第7章 思考と知能

図7.1 | 思考することは、私たち人間の経験の中で重要な部分であり、何世紀にもわたって人々を魅了してきたものです。今日では、それは心理学の研究領域の1つとなっています。19世紀の『本と少女』(ホセ・フェラーズ・デ・アルメイダ・ジュニオール)、20世紀の彫刻『考える人』(オーギュスト・ロダン)、および10世紀の絵画『思惟する慧可(二祖調心図)』(石恪)は、すべて人間の思考プロセスに伴う魅力を反映したものです。(credit “middle”: modification of work by Jason Rogers; credit “right”: modification of work by Tang Zu-Ming)

この章の概要

7.1 認知とは何でしょうか?
7.2 言語
7.3 問題解決
7.4 知能と創造性とは何でしょうか?
7.5 知能の測定
7.6 知能の源泉

はじめに

ある問題を解決する最良の方法は何でしょうか?実生活で雪を見たことも触ったこともない人が、雪の概念を理解するにはどうすればよいのでしょうか?幼い子供たちは、正式な指導を受けていないのに、どのようにして言語を習得する能力を身に着けるのでしょうか?思考を研究する心理学者は、このような疑問を探求し、認知心理学者と呼ばれています。

認知心理学者は知能も研究します。知能とは何でしょうか?そしてそれは人によってどのように異なるのでしょうか?「抜け目のなさ」は知能の一種ですか?もしそうだとしたら、それは他のタイプの知能とどのように関連しているでしょうか?IQテストは実際には何を測定するのでしょうか?この章では、あなたは思考と知能について学ぶに際して、これらの疑問やその他のものを探求していくことになります。

他の章では、私たちは知覚、学習、および記憶の認知プロセスについて議論しました。本章では、私たちは高次の認知プロセスに焦点を当てます。この議論の一環として、私たちは思考について考察し、言語の発達と使用についても簡単に探求します。私たちはまた、問題解決や創造性についても論じ、最後には知能の測定方法や、私たちの生物学的性質と環境がどのように相互作用して知能に影響を与えるのかについての議論で締めくくります。この章を読み終えた後には、あなたは私たちの生物種としての独自性に貢献している高次の認知プロセスについて、より深く理解することができるでしょう。

7.1 認知とは何でしょうか?

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 認知について記述する
  • 概念とプロトタイプを区別する
  • 自然概念と人工概念の違いを説明する
  • スキーマがどのように組織化され、構築されるかを記述する

あなたの思考があたかもすべて物理的な実体であるかのように、あなたの心の中で急速に渦巻いていると想像してみてください。脳はどのようにして、1つの思考から次の思考へと、組織的に整然とした形で移動することができるのでしょうか?脳は、絶え間なく、知覚し、処理し、計画し、整理し、記憶しています—脳は常に活動的です。しかし、あなたが日常のありふれた物事をやり過ごしているときには、あなたは自分の脳の活動のほとんどに気づくことはありません。これは、認知に関わる複雑なプロセスの一面に過ぎません。認知とは、簡単に言えば考えることであり、それは知覚、知識、問題解決、判断、言語、および記憶に関連するプロセスを含んでいます。認知を研究する科学者たちは、自分たちの脳が行っている無意識の作業を必ずしもすべて意識することなしに、私たちはどのようにして自分たちの意識的な認知経験を統合、整理、利用しているのかを理解する方法を模索しています(たとえば、Kahneman, 2011)。

認知

毎朝、目が覚めると、あなたは思考を始めます。つまり、あなたはその日に完了させなければいけない作業について熟考します。あなたは、どのような順番で用事を済ませるべきでしょうか?銀行、クリーニング店、食料品店のどれに最初に行くべきでしょう?教室に向かう前にそれらの物事を済ませることができるでしょうか?それとも、学校が終わるまで待つ必要があるでしょうか?このような思考は、認知が働いている一例です。認知は極端に複雑で、人間の意識には欠かせない機能ですが、認知のすべての側面が意識的に経験されるわけではありません。

認知心理学は、人々がどのように考えるかを調べることに専念する心理学の分野です。認知心理学は、人間の思考、感情、創造性、言語、問題解決、その他の認知プロセスの間の相互作用を研究することによって、人間がどのようにして考えるのか、そしてそれはなぜかを説明しようとする学問です。認知心理学者は、さまざまなタイプの知能を決定し測定することや、問題解決が得意な人とそうでない人がいる理由、感情的な知能が職場での成功にどのように影響するかなどを含む、数え切れないほどのトピックに取り組んでいます。彼らはまた、後述するように、私たちがどのようにして環境から収集した情報や思考を意味のある思考のカテゴリーに整理しているかに注目することもあります。

概念とプロトタイプ

人間の神経系は、絶え間なく流れてくる情報を処理することができます。感覚は、心と外部環境との橋渡しの役割を果たし、刺激を受け取り、それを神経インパルスに変換して脳に伝達します。脳はこの情報を処理し、関連する部分を使用して思考を作り出します。この思考は、言語によって表現されたり、将来使用するために記憶に保存されたりします。このプロセスをより複雑にしているのは、脳は外部環境からの情報だけを集めているわけではないということです。思考が形成されるとき、心は感情や記憶からの情報を合成します(図7.2)。感情と記憶は、私たちの思考と行動の両方に強力な影響を与えます。

図7.2 | 感覚や情報は、私たちの脳によって受け取られ、感情や記憶のフィルターを通り、処理されて思考になります。

この膨大な量の情報を整理するために、心の中には「書類棚」のようなものが発達しています。この書類棚に格納されているさまざまな書類ファイルを概念と呼びます。概念とは、言語情報、イメージ、考え方、あるいは人生経験のような記憶を分類したり、まとめたりしたものです。概念とは、細部を観察し、その細部を分類したり組み合わせたりして認知構造を作ることによって生み出された、いわばビッグアイデアです。あなたは概念を使って、自分の経験のさまざまな要素の関係を見極め、心の中の情報を整理してアクセスできるようにします。

概念は、意味記憶(意味記憶については、あなたは後の章で詳しく学ぶことになります)によって情報が与えられており、私たちの生活のあらゆる場面に存在しています。しかしながら、概念に気づく最も簡単な場所の1つは、教室の中です。教室では、概念が明示的に議論されます。たとえば、あなたがアメリカ合衆国の歴史を習うとき、あなたはアメリカの過去において起こった個々の出来事よりも多くのことについて学びます。あなたは、議論を聞いてそれに参加したり、地図を調べたり、人々の生活の直接の記録を読んだりすることにより、大量の情報を吸収していきます。あなたの脳はそれらの詳細を分析して、アメリカの歴史の総体的な理解を発展させていきます。その過程であなたの脳は、民主主義、権力、および自由などの関連する概念を理解するための情報を与えるとともに、その理解を洗練させていくような詳細についても収集します。

概念には、正義のように複雑で抽象的なものもあれば、鳥の種類のようにもっと具体的なものもあります。たとえば、心理学では、ピアジェの発達についての段階は抽象的な概念です。寛容さのようないくつかの概念は、長年にわたってさまざまな形で使用されてきたため、多くの人によって合意されています。また、あなたの理想の友人の特徴や、あなたの家族の誕生日の伝統などといった、その他の概念は個人的で個性的なものです。このように、概念は、私たちの日常の多くの決まりきった物事から、政府の機能を支える基本原則に至るまで、私たちの生活のあらゆる場面に関わっています。

あなたの脳が情報を整理するために使うもう1つの方法は、あなたが発展させる概念についてのプロトタイプを特定することです。プロトタイプとは、ある概念についての最も良い例や表現のことです。たとえば、あなたが犬について考えるとき、何が心の中に思い浮かぶでしょうか?ほとんどの場合、あなたが想像するものは、あなたの幼少期の犬に対する経験によって形作られます。もしあなたが最初に飼ったペットがゴールデンレトリバーだったとしたら、それが犬というカテゴリーについてのあなたのプロトタイプになる可能性が高いでしょう。

自然概念と人工概念

心理学では、概念は自然なものと人工のものの2つのカテゴリーに分けられます。自然概念とは、あなたの経験を通して「自然に」作られるもので、直接的な経験と間接的な経験のどちらからでも発展させることができます。たとえば、もしあなたがバーモント州のエセックス・ジャンクションに住んでいるとしたら、あなたはおそらく雪について多くの直接的な経験をしているでしょう。あなたは空から降ってくる雪を見たり、車のフロントガラスを薄く覆う程度の軽い降雪を見たこともあれば、「これはスキーに最適だな」と思いながら18インチの深さのフワフワした白い雪をかき出したりしたこともあります。あなたは親友に雪玉を投げつけたり、町で一番急な坂道をそりで滑り降りたりしたこともあります。要するに、あなたは雪を知っているのです。あなたは雪がどのように見えるのかも、どのような匂いがするのかも、どのような味がするのかも、どのような感触がするのかも、知っています。しかしながら、もしあなたが人生の丸ごと全部をカリブ海のセント・ビンセント島で過ごしていたとしたら、あなたはおそらく実際に雪を見たことがなく、ましてや味わったり、匂いを嗅いだり、触ったりしたこともないでしょう。あなたは、雪が降っている写真を見たり、雪を舞台設定の一部にした映画を見たりして、間接的な経験から雪を知っているのです。いずれにしても、雪は自然概念です。なぜなら、あなたは、雪を直接観察すること(雪にまつわる経験)を通じて、あるいは、(映画や本などの)間接的な知識を通じて、雪の理解を構築することができるからです(図7.3)

図7.3 | (a)私たちの雪の概念は、自然概念の一例です。それは、直接的な観察や経験によって私たちが理解するものです。(b)これに対して、人工概念とは、たとえば、異なる基本的な図形を定義するもののような、人工概念が常に示す特定の特徴の組によってわかるものです。(credit a: modification of work by Maarten Takens; credit b: modification of work by “Shayan (USA)”/Flickr)

一方、人工概念とは、特定の特徴の組によって定義された概念のことです。人工概念の例としては、正方形や三角形などの幾何学的な形状のさまざまな特性が挙げられます。三角形は必ず3つの角と3つの辺を持ちます。正方形は常に4つの等しい辺と4つの直角を持っています。面積の方程式(長さ×幅)のような数学的公式は、常に同じであるような特徴の特定の組によって定義される人工概念です。人工概念は、互いに積み重ねることによって、あるトピックの理解を深めることができます。たとえば、「正方形の面積」という概念(およびそれを求める公式)を学ぶ前に、あなたは正方形とは何かを理解しなければなりません。ひとたび「正方形の面積」という概念を理解すれば、元々の面積の理解の上に、他の幾何学的図形の面積の理解を積み上げることができます。ある考え方を定義するために人工概念を使用することは、他者とのコミュニケーションや複雑な思考を行う上で非常に重要です。ゴールドストーンとカーステン(Goldstone & Kersten, 2003)によると、概念は基礎的構成要素の役割を果たし、複雑な思考を生み出すために無数の組み合わせでつなぎ合わせることができます。

スキーマ

スキーマとは、関連する概念の一群または集まりからなる心的な構築物です(Bartlett, 1932)。スキーマには多くのさまざまな種類がありますが、それらはすべて1つの共通点を有しています:スキーマは、脳をより効率的に働かせることのできる情報整理の方法です。あるスキーマが起動すると、脳は観察されている人や物について即座に仮定を行います。

スキーマにはいくつかの種類があります。役割スキーマは、特定の役割を担う個人がどのように行動するかを仮定するものです(Callero, 1994)。たとえば、あなたが消防士と名乗る男性に出会ったところを想像してみてください。このとき、あなたの脳は自動的に「消防士スキーマ」を活性化させ、この人は勇敢で、無私無欲で、コミュニティーを大切にする人だと仮定し始めます。その人のことを知らないのにもかかわらず、あなたはすでに知らず知らずのうちにその人について判断を下しています。また、スキーマは、自分の周りの世界から受け取る情報のギャップを埋めるのにも役立ちます。スキーマは、より効率的な情報処理を可能にする一方で、スキーマが正確であるかどうかにかかわらず、問題となる場合もあります:もしかしたら、この消防士は勇敢なのではなく、児童図書館員になるための勉強をしながら生活費を稼ぐために消防士として働いているだけなのかもしれません。

出来事スキーマは、認知的スクリプトとしても知られており、型にはまった行動のように感じられる一連の行動のことです。あなたがエレベーターに乗るときに何をするか考えてみてください(図7.4)。まず、ドアが開いて、降りる人がエレベーターから出るのを待ちます。そして、あなたはエレベーターに乗り込み、ドアに向かって振り返り、押すべき正しいボタンを探します。あなたはエレベーターの後ろ側を見ることはありませんよね?あなたが混雑したエレベーターの中に乗り込み、正面を向くことができないと、気まずくなりませんか?興味深いことに、出来事スキーマは文化や国によって大きく異なる場合があります。たとえば、アメリカでは人々が握手で挨拶するのがごく一般的ですが、チベットでは相手に向けて舌を出して挨拶し、ベリーズでは拳をぶつけます(Cairns Regional Council, n.d.)。

図7.4 | エレベーターに乗るとき、あなたはどのような出来事スキーマを実行しますか?(credit: “Gideon”/Flickr)

出来事スキーマは自動的なものであるため、変更するのが難しい場合があります。仕事や学校から車を運転して帰宅するときのことを想像してみてください。この出来事スキーマには、車に乗り込み、ドアを閉め、シートベルトを締めてからキーをイグニッションに差し込むことが含まれています。あなたはこのスクリプトを、1日に2度も3度も行うかもしれません。あなたが車で帰宅している間に、携帯電話の着信音が聞こえます。通常、あなたが電話の着信音を聞いたときに発生する出来事スキーマは、電話を探して通話したり、一番間近のテキストメッセージに返信したりすることです。そのため、あなたは何も考えずに携帯電話に手を伸ばします。携帯電話はポケットの中にあるかもしれませんし、バッグの中にあるかもしれませんし、車の助手席にあるかもしれません。この強力な出来事スキーマは、あなたの行動パターンと、通話やテキストメッセージがあなたの脳に与える快い刺激から情報を得ています。これはスキーマなので、そうすることによって自分の命や他人の命を危険にさらすことがわかっていても、携帯電話に手を伸ばすのをやめるのは非常に困難です(Neyfakh, 2013)(図7.5)。

図7.5 | 運転中にテキストを打つのは危険ですが、それは人によっては抵抗するのが困難な出来事スキーマです。

エレベーターのことを覚えていますか?エレベーターの中に入ってドアを見ないようにするのはほとんど不可能だと感じます。私たちの強力な出来事スキーマがエレベーターでの行動を指示しており、それは携帯電話でも同じことです。最近の研究では、運転中に携帯電話をチェックするのを控えるのを特に難しくしているのは、さまざまな多くの状況で携帯電話をチェックするという習慣(つまり出来事スキーマ)であることが示唆されています(Bayer & Campbell, 2012)。近年、テキストを打ちながら運転することが危険な流行となっているため、心理学者たちは、運転中の「携帯電話スキーマ」を中断させるのに役立つ方法を探しています。このような出来事スキーマは、多くの習慣が一度身についてしまうとなかなかやめることのできない原因となっています。私たちが思考についての考察を続ける際には、概念とスキーマが私たちの世界の理解にとっていかに大きな力を持っているかを念頭に置いておいてください。

7.2 言語

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 言語を定義し、言語の構成要素に精通していることを示す
  • 言語の発達を理解する
  • 言語と思考の間の関係性を説明する

言語とは、ある個人から別の個人へ情報を伝達するために、単語とその単語を整理する体系的な規則を使用するコミュニケーション体系です。言語はコミュニケーションの一形態ですが、すべてのコミュニケーションが言語であるわけではありません。多くの生物種は、姿勢、動作、匂い、または発声を通じてお互いにコミュニケーションをとっています。このようなコミュニケーションは、同種の生物と交流し、社会的関係を築く必要のある種にとっては極めて重要です。しかしながら、多くの人は、人間がすべての動物種の中で独特な存在であるのは、言語のためであると主張しています(Corballis & Suddendorf, 2007; Tomasello & Rakoczy, 2003)。この節では、コミュニケーションの特別な形態としての言語を特徴付けるもの、言語の使用がどのように発達するか、そして言語が人間の思考方法にどのように影響するかに焦点を当てます。

言語の構成要素

言語には、話し言葉であれ、手話であれ、書き言葉であれ、レキシコンと文法という特定の要素があります。レキシコンとは、ある言語の単語のことを指します。つまり、レキシコンとはその言語の語彙のことです。文法とは、レキシコンを使って意味を伝えるために用いられる一連の規則を指します(Fernández & Cairns, 2011)。たとえば、英語の文法では、ほとんどの動詞の最後に「-ed」を付けて過去形を表すことになっています。

単語は、言語を構成するさまざまな音素を組み合わせることによって形成されます。音素(たとえば、「ah」と「eh」のような音)は、ある言語の基本的な音の単位であり、異なる言語は異なる音素のセットを持っています。音素は組み合わされて形態素を形成します。形態素は、何らかの種類の意味を伝える言語の最小単位です(たとえば、「I」は音素であると同時に形態素でもあります)。私たちは意味論と統語論を用いて言語を構築します。意味論と統語論は、言語の文法の一部です。意味論とは、形態素や単語から意味を導き出すプロセスを指します。統語論とは、単語が文に編成される方法を指します(Chomsky, 1965; Fernández & Cairns, 2011)。

私たちは、文法の規則を適用して、斬新で創造的な方法でレキシコンを編成し、具体的な概念と抽象的な概念の両方についての情報を伝達することができます。私たちは、身近な観察可能な環境についても、目では見えない惑星の表面についても話すことができます。私たちは、心の奥底にある思考や将来の計画を共有したり、大学教育の価値について議論したりすることができます。私たちは、食事を作る、車を修理する、火を熾すなどの方法を詳しく説明することができます。単語や言語を使うことを通じて、私たちは考え方、スキーマ、および人工概念を形成し、整理し、表現することができます。

言語の発達

言語の驚くほどの複雑さを考えると、言語を習得することは殊の外困難な作業であると思われるかもしれません。実際、大人になってから第二言語を習得しようとしている人にとっては、それは真実であるように見えるでしょう。しかしながら、幼い子供たちは、比較的簡単に、あっという間に言語を習得します。B・F・スキナー(Skinner, 1957)は、言語が強化を通じて学習されると提唱しました。ノーム・チョムスキー(Chomsky, 1965)は、この行動主義的なアプローチを批判し、その代わりに、言語習得の基礎にあるメカニズムは生物学的に決定されていると主張しました。言語の使用は、正式な指導を受けていなくても発達し、文化や背景が大幅に異なる子供たちの間でもよく似たパターンに従うようです。したがって、私たちは生まれながらにして言語を習得する生物学的な素質を持っていると考えられるでしょう(Chomsky, 1965; Fernández & Cairns, 2011)。さらに、言語習得には臨界期があり、言語の獲得の習熟度は人生の早い時期に最大化されるようです。一般的に、人々の年齢が上がるにつれて、新しい言語を習得して使いこなすことが難しくなるようです(Johnson & Newport, 1989; Lenneberg, 1967; Singleton, 1995)。

子供は、非常に幼い頃から言語について学び始めます(表7.1)。実際には、それは生まれる前から起こっているようです。新生児は母親の声を好み、母親が話す言語と他の言語を識別することができるようです。また、赤ちゃんは自分の周りで使われている言語に同調し、話し言葉の音声に合わせて顔が動いている映像を、音声に合っていない映像よりも好みます(Blossom & Morgan, 2006; Pickens, 1994; Spelke & Cortelyou, 1981)。

表7.1

深く掘り下げてみよう

ジーニーの事例

1970年の秋、ロサンゼルス地域のソーシャルワーカーが、ひどい育児放棄と虐待を受けて育った13歳の少女を見つけました。ジーニーとして知られるようになったこの少女は、人生の大半をトイレ付きの椅子に縛り付けられたり、カーテンが引かれて閉ざされた小さな部屋でベビーベッドに閉じ込められて暮らしていました。ジーニーは、10年あまりの間、社会的な交流をほとんど持たず、外の世界に触れることもありませんでした。その状況の結果として、ジーニーは立ち上がることも、固形物を噛むことも、話すこともできませんでした(Fromkin, Krashen, Curtiss, Rigler, & Rigler, 1974; Rymer, 1993)。警察はジーニーを保護しました。

虐待を受けていた環境から解放された後にジーニーの能力は劇的に向上し、当初は、当時に提唱されていた臨界期仮説で予測されていたよりもずっと遅い時期において、言語を習得しているように見えました(Fromkin et al., 1974)。ジーニーは、比較的短期間で印象的な語彙を蓄積することができました。しかしながら、彼女は言語の文法的な側面に熟達することはありませんでした(Curtiss, 1981)。おそらく、臨界期に言語を学ぶ機会を奪われたことが、ジーニーが言語を完全に習得し使用する能力を妨げたのでしょう。

あなたは、それぞれの言語には、形態素や単語などを生成するために使われる音素の独自のセットがあることを覚えているでしょう。赤ちゃんは、言語を構成する音を識別することができます(たとえば、Visionの「s」とFissionの「ss」の違いを判断することができます)。早い段階では、赤ちゃんはすべての人間の言語の音を識別することができ、自分の環境で使われている言語にない音ですら識別することができます。しかしながら、1歳くらいになるまでには、自分の環境の言語で使われている音素の区別しかできなくなります(Jensen, 2011; Werker & Lalonde, 1988; Werker & Tees, 1984)。

学習へのリンク

赤ちゃんが成長するにつれて、人間にとって可能なすべての音素を区別する能力を失っていく様子についてのビデオ(http://openstax.org/l/language)を見て、さらに学んでください。

生後数か月を過ぎると、赤ちゃんは喃語期として知られる段階に入ります。この時期、赤ちゃんは何度も繰り返される単音節を生み出す傾向があります。時間が経つにつれ、赤ちゃんが生み出す音節の種類が増えていきます。この時期には、赤ちゃんはコミュニケーションを取ろうとしてはいないでしょう。彼らは、1人でいるときも、保育者と一緒にいるときも、同じように喃語を話します(Fernández & Cairns, 2011)。興味深いことに、手話が使われている環境で育った赤ちゃんも、この時期に手のジェスチャーで喃語を示し始めます(Petitto, Holowka, Sergio, Levy, & Ostry, 2004)。

一般的に、子供の最初の単語は1歳から18か月の間のどこかで発せられ、その後の数か月間は、子供は言語発達の「一語」の段階にとどまるでしょう。この時期の子供は、いくつかの単語を知っていますが、一単語の発話しか発しません。子供の初期の語彙は、身近な物や出来事に限られており、多くは名詞です。この段階の子供たちは、一単語の発話を発するだけですが、これらの単語はしばしば大きな意味を帯びています(Fernández & Cairns, 2011)。たとえば、子供が「クッキー」と言っているのは、クッキーを識別しているのかもしれませんし、クッキーを要求しているのかもしれません。

子供のレキシコンが増えてくると、簡単な文章を発するようになり、非常に速いペースで新しい語彙を獲得し始めます。加えて、子供は、自分の言語に適用される特定の規則への明確な理解を示し始めます。子供がときに犯す間違いですら、彼らがその規則をどれだけ理解しているかを示す証拠を与えてくれます。これは、過剰一般化という形で見られることもあります。この文脈では、過剰一般化とは、ある言語の規則を、その規則の例外にまで拡張してしまうことを指します。たとえば、英語では通常、複数形を表すために単語の最後に「s」を付けます。たとえば、私たちは「one dog(1匹の犬)」と「two dogs(2匹の犬)」というように話します。幼い子供は、この規則を、「単語の末尾にsをつける」という規則の例外となるケースに過剰に一般化し、「those two gooses(この2羽のガン、gooseの複数形はgeese)」や「three mouses(3匹のネズミ、mouseの複数形はmice)」などと言ってしまいます。明らかに、規則の例外はまだ学習しなければならないとしても、言語の規則は理解されています(Moskowitz, 1978)。

言語と思考

私たちが1つの言語を話すとき、言葉は考え方、人々、場所、出来事を表すものだということに私たちは同意します。子供が学ぶ所与の言語は、その文化や環境と結びついています。しかし、言葉そのものが、私たちの物事についての考え方を形作ることができるのでしょうか?心理学者は、言語が思考や行動を形成するのか、あるいは私たちの思考や信念が私たちの言語を形成するのか、という疑問を長い間調べてきました。エドワード・サピアとベンジャミン・リー・ウォーフという2人の研究者は、1940年代にこの研究を始めました。彼らは、ある共同体における言語習慣が、その共同体のメンバーに特定のやり方で言語を解釈することを促す仕組みを理解したいと望みました(Sapir, 1941/1964)。サピアとウォーフは、言語が思考を決定すると提唱しました。たとえば、ある言語では、愛を表す多くの異なる単語があります。しかしながら、英語では「love(愛)」という単語をすべてのタイプの愛に使います。私たちが話す言語によって、私たちの愛についての考え方が影響を受けるのでしょうか(Whorf, 1956)?その後、研究者たちは、この見解が絶対的すぎることを明らかにし、サピアとウォーフが提案したことの背後にある経験主義の欠如を指摘しています(Abler, 2013; Boroditsky, 2011; van Troyer, 1994)。現在、心理学者は、言語と思考の間の関係性について、研究と議論を続けています。

あなたはどう考えますか?

言語の意味

あなたが他の言語について知っていることを考えてみてください。もしかしたら、あなたは複数の言語を話すことができるかもしれません。あなたの最も親しい友人が複数の言語を流暢に話すと想像してみてください。その友人は、どの言語を話しているかによって、異なる考え方をすると思いますか?あなたは、元の言語から英語に翻訳できない言葉をいくつか知っているかもしれません。たとえば、ポルトガル語のサウダーデという単語は、15世紀にポルトガルの船乗りたちが故郷を離れて海を渡り、アフリカやアジアへ旅立ったときに生まれた言葉です。残された人たちは、自分が感じた虚しさや愛しさをサウダーデと表現しました(図7.6)。この単語は、喪失感、懐古の情、切なる思い、暖かい記憶、希望など、多くの意味を表すようになりました。英語では、これらの感情をすべて含んで単一の表現で表すような単語はありません。サウダーデのような言葉は、異なる言語によって人々の異なる思考パターンが生み出されることを示しているのでしょうか?あなたはどう考えますか?

図7.6 | これら2つの芸術作品は、サウダーデを描いたものです。(a)『Saudade de Nápoles』は、『ナポリが恋しい』と訳され、1895年にベルタ・ウォームスによって描かれました。(b)アルメイダ・ジュニオールは1899年に『サウダーデ』を描きました。

確かに言語は私たちの思考方法に影響を与えている可能性があり、それは言語決定論として知られる考え方です。この現象を示す最近の例は、英語話者と標準中国語話者の時間に関する話し方や考え方の違いに関するものです。英語話者は、たとえば「I’m running behind schedule(予定より遅れている)」や「Don’t get ahead of yourself(先走りすぎるな)」などと言うときのように、水平次元に沿った変化を表す言葉を使って時間について話す傾向があります。標準中国語話者は、時間を水平方向の言葉で表現することもありますが、垂直方向の配置に関連付けられた言葉を使うことも珍しくありません。たとえば、過去は「上」、未来は「下」として表現されることがあります。このような言葉の違いが、時間関係をどれだけ速く認識できるかを測るよう設計された認知テストの成績の違いにつながることが判明しています。具体的には、垂直方向にプライミングされた一連の課題を与えられた場合、標準中国語話者は暦の月の間の時間的関係を認識するのが速かったです。実際、ボロディツキー(Boroditsky, 2001)は、この結果について、「言語の習慣が思考の習慣を促す」(p.12)ことを示唆していると考えています。

言語が思考に与える影響を調べようとしたある研究者のグループは、英語話者とパプアニューギニアのダニ族の人々が色についてどのように考え、話すかを比較しました。ダニ族には色についての2つの言葉があります:それは、明るい色についての1つの単語と、暗い色についての1つの単語です。一方、英語には11の色の単語があります。研究者は、ダニ族の人々が色を概念化する方法は、色の言葉の数によって制限されるのではないかと仮説を立てました。しかしながら、ダニ族は、使える言葉の数が少ないにもかかわらず、英語話者と同じ能力でもって色を区別することができました(Berlin & Kay, 1969)。言語が色の知覚などにどのような影響を与えるかを調べた研究についての最近のレビューによると、言語は特に脳の左半球での知覚現象に影響を与えることが示唆されています。あなたは、以前の章において、ほとんどの人では脳の左半球が言語と関連しているとされていたことを覚えているでしょう。しかしながら、脳の右半球(あまり言語的でない半球)は、知覚に対する言語的な影響をさほど受けません(Regier & Kay, 2009)。

7.3 問題解決

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 問題解決の戦略を記述する
  • アルゴリズムとヒューリスティックを定義する
  • 効果的な問題解決と意思決定に対する一般的な障害物を説明する

人は毎日、問題に直面しています。通常、1日のうちに複数の問題が発生します。時には、これらの問題は単純なものです:たとえば、ピザ生地のためのレシピを2倍にするには、レシピに書かれているそれぞれの材料を2倍にすればよいのです。しかしながら、時には、私たちが遭遇する問題は、もっと複雑なものとなります。たとえば、仕事の期限が迫っていて、あなたは印刷した報告書を営業日の終わりまでに上司に郵送しなければならないとします。その報告書は一刻を争うもので、速達で送らなければなりません。あなたは昨晩、報告書を完成させましたが、今日はプリンターが使えません。あなたはどうしたらいいでしょうか?まず、あなたは問題を特定し、次にその問題を解決するための戦略を適用する必要があります。

問題解決のための戦略

複雑な数学の問題であれ、プリンターの故障であれ、ある問題が提示されたとき、あなたはどのようにしてそれを解決しますか?その問題の解決策を見つける前に、まず問題を明確に特定しなければなりません。その後に、多くの問題解決戦略の中から1つを選択して適用することで、うまくいけば解決につながります。

問題解決の戦略とは、解決策を見つけるために用いられる行動計画のことです。戦略によって、それに関連する行動計画は異なります(表7.2)。たとえば、よく知られている戦略の1つは、試行錯誤です。古い格言の「最初はうまくいかなくても、やってみて、またやってみる」が、試行錯誤を表しています。あなたの故障したプリンターの場合では、あなたはインクの残量を確認してみて、それでもうまくいかないなら用紙トレイが詰まっていないか確認してみます。あるいは、実はプリンターがあなたのノートパソコンに接続されていないのかもしれません。試行錯誤を使う際には、あなたは問題が解決するまでさまざまな解決策を試し続けることになります。試行錯誤は、典型的には最も時間効率の良い戦略の1つではありませんが、それはよく使われる方法です。

表7.2

戦略のもう1つのタイプは、アルゴリズムです。アルゴリズムとは、望ましい結果に到達するために使われる段階ごとの指示を提供するような、問題解決の公式です(Kahneman, 2011)。あなたは、アルゴリズムのことを、何度実行しても同じ結果が得られる、非常に詳細な指示を持つレシピのようなものだと考えることができます。アルゴリズムは、私たちの日常生活、特にコンピュータサイエンスの分野で頻繁に使用されています。あなたがインターネットで検索を行うと、Googleのような検索エンジンはアルゴリズムを使って、検索結果のリストにおいてどの記事が最初に表示されるかを決定します。Facebookも、ニュースフィードにどの投稿を表示するかをアルゴリズムを用いて決定しています。あなたは他にもアルゴリズムが使われている場面を特定できますか?

ヒューリスティックは、また別の問題解決の戦略です。アルゴリズムは正しい結果を得るために正確に従わなければなりませんが、ヒューリスティックは問題解決のための一般的な枠組みです(Tversky & Kahneman, 1974)。あなたは、ヒューリスティックのことを、問題を解決するために用いられる精神的な近道として考えることができます。「経験則」は、ヒューリスティックの一例です。そのようなルールは、意思決定を行う際に人の時間とエネルギーを節約します。しかし、時間を節約する特性があるものの、それが合理的な意思決定を行うための最良の方法であるとは限りません。さまざまな種類の状況でさまざまな種類のヒューリスティックが使用されますが、ヒューリスティックを使用する衝動は、以下の5つの条件のうち1つが満たされたときに起こります(Pratkanis, 1989):

  • あまりにも多すぎる情報に直面しているとき
  • 決断を下すための時間が限られているとき
  • 決断することが重要でないとき
  • 意思決定に用いるためにアクセスできる情報がほとんどないとき
  • 適切なヒューリスティックがたまたま同じ瞬間に思い浮かんだとき

逆算して取り組むとは、最終的な結果に焦点を当てることによって問題解決を開始するという、便利なヒューリスティックです。次のような例を考えてみましょう:ワシントンD.C.に住んでいるあなたは、土曜日の午後4時にフィラデルフィアで行われる結婚式に招待されました。州間高速道路95号線は曜日を問わず渋滞しがちなので、あなたはルートを計画し、それに合わせて出発の時間を決める必要があります。もしあなたが午後3時30分までに結婚式場に到着したい場合、フィラデルフィアまで渋滞なしで2.5時間かかるとしたら、あなたは何時に家を出ればいいのでしょうか?あなたは普段から逆算して取り組むヒューリスティックを使って(おそらくそれについて考えることすらなく)、一日の出来事の計画を立てています。

もう1つの有用なヒューリスティックは、大きな目標や課題を一連の小さな段階に分けることによって達成する方法です。学生は、学校での大きな研究プロジェクトや長い論文を完成させるために、この一般的な方法をしばしば使います。たとえば、学生は典型的には、ブレインストーミングを行い、主張や主となるトピックを決定し、選択したトピックを調査し、情報を整理して概要にまとめ、草稿を書き、草稿を修正・編集し、最終原稿を作成し、参考文献リストをまとめ、プロジェクトに提出する前に校正します。大きな課題は、一連の小さな段階に分割することで、さほど困難ではなくなります。

日常へのつながり

パズルを解く

問題解決の能力は、練習すれば向上します。多くの人が問題解決能力を磨くために、パズルやその他の頭の体操に日々挑戦しています。数独パズルは、ほとんどの新聞に毎日掲載されています。典型的には、数独パズルは9×9のマス目で構成されています。以下の簡単な数独は、4×4のマス目があります(図7.7)。この数独を解くには、空いているマス目に、1、2、3、4の数字を1つずつ入れていきます。ルールは以下のとおりです:それぞれの太線の箱、それぞれの行、それぞれの列の中は、数字の合計が10にならなければいけません。ただし、太線の箱、行、列の中では、それぞれの数字は1回しか使えません。このパズルを解きながら、自分の時間を計り、クラスメートと比較してみてください。

図7.7 | この数独パズルを解くのに何分かかりましたか?(あなたは、この節の最後で答えを見ることができます。)

次は、あなたの空間的な推論能力が問われる、もう1つの人気のあるタイプのパズルです(図7.8)。鉛筆を紙から離さずに、9つの点を4本の直線で結んでください。

図7.8 | わかりましたか?(答えはこの節の最後にあります。)ひとたびこのパズルの解き方を理解したら、きっと忘れられないでしょう。

下の「天秤のパズル」という論理パズルを見てみましょう(図7.9)。有名なパズルマスターであるサム・ロイドは、生涯を通じて数え切れないほどのパズルを作り、改良してきました(Cyclopedia of Puzzles, n.d.)。

図7.9 | あなたはどのような手順でこのパズルを解きますか?あなたは、この節の最後で解答を読むことができます。

問題解決の落とし穴

しかしながら、すべての問題がうまく解決されるわけではありません。どのような課題が、問題をうまく解決することを妨げるのでしょうか?あなたは、「狂気とは、同じことを何度も繰り返し行い、異なる結果を期待することである」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。4つの出入り口がある部屋の中にいる人を想像してみてください。過去にいつも開いていた1つのドアが、今は鍵がかかっています。その人は、そのドアから部屋を出ることに慣れているので、他の3つのドアが開いているにもかかわらず、同じドアから出ようとし続けています。その人は行き詰まっていますが、鍵のかかったドアから出ようとするのではなく、別のドアに行けばいいのです。心的構えとは、過去にはうまくいっていたのに、今は明らかにうまくいっていない方法で問題に取り組むことに固執することです。

機能的固着は心的構えの一種です。それは、ある物体をもともと設計された目的以外の何かのために使うことをあなたが認識できない状態のことです。ドゥンカー(Duncker, 1945)は、機能的固着に関する基礎的な研究を行いました。彼は、一本のろうそく、一束のマッチ、一箱の画鋲を被験者に渡す実験を考案しました。被験者は、それらの物品を使って、ろうのしずくがテーブルに垂れないようにろうそくを壁に取り付けるように指示されました。参加者は、機能的固着を利用して問題を解決しなければなりませんでした(図7.10)。アポロ13号の月への飛行の際、ミッションコントロールにいるNASAの技術者は、宇宙船に乗っている宇宙飛行士の命を救うために、機能的固着を克服しなければなりませんでした。宇宙船のモジュール内で爆発が起こり、複数のシステムを損傷させていました。二酸化炭素のフィルターに問題があったため、宇宙飛行士は上昇する二酸化炭素によって中毒になる危険性があったのです。技術者たちは、宇宙飛行士たちが予備のビニール袋、テープ、空気ホースを使って間に合わせの空気フィルターを作る方法を見つけ出し、これによって宇宙飛行士たちの命が救われました。

図7.10 | ドゥンカーの古典的な研究では、参加者は上図にある3つの物品を与えられ、問題を解決するように求められました。その解答が下の図に示されています。

学習へのリンク

NASAの技術者が機能的固着(http://openstax.org/l/Apollo13)を克服する様子を描いた『アポロ13』のシーンを見て、さらに学んでください。

研究者は、機能的固着が文化によって影響を受けるのかどうかを調べています。ある実験では、エクアドルのシュアール族の人たちに、ある物体を本来の意図とは別の目的のために使うように求めました。たとえば、参加者は川で離ればなれになったクマとウサギについての話を聞かされ、クマとウサギを助けるために、スプーン、コップ、消しゴムなど、さまざまな物を選ぶように求められました。架空の川を渡すことができるのに十分な長さの物体はスプーンだけでしたが、スプーンを通常の使い方を反映した形で提示すると、参加者は問題を解決するためにスプーンを選ぶのに長い時間がかかりました(German & Barrett, 2005)。この研究者は、先進国の人々のように高度に専門化された道具に触れることが、機能的固着を克服する能力に影響を与えるかどうかを知りたいと考えました。その結果、機能的固着は、工業化された文化とそうでない文化の両方で経験されることが判明しました(German & Barrett, 2005)。

よい意思決定を行うために、私たちは自分の知識と推論を用います。多くの場合、この知識と推論は健全で堅実なものです。しかしながら、時には、私たちはバイアスや状況を操作する他人に惑わされることもあります。たとえば、あなたと3人の友人が家を借りようとしていて、目標予算は合わせて1600ドルだったとします。不動産業者は、1600ドルの非常に荒廃した家ばかりを見せ、その後で2000ドルの非常に良い家を見せます。あなたは、2000ドルの家を手に入れるために、それぞれの人に家賃を多く払うように頼みますか?なぜ不動産業者は、いくつもの荒れ果てた家と一軒の素敵な家を見せたのでしょうか?不動産業者は、あなたのアンカリング・バイアスを試しているのかもしれません。アンカリング・バイアスとは、意思決定や問題解決の際に、1つの情報に集中してしまうときに起こるものです。今回の事例では、あなたは自分が使うことのできる金額に集中していて、その価格帯でどんな種類の家が利用できるのかを認識していないのかもしれません。

確証バイアスとは、あなたの既存の信念を追認するような情報に注目する傾向のことです。たとえば、もしあなたが教授はあまり友好的ではないと思っている場合、教授が日常的に行っている数え切れないほどの楽しい交流を無視して、教授が見せた無礼な行動のすべてに注目します。後知恵バイアスは、自分が経験したばかりの出来事が、実際には予測できなかったにもかかわらず、予測できたと思い込んでしまうようにあなたを導きます。言い換えれば、あなたは物事がそのようになることを最初から知っていたと考えてしまうということです。代表性バイアスとは、人や物を気づかないうちにステレオタイプ化してしまう誤った考え方のことです。たとえば、あなたは、教授が自由時間には本を読んだり、知的な会話をしたりして過ごしていると思い込んでいるかもしれません。なぜなら、教授がバレーボールをしたり遊園地に行ったりすることに時間を費やしているという考えは、あなたの教授に対するステレオタイプとは一致しないからです。

最後に、利用可能性ヒューリスティックとは、自分の意思決定に情報を与えるのに最適な例ではないかもしれないものの、あなたが容易に利用できるような例や情報、最近の経験に基づいて意思決定を行うヒューリスティックのことです。バイアスは、「既に確立されているものを保護し、私たちの既存の知識、信念、態度、および仮説を維持する」傾向があります(Aronson, 1995; Kahneman, 2011)。これらのバイアスは、表7.3にまとめられています。

表7.3

学習へのリンク

認知バイアスについて、教師が作成したミュージックビデオ(http://openstax.org/l/CogBias)を見て、さらに学んでください。

あなたは、図7.9の天秤のバランスをとるのに必要なビー玉の数がわかりましたか?9個が必要です。図7.7と図7.8の問題を解くことができましたか? その答えがこちら(図7.11)です。

図7.11

7.4 知能と創造性とは何でしょうか?

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 知能を定義する
  • 知能の三頭理論を説明する
  • いくつかの知能理論の違いを特定する
  • 感情的知能について説明する
  • 創造性を定義する

4歳半の男の子が、父親と一緒に台所のテーブルに座り、父親が新しい物語を読み聞かせています。父親は物語を読み進めようとページをめくりますが、彼が読み始める前に男の子が「待って、パパ!」と言います。その子は、新しいページの文字を指差して、「行け、豚さん!行け!」と、声に出して読みました。父親は手を止めて息子を見ました。「お前、これが読めるのか?」と彼は尋ねます。「うん、パパ!」そして、その子は言葉を指差して、もう一度「行け、豚さん!行け!」と読みました。

その子は、車の中、お店の中、テレビなど、あらゆる場所で目にする文字や言葉、記号について常に質問していたものの、この父親は、息子に積極的に読み方を教えていたわけではありません。この父親は、息子が理解できるものは他にもあるのではないかと考え、ある実験をしてみることにしました。彼は、1枚の白紙を手に取り、いくつかの簡単な単語をリストにして書きました:ママ、パパ、犬、鳥、ベッド、トラック、車、木です。そして、そのリストを男の子の前に置き、単語を読んでもらいました。その子は、鳥(バード)とトラックでは慎重に発音するようにゆっくりとなりながらも「ママ、パパ、犬、鳥、ベッド、トラック、車、木」と読み上げました。そして、「ぼく、できた?パパ」と尋ねました。「とってもよくできたよ!ほんとに上手だ」。父親は小さな息子を温かく抱きしめ、豚さんのお話を読み続けましたが、その間ずっと、息子の能力が特別な知能の表れなのか、それとも単に言語発達の正常なパターンなのかを考えていました。この例における父親のように、心理学者は、何が知能を構成するのか、知能をどのようにして測ることができるのかを考えてきました。

知能を分類する

知能とは正確には何なのでしょうか?心理学が誕生して以来、研究者が知能の概念を定義する方法は何度も変更されてきました。イギリスの心理学者チャールズ・スピアマンは、知能が g と呼ばれる1つの一般的な因子で構成されており、それは測定して個人間で比較することができると考えました。スピアマンは、さまざまな知的能力の共通点に注目しており、それぞれを独特にするものを強調することはありませんでした。しかしながら、現代の心理学が発達するずっと以前には、アリストテレスなどの古代哲学者も同様の考え方をしていました(Cianciolo & Sternberg, 2004)。

他の心理学者は、知能は単一の因子ではなく、異なる能力の集合体であると考えています。1940年代、レイモンド・キャッテルは、一般的な知能を結晶性知能と流動性知能の2つの要素に分ける知能理論を提唱しました(Cattell, 1963)。結晶性知能は、獲得した知識とそれを取り出す能力として特徴付けられます。あなたが情報を学び、記憶し、思い出すとき、あなたは結晶性知能を使っています。あなたは課程の中で、講義で取り上げられた情報をマスターしたことを示すことによって、結晶性知能を常に使用しています。流動性知能とは、複雑な関係を見抜き、問題を解決する能力を包含しています。道路工事のために見知らぬ道に迂回した後、家に帰るまでの道のりをたどっていくには、流動性知能を引き出すこととなるでしょう。流動性知能はあなたの日常生活において複雑で抽象的な課題に取り組むのに役立ち、結晶性知能は具体的で単純な問題を克服するのに役立ちます(Cattell, 1963)。

他の理論家や心理学者は、知能はより実用的な観点から定義されるべきだと考えています。たとえば、どのような種類の行動が人生での成功に役立つのでしょうか?どのような技能が成功を促進するのでしょうか?ちょっと考えてみてください。アメリカの45人の大統領の全員を順番に暗唱できることは、パーティーでの優れた芸ですが、それを知っているからといって、あなたはより良い人間になれるでしょうか?

ロバート・スタンバーグは、もう1つの知能の理論を開発しました。彼はそれを、知能の三頭理論と名付けました。なぜなら、それは知能が3つの部分から構成されると考えていたからです(Sternberg, 1988)。その3つの部分とは、実践的知能、創造的知能、分析的知能です(図7.12)。

図7.12 | スタンバーグの理論では、実践的、創造的、分析的の3つのタイプの知能が挙げられています。

スタンバーグが提唱した実践的知能は、「抜け目のなさ」に比べられることがあります。実践的であるということは、自分の経験に基づいた知識を応用することにより、日常生活の中でうまくいく解決策を見つけることを意味します。このタイプの知能は、伝統的なIQの理解とは別のもののようです。実践的知能のスコアが高い人は、創造的知能や分析的知能のスコアが同等である場合もあれば、そうでない場合もあります(Sternberg, 1988)。

分析的知能は、学術的な問題解決や計算と密接に関連しています。分析的知能は、分析、評価、判断、比較、および対照を行う能力によって示されるとスタンバーグは述べています。たとえば、文学の授業で古典小説を読むときには、通常は、主要登場人物たちの動機を比較したり、物語の歴史的文脈を分析したりする必要があります。解剖学のような科学の授業では、あなたは、人間のさまざまな系において、体が種々のミネラルを使用するプロセスを学ばなければなりません。このトピックを理解するために、あなたは分析的知能を用います。難しい数学の問題を解くときには、あなたは問題のさまざまな側面を分析し、部分ごとに解くために分析的知能を適用します。

創造的知能は、問題や状況に対する解決策を考案したり、想像したりすることにより特徴付けられます。この領域での創造性には、予想外の問題に対する斬新な解決策を見つけることや、美しい芸術作品やよく練られた短編小説を生み出すことなどが含まれます。友人たちと森の中でキャンプをしているときに、キャンプ用のコーヒーポットを忘れたことに気付いたところを想像してみてください。あなたのグループの中で、皆のためにうまくコーヒーを淹れる方法を考え出した人は、創造的知能が高いと評価されるでしょう。

多重知能理論は、エリク・エリクソンの教え子であるハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナーによって提唱されました。ガードナーの理論では、それぞれの人は少なくとも8つの知能を持っているとされています。8つの知能とは、言語的知能、論理的・数学的知能、音楽的知能、身体的・運動的知能、空間的知能、対人的知能、個人内知能、自然的知能です。認知心理学者の間では、ガードナーの理論は実証的な証拠に乏しいとして厳しく批判されています。しかしながら、教育者はガードナーの理論を研究し、利用し続けており、ガードナーの理論をどのように教室に取り入れるかを議論している大学すらあります。ゴットフレッドソンは、ガードナーの理論が使われ続けている理由の1つとして、以下のように述べています:「……独立した複数の知能があるということ。これは、誰もが何らかの形で賢くなりうることを示唆している。これは、当然のことながら、民主主義社会においては非常に魅力的な考え方である」(Gottfredson, 2004)。

ガードナーの対人的知能と個人内知能は、しばしば感情的知能という1つのタイプにまとめられます。感情的知能は、自分や他人の感情を理解し、共感を示し、社会的関係や合図を理解し、自分の感情を調整し、文化的に適切な方法で対応する能力を包含します(Parker, Saklofske, & Stough, 2009)。感情的知能が高い人は、一般的によく発達した社会的スキルを有しています。『EQ:こころの知能指数』の著者であるダニエル・ゴールマンをはじめとする一部の研究者は、感情的知能は伝統的な知能よりも成功の予測因子として優れていると主張しています(Goleman, 1995)。しかしながら、感情的知能については広く議論がなされており、研究者たちは、感情的知能の定義や記述の仕方に矛盾があることを指摘したり、経験的に測定したり研究したりするのが難しい主題についての研究結果に疑問を呈したりしています(Locke, 2005; Mayer, Salovey, & Caruso, 2004)。

現在のところ最も包括的な知能理論は、認知能力についてのキャッテル・ホーン・キャロル(CHC)理論です(Schneider & McGrew, 2018)。この理論では、種々の能力は関連しており、上部に一般的な能力、中間部に広範な能力、下部に狭い(特異的な)能力というように階層的に配置されています。狭い能力は直接測定できる唯一の能力ですが、それらは他の能力の中に統合されています。一般的な階層には、一般的知能があります。次に、広い階層は、流動的な推論、短期記憶、処理速度などの一般的な能力で構成されています。最後に、階層分けに沿って、狭い階層には特定の形態の認知能力が含まれます。たとえば、短期記憶は、さらに記憶範囲と作業記憶の容量に分けられます。

また、知能は、異なる文化においては異なった意味や価値を有します。もしあなたが小さな島に住んでいて、そこではほとんどの人が船で魚を釣って食糧を得ているのであれば、魚の釣り方や船の修理の仕方を知っていることが重要でしょう。もし、あなたが優れた釣り人であれば、周囲の人はおそらくあなたを知的だと見なすでしょう。もしあなたが船の修理にも長けているならば、あなたの知能は島中に知れ渡るかもしれません。あなた自身の家族の文化について考えてみてください。ラテンアメリカ系の家族にとって重要な価値観は何でしょうか?イタリア系の家庭では?アイルランド系の家庭では、もてなしの心と愉快な話を語ることが文化の特徴です。もし、あなたが話術に長けていれば、他のアイルランド文化圏の人々はあなたを知的だと考えるでしょう。

いくつかの文化では、集団として一緒に協力することに高い価値を置きます。このような文化では、集団の重要性が個人の成果の重要性を凌駕します。あなたがそのような文化を訪れたときに、その文化の価値観にどれだけうまく対応できるかが、あなたの文化的知能(文化的コンピテンスと呼ばれることもあります)を示すことになります。

学習へのリンク

知能に関するさまざまな理論を比較したこのビデオ(http://openstax.org/l/theoryintel)を見て、さらに学んでください。

創造性

創造性とは、新しい考え方、解決策、および可能性を生み出し、創造し、または発見する能力のことです。創造性の高い人は、しばしば何かについての深い知識を持ち、何年もかけてそれに取り組み、新奇な解決策を模索し、他の専門家の助言や助けを求め、リスクを取ります。創造性は芸術と結びつけられることが多いですが、実際にはさまざまな分野の人々を新しい発見へと駆り立てる極めて重要な知能の一形態です。創造性は、住居の装飾方法から、細胞の働きを理解する新しい方法まで、生活のあらゆる分野に見られます。

創造性は、しばしば人が発散的思考を行う能力に結び付けられます。発散的思考とは、「既成概念にとらわれない」思考として記述することができます。これにより、個人は、与えられた問題に対する独特な複数の解決策に到達することができます。対照的に、収束的思考は、問題に対して正しいまたは確立された答えや解決策を提供する能力を表します(Cropley, 2006; Gilford, 1967)。

日常へのつながり

創造性

イェール大学において、生化学・生物物理学スターリング教授であったトム・スタイツ博士は、RNA分子の構造と特定の側面を調べ、その相互作用が抗生物質の生産や病気の予防にどのように役立つかを研究することに自身のキャリアを費やしました。彼の生涯の研究の成果として、彼は2009年にノーベル化学賞を受賞しました。彼は、「私の科学分野でのキャリアの発展と進歩を振り返ってみると、キャリア発展の初期段階では優れた指導者の存在がいかに死活的に重要であるか、また、研究のあらゆる段階では同僚と常に顔を合わせて会話し、議論し、話し合うことがいかに重要であるかを再認識します。傑出した発見、洞察、発展は、何もないところでは起こりません」と書いています(Steitz, 2010, para. 39)。スタイツの言葉に基づくと、ある人の創造性は、個人の力ではあるものの、他者との交流によって利益が得られるものであることが明らかになります。友人や同級生との会話によって、自分の創造性が発揮されたときのことを考えてみてください。あなたはその人からどのような影響を受け、創造性を用いてどのような問題を解決しましたか?

7.5 知能の測定

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 知能検査がどのように開発されたかを説明する
  • IQテストの使用の歴史を記述する
  • 知能検査の目的と利点を記述する

あなたは「IQ」という用語になじみがあり、その言葉と知能の考え方とを結びつけていると思いますが、IQとは実際にどのような意味なのでしょうか。IQとは知能指数(intelligence quotient)の略で、知能を測定するように設計されたテストで得られたスコアのことです。あなたはすでに、心理学者が知能(より適切には、さまざまな知能)を記述する方法がたくさんあることを学んできました。同様に、知能を測定するように設計されたツールであるIQテストは、その開発と使用において議論の対象となってきました。

IQテストはどのような場合に使用されるのでしょうか?私たちはその結果から何を学び、人々はその情報をどのように利用するのでしょうか?知能検査には確かに多くの利点がありますが、その一方で、これらの検査を取り巻く限界や論争にも注意することが重要です。たとえば、IQテストは、優生学運動のような陰湿な目的を支持する論拠として用いられることがあります(Severson, 2011)。バック対ベルの悪名高い最高裁判例は、この種のテストによって「心神耗弱」と判断された一部の人々の強制的な不妊手術を合法化し、結果として約6万5000件の不妊手術が行われました(Buck v. Bell, 274 U.S. 200; Ko, 2016)。今日では、心理学の訓練を受けた専門家のみがIQテストを実施することができ、ほとんどのテストの購入には心理学の上級学位が必要とされています。ソーシャルワーカーや精神科医など、その分野の他の専門家は、IQテストを実施することができません。この節では、私たちは、知能テストとは何を測定するものなのか、どのように点数がつけられるのか、そしてどのように開発されたのかを探っていきます。

知能を測定する

人間の知能に対する理解は、伝統的な知能や学術的な知能に焦点を当てた場合、やや限定的であるように思われます。では、知能はどのようにすれば測定できるのでしょうか?また、私たちが知能を測定する場合、実際に測定しようとしているものを確実に捉えるためにはどうすればよいのでしょうか(言い換えれば、IQテストが知能の妥当な測定手段として確実に機能するためにはどうすればよいのでしょうか)?以下の段落では、私たちは、知能テストがどのように開発され、どのように使用されてきたかの歴史を探求していきます。

IQテストは、1世紀以上にわたって知能の代名詞となっています。1800年代後半、サー・フランシス・ゴルトンは、最初の広範な知能テストを開発しました(Flanagan & Kaufman, 2004)。彼は心理学者ではありませんでしたが、知能検査という概念に対する彼の貢献は今日でもまだ感じられます(Gordon, 1995)。信頼性のある知能テスト(信頼性とは、テストが一貫した結果を生み出す能力のことであることは、これまでの章から思い出せるでしょう)は、1900年代初頭に、アルフレッド・ビネーという研究者によって本格的に始まりました(図7.13)。ビネーは、フランス政府から、学校生活に支障をきたす可能性のある子供たちを判定するために使用する知能テストの開発を依頼され、そのテストには、言葉を使った課題が多く含まれました。アメリカの研究者たちは、このようなテストの価値をすぐに理解しました。スタンフォード大学の教授であったルイス・ターマンは、テストの実施方法を標準化することによってビネーの成果に改良を加え、何千人もの異なる年齢の子供をテストして、それぞれの年齢の平均点を算出しました。その結果、テストは基準化され、標準化されました。これは、テストが一貫して母集団を代表する十分に大きな標本に対して実施され、スコアの範囲が釣鐘曲線になることを意味します(釣鐘曲線については後述します)。標準化とは、テストの実施方法、採点方法、結果の解釈が一貫していることを意味します。基準化とは、年齢層などのグループを比較したデータを収集するために、多くの人にテストを実施することです。得られたデータは、将来のスコアを解釈する際の基準(すなわち、参照スコア)となります。基準とは、ある集団が何を知っているべきかという期待ではなく、その集団が実際に何を知っているかを示すものです。テストを基準化・標準化することで、新しいスコアの信頼性を確保することができます。この新しいバージョンのテストは、スタンフォード・ビネー知能検査と呼ばれました(Terman, 1916)。驚くべきことに、このテストの最新版は今日でもまだ広く使われています。

図7.13 | フランスの心理学者アルフレッド・ビネーは、知能検査の開発に貢献しました。(b)このページは、1908年版のビネー・サイモン知能検査のページです。テストを受ける子供は、「それぞれのペアの顔のうち、どちらの顔がきれいですか」と問われます。

1939年、第一次世界大戦の退役軍人を研究対象としてキャリアの一部を過ごしていた心理学者のデイヴィッド・ウェクスラーが、アメリカで新しいIQテストを開発しました。ウェクスラーは、1880年から第一次世界大戦までに使用された他の知能テストのいくつかの下位テストを組み合わせました。これらの下位テストは、言語的および非言語的なさまざまな技能を活用するものでした。なぜなら、ウェクスラーは、知能とは「人が目的を持って行動し、合理的に考え、環境に効果的に対処するための包括的な能力」を包含するものであると考えていたからです(Wechsler, 1958, p. 7)。彼は、このテストをウェクスラー・ベルビュー知能検査と名付けました(Wechsler, 1981)。この下位テストの組み合わせは、心理学の歴史の中で最も広く使われている知能テストの1つとなりました。その後、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)に名称が変更され、何度か改訂されていますが、このテストの目的は当初からほとんど変わっていません(Boake, 2002)。現在、ウェクスラーの功績による知能検査には、WAIS-IV(ウェクスラー成人知能検査 第4版)、WISC-V(ウェクスラー児童知能検査 第5版)、WPPSI-IV(ウェクスラー就学前幼児知能検査 第4版)の3種類があります(Wechsler, 2012)。これらのテストは、米国の学校や地域で広く使用されており、再校正のために定期的に基準化・標準化されています。WISC-V は、再校正のプロセスの一環として、全米の何千人もの子供たちに実施され、現在テストを受けている子供たちは、同年代の子供たちと比較されます(図7.13)。

WISC-Vは、14の下位テストで構成されており、その下位テストは5つの指標からなり、それがIQスコアに変換されます。5つの指標とは、言語理解、視覚空間、流動性推理、作業記憶、および処理速度です。個人は、テストが終了すると、5つの指標それぞれのスコアと全検査知能指数のスコアを受け取ります。この採点方法は、知能が複数の認知領域における複数の能力から構成されているという理解を反映しており、子供がそれぞれのテスト項目の答えにたどり着くまでに使用した心的プロセスに焦点を当てています。

興味深いことに、定期的な再校正によって、フリン効果として知られる注意をひくような観察結果が得られました。フリン効果とは、この傾向を最初に指摘したジェームズ・フリンにちなんで名付けられたもので、それぞれの世代は前の世代よりもIQが大幅に高くなるという観察結果のことを指しています。しかしながら、フリン自身は、IQスコアの上昇は、必ずしも若い世代がより知的であることを意味するものではないと主張しています(Flynn, Shaughnessy, & Fulgham, 2012)。

結局のところ、私たちは知能テストがどの程度妥当なのかという疑問を抱えたままです。確かに、最新版のテストでは、言語的な能力だけではなく、さまざまな能力が試されています。しかし、IQテストで評価されるべき具体的な技能や、なんらかのテストがどの程度個人の知能を真に測定することができるか、IQテストの結果をどのように利用するかについては、いまだに議論の対象となっています(Gresham & Witt, 1997; Flynn, Shaughnessy, & Fulgham, 2012; Richardson, 2002; Schlinger, 2003)。

あなたはどう考えますか?

死刑と知的障害を持つ犯罪者

アトキンス対バージニア州の事件は、米国連邦最高裁における画期的な事件でした。1996年8月16日、ダリル・アトキンスとウィリアム・ジョーンズという2人の男が、地元の米空軍飛行士であるエリック・ネスビットに対して強盗、誘拐をした後、射殺しました。臨床心理学者がアトキンスを鑑定し、裁判でアトキンスのIQは59であると証言しました。IQスコアの平均は100です。この心理学者は、アトキンスは軽度の精神遅滞であると結論付けました。

陪審員はアトキンスを有罪とし、彼には死刑が宣告されました。アトキンスと彼の弁護士は、最高裁に上告しました。2002年6月、最高裁は過去の判決を覆し、精神遅滞のある犯罪者の死刑執行は憲法修正第8条で禁止されている「残酷で異常な刑罰」であるとの判決を下しました。裁判所はその判決文にこう書いています

精神遅滞の臨床的定義は、平均以下の知的機能だけでなく、適応能力の著しい制限を必要とする。精神遅滞の者は、善悪の区別がつくことが多く、裁判を受ける法的能力がある。しかしながら、その障害のために、定義上は、彼らは、情報を理解し処理する能力、コミュニケーションをとる能力、過ちを抽象化して経験から学ぶ能力、論理的な推論を行う能力、衝動を制御する能力、他人の反応を理解する能力が低下している。彼らの障害は、刑事罰の免除を保証するものではなく、個人の有責性を軽減するものである(Atkins v. Virginia, 2002, par. 5)。

また、裁判所は、精神遅滞者の死刑執行に反対する州議会の総意があり、この総意はすべての州に適用されるべきだと判断しました。最高裁の判決は、精神遅滞や知的障害の定義を各州が独自に決定するように委ねました。誰に死刑を執行することができるかについては、州によって異なります。アトキンス事件では、陪審員は、彼が弁護士との接触が多く、知的刺激を受けていたため、IQが上昇していたとされ、死刑を執行するのに十分なほど頭が良くなったと判断しました。彼の死刑執行日が決まった後、共同被告のウィリアム・ジョーンズの弁護士がジョーンズに対して「証拠に一致するような、アトキンス氏に不利な証言をするように」指導していたことが明らかになり、彼は執行停止となりました(Liptak, 2008)。この不正行為が発覚した後、アトキンスは終身刑へと再度刑を言い渡されました。

アトキンス対バージニア州(Atkins v. Virginia, 2002)は、知能をめぐる社会の信念に関するいくつかの問題を浮き彫りにしています。アトキンス事件で最高裁は、知的障害が意思決定に影響を与えるので、そのような犯罪者が受ける罰の性質に影響を与えるべきだと判断しました。しかしながら、知的障害の境界線はどこに引かれるべきなのでしょうか?2014年5月、最高裁は関連する事件(ホール対フロリダ州)において、IQスコアを囚人の死刑適格性の最終判断に用いることはできないという判決を下しました(Roberts, 2014)。

釣鐘曲線

知能テストの結果は、釣鐘曲線(釣鐘の一般的形状をしたグラフ)に従います。釣鐘曲線が心理学テストで使用される場合、そのグラフは、人間集団におけるある特性(この場合は知能)の正規分布を示しています。人間の特性の多くは、自然に釣鐘曲線に従います。たとえば、もしあなたが女性の同級生を身長順に並べると、その人たちのうちの大きな部分が、アメリカ人女性の平均的な身長である5フィート4インチ~5フィート6インチ[約162.6~167.6センチメートル]であるでしょう。この集団は、アメリカ人女性の平均的な身長を表す釣鐘曲線の中央に位置することになります(図7.14)。4フィート11インチ[約149.9センチメートル]に近い女性は少ないでしょう。同じことが、平均以上の身長を持つ女性、つまり5フィート11インチ[約180.3センチメートル]に近い女性にも当てはまります。自然界で釣鐘曲線を見つけるコツは、標本数を多くすることです。標本数が多くないと、釣鐘曲線がより広い人口を代表している可能性は低くなります。代表標本とは、一般的な集団を正確に代表しているような、母集団の部分集合のことです。たとえば、もしあなたが教室にいる女性だけの身長を測定したとしても、あなたは実際には代表標本を手にしてはいないかもしれません。もしかしたら、女子バスケットボールチームがこの授業を一緒に受講したいと思っていて、全員があなたの教室にいるかもしれません。バスケットボール選手は平均よりも背が高い傾向があるので、あなたの教室の女性は、アメリカ人女性の人口の代表標本にはならないかもしれません。しかし、もしあなたの標本の中に学校のすべての女性が含まれている場合、彼女たちの身長は自然な釣鐘曲線を描くことになるでしょう。

図7.14 | あなたの身長は平均未満、平均、平均超のどれですか?

同じ原理が知能テストのスコアにも当てはまります。個人は、知能指数(IQ)と呼ばれるスコアを獲得します。長年にわたり、さまざまな種類のIQテストが開発されてきましたが、スコアの解釈方法は変わりません。ほとんどのIQテストでは、平均IQスコアは100です。標準偏差は、データが母集団の中でどのように分散しているかを表し、大きなデータセットに対して文脈を与えてくれます。釣鐘曲線は、標準偏差を使って、すべてのスコアが平均スコアからどのように分散しているかを示します(図7.15)。現代のIQテストでは、1標準偏差は15ポイントです。つまり、85点のスコアは、「平均よりも1標準偏差だけ下回っている」ことを表すことになります。では、115点と70点はどのように表現できるでしょうか?IQスコアが平均値の上下1標準偏差の範囲内(85~115の間)にある場合は、平均的と見なされ、人口の68%がこの範囲のIQスコアを持っています。IQスコアが130以上であれば、優れたレベルであると見なされます。

図7.15 | 大多数の人は、IQスコアが85から115の間にあります。

IQスコアが70未満の人は、人口のわずか2.2%しかいません(American Psychiatric Association [APA], 2013)。もしある人が、知能検査で平均値を約2標準偏差下回るスコア(平均値100のテストで約70)を獲得し、適応機能に大きな困難があり、これらの認知的・適応的な困難が18歳以前に存在していた場合、その人は知的障害(ID)と診断される可能性があります。以前は精神遅滞として知られていましたが、現在において受け入れられている名称は知的障害であり、軽度、中等度、重度、最重度の4つの下位タイプがあります(表7.5)。精神障害の診断と統計マニュアルには、それぞれの下位グループの判断基準が記載されています(APA, 2013)。

表7.5

知能スペクトルの反対側の端部には、IQが最も高い範囲にある人たちがいます。釣鐘曲線と一致するように、人口の約2%がこのカテゴリーに入ります。IQスコアが130以上の人や、特定の分野で優れた知能を持つ人は、ギフテッド(天賦の才能がある)と見なされます。昔は、知能の高い人は不適応であるという俗説がありました。この考え方は、ギフテッドの子供に関する画期的な研究によって否定されました。1921年、ルイス・ターマンは、IQが135を超える1500人以上の子供の縦断的研究を始めました(Terman, 1925)。彼の研究結果によると、これらの子供たちは、より教育を受け、成功した大人になり、実際のところよく適応していたことが示されました(Terman & Oden, 1947)。さらに、ターマンの研究では、被験者の体格や魅力が平均以上であることが示され、高度な知能のある人々は「ひ弱」であるという以前の一般的な考えを払拭しました。非常に高いIQを持つ人の中には、知能の特定、研究、育成を目的とした組織であるメンサへ入会することを選ぶ人もいます。会員は人口の上位2%のIQスコアを持っていなければならず、彼らはまたグループに入る申請をするためには他の試験に合格する必要もあります。

深く掘り下げてみよう

名前は何を表すでしょうか? 精神遅滞

かつては、IQスコアが70未満で、適応能力や社会的機能に著しい遅れがある人を精神遅滞と診断していました。この診断名が付けられた当初は、その名称に社会的な汚名はありませんでした。しかしながら、やがて、この診断名から「知恵遅れ」という品位を貶める言葉が生まれました。「知恵遅れ」は、特に若い人たちの間で嘲笑として頻繁に使われ、「精神的に遅れている」や「知恵遅れ」という言葉が侮辱になるまでになりました。そのため、現在ではDSM-5はこの診断名を「知的障害」としています。多くの州ではかつて、このような認知機能の遅れがあると診断された人たちを助ける精神遅滞局を設置していましたが、ほとんどの州ではその名称を発達障害局またはそれに類似した言葉に変更しています。社会保障庁は、今でも「精神遅滞」という言葉を使っていますが、その言葉をプログラムから取り除くことを検討しています(Goad, 2013)。私たちはこの章の前半で、言語が私たちの考え方にどのように影響するかについて議論しました。この部局の名称を変更することで、人々が発達障害のある人をどのように見るかに影響があると思いますか?異なる名称は、人々にさらなる尊厳を与えるのでしょうか?もしそうならば、どのようにして?それは、発達障害や認知障害を持つ人への期待を変えるでしょうか?もしそうならば、その理由は何ですか?もしそうでないならば、その理由は何ですか?

なぜ知能を測定するのでしょうか?

IQテストの価値は、教育現場や臨床現場で最も明らかになります。学習障害や深刻な行動上の問題を抱えていると思われる子供たちは、その子供の問題が同年齢グループの平均値と有意に異なるIQスコアに部分的に起因するものであるかどうかを確認するために、IQテストを受けることができます。IQテストやその他の知能測定を行わなければ、特別な支援を必要とする子供や大人を効果的に特定できないかもしれません。また、裁判所では、被告人が裁判に参加するのを何らかの形で妨げるような特別な事情や酌量すべき事情があるかどうかを判断するために、IQテストが用いられています。そして、社会保障庁に障害者手当を求める際にもIQテストの結果が利用されます。

以下の事例研究は、IQテストの有用性と利点を示しています。コネチカット州の学校で問題を抱えていた14歳の少女、キャンディスは、裁判所の命令で心理学的評価を受けることになりました。彼女は9年生[中学3年生]で通常の教育を受けていましたが、すべての科目で落第点を取っていました。彼女は決して優秀な生徒ではありませんでしたが、いつも次の学年へと進級させられていました。彼女は、授業中に彼女を指名した教師をよく罵倒していました。また、他の生徒と喧嘩をしたり、万引きをしたりすることもありました。評価を受けに訪れたとき、キャンディスはすぐに、教師や他の職員、建物、宿題など、学校のすべてが嫌いだと言いました。彼女の両親は、娘が教師や他の生徒たちとは違う人種であるために咎められていると感じていると述べました。教師に罵声を浴びせた理由を聞かれたキャンディスは、こう答えました。「あの人たちは、私が答えがわからないときにだけ私をあてる。いつも『わかりません』と言って、友達の前でバカみたいに見られたくない。先生たちは私に恥をかかせる。」彼女は、IQテストを含むさまざまなテストを受けました。IQテストでの彼女のスコアは68点でした。キャンディスのスコアは、彼女が支援なしで通常の教育クラスで優秀な成績を収める、あるいは成功する能力について何を示していますか?なぜ彼女の困難は気づかれず、対処されなかったのでしょうか?

7.6 知能の源泉

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 遺伝と環境がどのようにして知能に影響を与えるかを記述する
  • IQスコアと社会経済的地位の間の関係を説明する
  • 学習障害と発達障害の違いを記述する

ある少女が、10代の両親から生まれ、ミシシッピ州の田舎で祖母とともに暮らしています。彼女たちは貧しく、実のところ深刻な貧困に陥っていますが、彼女たちは持っているもので何とかしようと頑張っています。彼女はわずか3歳で読むことを学びます。成長するにつれ、彼女は現在ウィスコンシン州に住む母親と一緒に暮らしたいと思うようになり、6歳の時に母親のもとへ引っ越します。9歳の時に、彼女はレイプされます。その後も数年間、複数の異なる親戚の男性が彼女にみだらな行為を繰り返すようになります。彼女の人生は崩れていきます。彼女は心の奥深くにある孤独な欠落を埋めるために、薬物やセックスに手を出してしまいます。その後、母親は彼女をナッシュビルに送り、父親と一緒に暮らすようにします。父親は彼女に厳しい行動規範を課し、やがて彼女の荒れた生活は再び落ち着きを取り戻します。彼女は学校での成功を経験し始め、19歳で最年少かつ初のアフリカ系アメリカ人女性ニュースアンカーとなります(“Dates and Events,” n.d.)。この女性、オプラ・ウィンフリーは、その知性と共感性の両方で知られるメディア界の巨人となっていきます。

高い知能:生まれか、育ちか?

高い知能はどこから来るのでしょうか?一部の研究者は、知能が両親から受け継いだ形質であると考えています。このトピックを研究している科学者は、知能の遺伝性を調べるために、通常、双子の研究を行っています。ミネソタ別離養育双生児研究は、最も有名な双生児研究の1つです。この調査で、研究者は、一緒に育てられた一卵性双生児と離れて育てられた一卵性双生児は、一緒に育てられた兄弟姉妹や二卵性双生児よりも、IQスコアの間に高い相関関係があることを発見しました(Bouchard, Lykken, McGue, Segal, & Tellegen, 1990)。この研究の結果から、知能には遺伝的要素があることが明らかになりました(図7.16)。一方で、他の心理学者は、知能が子供の発達環境によって形成されると考えています。もし、親が子供に対して生まれる前から知的刺激を与えていれば、子供はその刺激の恩恵を吸収し、それが知能レベルに反映される可能性があります。

図7.16 | 離れて養育されたまたは一緒に養育された、親族また無関係の人のIQの相関関係は、知能に遺伝的要素があることを示唆しています。

現実には、それぞれの考え方のいくつかの側面がおそらく正しいです。実際、ある研究では、知能のレベルは遺伝が支配しているように見えるものの、環境の影響は、認知能力の発現の引き金となる安定性と変化の両方をもたらすことが示唆されています(Bartels, Rietveld, Van Baal, & Boomsma, 2002)。確かに、知能の発達をサポートする行動はありますが、高い知能の遺伝的要素も無視されるべきではありません。しかしながら、すべての遺伝的形質と同様に、高い知能がいつ、どのようにして次世代に受け継がれるのかを分離することは、常に可能であるというわけではありません。

反応の範囲とは、それぞれの人がその遺伝的構成に基づいて、環境に対して独自の方法で反応するという理論です。この考え方によると、あなたの遺伝子の潜在能力は固定された量ですが、あなたが知的な潜在能力を最大限に発揮できるかどうかは、特に幼少期に経験する環境刺激に左右されることになります。このようなシナリオについて考えてみてください:あるカップルが、遺伝的には平均的な知的潜在能力を持つ子供を養子に迎えました。彼らは彼女を、極度に刺激的な環境で育てます。このカップルの新しい娘には何が起きるでしょうか?刺激的な環境は、彼女の知的能力をその生涯にわたって向上させると思われます。しかし、もしこの実験を逆にしたら何が起きるでしょうか?極めて強い遺伝的背景を持つ子供を、刺激のない環境に置いたとしたら、何が起きるでしょうか?興味深いことに、高度な才能を持つ人たちの縦断的研究によると、「創造的な人たちの背景には、最適な経験と病的な経験という両極端が、不釣り合いに表れている」ことが判明しました。しかしながら、支援的な家庭環境を経験した人たちは、幸せであると報告する傾向がより強かったです(Csikszentmihalyi & Csikszentmihalyi, 1993, p. 187)。

高い知能の起源を明らかにするためのもう1つの課題は、人間の社会構造の交絡を起こすような性質です。ある民族集団が他の民族集団よりもIQテストの成績が良いと記述するのは困惑することです。そして、その結果はそれぞれの民族集団の知能の質とはあまり関係がないという可能性が高いでしょう。社会経済的地位についても同じことが言えます。貧困の中で暮らす子供は、安全、住居、食糧といった基本的な必要性について心配していない子供よりも、広範な日常的ストレスを経験しています。このような心配事は、脳の機能や発達に悪影響を及ぼし、IQスコアの低下を引き起こします。マーク・キシヤマと彼の同僚は、貧困の中で暮らす子供は、外側前頭前皮質に損傷を受けた子供に匹敵するほど、前頭前野の脳機能が低下していることを明らかにしました(Kishiyama, Boyce, Jimenez, Perry, & Knight, 2009)。

1969年、教育心理学者のアーサー・ジェンセンが「私たちはどれだけIQと成果を向上させることができるか」という論文をハーバード・エデュケーショナル・レビュー誌に発表したことで、知能の基礎や影響をめぐる議論が爆発的に高まりました。ジェンセンは、多様なグループの生徒にIQテストを実施し、その結果からIQは遺伝で決まるという結論を導き出しました。彼はまた、知能は2種類の能力で構成されていると推測しました:それは、レベルIとレベルIIです。彼の理論では、レベルIは暗記力を担っている一方で、レベルIIは概念的能力と分析的能力を担っています。彼の研究結果によると、レベルIは人類の間で一貫しています。しかしながら、レベルIIは民族集団の間で違いが見られました(Modgil & Routledge, 1987)。ジェンセンの結論で最も議論を呼んだのは、レベルIIの知能はアジア系で広くいきわたっており、次にコーカサス系[白人系]、その後がアフリカ系アメリカ人であるというものでした。ロバート・ウィリアムズは、ジェンセンの結果に人種的な偏見があると指摘した人物のうちの1人です(Williams, 1970)。

明らかに、ジェンセンによる自身のデータの解釈は、人種差別の影響に苦慮し続けていた国において、激しい反応を引き起こしました(Fox, 2012)。しかしながら、ジェンセンの考え方は決して単独の、または独特のものではありません。むしろ、それはIQや認知能力の人種差を主張する心理学者の多くの例の1つでした。実際、ラシュトンとジェンセン(Rushton & Jensen, 2005)は、人種と認知能力の間の関係に関する30年分の研究をレビューしました。知能の遺伝的な性質と、IQテストが知能の最も真正な尺度であることの妥当性とについてのジェンセンの信念が、彼の結論の核心にあります。しかしながら、もしあなたが、知能とはレベルIとII以上のものであると考えているならば、あるいは、IQテストは人々の間の社会経済的、文化的な違いを統制していないと考えているならば、あなたはジェンセンの結論のことを、人間の知能の複雑で変化に富んだ風景を見渡す1つの窓に過ぎないとはねつけることができるかもしれません。

これに関連する話として、1979年にアフリカ系アメリカ人の生徒の親がカリフォルニア州を相手に訴訟を起こしました。その理由は、学習障害のある生徒を特定するために使われるテスト方法が、白人の子供を使って基準化・標準化されているため、文化的に不公平であると彼らが考えたからです(ラリー・P対ライルズ)。州が採用していたテスト方法では、不釣り合いなほどのアフリカ系アメリカ人の子供たちが精神遅滞として特定されました。その結果、多くの生徒が誤って「精神遅滞」と分類されました。このラリー・P対ライルズ事件の要旨によると:

被告は、1964年公民権法第6章、1973年リハビリテーション法、1975年全障害児教育法に違反して、人種的・文化的に偏りがあり、黒人の子供に差別的な影響を与え、かつ、黒人の子供たちを、教育的に行き詰まり、孤立し、汚名を着せられるような、いわゆる教育可能な精神遅滞者のためのクラスに本質的に永久に入れる目的について有効であると確認されたものではない標準化された知能テストを利用した。さらに、有効であると確認されておらず、特別なE.M.R.(教育可能な精神遅滞者)クラスに黒人の子供が大幅に過剰に配置される結果となるようなクラス分けメカニズムを被告が一般的に使用することも、これらの連邦法に違反している。(Larry P. v. Riles, par. 6)

改めて、知能検査の限界が明らかにされました。

学習障害とは何でしょうか?

学習障害は、認知のさまざまな分野、特に言語や読解に影響を与える認知障害です。学習障害は、知的障害と同じものではないことを指摘しておくべきでしょう。学習障害は、包括的な知的障害や発達障害ではなく、特定の神経学的な障害と考えられています。言語障害を持つ人は、話し言葉を理解したり使ったりするのが難しく、一方、失読症のような読解障害を持つ人は、読んでいるものを処理するのが難しいです。

しばしば、学習障害は、子供が学齢期になるまで認識されません。学習障害の厄介な側面の1つは、それらは平均以上の知能を持つ子供に影響を与えることが多いということです。言い換えれば、その障害は特定の分野に特有のものであり、全体的な知的能力の指標ではないということです。同時に、学習障害は、注意欠如/多動性障害(ADHD)のような他の障害と併存して現れる傾向があります。ADHDと診断された人の30~70%は、何らかの学習障害も持っています(Riccio, Gonzales, & Hynd, 1994)。それでは、一般的な学習障害の3つの例を見てみましょう:それは、書字障害、失読症、算数障害です。

書字障害

書字障害のある子供は、読みやすい文字を書くことに苦労するような学習障害を持っています。その人にとっては、ペンと紙を使って書くという物理的な作業は極度に困難なものです。このような子供は、しばしば自分の考えを紙に書くことに非常に苦労します(Smits-Engelsman & Van Galen, 1997)。この困難さは、その人のIQとは一致しません。つまり、その子供のIQおよび/または他の分野での能力に基づくと、書字障害のある子供は書くことができるはずなのに書けないのです。書字障害のある子供は、空間的な能力にも問題があるかもしれません。

書字障害のある生徒には、学校での成功を助けるために、学習上の便宜を図る必要があります。これらの便宜として、生徒が自分の知っていることを示すために、代替的な評価の機会を提供することができます(Barton, 2003)。たとえば、書字障害のある生徒は、伝統的な紙と鉛筆によるテストではなく、口頭試問を受けることが許されるかもしれません。治療は通常、作業療法士によって行われますが、このような治療がどれほど効果的であるかについてはいくらかの疑問があります(Zwicker, 2005)。

失読症

失読症は、子供の学習障害の中で最も一般的なものです。失読症の人は、文字を正しく処理する能力を示すことができません。失読症の人では、音を処理するための神経学的なメカニズムが正しく機能していません。その結果、失読症の子供は、音と文字の対応を理解することができないのかもしれません。失読症のある子供は、単語や文章の中で文字を混乱させてしまうこと(図7.17に示されるもののような文字の反転は、この学習障害の特徴です)や、読んでいる間に単語全体を飛ばしてしまうこともあります。失読症の子供は、書いているときに単語を正しくつづるのに困難を覚えるかもしれません。脳が文字や音を処理する方法に障害があるため、読むことを学ぶのは苛立たしい経験となります。失読症の人の中には、ほとんどの単語の形を記憶することによって対処する人もいますが、彼らは実際には読むのを学んだことにはなりません(Berninger, 2008)。

図7.17 | これらの書かれた単語は、失読症の人が書いた「ティーポット(teapot)」という言葉のバリエーションです。

算数障害

算数障害とは、算数の学習や理解が困難なことです。この学習障害は、子供が小さな集まりの中にある物の数を数えずに見分けることが困難なときに初めて発見されることがしばしばあります。その他の症状としては、数学的な事実の暗記、数字の整理、または数詞、数学記号、書かれた数字(「3」と「三」など)を完全に区別するのが困難なことが含まれます。

重要用語

アルゴリズム:指示の特定の組によって特徴付けられる問題解決戦略

分析的知能:学術的な問題解決と計算に関連付けられる

アンカリング・バイアス:問題の単一の側面に固執して解決策を見出そうとする誤ったヒューリスティック

人工概念:非常に特定の特徴の組によって定義される概念

利用可能性ヒューリスティック:容易に入手できる情報に基づいて意思決定を行う誤ったヒューリスティック

認知:知覚、学習、問題解決、判断、および記憶を含む思考

認知心理学:人々がどのように考えるかのあらゆる側面を研究することに専念する心理学の分野

認知的スクリプト:毎回同じ方法で実行される一連の行動。出来事スキーマとも呼ばれる

概念:言語情報、物体、考え方、または人生経験を分類したり、まとめたりしたもの

確証バイアス:自分の信念を追認するような情報に注目する誤ったヒューリスティック

収束的思考:問題に対して正しい答えや確立された答えを提供すること

創造的知能:新しい製品やアイデアを生み出す能力、または問題に対する新しい奇抜な解決策を発明する能力

創造性:新しい考え方、解決策、可能性を生み出し、創造し、または発見する能力

結晶性知能:獲得した知識とそれを取り出す能力によって特徴付けられる

文化的知能:異文化を理解し、異文化の人々と関わりを持つことができる能力

発散的思考:「既成概念にとらわれず」に考えて、問題の新奇な解決策に到達する能力

算数障害:数学の学習や理解に困難をきたす学習障害

書字障害:読みやすい文字を書くことに極端な困難をきたす学習障害

失読症:文字が脳で正しく処理されない一般的な学習障害

感情的知能:自分や他人の感情や動機を理解する能力

出来事スキーマ:毎回同じ方法で実行される一連の行動。認知的スクリプトとも呼ばれる

流動性知能:複雑な関係を見抜き、問題を解決する能力

フリン効果:それぞれの世代は前の世代よりもIQが大幅に高くなるという観察結果

機能的固着:ある物体が、意図された用途以外の何らかの用途で便利であると考えることができないこと

文法:レキシコンを使って意味を伝えるために用いられる一連の規則

ヒューリスティック:問題を解決する際に時間を節約する精神的な近道

後知恵バイアス:経験したばかりの出来事が、実際には予測できなかったにもかかわらず、予測できたという思い込み

知能指数(または、IQ):知能を測定するように設計されたテストのスコア

言語:ある個人から別の個人へ情報を伝達するために言葉を使用するコミュニケーション体系

レキシコン:ある言語の単語

心的構え:ある問題に対して、結果が出ないまま古い解決策を使い続けること

形態素:何らかの種類の意味を伝える言語の最小単位

多重知能理論:それぞれの人は少なくとも8種類の知能を持っているという、ガードナーによる理論

自然概念:自分の経験を通して「自然に」作られる精神的なグループ分け

基準化:母集団とそこに含まれる種々のグループの正常なスコアを参照するためのデータを収集できるように、大きな母集団に対してテストを実施すること

過剰一般化:ある言語に存在する規則を、その規則の例外にまで拡大してしまうこと

音素:ある言語の基本的な音の単位

実践的知能:別名「抜け目のなさ」

問題解決の戦略:問題を解決するための方法

プロトタイプ:ある概念についての最良の表現

反応の範囲:環境に対するそれぞれの人の反応は、その人の遺伝的構成に基づいた独自のものである

代表性バイアス:妥当な判断根拠なしに誰かや何かをステレオタイプ化してしまう誤ったヒューリスティック

代表標本:一般的な集団を正確に代表しているような、母集団の部分集合

役割スキーマ:特定の役割を担う人の行動を定義する一連の期待事項

スキーマ:関連する概念の一群または集まりからなる心的な構築物

意味論:形態素や単語から意味を導き出すプロセス

標準偏差:一連のスコアとその平均値との差を表すばらつきの尺度

標準化:テストの実施、採点、結果の解釈が一貫しているテストの方法

統語論:単語が文に編成される方法

試行錯誤:正しい解決策が見つかるまで複数の解決策を試みる問題解決の戦略

知能の三頭理論:スタンバーグによる知能の理論。実践的知能、創造的知能、分析的知能という知能の3つの側面

逆算して取り組む:最終的な結果に焦点を当てることによって問題解決を開始するヒューリスティック

この章のまとめ

7.1 認知とは何でしょうか?

この節では、あなたに認知心理学について紹介しました。認知心理学とは、認知(すなわち、思考し、知覚し、計画し、分析し、記憶する脳の能力)を研究する学問です。概念とそれに対応するプロトタイプは、私たちが新しい情報を分類するためのカテゴリーを作り出すことによって、思考を素早く整理するのに役立ちます。また、私たちは、関連する概念の集まりであるスキーマを発達させます。一部のスキーマには、思考や行動の決まったやり方が含まれており、これらは、さまざまな状況で「熟考する」ことなく、適切に振る舞うために役立ちます。スキーマは、社会的な状況や日常の決まりきった行動の中に現れます。

7.2 言語

言語は、レキシコンと文法体系を持つコミュニケーション体系です。言語の習得は、人生の初期の段階では自然に努力することなく行われ、この習得は世界中の個人において予測可能な順序で行われます。言語は思考に強い影響を与えるものであり、言語が認知にどのような影響を与えるかという考えは、心理学の研究と議論の対象となっています。

7.3 問題解決

問題解決にはさまざまな戦略が存在します。典型的な戦略には、試行錯誤、アルゴリズムの適用、およびヒューリスティックの利用が含まれます。大規模で複雑な問題を解決するためには、問題を小さな段階に分割し、それぞれの段階を個別に達成することで、全体的な解決を図ることがしばしば役に立ちます。問題解決の障害となるものには、心的構え、機能的固着、および意思決定スキルを低下させるさまざまなバイアスが含まれます。

7.4 知能と創造性とは何でしょうか?

知能は、認知における複雑な特性です。知能とは何か、それはどのように働くのかを説明するために、多くの理論が開発されてきました。スタンバーグは知能の三頭理論を提唱し、ガードナーは知能が多くの要素から構成されるとしています。また、他の人は感情的知能の重要性に焦点を当てています。最後に、創造性は知能の一面であると考えられていますが、それを客観的に測定することは極めて困難です。

7.5 知能の測定

この節では、私たちは、知能テストの歴史と、知能テストに関するいくつかの課題について学びました。知能検査は、ビネーによって本格的に始められました。その後、ウェクスラーが知能検査を開発し、それらは現在でもWAIS-IVとWISC-Vとして使われています。釣鐘曲線は、平均的な知能を含むスコアの範囲と標準偏差を示しています。

7.6 知能の源泉

遺伝と環境は、知能と特定の学習障害の課題に影響を与えます。すべての人の知能レベルは、幼少期の環境における豊富な刺激から恩恵を受けているようです。しかしながら、知能の高い人は、養育における困難な障害を乗り越えることができる生来の力強さを持っているのかもしれません。学習障害は、読み書きを学ぶ子供たちに大きな困難をもたらします。発達障害とは異なり、学習障害は厳密に神経学的な性質のものであり、知能レベルとは関係がありません。たとえば、失読症の生徒は、読むことを学ぶのが非常に難しいかもしれませんが、彼らの知能レベルは典型的には、平均または平均以上です。

レビュー問題

1.認知心理学は心理学の一分野で、________の研究に焦点を当てています。
a.人間の発達
b.人間の思考
c.人間の行動
d.人間社会

2.スポーツチームにおけるリーダーシップの概念についてのプロトタイプの例は、以下のうちどれですか?
a.備品管理者
b.スコア記録係
c.チームのキャプテン
d.チームの中で一番静かなメンバー

3.以下のうち、人工概念の例はどれですか?
a.哺乳類
b.三角形の面積
c.宝石
d.教師

4.出来事スキーマは、認知的________としても知られています。
a.ステレオタイプ
b.概念
c.スクリプト
d.プロトタイプ

5.________は、単語を意味のある文章に編成するための一般的な原則を提供します。
a.言語決定論
b.レキシコン
c.意味論
d.統語論

6.________は、意味を帯びた、言語の最小単位です。
a.レキシコン
b.音素
c.形態素
d.統語論

7.単語や語句の意味は、________の規則を適用することにより決定されます。
a.レキシコン
b.音素
c.過剰一般化
d.意味論

8.________は、話し言葉の基本的な音の単位です。
a.統語論
b.音素
c.形態素
d.文法

9.問題を解決するための具体的な公式は、________と呼ばれます。
a.アルゴリズム
b.ヒューリスティック
c.心的構え
d.試行錯誤

10.問題解決のための一般的な枠組みの形をした精神的な近道は、________と呼ばれます。
a.アルゴリズム
b.ヒューリスティック
c.心的構え
d.試行錯誤

11.問題の単一の特徴に固執することを伴うのは、どの種類のバイアスですか?
a.アンカリング・バイアス
b.確証バイアス
c.代表性バイアス
d.利用可能性バイアス

12.誤ったステレオタイプに頼って判断してしまうことを伴うのは、どの種類のバイアスですか?
a.アンカリング・バイアス
b.確証バイアス
c.代表性バイアス
d.利用可能性バイアス

13.流動性知能は、________ことによって特徴付けられます。
a.情報を思い出すことができる
b.新しい製品を作ることができる
c.異文化を理解し、コミュニケーションをとることができる
d.複雑な関係を見抜き、問題を解決することができる

14.以下のうち、ガードナーの多重知能の1つではないものはどれですか?
a.創造的知能
b.空間的知能
c.言語的知能
d.音楽的知能

15.知能の三頭理論を提唱した理論家は誰ですか?
a.ゴールマン
b.ガードナー
c.スタンバーグ
d.スタイツ

16.データを検証して傾向を探すとき、あなたはどの種類の知能を最も使っていますか?
a.実践的知能
b.分析的知能
c.感情的知能
d.創造的知能

17.テストを基準化・標準化するためには、________でテストしなければなりません。
a.同年代の仲間のグループ
b.代表標本
c.精神障害のある子供
d.平均的な知能の子供

18.平均的なIQを持つ人の平均スコアは、________です。
a.70
b.130
c.85
d.100

19.現在最も広く使われているIQテストを開発したのは誰ですか?
a.サー・フランシス・ゴルトン
b.アルフレッド・ビネー
c.ルイス・ターマン
d.デイヴィッド・ウェクスラー

20.DSM-5では、かつて精神遅滞と呼ばれていたものについて、現在では________という診断名を使用しています。
a.自閉症と発達障害
b.知能低下
c.知的障害
d.認知混乱

21.高い知能は何に由来するのでしょうか?
a.遺伝
b.環境
c.aとbの両方
d.aでもbでもない

22.アーサー・ジェンセンは、________と考えていました。
a.遺伝だけが知能を担っている
b.環境だけが知能を担っている
c.知能レベルは人種によって決まる
d.IQテストは社会経済的地位を考慮していない

23.学習障害とは何ですか?
a.発達障害
b.神経学的障害
c.情緒障害
d.知的障害

24.以下の記述のうち、正しいものはどれですか?
a.貧困は常に、個人がその知的潜在能力を最大限に発揮できるかどうかに影響する。
b.ある個人の知能は、その兄弟姉妹の知能レベルによってのみ決定される。
c.ある個人が育った環境は、その個人の将来の知能を最も強く予測する。
d.個人の知能レベルに影響を与える要因は多数存在する。

批判的思考の問題

25.あなたがスポーツイベントで気づくであろう出来事スキーマを記述してください。

26.出来事スキーマが人間の行動に大きな影響を与える理由を説明してください。

27.言葉はどのようにして私たちの思考を表すだけでなく、私たちの価値観をも表すのでしょうか?

28.文法的な誤りが、実際には子供の言語習得を示すということはあるでしょうか?

29.書字障害や失読症などの特定の学習障害は、子供の教育や学校生活にどのような影響を与えるでしょうか?

30.機能的固着とは何ですか?それを克服すると、どのようにして問題解決に役立つでしょうか?

31.アルゴリズムは、問題解決の際の時間とエネルギーをどのように節約してくれますか?

32.あなたが実践的知能を使う必要がある状況を記述してください。

33.文化的知能が、より良いコミュニケーションに役立つような状況を記述してください。

34.異なる理論家が知能を異なる方法で定義したのはなぜだと思いますか?

35.スタンフォード・ビネーIQテストとウェクスラーのIQテストの利点を比較対照してください。

36.個人のIQに遺伝的要素があるということについて、どのような証拠が存在していますか?

37.学習障害と、知能に対する知的障害との間の関係について記述してください。

個人的に当てはめてみる問題

38.あなたは完全に知っているが、他の人が理解するのは難しいであろう自然概念を記述し、それがなぜ難しいのかを説明してください。

39.あなたは、言語が認知に影響を与える例を思い浮かべることができますか?

40.あなたは、自分の意思決定プロセスにおいて、どのようなタイプのバイアスを認識していますか?そのバイアスは、過去の意思決定のやり方にどのような影響を与えましたか?また、そのバイアスを意識することで、今後の意思決定のスキルをどのように改善することができますか?

41.感情的知能は、あなたの私生活にどのような影響を与えていると思いますか?

42.先述したキャンディスの事例について考えてみると、キャンディスはいつも次の学年へと進級させられた結果、利益を得たと思いますか?それとも苦しんだと思いますか?

43.あなたの知能レベルは、子供時代の環境の刺激によって向上したと思いますか?もしそうならば、その理由は何ですか?もしそうでないならば、その理由は何ですか?

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