドを整える、歯を磨く、時間通りにカフェテリアに来る、他の患者と交流する)をすると、トークンが与えられます。彼らは後で、これらのトークンを、テレビ視聴時間の延長、個室の利用、食堂の利用などに交換することができます(Dickerson, Tenhula, & Green-Paden, 2005)。

心理療法:認知療法

認知療法は、人の思考がどのようにして苦痛の感情につながるかに焦点を当てた心理療法の形態です。認知療法の背景にある考え方は、「どのように考えるかによって、どのように感じ、どのように行動するかが決まる」というものです。認知療法士は、クライエントが苦痛を和らげるために、機能不全の思考を変える手助けをします。認知療法士は、クライエントが状況をどのように誤解しているか(認知の歪み)を見出す手助けをします。たとえば、あるクライエントは物事を一般化しすぎているかもしれません。レイは、心理学入門コースのテストに1回失敗しただけで、自分は愚かで価値のない人間だと感じています。このような思考は、彼の気分を悪化させます。また、セラピストは、クライエントが物事を大げさに捉えていることに気づく手助けをします。レイは、心理学入門コースのテストに失敗したため、自分はこのコース全体で落第し、おそらく大学を退学させられるだろうと結論付けています。このような思考の誤りが、レイの苦痛の感情に寄与しています。セラピストは、彼がこれらの不合理な信念に挑戦し、その非論理的な根拠に焦点を当て、より論理的で合理的な思考や信念に修正する手助けをするでしょう。

認知療法は、1960年代に精神科医のアーロン・ベックによって開発されました。彼が最初に注目したのは、うつ病と、人生の中で肯定的な要因があるにもかかわらずクライエントの自滅的な態度がうつ病を維持しているようなあり方でした(Beck, Rush, Shaw, & Emery, 1979)(図16.13)。認知療法士は、質問を通して、クライエントが機能不全の考えを認識し、自分自身や状況についての破滅的な思考に挑戦し、物事をより肯定的にとらえる方法を見つけるのを助けることができます(Beck, 2011)。

図16.13 | あなたの感情的な反応は、状況そのものというよりも、状況についてのあなたの思考の結果です。たとえば、もしあなたが一貫して喪失や敗北をテーマに出来事や感情を解釈している場合、あなたは抑うつ状態になる可能性が高いです。セラピーでは、状況をより論理的に解釈する方法を学ぶことができます。

学習へのリンク

ジュディス・ベックが認知療法について語り(http://openstax.org/l/JBeck)、クライエントとのセッションを行っている短いビデオを見てください。

心理療法:認知行動療法

認知行動療法士は、他の形態の心理療法のように患者の幼少期や過去に焦点を当てるのではなく、現在の問題に焦点を当てます。認知行動療法の最初の形態の1つは、アルバート・エリスがフロイト流の精神分析を嫌って創始した論理情動療法(RET)でした(Daniel, n.d.)。また、ジョセフ・ウォルピなどの行動主義者もエリスの治療アプローチに影響を与えました(National Association of Cognitive-Behavioral Therapists, 2009)。

認知行動療法(CBT)は、自分の考えがどのようにして自分の行動に影響を与えるかについてクライエントが検討するのに役立ちます。それは、認知の歪みや自滅的な行動を変えることを目的としています。要するに、このアプローチは、人々の考え方とともに行動の仕方を変えるように設計されています。CBTは、個人に自分の不合理で否定的な思考を気づかせて、それを新しい、より肯定的な考え方に置き換える手助けをするという点で、認知療法と似ています。また、CBTは、人々に対して、日常生活の中で、より前向きで健全なアプローチを実践し、遂行する方法を教えるという点で行動療法にも似ています。全体では、何百もの研究において、うつ病、PTSD、不安障害、摂食障害、双極性障害、および物質乱用などの多くの心理学的障害の治療に認知行動療法が有効であることが示されています(Beck Institute for Cognitive Behavior Therapy, n.d.)。たとえば、CBTは、以前に自殺を試みたことのある10代の若者の絶望感や自殺願望を減少させるのに有効であることがわかっています(Alavi, Sharifi, Ghanizadeh, & Dehbozorgi, 2013)。また、認知行動療法は、交通機関で働く人などの特定の集団におけるPTSDの軽減にも効果があります(Lowinger & Rombom, 2012)。

認知行動療法は、ABCモデルのような手法を用いて、認知の歪みや自滅的な行動を変えることを目的としています。このモデルには、行動(Action)(活性化する出来事とも呼ばれます)、その出来事についての信念(Belief)、その信念の結果(Consequence)という3つの要素があります。たとえば、ジョンとジョーという2人がパーティーに行ったとします。ジョンとジョーはそれぞれ、パーティーで面白い人に出会い、その人と数時間おしゃべりをして過ごしました。パーティーの終わりに、ジョンとジョーは、話していた相手に電話番号を交換したいと頼みますが、その頼みは断られてしまいます。2人ともうまくいっていると思っていたので、ジョンもジョーも驚きます。相手が興味を示さなかった理由について、ジョンとジョーは何と自分に言い聞かせることができるでしょうか?たとえば、ジョンは、自分は負け犬だとか、醜いとか、「向いてない」などと自分に言い聞かせたとします。その結果、ジョンは落ち込み、次のパーティーには行かないと決め、それが彼を落ち込ませ続けるサイクルになってしまいます。ジョーは自分が口臭を放っていたと自分に言い聞かせ、新しい歯ブラシを買いに行き、別のパーティーに行き、新しい人に会います。

何が起こったかについてのジョンの信念は、さらなる抑うつという結果をもたらしますが、ジョーの信念はそうではありません。ジョンは、拒絶の帰属や理由を内在化しており、それが抑うつの引き金になっています。一方、ジョーは原因を外在化しているので、彼の思考は抑うつの感情には寄与しません。認知行動療法では、特定の不適応で自動的な思考や、認知の歪みを調べます。認知の歪みの例としては、全か無かの思考、過剰な一般化、結論に飛びつくことです。過剰な一般化では、ある人は些細な状況を取り上げて、それを肥大化させます。たとえば、その人は「この特定の人物は私に興味を持ってくれなかった」と言う代わりに、「私は醜いし、負け犬だし、誰も私に興味を持ってくれないだろう」と言います。

全か無かの思考は、うつ病を患っている人によく見られるタイプの認知の歪みで、極端なことを反映しています。言い換えれば、すべてが黒か白かということです。デートを断られたジョンは、「僕と付き合ってくれる女性は誰一人いないだろう。このまま一生ひとりぼっちだ」と考え始めます。彼は、将来のことを考えると、不安や悲しみを感じるようになります。

3つ目の歪みは、結論に飛びつくことです。これは、証拠がないにもかかわらず、人々が自分のことを否定的に考えたり、自分に対して否定的に反応したりしていると仮定するものです。最近パーティーで出会ったサバンナとヒレアの例を考えてみましょう。2人には共通点が多く、サバンナは友達になれそうだと思っています。彼女はヒレアをコーヒーに誘おうと電話します。ヒレアが出ないので、サバンナは彼女にメッセージを残します。数日経っても、サバンナは新しい友人候補から返事をもらえません。もしかしたら、ヒレアは携帯電話をなくしてメッセージを受け取っていないのかもしれないし、忙しくて電話に出られないのかもしれません。しかし、もし、ヒレアがサバンナを嫌っているとか、友達になりたくないと思っているというようにサバンナが考えたとしたら、彼女は結論に飛びつくという認知の歪みを示していることになります。

CBTはどれだけ効果的なのでしょうか?あるクライエントは、自身の認知行動療法についてこう語りました:

私はこれまでの人生で何度も抑うつの辛いエピソードを経験しており、そのことが私のキャリアに悪影響を及ぼし、友人や家族にもかなりの負担をかけてきました。私が受けてきた抗うつ剤の服用や精神力学的なカウンセリングなどの治療は、症状に対処し、問題の根源についてのいくつかの洞察を得るのに役立ちました。CBTは、このような気分の問題に取り組む上で、私が見つけた中で群を抜いて最も有用なアプローチでした。CBTは、自分の思考がどのように気分に影響するか、つまり自分について、他人について、そして世界についての考え方がどのように私をうつ状態に導くのか、についての意識を高めてくれました。これは実践的なアプローチで、幼少期の経験にあまりこだわることはありませんが、その頃にこれらのパターンを学んだことを認識させてくれます。それは、現在起こっていることに目を向け、日常的に気分を管理するためのツールを提供してくれます。(Martin, 2007, n.p.)

心理療法:人間主義的療法

人間性心理学は、人々が潜在能力を発揮するのを助けることに焦点を当てています。そのため、人間主義的療法の目的が、「人々が自分自身をより認識し、受け入れることができるようになること」であるのは、理にかなっています。精神分析とは対照的に、人間主義的療法士は、無意識の思考ではなく意識的な思考に焦点を当てます。また、彼らは、患者の過去を探るのではなく、患者の現在と未来を重視します。

心理学者のカール・ロジャーズは、ロジャーズ式療法(あるいは、クライエント中心療法)として知られる治療の方向性を発展させました。患者からクライエントへと変化していることに注目してください。ロジャーズ(Rogers, 1951)は、患者という言葉が、助けを求めている人が病気であり、治癒法を求めていることを示唆していると感じていました。この療法は非指示的療法(セラピストが助言や解釈を与えるのではなく、その人が葛藤を認識し、感情を理解するのを助ける治療アプローチ)の一形態であることから、ロジャーズ(Rogers, 1951)は、人生の課題を克服するために、その人が自分の人生をコントロールすることの重要性を強調しました。

クライエント中心療法では、セラピストはアクティブ・リスニング(積極的傾聴)という手法を用います。アクティブ・リスニングでは、セラピストは、クライエントが表現する内容を認め、言い直し、明確にします。また、セラピストは、ロジャーズが無条件の肯定的な関心と呼んだものを実践します。これは、クライエントに判断を下すことなく、彼らのありのままの姿を単純に受け入れることです。また、ロジャーズ(Rogers, 1951)は、セラピストがクライエントに対して真正さ、共感、および受容を示すべきであるとも感じていました。なぜならば、そうすることで、人々は自分自身をより受容することができ、その結果、個人の成長につながるからです。

さまざまな形態の心理療法を評価する

私たちはどのようにすれば心理療法の効果を評価することができるでしょうか?ある技法は他の技法よりも効果的なのでしょうか?セラピーを検討している人にとって、これらは重要な質問です。アメリカ心理学会によると、治療を成功させるためには3つの要素が組み合わさることが必要です。1つ目は、あなたの特定の問題に適していると考えられる、根拠に基づいた治療法を用いることです。2つ目の重要な要素は、心理学者やセラピストの臨床的な専門性です。3つ目の要素は、あなた自身の性格、価値観、好み、および文化です。多くの人は、「自分の問題は決して解決しないだろう」と感じながら心理療法を始めます。しかしながら、心理療法は、人々が「自分にも状況をよくするためにできることがある」と思えるようになるのを助けます。心理療法は、不安、抑うつ、および不適応な行動などを軽減するのに役立ちます。心理療法を通じて、個人は、感情をより良く表現し、人間関係を改善し、より肯定的に考え、職場や学校でより効果的に成果を上げるのに役立つように設計された、健全な行動を身に着けることができます。

多くの研究が心理療法の有効性について探求しています。たとえば、16のCBTについてのメタ分析を検討したある大規模研究では、PTSD、全般性不安障害、うつ病、社交恐怖症の治療において、CBTは他の治療法と同等かそれ以上の効果があると報告されています(Butlera, Chapmanb, Formanc, & Becka, 2006)。別の研究では、CBTはうつ病の治療に43%の成功率を示し、プラセボの25%の成功率に比べて、処方薬(50%の成功率)と同等の効果を示すことがわかりました(DeRubeis et al., 2005)。また、別のメタ分析では、精神力学療法も、この種の心理的問題の治療にCBTと同等の効果があるということがわかりました(Shedler, 2010)。しかしながら、ある心理療法アプローチが他のものよりも効果的であることを見出した研究はなく(Abbass, Kisely, & Kroenke, 2006; Chorpita et al., 2011)、また、クライエントの治療結果と臨床家の訓練や経験のレベルとの間に何らかの関係があることを示した研究もありません(Wampold, 2007)。個人がどのような種類の心理療法を選択するかにかかわらず、治療の成功を左右する1つの重要な要因は、その人と心理学者やセラピストとの関係です。

生物医学療法

個人は、生物学に基づいた治療法や精神障害の治療に用いられる向精神薬を処方されることがあります。これらはしばしば心理療法と組み合わせて使用されますが、セラピーを受けていない人にも行われます。これは生物医学療法として知られています。心理学的障害を治療するために使われる薬は向精神薬と呼ばれ、精神科医などの医師によって処方されます。ルイジアナ州とニューメキシコ州では、心理学者がこれらの薬のいくつかの種類を処方することができます(American Psychological Association, 2014)。

さまざまな障害に対して、異なる種類や分類の薬が処方されます。うつ病のある人には抗うつ剤が、双極性障害のある人には気分安定薬が、統合失調症のある人には抗精神病薬が処方されるかもしれません。これらの薬は、神経伝達物質のレベルや効果を変化させることによって、心理学的障害の症状を治療します。たとえば、神経伝達物質セロトニンのレベルを高める抗うつ剤であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や、セロトニンとノルエピネフリンの両方のレベルを高める抗うつ剤であるSNRI(セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬)など、それぞれの種類の抗うつ剤は異なる神経伝達物質に作用します。抗うつ剤は、人々が日常生活で機能していけるように気分を良くするのを助けますが、病気を治すものではありません。人によっては、向精神薬の服用が短期間で済む場合もあります。双極性障害や統合失調症などの重度の障害を持つ人は、向精神薬を長期間服用する必要があるかもしれません。

向精神薬は、多くの種類の障害に対する一般的な治療の選択肢であり、心理療法と併用したときに最も効果的であることが研究で示唆されています。これは特に、抑うつ障害や不安障害など、最も一般的な精神障害に当てはまります(Cuijpers et al, 2014)。治療の選択肢として薬物療法を追加することを検討する場合、一部の向精神薬は非常に懸念される副作用があることを知っておくべきです。表16.2は、一般的に処方される薬の種類、使用方法、および起こりうる潜在的な副作用の一部を示しています。

表16.2

生物学に基づくもう1つの治療法として、頻度は低いものの継続的に使用されているのが、電気けいれん療法(ECT)です(かつては、電気ショック療法という非科学的な名称で知られていました)。ECTは、重度の抑うつの症状を緩和するために、電流を流して発作を起こす治療法です。正確なメカニズムは不明ですが、従来の薬物療法に反応しなかった重度のうつ病を持つ人々の症状を軽減するのに役立っています(Pagnin, de Queiroz, Pini, & Cassano, 2004)。ECTで治療を受けた人の約85%が改善します(Reti, n.d.)。しかしながら、反復的な実施に伴う記憶喪失のため、これは最後の手段として実施されています(Donahue, 2000; Prudic, Peyser, & Sackeim, 2000)。より最近の代替手法は、2008年にFDAに承認された医療行為である経頭蓋磁気刺激(TMS)です。TMSは、磁場を用いて脳内の神経細胞を刺激し、抑うつの症状を改善するものです。これは、他の治療法が効かない場合に使用されます(Mayo Clinic, 2012)。

深く掘り下げてみよう

根拠に基づく実践

今日のセラピーの流行語は、根拠に基づく実践です。しかしながら、これは目新しい概念ではなく、少なくとも20年前から医療の現場で使われてきたものです。根拠に基づく実践とは、研究に基づいて臨床判断を行うことによって、治療法の選択における誤りを減らすために用いられるものです(Sackett & Rosenberg, 1995)。いずれにしても、心理学の分野では根拠に基づいた治療が増えてきています。では、それは何なのでしょうか?そしてなぜ重要なのでしょうか?どの治療法が根拠に基づいているかを判断するために、アメリカ心理学会(APA)などの専門機関は、所定の心理学的障害の治療に特定の心理学的な治療法を用いることを推奨しています(Chambless & Ollendick, 2001)。APAによると(APA, 2005)、「心理学における根拠に基づく実践(EBPP)とは、患者の特徴、文化、および好みという文脈の中で、入手可能な最善の研究を臨床の専門知識と統合すること」(p. 1)です。

根拠に基づく治療の背景にある基本的な考え方は、最良の治療法とは、さまざまな形態の治療法を比較することでまとめられた研究の証拠によって決定される、というものです(Charman & Barkham, 2005)。そして、これらの治療法は実用化され、治療マニュアルとしてまとめられ、訓練を受けたセラピストはこのマニュアルに従います。根拠に基づく治療は、セラピスト間のばらつきを抑え、特定のアプローチが誠実に提供されることを保証するという利点があります(Charman & Barkham, 2005)。したがって、クライエントは、自分の特定の障害を治療するのに効果的な治療的介入を受ける可能性が高くなります。EBPPは無作為化対照試験に基づいていますが、EBPPの批判者は、試験の結果は個人に適用することができず、代わりに治療に関する決定はセラピストの判断に基づくべきであるとして、EBPPを拒絶しています(Mullen & Streiner, 2004)。

16.3 治療の様相

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 治療のさまざまな様相を区別する
  • 集団療法の利点を議論する

自発的であれ非自発的であれ、治療を受けようとする人は、臨床的な必要性を評価するためにインテークを行います。インテークとは、セラピストがクライエントと最初に面接することです。セラピストは、クライエントの差し迫った必要性に対応するために、主な問題、クライエントを支える環境、保険の状況などの具体的な情報を収集します。セラピストは、守秘義務、料金、および治療の中で予想されることについてクライエントに伝えます。守秘義務とは、法律で義務付けられている場合や許可されている場合を除き、セラピストが機密情報を第三者に開示することができないことを意味します。インテークでは、セラピストとクライエントは治療目標を話し合うために互いに協力し合うでしょう。その後、通常は具体的な測定可能な目標を含む治療計画が策定されます。また、セラピストとクライエントは、治療の成果をどのように評価するか、治療期間の目安などについても話し合います。治療にはいくつかの異なる様相があります(図16.14):個人療法、家族療法、カップル療法、および集団療法が最も一般的なものです。

図16.14 | 治療は、(a)セラピストとクライエントが1対1で行う場合や、(b)グループで行う場合があります。(credit a: modification of work by Connor Ashleigh, AusAID/Department of Foreign Affairs and Trade)

個人療法

個人療法は、個人心理療法や個人カウンセリングとしても知られており、クライエントと臨床家が1対1で面談を行います(通常は45分から1時間程度)。これらの面談は通常、毎週または隔週で行われ、セッションは秘密の守られる思いやりのある環境で行われます(図16.15)。臨床家は、クライエントが自分の感情を探り、人生の課題に取り組み、自分自身や人生の中で変えたいと望む部分を特定し、その変化に向けて取り掛かるのに役立つ目標を設定するのを助けるように、クライエントと協力します。クライエントは、数回の臨床家とのセッションで済む場合もあれば、1年以上にわたって個人療法のセッションに通う場合もあります。セラピーに費やす時間は、クライエントの必要性や個人的な目標によって異なります。

図16.15 | 個人療法のセッションでは、クライエントは訓練を受けたセラピストと1対1で取り組みます。(credit: Alan Cleaver)

集団療法

集団療法では、1人の臨床家が、同じような問題を抱えた複数のクライエントと一緒に面談します(図16.16)。子供を集団療法に参加させる場合、クライエントの年齢や問題点を一致させることが特に重要です。集団療法の利点の1つは、セラピストとグループの他のメンバーの両方から必要なサポートを提供しながら、問題に対するクライエントの恥じらいや孤立感を軽減することができることです(American Psychological Association, 2014)。たとえば、9歳の性的虐待の被害者は、非常に困惑して恥ずかしいと感じているかもしれません。もし彼が他の性的虐待を受けた少年たちと一緒のグループに入れば、彼は自分が1人ではないことに気づくでしょう。また、社会的技能に欠けることで苦労している子供は、特別な技能を身につけるための特殊カリキュラムを備えるグループに参加すると利益が得られるでしょう。産後うつに悩む女性は、同じような女性が集まるグループに参加することで、罪悪感が減り、支えられていることを実感できるかもしれません。

また、集団療法にはいくつかの特有の制限があります。グループのメンバーは、他の人たちの前で話すことを恐れるかもしれません。なぜなら、秘密や問題を見ず知らずの人と共有することは、ストレスになり、圧倒されてしまうからです。グループメンバーの間で性格の不一致や口論が起こるかもしれません。また、守秘義務についての懸念もあります:グループの誰かが、他の参加者が言ったことをグループ外の人に話してしまうかもしれません。

図16.16 | 集団療法では、通常5~10人が訓練を受けたセラピストと会い、離婚、悲しみ、摂食障害、物質乱用、アンガーマネジメント(怒りの制御)などの共通の問題について話し合います。(credit: Cory Zanker)

集団療法のもう1つの利点は、メンバー同士が自分のパターンについてお互いに向き合えることです。性的虐待者など、ある種の問題を抱えている人には、集団療法が推奨される治療法となります。この集団に対するグループ治療には、いくつかの利点があると考えられています:

グループ治療は、個人療法、カップル療法、または家族療法よりも経済的である。性的虐待者は、他の人が開放的であることのモデルとなっているような治療グループの中では、自分の犯罪を認めたり話し合ったりすることに安心感を覚えることがしばしばある。クライエントは、自分の行動についてのフィードバックを、セラピストからよりもグループの他のメンバーからのほうが喜んで受け入れることが多い。最後に、クライエントはグループ治療の状況下で社会的技能を練習することができる。(McGrath, Cumming, Burchard, Zeoli, & Ellerby, 2009)

強い教育的要素を持つグループは、心理教育グループと呼ばれています。たとえば、親ががんになった子供たちのグループでは、がんとは何か、がんの治療法の種類、脱毛などの治療法の副作用について詳しく話し合うことがあります。子供たちの集団療法のセッションは、しばしば学校で行われます。それは、スクールカウンセラー、学校心理学者、またはスクールソーシャルワーカーが主導します。グループは、テストの不安、社会的孤立、自尊心、いじめ、または学校での失敗に焦点を当てることがあります(Shechtman, 2002)。グループが学校で集まるものであろうと、臨床医のオフィスで集まるものであろうと、集団療法はさまざまな種類の課題に直面している子供たちに効果的であることがわかっています(Shechtman, 2002)。

グループセッションでは、グループ全体で個人の問題や困難について考えたり、他の人がその状況で何をしたかを開示したりすることがあります。臨床家がグループの議論を促進する際には、全員がグループから恩恵を受けるとともにグループに参加し、1人がセッション全体の注目の的とならないようにすることに常に焦点が当てられます。グループは、包括的なテーマや目的を持つもの、期間限定のもの、人の出入りが可能な開かれたメンバー構成を持つもの、閉ざされたものなど、さまざまな方法で構成されることがあります。活動内容や目標が計画された構造的なグループもあれば、非構造的なグループもあります。非構造的なグループは、具体的な計画を持たず、グループのメンバー自身が、グループがどのように時間を過ごすかや、どのような目標に焦点を当てるかを決めます。これは、複雑で感情をかきたてるプロセスになることもありますが、個人的な成長の機会でもあります(Page & Berkow, 1994)。

カップル療法

カップル療法には、困難を抱えており、それを解決しようとしている親密な関係の2人が参加します(図16.17)。このカップルは、交際中やパートナーであることもあれば、婚約している、あるいは結婚していることもあります。カップルカウンセリングで用いられる主な治療の方向性は、認知行動療法です(Rathus & Sanderson, 1999)。カップルはセラピストと会い、葛藤について、および/または変えたいと望んでいる2人の関係の側面について話し合います。セラピストは、それぞれの人の背景、信念、および行動が2人の関係にどのような影響を与えているかを、2人が見極める手助けをします。多くの場合、セラピストは、カップルがこれらの問題を解決するとともに、話の聞き方、議論の仕方、感情の表現の仕方など、より健全で幸せな関係につながるような戦略を実行するのを助けようとします。しかしながら、時には、セラピストとの共同作業の後、カップルがあまりにも相容れないことに気づき、別れることを決意する場合もあります。問題を解決するためにセラピーを受けるカップルもいれば、一緒にいることが最善の解決策かどうかを判断するためにセラピーを受けるカップルもいます。衝突が多く、不安定な関係にあるカップルをカウンセリングするのは難しいものです。実際、カリフォルニア州パロアルトにカップルズ・インスティテュートを設立した心理学者のピーター・ピアソンとエリン・ベイダーは、カップル療法における臨床家の経験を、まるで「ハリケーンの中でヘリコプターを操縦する」ようなものだと例えています(Weil, 2012, para. 7)。

図16.17 | カップルカウンセリングでは、セラピストは人々が2人の関係に取り組むのを手助けします。(credit: Cory Zanker)

家族療法

家族療法は、1つかそれ以上の家族で構成される特殊な形態の集団療法です。家族療法にはさまざまな理論的な方向性がありますが、最も優勢なものの1つがシステムズアプローチです。家族は組織化されたシステムとしてとらえられ、家族内のそれぞれの個人は、行動を形作るシステム内のプロセスを生み出し、維持する貢献者です(Minuchin, 1985)。家族のそれぞれのメンバーは、他のメンバーに影響を与え、また他のメンバーから影響を受けます。このアプローチの目的は、家族のそれぞれのメンバーの成長と、家族全体の成長を促すことです。

家族のメンバー間のコミュニケーションのパターンが機能不全に陥ると、対立が生じることがしばしばあります。このような動態を持つ家族は、個別にセラピーを受けるよりも、一緒にセラピーを受けることを望むかもしれません。多くの場合、家族の1人が問題を抱え、それが家族全員に悪影響を及ぼしています。たとえば、母親のうつ病、10代の娘の摂食障害、あるいは父親のアルコール依存症などは、家族全員に影響を与える可能性があります。セラピストは、家族全員が問題に対処できるように働きかけ、問題を抱えている家族の個々のメンバーの場合には、解決と成長を促すでしょう。

家族療法では、核家族(すなわち、親と子供)、または核家族に加えて世帯に同居している人(たとえば、祖父母)が治療の対象となります。家族療法士は、家族を癒すために、家族全体に働きかけます。家族療法にはいくつかの異なるタイプがあります。構造派家族療法では、セラピストは、家族の境界線と構造を調べ、話し合います:それには、誰がルールを決めるのか、誰と誰が一緒のベッドで寝るのか、どのように意思決定がされるのか、家族内にある境界線とは何かが含まれます。一部の家族では、両親が協力してルールを作らなかったり、片方の親がもう片方の親を貶めたりして、子供が行動を起こしてしまうこともあります。セラピストは、彼らがこれらの問題を解決し、より効果的なコミュニケーションを学べるよう手助けします。

学習へのリンク

構造派家族セッションのビデオ(http://openstax.org/l/Sfamily)を見て、さらに学んでください。

戦略派家族療法では、比較的短時間で対処できる家族内の特定の問題に対処することを目的としています。典型的には、セラピストはセラピーセッションで起こることを先導し、それぞれのメンバーの問題を解決するための詳細なアプローチを設計します(Madanes, 1991)。

16.4 物質関連障害と嗜癖障害:特殊なケース

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 物質関連障害および嗜癖障害の治療の目的を認識する
  • 何が効果的な治療に役立つかを議論する
  • 併存障害の治療方法を記述する

嗜癖は、しばしば慢性疾患と見なされます(図16.18)。物質を使用するという選択は、最初は自発的なものです。しかしながら、慢性的に物質を使用すると、意思決定や判断に関連する脳の領域である前頭前皮質の神経構造が恒久的に変化するため、人は薬物および/またはアルコールを使用せざるを得ないようになります(Muñoz-Cuevas, Athilingam, Piscopo, & Wilbrecht, 2013)。このことは、再発率が高い傾向にある理由を説明するのに役立ちます。約40~60%の人が再発、つまり、一定の改善期間を経た後、薬物および/またはアルコールの乱用に戻ってしまいます(National Institute on Drug Abuse [NIDA], 2008)。

図16.18 | 薬物使用と健康に関する全国調査では、12~17歳、18~25歳、26歳以上の年齢におけるさまざまな薬物の蔓延の傾向を示しています。

物質関連の治療の目的は、嗜癖を持つ人が強迫的に薬物を求める行動を止めるのを助けることです(NIDA, 2012)。これは、高血圧や糖尿病などの慢性的な身体疾患と闘っている人と同じように、嗜癖を持つ人には長期的な治療が必要になることを意味します。治療には通常、その個人に基づいて、行動療法および/または薬物療法が含まれます(NIDA, 2012)。また、アルコール、コカイン、オピオイドを含む、特定の種類の物質関連障害に特化した治療法も開発されています(McGovern & Carroll, 2003)。物質関連の治療は、収監や、嗜癖を持つ人々を治療しないことよりも、はるかに費用対効果が高いと考えられています(NIDA, 2012)(図16.19)。

図16.19 | 物質の使用と乱用により、米国では年間6000億ドル以上のコストがかかっています(NIDA, 2012)。この嗜癖を持つ人はヘロインを使っています。(credit: “jellymc - urbansnaps”/Flickr)

何が効果的な治療に役立つでしょうか?

物質関連の治療は、特定の要因によってより効果的になります。要因の1つは、治療の期間です。一般的に、嗜癖を持つ人が良い結果を得るためには、少なくとも3か月間治療を受ける必要があります(Simpson, 1981; Simpson, Joe, & Bracy, 1982; NIDA, 2012)。これは、乱用の心理的、生理学的、行動的、および社会的な側面によるものです(Simpson, 1981; Simpson et al., 1982; NIDA, 2012)。治療中、嗜癖のある人は行動療法を受けることがあります。行動療法は、嗜癖のある人が治療プログラムに参加する意欲を高め、欲求に対処するための戦略や再発を防ぐ方法を教えるのに役立ちます。また、治療は、薬物嗜癖だけでなく、複数の必要性に対応する全体論的なものである必要があります。つまり、治療では、コミュニケーション、ストレス管理、人間関係の問題、子育て、職業上の関心事、および法律上の懸念などの要素に取り組むことになります(McGovern & Carroll, 2003; NIDA, 2012)。

物質関連障害の治療には個人療法が用いられることもありますが、集団療法が最も広く普及している治療の様相です(Weiss, Jaffee, de Menil, & Cogley, 2004)。嗜癖の治療に集団療法を用いる根拠とは、嗜癖を持つ人はグループ形式のほうが物質を断っていられる可能性が高まるというものです。これは、支援、所属、同一化、さらには対立など、グループの持つやりがいや治療効果によるものだということが示唆されています(Center for Substance Abuse Treatment, 2005)。10代の若者の場合、家族の動態、コミュニケーション、再発防止などの問題に対処するために、家族全員が治療に参加する必要があることがしばしばあります。10代の若者の薬物嗜癖には、家族の関与が不可欠です。研究では、親の関与が強ければ強いほど、10代の若者の薬物乱用者の使用量が減少するという相関関係があることが示唆されています。また、治療に参加した母親は、より良いメンタルヘルスと子供に対するより温かい態度を示していました(Bertrand et al., 2013)。しかしながら、個人療法と集団療法のどちらがより効果的であるかはわかっていません(Weiss et al., 2004)。治療サービスの種類にかかわらず、主たる焦点は物質を断つことか、少なくとも使用量を大幅に削減することにあります(McGovern & Carroll, 2003)。

また、治療には通常、過剰摂取後に嗜癖のある人を安全に解毒するための薬物療法、解毒時によく起こる発作や興奮を防ぐための薬物療法、薬物の再使用を防ぐための薬物療法、離脱症状を抑えるための薬物療法が含まれます。薬物を断つためには、しばしば薬物を使用することが伴い、それらの中には同じように嗜癖性のあるものもあります。解毒は困難で危険なものになり得ます。

学習へのリンク

生物学的、行動的、精神力学的アプローチを用いた物質関連障害の治療についてのビデオ(http://openstax.org/l/subdisorder)を見て、さらに学んでください。

併存障害

薬物および/またはアルコールに嗜癖のある人は、他にも心理学的障害を抱えていることが頻繁にあります。ある人が併存障害を持つということは、その人が2つかそれ以上の診断を受けていることを意味します。これは、物質関連の診断と、うつ病、双極性障害、または統合失調症などの他の精神医学的な診断としてしばしば生じます。このような人は、精神疾患と化学物質嗜癖(MICA)に分類されます。彼らの問題はしばしば慢性化して、治療費がかさみ、成果も限られています。全人口と比較して、薬物乱用者は気分障害や不安障害を持つ可能性が2倍あります。薬物乱用は、気分障害や不安障害の症状を引き起こす可能性があり、その逆も当てはまります—精神障害による衰弱させるような症状を持つ人は、自分で薬を飲んだり、薬物を乱用したりする可能性があります。

共存症の場合、最良の治療法は、両方(または複数)の障害に同時に対処するものだと考えられています(NIDA, 2012)。併存する疾患の治療には行動療法が用いられ、多くの場合、心理療法とともに向精神薬が使用されます。たとえば、うつ病やニコチン依存症の治療薬として承認されているブプロピオン(商品名:ウェルブトリン、ザイバン)は、薬物のメタンフェタミンへの渇望や使用を抑えるのにも役立つかもしれないと示唆する証拠があります(NIDA, 2011)。しかしながら、これらの薬物がどのように作用するのか、特に共存症のある患者に併用した場合にどのように作用するのかをよりよく理解するためには、さらなる研究が必要です。

16.5 社会文化モデルと療法の利用

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 社会文化モデルがセラピーにどのように使用されているかを説明する
  • 民族的少数派の間でのメンタルヘルスサービスに対する障壁について議論する

社会文化的な視点では、あなたの文化や背景という文脈の中で、あなたやあなたの行動、そしてあなたの症状を見ていきます。たとえば、ホセは18歳のヒスパニック系男性で、伝統的な家庭に生まれました。ホセは、うつ病のために治療を受けに来ました。インテークのセッションの間に、彼は自分がゲイであることを明かし、家族に伝えることに不安を感じていることを伝えました。彼はまた、宗教的背景から、同性愛者であることは間違っていると教えられてきたため、心配していることも明かしました。彼の宗教的・文化的背景は、彼にどのような影響を与えているでしょうか?ホセが自分がゲイであることを家族に伝えた場合、彼の文化的背景は家族の反応の仕方にどのような影響を与えるでしょうか?

私たちの社会がますます多民族的・多人種的になっていく中で、メンタルヘルスの専門家は文化的コンピテンスを身につけなければなりません(図16.20)。文化的コンピテンスとは、彼らが人種、文化、および民族性の問題を理解し、対処しなければならないということを意味します。彼らはまた、ヨーロッパ中心的な療法では適用範囲が限られてしまうようなさまざまな集団の必要性に効果的に対応するための戦略も発展させなければなりません(Sue, 2004)。たとえば、個人の意思決定に重点を置いた治療を行うカウンセラーは、集団主義的な問題解決のアプローチをとる中国人のクライエントを助けるのには効果がないかもしれません(Sue, 2004)。

多文化のカウンセリングとセラピーは、クライエントの人生経験や文化的価値観に合致した様相を用い、目標を定めるような、支援の役割とプロセスの両方を提供することを目的としています。それは、クライエントのアイデンティティーを、個人、集団、そして普遍的な次元を含めて認識することに努め、癒しのプロセスにおいて普遍的な戦略・役割と文化に特化した戦略・役割とを用いることを提唱し、そして、クライエントとクライエント状況の評価、診断、治療において個人主義と集団主義の重要性のバランスを取るものです(Sue, 2001)。

この治療的視点は、治療の最初の段階から、文化的・社会的規範の影響を統合しています。この視点を用いるセラピストは、クライエントの文化的パターンに関する情報を得て、それをクライエントの特定の状況に基づいた独自の治療アプローチに統合するために、クライエントと協働します(Stewart, Simmons, & Habibpour, 2012)。社会文化療法には、個人、集団、家族、およびカップルの治療の様相が含まれます。

図16.20 | あなたの文化的・宗教的信念は、メンタルヘルス治療に対するあなたの態度にどのように影響するでしょうか?(credit “top-left”: modification of work by Staffan Scherz; credit “top-left-middle”: modification of work by Alejandra Quintero Sinisterra; credit “top-right-middle”: modification of work by Pedro Ribeiro Simões; credit “top-right”: modification of work by Agustin Ruiz; credit “bottom-left”: modification of work by Czech Provincial Reconstruction Team; credit “bottom-left-middle”: modification of work by Arian Zwegers; credit “bottom-right-middle”: modification of work by “Wonderlane”/Flickr; credit “bottom-right”: modification of work by Shiraz Chanawala)

学習へのリンク

文化的コンピテンスと社会文化的治療についての短いビデオ(http://openstax.org/l/culturalcomp)を見て、さらに学んでください。

治療の障壁

統計的には、民族的少数派の人は白人の中流階級のアメリカ人に比べて、メンタルヘルスサービスを利用する頻度が低い傾向にあります(Alegría et al., 2008; Richman, Kohn-Wood, & Williams, 2007)。これはなぜなのでしょうか?おそらくその理由は、メンタルヘルスサービスへのアクセスと利用可能性に関係があります。民族的少数派や社会経済的地位(SES)の低い人たちは、サービスを受けるための障壁として、保険、交通手段、および時間の不足を挙げています(Thomas & Snowden, 2002)。しかしながら、研究者は、所得水準や保険の変数を考慮に入れても、民族的少数派の人がメンタルヘルスサービスを求めたり利用したりする可能性ははるかに低いことを発見しました。また、メンタルヘルスサービスへのアクセスが民族グループや人種グループにわたって同等であっても、サービスの利用率には差が残ります(Richman et al., 2007)。

数千人の女性を対象とした研究では、拒食症の有病率は異なる人種の間でほぼ同じですが、神経性大食症は非ヒスパニック系白人と比較してヒスパニック系およびアフリカ系アメリカ人の女性に多く見られることがわかりました(Marques et al., 2011)。摂食障害の罹患率が同程度かそれ以上であるにもかかわらず、摂食障害を持つヒスパニック系およびアフリカ系アメリカ人女性は、コーカサス系[白人系]女性に比べて治療を求め、実際に受ける傾向がはるかに低いです。これらの知見は、ヒスパニック系およびアフリカ系アメリカ人女性が治療を受けることを妨げる可能性のある、治療へのアクセスの民族的格差や臨床と専門医への紹介の慣行を示唆しています。これらの慣行には、バイリンガルでの治療の欠如、汚名、理解されないことへの恐れ、家族のプライバシー、摂食障害についての教育の欠如が含まれるかもしれません。

また、メンタルヘルスサービスに対する認識や態度も、この不均衡の原因となっている可能性があります。キングス・カレッジ・ロンドンで行われた最近の研究では、人々が治療を求めようとしない多くの複雑な理由を見出しました:そこには、自己満足しており助けの必要性を感じていないこと、治療が効果的であるとは考えていないこと、守秘義務についての懸念、そして汚名や羞恥心がもたらす多くの影響が含まれます(Clement et al., 2014)。また、別の研究では、抑うつを呈しているアフリカ系アメリカ人は、治療そのものへの恐怖だけでなく、精神科病院への入院の可能性を恐れているために、治療を求めようとしませんでした(Sussman, Robins, & Earls, 1987)。アフリカ系アメリカ人の多くは、メンタルヘルスの治療を受ける代わりに、自立した生活を送ったり、精神的な実践を用いたりすることを好みます(Snowden, 2001; Belgrave & Allison, 2010)。たとえば、黒人教会は、メンバーの心理的・身体的な福利を増進するように設計された予防・治療型のプログラムを提供することによって、メンタルヘルスサービスの代替として重要な役割を果たしていることがわかっています(Blank, Mahmood, Fox, & Guterbock, 2002)。

さらに、すでに偏見や差別についての懸念を報告している民族グループに属する人々は、精神疾患を新たな汚名と見なしているため、精神疾患のためのサービスを求める可能性が低くなります(Gary, 2005; Townes, Cunningham, & Chavez-Korell, 2009; Scott, McCoy, Munson, Snowden, & McMillen, 2011)。たとえば、462人の朝鮮系アメリカ人の高齢者(60歳超)を対象とした最近の研究では、多くの参加者が抑うつ症状に悩まされていることを報告しました。しかしながら、71%の参加者は、うつ病は個人の弱さの表れだと考えており、14%の参加者は、家族に精神疾患のある人がいると家族の恥になるだろうと報告しています(Jang, Chiriboga, & Okazaki, 2009)。

言語の違いは、治療のさらなる障壁となります。メンタルヘルスサービスに対する朝鮮系アメリカ人の態度に関する以前の調査では、調査が行われた場所(フロリダ州オーランドとタンパ)には、朝鮮語を話すメンタルヘルスの専門家がいないことがわかりました(Jang et al., 2009)。民族的に多様な背景を持つ人々の数が増えているため、セラピストや心理学者には、文化的コンピテンスを持つための知識や技能を身に着けることが求められています(Ahmed, Wilson, Henriksen, & Jones, 2011)。セラピーを提供する人は、それぞれのクライエントの固有の文化の文脈からプロセスにアプローチしなければなりません(Sue & Sue, 2007)。

深く掘り下げてみよう

治療に対する認識

ある子供が高校3年生になるまでに、同級生の20%(つまり5人に1人)がメンタルヘルスの問題を経験し(U.S. Department of Health and Human Services, 1999)、8%(約12人に1人)が自殺未遂を経験します(Centers for Disease Control and Prevention, 2014)。精神障害を経験した同級生のうち、専門家の助けを受けるのはわずか20%です(U.S. Public Health Service, 2000)。なぜでしょうか?

世間では、メンタルヘルス障害のある子供や10代の若者に対して否定的な認識があるようです。インディアナ大学、バージニア大学、およびコロンビア大学の研究者によると、1300人以上の米国の成人へのインタビューでは、彼らがうつ病の子供は暴力を起こしやすいと考えていることや、子供が心理学的障害の治療を受けた場合、その子供は学校で仲間から拒絶される可能性が高くなると考えていることが示されました。

この研究の著者であるバーニス・ペスコソリードは、これは誤解であると主張しています。しかしながら、心理学的障害に対して汚名を着せることは、若者が困難を抱えているときに必要な助けを得られない主な理由の1つです。ペスコソリードと彼女の同僚は、このように事実ではなく誤解に基づく精神疾患にまつわる汚名は、私たちの国の子供たちの情緒的、社会的な福利に壊滅的な影響を与える可能性があると警告しています。

この警告は、2012年に起きたサンディフック小学校での銃乱射事件で、国家的な悲劇となって現れました。サンディフック・プロミス(この小学校での銃乱射事件を受けて親や関係者が立ち上げた組織)の共同設立者であるスージー・デヤング(DeYoung, 2013)は、自身のブログで、治療に対する認識や、子供たちが切実に必要としているメンタルヘルスの治療を受けられない場合に何が起こるかについて語っています。

人に自分の出身地を伝えたときの反応には慣れてきました。

11か月経った今でも、1月の時と同じような反応です。

つい昨日も、休暇シーズンの賃貸住宅の空き状況について問い合わせたところ、私の情報を受け取った男性が一呼吸おいて、「コネチカット州のニュータウンですか?あの…あの事件があったところですよね?」と尋ねてきました。

しかし、マサチューセッツ州バークシャーでの最近の出会いには驚かされました。

それは、小さくて魅力的なアートギャラリーでの出来事でした。60代と思われる女性の店主が、私たちにどこから来たのかと尋ねました。私の返答はたいてい、その時の気分と必然的な対話への準備に左右されます。時には、単純に「コネチカット州」と答えます。そのとき、私は「コネチカット州ニュータウン」と答えました。

その女性の態度は、愛想の良い親切な態度から、突然、目に見えるほどの動揺に変わりました。

「なんてこと」彼女は目を見開いて、口を開けて言いました。「あなたは彼女を知っていたの?」

. . . .

「彼女?」私は尋ねました。

「あの女」彼女は軽蔑を込めて答えました。「あの怪物を育てたあの女よ。」

「あの女」の名前はナンシー・ランザ。彼女の息子アダムは、昨年12月14日、コネチカット州ニュータウンのサンディフック小学校で20人の児童と6人の教育者を殺害する前に、ライフル銃で彼女の頭部を撃ち抜いて殺しました。

アダム・ランザに6歳のかわいらしい娘アナを殺されたネルバ・マルケス・グリーンは、最近、「あの女」についてどう感じているかと聞かれ、こう答えています:

「彼女自身が被害者なのです。アメリカでは今こそ、私たちは精神疾患を思いやりを持って見つめ直し、助けが必要な人に手を差し伸べるべきです。」

「この事件は、助けを必要としながらもそれを得られなかった家族、助けを必要としながらもそれを得られなかった個人の問題です。アメリカのこの時において、本当に助けを必要としている人たちに助けを与えることができれば、それに優ることはないでしょう?」(pars. 1–7, 10–15)

幸いなことに、精神疾患の汚名返上に関連するキャンペーンや、一般の人々の教育や意識の向上が見られるようになってきました。あなたの周りにいる人たちがもし必要としているならば、助けを求めるように励まし、支えることで、この活動に参加しましょう。詳細については、全米精神障害者家族連合会(NAMI)のウェブサイト(http://www.nami.org/)をご覧ください。NAMIは、米国最大の非営利メンタルヘルス擁護・支援団体です。

重要用語

精神科収容施設:心理学的障害のある人々を収容するという特定の目的のために作られた施設

嫌悪条件付け:不快な刺激と望ましくない行動とを組み合わせる拮抗条件付けの技法

行動療法:クライエントの望ましくない行動を変えるために、学習の原理を用いる治療の方向性

生物医学療法:心理学的障害を治療するために薬物および/または医療処置を行う治療法

認知療法:人の思考がどのようにして苦痛の感情につながるかに焦点を当て、人々がこれらの不合理な思考を変えるのを助けることを目的とした心理療法の形態

認知行動療法:認知の歪みや自滅的な行動を変えることを目的とした心理療法の形態

併存障害:2つかそれ以上の診断を受けている人のことで、しばしば物質乱用の診断と、うつ病、双極性障害、または統合失調症などの他の精神医学的な診断が含まれる

守秘義務:セラピストは、法律で義務付けられている場合や許可されている場合を除き、機密情報を第三者に開示することができない

拮抗条件付け:古典的条件付けによる治療技法で、以前に望ましくない行動を引き起こした刺激に対する新しい反応をクライエントが学習するもの

カップル療法:夫婦などの親密な関係にある2人が、困難を抱えており、セラピーによってそれを解決しようとすること

文化的コンピテンス:治療を提供する際に、人種、文化、民族性の問題をセラピストが理解し、注意を払うこと

脱施設化:大規模な精神科収容施設を閉鎖し、人々を地域社会に統合して地元で治療を受けられるようにするプロセス

夢分析:精神分析の技法で、患者が夢を思い出し、精神分析医がそれを解釈して無意識の欲求や葛藤を明らかにすること

電気けいれん療法(ECT):重度の抑うつの症状を緩和するために、人に電流を流して発作を起こす生物医学療法の一種

曝露療法:クライエントが最終的には慣れるだろうという考え方のもとに、セラピストが恐怖を引き起こす物体や状況をクライエントに提示することによってクライエントの恐怖や不安を治療しようとする拮抗条件付けの技法

家族療法:1つかそれ以上の家族で構成される特別な形態の集団療法

自由連想:精神分析の技法で、患者がその時に思いついたことを何でも言うこと

集団療法:同じ問題や懸念を持つ5~10人の人々が、訓練を受けた臨床家と一緒に面談する治療の様相

人間主義的療法:人々が自分自身をより認識し、受け入れるのを支援することを目的とした治療の方向性

個人療法:クライエントと臨床家が1対1で面談する治療の様相

インテーク:セラピストがクライエントと最初に面接することで、クライエントの差し迫った必要性に対応するために具体的な情報を収集すること

非自発的治療:裁判所やその他の制度によって強制される治療

非指示的療法:セラピストが助言や解釈を与えるのではなく、クライエントが葛藤を認識し、感情を理解するのを手助けする治療アプローチ

遊戯療法:おもちゃを使って心理的問題の解決を助ける治療プロセスで、子供に対してしばしば用いられる

精神分析:ジークムント・フロイトによって開発された、自由連想、夢分析、および転移などを用いて抑圧された感情を明らかにする治療の方向性

心理療法(または、精神力学的心理療法):人が個人的な問題を克服したり、個人的な成長を達成するために、さまざまな方法を用いるような心理的な治療法

論理情動療法(RET):認知行動療法の一形態

再発:物質乱用からの一定の改善期間を経た後に、薬物および/またはアルコールの使用を繰り返すこと

ロジャーズ式療法(クライエント中心療法):カール・ロジャーズによって開発された人間主義的療法の非指示的形態で、無条件の肯定的な関心と自己受容を重視する

戦略派家族療法:セラピストがセラピーセッションを先導し、短期間で対処可能な特定の問題について、家族のメンバーごとに治療計画を作成する

構造派家族療法:セラピストは、誰がルールを決めるのか、誰と誰が一緒のベッドで寝るのか、どのように意思決定がされるのか、家族内にある境界線とは何かなど、家族の境界線や構造について、家族と一緒に検討し、議論する

系統的脱感作法:恐怖症や不安障害の治療に用いられる曝露療法の一形態で、刺激を階層化して恐怖の対象物や状況に人をさらすこと

トークンエコノミー:個人が望ましい行動をすると、物品や特権と交換できるトークン(たとえば、ポーカーチップ)によって強化されるように管理された環境

転移:精神分析におけるプロセスで、患者が自身のその他の人間関係に関連するすべての肯定的または否定的な感情を精神分析医に移すこと

無条件の肯定的な関心:人の言動にかかわらず、その人を基本的に受け入れること。人間性心理学に関連する用語

バーチャルリアリティー曝露療法:実際に恐怖を感じる対象や状況ではなく、シミュレーションを用いて人々が恐怖を克服することに役立てる

自発的治療:自分の症状を改善するために、自ら選択して参加する治療法

この章のまとめ

16.1 メンタルヘルス治療:過去と現在

かつては、心理学的障害を持つ人、すなわち奇妙な行動を示す人には、悪魔が憑いていると信じられていました。このような人々は、エクソシズム(悪魔祓い)の儀式に参加させられたり、投獄されたり、処刑されたりしました。その後、精神疾患のある人を収容するための精神科収容施設が建設されましたが、患者はほとんど、あるいはまったく治療を受けられず、使われた方法の多くも残酷なものでした。フィリップ・ピネルやドロシア・ディックスは、心理学的障害を持つ人をもっと人道的に扱うべきだと主張しました。1960年代半ばには脱施設化の動きが支持を得て、精神科収容施設は閉鎖され、精神疾患を持つ人々が家に戻り、自分の住む地域で治療を受けることができるようになりました。一部の人は家族のいる家に帰りましたが、多くの人は援助や支援の仕組みがないためにホームレスになりました。

現在では、精神科収容施設の代わりに、州政府が運営する精神科病院や地域のコミュニティー病院があり、短期滞在に重点が置かれています。しかしながら、精神疾患を患っている人のほとんどは入院していません。症状のある人はかかりつけの医師に相談し、治療を専門とする人を紹介してもらうのが一般的です。症状のある人は、心理学者、精神科医、結婚・家族療法士、スクールカウンセラー、臨床ソーシャルワーカー、および宗教関係者を含むさまざまな人から、外来でメンタルヘルスサービスを受けることができます。これらの治療セッションは、保険、政府資金、または私費(自費)によって支払われます。

16.2 治療の種類

精神分析はジークムント・フロイトによって開発されました。フロイトの理論とは、人の心理的問題は抑圧された衝動や幼少期のトラウマの結果であるというものです。セラピストの目的は、自由連想や夢分析などの技法を用いることによって、人が埋もれた感情を明らかにするのを助けることです。

遊戯療法は、精神力学的療法の技法の1つで、しばしば子供に対して用いられます。その考え方は、子供たちが人形や動物のぬいぐるみ、砂場の箱庭と小像などを使いながら、自分の希望や空想、トラウマを演じるというものです。

行動療法では、セラピストは、古典的条件付けやオペラント条件付けなどの学習の原理を用いて、クライエントが望ましくない行動を変えるのを手助けします。拮抗条件付けはよく用いられる治療技法であり、クライエントは、古典的条件付けを通じて、以前に望ましくない行動を引き起こした刺激に対する新たな反応を学習します。オペラント条件付けの原理は、人々がさまざまな心理的問題に対処するのを助けるために応用することができます。トークンエコノミーは、一般的なオペラント条件付け技法の一例です。

認知療法とは、思考がどのように苦痛の感情につながるかに焦点を当てた技法です。認知療法の背景にある考え方は、「どのように考えるかによって、どのように感じ、どのように行動するかが決まる」というものです。認知療法士は、クライエントが苦痛を和らげるために、機能不全の思考を変える手助けをします。認知行動療法は、私たちの思考がどのように私たちの行動に影響を与えるかを探ります。認知行動療法は、認知の歪みや自滅的な行動を変えることを目的としています。

人間主義的療法は、人々が潜在能力を発揮するのを助けることに焦点を当てています。カール・ロジャーズによって開発された人間主義的療法の一形態は、クライエント中心療法またはロジャーズ式療法として知られています。クライエント中心療法では、アクティブ・リスニング(積極的傾聴)、無条件の肯定的な関心、真正さ、および共感といった技法を用いて、クライエントが自分自身をより受け入れられるように支援します。

しばしば心理療法と組み合わせて、向精神薬などの生物学に基づいた治療および/または電気けいれん療法などの他の医学的な処置が行われます。

16.3 治療の様相

治療にはいくつかの様相があります:個人療法、集団療法、カップル療法、および家族療法が最も一般的です。個人療法では、訓練を受けたセラピストとクライエントが1対1で取り組みます。集団療法では、通常5~10人の人々が訓練を受けた集団療法士と一緒に、共通の問題(たとえば、離婚、悲しみ、摂食障害、物質乱用、またはアンガーマネジメント(怒りの制御)など)について話し合います。カップル療法には、困難を抱えており、それを解決しようとしている親密な関係の2人が参加します。このカップルは、交際中やパートナーであることもあれば、婚約している、あるいは結婚していることもあります。セラピストは、2人が抱える問題を解決し、より健全で幸せな関係につながるような戦略を実行するのを助けようとします。家族療法は、集団療法の特別な形態です。セラピーグループは、1つまたは複数の家族で構成されています。このアプローチの目的は、家族のそれぞれのメンバーの成長と、家族全体の成長を促すことです。

16.4 物質関連障害と嗜癖障害:特殊なケース

嗜癖は、脳を再構築するような慢性疾患であるとしばしば見なされています。このことは、再発率が高い(約40~60%)傾向にある理由を説明するのに役立ちます(McLellan, Lewis, & O’Brien, & Kleber, 2000)。治療の目的は、嗜癖を持つ人が強迫的に薬物を求める行動を止めるのを助けることです。治療には通常、行動療法が含まれており、個人または集団の状況で行われます。また、治療には薬物療法が含まれることもあります。時には、ある人は併存障害を持ちます。これは、通常は、彼らが物質関連障害の診断と、うつ病、双極性障害、または統合失調症などの他の精神医学的な診断を受けていることを意味します。最良の治療は、この2つの問題を同時に解決することでしょう。

16.5 社会文化モデルと療法の利用

社会文化的な視点では、あなたの文化や背景という文脈の中で、あなたやあなたの行動、そしてあなたの症状を見ていきます。このアプローチを用いる臨床家は、文化的および宗教的な信念を治療プロセスに統合します。研究では、民族的少数派の人は白人の中流階級のアメリカ人に比べて、メンタルヘルスサービスを利用する可能性が低いことが示されています。治療の障壁となっているのは、保険、交通手段、および時間の不足、精神疾患は汚名であるという文化的見解、治療に対する不安、言語の壁などです。

レビュー問題

1.以下のうち、精神疾患のある人への人道的で改善された治療を支持していないのは誰ですか?
a.フィリップ・ピネル
b.中世の司祭
c.ドロシア・ディックス
d.上記のすべて

2.大規模な精神科収容施設を閉鎖し、人々が地域社会にとどまり、地元で治療を受けられるようにするプロセスは、________として知られています。
a.脱施設化
b.エクソシズム(悪魔祓い)
c.非活性化
d.脱中央集権化

3.ジョーイは家庭内暴力で有罪判決を受けました。判決の一部として、裁判官は彼がアンガーマネジメント(怒りの制御)のセラピーに参加することを命じました。これは、________治療と見なされます。
a.非自発的
b.自発的
c.強制的
d.義務的

4.今日では、心理的な問題を抱えたほとんどの人は入院しません。彼らは、典型的には、________場合にのみ入院します。
a.統合失調症がある
b.保険に入っている
c.自分や他人に差し迫った脅威がある
d.治療が必要である

5.________の背景にある考え方は、自分がどう考えるかによって、自分がどう感じ、どう行動するかが決まるというものです。
a.認知療法
b.認知行動療法
c.行動療法
d.クライエント中心療法

6.リチウムのような気分安定薬は、________の治療に使われます。
a.不安障害
b.うつ病
c.双極性障害
d.ADHD

7.クレイはセラピーセッションを受けています。セラピストは彼に、「リラックスして、その時に思いついたことを何でも言ってください」と伝えています。このセラピストは、(1)________を使っています。それは、(2)________の技法の1つです。
a.(1)アクティブ・リスニング(積極的傾聴)、(2)クライエント中心療法
b.(1)系統的脱感作法、(2)行動療法
c.(1)転移、(2)精神分析
d.(1)自由連想、(2)精神分析

8.同じ問題や懸念を持つ5~10人の人々が、訓練を受けた臨床家と一緒に会う治療の様相は、________として知られています。
a.家族療法
b.カップル療法
c.集団療法
d.自助グループ

9.インテークでは何が行われますか?
a.セラピストは、クライエントの差し迫った必要性に対応するために、主な問題、クライエントを支える環境、保険の状況などの具体的な情報を収集します。セラピストは、守秘義務、料金、および治療セッションの中で予想されることについてクライエントに伝えます。
b.セラピストは、セラピーセッションで起こることを先導し、それぞれのメンバーの提示する問題を解決するための詳細なアプローチを設計します。
c.セラピストはカップルに会い、それぞれの人の背景、信念、および行動が2人の関係にどのような影響を与えているかを、2人が見極める手助けをします。
d.セラピストは、家族の境界線と構造を調べ、話し合います:それには、たとえば、誰がルールを決めるのか、誰と誰が一緒のベッドで寝るのか、どのように意思決定がされるのかが含まれます。

10.嗜癖を持つ人が望ましい結果を得るために、治療を受けるべき最短期間はどれだけですか?
a.3か月
b.6か月
c.9か月
d.12か月

11.ある個人が2つかそれ以上の診断を受けている場合、物質関連の診断と他の精神医学的な診断を含むことがしばしばありますが、これは________として知られています。
a.双極性障害
b.併存障害
c.共依存
d.二存障害

12.ジョンは約6か月間、薬物を使用していませんでした。その後、彼は嗜癖のある友人たちと付き合うようになり、今では再び薬物を乱用し始めています。これは、________の例です。
a.解放
b.復帰
c.再嗜癖
d.再発

13.社会文化的な視点では、あなたの________という文脈の中で、あなたやあなたの行動、そしてあなたの症状を見ていきます。
a.教育
b.社会経済的な地位
c.文化や背景
d.年齢

14.メンタルヘルス治療の障壁として挙げられていなかったものはどれですか?
a.治療に対する不安
b.言語
c.交通手段
d.民族的多数派の一員であること

批判的思考の問題

15.心理学的障害を持つ人々は、歴史を通じて劣悪な扱いを受けてきました。治療を改善するためのいくつかの取り組みを記述してください。その成功または失敗についての説明を含めてください。

16.通常、誰かが入院するのは、自分や他人に差し迫った脅威がある場合だけです。この基準を満たすような状況を記述してください。

17.あなたが精神科医だと想像してみてください。あなたの患者であるパットは、不安と悲しみの感情という症状を伴ってあなたのところにやってきました。あなたはどのような治療アプローチを勧めますか?また、その理由は何ですか?

18.個人療法と集団療法を比較対照してください。

19.あなたはインテーク評価を行っています。あなたのクライエントは職に就いている45歳の独身男性で、コカイン依存症です。彼は、職場の薬物検査で不合格となり、雇用主から、仕事を続けたければ治療を受けるように命じられています。あなたのクライエントは、自分が助けを必要としていることを認めています。あなたが彼に集団療法を勧める理由は何ですか?

20.ラショーンは24歳のアフリカ系アメリカ人女性です。彼女は何年も過食症に悩まされています。彼女は自分に問題があることはわかっていますが、精神保健サービスを受けようとはしていません。彼女が助けを求めるのをためらっているいくつかの理由は何でしょうか?

個人的に当てはめてみる問題

21.現在、精神疾患を患う人に関連する汚名があると思いますか?もしそうならば、その理由は何ですか?もしそうでないならば、その理由は何ですか?

22.あなたの地域には、メンタルヘルスのサービスを提供している場所がいくつかありますか?あなたは安心してそのような施設の1つに支援を求められますか?もしそうならば、その理由は何ですか?もしそうでないならば、その理由は何ですか?

23.もしあなたがこの章で紹介されている技法の1つを実践しているセラピストを選ぶとしたら、どのようなセラピストを選びますか?また、その理由は何ですか?

24.あなたの親友は、自分のいとこについて心配しているとあなたに言いました。そのいとこは10代の女の子で、いつも門限を過ぎて帰ってくるので、あなたの友人は彼女が飲酒しているのではないかと疑っています。あなたは友人にどのような治療の様相を勧めますか?また、その理由は何ですか?

25.あなたの地域には、物質関連および嗜癖障害の治療施設がいくつかありますか?それらはどのような種類のサービスを提供していますか?あなたは物質乱用の問題を抱える友人や家族に、そのような施設のうちのどれかを勧めますか?もしそうならば、その理由は何ですか?もしそうでないならば、その理由は何ですか?

26.メンタルヘルスの治療に対するあなたの態度はどのようなものですか?もしあなたが症状を経験したり、生活に支障をきたしたりした場合、あなたは治療を求めますか?もしそうならば、その理由は何ですか?もしそうでないならば、その理由は何ですか?あなたの文化的および/または宗教的信条は、心理学的介入に対するあなたの態度にどのような影響を与えていると思いますか?

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