第13章 産業-組織心理学

図13.1 | オフィスはどのように見えるでしょうか?在宅勤務をしている人は、自分の生活様式に合わせて仕事場所を変更することがあります。(credit: “left”: modification of work by Cory Zanker; credit “center”: modification of work by “@Saigon”/Flickr; credit “right”: modification of work by Daniel Lobo)

この章の概要

13.1 産業と組織の心理学とは何でしょうか?
13.2 産業心理学:従業員を選抜し、評価する
13.3 組織心理学:仕事の社会的側面
13.4 ヒューマンファクター心理学と職場デザイン

はじめに

2019年10月、アンドリュー・ソール社会保障局局長は、社会保障局が6年前に開始した約1万2000人の職員を対象としたテレワークプログラムを終了することを発表しました。当時のグレース・キム副局長は、プログラム終了の理由を説明した手紙を社会保障局の職員に宛てて書き、この試験的なプログラムを終了する理由として、業務量の増加と案件の滞留を挙げました。このテレワーク方針の変更は、米国連邦政府職員組合と社会保障局との間で交渉が行われ、連邦サービス交渉パネル(組合役員と連邦組織との間の交渉が決裂し、組織と組合代表者との間で進展が止まっている状況を仲裁するために特別に設けられた連邦の第三者機関)が仲介しなければならなくなった後に行われました(Wagner, 2019a)。

このパネルによる2019年5月の決定により、社会保障局の管理者たちは、すべての仕事が完了していること、および待ち時間が正常であることを確実にするために、自分の裁量で従業員のテレワークを制限したり、限定したりすることができるようになりました。その最大の理由として挙げられたのは、テレワークプログラムの実施後、個人の平均待ち時間が一時的に増加し、後日に完了させなければならない仕事が滞っているという証拠を組織が提示できたことでした。社会保障局は、同局内のすべてのテレワークの公式終了日を2020年3月に延期したものの、プログラムは正式に終了しました。COVID-19のパンデミックを受けて、議会はテレワーク方針の見直しを要求し、ウイルスの蔓延を減らしたり遅らせたりする予防策として役立てるために、テレワークを復活させるべきかどうかについて質問を投げかけています(Wagner, 2019b)。これにより、病気の蔓延を防ぐために、従業員が職場に来ないで仕事を続けることができるのでしょうか?ウイルスの蔓延が続く中で、従業員に再びテレワーク方針を導入することの便益と費用はどのようなものだったのでしょうか?テレワークについて、組織や従業員にとってのプラスとマイナスの利益に関連して、過去の研究ではどのようなことが示されていたのでしょうか?

13.1 産業と組織の心理学とは何でしょうか?

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 産業と組織の心理学の分野の研究範囲を理解する
  • 産業と組織の心理学の歴史を記述する

2019年、アメリカで働いている人たちは、週に平均して約42~54時間働いていました(Bureau of Labor Statistics—U.S. Department of Labor, 2019)。睡眠は、彼らが仕事よりも多くの時間を費やした唯一の他の活動であり、1週間あたりの平均時間は約43~62時間でした。就業時間は、労働者の時間とエネルギーのかなりの部分を占めています。それは彼らの生活や家族の生活に、身体的にも心理的にもプラスとマイナスの影響を与えます。産業・組織(I-O)心理学は、人間の行動や心理が仕事にどのような影響を与えるか、また人が仕事からどのような影響を受けるかを研究する心理学の一分野です。

産業・組織心理学者は、学術界、政府、コンサルティング会社、企業という4つの主要な状況で活躍しています。ほとんどのI-O心理学者は、修士号または博士号を保有しています。I-O心理学の分野は、産業、組織、ヒューマンファクターの3つの大きな領域に分けることができます(図13.2および図13.3)。産業心理学は、仕事の要件を記述し、個人がその要件を満たす能力があるかどうかを評価することに関係しています。また、産業心理学は、従業員が採用された後は、訓練、評価、および評価への対応方法を研究開発します。候補者の特性に関心を持つことの帰結として、産業心理学は雇用における差別に関する合法性の問題も考慮しなければなりません。組織心理学は、従業員間の関係が従業員や企業の業績にどのような影響を与えるかに関心を持つ学問分野です。これには、労働者の満足度、動機付け、コミットメントの研究が含まれます。また、この分野は、マネジメント、リーダーシップ、組織文化を研究するとともに、組織の構造、マネジメントとリーダーシップのスタイル、社会規範、役割の期待が個人の行動にどのように影響するかを研究します。また、組織心理学は、労働者の福利厚生や人間関係に関心があることの結果として、セクシュアルハラスメントを含むハラスメントや職場での暴力という主題についても検討します。ヒューマンファクター心理学とは、労働者が仕事の道具とどのように相互作用するか、また労働者の生産性、安全性、健康を最適化するためにそれらの道具をどのように設計するかを研究するものです。これらの研究は、机、椅子、コンピュータがフィットしているかという単純なことから、人間が毎日数時間机の前で椅子に座ってコンピュータを使用しなければならないというようなことまでを含みます。また、複雑なディスプレイを人間がどのように操作し、それを正確かつ迅速に解釈する能力を調べることも含まれます。ヨーロッパでは、この分野はエルゴノミクスと呼ばれています。

図13.2 | (a)産業心理学は、従業員の雇用と維持に注目しています。(b)組織心理学は、従業員の人間関係や組織文化に関心があります。(credit a: modification of work by Cory Zanker; credit b: modification of work by Vitor Lima)

図13.3 | ヒューマンファクター心理学は、人間、道具、および作業システムの相互作用を研究する学問です。(a)従来型のデスクでは、特定の配置がエルゴノミクスと健康にとって理想的です。(b)最近の職場の展開では、ボールに座ったり、立ったり、さらには自転車をこぎながら仕事をするようなデスクも登場しています。(credit “ball chair”: modification of work by Chris Rosario; credit “standing desk”: modification of work by “juhansonin_Flickr”/Flickr; credit “cycle desk”: modification of work by “Benny Wong_Flickr”/Flickr)

職業保健心理学(OHP)は、職場で生じ、従業員に影響を与えるストレス、病気、および障害を扱う分野です。そのため、この分野では、医学、生物学、心理学、組織学、ヒューマンファクター、人的資源、産業の各分野の研究成果が反映されています。この分野の研究者は、組織が従業員の労働生活の質にどのような影響を与えるか、また、従業員が組織に対して、あるいは組織の影響を受けた結果として、どのような反応を示すかを調べようとしています。従業員の反応は職場に限られたものではなく、特に仕事と生活のバランスがうまくいっていない場合には、仕事以外の個人的な生活にも波及することがあります。職業保健心理学者の最終的な目標は、個人の総合的な健康と福利を向上させ、その結果、組織の総合的な健全性を増進させることです(Society for Occupational Health Psychology, 2020)。

2009年、ある会議で出会ったI-O心理学者の小さなグループの発案により、人道的労働心理学(HWP)という分野が開発されました。十分なサービスを受けておらず恵まれない人々を支援することを含む共通の一連の目標があることに気づいたI-O心理学者たちは、2012年に正式にグループを結成し、世界中に約300人のメンバーがいます。これは少数ではありますが、グループは拡大を続けています。このグループは、低所得者などの社会的に疎外されたメンバーが仕事を見つけるのを支援することを目指しています。また、彼らは、大災害時に人道支援を行うための方法を検討しています。人道的労働心理学のグループは、知識、技能、能力(KSA)を持たない地域住民にも手を差し伸べて、彼らが有給の仕事に就いて援助を受けなくても済むようにすることができます。どちらのケースでも、人道的労働心理学者は、十分なサービスを受けていない人々が自分の生活や現状を改善するために使えるKSAを身につけられるように支援を試みます。これらの十分なサービスを受けていない人々にトレーニングや教育を受けさせる際には、一度学んだならば忘れることがなく、生涯にわたって就職活動に役立つような技能に焦点を当てます(APA, 2016)。表13.1は、I-O心理学の主な分野とその焦点、およびそれぞれの分野での仕事をまとめたものです。

表13.1

学習へのリンク

I-O心理学者がどのような仕事をしているかは、この分野で働く人々のための専門組織である産業・組織心理学会(SIOP)(http://openstax.org/l/siop)のウェブサイトで知ることができます。このサイトでは、何人かのI-O心理学者のプロフィールも紹介されています。

産業・組織心理学の歴史的発展

産業・組織心理学の起源は、20世紀初頭に遡ります。初期の影響力のある心理学者の中には、今日であれば産業心理学として分類されるような問題を研究している者がいました:それは、ジェームズ・キャッテル(1860-1944)、ヒューゴー・ミュンスターバーグ(1863-1916)、ウォルター・ディル・スコット(1869-1955)、ロバート・ヤーキース(1876-1956)、ウォルター・ビンガム(1880-1952)、およびリリアン・ギルブレス(1878-1972)です。キャッテル、ミュンスターバーグ、スコットは、実験心理学の父であるヴィルヘルム・ヴントの教え子でした。これらの研究者の中には、第一次世界大戦以前から産業心理学の分野で研究を行っていた人もいました。キャッテルの産業心理学への貢献は、現在も営業を続けている心理コンサルティング会社サイコロジカル・コーポレーションを設立したことや、コロンビア大学での学生たちが産業心理学の分野で成果を上げたことに大きく反映されています。ミュンスターバーグは、1913年に『心理学と産業効率』を出版し、その中で、従業員の選抜、従業員のトレーニング、効果的な広告などのトピックを取り上げました。

スコットは、心理学を広告、経営、人材の選抜に応用した最初の心理学者の1人です。1903年、スコットは『広告の理論』と『広告の心理学』という2冊の本を出版しました。これらの本は、ビジネスの世界での心理学の使用を記述した最初の本です。1911年には、さらに『ビジネスにおける人への影響』と『ビジネスにおける人間の効率性の増加』という2冊を出版しました。1916年、カーネギー工科大学に新設された部門が、従業員の選抜に関する応用研究を行うためにスコットを雇いました(Katzell & Austin, 1992)。

これらの研究の焦点は、現在では産業心理学として知られているものに向けられていました。組織心理学の分野が実験科学として発展したのは、20世紀の後半に入ってからのことです(Katzell & Austin, 1992)。また、これらの研究者は、学術的な立場だけでなく、コンサルタントとして企業に直接働きかけることもありました。

1917年4月にアメリカが第一次世界大戦に参戦すると、この学問分野で働く心理学者たちの仕事は、軍事的な活動への貢献も含むように拡大しました。当時、ヤーキースは25年前に設立されたアメリカ心理学会(APA)の会長を務めていました。APAは、米国における臨床心理学者と研究心理学者のための職能団体です。現在、APAは会議の開催、大学の学位プログラムの認定、および科学雑誌の発行を含む、さまざまな機能を果たしています。ヤーキースは、軍医総監室(SGO)の下で、下士官の適正審査と選抜の方法を開発するグループを組織しました。彼らは、精神的な能力を測定するための陸軍アルファ試験を開発しました。陸軍ベータ試験は、この試験を非言語化した形態で、読み書きのできない、あるいは英語を話せない徴兵者に実施されました。スコットとビンガムは、将校の選抜方法を開発することを目的に、総務局長室(AGO)の下にグループを組織しました。彼らは、陸軍の職業的必要性の一覧を作成し、本質的には職務記述書のシステムと、将校のための業績評価と職業技能試験のシステムを作成しました(Katzell & Austin, 1992)。戦後も人事選考に関する研究は続けられました。たとえば、ミリセント・ポンドは、工場労働者の選抜について研究し、雇用前のテストの結果と職務業績のさまざまな指標を比較しました(Vinchur & Koppes, 2014)。

1929年から1932年にかけて、エルトン・メイヨー(1880-1949)とその同僚は、シカゴ近郊の工場(ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場)で一連の研究を開始しました(図13.4)。この長期プロジェクトは、産業心理学を、単なる従業員の選抜と配置にとどまらず、個人間関係、動機付け、および組織力学といったより複雑な問題の研究へと発展させました。これらの研究は、組織心理学の起源となるものです。これらの研究は、物理的な作業環境(たとえば、工場内の照明レベル)の影響に関する研究として始まりましたが、研究者たちは、工場内の心理的・社会的要因の方が物理的要因よりも興味を引くものであることに気づきました。これらの研究では、上司のスタイルなどの人間の相互作用の要因がどのように生産性を増減させるかについても検討しました。

図13.4 | ホーソン工場は、いくつかの初期のI-O研究の舞台となりました。

後続の研究者による調査結果の分析により、ホーソン効果という言葉が生まれました。ホーソン効果とは、研究者や上司に観察されていることを意識した個人の成果が向上することを指します(図13.5)。当初の研究者たちが発見したのは、照明レベルなどの変数をどのように変化させても、生産性が向上するということでした。それは、照明が悪い状態に戻るというような負の変化であっても同様でした。この効果は、注目が弱まると薄れてしまいました(Roethlisberg & Dickson, 1939)。ホーソン効果の概念は、今日でも多くの分野で実験上の重要な検討事項として、また実験でコントロールしなければならない要因として残っています。言い換えれば、ある種の実験の取り扱いでは、研究者が参加者に対してより大きな注意を払っているという理由だけで、効果を生み出すかもしれないということです(McCarney et al., 2007)。

図13.5 | 研究者は、研究者や上司が従業員を観察したり交流したりするときに、従業員がより良く仕事を遂行することを発見しました。この力学は、ホーソン効果と名づけられました。

学習へのリンク

オリジナルのホーソン研究の直接の体験談を収録したビデオ(http://openstax.org/l/ATT)を見て、さらに学んでください。

1930年代、研究者は従業員の仕事についての感情を研究し始めました。クルト・レヴィンは、さまざまなリーダーシップのスタイル、チーム構造、チーム力学の効果に関する研究も行いました(Katzell & Austin, 1992)。レヴィンは、社会心理学の創始者と見なされており、彼と彼の学生たちの研究の多くは、組織心理学に重要な影響を与える結果を生み出しました。レヴィンと彼の学生たちの研究には、子供を使ってリーダーシップのスタイルが攻撃性、集団力学、満足度に与える影響を調べた初期の重要な研究が含まれていました(Lewin, Lippitt, & White, 1939)。レヴィンは、集団力学という言葉を作った貢献者でもあり、組織心理学に影響を与える集団の相互作用、協力、競争、コミュニケーションの研究に携わっていました。

こうした産業・組織心理学の研究と並行して、ヒューマンファクター心理学という分野も発展していました。フレデリック・テイラーは、職場を再設計することができれば、会社の生産高と労働者の賃金の両方が向上すると考えた技術者でした。1911年、彼は『科学的管理法の諸原理』という本で自分の理論を提示しました(図13.6)。この本では、経営管理の理論、人材の選抜と育成、そして仕事そのものについて、時間動作研究を用いて考察しています。テイラーは、経営管理の原則的な目標は、雇用主のために最も多くのお金を稼ぎ、従業員のために最良の結果をもたらすことであると主張しました。テイラーは、従業員と経営者にとっての最良の結果は、それぞれの従業員が最高の仕事を提供できるように訓練と開発を行うことで達成されると考えました。彼は、組織と従業員の両方に時間と動作の調査を行うことによって、両者の最善の利益につながると考えました。時間動作研究とは、異なる種類の作業を測定可能な部分に分割することにより、作業を改善することを目的とした手法です。これらの分析は、作業の標準化と、人や機器の効率性の確認に用いられました。

人材の選抜とは、社内の採用担当者が仕事に最適な候補者を募集し、選考するために用いるプロセスです。採用された候補者がどのような技能を持っているかによって、トレーニングを実施する必要があるかもしれません。しばしば企業は、他者に溶け込むような人格を持っているものの、技能が不足していることのある人を採用する場合があります。技能は教えることができますが、人格は簡単には変えられません。

図13.6 | (a)フレデリック・テイラー(1911)は、(b)著書『科学的管理法の諸原理』で示した考え方に基づいて、生産性を向上させるために職場の改善に努めました。(c)テイラーは、ミッドベール・スチール社でこのスチームハンマーを設計しました。(credit c: modification of work by “Kheel Center, Cornell University”/Flickr)

テイラーの理論を実践した例の1つに、重い鉄のインゴットを扱う労働者があります。テイラーは、労働者が休息をとることによってより生産的になることを示しました。この休息法により、労働者の生産性は1日あたり12.5トンから47.0トンに向上し、疲労の報告も少なくなり、トン単位で支払われていた労働者の賃金も増加しました。それと同時に、会社のコストも1トンあたり9.2セントから3.9セントに削減されました。このような生産性の向上にもかかわらず、テイラーの理論は、労働者を搾取し、必要な労働者の数を減らすと考えられたため、当時は大きな批判を受けました。また、経営者のみが最も効率的な仕事のやり方を決めることができ、仕事中の労働者にはそれができない、という根底にある概念もまた議論を呼ぶものでした。テイラーの理論は、労働者は基本的に怠け者である、という考え方に支えられていました。テイラーの科学的管理法のアプローチの目的は、労働者の福利をあまり気にすることなく、生産性を最大化することでした。彼のアプローチは、労働組合や労働者に同情的な人々から批判されました(Van De Water, 1997)。

ギルブレスは、生産性を向上させる方法を見つけようと努力した、もう1人の影響力のあるI-O心理学者です(図13.7)。ギルブレスと夫のフランクは、時間動作研究を用いて、課題を実行するために必要な動作の数を減らすことによって、労働者をより効率的にすることに取り組みました。彼女はこれらの手法を産業界だけでなく、家庭、オフィス、店舗やその他の領域にも適用しました。彼女は、従業員の疲労や時間管理のストレスを調査し、多くの従業員が金銭や仕事の満足度を動機としていることを発見しました。1914年、ギルブレスは『経営管理の心理学:最も無駄のない方法の決定、指導、導入における心の働き』というタイトルの本を書きました。彼女は、現代的な経営管理の母として知られています。ギルブレスの貢献の中には、今でも使われているものもあります:あなたは、冷蔵庫の扉の内側に棚を付けるというアイデアについて彼女に感謝することもできますし、彼女はゴミ箱の蓋を足のペダルで操作するというコンセプトも思いつきました(Gilbreth, 1914, 1998; Koppes, 1997; Lancaster, 2004)。ギルブレスは、1926年に女性として初めてアメリカ機械学会に入会し、1966年にはアメリカ土木学会のフーバーメダルを授与されました。

テイラーとギルブレスの仕事は生産性を向上させましたが、これらの革新は技術とそれを使う人間の適合性も向上させました。機械と人間の適合性を研究する学問は、エルゴノミクスまたはヒューマンファクター心理学として知られています。

図13.7 | (a)リリアン・ギルブレスは、職場や家庭、その他の領域に適用できる効率性の改善について研究しました。彼女は、(b)冷蔵庫の扉の内側に棚をつけることや、(c)足踏み式のゴミ箱などのアイデアを考案したことで知られています。(credit b: modification of work by “Goedeker’s”/Flickr; credit c: modification of work by Kerry Ceszyk)

第二次世界大戦から今日まで

第二次世界大戦は、産業心理学の拡大も後押ししました。ビンガムは、陸軍省(現在の国防総省)の主任心理学者として採用され、職務の選択、分類、訓練、および業績評価についての新しいシステムに加え、チーム開発、士気の向上、および態度の変化の方法を開発しました(Katzell & Austin, 1992)。カナダやイギリスなどの他の国々も同様に、第二次世界大戦中にI-O心理学の発展を経験しました(McMillan, Stevens, & Kelloway, 2009)。戦後の数年間は、産業心理学と組織心理学の両方が重要な研究対象の領域となりました。雇用テストの公平性についての懸念が生じ、さまざまなテストにおける民族的・ジェンダー的な偏りが評価され、さまざまな結果が出ました。さらに、仕事の満足度や従業員の動機付けを調べるための多くの研究も行われました(Katzell & Austin, 1992)。

従業員の選抜、配置、および業績評価の分野におけるI-O心理学者の研究と仕事は、1960年代にますます重要になりました。議会が1964年に公民権法を成立させたとき、この法律の第7編は雇用機会均等として知られるものを対象としていました。この法律は、人種、肌の色、宗教、性別、および出身国に基づく差別や、これらのカテゴリーのいずれかに属する個人と関係した従業員に対する差別から従業員を保護するものです。

組織は公民権運動の社会的、政治的、法的環境に適応しなければならず、I/Oのメンバーは研究と実践の中でこれらの問題に取り組む必要がありました。

組織がI/Oに関心を持つ多くの理由があります。組織は、労働者の心理をより良く理解することで、組織の生産性や競争力を高める方法を理解することができます。たとえば、ほとんどの大企業はグローバルなレベルで競争にさらされており、高い生産性と効率性を実現するためには、労働者を動機付ける方法を理解する必要があります。また、ほとんどの企業は多様な労働力を抱えており、こうした多様な背景を持つ人々の心理的な複雑さを理解する必要があります。

この章の残りの部分であなたが学ぶように、今日では、I-O心理学は研究と実践についての多様で深い分野となっています。APAの一部門である産業・組織心理学会(SIOP)には8000人の会員がおり(SIOP, 2014)、米国労働省労働統計局(Bureau of Labor Statistics—U.S. Department of Labor, 2013)は、2012年以降の20年間で、この職業はすべての職業分類の中で最も成長するだろうと予測しています。産業・組織心理学の修士号を取得した人は平均して年収8万ドル以上、博士号を取得した人は年収11万ドル以上を得るでしょう(Khanna, Medsker, & Ginter, 2012)。

13.2 産業心理学:従業員を選抜し、評価する

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 従業員の選抜についてのいくつかの側面を説明する
  • 職業訓練の種類を記述する
  • 業績評価へのアプローチとそれにまつわる問題点を記述する

I-O心理学の中でも産業心理学として知られる分野は、組織の中で人を識別し、職務に一致させることに焦点を当てています。これには、職務や仕事を正確に記述することを意味する業務分析が含まれます。次に、組織は業務分析に一致するような応募者の特徴を特定しなければなりません。また、産業心理学には、組織への入社初日から在職期間中の従業員を訓練し、その間の彼らの成果を評価することも含まれます。

従業員を選抜する

あなたは求人広告を見ているときに、その会社がどのようにして職務内容の記述を考え出したのか気になったことはありますか?しばしば、これはI-O心理学者の助けを借りて行われます。業務分析には2つの関連した、しかし異なるアプローチがあります。それらはしばしば同じ求人広告に掲載されているので、あなたはそれぞれの結果をよく知っているかもしれません。1つ目のアプローチはタスク指向で、その仕事で実行されるタスクを詳細に列挙します。典型的には、それぞれのタスクが実行頻度、難易度、仕事への重要度などの尺度で評価されます。2つ目のアプローチは、労働者志向です。このアプローチでは、仕事をうまく遂行するために労働者に求められる特性を記述します。この2つ目のアプローチは、職務仕様と呼ばれています(Dierdorff & Wilson, 2003)。職務仕様では、仕事に必要な知識、技能、能力(KSA)を特定します。

どちらのタイプの業務分析にも必要な情報を得るために、観察、調査、および面接が用いられます。ある職務に精通している人を観察し、どのような技能があるのかを分析することが可能です。また、もう1つの用いられるアプローチとして、現在その職務に就いている人、その同僚、上司に面接を行い、その職務に必要とされる要件として彼らが考えていることについて意見の一致を得るというものがあります。

業務分析は、どれだけ正確で信頼できるでしょうか?研究によると、記述の性質や業務分析の情報源に依存する可能性が示唆されています。たとえば、ディアドフとウィルソン(Dierdorff & Wilson, 2003)は、その職務に就いている人自身が提供した記述から作成された業務分析の信頼性が最も低いことを発見しました。しかしながら、彼らはなぜそうなのかについては研究も推測もしていません。

米国労働省は、さまざまな仕事や職業について過去にまとめられた業務分析のデータベースを保持しています。これにより、I-O心理学者は、ほぼすべてのタイプの職業に関する過去の分析結果にアクセスすることができます。このシステムはO*Netと呼ばれています(<www.onetonline.org>でアクセスできます)。このサイトは公開されており、あなたは自分の職種や気になっている職種について掲載されているKSAを見ることができます(図13.8)。それぞれの職業の項目には、その職種で成功するために必要と考えられるタスク、知識、技能、能力、仕事の背景、仕事の活動、教育要件、興味、人格要件、および仕事のスタイルが掲載されています。また、あなたはその業界の平均収入や予測される雇用成長率などのデータも見ることができます。

図13.8 | 米国労働省のO*Netデータベースでは、その職種に求められる知識、技能、能力を含む、さまざまな職業についての情報を提供しています。この例では、自治体の消防士という仕事に関連する情報の検索結果が示されています。

学習へのリンク

O*Netデータベースには、さまざまな職業に必要な技能、知識、教育のほか、どのような人格タイプや仕事のスタイルがその役割に適しているかが記載されています。レストランの食事の給仕係(http://openstax.org/l/sumreport1)、小学校の教師(http://openstax.org/l/sumreport2)、産業・組織心理学者(http://openstax.org/l/sumreport3)になることについてどのように書かれているかを見て、これらのキャリアパスについてさらに学んでください。

候補者の分析とテスト

企業がある職種の潜在的な候補者を特定したら、候補者の知識、技能、およびその他の能力を評価し、職務内容と比較しなければなりません。この評価には、テスト、面接、および仕事のサンプルや実践などが含まれます。あなたは、人格テストについて人格の章で学びましたが、I-Oの文脈では、それらのテストは候補者の人格特性を特定し、職務上のよい業績を保証するであろう人格特性と一致させるために使用されます。たとえば、カスタマーサポートの職種では、同調性で高い評価を受けることが望ましいかもしれません。しかしながら、人格特性と仕事上の業績の予測とをどのように相関させるのがベストなのかは、必ずしも明確ではありません。もしかしたら、カスタマーサポートの職種では、同調性のスコアが高すぎるとかえって障害になるかもしれません。たとえば、ある顧客が製品やサービスについて誤った認識を持っている場合、その誤った認識に同意しても、最終的な顧客の不満の解決にはつながらないでしょう。人格テストを使用する際には、テストのどのスコアが良い業績と相関するのかについての実証された評価を伴うべきです(Arthur, Woehr, & Graziano, 2001)。候補者に行うテストには、他にもIQテスト、誠実さのテスト、薬物テストや体力テストなどの身体的テストが含まれます。

採用プロセスの理解を深めるために、ある事例を考えてみましょう。ある企業が空いた職種があると判断し、広告を出しました。人的資源(HR)マネージャーは、採用チームに採用プロセスを開始するよう指示しました。イマニは広告を見て履歴書を提出し、それが候補者の履歴書の束の中に入りました。HRチームは候補者の経歴を確認し、最も優秀な候補者のリストをこの部門のマネージャーに提出しました。マネージャーはその候補者(イマニを含む)に連絡を取り、個別面接を設定しました。

あなたはどう考えますか?

足切りスコアを利用して職業選択を決定する

多くの職種では、応募者は選考プロセスの一環としてテストを受ける必要があります。そのテストには、IQテスト、職業別技能テスト、または人格テストが含まれます。組織は、それぞれのテストに足切りスコア(つまり、それ以下では候補者が先に進めないようなスコア)を設定し、応募者が次の段階に進むかどうかを決定することがあります。たとえば、49歳で大学を卒業し、コネチカット州ニューロンドンの警察のある職種に応募したロバート・ジョーダンの事例がありました。選考プロセスの一環として、ジョーダンは認知能力を測るように設計されたテストであるワンダーリック人格テスト(WPT)を受けました。

ジョーダンは面接の段階に進むことができませんでした。なぜなら、彼のWPTのスコアが33点であり、これはIQスコア125(平均的なIQスコアは100)に相当し、高すぎたためです。ニューロンドン警察の方針では、WPTスコアが27点超(IQスコア104点以上に相当)の人には面接をしないことになっています。なぜなら、それ以上のスコアの人は警察の仕事に飽きてしまうであろうと考えたからです。全国の警察官の平均スコアはIQスコア104に相当します(Jordan v. New London, 2000; ABC News, 2000)。

ジョーダンは、自分が不採用になったのは差別であり、法の下の平等な保護を拒否されたため公民権が侵害されたとして、警察を訴えました。米国第二巡回区控訴裁判所は、ニューロンドン市はテストの受験者全員に同じ基準を適用していたので、彼を差別していないという下級裁判所の判断を支持しました(The New York Times, 1999)。

あなたはどう思いますか?一律の足切り点が採用決定において意味を持つのはどのような場合なのでしょうか?また、そのような足切り点によって、潜在的に有能な従業員が排除されてしまうことがあるでしょうか?

面接

米国の中規模から大規模な企業のほとんどの仕事では、選考プロセスの一段階として個人面接が必要とされています。面接は一般的に使用されているため、産業心理学者の間ではかなりの研究対象となっています。業務分析から得られた情報は、通常、いくつかのタイプの問われる質問の基礎となります。面接は、標準的なテストで測定するよりも、候補者についてのより動的な情報源となり得ます。重要なのは、社会的要因とボディランゲージが面接の結果に影響を与えることです。これらには、応募者が面接官に似ている度合いなどの影響や、手振り、頭のうなずき、笑顔などの非言語的行動が含まれます(Bye, Horverak, Sandal, Sam, & Vivjer, 2014; Rakić, Steffens, & Mummendey, 2011)。

面接には、構造化されていない面接と構造化された面接の2種類があります。構造化されていない面接では、面接官は候補者ごとに異なる質問をすることがあります。ある候補者にはキャリアの目標について尋ね、別の候補者には以前の仕事の経験について尋ねるかもしれません。構造化されていない面接では、常にではありませんが、多くの場合、質問は事前に指定されません。また、構造化されていない面接では、質問に対する回答は一般的には標準的なシステムを使って採点されません。構造化された面接では、面接官はすべての候補者に同じ質問をし、質問は事前に準備されており、面接官はそれぞれの回答に対して標準化された採点システムを使用します。このアプローチでは、面接官は2人の候補者の面接を正確に比較することができます。マクダニエル、ウェッツェル、シュミット、およびマウラー(McDaniel, Whetzel, Schmidt & Maurer, 1994)は、さまざまなタイプの就職面接の有効性を調査した研究のメタ分析において、構造化された面接は求職者のその後の職務成績を予測するのにより効果的であることを発見しました。

話を私たちの事例に戻しましょう。最初の面接で、イマニは会社の社員からなるチームによって面接を受けました。彼女はその日、その職種のために面接を受けた5人の候補者のうちの1人でした。それぞれの面接者は、同じ人から同じ一連の質問をされたので、面接の経験は応募者間で可能な限り一貫したものになりました。面接の終わりに、HRチームは顔を合わせ、イマニと他の候補者の答えを検討しました。その後、HRチームは新たに適格な候補者を数名特定し、新たな一次面接を行いました。その間、最初のグループの採用候補者は会社からの返事を待つことになりました。

日常へのつながり

就職面接のために準備する

あなたは、心理学の研究が就職面接で成功する方法を教えてくれるのか疑問に思うかもしれません。あなたが想像できるように、ほとんどの研究は、仕事に最も適した候補者を選ぶという雇用主の関心に関係しているものであり、その目的は候補者にとっても意味のあるものです。しかし、仮にあなたがその仕事に適格である唯一の候補者ではないとしたら、あなたが採用される可能性を高める方法はあるのでしょうか?この問題を扱った研究の量は限られています。

あなたが予想するように、面接では非言語的な手がかりが重要です。リデン、マーティン、およびパーソンズ(Liden, Martin, & Parsons, 1993)は、応募者側がアイコンタクトや笑顔を欠くと、応募者の評価が低くなることを発見しました。応募者側の印象管理についての研究では、自己宣伝の行動は一般的に面接官に良い影響を与えることが示されています(Gilmore & Ferris, 1989)。さまざまな人格タイプの人は、異なる印象管理の形態を用います。たとえば、外向的な人は言葉による自己宣伝を行い、同調性が高い応募者は笑顔やアイコンタクトなどの非言語的な方法を使います。自己宣伝は、面接での肯定的な結果と最も一貫して関連しており、特に候補者の人物と仕事の適合性に関連している場合に顕著でした。しかしながら、経験豊富な面接官の場合では、自己宣伝をやりすぎてしまう可能性があります(Howard & Ferris, 1996)。バリック、スワイダー、およびスチュワート(Barrick, Swider & Stewart, 2010)は、面接が始まる前に生じる調和した関係性の構築の際の第一印象の影響を調べました。彼らは、この時の面接官の最初の判断が採用の内定に関係しており、その判断は候補者の能力に関するものであり、単なる好感度ではないことを発見しました。レヴァインとフェルドマン(Levine & Feldman, 2002)は、模擬面接におけるいくつかの非言語的行動が、候補者の好感度と能力の予測に与える影響を調べました。好感度は、より笑顔の多い行動によって肯定的な影響を受けました。興味深いことに、他の行動は、応募者のジェンダーによって好感度に異なる影響を与えました。男性はアイコンタクトが多いと好感度が下がり、女性はアイコンタクトが多いと好感度が上がりました。ただし、この研究では、男性の応募者には男性が、女性の応募者には女性が面接をしています。デグルートとグーティー(DeGroot & Gooty, 2009)は、実際の環境で行われた研究で、非言語的な手がかりが面接官の候補者に対する評価に影響を与えることを発見しました。彼らは、候補者が修正できることの多い視覚的な手がかりと、修正が困難な発声的な(非言語的な)手がかりに注目しました。彼らは、誠実性については視覚的・発声的手がかり、経験への開放性については視覚的・発声的手がかり、外向性については発声的手がかりによって面接官の判断が肯定的な影響を受けることを見出しました。

これまでに行われた限られた研究から得られた教訓は何でしょうか?面接中の自分の行動を意識することを学びましょう。そのためには、練習をしたり、模擬面接のフィードバックを受けたりするとよいでしょう。自分が出している非言語的な手がかりに注意を払い、自信と前向きな人格特性を示す非言語的な手がかりを提示するように取り組みましょう。そして最後に、あなたの第一印象が面接に影響を与える可能性があるため、自分が作りだす第一印象に注意を払いましょう。

訓練

多くの仕事において、訓練は成功と成果のための重要な要素です。ほとんどの仕事はオリエンテーションの期間から始まります。オリエンテーションの期間には、新入社員は会社の歴史、方針、そして、勤怠管理、福利厚生、および報告義務などの管理手続きに関する情報を与えられます。オリエンテーション研修の重要な目的は、新入社員に組織文化、価値観、展望、階層、規範、および会社の従業員の交流の仕方—本質的に組織がどのように経営され、どのように運営され、どのように意思決定されているか—について教えることです。また、個人が採用された職務に特化した訓練や、雇用期間中に新しい職務の側面を教えたり、新しい物理的な道具またはソフトウェアツールの使用方法を教えたりする訓練もあるでしょう。これらの種類の訓練の多くは、従業員のために形式化されています。たとえば、オリエンテーション訓練は、ソフトウェアでのプレゼンテーション、人事部のメンバーによるグループ・プレゼンテーション、または新入社員の所属部署の人々によるプレゼンテーションを用いて行われることがしばしばあります(図13.9)。

図13.9 | 訓練は通常、新入社員が会社の方針、慣行、文化について学ぶオリエンテーション期間から始まります。(credit: Cory Zanker)

メンタリングとは、経験豊富な従業員が新入社員の仕事を指導する非公式な訓練の一形態です。いくつかの状況では、新入社員にメンターが正式に任命される場合もあれば、別の状況では、非公式にメンタリングの関係を築く場合もあります。

メンタリングが、メンターとメンタリングされる社員(プロテジェ)に与える影響は、近年研究されています。エビー、アレン、エヴァンス、ヌー、およびデュボア(Eby, Allen, Evans, Ng, & DuBois, 2008)は、メンタリング研究のレビューにおいて、メンタリングが業績(すなわち、行動の成果)、動機付けと満足度、および実際のキャリアの成果に対して、有意ではあるが小さな効果があることを発見しました。アレン、エビー、ポティート、レンツ、およびリマ(Allen, Eby, Poteet, Lentz, & Lima, 2004)は、さらに詳細なレビューの中で、メンタリングを受けていない社員と比較して、プロテジェの報酬や昇進回数に対してメンタリングが肯定的な影響を与えていることを見出しました。さらに、プロテジェは自分のキャリアにより満足しており、仕事への満足度も高かったです。いずれの効果も小さいものですが、有意でした。エビー、ダーリー、エヴァンス、およびラギンス(Eby, Durley, Evans, & Ragins, 2006)は、メンターに対するメンタリングの効果を調査し、メンタリングは、より大きな仕事の満足度と組織への献身と関連していることを明らかにしました。ジェントリー、ウェーバー、およびサドリ(Gentry, Weber, & Sadri, 2008)は、メンタリングが上司による業績評価と正の関係にあることを発見しました。アレン、レンツ、およびデイ(Allen, Lentz, & Day, 2006)は、メンターと非メンターを比較した結果、メンタリングは、報告された給与や昇進の増加につながることを見出しました。

メンタリングは、非公式なネットワークとのつながりを作ること、男性管理職が馴染みやすい交流スタイルを採用すること、昇進における差別を克服することにより、女性のキャリアの成功にとって特に重要であると認識されています(McKeen & Bujaki, 2007)。

メンタリング関係におけるジェンダーの組み合わせも、活発に研究されている分野です。ラギンスとコットン(Ragins & Cotton, 1999)は、メンタリング関係の成果に対するジェンダーの影響を研究し、特に男性メンターの履歴を持つプロテジェ(特に男性のプロテジェ)の報酬が有意に高いことを明らかにしました。この研究では、女性のメンターと男性のプロテジェの関係は、他のジェンダーの組み合わせよりもかなり稀であることがわかりました。

2003年に行われたアーサー、ベネット、エデンス、およびベルによる研究では、組織における訓練がどれほど効果的かを調べるために、他の複数の研究を検証しました。彼らの結果は、4つのタイプの測定に基づくと、訓練が効果的であることを示していました:そのタイプとは、(1)訓練の取り組みに対する従業員の即時の反応、(2)研修終了時の学習成果を示すテスト、(3)上司による職務活動についての行動測定、(4)生産性や利益などの結果でした。検証された研究は、自習、講義と討論、コンピュータ支援訓練など、さまざまな形態の訓練でした。

従業員を評価する

産業・組織心理学者は、一般的に組織の業績評価システムの設計に関わります。これらのシステムは、それぞれの従業員が自分の仕事を満足に遂行しているかどうかを評価するように設計されます。産業・組織心理学者は、仕事の評価をできるだけ公平で実際的なものにする方法を研究、調査、実装します。彼らはまた、業績評価に関わる主観性を減らすことにも取り組んでいます。公平に評価された仕事は、従業員の仕事の質を向上させるのに役立ち、才能に合った仕事に就く可能性を高め、公平性を維持し、会社や個人の訓練の必要性を明らかにします。私たちの事例では、イマニは職務を提供され、90日間の試用期間を設けて採用されました。その間、彼女は上司と面談し、自分の業績や職務についての期待、自分の成長について話し合いました。90日間の終了時には、イマニは雇用主の期待に応えており、試用期間を通過したと判断されました。イマニは正規雇用となったことに興奮していました。

業績評価は通常、年に数回記録され、しばしば正式なプロセスおよび従業員と上司の間の年に一度の対面式の簡単な面談が伴います。業績評価には、当初の業務分析や、従業員によって、または従業員と上司によって設定された目標が役割を果たすということが重要です。面談は、上司が従業員の成果についての具体的な懸念を伝え、優れた成果の要素を積極的に強化するためによく使われます。また、面談は、昇給などの具体的な業績に対する報酬や、試用期間中などの業績不振に対する結果について話し合うためにも使われます。組織にとっての業績評価の機能の一部は、従業員を解雇する決定を補強するために業績不振を記録することです。

業績評価は、組織内でより複雑なプロセスになってきており、従業員の職務の業績を評価するだけでなく、業績を向上させ、適正の領域を拡大するように従業員を動機付けるためにしばしば使用されます。この性質のために、業績評価は、訓練の機会を特定したり、特定の訓練プログラムが成功したかどうかを確認したりするのにも使うことができます。業績評価の1つのアプローチは、360度フィードバック評価と呼ばれるものです(図13.10)。このシステムでは、従業員の評価は、上司、同僚、その従業員が監督する従業員、およびその従業員自身による評価の組み合わせから得られます。場合によっては、顧客などの外部観察者を利用することもあります。360度システムの目的は、従業員(マネージャーの場合もあります)と上司に、その従業員の業績について異なる視点を与えることです。このシステムは、従業員が自らの努力や訓練によって改善を図ることを支援するものであるべきです。また、このシステムは、従来の業績評価の場面でも使用され、従業員の職務や報酬について決定を行うためのより多くの情報を上司に提供します(Tornow, 1993a)。

図13.10 | 360度業績評価では、上司、顧客、直属の部下、同僚、そして従業員本人が、従業員の業績を評価します。

360度の手法の有効性を評価した研究はほとんどありませんが、アトキンスとウッド(Atkins & Wood, 2002)は、自己評価と同僚評価は、従業員の業績の評価としては信頼できないものであり、上司でさえも自分に控えめなフィードバック評価をした従業員を過小評価する傾向があることを発見しました。しかしながら、別の視点では、従業員と上司が不一致の理由を話し合うことで、従業員の側に大きな学習効果をもたらすという点において、評価のばらつきは肯定的に捉えられています(Tornow, 1993b)。

理論的には、業績評価は目標達成を望む組織にとっての資産であるべきであり、ほとんどの従業員は、自分の仕事に関するフィードバックが提供されなければ、実際にそれを求めるでしょう(DeNisi & Kluger, 2000)。しかしながら、実際には、多くの業績評価は、組織、従業員、またはその両方から嫌われており(Fletcher, 2001)、実際に業績を向上させたり、従業員の動機付けを高めたりしているかどうかについて、十分に検証されているものはほとんどありません(DeNisi & Kluger, 2000)。評価が組織内でその目的を達成できない理由の1つは、業績評価システムがしばしば正しくない形で使用されていたり、組織の特定の文化にとって不適切なタイプのものであったりすることです(Schraeder, Becton, & Portis, 2007)。組織の文化とは、その組織がどのように運営され、どのように活動し、どのように意思決定を行うかということです。組織の文化は、集団的な価値観、階層、および組織内の個人の相互作用に基づいています。特定の組織における業績評価システムの有効性と、業績評価システムを実施するためのトレーニングの有効性を調べることは、産業心理学の活発な研究分野です(Fletcher, 2001)。

雇用における偏見と保護

理想的な採用プロセスでは、組織は職務の要件を正確に反映した業務分析を作成し、候補者のKSAを正確に評価して、職務の要件を遂行するのに最も適した人材を決定することでしょう。しかし、現実の世界では、さまざまな理由から、業務分析とKSAのマッチング以外の要素に基づいて採用を決定することがしばしばあります。先に述べたように、面接の順位づけは、面接官との類似性(Bye, Horverak, Sandal, Sam, & Vijver, 2014)や、面接を受ける人の地域的なアクセント(Rakić, Steffens, & Mummendey 2011)など、他の要因によって影響を受けることがあります。アガシュトロムとルース(Agerström & Rooth, 2011)の研究では、採用担当者が、同等の資質を持つ普通体重の求職者と肥満の求職者を面接に招待するかどうかを検証しました。採用担当者の判断は、2人の応募者の写真に基づいて行われました。この研究は、過体重の人への否定的な連想のテストで高い点数であった採用担当者が、同等の資質を持つ普通体重の応募者を面接に招待し、肥満の応募者を招待しないというバイアスを示すことを見出しました。連想テストは、個人の否定的または肯定的な価値観と、この場合は体重という属性との間の自動的または潜在意識的な連想を測定するものです。実験的研究のメタ分析によると、身体的魅力は、採用、昇進、業績評価などのさまざまな仕事上の成果において個人に利益をもたらすことがわかりました(Hosoda, Stone-Romero, & Coats, 2003)。また、その利益の強さは、1970年代後半から1990年代後半にかけて、時間とともに減少しているように見えることもわかりました。

採用基準の中には、個人の能力ではなく、応募者が所属する特定の集団に関係するものもあるかもしれません。その集団の一員であることが潜在的な職務遂行に直接影響しない限り、集団の一員であることに基づく決定は差別的です(図13.11)。米国では、雇用差別を防止するために、市、州、および連邦の法律が数多く制定されており、さまざまな集団の一員であることの基準に基づいた雇用を防止しています。たとえば、潜在的な雇用主が面接であなたの年齢を尋ねることは違法であることを知っていましたか?また、雇用主は、あなたが結婚しているかどうか、米国市民であるかどうか、障害を持っているかどうか、あるいはあなたの人種や宗教は何かを尋ねることもできないことを知っていましたか?また、彼らは、あなたがどこで生まれたか、誰と一緒に暮らしているかなどといった、それらの属性をいくらか明らかにするかもしれない質問を尋ねることもできません。これらは、雇用における差別を防ぐために設けられている制限のほんの一部に過ぎません。米国では、連邦の差別禁止法は、米国雇用機会均等委員会(EEOC)によって施行されています。

図13.11 | (a)妊娠、(b)宗教、(c)年齢は、法的に採用判断を行ってはならない基準の一部です。(credit a: modification of work by Sean McGrath; credit b: modification of work by Ze’ev Barkan; credit c: modification of work by David Hodgson)

米国雇用機会均等委員会(EEOC)

米国雇用機会均等委員会(EEOC)は、人種、肌の色、宗教、性別(妊娠を含む)、出身国、年齢(40歳以上)、障害、または遺伝情報を理由に求職者や従業員を差別することを違法とする連邦法を執行する責任を負っています。図13.12は、差別を防止するために制定された法律の法文の一部を示しています。

図13.12 | ここに示される法律は、米国内の従業員を差別的な慣行から保護するものです。

米国には、公正さと差別の回避に関するいくつかの具体的な法律があります。同一賃金法は、同じ職場で同じ仕事をしている男性と女性に同一賃金を支払うことを義務づけています。この法律にもかかわらず、男女間の収入には根強い不均衡が存在します。コーベットとヒル(Corbett & Hill, 2012)は、ジェンダーギャップの一側面を、米国の大学卒業後1年間の収入に注目することにより研究しました。女性と男性の収入を比較しただけでも、大学卒業後1年目の女性の収入は、男性の収入1ドルに対して約82セントでした。しかしながら、この差の一部は、教育、キャリア、および収入の可能性が低い専攻を選んだり、責任の少ない分野の特定の仕事を選んだりするなどの人生の選択によって説明することができます。これらの要因を補正すると、この研究では、大学卒業後1年目で1ドルにつき7セントの説明のつかない差があることを発見しました。これは賃金におけるジェンダー差別に起因するのかもしれません。このような人的資本モデルと呼ばれるジェンダー間賃金格差の分析へのアプローチは批判されています。リップス(Lips, 2013)は、教育、キャリア、および人生の選択は、実際には、ジェンダー差別によって課せられた必要性により制約されることがあると主張しています。これは、ジェンダー間格差の方程式からこれらの要因を完全に取り除くと、賃金格差の大きさを過剰に小さく見積もってしまうことにつながることを示唆しています。

1964年公民権法の第7編は、人種や肌の色を理由に個人を不利に扱うことを違法としています:雇用主は、従業員の雇用、福利厚生、昇進、または解雇において、肌の色、髪質、またはその他の変更不可能な特徴(個人のアイデンティティーの基礎となる個人の特性)に基づいて差別することはできません。1978年妊娠差別禁止法は公民権法を改正したもので、女性が必要な仕事をこなすことができる限り、妊娠していることを理由とした仕事上の(たとえば、雇用、給与、および解雇の)女性差別を禁止しています。

グリッグス対デュークパワー社の最高裁判決により、公民権法の第7編のもとでは、ある人種に他の人種よりも否定的な影響を与えるような教育要件(たとえば、高校卒業資格)を職務説明に含めることは、その要件が職務遂行に直接関連していることが証明できなければ違法となりました。EEOC(EEOC, 2014)は、2013年にはさまざまな種類の雇用差別の告発を9万4000件以上受けています。これらの申請の多くは、複数の形態の差別に対するものであり、申し立てを行ったことに対する報復の告発も含まれています(これ自体が違法です)。これらの申し立てのうち、連邦裁判所に提訴されるのはごく一部ですが、提訴は複数の人の申し立てを代表して行われることがあります。2013年に連邦裁判所に提出された訴訟は148件でした。

学習へのリンク

2011年、米国連邦最高裁判所は、女性の原告が集団でウォルマート社に対して昇進や賃金におけるジェンダー差別を訴えた集団訴訟を起こそうとしていた事件の判決を下しました。この事件は、自分が差別されていると感じている個々の女性にとって、集団訴訟が自分の主張を是正するための法廷闘争を継続する唯一の現実的な方法であったため、重要な意味を持っていました。最終的に裁判所は原告側に不利な判決を下し、集団訴訟の権利は否定されました。しかしながら、この事件は、雇用におけるジェンダー差別の問題を効果的に広めることになりました。この事件の経緯と問題点についてはこちらのビデオ(http://openstax.org/l/SCOTUS1)、論点についてはこちらのPBSのNewsHourのビデオ(http://openstax.org/l/SCOTUS2)を見て、さらに学んでください。

連邦法は、民間部門の従業員を性的指向や性同一性に関する差別から保護するものではありません。これらのグループには、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、およびトランスジェンダーの人々が含まれます。労働者への調査、苦情申し立ての研究、賃金比較の研究、および統制された就職面接の研究から得られた差別の証拠があります(Badgett, Sears, Lau, & Ho, 2009)。連邦法は、連邦職員をこのような差別から保護しています。コロンビア特別区と20の州は、公的・民間の従業員を性的指向による差別から保護する法律を有しています(American Civil Liberties Union, n.d)。これらの法律を持つほとんどの州では、性同一性に基づく差別からも保護しています。性同一性とは、あなたが性行動について学んだときに議論したように、自分が男性であるか女性であるかという感覚のことです。

多くの市や郡は、性的指向や性同一性に基づく差別を防止する地域の法令を採択しており(Human Rights Campaign, 2013a)、一部の企業は、その雇用においてこれらに基づく差別を行わないと明示することの利点を認識しています(Human Rights Campaign, 2013b)。

障害を持つアメリカ人法(ADA)

1990年に制定された障害を持つアメリカ人法(ADA)は、人々が障害の性質のために差別されることはないと言明しています。障害とは、聴覚、歩行、呼吸などといった、1つかそれ以上の主要な生活活動を制限するような身体的または精神的な機能不全として定義されます。雇用主は、障害のある従業員の職務遂行のために、合理的な便宜を図らなければなりません。これには、傾斜路を設置して職場を利用しやすくしたり、目の不自由な従業員のためにリーダーを用意したり、より頻繁に休憩を取れるようにしたりすることが含まれます。ADAは現在、アルコール依存症、過去の薬物使用、肥満、または精神障害を持つ人を含むように拡大されています。この法律の前提は、障害を持つ人は組織に貢献することができ、障害を理由に差別されてはならないということです(O’Keefe & Bruyere, 1994)。

公民権法および雇用における年齢差別禁止法では、真正な職業資格(BFOQ)が規定されています。これは、特定の職業についての要件であり、本来であればそれのために個人の雇用を拒否することは法律に違反することになるはずのものです。たとえば、宗教、出身国、年齢、および性別が真正な職業資格である場合があるかもしれません。人種に対して適用されるBFOQの例外はありませんが、映画などの芸術的表現で人種を役の要件とすることは憲法修正第1条で保護されています。BFOQの明確な例としては、特定の宗教の人を、礼拝施設の指導者として採用する場合や、宗教的なつながりのある大学の学長などといった宗教的に関連した機関の幹部として採用する場合などが挙げられるでしょう。航空会社のパイロットの場合、年齢はBFOQと決定されており、安全性の理由のために義務的な定年制が設けられています。男性刑務所の看守は、性別がBFOQとして決定されています。

性別(ジェンダー)は、雇用主が差別しているという告訴に対抗する答弁としてBFOQを行使する最も一般的な理由となっています(Manley, 2009)。裁判所は、性別に関するBFOQについての三部構成のテストを確立しています。それは、BFOQが存在するかどうかを判断するために、他の種類の訴訟案件でもしばしば使われます。その1つ目のテストは、すべての女性、または実質的にすべての女性が、ある仕事をすることができないかどうかです。「30ポンド[約13.6キログラム]を持ち上げることができる」といった身体的な制限のほとんどが、差別をする理由として失敗するのはこのためです。なぜなら、ほとんどの女性がこの重量を持ち上げることができるからです。2つ目のテストは「事業の本質」テストです。これは、他のジェンダーを選択しなければならないことで、事業運営の本質が損なわれるというものです。今は存在しないパン・アメリカン・ワールド・エアウェイズ(パンナム)が、女性の客室乗務員だけを雇うことはできないと命令されたのは、このテストのためでした。男性を採用しても、この事業の本質を損なうことはありませんでした。これは、より深いレベルでは、純粋に顧客や他人の好みだけに基づいて採用を行うことはできない、ということを意味しています。最後の3つ目のテストは、雇用主が合理的な代替手段を講じることができないかどうかです。たとえば、女性が刑務所の男性専用部分やその他のジェンダーに特化した施設で働かなくても済むように、スタッフを再配置することができないかどうかです。プライバシーへの配慮は、たとえば看護師や収容施設のスタッフの採用などの状況で、ジェンダーに基づく差別が裁判所に支持される主な理由となっています(Manley, 2009)。BFOQのほとんどの事案は、個々の場合に応じて決定され、これらの裁判所の決定は、政策や将来の事案の決定に影響を与えます。

あなたはどう考えますか?

フーターズとBFOQ法

図13.13 | フーターズのレストランは女性の接客スタッフしか雇いません。(credit: “BemLoira BemDavassa”/Flickr)

女性の接客スタッフのみを採用し、性的に挑発的な服装をさせているレストランチェーンのフーターズは、差別的な雇用主としてよく挙げられます。このチェーンは、女性従業員がセックスアピールで売り込みをかけ、その接客スタッフは顧客を惹きつけるという点で、事業に欠かせない存在だと主張するでしょう。男性は、過去にフーターズに対して、単に男性であることを理由に接客スタッフとして雇用しないことについて差別であるとの訴えを起こしたことがあります。このチェーンは、それぞれの事案で原告と裁判所外で和解することによって、その雇用慣行に関する裁判所の判断を避けてきました。あなたは、このような慣行が公民権法に違反していると考えますか?裁判の3つのテストをこのケースに適用して、裁判になった場合に原告とチェーンのどちらに有利になるかを判断できるかどうかを確認してください。

13.3 組織心理学:仕事の社会的側面

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 組織心理学を定義する
  • 仕事の満足度の測定と決定要因を説明する
  • 経営管理とリーダーシップの重要な要素を記述する
  • 組織文化の意義を説明する

組織心理学は、産業・組織心理学の学問分野における2つ目の大きな研究と実践の部門です。組織心理学では、社会的相互作用と、それが個人や組織の機能に及ぼす影響に焦点を当てます。この節では、組織心理学者が、仕事の満足度、さまざまな経営管理スタイル、さまざまなリーダーシップのスタイル、組織文化、およびチームワークを理解するために行ってきた研究について学びます。

仕事の満足度

仕事が好きな人もいれば、仕事を我慢している人もいますし、仕事に耐えられない人もいます。仕事の満足度とは、個人が仕事を楽しんでいる度合いを表しています。エドウィン・ロック(Locke, 1976)はそれについて、仕事の経験を評価したことから生じる感情の状態と述べています。仕事の満足度は、私たちが仕事についてどのように考えるか(私たちの認知)と、私たちが仕事についてどのように感じるか(私たちの感情)の両方から生じますが(Saari & Judge, 2004)、感情の観点から記述されます。仕事の満足度は、仕事そのもの、私たちの人格、および私たちの出身の文化や住んでいる文化に影響を受けます(Saari & Judge, 2004)。

仕事の満足度は、典型的には、経営モデルの転換など、組織に変化があった後に、その変化が従業員にどのような影響を与えるかを評価するために測定されます。また、組織の業績に影響を与えると予想される多くの要因のうちの1つを評価するために、組織が日常的に測定することもあります。さらに、ギャラップ社のような世論調査会社は、経済や労働力の状態に関する幅広い情報を収集するために、全国規模で定期的に仕事の満足度を測定しています(Saad, 2012)。

仕事の満足度は、従業員が記入する質問票を用いて測定されます。ときには、非常にわかりやすい方法で単一の質問がなされることもあり、従業員はそれに対して、人格の章で議論したリッカート尺度のような評価尺度を使って回答します。リッカート尺度では、(典型的には)文章や質問に対して5つの回答が用意されており、回答者はその質問や文章に対する同意の強さや感情の強さを肯定的にも否定的にも示すことができます。したがって、「あなたは現在の仕事にどのくらい満足していますか?」という質問に対する回答は、「非常に満足している」、「やや満足している」、「満足でも、不満でもない」、「やや不満である」、「非常に不満である」となるでしょう。より一般的な調査では、従業員がなぜ満足しているのか、あるいは不満なのかをより正確に判断するために、従業員の満足度について多くの質問をします。これらの調査は、特定の仕事のために作成されることもあれば、どんな仕事にも適用できるように設計されることもあります。仕事の満足度は、従業員が全般的に仕事にどれだけ満足しているかという包括的なレベルで測定する場合と、仕事のどの側面が満足につながるかを測定することを意図した特定要因のレベルで測定する場合があります(表13.2)。

表13.2

研究によると、仕事の多様性、難易度、役割の明確さなどを含む仕事内容の要因が、総合的な仕事の満足度を最も強く予測する要因であることが示唆されています(Saari & Judge, 2004)。対照的に、給与水準と仕事の満足度の間には弱い相関しかありません(Judge, Piccolo, Podsakoff, Shaw, & Rich, 2010)。ジャッジら(Judge et al., 2010)は、個人がより高い給与水準にあわせて調節・適応することを示唆しています:より高い給与は、給与が増えた当初に個人が感じていた満足感を与えなくなります。

なぜ私たちは仕事の満足度を気にするべきなのでしょうか?より具体的には、なぜ雇用主は仕事の満足度を気にするべきなのでしょうか?仕事の満足度の測定値は、仕事の成果とある程度相関しています。特に、それらは、組織への所属や、組織の目標を達成するための従業員の裁量的な行動と関係しているようです(Judge & Kammeyer-Mueller, 2012)。仕事の満足度は一般的な生活の満足度と関連していますが、この2つがどのように影響し合っているのか、あるいは人格や文化的な要因が仕事の満足度と一般的な生活の満足度の両方に影響しているのかどうかについての研究は限られています。ある慎重にコントロールされた研究では、その関係性は相互に影響し合っていることが示唆されました:すなわち、仕事の満足度は生活の満足度に肯定的な影響を与え、その逆もまた然りです(Judge & Watanabe, 1993)。当然のことながら、組織は、生活の満足度が仕事の満足度に及ぼす影響をコントロールすることはできません。また、仕事の満足度、特に仕事の満足度の低さは、離職や欠勤などの離脱行動と関係しています(Judge & Kammeyer-Mueller, 2012)。しかしながら、離職そのものとの関係は弱いです(Judge & Kammeyer-Mueller, 2012)。最後に、仕事の満足度は組織の業績と関係しているようです。これは、従業員の仕事の満足度を向上させるために組織の変革を実施すれば、組織の業績が向上することを示唆しています(Judge & Kammeyer-Mueller, 2012)。

仕事の満足度の分野では、さらなる研究の機会があります。たとえば、ワイス(Weiss, 2002)は、仕事の満足度の測定の概念は、感情的な概念と認知的な概念の両方を組み合わせたものであり、もし仕事の満足度の測定が仕事の満足度についてのこれらの2つの可能性のある要素を分離したものであるならば、測定はより信頼性が高くなり、業績のような結果とより良い関係を示すだろうと示唆しています。

深く掘り下げてみよう

連邦政府機関における仕事の満足度

2013年に行われた米国連邦政府の仕事の満足度に関する調査では、仕事の満足度の指標が民間部門に比べて急落していることがわかりました。この低下の最大の要因は給与に対する満足度であり、次いで訓練や能力開発の機会でした。無党派の非営利団体であるパートナーシップ・フォー・パブリック・サービスは、2003年から連邦政府職員の仕事の満足度に関する調査を行っています。その主な目的は、連邦政府のマネジメントを改善することです。しかしながら、この結果は、連邦政府で職を得ることに興味のある人にも情報を与えてくれます。

大規模な機関の中で、仕事の満足度が最も高かったのはNASAで、商務省と情報機関がこれに続きました。最も低かったのは国土安全保障省でした。

仕事の満足度を算出するために用いられたデータは、連邦雇用者観点調査の3つの質問から得られたものです。その質問は以下の通りです:

  1. 私は、自分の組織を働くのによい場所として推薦します。
  2. 全てを考慮すると、あなたは自分の仕事にどの程度満足していますか?
  3. 全てを考慮すると、あなたは自分の組織にどの程度満足していますか?

この質問には、強い同意や満足から強い反対や不満までの範囲にわたる6つの可能な回答があります。あなたは自分の仕事について、これらの質問にどのように答えますか?これらの質問は、あなたの仕事の満足度を適切に評価するでしょうか?

あなたは、「連邦政府における働くのに最高の場所」の調査結果を、そのウェブサイト(https://bestplacestowork.org/)で見ることができます。人事管理局も調査に基づいたレポートを作成しています:https://www.opm.gov/fevs/

仕事のストレスは仕事の満足度に影響します。仕事のストレス、または仕事の重圧は、職業における特定のストレス要因によって引き起こされます。ストレスは、一般的な言葉で使われているように、曖昧な単語である可能性があります。ストレスとは、個人の福利を圧倒するような、またはそれに対する脅威であると判断された出来事に対する個人の認識と反応のことです(Gyllensten & Palmer, 2005)。その出来事自体はストレス要因です。ストレスは、仕事や生活全般において複数の役割を果たさなければならないこと、職場での役割の曖昧さ、キャリアの進展の欠如、雇用の安定性の欠如、仕事の成果に対するコントロールの欠如、孤立、仕事の過負荷、差別、ハラスメント、およびいじめなどのように(Colligan & Higgins, 2005)、従業員に課せられた要求が自身の能力を超えていると従業員が認識することの結果として生じます(Gyllensten & Palmer, 2005)。ストレス要因は、女性と男性では異なり、この違いは重要な研究分野となっています(Gyllensten & Palmer, 2005)。仕事のストレスは、従業員の健康、仕事の業績、家庭生活の不調につながります(Colligan & Higgins, 2005)。

すでに述べたように、雇用の不安定さは、仕事のストレスに顕著に貢献します。雇用の安定に対する2つの増大する脅威とは、人員削減と企業合併です。企業は通常、これらのタイプの組織的変化の計画、実施、および管理にI-O心理学者を関与させます。

人員削減は、企業が利益目標を達成するのに明らかに失敗した場合の対応としてますます一般的になっており、そこでは会社の従業員のかなりの割合を解雇することになります。産業・組織心理学者は、従業員(解雇される人と残る人の両方)へのニュースの伝え方、解雇される従業員への支援方法(たとえば、退職手当)、残る従業員への支援方法といった、人員削減のあらゆる側面に関与することがあります。後者は、組織にとって重要です。なぜなら、人員削減の出来事は、残留する従業員の辞職の意思、組織コミットメント、および雇用の不安定さに影響を与えるからです(Ugboro, 2006)。

企業は、事業への外部からの重圧に対応する方法としての人員削減に加えて、他の企業と組み合わさることによって大きく成長することがしばしばあります。これは、合併(すなわち、同じ力と地位を持つ2つの組織の結合)または買収(すなわち、一方の組織が他方の組織を購入する)によって達成することができます。買収の場合は、通常、買収する側の組織がより強力で支配的なパートナーとなります。どちらの場合も、通常では2つの会社の間では、2つの経理部門や2つの営業部門など、事業が重複しています。どちらの部門も統合しなければなりませんが、そのためには一般的に人員の削減が伴います(図13.14)。これにより、人員削減の際に発生するのと同様の組織プロセスとストレスが発生します。合併によって、組織文化がどのように変化するかを決定する必要があり、従業員もそれに適応しなければなりません(van Knippenberg, van Knippenberg, Monden, & de Lima, 2002)。労働者は古い組織とのつながりを失い、新たに統合されたグループとのつながりを築こうとするため、彼らにはさらなるストレスがかかることがあります(Amiot, Terry, Jimmieson, & Callan, 2006)。この分野の研究は、従業員の反応を理解し、こうした組織変更を管理するための実践的な提言を行うことに焦点を当てています。

図13.14 | 合併(または買収)によって企業が統合された場合、営業や経理などの中核機能が各社で重複しているため、削減されることがしばしばあります。

仕事と家庭のバランス

多くの人は、仕事上の要求と育児や老親の介護などの家庭生活の要求を両立させています。これは、仕事と家庭のバランスとして知られています。私たちは、一般的には、仕事が家庭の妨げになると考えるかもしれませんが、家庭での責任が仕事の義務と衝突することもあります(Carlson, Kacmar, & Williams, 2000)。グリーンハウスとビューテル(Greenhaus and Beutell, 1985)は、仕事と家庭の衝突の3つの原因を初めて特定しました:

  • 仕事に時間を割くことが、家庭の要求を満たすことを困難にする、またはその逆である。
  • 仕事に参加することによる負担が、家庭の要求を満たすことを困難にする、またはその逆である。
  • 仕事で必要とされる特定の行動が、家庭の要求を満たすことを困難にする、またはその逆である。

女性は、家事、育児、および高齢の親の介護など、家庭での要求の責任をより大きく負っていることがしばしばありますが、米国では男性が家庭内での責任のより大きな負担を担うことが増えています。しかしながら、研究では、女性のほうが仕事と家庭の衝突によるストレスのレベルが大きいことを報告している、ということがわかっています(Gyllensten & Palmer, 2005)。

仕事と家庭の衝突を減らし、人々の仕事への満足度を向上させる方法はたくさんあります(Posig & Kickul, 2004)。そこには家庭内でのサポートが含まれ、それは感情的なもの(話を聞く)や、実用的なもの(家事を手伝う)など、さまざまな形態をとります。職場でのサポートには、上司の理解、フレックスタイム、有給休暇、および在宅勤務が含まれます。フレックスタイムには、通常、職場で過ごすコアタイムという必須要件と、その前後で家庭の事情に合わせて従業員が決める出社・退社のスケジュールが含まれます。在宅勤務とは、従業員が自宅で仕事をし、自分で時間を設定することで、1日のうちの異なる時間帯に仕事をしたり、1日のうちの一部を家族と過ごしたりすることができるようにするものです。これは、オンライン勤務、遠隔勤務、フレキシブル・ワークスペース、または単に家での勤務と呼ばれることもあります。ヤフーは従業員が在宅勤務をするのを認める方針をとっていましたが、その方針を撤回したことがあるということを思い起こしてください。また、事業所内に託児所を設置している企業もあり、一部の企業では事業所内にフィットネスセンターや診療所を設置しているところもあります。ラピエールとアレン(Lapierre & Allen, 2006)は、さまざまな対処法の有効性についての研究で、家庭からの実用的なサポートが感情的なサポートよりも重要であることを発見しました。また、直属の上司による労働者へのサポートは、家族の義務を果たすために必要な柔軟性を従業員に与えるなどのメカニズムにより、仕事と家庭の衝突を著しく軽減することがわかりました。対照的に、フレックスタイムは対処に役立たず、在宅勤務は実際にはかえって状況を悪化させました。これは、もしかしたら、従業員が家庭にいることで家庭からの要求がより明確になるために、家にいると仕事と家庭の衝突が激化することを反映しているのかもしれません。

ポシグとキッカル(Posig & Kickul, 2004)は、仕事と家庭の衝突を軽減するように設計された方針を持つ、見本となる企業を特定しています。たとえば、IBMの出産後3年間の職務保証休暇の方針、ルーセント・テクノロジーズの1年間の半額の給与での出産休暇、およびSCジョンソンの昼間の用事に対するコンシェルジュサービスのプログラムが挙げられます。

学習へのリンク

グラスドアのウェブサイト(http://openstax.org/l/glassdoor)には、さまざまなキャリアや組織に対する仕事の満足度のレビューが掲載されています。このサイトを利用して、自分の興味のあるキャリアおよび/または組織について調べてみましょう。

経営管理と組織構造

I-O研究のかなりの部分は、経営管理と人間関係に焦点を当てています。ダグラス・マグレガー(McGregor, 1960)は、科学的管理(経済効率、特に労働生産性を向上させることを主な目的として、仕事の流れを分析・統合する経営管理理論)と人間関係を、リーダーシップ行動という概念にまとめました。彼の理論では、X理論とY理論と呼ばれる2つの異なるスタイルが提示されています。経営管理へのX理論のアプローチでは、マネージャーは、ほとんどの人が仕事を嫌い、生来的に自主性がないと仮定します。X理論のマネージャーは、従業員のことを、先導され、どの仕事をいつやるかを指示されるのを好む人間と認識しています。従業員が組織の目標を達成するのに十分なほど一生懸命働くのを確実にするためには、従業員を注意深く見守らなければなりません。X理論の職場では、従業員が職場に到着するときと帰るときにタイムカードを押すことがしばしばあるでしょう:遅刻は罰せられます。従業員に残業が必要かどうかは、従業員ではなく上司が判断し、その判断でさえ、指揮系統の上位者が時間外労働を承認する必要があります。X理論の上司は、効率を上げるための従業員の提案を無視し、場違いな発言をした従業員を叱責するでしょう。このような上司は、効率化の失敗を、実施されているシステムや方針のせいではなく、個々の従業員のせいにします。マネージャーの目標は、誘惑や報酬ではなく、罰や脅しのシステムによって達成されます。マネージャーは従業員の動機付けを疑っており、仕事での行動に対して常に利己的な動機付けを疑っています(たとえば、給料をもらうことが彼らの働く唯一の動機である)。

一方、Y理論のアプローチでは、マネージャーは、ほとんどの人が仕事から内的な満足感や充実感を求めていると仮定します。従業員は、自分の個人的な目標や仕事の目標の設定に参加し、それについて意見を述べることを認めるリーダーシップの下で、よりよく機能します。Y理論の職場では、従業員は仕事の優先順位の決定に参加します。彼らは、目標が与えられたらそれをどのように達成するかを自分たちで決めるようなチームに所属することもあります。このような職場では、従業員は効率性や安全性といった事柄についても意見を述べることができます。Y理論の実践例の1つは、トヨタ自動車の生産ラインの方針です。そこでは、欠陥やその他の問題が発生した場合、従業員の誰であってもライン全体を停止させ、欠陥の修正や原因の究明を行うことができます(Toyota Motor Manufacturing, 2013)。また、Y理論の職場では、仕事のプロセスや経営管理システムを変更する際には、従業員に意味のある形で相談を行うでしょう。さらに、組織は従業員が自分のアイデアを提供することを奨励します。マグレガー(McGregor, 1960)は、米国で用いられる伝統的な経営管理手法をX理論と見なしました。彼は、組織の生産性と個人の福利を向上させるためには、Y理論のアプローチが必要であると主張しました。表13.3は、これら2つの経営管理手法の違いをまとめたものです。

表13.3

もう1つの経営管理スタイルは、ドナルド・クリフトンが記述したものです。クリフトンは、個人の強みを組織が最大限に活用する方法を研究し、彼はそのアプローチを強みに基づく経営管理と名付けました。クリフトンと彼の同僚は、8000人のマネージャーにインタビューを行い、「人の弱みではなく、強みに焦点を当てることが重要である」と結論付けました。強みとは、ある個人が持っている特定の永続的な才能のことで、その才能に関連する課題において、常に完璧に近い成果を収めることを可能にしてくれるものです。クリフトンは、私たちの強みが成長のための最大の機会を与えてくれると主張しました(Buckingham & Clifton, 2001)。強みの例は、人前で話すことや、イベントを成功させるための計画能力です。強みに基づくアプローチは非常に人気がありますが、組織の業績に対する効果はあまり研究されていません。しかしながら、カイザーとオーバーフィールド(Kaiser & Overfield, 2011)は、マネージャーがしばしば自分の弱みを改善することを怠り、自分の強みを使いすぎることがあり、どちらも成果の妨げになっていることを発見しました。

リーダーシップは経営管理の重要な要素です。I-O研究では、リーダーシップのスタイルに大きな関心が寄せられており、研究者たちは数多くのリーダーシップ理論を提唱しています。バス(Bass, 1985)は、取引型リーダーシップのスタイルと変革型リーダーシップのスタイルの概念を広め、発展させました。取引型リーダーシップでは、監督と組織の目標に焦点が当てられ、それらは報酬と罰のシステム(すなわち、取引)を通して達成されます。取引型のリーダーは、現状を維持します:彼らは管理者です。これは、変革型のリーダーとは対照的です。変革型リーダーシップを持つ人は、程度の差こそあれ、4つの属性を持っています:彼らは、カリスマ性があり(非常に好感の持たれるロールモデル)、人を鼓舞し(目標達成について楽観的)、知的に刺激を与え(批判的思考と問題解決の促進)、そして思いやりがあります(Bass, Avolio, & Atwater, 1996)。

企業で女性がリーダーシップの役割を担うことが多くなるにつれ、男性と女性の間でリーダーシップのスタイルに違いがあるのかどうかという疑問が生じてきました(Eagly, Johannesen-Schmidt, & van Engen, 2003)。イーグリーとジョンソン(Eagly & Johnson, 1990)は、ジェンダーとリーダーシップスタイルを調べるために、メタ分析を行いました。彼らは、わずかではあるものの有意な程度で、女性は対人的なスタイルのリーダーシップを実践する傾向があり(すなわち、女性は従業員の士気や福祉を重視します)、男性は課題指向のスタイルを実践する傾向がある(すなわち、男性は課題を達成することを重視します)ことを見出しました。しかしながら、組織に関する研究のみを対象とし、実際の組織のリーダーが関与していない実験室での実験や調査を除いた場合には、その差はあまり顕著ではありませんでした。また、リーダーシップスタイルを民主的か独裁的かに分類した場合には、より大きな性別に関連した差が観察され、この差はすべての種類の研究で一貫していました。著者らは、リーダーシップスタイルにおける性別間の類似性は、両性がともに組織の文化に適合する必要があることに起因すると示唆しています。さらに、性別に関連した差異は、それぞれの性別がリーダーシップの実践にもたらす強みの本質的な違いを反映していると彼らは提案しています。イーグリー、ヨハンセン=シュミット、およびヴァン・インゲン(Eagly, Johannesen-Schmidt, & van Engen, 2003)は、リーダーシップスタイルに関する別のメタ分析において、女性は変革型リーダーの特性を示す傾向があり、男性は取引型リーダーである可能性が高いことを見出しました。しかしながら、その差は絶対的なものではありません。たとえば、女性は、取引型リーダーシップの要素である成果報酬の方法を男性よりも頻繁に使用していることがわかりました。彼らが見つけた差は比較的小さいものでした。イーグリー、ヨハンセン=シュミット、およびヴァン・インゲン(Eagly, Johannesen-Schmidt, & van Engen, 2003)が指摘しているように、研究では、変革型リーダーシップのアプローチが取引型のアプローチよりも効果的であることが示されていますが、個々のリーダーは通常、両方のアプローチの要素を提示しています。

心理学の新しく勃興している研究領域では、フォロワー(追随者)の視点からリーダーシップおよびリーダーとの関係に焦点を当てています。この「フォロワーシップ」研究では、この関係性の力学をよりよく理解するためには、リーダーシップだけに焦点を当てるのではなく、リーダーとフォロワーの関係を両方向から検証する必要があることが示唆されています。言い換えれば、人は個人であり、人はそれぞれが違っているために、リーダーとフォロワーの間に唯一の最良なリーダーシップとフォロワーの力学はおそらく存在しません。たとえば、あなた自身とあなたの親しい人との違いについて考えてみましょう。あなたたちは、批判に対して同じように反応しますか?一方の人はきちんとした構造を好み、他方の人はあまり構造を持たないほうがうまくいくかもしれません。もしかしたら、一方はいつでも新しいレストランに挑戦し、他方は何度も訪れていて頼む前に給仕人がすでに注文をわかっているような顔馴染みの店に行くことを好むかもしれません。

初期のある研究では、個々のフォロワーの特徴により、リーダーシップスタイルに応じてリーダーとの関係が異なるタイプになることが発見されました。すべてのリーダーシップスタイルが、すべてのフォロワータイプとうまくいくわけではないようです。たとえば、フォロワーの特徴として、外向性の度合いが挙げられます。過去の研究では、外向性の高い人は、うまくやっていくためにはリーダーとの交流を多く必要とすることが示唆されています。しかしながら、他の研究では、必ずしもそうというわけではなくて、他の要因が働いている可能性を示唆しています(Phillips & Bedeian; Bauer et al, 2006)。

もう1つのフォロワーの特徴は、彼らの個人的な成長欲求です。組織の中で学びたい、成長したいと強く願っているフォロワーにとっては、成長の機会を提供するリーダーの方が、そうでないリーダーよりも良く受けとめられるかもしれません。また、成長があまりなく強みもさほど必要としないフォロワーにとっては、成長を促してくるリーダーは、フォロワーの満足度を下げる可能性があります。なぜなら、フォロワーはさらなる進歩や訓練を強いられていると感じ、それは達成度が低いという上司からの合図であるかもしれません。成長欲求の強い社員とそうでない社員の両方を支援するようにリーダーをトレーニングすることは、両方のタイプのフォロワーとリーダーとの関係を改善するのに役立つと思われます(Schyns, Kroon, & Moors, 2008)。

最後に、従業員のリーダーシップに対する必要性は、リーダーとフォロワーの関係の重要な要素です。ある人は、他の人よりも著しく自律的であり、その結果、きちんとした構造や厳格なプロセスを提供するリーダーにはあまり反応せず、その結果、リーダーとの関係の質が低下します。リーダーシップの必要性が高い従業員は、仕事において責任が明確であり曖昧さがないような、よく構造化された環境を提供されると、リーダーとの関係が良好になります。このようなフォロワーは、与えられた指針から外れることを考える必要なく、快適に仕事をこなすことができると感じられる状況で最高の働きをします。このような人にとって、従業員のために逸脱する必要のない明確な道筋を示してくれるリーダーの存在は、肯定的で強いリーダー・フォロワー関係を促進します(Felfe & Schyns, 2006)。

目標、チームワーク、および作業チーム

今日の職場は、テクノロジーの変遷、経済、海外との競争、グローバル化、および職場の人口動態など、さまざまな要因によって急速に変化しています。組織はこれらの要因の変化に迅速に対応する必要があります。多くの企業では、多様な技能、経験、専門性を集めた作業チームに仕事を任せられるように組織を構成することによってこのような変化に対応しています。これは、個人を基礎に据えた組織構造とは対照的です(Naquin & Tynan, 2003)。チームに基づくアプローチでは、チームを集めて、達成すべき特定の課題や目標を与えます。その人気が急上昇しているにもかかわらず、チーム構造が必ずしも高い生産性をもたらすとは限りません—チームの働きは、活発な研究分野となっています(Naquin & Tynan, 2003)。

なぜ、あるチームはうまくいき、他のチームはそうではないのでしょうか?要因はたくさんあります。たとえば、チームは仕事をしていないメンバーを覆い隠してしまうことがあります(すなわち、社会的手抜き)。チームは、コミュニケーション不足によって非効率的になったり、同調の影響によって意思決定能力が低下したり、グループ内に対立が生じたりすることがあります。チームの人気は、部分的には、チームのハロー効果に起因しています:チームは成功すれば称賛されますが、チームの失敗はチーム内の個人のせいにされます(Naquin & Tynan, 2003)。チームの多様性の1つの側面は、ジェンダーの組み合わせです。研究者たちは、ジェンダーの組み合わせがチームの業績に影響を与えるかどうかを調査しています。一方では、多様性は業績を妨げるようなコミュニケーションや対人関係の問題を引き起こす可能性がありますが、他方では、多様性はチームの技能の組み合わせを増進する(そこには、実際にチームメンバーの相互作用を改善できる技能も含まれるかもしれません)可能性もあります。フージェンドーン、ウースタービーク、およびヴァン・プラーグ(Hoogendoorn, Oosterbeek, & van Praag, 2013)は、大学のビジネススクールのプロジェクトチームを対象に、チームのジェンダーの組み合わせを操作して研究しました。彼らは、ジェンダーバランスのとれたチーム(すなわち、男性と女性の人数がほぼ同じ)は、男性が多いチームに比べて、売上や利益の面で優れた成果を収めたことを発見しました。この研究では、女性が多いチームの相対的な成績を判断するのに十分なデータがありませんでした。また、この研究は、どのようなメカニズム(対人関係、学習、または技能の組み合わせ)が成績向上に寄与しているかを特定することはできませんでした。

チームには、問題解決チーム、創造的チーム、戦術的チームの3つの基本タイプがあります。問題解決チームは、特定の問題や課題を解決することを目的として作られます。たとえば、米国疾病管理予防センターの診断チームです。創造的チームは、革新的な将来性や解決策を発展させるために使用されます。たとえば、自動車メーカーのデザインチームは、新しい車のモデルを生み出します。戦術的チームは、明確に定義された計画や目的を実行するために使用されます。たとえば、警察やFBIのSWATチームが人質事件を処理する場合などです(Larson & LaFasto, 1989)。活発な研究が行われている分野として、4つ目の種類のチームであるバーチャルチームがあります。これらの研究では、地理的に離れた人々がデジタル通信技術を使って集まったグループがどのように機能するかを調べています(Powell, Piccoli, & Ives, 2004)。バーチャルチームは、組織のグローバル化が進み、デジタル通信によって促進されるコンサルティングやパートナーシップの活用が進んでいることから、より一般的になっています。

組織文化

それぞれの企業や組織には、組織文化があります。組織文化は、その従業員の間の価値観、展望、階層、規範、および相互作用を包括しています。それは、組織がどのように運営されているか、どのように活動しているか、どのように意思決定を行っているかを表しており、組織が参加している業界も影響しているかもしれません。1つの企業の中のいくつかの異なる部門が、組織文化の中で独自の下位の文化を発展させることがあります。オストロフ、キニッキ、およびタムキンス(Ostroff, Kinicki, and Tamkins, 2003)は、組織文化の中に、観察可能な人工物、支持された価値観、基本的な前提条件という3つの層を特定しています。観察可能な人工物とは、基底をなしている文化的な前提を表す記号、言語(専門用語、スラング、およびユーモア)、物語(ストーリーと伝説)、および慣習(儀式)のことです。支持された価値観とは、経営陣や組織全体が是認している概念や信念のことです。また、従業員がさまざまな状況下でどのような行動を取るべきか、どのような情報に忠実であるべきかを知ることを可能にしてくれるルールがあります。これらの基本的な前提は、一般的に観察不可能であり、疑問を抱かれることもありません。研究者は、組織文化を測定するための調査手段を開発してきました。

労働力がグローバルな市場であることから、あなたの会社では、韓国にサプライヤーを持ち、ホンジュラスにももう1つのサプライヤーを持ち、アメリカ、中国、南アフリカに従業員がいるかもしれません。また、あなたは自分とは異なる宗教的、民族的、または人種的背景を持つ同僚がいるかもしれません。あなたの同僚は世界中のさまざまな場所から来ているかもしれません。多くの職場では、関係するすべての人が文化の違いを理解し、橋渡しするのを助けるための多様性トレーニングが提供されています。多様性トレーニングは、チームワークを向上させることを目的として、参加者に文化の違いを教えるものです。2つのグループのメンバーの間には常に先入観が生じる可能性がありますが、単に一緒に仕事をするだけで、特に仕事の条件が慎重に設定されていれば、そのような先入観を減らしたり、なくしたりすることができるということを示唆する証拠があります。ペティグリューとトロップ(Pettigrew & Tropp, 2006)は、グループ間の接触がグループ間の先入観を減らすかどうかという問題を調べるために、メタ分析を行いました。彼らは、中程度だが有意な効果があることを発見しました。彼らはまた、これまでの理論通り、2つのグループが対等な立場にあり、共通の目標を持ち、グループ間の協力関係があり、特に機関や当局の側が接触を支持しているといった条件の下では、効果が高まることを見出しました。

深く掘り下げてみよう

世代間の差異を管理する

従業員を管理する上で重要な考慮事項は、年齢です。労働者の期待や態度は、特定の文化的な時代の経験によって培われる部分があります。世代構成はやや恣意的ではありますが、ある世代が労働力を離れ、別の世代が労働力へ入ってくる際に、組織運営の大まかな方向性を定めるのに役立つかもしれません。ベビーブーマー世代(1946年~1964年生まれ)は労働力を離れるプロセスの中にあり、今後10年以上にわたって離脱が続くでしょう。X世代(1960年代前半から1980年代生まれ)は、現在、キャリアの真ん中にいます。ミレニアル世代(1979年~1994年前半生まれ)は、今世紀に入ったあたりで成人し始め、キャリアの初期段階にあります。

今日、これらの3つの異なる世代が職場で肩を並べて働くとき、雇用主やマネージャーはそれぞれの世代の独特な特徴を見極める必要があります。それぞれの世代には、別個の期待、習慣、態度、そして動機付けがあります(Elmore, 2010)。これらの世代の間での大きな違いの1つは、職場でのテクノロジーの使用に関する知識です。ミレニアル世代は技術的に洗練されており、自分たちのテクノロジーの使用が自分たちを他の世代から際立たせていると考えています。また、彼らは自己中心的で自信過剰として特徴付けられることもあります。彼らの態度の違いは、マネージャーにとって、従業員としての動機付けの維持や、ベビーブーマーが作り上げた組織文化に彼らが溶け込む能力についての懸念を引き起こしています(Myers & Sadaghiani, 2010)。たとえば、ミレニアル世代は、ベビーブーマー世代から、仕事においてはそれなりの対価を支払う必要があると聞かされるかもしれません(ベビーブーマー世代は、自分たちの時代にはそれなりの対価を支払ったと考えています)。しかし、ミレニアル世代は、仕事以外の生活により大きな価値を見出しているので、そうすることに抵抗するかもしれません(Myers & Sadaghiani, 2010)。マイスターとウィリヤード(Meister & Willyerd, 2010)は、ミレニアル世代を巻き込み、上司からのフィードバックを必要としているミレニアル世代に適応するために、トレーニングやメンタリングの代替アプローチを提案しています:それはリバースメンタリングです。リバースメンタリングでは、若い従業員がソーシャルメディアやその他のデジタルリソースに関して年上の従業員を教育します。年上の従業員はそれほど厳しくない役割の中で有益な指導を提供する機会を得ます。

ミレニアル世代とX世代の従業員を採用し、維持することは、前の世代にはなかった課題を提起します。会社と一緒にキャリアを築くというコンセプトは多くのX世代の従業員には響きません。彼らは1つの雇用主のもとにとどまってキャリアを重ねることを期待していません。このような期待は、忠誠心の低下から生じています。なぜなら、彼らは、雇用主が自分に対して誠実であることを期待していないからです(Gibson, Greenwood, & Murphy, 2009)。したがって、X世代の労働者を維持するには、彼らの仕事を意味のあるものにすることにより、彼らを動機付けることが頼りになります(Gibson, Greenwood, & Murphy, 2009)。ミレニアル世代は、会社に対する内在的な忠誠心がないので、ミレニアル世代を維持するには、頻繁に報酬を与えたり、褒めたり、フィードバックしたりして、育てる形態での努力が必要です。

ミレニアル世代は、仕事のスケジュールや職務の選択など、多くの選択肢を持つことにも関心があります。また、彼らは雇用主からより多くの訓練や教育を受けることも期待しています。最高の福利厚生パッケージとブランドを提供する企業は、ミレニアル世代を惹きつけています(Myers & Sadaghiani, 2010)。

組織文化の負の側面としてよく知られているものの1つが、セクシュアルハラスメントを含むハラスメントの文化です。どのような規模の組織であっても、ほとんどの組織は、セクシュアルハラスメント(またはハラスメント全般)を定義するセクシュアルハラスメント方針と、セクシュアルハラスメントの発生を防止し、発生した場合にはそれに対処するために組織が定めた手続きとを策定しています。したがって、あなたが就いたほとんどの仕事では、おそらく会社のセクシュアルハラスメント方針と手続きを知らされ、方針に関連した訓練を受けたことでしょう。米国雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission, n.d.)は、セクシュアルハラスメントについて以下のように説明しています:

歓迎されない性的な誘いかけ、性的な関係の要求、その他の性的な性質を持つ口頭または身体的な行為は、この行為が明示的または黙示的に個人の雇用に影響を与え、個人の業務遂行を不当に妨害し、または威圧的、敵対的、もしくは侮辱的な職場環境を作り出す場合には、セクシュアルハラスメントを構成する。(par. 2)

セクシュアルハラスメントの1つの形態に代償型セクシュアルハラスメントと呼ばれるものがあります。代償型(Quid pro quo)とは、何かを得るために何かを与えるということを意味します。それは、性的な関係と引き換えに組織的な報酬が提供される状況を指します。代償型ハラスメントは、従業員と組織内で大きな力を持つ人物との間で行われることがしばしばあります。たとえば、上司が昇進、好意的な業績評価、または昇給と引き換えに、キスやタッチなどの行為を要求することがあるかもしれません。セクシュアルハラスメントのもう1つの形態は、性的な要求を拒否した場合に報酬を差し控えるという脅しです。敵対的な環境というセクシュアルハラスメントも職場でのハラスメントの一種です。この状況では、従業員は敵対的または威圧的と見なされる職場の条件を経験します。たとえば、侮辱的な言葉やジョークを許したり、性的に露骨な画像を表示するような職場環境です。このような出来事が単独で発生してもハラスメントを構成しませんが、パターンとして繰り返し発生するとハラスメントになります。これらのハラスメントは、セクシュアルハラスメントに対する組織の方針に違反するだけでなく、違法行為でもあります。

ハラスメントは性的なものでなければならないというわけではありません。それは、EEOCが規制する法令で保護された分類(人種、出身国、宗教、または年齢)のいずれかに関連していることがあります。

職場における暴力

1986年8月の夏、オクラホマ州エドモンドの郵便局に、職歴に問題のあるパートタイムの郵便局員が押し入り、自分を含む15人を射殺しました。この事件をきっかけに、問題を抱えた従業員が極端な暴力を振るうことを意味する「ゴーイング・ポスタル(郵便する)」という言葉が生まれました。

職場での暴力は、I-O心理学者が研究する職場の安全性の一側面です。職場での暴力とは、職場で起こる身体的暴力、ハラスメント、威嚇、その他の脅迫的で破壊的な行動についてのあらゆる行為や脅迫のことです。それは、脅しや暴言から、身体的な攻撃、さらには殺人にまで及びます(Occupational Safety & Health Administration, 2014)。

職場での暴力の対象はさまざまで、人は同僚、上司、または財産に対して暴力を振るうことがあります。このような行為の前には、威圧的な行動、脅迫、設備の破壊、または同僚の行動の急激な変化などの警告的な兆候がしばしば見られます。多くの場合、まず威嚇があり、それから激化して、さらにエスカレートしていきます。従業員は、威嚇されていると感じたり、危険を感じたりした場合には、直属の上司に相談することが重要です。

殺人は、職場での死亡原因の第2位です。それはまた、女性の職場での主な死因でもあります。毎年、200万人近くの労働者が身体的な暴行を受けたり、暴行の脅しを受けたりしています。その多くは家庭内暴力の状況で、職場を犯行場所に選んだボーイフレンドや夫によって殺害されています。

職場での暴力には多くのきっかけがあります。重要なきっかけは、不当、不公正、あるいは非礼な扱いを受けていると感じることです。グリーンバーグ(Greenberg, 1993)は、ある研究実験において、課題に対して報酬を与えられた学生の反応を調べました。一方のグループでは、学生は報酬率についての詳細な説明を受けました。もう一方のグループでは、学生は役に立たない素っ気ない説明を受けました。学生は、監督者が学生によって報酬のために引き出された金額を知ることはないと信じ込まされていました。すると、限定的な説明を受けたグループの方が盗み(自分にふさわしいと言われた以上の給与を受け取ること)の割合が高くなりました。これは、組織における手続き的正義の重要性を示しています。手続き的正義とは、従業員との対立や従業員間の対立において、結果が決定されるプロセスの公正さのことを指します。

グリーンバーグとバーリング(Greenberg & Barling, 1999)による別の研究では、攻撃性の履歴とアルコールの消費量が同僚に対する職場での暴力の正確な予測因子であることがわかりました。労働者が不当な扱いを受けている、あるいは信頼されていないと感じている場合には、上司への攻撃性が予測されました。また、仕事の安定性とアルコールの消費量は、部下に対する攻撃性を予測しました。グリーンバーグとバーリング(Greenberg & Barling, 1999)は、職場での暴力を理解し予測するためには、攻撃や暴力の対象となる従業員や、職場の特徴と攻撃的・暴力的な人物という両方の特性を考慮することが重要であると強調しています。

13.4 ヒューマンファクター心理学と職場デザイン

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • ヒューマンファクター心理学の分野を記述する
  • 安全性、生産性、および仕事の満足度におけるヒューマンファクター心理学の役割を説明する

ヒューマンファクター心理学(ヨーロッパではエルゴノミクスという用語が好まれています)は、産業・組織心理学の中の第三の分野です。この分野は、デザインを通じた職場における人間と機械のインターフェースの統合、特に人間の要求に合う機械の研究とデザインに関心を持ちます。統合とは、物理的なこともあり、認知的なこともあり、あるいはその両方を組み合わせたものであることもあります。この分野が必要であることを確信したい人は、慣れないテレビのリモコンを操作したり、新しいソフトウェアを初めて使ってみるだけでよいでしょう。I-O心理学の他の2つの分野が、労働者とチーム、グループ、または組織との間の接合部に焦点を当てているのに対し、ヒューマンファクター心理学は、個々の労働者と機械、職場環境、情報ディスプレイ、および照明などの局所環境との相互作用に焦点を当てています。アメリカにおいては、ヒューマンファクター心理学は心理学と工学の両方に起源を有しています。これは、リリアン・ギルブレス(心理学者・工学者)とその夫であるフランク・ギルブレス(工学者)の初期の貢献を反映しています。

ヒューマンファクターの専門家は、ソフトウェア設計プロジェクトでよく見られるように、プロジェクトの最初から設計に関わったり、伝統的な産業でよく見られるように、終わり頃にテストや評価に関わったりします(Howell, 2003)。ヒューマンファクターの専門家のもう1つの重要な役割は、最良のデザインの規制や原則を策定することです。これらの規制や原則は、しばしば作業の安全性に関連しています。たとえば、スリーマイル島の原子力事故をきっかけに、原子力規制委員会(NRC)は、原子力施設に計装機器を追加して、より重要な情報をオペレーターに提供することや、オペレーターのトレーニングを増やすことを要求しました(United States Nuclear Regulatory Commission, 2013)。独立して工業規格を開発する米国国家規格協会(ANSI, 2000)は、交通の制御や工業プロセスの制御に使用される制御センターの職場環境の設計など、人間工学的設計に関連する多くの規格を開発しています。

ヒューマンファクター心理学の関心事の多くは、職場の安全性に関連しています。これらの関心事を研究することで、個々の労働者やその周囲の人々の仕事に関連する怪我を防ぐことができます。また、商業目的の運転や飛行、医療行為、法の執行など、一般市民に影響を与える可能性のある活動にも、安全のための手順が関連することがあります。

職場での事故を減らすために使われる方法の1つに、チェックリストがあります。航空業界はチェックリストを使用する業界の1つです。パイロットは、離陸前に機体のさまざまな部分についての詳細なチェックリストを1つずつ検討し、必要な機器がすべて正常に動作することを確認する必要があります。宇宙飛行士も離陸前にチェックリストを確認します。図13.15に示される手術安全性チェックリストは、世界保健機関(WHO)が作成したもので、医療施設における多くのチェックリストの基礎となっています。

図13.15 | ここに示されるWHOの手術チェックリストなどのチェックリストは、職場での事故の低減に役立ちます。

また、安全性を考慮して、パイロットやトラック運転手などの運転者が機器を操作することのできる時間を制限することもあります。最近では、米連邦航空局(FAA)は、パイロットが一晩の休息を取らずに飛行することのできる時間の制限を導入しました。

ハウエル(Howell, 2003)は、ヒューマンファクターの分野における研究と実践の重要な領域を概説しています。これらは表13.4にまとめられています。

表13.4

ヒューマンファクター心理学の研究の一例として、ブルーノとエイブラハオ(Bruno & Abrahão, 2012)は、ブラジルのある銀行機関の情報セキュリティセンターにおいて、オペレーターの意思決定の量が意思決定の正確さに与える影響を調査しました。この研究では、35人のオペレーターと4人のマネージャーが60日間に行った合計約4万5000件の意思決定を調査しました。彼らの研究では、オペレーターの1日あたりの意思決定の回数が増えるほど、つまりオペレーターの認知的な努力が増すほど、(実際にはセキュリティ侵害ではない)インシデントを誤って本当のセキュリティ侵害であると認識するミスが増えることがわかりました。興味深いことに、本物の侵入を誤警報であると認識するという逆のミスは、認知的な要求が高まっても増えませんでした。誤警報は、本物の脅威を誤って見逃すことほどコストがかからないため、これは銀行にとっては朗報のように見えます。このような研究は、注意、知覚、チームワーク、人間とコンピュータの相互作用に関する研究を組み合わせたものであり、社会的にもビジネス的にも重要な分野です。これこそが、まさに2013年秋に発生したターゲット社の大規模なデータ流出事件へとつながった出来事の背景にあります。セキュリティ担当者がセキュリティ侵害のシグナルを受け取ったものの、それを正しく解釈しなかったために、外部機関であるFBIが会社に通知するまで、2週間にわたって侵害の継続を許したことが指摘されています(Riley, Elgin, Lawrence, & Matlack, 2014)。

重要用語

障害を持つアメリカ人法:雇用主は、いかなる個人も障害に基づいて差別することはできない

真正な職業資格(BFOQ):宗教や性別に関する要件などの、特定の職業についての要件であり、本来であればそれのために個人の雇用を拒否することは法律に違反することになるはずのもの

チェックリスト:職場での事故を減らすために使われる方法

多様性トレーニング:チームワークを向上させることを目的とした、文化の違いについての従業員のトレーニング

人員削減:組織が従業員の数を減らすことによって全体での高い効率性を達成しようとするプロセス

ホーソン効果:研究者や上司に言及されている、見られている、または注意を払われている個人の成果が向上すること

ヒューマンファクター心理学:心理学の一分野で、労働者が仕事の道具とどのように相互作用するか、また労働者の生産性、安全性、健康を最適化するためにそれらの道具をどのように設計するかを研究する

変更不可能な特徴:雇用主が雇用、福利厚生、昇進、または解雇において、差別するのに使用できない特性。これらの特性は個人のアイデンティティーの基礎となるものである(たとえば、肌の色や髪質)

産業・組織(I-O)心理学:科学的原理を仕事や職場の研究に応用する心理学の分野

産業心理学:心理学の一分野で、仕事の特性、応募者の特性、およびそれらをどのように一致させるかを研究する。従業員の訓練や業績評価についても研究する

業務分析:特定の仕事に関連する課題を決定し、列挙すること

仕事の満足度:従業員が仕事から得られる喜びの度合い

組織文化:その従業員の間の価値観、展望、階層、規範、および相互作用。組織の運営方法、活動方法、意思決定方法

組織心理学:心理学の一分野で、組織で働く人々の間の相互作用と、その相互作用が生産性に及ぼす影響を研究する

業績評価:従業員が職務を遂行することに成功したかどうかを評価すること

手続き的正義:組織の中で結論に到達するために使われる手段の公正さ

科学的管理:経済効率、特に労働生産性を向上させることを主な目的として、仕事の流れを分析・統合する経営管理理論

セクシュアルハラスメント:望まれていないことを知ったうえで、人の雇用上の地位に悪影響を及ぼしたり、人の職務遂行を妨げたり、または敵対的もしくは威圧的な職場環境を作り出したりするような性的な行為

在宅勤務:従業員が自分で勤務時間を設定することで、1日のうちの異なる時間帯に自宅で仕事をすることができること

X理論:労働者は本質的に怠惰で非生産的であると仮定する。マネージャーは統制力を持ち、罰を使わなければならない

Y理論:労働者は懸命に生産的に働くことを求める人々であると仮定する。マネージャーと労働者は問題に対して創造的な解決策を見出すことができる。労働者は統制されたり、罰を受けたりする必要はない

取引型リーダーシップ・スタイル:報酬と罰のシステムを通じて達成される監督と組織の目標に焦点を当てるリーダーの特徴であり、組織の現状を維持する

変革型リーダーシップ・スタイル:カリスマ性のあるロールモデルであり、人を鼓舞し、知的に刺激を与え、個々に配慮し、組織を変革しようとするリーダーの特徴

米国雇用機会均等委員会(EEOC):人種、肌の色、宗教、性別(妊娠を含む)、出身国、年齢(40歳以上)、障害、または遺伝情報を理由に求職者や従業員を差別することを違法とする連邦法を執行する責任を負う

作業チーム:一緒に達成すべき特定の課題を与えられた組織または会社内の人々の集団

仕事と家庭の両立:人が仕事上の要求と家庭生活の要求を両立しているときに起こる

職場での暴力:労働者に対する暴力または暴力の脅威。職場の内外で起こる可能性がある

この章のまとめ

13.1 産業と組織の心理学とは何でしょうか?

I-O心理学の分野は、産業心理学と心理学的な概念を用いて人材の選抜に役立てることに端を発しました。しかしながら、ホーソン研究などの研究により、生産性は物理的な要因ではなく、人間同士の相互作用によってもっと影響されることがわかり、産業心理学の分野は組織心理学を含むように拡大していきました。第一次世界大戦と第二次世界大戦は、アメリカや他の場所における産業心理学の発展と拡大に強い影響を与えました:心理学者に割り当てられた仕事は、テストの開発や心理学的概念が産業や他の領域にどのように役立つかという研究につながりました。この動きは、産業心理学が組織心理学を含むように拡大するのを助けました。

13.2 産業心理学:従業員を選抜し、評価する

産業心理学では、仕事の属性、その仕事の応募者、および仕事への適合性を評価する方法を研究します。これらの手続きには、業務分析、応募者テスト、および面接が含まれます。また、産業心理学は、新入社員のオリエンテーションや社員の継続的な訓練の手順を研究し、実施します。従業員を雇用する過程では、違法な偏見が生じやすいため、産業心理学者は雇用において法律を遵守するための方法を開発しなければなりません。業績評価システムは、産業心理学の研究と実践についての活発な分野です。

13.3 組織心理学:仕事の社会的側面

組織心理学は、職場での人々の相互作用が従業員自身や組織の生産性に及ぼす影響に関心があります。仕事の満足度、その決定要因と結果は、組織心理学の研究と実践の主要な焦点です。組織心理学者は、経営管理のスタイルやリーダーシップのスタイルが生産性に与える影響についても研究しています。組織心理学では、従業員と経営者に加えて、組織文化とそれが生産性にどのように影響するかについても目を向けます。組織文化の一側面として、職場におけるセクシュアルハラスメントやその他の形態のハラスメントの防止と対処が挙げられます。セクシュアルハラスメントには、敵対的な環境を作り出すような言葉、行動、または表示が含まれます。また、セクシュアルハラスメントには、職場での報酬と引き換えに要求される性的な関係も含まれます(すなわち、代償型)。産業・組織心理学は、職場での暴力のきっかけや原因と安全性について広範な研究を行ってきました。これにより、組織は、問題になる前にこれらのきっかけを特定できる手順を確立することができます。

13.4 ヒューマンファクター心理学と職場デザイン

ヒューマンファクター心理学(または、エルゴノミクス)は、労働者と機械や物理的環境との接点を研究します。ヒューマンファクター心理学者は、特に、機械を使用する労働者をよりよく支援するために機械を設計することを目指しています。心理学者は、ソフトウェア、ディスプレイ、または機械などの仕事の道具の設計に、設計プロセスの初期段階から、あるいはすでに開発された製品のテスト段階から関わることがあります。また、ヒューマンファクター心理学者は、最良のデザインの推奨や規制の策定にも関わっています。ヒューマンファクター心理学の重要な側面の1つは、労働者の安全性を高めることです。ヒューマンファクター研究には、技術システムとその操作者の間の相互作用を理解し、改善するための取り組みが含まれます。人間とソフトウェアの相互作用は、この研究の大きな部分を占めています。

レビュー問題

1.広告に心理学を利用した最初の心理学者は誰ですか?
a.ヒューゴー・ミュンスターバーグ
b.エルトン・メイヨー
c.ウォルター・ディル・スコット
d.ウォルター・ビンガム

2.陸軍のために設計されたテストで、英語が堪能でない新兵に使用されたものはどれですか?
a.陸軍パーソナリティー
b.陸軍アルファ
c.陸軍ベータ
d.陸軍インテリジェンス

3.I-O心理学のうち、仕事の満足度を測定する分野はどれですか?
a.産業心理学
b.組織心理学
c.ヒューマンファクター心理学
d.広告心理学

4.ホーソン効果を最もよく表しているのはどの文章ですか?
a.労働者に休息時間を与えることは、生産性を低下させるように思えるが、実際には生産性を向上させる。
b.労働者間の社会的関係は、物理的環境よりも生産性に大きな影響を与える。
c.光量の変化は、作業環境を改善し、生産性を向上させる。
d.研究者が被験者に注目することで、実験者が求めている効果が生じる。

5.以下の質問のうち、アメリカの就職面接で質問することが違法なものはどれですか?
a.あなたはどの大学に通っていましたか?
b.あなたはどの州で生まれましたか?
c.あなたは営業用運転免許証を持っていますか?
d.あなたがこの職種に期待する給料はいくらですか?

6.以下の項目のうち、KSAの一部ではないものはどれですか?
a.向上心
b.知識
c.技能
d.その他の能力

7.求職者を差別することを違法とする連邦法を施行する責任者は誰ですか?
a.障害を持つアメリカ人法
b.米国連邦最高裁判所
c.米国雇用機会均等委員会
d.産業・組織心理学会

8.________は、戦術的チームの一例です。
a.手術チーム
b.車の設計チーム
c.予算委員会
d.スポーツチーム

9.どの実践がX理論の管理の例ですか?
a.在宅勤務
b.フレックスタイム
c.キー入力の監視
d.チームミーティング

10.チームのハロー効果のうちの1つの効果はどれですか?
a.チームは実際よりもうまく機能しているように見える
b.チームは決して失敗しない
c.チームはより大きな仕事の満足度につながる
d.チームは生産性を高める

11.以下のうち、全体的な仕事の満足度を最も強く予測する要因はどれですか?
a.金銭的な報酬
b.人格
c.自律性
d.仕事の内容

12.上司が性的な関係と引き換えに仕事上の報酬を提供した場合に起こることを何と言いますか?
a.雇用上の偏見
b.代償型
c.敵対的な労働環境
d.変更不可能な特徴

13.ヒューマンファクター心理学者は、オフィスの職場環境のどの側面に関心を持つでしょうか?
a.椅子の高さ
b.上司への近さ
c.同僚の訪問の頻度
d.侮辱的な掲示物の存在

14.労働者が検索エンジンをどのように操作するかを研究したヒューマンファクター心理学者は、________の分野を研究したことになります。
a.注意
b.認知工学
c.仕事の満足度
d.経営管理

批判的思考の問題

15.組織心理学が産業心理学よりもあとに発展した原因として、どのような社会的・経営的態度が考えられますか?

16.I-O心理学の例の多くは、ビジネスへの応用です。I-O心理学が影響を与える可能性のある、ビジネス以外の4つの異なる文脈を挙げてください。

17.何らかの職種を選び、あなたが選んだ職種のための面接での良い質問を組み立ててください。質問はその職種に必要な特定の技能に関連させてください。あなたは、応募者の回答を評価する基準を含める必要があります。

18.採用面接時の偏見を避けるために、どのようなメカニズムが有効でしょうか?

19.あなたが仕事の満足度の査定を設計するとしたら、どのような要素を含みますか?

20.人員削減は一般的に、それを経験した組織の生産性をある期間低下させることが示されています。この観察についてのいくつかの理由は何でしょうか?

21.新しい航空機の設計において、フライトシミュレーターはどのような役割を果たしますか?

個人的に当てはめてみる問題

22.I-O心理学の幅広い分野の中で、あなたが最も興味を持っているのはどの分野ですか?その理由は何ですか?

23.あなたの現在の職種や将来なりたいと望む職種に必要なKSA(知識・技能・能力)にはどのようなものがありますか?

24.もしあなたがセクシュアルハラスメントを受けているとしたら、その状況にどのようにして対処しますか?あなたは何をセクシュアルハラスメントと見なしますか?

25.あなたが学校や職場の環境で経験したテクノロジーやチームとテクノロジーとの相互作用の中で、より良いデザインが有益だったと思われる例を記述してください。悪いデザインの影響は何でしたか?その改善のための提案を1つしてください。

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