第12章 社会心理学
この章の概要
12.1 社会心理学とは何でしょうか?
12.2 自己提示
12.3 態度と説得
12.4 同調、遵守、および服従
12.5 先入観と差別
12.6 攻撃性
12.7 向社会的行動
はじめに
2012年2月26日の夜、アフリカ系アメリカ人の17歳の高校生トレイボン・マーティンが、圧倒的に白人の多く住む地域で、自警団のボランティアであるジョージ・ジマーマンに撃たれました。ジマーマンは、パーカーを着たこの少年を不審に思い、マーティンを追いかけました。つかみ合いの口論の結果、ジマーマンはマーティンを射殺しました。ジマーマンは自己防衛のために行動したと主張しました。マーティンは丸腰だったので、彼の死後、全米で激しい抗議が起こりました。フロリダ州の陪審員は、ジマーマンに第二級殺人および故殺のいずれについても無罪を宣告しました。ジョージ・ジマーマンは、この銃撃事件が起きたとき、集合住宅の住人であり、職に就いていませんでした。
また、警察官が無実の民間人を銃撃し、致命的な結果を招いた悲劇的な状況もあります。2019年に、アタティアナ・ジェファーソンの隣人が、深夜にジェファーソンの玄関扉が開いていたため、非緊急回線を使って警察に通報しました。警察が到着し、警察官が庭の奥に行きました。ジェファーソンは、警察が呼ばれたことを知らずに、かばんに手を入れて合法的に所有している銃を取り出しました。警察官は脅威を察知してジェファーソンに向けて発砲し、彼女を殺害しました。8歳の甥は、おばと一緒にビデオゲームをしていて、この事件を目撃しました。なぜそれぞれの夜の出来事は、関わった人にとって悲劇的な結末となったのでしょうか?どのような力学がこの結果に寄与したのでしょうか?どうすればこれらの死を防ぐことができるでしょうか?
社会心理学者は、試合をしているスポーツ選手、仕事をしている警察官、あるいは宗教行事に参加している参拝者など、ある人の行動や反応の仕方が他人の存在によってどのような影響を受けるかを調べます。社会心理学者は、人の行動がその状況にいる他の人や社会集団の構成によって影響を受けると考えています。
12.1 社会心理学とは何でしょうか?
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 社会心理学を定義する
- 行動に対する状況的影響と気質的影響を記述する
- 根本的な帰属の誤りを記述する
- 行為者-観察者バイアスを説明する
- 自己奉仕バイアスを記述する
- 公正世界仮説を説明する
社会心理学は、人々がお互いにどのような影響を与えるかを調べるもので、状況の持つ力に注目します。アメリカ心理学会(American Psychological Association, n.d.)によると、社会心理学者は、「人格と社会的相互作用のあらゆる側面に関心を持ち、個人間関係や集団関係が人間の行動に与える影響を探求」します。本章を通して、私たちは、他の個人や集団の存在が、人の行動や思考、感情にどのような影響を与えるかを調べていきます。基本的に、人はその場の社会的状況に合わせて行動を変えます。もし私たちが新しい状況に置かれたり、どのように振る舞ったらよいかわからないとき、私たちは他の人から手がかりを得ます。
社会心理学の分野では、個人内のレベルと個人間のレベルの両方の主題を研究します。個人内の主題(個人に関わるもの)には、感情や態度、自己、および社会的認知(私たちが自分自身や他人について考える方法)が含まれます。個人間の主題(二人組や集団に関するもの)には、援助行動(図12.2)、攻撃性、先入観と差別、魅力と親密な関係、および集団プロセスと集団間の関係が含まれます。
社会心理学者は、人々が状況をどのように概念化し、解釈するか、そしてその解釈がどのように彼らの思考、感情、および行動に影響を与えるかに焦点を当てています(Ross & Nisbett, 1991)。したがって、社会心理学では、社会的文脈の中での個人を研究するとともに、状況的な変数がどのように相互作用して行動に影響を与えるかということを研究します。本章では、自己提示、認知的不協和、および態度変容といった個人内プロセスと、同調と服従、攻撃性と利他性、そして最後には愛と魅力といった個人間プロセスについて議論します。
行動に対する状況的影響と気質的影響
行動は、状況(たとえば、文化的影響、社会的役割、および傍観者の存在)と人(たとえば、人格的な特徴)の両方の産物です。心理学の下位分野では、1つの影響や行動に対して、他のものよりも焦点を当てる傾向があります。状況主義とは、私たちの行動や行為は身近な環境や周囲の状況によって決定されるという見解です。これに対して、気質主義とは、私たちの行動は内的要因によって決定されるという考え方です(Heider, 1958)。内的要因とは、人の属性のことで、人格特性や気質が含まれます。社会心理学者は状況主義の視点に立つ傾向がある一方で、人格心理学者は気質主義の視点を推進してきました。しかしながら、現代の社会心理学のアプローチでは、状況と個人の両方を考慮に入れて人間の行動を研究しています(Fiske, Gilbert, & Lindzey, 2010)。実際、社会-人格心理学という分野は、人間の行動に影響を与える内的要因と状況的要因の複雑な相互作用を研究するために生まれたものです(Mischel, 1977; Richard, Bond, & Stokes-Zoota, 2003)。
根本的な帰属の誤り
米国では、人間の行動を説明する際に、気質的なアプローチを好む傾向の文化が主流です。これはなぜだと思いますか?私たちは、人が自分の行動をコントロールすることが可能であり、したがって、いかなる行動の変化であっても人格や習慣、あるいは気質などの内面的なものに起因しているはずだと考える傾向があります。何人かの社会心理学者によると、人々は他人の行動の説明(帰属)として、内的要因を強調しすぎる傾向があります。彼らは、他者の行動がその人の特性であると思い込み、他者の行動に影響を与える状況の力を過小評価する傾向があります。彼らは、他者の行動が状況的な変数のせいである場合、つまりその人の状態のせいである場合を認識できない傾向があります。この誤った思い込みは、根本的な帰属の誤りと呼ばれています(Ross, 1977; Riggio & Garcia, 2009)。理解を深めるために、次のようなシナリオを想像してみてください:ジェイミーが仕事から帰宅して玄関の扉を開けると、配偶者のモーガンが嬉しそうに出迎えて、今日の様子を尋ねてきます。配偶者の優しい出迎えに応える代わりに、ジェイミーは「ほっといてくれ!」と叫びます。なぜジェイミーは叫んだのでしょうか?根本的な帰属の誤りを犯している人ならば、ジェイミーの行動をどのように説明するでしょうか?最も一般的な回答は、ジェイミーが人当たりが悪く、怒りっぽくて、愛想のない人間(特性)であるというものです。これは、内的または気質的な説明です。しかしながら、ジェイミーが会社の縮小のために仕事を解雇されたばかりだったと想像してみてください。ジェイミーの行動に対するあなたの説明は変わるでしょうか?あなたの説明は、ジェイミーが解雇されたことにいらだちと失望を感じ、それゆえに機嫌が悪かった(状況)というものに変更されるかもしれません。これは、ジェイミーの行動に対する外的または状況的な説明です。
根本的な帰属の誤りは非常に強力であるため、人々は行動に及ぼしている明らかな状況的影響を見落としがちです。その古典的な例が、クイズマスター研究として知られる一連の実験で示されました(Ross, Amabile, & Steinmetz, 1977)。学生の参加者は、クイズゲームの出題者(クイズマスター)と回答者の役に無作為に割り当てられました。出題者は、自分が答えを知っている難問を作成し、その問題を回答者に提示しました。回答者は10問中4問しか正解しませんでした(図12.3)。この課題の終了後、出題者と回答者には、平均的な学生と比較して、自分の一般知識を評価してもらいました。出題者は自分の一般知識を回答者よりも高く評価しませんでしたが、回答者は出題者の知性を自分よりも高く評価しました。2つ目の研究では、このやり取りを観察していた人も、出題者の方が回答者よりも多くの一般知識を持っていると評価しました。成績に影響を与えるのは、明らかに状況です。出題者が質問を書いたのだから、当然出題者が有利です。回答者も観察者も、成績に対して内的な帰属をしていました。彼らは、出題者が回答者よりも知的であるに違いないという結論に達しました。
ハロー効果とは、ある個人の全体的な印象が、その人の性格に対する感じ方を左右する傾向のことです。たとえば、私たちは、身体的に魅力的な人が、魅力的でない人よりも善良な人である可能性が高いと思い込んでしまうことがあるかもしれません。ハロー効果の現れ方についてのもう1つの例は、私たちが社交的で友好的であると感じる人は、そうでない人に比べてより良い道徳的性格を有していると仮定することでしょう。
上記の例に見られるように、根本的な帰属の誤りは、私たちが他人の行動をどのように説明するかに際して強力な影響力を持つと考えられています。しかしながら、根本的な帰属の誤りはよく言われているほど強力ではないかもしれないと一部の研究者が示唆している、ということは指摘されてしかるべきです。実際、173件以上の出版された研究をまとめた最近のレビューによると、根本的な帰属の誤りの影響力の大きさを決定するには、いくつかの要因(たとえば、性格の特異性の高さや、仮説的な出来事がどの程度うまく説明されるかなど)が役割を果たしていることが示唆されています(Malle, 2006)。
根本的な帰属の誤りは普遍的な現象なのでしょうか?
あなたは、根本的な帰属の誤りの例を、自分の生活の中で思い浮かべることができるでしょう。すべての文化の人々が根本的な帰属の誤りを犯すのでしょうか?研究によると、そうではないことが示唆されています。個人主義的な文化、つまり個人の達成や自律性を重視する文化の人は、根本的な帰属の誤りを犯す傾向が最も強いです。アメリカ、カナダ、イギリスなどの西洋諸国に見られる傾向のある個人主義的な文化では、個人の重視を奨励します。そのため、ある人の気質が、その人の行動の主な説明になると考えられています。対照的に、集団主義的な文化、つまり、家族や友人、地域社会などといった他者との共同関係を重視する文化の人々(図12.4)は、根本的な帰属の誤りを犯す可能性が低いです(Markus & Kitayama, 1991; Triandis, 2001)。
なぜこのようなことが起こるのだと思いますか?東アジア諸国やラテンアメリカ、アフリカ諸国に見られる傾向のある集団主義的な文化は、個人よりも集団に焦点を当てます(Nisbett, Peng, Choi, & Norenzayan, 2001)。このように他者に焦点を当てることで、行動に対する状況的・文化的な影響を考慮した広い視野を持つことができます。それにより、他者の行動の原因をよりニュアンスを持った形で説明する可能性が高まります。表12.1は、個人主義的な文化と集団主義的な文化の比較をまとめたものです。
増田とニスベット(Masuda and Nisbett, 2001)は、観察者が集団主義的な文化出身の人か、個人主義的な文化出身の人かによって、視覚刺激(たとえば、水族館の風景)を見るときに注意を向ける情報の種類が大きく異なることを示しました。日本人の参加者は、提示された物体が元々見られていたのと同じ文脈の中で出現したときに、その物体を認識する可能性が非常に高くなりました。物体を思い出すときの文脈を変えても、アメリカ人の参加者は、そのような影響を受けませんでした。他の研究者も同様の違いを文化間で示しています。たとえば、ジャン、ファン、スタンリー、イサコビッツ、およびジャン(Zhang, Fung, Stanley, Isaacowitz, and Zhang, 2014)は、中国人とアメリカ人の参加者の間で、全体論的な思考の発展の仕方に違いがあることを示しました。また、ラメシュとゲルファン(Ramesh and Gelfand, 2010)は、インド人の標本では、離職率はその人と働く組織との適合性により関連しているものの、アメリカ人の標本では、その人と特定の仕事との適合性の方が離職率をよりよく予測することを示しました。
行為者-観察者バイアス
先ほどの例に戻ると、ジェイミーは解雇されましたが、観察者はそれを知りません。そのため、素朴な観察者は、ジェイミーの敵対的な行動を、真の状況的な原因ではなく、ジェイミーの気質によるものだと帰属させる傾向があるでしょう。なぜ、私たちは他人の行動に対する状況の影響を過小評価するのだと思いますか?1つの理由は、私たちが他人の行動を状況的に説明するために必要な情報をすべて持っているわけではないことがしばしばあるからです。私たちが持っているかもしれない情報は、観察可能なものだけです。このように情報が不足しているため、私たちはその行動が気質的な要因、つまり内的な要因によるものだと思い込む傾向があります。しかしながら、私たちが自分自身の行動を説明するとなると、私たちははるかに多くの利用可能な情報を手にしています。もしあなたが学校や仕事から帰ってきて、怒って愛犬や愛する人を怒鳴りつけたとしたら、あなたの説明はどのようなものになるでしょうか?あなたは、「とても疲れていた」、「体調が悪かった」、「静かな時間が必要だった」といった、状況的な説明をするでしょう。行為者-観察者バイアスとは、他人の行動を内的な要因に帰属させ(根本的な帰属の誤り)、自分の行動を状況的な力に帰属させる現象のことです(Jones & Nisbett, 1971; Nisbett, Caputo, Legant, & Marecek, 1973; Choi & Nisbett, 1998)。行動の行為者である私たちは、自分の行動を説明するために利用できる多くの情報を持っています。しかしながら、観察者としての私たちは、利用できる情報が少ないため、気質主義的な視点に陥りがちです。
行為者-観察者バイアスに関するある研究では、男性参加者が自分のガールフレンドを好きな理由を調べました(Nisbett et al., 1973)。自分のガールフレンドを好きな理由を聞かれた参加者は、ガールフレンドの内面的、気質的な資質(たとえば、彼女の楽しい性格)に注目しました。参加者の説明には、気質的特性などの自分自身の内面的な原因はほとんど含まれていませんでした(たとえば、「付き合う人が欲しい」)。一方、男友達がその彼女を好きな理由を推測する場合、参加者は気質的な説明と外的な説明を同じくらい行いました。これは、行為者が自分の行動について、内的な説明をほとんどせず、状況的な説明を多くする傾向があるという考え方を支持するものです。一方、観察者は友人の行動に対して気質的な説明をする傾向があります(図12.5)。
自己奉仕バイアス
私たちは、ある結果の原因についての信念である帰属をより深く掘り下げることによって、自己奉仕バイアスを理解することができます。帰属についてのあるモデルでは、統制の所在(内的か外的か)、安定性(安定か不安定か)、制御可能性(制御可能か制御不可能か)という3つの主要な特徴が提案されています。この文脈では、安定性とは、ある結果をもたらす状況がどの程度変化可能であるかを意味します。状況が変化しそうにない場合、その状況は安定していると見なされます。制御可能性とは、ある結果に結びつく状況をどの程度制御することができるかを意味します。明らかに、私たちが制御する力を持っている物事は、制御可能と表示されるでしょう(Weiner, 1979)。
ある結果を受けて、自分に有利な見方をさせてくれるような帰属のことを、自己奉仕バイアスと言います(たとえば、成功の場合は内的な帰属、失敗の場合は外的な帰属とします)。たとえば、あなたがある課題でうまくいったとき、たとえば試験に合格したとき、状況的な帰属(「試験は簡単だった」)ではなく、自分の行動に対する気質的な帰属(「私は頭がいい」)をするのがあなたにとって得策です。自己奉仕バイアスとは、自分の成功を気質的(内的)特性によるものと説明し、自分の失敗を状況的(外的)要因によるものと説明する傾向のことです。これもやはり文化に依存しています。このバイアスは、自尊心を守るのに役立ちます。もし人々が自分の行動をいつも状況的な帰属で説明するとしたら、自分の功績を認めたり、それで気分がよくなったりすることができなくなってしまうことは想像に難くありません。
たとえば、私たちがお気に入りのスポーツチームの勝利をどのように説明するかという例を考えてみましょう。研究によると、私たちはチームの勝利に対して、内的で安定した、制御可能な帰属をしていることが示されています(図12.6)(Grove, Hanrahan, & McInman, 1991)。たとえば、私たちのチームには才能がそろっており(内的)、一貫して努力しており(安定的)、効果的な戦略を用いている(制御可能)と自分に言い聞かせるでしょう。対照的に、贔屓のチームが負けると、私たちは外的、不安定、制御不可能な帰属をする可能性が高くなります。たとえば、相手チームには経験豊富な選手がいる、あるいは審判が不公平だ(外的)、相手チームはホームで戦った(不安定)、寒い天気がこちらのチームのパフォーマンスに影響した(制御不可能)と自分に言い聞かせるかもしれません。
公正世界仮説
西洋人が行動に対して気質的な説明をする傾向があることの1つの帰結として、犠牲者への非難があります(Jost & Major, 2001)。人々が不運を経験すると、他人はその人たちが彼ら自身の運命に何らかの責任があると考える傾向があります。米国でよく見られるイデオロギー(あるいは、世界観)に公正世界仮説があります。公正世界仮説とは、人々は自分にふさわしい結果を得るという信念のことです(Lerner & Miller, 1978)。世界は公平な場所であるという信念を維持するために、人々は、良い人は肯定的な結果を経験し、悪い人は否定的な結果を経験すると考える傾向があります(Jost, Banaji, & Nosek, 2004; Jost & Major, 2001)。世界を公平な場所(人々がふさわしいものを受け取る場所)と考えることができると、人々は、世界が予測可能であり、自分の人生の結果をある程度コントロールできると感じることができます(Jost et al., 2004; Jost & Major, 2001)。たとえば、肯定的な結果を経験したいと望むならば、人生で成功するために一生懸命働くことだけが必要となります。
あなたは、公正世界仮説の否定的な結果について何か思い浮かべることができますか?否定的な結果の1つは、人々が貧しい人々の窮状を彼ら自身のせいにして非難する傾向があることです。人々が貧困の中で暮らしている理由として、どのような説明がよくなされるでしょうか?「貧乏人は怠け者で働きたくないだけだ」とか「貧しい人は政府に頼って生きていきたいだけだ」などという言葉を聞いたことはありませんか?これらの説明のタイプは、気質的なものでしょうか、それとも状況的なものでしょうか?これらの気質的な説明は、根本的な帰属の誤りの明確な例です。貧困の原因を貧困層の人々のせいにすることは、高い失業率、不況、教育機会の不足、および貧困の家族的連鎖など、貧困層の人々に影響を与える状況的要因を無視しています(図12.7)。他の研究では、公正世界の信念を持っている人は、失業中の人やAIDSを患っている人に対して否定的な態度をとることを示しています(Sutton & Douglas, 2005)。アメリカやその他の国々では、性的暴行の被害者は、その被害を受けたことについて自分が非難されていることに気づくかもしれません。ドメスティック・バイオレンス・エンデッド(DOVE)などの被害者擁護団体は、被害者ではなく、性暴力の加害者に非難が向くように、被害者を支援するために法廷に付き添います。
12.2 自己提示
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 社会的役割と、それらがどのように行動に影響を与えるかを記述する
- 社会規範とは何かと、それらがどのように行動に影響を与えるかを説明する
- スクリプトを定義する
- ジンバルドーのスタンフォード監獄実験の知見を記述する
ここまであなたが学んできたように、社会心理学とは、人々がお互いの思考や感情、行動にどのようにして影響を与えるかを研究する学問です。私たちは、状況的な視点について議論するとともに、文化やその他の社会的影響を含む人の環境が行動に影響を与える方法に対して社会心理学が重点を置くことについても議論してきました。本節では、私たちは、社会的役割、社会規範、およびスクリプトを含む、人間の行動に対して強い影響を与える状況的な力について検討します。私たちは、人間がどのように行動すべきかについての情報源、つまり手がかりとして、社会環境をどのように利用するかについて論じます。緊急時に見知らぬ人を助けるかどうかや、慣れない環境でどのように行動するかなど、状況が私たちの行動に与える影響は重大な帰結をもたらします。
社会的役割
人間の行動の主要な社会的決定要因の1つは、社会的役割です。社会的役割とは、ある環境や集団の中である人に期待される行動のパターンのことです(Hare, 2003)。私たち一人ひとりは、いくつかの社会的役割を持っています。あなたは、同時に、学生であり、親であり、教師志望者であり、息子か娘であり、配偶者であり、プールの監視員であるかもしれません。これらの社会的役割は、あなたの行動にどのようにして影響を与えるでしょうか?社会的役割は、文化的に共有された知識によって定義されます。つまり、ある文化のほぼすべての人が、ある役割を担う人に期待される行動とは何かを知っています。たとえば、学生の社会的役割とは何でしょうか?もしあなたが大学の教室を見渡せば、ノートを取ったり、教授の話を聞いたり、教科書を読んだり、静かに机に向かったりと、勉強熱心な行動をしている学生を見かけることでしょう(図12.8)。もちろん、あなたは、携帯電話でテキストを打ったり、ノートパソコンでFacebookを利用したりするなど、期待される勉学行動から逸脱している学生を見かけることもあるでしょうが、いずれにせよ、あなたが観察している学生は、学生の社会的役割の一部である授業に出席しています。
社会的役割とそれに関連する私たちの行動は、さまざまな環境で変動することがあります。家族の集まりに参加する子供としての役割を果たしているとき、あなたはどのように行動しますか?次に、あなたが職場で従業員の役割に従事しているときに、あなたがどのように行動するかを想像してみてください。あなたの行動が違っている可能性はかなり高いでしょう。おそらく、家族と一緒にいるときはあなたはずっとリラックスして打ち解けており、ジョークを言ったり、くだらないことをしたりしているかもしれません。しかし、職場では、あなたはより職業上ふさわしい話し方をしたり、友好的でありながらも、仕事を完了させるために真剣で集中していたりするでしょう。これらは、私たちの社会的役割が、私たちの行動に影響を与え、しばしば決定づけることによって、同一性や人格が文脈(つまり、異なる社会集団)に応じて変動することの例です(Malloy, Albright, Kenny, Agatstein & Winquist, 1997)。
社会規範
先に述べたように、社会的役割は、特定の役割を担う個人に期待される行動について、文化の中で共有された知識によって定義されます。この共有された知識は、社会規範から生まれます。社会規範とは、集団の構成員にとって何が適切で受け入れられる行動なのか、つまり、どのように行動し、考えるべきなのかについての集団の期待のことです(Deutsch & Gerard, 1955; Berkowitz, 2004)。私たちはどのように行動することが期待されているのでしょうか?私たちは何を話すことが期待されているのでしょうか?私たちは何を着ることが期待されているのでしょうか?社会的役割についての議論の中で、私たちは、大学には学生の役割としての学生の行動に対する社会規範があり、職場には従業員の役割としての従業員の行動に対する社会規範があることを述べました。社会規範は、家族、ギャング、ソーシャルメディアなど、あらゆるところに存在しています。Facebook上でのいくつかの社会規範は何でしょうか?
概念をつなげてみよう
トゥイーン、ティーンエイジャー、および社会規範
私の11歳の娘、ジャネルは最近、夏に向けてショートパンツとシャツが必要だと言い、それを買うためにモールにあるプレティーンやティーンに人気のある店に連れて行ってほしいと頼んできました。私は、多くの女の子がその店の服を持っていることに気づいていたので、彼女をからかってみました。「どのシャツの前にも『Aero』って書いてあるでしょう。もしあなたがそんなシャツを着ていて、代理の先生がやって来て、他の女の子がみんなそんなシャツを着ていたら、代理の先生はあなたたちがみんな「エアロ」という名前だと思わないかしら?」
娘は11歳にぴったりな返事をしました。「ママ、面白くない。お願いだから、買い物に連れて行ってくれない?」
私は別の方法を試してみました。私はジャネルに、その特定の店の服を持っていると人気者になれるのかどうか尋ねてみました。彼女は「ううん、そんなことで人気者にはなれない。その服は人気のある子が着るもので、それで私は幸せな気分になるの」と答えました。ラベルや有名ブランドは、どのようにして人を幸せな気分にさせるのでしょうか?生涯発達について学んだことを思い出してみてください。プレティーンや10代前半の人たちは、なぜ周りに溶け込もうとするのでしょうか(図12.9)?それは時間とともに変化しますか?あなたの高校時代の経験を思い出してみてください。あるいは、大学のキャンパスで周りを見回してみてください。あなたが目にする主な有名ブランドの服は何ですか?私たちは、周りに溶け込むことについて、メディアからどのようなメッセージを受け取っていますか?
スクリプト
社会的役割のおかげで、人々は特定の慣れ親しんだ状況の中でどのような行動が期待されているかを知る傾向があります。スクリプトとは、特定の状況で期待される一連の出来事についての人の知識のことです(Schank & Abelson, 1977)。学校の初日、エレベーターに乗り込むとき、あるいはレストランにいるとき、あなたはどのように行動しますか?たとえば、アメリカのレストランでは、もし私たちが接客係の注意を引きたいならば、目を合わせるようにします。ブラジルでは、接客係の注意を引くために「シー」という音を出します。あなたは、スクリプトの中に文化的な違いを見ることができます。アメリカ人にとっては接客係に「シー」と言うのは失礼なことかもしれませんが、ブラジル人にとっては目を合わせようとするのは効果的な戦略ではないかもしれません。スクリプトは、ある状況での行動を導くための重要な情報源です。あなたは、慣れない状況で、どのように行動すべきかのスクリプトがないことを想像できますか?それは、不快で混乱することでしょう。あなたは、慣れない文化の中で、社会規範をどのようにして見つけることができるでしょうか?
ジンバルドーのスタンフォード監獄実験
社会心理学者のフィリップ・ジンバルドーと同僚がスタンフォード大学で行った有名なスタンフォード監獄実験は、社会的役割、社会規範、およびスクリプトの力を実証しました。1971年の夏、カリフォルニア州の新聞に、刑務所生活の心理的影響についての研究に参加してくれる男性ボランティアを募集する広告が掲載されました。70人以上の男性がボランティアとして参加しましたが、これらのボランティアには心理テストが行われ、基礎的な精神疾患や医学的問題、犯罪歴や薬物乱用歴がある人は除外されました。その結果、ボランティアの集団は、24人の健康な男子大学生に絞られました。それぞれの学生には1日あたり15ドル(現在の約80ドルに相当)の報酬が支払われ、無作為に研究における囚人役と看守役が割り当てられました。研究方法について学んだことに基づくと、参加者が無作為に割り当てられたことが重要なのはなぜですか?
スタンフォード大学の心理学研究棟の地下に模擬刑務所が建設されました。囚人役に割り振られた参加者は、自宅でパロアルト署の警察官に「逮捕」され、警察署で記録を取り、その後、模擬刑務所に連れて行かれました。実験は数週間の予定で行われました。研究者が驚いたことに、「囚人」も「看守」もそれぞれ引き受けた役割を熱心にこなしていました。実験2日目、看守は囚人の服を脱がせ、ベッドを奪い、反抗の首謀者を独房に隔離しました。看守は比較的短期間のうちに、プライバシーの完全な剥奪、就寝用のマットレスなどの基本的な快適さの剥奪、および屈辱的な雑用や深夜の点呼を通じて、ますます加虐的な態様で囚人に嫌がらせをするようになりました。
一方、囚人たちは、深刻な不安と絶望の兆候を示し始めました—彼らは、看守の虐待に耐え始めました。この研究を設計し、研究主任であったスタンフォード大学の教授フィリップ・ジンバルドーでさえも、刑務所が現実のものであるかのように、そして、刑務所の管理者である自分の役割が現実のものであるかのように行動していました。わずか6日間で、参加者の行動が悪化したため、実験は終了しなければなりませんでした。ジンバルドーはこう説明しています:
この時点で、私たちがこの研究を終了しなければならないことが明らかになった。私たちは、囚人が引きこもり、病的な行動をとり、一部の看守が加虐的な行動をとるという、圧倒的に強力な状況を作り出してしまった。「善良な」看守でさえ、無力で介入することができないと感じていたし、研究の進行中に辞めた看守は1人もいなかった。実際、勤務シフトに遅刻したり、病欠したり、早退したり、残業代を要求したりした看守は1人もいなかったということは言及しておくべきだ。(Zimbardo, 2013)
スタンフォード監獄実験は、社会的な役割や規範、スクリプトが人間の行動に影響を与えることにおいて信じられないほどの力を持つことを示す記憶に残る実験として用いられてきました。しかしながら、この研究の多くの側面は、その当初から、批判の対象となってきました。これらの批判の内容は、倫理的な懸念から一般化可能性の問題まで多岐にわたります(Bartels, Milovich, & Moussier, 2016; Griggs, 2014; Le Texier, 2019)。1つの批判は、実験に参加する学生の募集方法が結果に影響を与えている可能性があるというものです(Carnahan & McFarland, 2007)。もう1つの批判は、この研究から引き出される結論に疑問を呈しています。ジンバルドーは、看守に期待される行動のタイプについて、具体的なガイドラインを提示していたようです(Zimbardo, 2007)。その後の研究によると、そのようなガイドラインは、ジンバルドーがスタンフォード監獄実験で観察したと報告したような行動のタイプへの期待を生み出した可能性があり(Bartels, 2019)、そのような期待のために、看守は単に自分が期待されていると思った通りに行動したのではないかと指摘されています。また、この研究のいくつかの側面を再現しようとする試みが成功していないことも問題視されています。例えば、看守にガイドラインを提示しなかった場合、研究者たちはジンバルドーが観察した結果とは異なる結果を記録しています(Reicher & Haslam, 2006)。
スタンフォード監獄実験は、イラク戦争中の2003年と2004年に行われたアブグレイブ刑務所での米陸軍とCIAの人員による戦争捕虜の虐待といくつかの類似点があります。アブグレイブでの犯罪は、虐待の写真によって記録されました。その中には虐待者自身が撮影したものもありました(図12.10)。
学習へのリンク
フィリップ・ジンバルドーがスタンフォード監獄実験とイラクのアブグレイブ刑務所の類似性について語っているNPRのインタビューを聞いて(http://openstax.org/l/Stanford_psych)、さらに学んでください。
12.3 態度と説得
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 態度を定義する
- 認知的不協和によって人々の態度がどのように内的に変化するかを記述する
- 説得によって人々の態度がどのように外的に変化するかを説明する
- 説得の周辺ルートと中心ルートを記述する
社会心理学者は、状況の力がどのようにして私たちの行動に影響を与えるかを記録してきました。ここでは、私たちは、状況の力がどのようにして私たちの態度や信念に影響を与えるかについて目を向けます。態度とは、ある人、ある考え方、またはある物に対する私たちの評価です。私たちは、スーパーマーケットで手に取る商品から、世界の人々、政治的な政策に至るまで、さまざまな物事に対して態度を持っています。典型的には、態度は好ましいものと好ましくないもの、つまり肯定的なものと否定的なものがあります(Eagly & Chaiken, 1993)。そして、態度には、感情的要素(感情)、行動的要素(態度が行動に及ぼす影響)、認知的要素(信念や知識)の3つの要素があります(Rosenberg & Hovland, 1960)。
たとえば、あなたはリサイクルに対して肯定的な態度を持っているかもしれません。この態度は、リサイクルに対する肯定的な感情(たとえば、「リサイクルすると気分がいい」、「埋立地に行きつくゴミの量を減らすために自分が少しでも貢献していることを知るのは楽しい」など)をもたらすはずです。確実に、この態度は私たちの行動に反映されるでしょう:あなたは実際にできるだけ頻繁にリサイクルを行います。最後に、この態度は好意的な思考に反映されます(たとえば、「リサイクルは環境に良い」、「リサイクルは責任ある行動だ」など)。
私たちの態度や信念は、外部要因によって影響を受けるだけでなく、自分でコントロールできる内部からの影響も受けます。私たちの行動と同様に、私たちの態度や思考も常に状況的な圧力によって変化するわけではなく、自分の自由意志によって意識的に変化させることができます。この節では、私たちが自分の態度や信念を変えたいと思う条件について議論します。
認知的不協和とは何でしょうか?
社会心理学者は、自分のことを良く思い、肯定的な自尊心を保つことが、人間の行動の強力な動機となることを明らかにしています(Tavris & Aronson, 2008)。米国では、主流の文化のメンバーは、一般的に自分自身を非常に高く評価し、多くの望ましい特性において平均以上であるような優れた人間であると見なしています(Ehrlinger, Gilovich, & Ross, 2005)。多くの場合、自尊心や肯定的な自己イメージを脅かすものを経験すると、私たちの行動、態度、および信念が影響を受けます。心理学者のレオン・フェスティンガー(Festinger, 1957)は、認知的不協和のことを、2つかそれ以上の矛盾した態度、行動、または認知(思考、信念、または意見)を持つことで生じる心理的不快感として定義しました。フェスティンガーの認知的不協和理論では、私たちが自分の肯定的な自己認識に反する行動、態度、または信念によって葛藤を経験するときに、私たちは心理的な不快感(不協和)を経験するとしています。たとえば、もしあなたが喫煙は健康に悪いと信じているのに喫煙を続けている場合、あなたは自分の信念と行動の間に葛藤を経験します(図12.11)。
その後の研究で、個人の肯定的な自己イメージを脅かすような対立する認知のみが不協和を引き起こすことが実証されました(Greenwald & Ronis, 1978)。さらなる研究では、不協和は心理的に不快であるだけでなく、生理学的な覚醒を引き起こし(Croyle & Cooper, 1983)、感情や認知機能に重要な脳の領域を活性化させる(van Veen, Krug, Schooler, & Carter, 2009)ことが発見されています。私たちが認知的不協和を経験するときには、私たちは心理的、肉体的、精神的に不快であるため、それを減らしたいという動機が生まれます。私たちは、自分の認知、態度、および行動を一致させる、つまりそれらを調和させることにより認知的不協和を軽減することができます。これは、以下のようなさまざまな方法によって行うことができます:
- 矛盾した行動を変える(たとえば、喫煙をやめる)
- 合理化や否認によって認知を変える(たとえば、フィルター付きタバコを吸うことによって健康リスクを減らせると自分に言い聞かせる)
- 新たな認知を加える(たとえば、「タバコを吸うと食欲が抑えられるので、太りにくくなり、健康に良い」)
認知的不協和の古典的な例は、軍隊に入隊した20歳のホアキンです。新兵訓練では、彼は朝5時に起こされ、慢性的な睡眠不足に陥り、怒鳴られ、スナノミに刺され、身体的にも打ちのめされて傷つき、精神的にも疲れ果ててしまいます(図12.12)。さらに悪いことがあります。新兵訓練の11週目まで進んだ新兵は、54時間の連続訓練をしなければなりません。
驚くことではありませんが、ホアキンは悲惨です。惨めな思いをしたい人はいません。このようなタイプの状況では、人は自分の信念を変えるか、態度を変えるか、あるいは行動を変えることができます。最後の選択肢である行動の変化は、ホアキンにはありません。彼は4年間の軍役に署名しており、法的には退役することができません。
ホアキンが自分の惨めさを考え続けるとしたら、それはとても長い4年間になるでしょう。彼は常に認知的不協和の状態にあることになります。この惨めさに代わるものとして、ホアキンは自分の信念や態度を変えることができます。彼は、「自分は、より強く、より健康で、より明敏になっている。私は規律と、自分自身や国を守るための方法を学んでいる。自分のやっていることは本当に重要だ」と自分に言い聞かせることができます。もしこれが彼の信念であれば、彼は困難を通じて自分が強くなっていることを実感するでしょう。そうすれば、彼は気持ちが楽になり、不快な状態である認知的不協和を経験することもなくなります。
イニシエーションの効果
この軍隊の例は、ある集団に入る際のイニシエーション(加入の手続き)が難しいと、私たちはその集団をより好きになるように影響を受けるという観察を実証するものです。社会心理学のもう1つの概念である努力の正当化は、私たちが多くの努力を注いだ目標や成果に価値を見出すことを示唆しています。この理論によると、もし何かが自分たちにとって達成困難なものであるならば、私たちはそれのことをより価値があると考えます。たとえば、もしあなたがアパートに引っ越して、イケアで買ったドレッサーを何時間もかけて組み立てるとしたら、あなたはそのドレッサーのことを親に買ってもらった高級なドレッサーよりも価値があると思うでしょう。私たちは、やがて抜けることになる集団に参加するために無駄な時間と労力をかけることを望みません。アロンソンとミルズによる古典的な実験(Aronson and Mills, 1959)は、この努力の正当化効果を実証しました。ある大学生たちが、定期的に集まって性の心理学について議論するキャンパスグループにボランティアで参加しました。参加者は、イニシエーションなし、簡単なイニシエーション、および難しいイニシエーションという3つの条件のグループのいずれかに無作為に割り当てられました。参加者は、意図的に非常に退屈なものとした最初の議論に参加した後、グループのことがどれだけ好きかを評価しました。グループに入るために難しいイニシエーションの過程を経た参加者は、簡単なイニシエーションをした参加者やイニシエーションをしなかった参加者に比べて、グループのことをより好ましいと評価しました(図12.13)。
同様の効果は、学生の努力が講座の評価にどのように影響するかについてのより最近の研究でも見ることができます。ヘッカート、ラティエ、リングウォルド=バートン、およびドラゼン(Heckert, Latier, Ringwald-Burton, and Drazen, 2006)は、中西部の大学で講座に履修登録している463人の学部生を対象に、講座が学生に要求する努力の量について調査しました。さらに、学生には講座のさまざまな側面を評価してもらいました。あなたがここまで読んできたことを踏まえると、最も大きな努力に結びつけられた講座が、そうでない講座よりも価値があると評価されたことは驚くに値しないでしょう。さらに、学生は、より多くの努力を必要とする講座では、その講座で得られた成績にかかわらず、より多くのことを学んだと述べました(Heckert et al., 2006)。
古典的な軍隊での例やグループ・イニシエーションの他にも、認知的不協和の他の例として何か思い浮かべることはできますか?ここではその1つを紹介します:マリアとマルコは、コネチカット州のフェアフィールド郡に住んでいます。フェアフィールド郡は、アメリカで最も裕福な地域の1つで、生活費も非常に高いです。マリアは自宅で在宅勤務をしており、マルコは家の外では働きません。彼らはとても小さな家を月に3000ドル以上で借りています。マルコは委託販売店で服を買い、可能な限り節約しています。彼らは、お金がなくて新しいものが買えないことを不満に思っています。マリアが在宅勤務をしているのに、なぜもっと安いところに引っ越さないのかと聞かれると、彼らは、フェアフィールド郡は美しいし、ビーチも好きだし、居心地がいいからと答えます。認知的不協和の理論は、マリアとマルコの選択にどのように当てはまるでしょうか?
説得
前項では、私たちは、認知的不協和を軽減したいという動機から、態度、行動、および/または認知を調和的なものに変えようとすることについて議論しました。説得とは、ある種のコミュニケーションに基づいて、何かに対する態度を変えるプロセスのことです。私たちが経験する説得の多くは、外部からの力に由来するものです。人はどのようにして他人を説得し、その態度、信念、および行動を変えさせるのでしょうか(図12.14)?あなたは、自分の態度、信念、および行動を変えるように説得しようとする、どのようなコミュニケーションを受け取りますか?
社会心理学の下位分野では説得や社会的影響を研究しており、人間がどのように他人によって説得されるかについて多くの情報を提供しています。
イェール態度変容アプローチ
説得というトピックは、社会心理学の中でも最も広範に研究されている分野の1つです(Fiske et al., 2010)。第二次世界大戦中、カール・ホヴランドはアメリカ陸軍のために説得を広範囲に研究しました。戦後、ホヴランドはイェール大学で説得の探求を続けました。この研究から、イェール態度変容アプローチと呼ばれるモデルが生まれました。このアプローチは、人が態度を変えやすい条件を記述しています。ホヴランドは、説得を行うメッセージの発信源の特徴、メッセージの内容、そして聴衆の特徴が、メッセージの説得力に影響を与えることを示しました(Hovland, Janis, & Kelley, 1953)。
説得を行うメッセージの発信源の特徴には、話し手の信頼性(Hovland & Weiss, 1951)や、話し手の身体的魅力(Eagly & Chaiken, 1975; Petty, Wegener, & Fabrigar, 1997)が含まれます。そのため、信頼でき(つまり、その話題についての専門知識があり)、信用できると判断された話者は、信頼性の低い話者よりも説得力があります。同様に、魅力的な話者は魅力的でない話者よりも説得力があります。有名な俳優やスポーツ選手を使って、テレビや印刷物で商品を宣伝するのは、この原理に基づいています。しかしながら、説得の即時的および長期的な影響は、メッセージを送る人の信頼性にも依存しています(Kumkale & Albarracín, 2004)。
説得に影響を与えるメッセージ自体の特徴には、微妙さ(重要だが明確ではないという性質)(Petty & Cacioppo, 1986; Walster & Festinger, 1962)、多面性(つまり、複数の側面があること)(Crowley & Hoyer, 1994; Igou & Bless, 2003; Lumsdaine & Janis, 1953)、タイミング(Haugtvedt & Wegener, 1994; Miller & Campbell, 1959)、両面が提示されているかどうか、が含まれます。直接的なメッセージよりも、微妙なメッセージの方が説得力があります。討論会の中でのように、メッセージが連続して与えられる場合、先に現れた議論は影響力が大きくなります。しかしながら、最初のメッセージの後、聴衆が決断を下す必要があるまでに時間がある場合は、最後に提示されたメッセージの方が説得力が増す傾向があります(Miller & Campbell, 1959)。
説得に影響を与える聴衆の特徴は、注意力(Albarracín & Wyer, 2001; Festinger & Maccoby, 1964)、知能、自尊心(Rhodes & Wood, 1992)、および年齢(Krosnick & Alwin, 1989)です。説得されるためには、聴衆は注意を払っていなければなりません。知能の低い人は、知能の高い人よりも容易に説得されます。一方、自尊心が中程度の人は、自尊心の高い人や低い人よりも容易に説得されます(Rhodes & Wood, 1992)。最後に、18歳から25歳の若年の成人は、より高齢の成人よりも説得されやすいです。
精緻化見込みモデル
説得の力学を記述するモデルとして、特によく知られているのが、説得の精緻化見込みモデルです(Petty & Cacioppo, 1986)。精緻化見込みモデルでは、態度変容アプローチの変数を考慮します。つまり、説得メッセージの発信源の特徴、メッセージの内容、および聴衆の特徴を用いて、いつ態度変容が起こるかを判断します。説得の精緻化見込みモデルによると、説得メッセージの伝達には、中心ルートと周辺ルートという2つの主なルートがあります(図12.15)。
中心ルートは論理によって動かされるものであり、データや事実を使って人々に議論の価値を納得させます。たとえば、あなたに自社のモデルを購入するよう説得を試みる自動車メーカーは、安全性の特徴や燃費の良さを強調するでしょう。これは、情報の質を重視した説得の直接的なルートです。態度、思考、および行動を変える際に説得の中心ルートが効果的であるためには、議論が強力でなければなりません。そして、もし成功すれば、それは持続的な態度の変化をもたらすことになります。
説得の中心ルートは、説得の対象となる人、つまり聴衆が分析的であり、情報の処理に進んで従事する場合に最も効果を発揮します。広告主の視点では、どのような製品が説得の中心ルートを使って最もよく売れるでしょうか?また、どのような聴衆がその商品を購入するような影響を受ける可能性が高いでしょうか?1つの例は、コンピュータの購入です。たとえば、中小企業の経営者は、コンピュータの品質や処理速度、メモリ容量などの機能に焦点を当てることで、特に影響を受けることがあります。
周辺ルートとは、周辺の手がかりを使ってメッセージに肯定的な印象を関連付ける間接的なルートです(Petty & Cacioppo, 1986)。周辺ルートでは、事実や製品の品質に注目するのではなく、肯定的な感情や有名人の推薦など、肯定的な特性との関連付けに頼ります。たとえば、人気のあるスポーツ選手に運動靴の宣伝をしてもらうことは、若年の成人に運動靴の購入を促すためによく使われる方法です。このような態度変容のルートは、多くの努力や情報処理を必要としません。このような説得方法は、メッセージや製品に対する肯定的な印象を促進するかもしれませんが、典型的には永続的な態度や行動の変化は得られません。聴衆は、メッセージを処理するために分析的になったり、動機付けられたりする必要はありません。実際、説得のための周辺ルートは、聴衆に気づかれないことすらあります(たとえばプロダクト・プレイスメントの戦略のように)。プロダクト・プレイスメントとは、ブランド名やブランド・アイデンティティーが明確な製品をテレビ番組や映画に登場させて、その製品を宣伝することです(Gupta & Lord, 1998)。たとえば、リアリティー番組『アメリカン・アイドル』のあるシーズンでは、審査員がコカ・コーラのロゴが表示されたカップで飲み物を飲むシーンが目立っていました。この説得の周辺ルートを使って、他のどのような商品を最もうまく売ることができるでしょうか?もう1つの例は、衣料品です:小売店は、同じスタイルの服を着ている有名人に焦点を当てることがあります。
フット・イン・ザ・ドアのテクニック
研究者は、製品の販売や人々の態度、考え方、および行動の変化に有効な、多くの説得戦略を検証してきました。効果的な戦略の1つにフット・イン・ザ・ドア(ドアに足を差し挟む)のテクニックがあります(Cialdini, 2001; Pliner, Hart, Kohl, & Saari, 1974)。フット・イン・ザ・ドアのテクニックを使う際には、説得者はまず、相手が小さな好意を与えたり、小さな商品を購入したりすることに同意させ、後になってより大きな好意の提供や大きな商品の購入を要求します。フット・イン・ザ・ドアのテクニックは、フリードマンとフレイザー(Freedman & Fraser, 1966)の研究で実証されました。そこでは、小さな看板を庭に立てることや請願書に署名することに同意した参加者は、最初の要求を断った人に比べて、大きな看板を庭に立てることに同意する可能性が高くなりました(図12.16)。この手法に関する研究は、一貫性の原則を示すものでもあります(Cialdini, 2001):私たちの過去の行動は、しばしば未来の行動を方向づけることがあり、私たちはひとたびある行動を行うと、一貫性を維持したいという欲求を持ちます。
フット・イン・ザ・ドアの一般的な応用例は、10代の若者が親に小さな許可(たとえば、門限を30分延ばすこと)を求めた後に、より大きな要求をすることです。小さな要求を認めたことで、親が後の大きな要求を承諾する可能性が高まります。
店の経営者は、どのようにしてフット・イン・ザ・ドアのテクニックを使って、あなたに高額な商品を売るでしょうか?たとえば、あなたが最新型のスマートフォンを購入しようとしているときに、販売員が最適なデータプランの購入を勧めたとします。あなたはこれに同意します。続いて販売員は、3年間の延長保証という、より大きな買い物を提案します。小さな要求に同意した後は、あなたは大きな要求にも同意する可能性が高くなります。もしあなたが車を買ったことがあるならば、こんな経験があるかもしれません。営業担当者は、購入者が特定のモデルを購入しようとしていることに気づくと、その車で利用可能なオプションの多くまたはほとんどを顧客が購入するように仕向けることがあります。フット・イン・ザ・ドアのテクニックのもう1つの例は、中古車を購入しようとしていた人が、フル装備の新車を購入することを決めた場合に当てはまります。なぜでしょうか?それは、中古車には付いていない安全機能を全て搭載した車が必要だと、営業担当者が購入者を説得したからです。
12.4 同調、遵守、および服従
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- アッシュ効果を説明する
- 同調と社会的影響の種類を定義する
- スタンレー・ミルグラムの実験とその含意を記述する
- 集団思考、社会的促進、および社会的手抜きを定義する
この節では、私たちは、人々が他の人に影響を与える追加の方法について議論します。同調、社会的影響、服従、および集団過程のトピックは、社会的状況が私たちの思考、感情、および行動を変える力があることを示しています。この節は、人間が外部からの社会的圧力にいかに影響されやすいかを示した有名な社会心理学の実験についての議論から始まります。
同調
ソロモン・アッシュは1950年代にいくつかの実験を行い、人が他の人の思考や行動によってどのような影響を受けるかを調べました。ある実験では、参加者のグループに、長さの異なるa、b、cの一連の印刷された線分を見せました(図12.17)。次に、参加者に4番目の線分xを見せました。そして、参加者に対して、最初の一群(a、b、c)のどの線分が、4番目の線分の長さに最も近いかを特定するように求めました。
参加者のグループのそれぞれには、何も知らない真の被験者が1人だけいました。グループの残りのメンバーは研究者の協力者でした。協力者とは、実験のことを知っていて、研究者のために働いている人のことです。協力者は研究デザインの一環として社会的状況を操作するために用いられます。何も知らない真の被験者は、協力者も自分と同じように情報を持たない実験参加者であると信じています。アッシュの研究では、協力者は明らかに目標の線分よりも短い線分を特定しましたが、これは誤答です。そして、何も知らない参加者は、目標の線分と最もよく一致する線分を声に出して特定しなければなりません。
真の参加者が協力者の回答と一致したのはどのくらいだと思いますか?つまり、グループが参加者に影響を与え、参加者が間違った答えを出したことがどれくらいあると思いますか?アッシュ(Asch, 1955)は、76%の参加者が少なくとも一度は集団の圧力に同調して不正解の線分を示したことを発見しました。同調とは、人が集団に同意していなくても、その集団に合わせて行動を変えることです。なぜ人は間違った答えを出すのでしょうか?どのような要因によって、人が集団の圧力に屈したり同調したりすることが増えたり減ったりするのでしょうか?
アッシュ効果とは、集団の多数派が個人の判断に与える影響のことです。
人が集団の圧力に屈しやすくなる要因は何でしょうか?研究によると、多数派の大きさ、他の反対者の存在、および回答の公開性または相対的な非公開性が、同調に大きく影響することが示されています。
- 多数派の大きさ:多数派の人数が多ければ多いほど、個人が同調する可能性は高くなります。しかしながら、上限、すなわちメンバーを増やしても同調が上がらない点があります。アッシュの研究では、多数派の人数が7人になるまでは同調が高まります。7人を超えると、同調は横ばいになり、わずかに減少しました(Asch, 1955)。
- 他の反対者の存在:少なくとも1人の反対者がいると、同調率はゼロ近くまで下がります(Asch, 1955)。
- 回答の公開性、または非公開性:公開で(他の人の前で)回答する場合、同調の可能性は高くなります。しかしながら、非公開で(たとえば、回答を書き留める)回答する場合、同調の可能性は低くなります(Deutsch & Gerard, 1955)。
回答が公開のときの方が、非公開のときよりも同調が起こりやすいという発見は、政府の選挙において、他人から強制されないように、秘密裏に投票を行う必要がある理由です(図12.18)。アッシュ効果は、子供たちが何かについて公開で投票しなければならないときに容易に見ることができます。たとえば、もし先生が子供たちに対して休み時間を増やすか、宿題をなくすか、またはお菓子をもらうかと尋ねた場合、数人の子供が投票すれば、残りの子供はそれに従って多数派になるでしょう。別の教室では、多数派は異なるように投票するかもしれませんが、ほとんどの子供はその多数派に従うでしょう。ある人の投票が公開の場と非公開の場とで変わることは、遵守として知られています。遵守は、同調の一形態であると言えます。遵守とは、あなたが要求や要請に同意していなくても、それに従うことです。アッシュの研究では、参加者は間違った答えを出すことによって遵守を行いましたが、内心では明らかに間違った答えが正しいものであると受け入れてはいませんでした。
あなたは、アッシュの線分の実験について学んできましたが、参加者が同調した理由は何だと思いますか?線分の問題の正解は明らかであり、それは簡単な課題でした。研究者は、同調する動機を、規範的な社会的影響と情報的な社会的影響の2種類に分類しています(Deutsch & Gerard, 1955)。
規範的な社会的影響では、人々は集団に溶け込むため、気分を良くするため、そして集団に受け入れられるために集団規範に同調します。しかしながら、情報的な社会的影響では、特に課題や状況が曖昧な場合に、集団が有能で正しい情報を持っていると信じて人々は同調します。アッシュの同調研究では、どのようなタイプの社会的影響が働いていたでしょうか?線分の判断の課題は曖昧なものではなかったので、参加者は集団の情報に頼る必要はありませんでした。その代わりに、参加者は集団に溶け込み、嘲笑を避けるために同調しました。これは、規範的な社会的影響の例です。
情報的な社会的影響の例としては、緊急事態にどう対処すべきかが挙げられます。あなたが映画館で映画を見ているときに、非常口の下から場内に煙のようなものが入ってきたところを想像してください。それが煙であるかどうかは定かではありません。それは、煙霧機のような映画の特殊効果かもしれません。確信が持てないときは、あなたは劇場にいる他の人の行動に目が行きがちになるでしょう。もし他の人が懸念を示し、席を立ったならば、あなたも同じように席を立つでしょう。しかしながら、他の人が気にしていないようであれば、あなたはじっとして映画を見続けるでしょう(図12.19)。
もしあなたがアッシュの研究の参加者だったとしたら、どのように行動したでしょうか?多くの学生は、「自分は同調しない」、「この研究は時代遅れだ」、「最近の人はもっと自立している」と言います。これはある程度は正しいかもしれません。研究では、アッシュの研究の頃よりも全体的な同調の割合が下がっているかもしれない、ということが示唆されています。さらに、アッシュの研究を再現する努力をした結果、誰かが集団への同調を示す可能性を決定する要因がたくさんあることが明らかになりました。これらの要因には、参加者の年齢、ジェンダー、および社会-文化的背景が含まれます(Bond & Smith, 1996; Larsen, 1990; Walker & Andrade, 1996)。
学習へのリンク
アッシュの実験の再現についてのビデオ(http://openstax.org/l/Asch2)を見て、さらに学んでください。
スタンレー・ミルグラムの実験
同調は、私たちの思考、感情、および行動に対する他者の影響の1つの効果です。社会的影響のもう1つの形態は、権威への服従です。服従とは、権威的な人物による要求に従うように個人の行動が変化することです。人々は、従わなかった場合の結果を懸念するため、その要求にしばしば従います。この現象を示すために、私たちはもう1つの古典的な社会心理学の実験を概観します。
イェール大学の社会心理学教授であったスタンレー・ミルグラムは、ナチスの戦争犯罪人であるアドルフ・アイヒマンの裁判に影響を受けました。アイヒマンが犯した種々の残虐行為に対する弁明は、彼が「命令に従っただけ」というものでした。ミルグラム(Milgram, 1963)は、この弁明の妥当性を検証したいと望み、実験を設計して、最初に40人の男性を実験のために募集しました。志願した参加者は、学習と記憶を改善するための研究に参加していると思わされていました。参加者は、他の学生(学習者)に一連のテスト項目の正しい答えを教えることになっていると聞かされました。参加者は、学習者に異なる強さの電気ショックを与えると言われた装置の使い方を見せられました。参加者は、学習者がテスト項目に間違った答えをした場合、ショックを与えるように言われました(そして、そのショックが彼らの学習を助けるだろうとも言われました)。参加者は、自分が学習者に与える電気ショックは15ボルト刻みで450ボルトまで上がると信じていました。参加者は、学習者が協力者であること、協力者は実際にはショックを受けないことを知りませんでした。
参加者は、学習者による連続した間違った答えに対して、従順に繰り返しショックを与えました。協力者である学習者は、助けてくれと叫び、参加者である教師にやめてくれと懇願し、心臓が痛いと訴えたこともありました。しかし、研究者が参加者である教師にショックを与え続けるように言うと、65%の参加者は、最大電圧で学習者が無反応になるまでショックを与え続けました(図12.20)。人が他人に重大な危害を加える可能性があるところまで、権威に従うのはなぜでしょうか?
服従の限界を検証するために、オリジナルのミルグラム実験のいくつかのバリエーションが行われました。状況のある特徴を変えると、参加者はショックを与え続ける可能性が低くなりました(Milgram, 1965)。たとえば、実験の現場を学校外のオフィスビルに移したところ、最高のショックを与える参加者の割合は48%にまで低下しました。学習者が教師と同じ部屋にいた場合、最高のショックを与える割合は40%に下がりました。教師と学習者の手が触れているとき、最高のショックを与えた割合は30%に下がりました。研究者が電話で指示を出した場合は、23%に低下しました。これらのバリエーションは、ショックを受ける側の人間性が高まると、服従が低下することを示しています。同様に、実験者の権威が低下すると、服従も低下します。
この事例は今日でも非常に参考になります。権威的な人物に何かをするよう命じられたら、人はどうするでしょうか?もしその人が、それが正しくない、もっと悪いことには非倫理的であると信じていたら、どうなるでしょうか?マーティンとブル(Martin & Bull, 2008)の研究では、助産師たちが、赤ちゃんを出産する際の最良の実践と期待に関するアンケートに非公開で答えました。その後、より上級の助産師と監督者が、下級の助産師に、彼らが以前に反対だと述べていたことを実行するように依頼しました。ほとんどの下級の助産師は、自分の信念に反して、権威に対して服従しました。バーガー(Burger, 2009)は、この研究を部分的に再現しました。彼は、多文化の女性と男性の標本で、彼らの服従のレベルがミルグラムの研究と一致することを発見しました。ドリンスキーら(Doliński et al., 2017)は、ポーランドでバーガーの研究の再現を行い、参加者と学習者の両方のジェンダーを統制したところ、再びミルグラムのオリジナルの研究と一致する結果が観察されました。
集団思考
集団の状況にいるとき、私たちはしばしば周囲の人々の思考、感情、および行動によって影響を受けます。規範的な社会的影響によるものであれ、情報的な社会的影響によるものであれ、集団は個人に影響を与える力を持っています。集団への同調のもう1つの現象は、集団思考です。集団思考とは、ある集団のメンバーが、集団の総意と信じているものに合わせるように意見を修正することです(Janis, 1972)。集団の状況では、集団は個人が集団の状況の外側であれば行わないような行動をしばしば行います。なぜなら、集団は個人よりも極端な決定を行うからです。さらに、集団思考は、反対の思考の流れを妨げることがあります。このように多様な意見が排除されることで、集団は誤った判断をしてしまいます。
深く掘り下げてみよう
米国政府における集団思考
米国政府における集団思考の事例がいくつかあります。その例の1つが、2003年3月に米国が小規模の連合諸国を率いてイラクに侵攻したときに生じました。この侵攻は、少数の補佐官のグループとジョージ・W・ブッシュ元大統領が、イラクは大量破壊兵器を大量に備蓄しており、テロリズムの深刻な脅威となると確信したために起こりました。それらの個人の一部は当時の彼らに利用可能であった情報の信憑性についていくらかの疑問を持っていたかもしれませんが、最終的には、その集団は、イラクが大量破壊兵器を保有しており、国家の安全保障にとって重大な脅威であるという総意に達しました。その後、イラクが大量破壊兵器を保有していないことが明らかになりましたが、それは侵攻が始まってからのことでした。その結果、6000人の米兵が死亡し、さらに多くの民間人が亡くなりました。ブッシュ政権はどのようにしてその結論に到達したのでしょうか?有名な国連演説から10年後に、コリン・パウエルが、当時持っていた情報について議論しているビデオ(https://www.openstax.org/l/GroupThink)を見てください(“CNN Official Interview: Colin Powell now regrets UN speech about WMDs,” 2010)。
あなたは、集団思考の証拠を見つけられますか?
集団思考はなぜ起こるのでしょうか?集団思考にはいくつかの原因があり、それによって集団思考を防ぐことが可能になります。集団の結束力が高い場合、あるいはつながりの意識が強い場合、集団の調和を保つことが適切な意思決定よりも集団にとって重要になることがあります。もし集団のリーダーが指示的で、自分の意見を明らかにしているならば、集団のメンバーがリーダーに反対することを躊躇してしまうかもしれません。もし集団が代替案や新しい視点について聞くことから隔離されている場合、集団思考が起こりやすくなるでしょう。あなたは、集団思考が起きていることをどうやって知ることができるでしょうか?
集団思考には、以下のものを含む、いくつかの兆候があります:
- 集団が確固たるもの、あるいは揺ぎ無いものであると認識している—集団が悪いことをするはずがないと信じている
- 集団が道徳的に正しいと信じている
- 集団の総意を乱すのを避けるために情報を隠すなど、集団のメンバーによる自己検閲
- 異議を唱える集団のメンバーの意見を封じ込めること
- 集団のリーダーを反対意見から遠ざけること
- 集団のメンバーの間で全員が一致しているかのような錯覚を覚える
- 外部集団や異なる視点を持つ他者に対して、固定観念を持ち、否定的な態度をとる(Janis, 1972)
集団思考の原因と兆候を踏まえた上で、どのようにすればそれを回避することができるのでしょうか?集団の意思決定を改善することのできる戦略がいくつかあります。それには、外部の意見を求めること、非公開で投票すること、集団のメンバー全員が意見を述べるまでリーダーが立場を表明しないようにすること、すべての視点について調査を行うこと、すべての選択肢の費用と便益を比較すること、および不測の事態のための計画を立てることが含まれます(Janis, 1972; Mitchell & Eckstein, 2009)。
集団極性化
集団の状況内で起こるもう1つの現象として、集団極性化があります。集団極性化(Teger & Pruitt, 1967)とは、集団内で意見を議論した後に、元々の集団の態度が強まることです。つまり、もしある集団が最初にある視点を支持していたならば、話し合いの後には、その集団の総意はその視点をより強く支持するものになる可能性が高いです。逆に、その集団が最初にある視点に反対していたならば、集団での議論によってより強い反対意見を持つようになるでしょう。集団極性化は、個人によっては行われないであろう行動が、集団によってたくさん行われることを説明します。集団極性化は、政治集会において、個人が、集団の中にいるときでなければ支持しないであろうような党の綱領を支持する場面で観察することができます。最近では、一部の理論家は、現代社会のいたるところに存在するように見える極端な政治的党派性の部分的な原因が、集団極性化ではないかと主張しています。人々は、自分の政治的見解に最も合致するメディアを自分で選ぶことができるため、反対意見に出会う機会が少なくなります。時間がたつにつれて、これは自分自身の視点を強化し、異なる政治的理念を持つ人々に対する敵対的な態度や行動を強めることになります。驚くべきことに、政治的極性化は、人種差別に匹敵する、あるいはおそらくそれを超えるレベルの差別を展開させることにつながります(Iyengar & Westwood, 2015)。もっと日常的な例は、集団で誰かがどれくらい魅力的かを議論することです。あなたが魅力的だと思う人でも、友達がそれに同意しない場合、あなたの意見は変わりますか?もし、友達が声高に賛成したら、あなたはその人をもっと魅力的に感じるでしょうか?
社会的な罠とは、個人や個人の集団が自分の最善の利益にならない態様で、そして負の長期的な影響を持つかもしれない態様で行動をするときに生じる状況を指します。しかしながら、いったん社会的な罠にかかると、そこから抜け出すのは非常に困難です。たとえば、第二次世界大戦後、アメリカと旧ソ連は核軍拡競争を繰り広げました。核兵器の存在は、どちらにとっても最善の利益ではありませんが、いったん軍拡競争が始まると、それぞれの国は相手から身を守るために核兵器を作り続ける必要があると感じました。
社会的手抜き
あなたが、ほとんど知らない他の学生たちと一緒の集団プロジェクトに割り振られたところを想像してください。あなたのグループの全員が同じ成績を得ることになります。あなたは、最終的な成績が共有されるにもかかわらず、ほとんどの作業をするタイプですか?それとも、他の人が代わりにやってくれるとわかっているので、あまり作業をしないタイプでしょうか?社会的手抜きとは、共同で貢献する仕事での個人の成果が減少することです。それぞれの人の努力が評価されないため、個人は良い仕事をしようという動機付けが低下します。カロウとウィリアムズ(Karau & Williams, 1993)およびシムズとニコルズ(Simms & Nichols, 2014)は、社会的手抜きに関する研究をレビューし、社会的手抜きが最も起こりにくいタイミングを見定めました。この研究者たちは、社会的手抜きが緩和される可能性があるのは、自分の仕事がマネージャー(職場環境)や講師(教室環境)によって評価されることを個人が知っている場合や、マネージャーや講師が集団のメンバーに自己評価の実施を求めている場合などであると指摘しています。
学生の作業グループにおける社会的手抜きの可能性は、グループの規模が大きくなるほど高くなります(Shepperd & Taylor, 1999)。カロウとウィリアムズ(Karau & Williams, 1993)によると、社会的手抜きを行う可能性が最も高いのは大学生です。彼らの研究では、女性や集団主義的な文化の参加者は社会的手抜きを行う可能性が低いこともわかっており、その理由として集団志向が挙げられるかもしれないと説明しています。
大学生は、グループを形成するためにフロッキングの方法を使うことを教授に提案することで、社会的手抜きや「ただ乗り」を回避することができるでしょう。ハーディング(Harding, 2018)は、授業のために自己選択してグループを作った学生のグループと、フロッキングによって形成されたグループを比較しました。フロッキングとは、時間割や動機付けが似ている学生を、グループへと割り当てるものです。彼女は、フロッキングによる学生が「ただ乗り」が少ないと報告したことを発見しただけでなく、彼らは、自己選択されたグループに属する人に比べて、グループ課題の成績が良かったことも発見しました。
興味深いことに、社会的手抜きの逆の現象は、課題が複雑で困難な場合に起こります(Bond & Titus, 1983; Geen, 1989)。学生の作業グループのような集団環境では、個人の成果を評価することができない場合、うまくやらなければならないというプレッシャーが少なくなり、その結果、不安や生理学的な覚醒が少なくなります(Latané, Williams, & Harkens, 1979)。これにより、もしやることを選ぶならば、最高のパフォーマンスを発揮できるようなリラックスした状態になります(Zajonc, 1965)。課題が困難なものであれば、多くの人はやる気を感じ、困難なプロジェクトでうまくやるためには自分のグループが自分の注力を必要としていると考えます(Jackson & Williams, 1985)。
没個性化
集団の一員であることが行動に影響を与えるもう1つの方法は、没個性化が起こる場合に見られます。没個性化とは、人が他人と一緒にいるときに、匿名性を感じて、責任感や自己意識が低下する状況を指します。集団行動や暴動のような行動が起こる事例では、しばしば没個性化が指摘されますが(Zimbardo, 1969)、このテーマに関する研究、および没個性化がそのような行動に果たす役割についての研究は、一貫性のない結果に終わっています(Granström, Guvå, Hylander, & Rosander, 2009で議論されているように)。
表12.2は、あなたが本章で学んだ社会的影響のタイプをまとめたものです。
12.5 先入観と差別
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 先入観、固定観念、および差別を定義し、区別する
- 先入観、固定観念、および差別の例を挙げる
- なぜ先入観や差別が存在するのかを説明する
人間同士の争いは、犯罪や戦争、そしてジェノサイドなどの大量殺人を引き起こすことがあります。先入観や差別は、しばしば人間同士の争いの根本的な原因となり、それは見知らぬ者同士が互いに憎み合い、極端な場合には他人に危害を加えるほどになってしまうことも説明します。先入観や差別はあらゆる人に影響を与えます。この節では、私たちは先入観と差別の定義、これらの概念の例、およびこれらの偏見の原因について探求していきます。
先入観と差別を理解する
冒頭のトレイボン・マーティンの話でも議論しましたが、人間は非常に多様であり、私たちは多くの類似点を共有する一方で、多くの相違点もあります。私たちが所属する社会集団は、私たちのアイデンティティーを形成するのに役立ちます(Tajfel, 1974)。このような違いは、一部の人にとっては折り合いをつけるのが困難であるかもしれず、異なる人への先入観につながることがあります。先入観とは、特定の社会集団に属していることだけに基づいて、ある個人に対して否定的な態度や感情を抱くことです(Allport, 1954; Brown, 2010)。先入観は、馴染みのない文化集団の一員である人々に向けられることがよくあります。そのため、ある種の教育や、異なる文化集団のメンバーとの接触、交流、関係構築は、先入観の傾向を減らすことができます。実のところ、異なる文化集団のメンバーとの交流を想像するだけでも、先入観に影響を与える可能性があります。実際に、実験参加者に、異なるグループの人と積極的に交流している自分の姿を想像してもらったところ、他のグループに対する肯定的な態度が増加し、他のグループに関連する肯定的な特性が増加しました。さらに、社会的交流を想像することで、グループ間の交流に伴う不安を軽減することができます(Crisp & Turner, 2009)。あなたが属している社会集団であって、自分のアイデンティティーに貢献しているものの例は何ですか?社会集団には、ジェンダー、人種、民族、国籍、社会階級、宗教、性的指向、職業、および他の多くのものが含まれます。また、社会的役割と同じように、あなたは同時に複数の社会集団のメンバーになることもできます。先入観の例としては、米国で生まれていない人に対して否定的な態度をとることが挙げられます。このような先入観のある態度を持っている人は、米国で生まれていない人をすべて知っているわけではありませんが、彼らの外国人としての地位によって彼らのことを嫌っています。
あなたは、ある人々の集団に対して先入観を持った態度をとったことがあると思いますか?あなたの先入観はどのようにして生まれたのでしょうか?先入観は、しばしば固定観念、つまり、個人の特徴にかかわらず、ある集団に属していることだけに基づく、個人についての特定の信念や仮定の形で始まります。固定観念は過度に一般化され、集団のすべてのメンバーに適用されます。たとえば、高齢者に対して先入観のある態度を持っている人は、高齢者はゆっくりしていて能力がないと思っているかもしれません(Cuddy, Norton, & Fiske, 2005; Nelson, 2004)。私たちは、すべての高齢者がゆっくりしていて能力がないかどうかを知るために、すべての高齢者の一人ひとりを知ることはとてもできません。したがって、この集団の個々のメンバーの多くが実際には元気で知的であるかもしれないにもかかわらず、この否定的な信念は集団のすべてのメンバーに過剰に一般化されてしまいます。
よく知られている固定観念のもう1つの例は、スポーツ選手の人種的な違いについての信念です。ホッジ、バーデン、ロビンソン、およびベネット(Hodge, Burden, Robinson, and Bennett, 2008)が指摘するように、黒人男性のスポーツ選手は、白人男性のスポーツ選手に比べて、運動能力は高いが、知能は低いとしばしば信じられています。このような信念は、それに反する多くの目立った例があるにもかかわらず、根強く残っています。悲しいことに、そのような信念は、それらのスポーツ選手が他者からどのように扱われるかや、自分自身や自分の能力をどのように見ているかに対してしばしば影響を与えます。あなたが固定観念に同意するかどうかにかかわらず、固定観念はある文化の中では一般的によく知られています(Devine, 1989)。
時に人々は、ある集団に対して先入観を持った態度で行動することがあり、この行動は差別として知られています。差別とは、ある人が特定の集団に属していることを理由として、個人に対して否定的な行動をとることです(Allport, 1954; Dovidio & Gaertner, 2004)。特定の集団についての否定的な信念(固定観念)や否定的な態度(先入観)を持った結果、人々は先入観の標的となった人を粗末に扱うことがしばしばあります(高齢者を友人の輪から排除することなど)。このようにして、差別は抑圧の一形態となることがあります。ジェンダー差別を経験した心理学者の一例は、メアリー・ウィットン・カルキンズの人生と研究の中に見出されます。カルキンズは、ハーバード大学の大学院セミナーへの参加を特別に許可され(1880年代後半の当時、ハーバード大学は女性を受け入れていませんでした)、有名な心理学者ウィリアム・ジェームズの唯一の生徒だったこともありました。彼女は博士号取得に必要な要件をすべて満たし、心理学者のヒューゴー・ミュンスターバーグから「この国で最も強力な心理学の教授の1人」と評されました。しかしながら、ハーバード大学は、カルキンズが女性であることを理由に、博士号の授与を拒否しました(Harvard University, 2019)。表12.3は、固定観念、先入観、および差別の特徴をまとめたものです。あなたはこれまでに差別の対象になったことはありますか?もしそうなら、その否定的な扱いによってあなたはどのように感じましたか?
ここまで、私たちは固定観念、先入観、および差別のことを、否定的な思考、感情、および行動として議論してきました。なぜなら、これらが典型的には最も問題となるものだからです。しかしながら、人々は、集団の一員であることに基づいて、個人に対して肯定的な思考、感情、および行動を持つことができると指摘しておくことも重要です。たとえば、人々は、自分と似たような人々、つまり同じジェンダー、同じ人種、あるいは好きなスポーツチームを共有する人に好意的な取り扱いを示すでしょう。
学習へのリンク
先入観、固定観念、および差別の概念を実証する、公園で行われた社会実験のビデオ(http://openstax.org/l/racismexp)を見てください。このビデオの中では、3人が屋外で自転車を盗もうとしています。その窃盗犯の人種やジェンダーは、白人男性の10代の若者、黒人男性の10代の若者、白人女性と異なっています。誰かが彼らを止めようとしているでしょうか?ビデオの中での10代の若者の扱いは、人種差別の概念を実証しています。
先入観と差別の種類
私たちは、見知らぬ人に会ったとき、その人についての3つの情報を自動的に処理します:その情報とは、人種、ジェンダー、および年齢です(Ito & Urland, 2003)。なぜ、見知らぬ人のこれらの側面がそれほど重要なのでしょうか?なぜ私たちは、その人の目が友好的かどうか、その人が笑っているかどうか、背が高いかどうか、どんな種類の服を着ているかに注目することがないのでしょうか?これらの二次的な特徴は、見知らぬ人の第一印象を形成する上で重要ですが、人種、ジェンダー、および年齢という社会的なカテゴリーは、個人についての豊富な情報を提供してくれます。しかしながら、この情報はしばしば固定観念に基づいています。私たちは、人種、ジェンダー、および年齢によって、見知らぬ人に異なる期待を持つかもしれません。あなたは、自分とは異なる人種、ジェンダー、および年齢の集団の人について、どのような固定観念や先入観を持っていますか?
人種差別
人種差別とは、特定の人種集団(アフリカ系アメリカ人、アジア系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、ネイティブ・アメリカン、ヨーロッパ系アメリカ人など)に属していることのみに基づく、個人への先入観や差別のことです。さまざまな人種や民族集団についての固定観念にはどのようなものがありますか?研究では、アジア系アメリカ人は、冷たい、ずるがしこい、頭がいい、ラテン系アメリカ人は、冷たい、頭が悪い、ヨーロッパ系アメリカ人は、冷たい、頭がいい、アフリカ系アメリカ人は、攻撃的、強健、法を犯す可能性が高い、という文化的な固定観念が示唆されています(Devine & Elliot, 1995; Fiske, Cuddy, Glick, & Xu, 2002; Sommers & Ellsworth, 2000; Dixon & Linz, 2000)。
人種差別は、多くの人種や民族集団について存在しています。たとえば、黒人は白人に比べて、車両停止の際に車の中を捜索される可能性が顕著に高いです(特に黒人が白人の多い地域を運転している場合には)。この現象は、しばしば「DWB」または「黒人運転」と呼ばれます(Rojek, Rosenfeld, & Decker, 2012)。
メキシコ系アメリカ人やその他のラテン系グループも、警察やその他のコミュニティーのメンバーから人種差別の標的となっています。たとえば、個人小切手で商品を購入する際、ラテン系の買い物客は白人の買い物客よりも正式な身分証明書の提示を求められる可能性が高いです(Dovidio et al., 2010)。
警察による嫌がらせがあったとされる1つの事例では、コネチカット州イーストヘイブンの複数の警察官が、ラテン系住民に対する嫌がらせや残虐な行為を続けていたということにより連邦政府の摘発で逮捕されました。この告発が明らかになったとき、イーストヘイブンの市長は、「あなたは今日、ラテン系コミュニティーのために何をしますか?」と聞かれました。市長は「家に帰ったらタコスを食べるかもしれない、まだ決めたわけではないが」と答えました(“East Haven Mayor,” 2012)。この発言は、人種的プロファイリングや警察によるラテン系住民への嫌がらせという重要な問題を軽視するとともに、ラテン系住民と固定観念的に結びついた食品への関心を強調することによって、ラテン系文化を見くびるものです。
人種差別は、ネイティブ・アメリカン、アラブ系アメリカ人、ユダヤ系アメリカ人、およびアジア系アメリカ人を含む、米国内の他の多くの集団に対しても広くいきわたっています。あなたは、これらの人種や民族集団に対する人種差別を経験したり、目撃したりしたことがありますか?また、あなたは自分のコミュニティーにおける人種差別に気づいていますか?
人種差別の、そして先入観一般の現代的な形態が発見されにくい理由のひとつに、二重態度モデルが関係しています(Wilson, Lindsey, & Schooler, 2000)。人間には、意識的で制御可能な明示的態度と、無意識的で制御不可能な黙示的態度という2つの態度の形態があります(Devine, 1989; Olson & Fazio, 2003)。平等主義的な見解を持つことは社会的に望ましいことであるため(Plant & Devine, 1998)、ほとんどの人は、明示的な態度の測定では極端な人種的偏見やその他の先入観を示すことはありません。しかしながら、黙示的な態度の測定では、軽い程度から強い程度の人種的偏見やその他の先入観の証拠がしばしば示されます(Greenwald, McGee, & Schwartz, 1998; Olson & Fazio, 2003)。
性差別
性差別とは、性別に基づく個人への先入観と差別のことです。典型的には、性差別は男性が女性に対して偏見を持つという形態をとりますが、どちらの性別であっても、同性または異性に対して性差別を示すことがあります。人種差別と同様に、性差別も微妙で発見が難しいかもしれません。現代社会における性差別の一般的な形態には、女性が家庭の面倒を見ることを期待するような、ジェンダーの役割の期待が含まれます。また、ある性別グループのメンバーがどのように振る舞うべきかという人々の期待も性差別に含まれます。たとえば、女性は友好的、受動的、および養育的であることが期待されており、女性が非友好的、自己主張的、または無視的な態度で振る舞うときには、彼女たちはジェンダーの役割に違反しているとして嫌われることがしばしばあります(Rudman, 1998)。ローリー・ルドマンの研究(Rudman, 1998)では、女性の求職者が自己宣伝をすると、彼女たちは有能であると見なされる可能性が高くなりますが、慎み深さというジェンダーの期待に違反したために嫌われるかもしれず、雇用される可能性が低くなるということが見出されました。性差別は、雇用、雇用機会、および教育など社会的なレベルでも存在します。工学、航空、および建設など、男性優位の職業では、女性が採用されたり昇進したりする可能性が低くなります(図12.22)(Blau, Ferber, & Winkler, 2010; Ceci & Williams, 2011)。あなたは、性差別を経験したり、目撃したりしたことはありますか?あなたの家族の仕事やキャリアについて考えてみてください。女性の看護師が多いのに、男性の外科医が多いなど、女性と男性の仕事に違いがあるのはなぜだと思いますか(Betz, 2008)?
年齢差別
人はしばしば、年齢に基づいて人を判断したり、人についての期待を抱いたりします。このような判断や期待は、年齢差別(年齢のみに基づく個人への先入観や差別)につながることがあります。あなたが高齢者に抱く期待を考えてみてください。ある人の期待は、その人が高齢者集団の個人に対して抱く感情にどのような影響を与えるでしょうか?年齢差別は米国文化に広く浸透しており(Nosek, 2005)、高齢者に対する一般的な年齢差別的態度は、高齢者は無能力で、身体的に弱く、動きが遅いというものであり(Greenberg, Schimel, & Martens, 2002)、一部の人は高齢者があまり魅力がないと考えています。チャン、カノス、レヴィ、ワン、リー、およびレヴィ(Chang, Kannoth, Levy, Wang, Lee, and Levy, 2020)は、世界各国での40年以上の期間にわたる年齢差別と健康への結果との関係を報告しました。11の健康領域において、50歳を超える人が年齢差別を経験するのは、医療サービスの利用や仕事の機会を拒否されるという形が最も多かったです。しかしながら、いくつかのアジア系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人文化を含む、米国内外の一部の文化では、高齢者に敬意と名誉が与えられています。
典型的には年齢差別は高齢者に対して起こるものですが、若年の成人に対しても年齢差別は起こり得ます。あなたは若い人たちにどのような期待を抱いていますか?社会は、若年の成人が未熟で無責任であることを期待しているでしょうか?ライマー、リード、シュピーゲル、パーヴァノヴァ(Raymer, Reed, Spiegel, and Purvanova, 2017)は、若い労働者に対する年齢差別を調査しました。彼らは、年配の労働者が若い労働者についての否定的な固定観念を支持し、彼らがより多くの仕事上の欠点となる特徴(無能であることの認識を含む)を持っていると信じていることを発見しました。このような形態の年齢差別は、販売員の職に応募している若年層と高齢層にどのような影響を与えるでしょうか?
同性愛嫌悪とトランスジェンダー嫌悪
偏見のもう1つの形態は、同性愛嫌悪です。同性愛嫌悪とは、人の性的指向のみに基づく個人の先入観と差別のことです。トランスジェンダー嫌悪とは、固定観念的なジェンダーの役割を壊したり、曖昧にしたりすると受け止められている人々に対する憎悪や恐怖であり、しばしば固定観念、差別、嫌がらせ、および/または暴力として表現されます。年齢差別と同様に、同性愛嫌悪もアメリカ社会に広く存在する先入観であり、多くの人によって大目に見られています(Herek & McLemore, 2013; Nosek, 2005)。否定的な感情は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、およびクィア(LBGTQ+)の人々を社会集団から排除したり、LGBTQ+の隣人や同僚を避けたりするなどの差別につながることがしばしばあります。このような差別は、雇用主が適格なLGBTQ+の求職者の雇用を意図的に拒否することにも及びます。あなたは同性愛嫌悪を経験したり、目撃したりしたことがありますか?もしあるならば、どのような固定観念、先入観を持った態度、および差別が見られましたか?
深く掘り下げてみよう
同性愛嫌悪の研究
私たちの社会では、非異性愛者に対する憎しみを非常に強く持っている人たちがいます。場合によっては、異性愛者でないという理由だけで、人々が拷問されたり殺されたりしたこともあります。このような熱情的な反応のために、一部の研究者は、同性愛嫌悪の人々にはどのような動機が存在するのかについて疑問を抱きました。アダムス、ライト、およびローア(Adams, Wright, & Lohr, 1996)は、この問題を調査する研究を行い、その結果は非常に目を見張るものでした。
この実験では、男子大学生に同性愛嫌悪の度合を測る尺度を与え、極端なスコアの人を実験に参加するように採用しました。最終的に64人の男性が参加することに同意し、同性愛嫌悪の男性とそうでない男性の2つのグループに分けられました。両グループの男性とも、ペニス用のプレチスモグラフ(ペニスの血流変化を測定し、性的興奮を客観的に測定するのに役立つ機器)を装着しました。
すべての男性に、性的に露骨な映像の一部を見せました。そのうちの1つは、男性と女性間の性的なやりとりを描いたもの(ストレートの映像クリップ)でした。もう1つの映像は、2人の女性が性的なやりとりをしているもの(レズビアンの映像クリップ)で、最後の映像は、2人の男性が性的なやりとりをしているもの(ゲイの映像クリップ)でした。3つの映像の間、陰茎の膨らみ(生理学的な性器の興奮の指標)の変化を記録し、性的興奮の主観的な測定も行いました。ストレートとレズビアンの映像クリップでは両グループの男性とも性的に興奮したのに対し、ゲイ男性の映像クリップでは、同性愛嫌悪であると特定された男性のみが性的に興奮しました。すべての男性が、ストレートとレズビアンの映像クリップに対しては、自身の勃起が興奮を示していると報告した一方で、同性愛嫌悪の男性は、ゲイの映像クリップに対しては(勃起しているにもかかわらず)性的に興奮しなかったと述べました。アダムスら(Adams et al., 1996)は、これらの知見が、同性愛嫌悪はゲイの興奮に関係しているものの、同性愛嫌悪の人たちはそれを否定しているか、気づいていないということを示しているのかもしれないと示唆しています。
なぜ先入観や差別が存在するのでしょうか?
先入観や差別は、社会的学習や社会的規範への同調のために、社会に根強く残っています。子供は、親、教師、友人、メディア、そしてFacebookなどの他の社会化の情報源など、社会から先入観を持つ態度や信念を学びます(O’Keeffe & Clarke-Pearson, 2011)。もしある種の先入観や差別が社会で受け入れられている場合、それらの先入観を持つ信念、態度、および行動に同調し、共有するように規範的な圧力がかかることがあります。たとえば、公立と私立の学校は、いまだに社会階級によってある程度分離されています。歴史的には、裕福な家庭の子供だけが私立学校に通うことのできる余裕があり、中・低所得家庭の子供は典型的には公立学校に通っていました。もし、低所得家庭の子供が成績優秀者に与えられる奨学金を受け取って私立学校に通うことになった場合、その子供はクラスメートからどのように扱われるでしょうか?あなたは、友人のグループから期待されたために、先入観のある態度や信念を持ったり、差別的な行動をとったときのことを思い出すことができますか?
固定観念と自己成就的予言
私たちがある人について固定観念を持っているときには、私たちはその人がその固定観念を満たすだろうという期待を持ちます。自己成就的予言とは、ある人が抱いた期待が、その期待を実現するように人の行動を変えることです。私たちは、ある人について固定観念を持っていると、その人を自分の期待に沿って扱う傾向があります。このような扱いは、その人が私たちの固定観念的な期待に沿って行動するように影響を与え、その結果私たちの固定観念的な信念を強めることになります。ローゼンタールとジェイコブソン(Rosenthal & Jacobson, 1968)の研究によると、教師に良い成績を期待された恵まれない生徒は、教師に悪い成績を期待された恵まれない生徒よりも高い成績を修めていることがわかりました。
自己成就的予言における原因と結果について、この例を考えてみましょう:もし、ある雇用主がゲイであることを公にしている男性求職者のことを無能であると予想している場合、その潜在的な雇用主は面接時に求職者に対して会話を少なくしたり、視線を合わせなかったり、一般的にその求職者に対して冷たく接したりすることによって、否定的な扱いをするかもしれません(Hebl, Foster, Mannix, & Dovidio, 2002)。その結果、求職者は潜在的な雇用主に嫌われていると認識し、面接での質問に対する回答を短くしたり、視線を合わせなかったり、全体的に面接から身を引いたような態度をとることによって応答するでしょう。面接の後、雇用主は求職者の冷たくよそよそしいように見える行動を振り返り、面接での求職者の成績の低さに基づいて、その求職者が実際に無能であると結論付けるでしょう。このようにして、「ゲイの男性は無能で、良い従業員にはならない」という雇用主の固定観念が強化されます。あなたは、この求職者が採用される可能性があると思いますか?固定観念的な信念に従って個人を扱うことは、先入観や差別につながることがあります。
固定観念を強化するもう1つの力学として、確証バイアスがあります。私たちは、先入観の対象となる人と接するとき、自分の固定観念的な期待に合致する情報に注意を払い、期待に矛盾した情報を無視する傾向があります。確証バイアスとして知られるこのプロセスでは、私たちは自分の固定観念を支持する情報を探し出し、自分の固定観念と矛盾する情報を無視します(Wason & Johnson-Laird, 1972)。面接の例では、雇用主は、求職者が友好的で愛想が良いことや、面接の最初の段階では面接の質問に対して適切な回答をしていることに気づかなかったかもしれません。その代わりに、雇用主は、面接の後半になって、求職者が面接官の否定的な扱いに合わせて態度や行動を変えた後の求職者の成績に注目しました。あなたは、自己成就的予言や確証バイアスに陥ったことはありますか(そのようなバイアスの源として、あるいは標的として)?自己成就的予言のサイクルを止めるにはどうしたらいいでしょうか?
内集団と外集団
この節で以前に議論したように、私たちは皆、ジェンダー、人種、年齢、および社会経済的な集団に属しています。これらの集団は、私たちのアイデンティティーと自尊心の強力な源となります(Tajfel & Turner, 1979)。これらの集団は、私たちの内集団としての役割を果たします。内集団とは、私たちが同一視している、あるいは自分が属していると考えている集団のことです。私たちが属していない集団、つまり外集団とは、私たちが自分とは根本的に異なると見なしている集団のことです。たとえば、もしあなたが女性であれば、あなたのジェンダーの内集団にはすべての女性が含まれ、あなたのジェンダーの外集団にはすべての男性が含まれます(図12.23)。人はしばしば、ジェンダー集団を、人格特性、特徴、社会的役割、および関心において根本的に異なるものと見なします。私たちは、しばしば自分の内集団に強い帰属意識と感情的なつながりを感じるため、内集団バイアス(他の集団よりも自分の集団を好むこと)を生じさせます。この内集団バイアスは、先入観や差別につながることがあります。なぜなら、外集団は内集団とは異なるものとして認識され、内集団よりも好まれないからです。
集団を対立に向かわせるだけのように見える集団の力学にもかかわらず、集団間の和解を促進するような力もいくつかあります:それは、共感の表現、双方の過去の苦しみを認めること、および破壊的な行動を止めることです。
先入観の機能の1つは、私たちが自分自身のことを良く思い、肯定的な自己概念を維持することです。この自分自身のことについて良く思いたいという欲求は、内集団にも及びます:私たちは、自分たちの内集団について良く思い、それを守りたいと望んでいます。私たちは、脅威を個人的に、そして内集団のレベルで解決しようとします。これはしばしば、問題の原因を外集団のせいにすることによって生じます。責任転嫁とは、内集団がフラストレーションを経験したり、目標の達成を阻まれたりしたときに、外集団を非難する行為です(Allport, 1954)。
12.6 攻撃性
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 攻撃性を定義する
- ネットいじめを定義する
- 傍観者効果について記述する
この章を通じて、私たちは人々がどのように相互作用し、お互いの思考、感情、行動に良い形でも悪い形でも影響を与えるかについて議論してきました。人々は、緊急時にはお互いに助け合うなど、協力して大きなことを成し遂げることができます:9/11のテロリスト攻撃の際に示された英雄的な行為を思い出してください。また、人々は、不道徳な集団規範に同調したり、殺人を犯すほど権威に従ったりするなど、お互いに大きな危害を加えることもあります:第二次世界大戦中のナチスへの集団的な同調を考えてください。この節では、私たちは人間の行動の負の側面である攻撃性について議論します。
多くの研究者が先入観を軽減する方法を探索してきました。その中でも最も古いものの1つが、シェリフら(Sherif et al., 1961)による「ロバーズ・ケーブ実験」として知られる研究です。彼らは、キャンプ場で対立する2つのグループが共通の目標に向かって協力すると、グループ間の先入観を持った態度が減少することを発見しました(Gaertner, Dovidio, Banker, Houlette, Johnson, & McGlynn, 2000)。この研究では、上位の目標に焦点を当てることが態度変容の鍵となりました。別の研究では、人種的な隔離が撤廃された教室で成功を収めるための努力として、アロンソンとブリッジマンによって設計された手法であるジグソー教室を調査しました。この手法では、生徒はさまざまな人種や能力を包含するグループで課題に取り組みます。生徒は、グループ内で課題を割り振られた後、同じ課題を割り振られた他のグループの仲間と協力し、その後で元のグループに戻ってきて報告します。ウォーカーとクローガン(Walker & Crogan, 1998)は、オーストラリアのジグソー教室では、成功するためには構成員の全員を必要とするプロジェクトに多様な生徒が共同で取り組むことで、先入観の可能性が減少したと述べています。この研究では、共通の目標に向かって個人が協力し合うことができるようなものであれば、何であっても先入観を持った態度を減らすことができるということを示唆しています。明らかに、このような戦略を現実社会の状況で応用すれば、紛争解決の機会を増やすことができるでしょう。
攻撃性
人間は、他人に危害や苦痛を与えようとするときに攻撃性を発揮します。攻撃性には、その動機によって敵対的なものと道具的なものの2つの形態があります。敵対的攻撃性とは、苦痛を与える意図を持った怒りの感情によって動機付けられたものです。バーで見知らぬ人と喧嘩をするのは敵対的攻撃性の一例です。対照的に、道具的攻撃性とは、目的を達成することによって動機付けられたものであり、必ずしも苦痛を与える意図は関係しません(Berkowitz, 1993)。雇われて殺人を犯す殺し屋は、道具的な攻撃性を発揮します。
なぜ攻撃性が存在するのかについては、多くのさまざまな説があります。一部の研究者は、攻撃性は進化的な機能を果たしていると主張しています(Buss, 2004)。男性は女性よりも攻撃性を示す傾向があります(Wilson & Daly, 1985)。進化心理学の観点から見ると、人間の男性の攻撃性は、人間以外の霊長類の攻撃性と同様に、交配相手を守るため、また男性の遺伝子を永続させるために、他の男性に対する優位性を示す役割を果たしていると考えられます(図12.24)。性的嫉妬は男性の攻撃性の一部です。男性は、交配相手が他の男性と性交していないことを確実にするよう努め、自身が女性の子供の父親であることを保証します。攻撃性は男性にとって明らかな進化上の利点を提供しますが、女性も攻撃性を発揮します。典型的には、女性はより間接的な形で攻撃性を示し、彼女たちの攻撃性は目的を達成するための手段として用いられます(Dodge & Schwartz, 1997)。たとえば、女性は他人の社会的立場を損なうようなコミュニケーションによって、攻撃性をひそかに表現するかもしれません。人間の攻撃性の機能の1つを説明する別の理論が、欲求不満攻撃性理論です(Dollard, Doob, Miller, Mowrer, & Sears, 1939)。この理論は、人間は重要な目標の達成を妨げられると、欲求不満を感じて攻撃的になると述べています。
いじめ
攻撃性のもう1つの形態は、いじめです。あなたが子供の発達を学習する際に学んだように、他の子供たちと付き合い、一緒に遊ぶことは、子供の心理的な発達にとって有益です。しかしながら、あなたも子供の頃に経験したことがあるかもしれませんが、すべての遊びの行動が肯定的な結果をもたらすわけではありません。一部の子供は、攻撃的で乱暴に遊びたがります。他の子供は、わがままでおもちゃを分けようとしません。子供たちの間で起こる否定的な社会的相互作用の1つの形態であり、国民的な関心事となっているのがいじめです。いじめとは、他人(しばしば、青年期の若者)に対して、長期にわたって否定的な扱いを繰り返すことです(Olweus, 1993)。ある子供が遊び場で別の子供を叩くという一回限りの出来事は、いじめとは見なされないでしょう:いじめは繰り返される行動です。いじめにおける典型的な否定的な扱いは、危害、負傷、または屈辱を与えようとすることであり、いじめには身体的または言葉による攻撃が含まれます。しかしながら、いじめは身体的または言語的なものである必要はなく、心理的なものである場合もあります。研究では、女子と男子が他者をいじめるやり方にはジェンダー差が見出されています(American Psychological Association, 2010; Olweus, 1993)。男子は、身体的に相手を傷つけるなど、直接的で物理的な攻撃をする傾向があります。女子は、噂を流したり、相手を無視したり、または社会的に孤立させたりするなど、間接的で社会的な形態の攻撃をする傾向があります。子供の発達と社会的役割についてあなたが学んだことに基づくと、なぜ男子と女子では異なるタイプのいじめ行動が見られるのだと思いますか?
いじめには、いじめる側、被害者側、そして目撃者や傍観者の三者が関わります。いじめの行為には、いじめる側が被害者に対して物理的、感情的、および/または社会的に大きな力を持つという、力の不均衡が伴います。いじめの経験は、いじめる側にとっては、自尊心が高まるかもしれず、肯定的に働くこともあります。しかしながら、いじめの被害者や傍観者にとっては、いくつかのいじめの悪影響があります。あなたは、いじめが青少年にどのような負の影響を与えると思いますか?いじめの被害者になることは、不安や抑うつを経験することを含め、メンタルヘルスの低下に関連しています(APA, 2010)。いじめの被害者は学業の成績が落ちるかもしれません(Bowen, 2011)。また、いじめが原因で被害者が自殺することもあります(APA, 2010)。いじめは、目撃者に対してどのように悪影響を与えるでしょうか?
誰がいじめる側になるのか、誰がいじめの被害者になるのかについて、単一の人格プロファイルがあるわけではありませんが(APA, 2010)、研究者は、いじめられる危険性の高い子供のパターンをいくつか特定しています(Olweus, 1993):
- 感情的に反応する子供は、いじめられる危険性が高くなります。いじめる側は、簡単に取り乱す子供に惹かれるのかもしれません。なぜなら、いじめる側は彼らからすぐに感情的な反応を得られるからです。
- 他の人と違う子供は、いじめの対象になりやすいです。太っていたり、認知機能が低下していたり、あるいは人種的・民族的に同級生と異なっていたりする子供は、リスクが高いかもしれません。
- ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、およびトランスジェンダーの10代の子供は、その性的指向のためにいじめられたり、危害を加えられたりする危険性が非常に高いです。
ネットいじめ
テクノロジーが急速に成長し、携帯電話やソーシャル・ネットワーキング・メディアが広く普及するようになったことで、新しい形態のいじめ、すなわち、ネットいじめが現れています(Hoff & Mitchell, 2009)。ネットいじめは、いじめと同様、他人に心理的・感情的な危害を与えることを目的とした行動を繰り返すものです。ネットいじめにおいて独特なこととは、それが典型的には秘密裏に、隠れて、こっそりと行われ、いじめる側が匿名でいられることです。この匿名性がいじめる側に力を与え、被害者は無力感を感じ、嫌がらせから逃れることができず、やり返すこともできません(Spears, Slee, Owens, & Johnson, 2009)。
ネットいじめは、噂を流して被害者に嫌がらせをしたり、被害者を中傷するウェブサイトを作ったり、被害者を無視したり、侮辱したり、笑ったり、からかったりと、さまざまな形で行われます(Spears et al., 2009)。ネットいじめが非物理的で、あまり直接的ではないいじめの形態であるため、ネットいじめでは女子がいじめる側や被害者になるのがより一般的です(図12.25)(Hoff & Mitchell, 2009)。興味深いことに、ネットでいじめる側になる少女は、しばしばかつてネットいじめの被害者だったことがあります(Vandebosch & Van Cleemput, 2009)。ネットいじめの影響は従来のいじめと同様に有害であり、被害者はフラストレーション、怒り、悲しみ、孤立感、無力感、および恐怖を感じます。被害者は自尊心の低下も経験します(Hoff & Mitchell, 2009; Spears et al., 2009)。さらに、最近の研究では、ネットいじめの被害者も加害者も自殺念慮を経験する可能性が高く、彼らはネットいじめの経験がない人に比べて自殺を試みる可能性が高いということが示唆されています(Hinduja & Patchin, 2010)。テクノロジーのどのような特徴が、ネットいじめを容易にし、若年層にとってより身近なものにしているのでしょうか?ネットいじめを防ぐために、親や教師、Facebookのようなソーシャル・ネットワーキングのウェブサイトは何ができるでしょうか?
傍観者効果
いじめの議論では、目撃者が被害者を助けるために介入しないという問題が強調されています。研究者のラタネとダーリー(Latané & Darley, 1968)は、傍観者効果と呼ばれる現象を記述しました。傍観者効果とは、目撃者や傍観者が、被害者や困っている人を自発的に助けようとしない現象のことです。その代わりに、彼らは、起こっていることをただ見ているだけになってしまいます。社会心理学者は、私たちが自分自身の人格変数ではなく、社会的状況に基づいてこのような判断をするとしています。傍観者効果のきっかけとなったのは、1964年に起きたキティ・ジェノヴィーズという若い女性の殺人事件でした。彼女が襲われているときに、近所の人が誰も助けなかったり、警察に通報しなかったりしたことが報じられ、彼女の悲劇的な死の物語が一人歩きしました。しかしながら、カッシン(Kassin, 2017)は、彼女を殺した犯人が逮捕されたのは、その数日後にその犯人が強盗をしているのを見た近所の人が警察に通報したからだと指摘しています。傍観者が実際に彼女の殺害に介入しただけでなく(犯人を怒鳴りつけた男性が1人、警察に通報したという女性が1人、最期の瞬間に彼女を慰めた友人が1人)、他の傍観者も犯人の逮捕に介入しました。社会心理学者は、責任の分散が説明となるのではないかと主張しています。責任の分散とは、助けなければならない責任が集団全体に広がっているために、集団の中で誰も助けようとしないという傾向のことです(Bandura, 1999)。建物の居住区画の窓に明かりが灯っていた数からわかるように、ジェノヴィーズへの襲撃を目撃した人が多かったため、個人は、誰かがすでに警察に通報したに違いないと考えました。警察を呼ぶ責任は、犯罪の目撃者の数だけ分散されました。高速道路で事故現場を通過したとき、被害者や他の運転手がすでに事故を通報していると思ったことはありませんか?一般的に、傍観者の数が多ければ多いほど、誰か1人が助けてくれる可能性は低くなります。
12.7 向社会的行動
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 利他主義について記述する
- 人間関係の形成に影響を与える条件を記述する
- 何が人をお互いに惹きつけるのかを特定する
- 愛の三角理論を記述する
- 人間関係における社会的交換理論を説明する
あなたは社会心理学の多くの否定的な行動について学んできましたが、この分野では多くの肯定的な社会的相互作用や行動も研究しています。人がお互いを好きになるのはなぜでしょうか?私たちは誰と友達になるのでしょうか?私たちは誰とデートするのでしょうか?研究者は、私たちが他人と関係を築くかどうかに影響を与える状況のいくつかの特徴を記録しています。また、人間が他人に魅力を感じるようないくつかの普遍的な特性もあります。この節では、私たちは、人間関係を築きやすい状況、私たちが友人関係や恋愛関係に求めるもの、さまざまな愛のタイプ、そして人間関係がどのように形成され、維持され、解消されるかを説明する理論について議論します。
向社会的行動と利他主義
あなたは自発的に他人を助けますか?他人を助けようとする意図を持った自発的な行動は、向社会的行動と呼ばれます。なぜ人々は他人を助けるのでしょうか?人々がお互いに助け合う理由は、自分の気分がいいといった個人的な利益だけなのでしょうか?研究によると、それ以外にもさまざまな理由があることが示唆されています。利他主義とは、人を助けることで得られる利益よりも費用の方が大きい場合でも、他人を助けたいという人々の願望のことです。実際、利他的な行動をとる人は、助けることに伴う個人的な費用を無視することがあります(図12.26)。たとえば、9月11日にニューヨークの世界貿易センタービルで起きたテロリストの攻撃のニュースでは、第1タワーの従業員が同僚を出口の階段まで連れて行くのを手伝ったことが報じられました。同僚を安全な場所まで連れて行った後、彼はさらに同僚を助けるために燃え盛るビルの中に戻りました。この事例では、助けるための費用が大きく、この英雄は建物の倒壊の中で命を落としました(Stewart, 2002)。
一部の研究者は、利他主義が共感に基づいて作動していると示唆しています。共感とは、他人の視点を理解し、その人が感じていることを感じる能力です。共感能力のある人は、他人と感情的なつながりを持ち、助けざるを得ないように感じます(Batson, 1991)。他の研究者は、利他主義とは、利益や自分の気分の良さが動機となっていない無私の援助の形態であると主張しています。確かに、助けた後、人は自分自身について良い気分になりますが、一部の研究者はこれが利他主義の結果であって、原因ではないと主張しています。他の研究者は、私たちの自我が関与しているために、助けることは常に自己奉仕的であり、私たちは助けることで利益を受けると主張します(Cialdini, Brown, Lewis, Luce, & Neuberg 1997)。援助の真の動機が主に自己奉仕的なもの(利己主義)なのか、無私のもの(利他主義)なのかを実験的に決定することは困難です。そのため、純粋な利他主義が存在するかどうかについては、議論が続いています。
学習へのリンク
人気テレビシリーズ『フレンズ』からの抜粋で、利己主義と利他主義が議論されている場面(http://openstax.org/l/friendsclip)を見て、さらに学んでください。
人間関係を形成する
あなたが誰と友達になるか、誰と恋愛関係になるかを決める上で、最も影響力のある単一の要因は何だと思いますか?答えが単純なのを知ると驚くかもしれません:それは、最も接触している人です。その最も重要な要因とは近接性です。あなたは、普段から交流のある人と友達になりやすいです。たとえば、遠くに住んでいる人よりも、寮やアパート、あるいは近所に住んでいる人の方が友達になりやすいという研究結果が何十年にもわたって報告されています(Festinger, Schachler, & Back, 1950)。単純に、頻繁に会う人とは、関係を築くのがより容易です。なぜなら、あなたは相手を知る機会を得るからです。
類似性は、私たちが誰と関係を築くかに影響を与えるもう1つの要因です。私たちは、生い立ち、態度、および生活様式が自分と似ている人とは、友達や恋人になりやすいです。実際のところ、正反対の人たちが惹かれあうという証拠はありません。むしろ、私たちは自分に最も似ている人に惹かれます(図12.27)(McPherson, Smith-Lovin, & Cook, 2001)。なぜ、私たちは自分に似た人に惹かれるのだと思いますか?共通のものを共有していると、確かに人と仲良くなりやすいし、つながりを作ることも容易になるでしょう。あなたと他の人が音楽の好みや趣味、食べ物の好みなどが似ていれば、一緒に過ごす時間に何をするかを決めるのも簡単かもしれません。同類性とは、友人関係、結婚、ビジネス関係、そして他のさまざまな種類の人間関係を含む社会的ネットワークを、似た者同士で形成する傾向のことです(McPherson et al., 2001)。
しかし、同類性は、私たちが多様性にさらされる機会を制限します(McPherson et al., 2001)。自分と似たような人とだけ関係を結ぶことによって、私たちは同質的な集団を作り、異なる視点に触れることがなくなるでしょう。言い換えれば、私たちは自分によく似た人たちと過ごす時間が多くなるため、人種、民族、社会的・経済的地位、および生活環境などが自分とは異なる人たちとの接触は限られたものになるでしょう。
ひとたび私たちが人と関係を築くと、私たちは互恵性を望みます。互恵性とは、人間関係におけるギブ・アンド・テイクのことです。私たちは人間関係に貢献しますが、それとともに利益を受け取ることも期待しています。つまり、私たちは人間関係を双方向のものにしたいと望みます。私たちは、自分に好意を寄せてくれる人に好意を寄せ、その人と関わる可能性が高くなります。自己開示は、この双方向の関係の一部です。自己開示とは、個人的な情報を共有することです(Laurenceau, Barrett, & Pietromonaco, 1998)。私たちは、自分についての重要な情報を開示した相手とは、より親密な関係を形成します。実際、自己開示は、開示された情報が自分自身の見解と一致している限り、健全で親密な関係の特徴となります(Cozby, 1973)。
魅力
私たちは、近接性や類似性がどのようにして人間関係の形成につながるかや、互恵性や自己開示が人間関係の維持に重要であることについて議論してきました。しかし、私たちは人のどのような特徴に魅力を感じるのでしょうか?私たちは、近くに住んでいる人や一緒に働いている人全員と関係を築くわけではありませんが、では、私たちはどのようにして友人や恋人として選ぶ特定の人を決めるのでしょうか?
研究者は、人間が魅力を感じるいくつかの特徴を報告しています。まず、私たちは肉体的に魅力的な友人や恋人を探します。何を魅力と考えるかは人それぞれであり、魅力は文化的な影響を受けます。しかしながら、研究によると、女性におけるいくつかの普遍的な魅力の特徴には、大きな目、高い頬骨、細い顎のライン、ほっそりとした体格(Buss, 1989)、およびウエストとヒップの比率が低いこと(Singh, 1993)が含まれることが示唆されています。男性の場合、魅力の特徴には、背が高いこと、肩幅が広いこと、およびウエストが細いことが含まれます(Buss, 1989)。男女ともに、顔や体の対称性が高い人は、非対称な人よりも一般的に魅力的だと見なされます(Fink, Neave, Manning, & Grammer, 2006; Penton-Voak et al., 2001; Rikowski & Grammer, 1999)。人が潜在的な女性の伴侶において魅力を感じる社会的特性には、温かさ、愛着、および社会的技能が含まれ、男性の場合、魅力の特性には、達成、リーダーシップの資質、および仕事の技能が含まれます(Regan & Berscheid, 1997)。人間は肉体的に魅力的な相手を求めますが、それは可能な限り最も魅力的な人を探しているということではありません。実際、この観察結果から、一部の人はマッチング仮説として知られるものを提唱しています。マッチング仮説とは、人は身体的魅力と社会的望ましさが自分と同等であると見なす人を選ぶ傾向があるということを主張するものです(Taylor, Fiore, Mendelsohn, & Cheshire, 2011)。たとえば、あなたやあなたが知っているほとんどの人は、とても魅力的な映画スターは自分には縁がないと言うでしょう。そのため、たとえあなたがその人の近くにいたとしても、断られる可能性が高いと考えて、そういった人をデートに誘うことはしないでしょう。人々は、潜在的なパートナーの魅力と、その人とうまくいく可能性とを比較します。もしあなたが自分のことを特に魅力的でないと思っている人であるならば(たとえ実際にはそうでなくても)、あなたはかなり魅力的でない(つまり、身体的な外見や行動が魅力的でない)相手を求める可能性が高いです。
スタンバーグの愛の三角理論
私たちは通常、関係を結んだ相手を愛しますが、家族、友人、および恋人に対して私たちが抱く愛のタイプは異なります。ロバート・スタンバーグ(Sternberg, 1986)は、愛には親密性、情熱、およびコミットメントの3つの要素があると提唱しました。これらの3つの要素が三角形を形成し、複数の愛のタイプを定義します:これはスタンバーグの愛の三角理論として知られています(図12.28)。親密性とは、詳細な情報や親密な思考と感情を共有することです。情熱とは、肉体的な魅力、つまり燃え盛る炎です。コミットメントとは、相手の力になることであり、関係性における「病めるときも健やかなるときも」の部分です。
スタンバーグ(Sternberg, 1986)は、健全な関係とは、親密性、情熱、コミットメントの3つの要素がすべて揃った状態であり、これは完全な愛として記述されると述べています(図12.29)。しかしながら、さまざまな人生の段階では、異なる愛の側面が広く見られるかもしれません。他の愛の形態としては、親密性はあるが情熱やコミットメントがないと定義される好意が含まれます。夢中とは、親密性やコミットメントがなく、情熱が存在していることです。空虚な愛とは、親密性や情熱がなく、コミットメントを持つことです。親友関係や家族関係に特徴的な友愛は、親密性とコミットメントからなりますが、情熱はありません。ロマンチックな愛は、情熱と親密性はあるが、コミットメントがないことによって定義されます。最後に、浅はかな愛(長期的な性的恋愛関係など)は、情熱とコミットメントはあるが、親密性がないことによって定義されます。あなたは、これらのさまざまなタイプの愛に当てはまる関係の他の例を記述することができますか?
社会的交換理論
私たちはこれまで、人はなぜ人間関係を築くのか、何が私たちをお互いに惹きつけるのか、そしてさまざまなタイプの愛について議論してきました。しかし、私たちが関係性に満足して、それにとどまるかどうかを決めるものとは何なのでしょうか?説明を与えてくれる理論の1つが、社会的交換理論です。社会的交換理論によると、私たちは素朴な経済学者のように、他者との関係を形成・維持するための費用と便益の比率を集計しています(図12.30)(Rusbult & Van Lange, 2003)。
人々は、社会的交流、すなわち人間関係から得られる便益を最大化し、費用を最小化するよう動機付けられています。人は、費用よりも便益が大きいか、あるいは費用と便益がほぼ同じであることを好みますが、社会的交流によって便益よりも費用が大きくなると、ほとんどの人は不満を感じます。一例を挙げてみましょう。もしあなたが恋愛関係を築くことを決めたことがあるならば、あなたはおそらくその決断の利点と欠点を考えたでしょう。献身的な恋愛関係を築くことの利益は何でしょうか?あなたは交際、親密性、および情熱を手にするだけでなく、よく知っている人と一緒にいることで心地よく過ごせることを考えるかもしれません。献身的な恋愛関係を築くことの費用は何でしょうか?時間が経つにつれて、1人の人とだけ一緒にいることが退屈になってくると思うかもしれません。また、映画を観に行ったり、食事にでかけたりするような活動を共有するのは高くつくかもしれません。しかしながら、恋愛相手と付き合うことで得られる利益が費用を上回るものでなければ、あなたは関係を続けることはないでしょう。
重要用語
行為者-観察者バイアス:他人の行動は内的な要因によるものであり、自分の行動は状況的な力によるものであると説明する現象
年齢差別:年齢のみに基づく個人への先入観と差別
攻撃性:他人に危害や苦痛を与えようとすること
利他主義:人を助けることで得られる利益よりも費用の方が大きい場合でも、他人を助けたいという人々の願望
アッシュ効果:集団の多数派が個人の判断に影響を与えること(たとえその判断が不正確なものであっても)
態度:ある人、ある考え方、またはある物に対する評価または感情で、典型的には、肯定的または否定的である
帰属:他の人の行動に対する説明
いじめ:ある人(しばしば、青年期の若者)が、長期にわたって繰り返し否定的な扱いを受けること
傍観者効果:目撃者や傍観者が、被害者や困っている人を自発的に助けようとしない状況
中心ルートの説得:データや事実を用いた論理的な議論で、人々に議論の価値を納得させること
認知的不協和:自分の肯定的な自己認識に反する行動、態度、または信念の葛藤から生じる心理的不快感
集団主義的な文化:家族や友人、地域社会などといった他者との共同関係を重視する文化
友愛:親密性とコミットメントからなるが、情熱はない愛のタイプ。親友関係や家族関係に関連する
協力者:研究者のために働き、実験のことを知っているが、参加者として行動する人。研究デザインの一環として社会的状況を操作するために用いられる
確証バイアス:自分の固定観念を支持する情報を探し出し、自分の固定観念と矛盾する情報を無視すること
同調:人が集団に同意していなくても、その集団に合わせて行動を変えること
完全な愛:親密性、情熱、コミットメントのすべてが揃ったときに起こる愛のタイプ
ネットいじめ:オンライン上で行われる、他人に心理的・感情的な危害を与えることを目的とした繰り返しの行為
責任の分散:助けなければならない責任が集団全体に広がっているために、集団の中で誰も助けようとしないという傾向
差別:ある人が特定の集団に属していることを理由として、個人に対して否定的な行動をとること
気質主義:私たちの行動は人格特性や気質などの内的要因によって決定されると主張する、人格心理学者に共通する視点
共感:他人の視点を理解し、その人が感じていることを感じる能力
フット・イン・ザ・ドアのテクニック:相手が小さな好意を与えたり、小さな商品を購入したりすることに同意させ、後になってより大きな好意の提供や大きな商品の購入を要求するようにして、ある人が別の人を説得すること
根本的な帰属の誤り:行動の帰属として内的要因を過度に強調し、状況の力を過小評価する傾向
集団極性化:集団内で意見を議論した後に、元々の集団の態度が強まること
集団思考:集団のメンバーが、集団の総意と信じているものに合わせるように意見を修正すること
同類性:友人関係、結婚、ビジネス関係、そして他のさまざまな種類の人間関係を含む社会的ネットワークを、似た者同士で形成する傾向
同性愛嫌悪:性的指向のみに基づく個人への先入観と差別
敵対的攻撃性:苦痛を与える意図を持った怒りの感情によって動機付けられた攻撃性
内集団:私たちが同一視している、あるいは自分が属していると考えている集団
内集団バイアス:他の集団よりも自分の集団を好むこと
個人主義的な文化:個人の達成や自律性を重視する文化
情報的な社会的影響:集団が有能で正しい情報を持っていると信じることによって促される集団規範への同調
道具的攻撃性:目的を達成することによって動機付けられた攻撃性であり、必ずしも苦痛を与える意図は関係しない
内的要因:人格特性や気質などの、人の内的属性
公正世界仮説:人々は自分にふさわしい結果を得るという、米国で一般的なイデオロギー
努力の正当化:人は、より多くの努力を注いだときに、目標や成果をより高く評価するという理論
規範的な社会的影響:集団に溶け込むため、気分を良くするため、そして集団に受け入れられるために集団規範に同調すること
服従:権威的な人物を喜ばせるため、または嫌な結果を避けるために行動を変えること
外集団:自分が所属していない集団、つまり自分とは根本的に異なると見なしている集団
周辺ルートの説得:ある人が別の人を説得すること。メッセージに肯定的な印象を関連付けるために、周辺の手がかり(肯定的な感情や有名人の推薦など)の関連付けに頼る間接的なルート
説得:何らかの形態のコミュニケーションに基づいて、何かに対する態度を変えるプロセス
先入観:特定の集団に属していることだけに基づいて、個人に対して否定的な態度や感情を抱くこと
向社会的行動:他人を助けようとする意図を持った自発的な行動
人種差別:人種のみに基づく個人への先入観と差別
互恵性:人間関係におけるギブ・アンド・テイク
ロマンチックな愛:親密性と情熱からなるが、コミットメントはない愛のタイプ
責任転嫁:内集団がフラストレーションを経験したり、目標の達成を阻まれたりしたときに、外集団を非難する行為
スクリプト:特定の状況における一連の出来事についての人の知識
自己開示:人間関係において個人的な情報を共有すること
自己成就的予言:固定観念を持った集団のメンバーを、私たちの偏った期待に沿って扱い、その扱いがその人に影響を与えて私たちの固定観念的な期待に沿った行動をさせることで、私たちの固定観念的な信念を強めること
自己奉仕バイアス:個人が、肯定的な結果に対しては気質的または内的な帰属を、否定的な結果に対しては状況的または外的な帰属をする傾向
性差別:性別に基づく個人への先入観と差別
状況主義:行動や行為は身近な環境や周囲の状況によって決定されるという視点。社会心理学者によって提唱されている見解
社会的交換理論:人は素朴な経済学者のように、人間関係を形成・維持するための費用と便益の比率を集計し、便益を最大化し、費用を最小化することを目的としている
社会的手抜き:個人の成果を集団から切り離して評価することができないため、集団内で働く人の努力が少なくなり、簡単な課題での成果が低下すること
社会規範:集団の構成員にとって何が適切で受け入れられる思考と行動なのかについての集団の期待
社会心理学:人々がお互いにどのような影響を与えているかを、特に状況の力に焦点を当てて調べる心理学の分野
社会的役割:社会的に定義された、ある環境や集団の中である人に期待される行動のパターン
スタンフォード監獄実験:スタンフォード大学が模擬監獄を使って行った実験で、社会的役割、社会規範、およびスクリプトの力を実証した
固定観念:個人の特徴にかかわらず、ある集団に属していることだけに基づく、個人についての特定の信念や仮定
愛の三角理論:親密性、情熱、およびコミットメントという3つの要素に基づいた愛のモデルで、これらの要素の有無によっていくつかのタイプの愛が存在する
この章のまとめ
12.1 社会心理学とは何でしょうか?
社会心理学とは、個人の思考、感情、および行動に影響を与える状況の力を研究する心理学の下位分野です。心理学者は、人間の行動の原因を、人格などの内的要因によるものと、文化やその他の社会的影響などの外的要因によるものに分類しています。しかしながら、行動は、両方のアプローチを用いることによってよりよく説明されます。一般の人は、行動についての気質的な説明に過剰に頼りすぎて、状況的な影響の力を無視する傾向があります。この視点は、根本的な帰属の誤りと呼ばれます。個人主義的な文化の人は、集団主義的な文化の人に比べて、このようなバイアスを示す傾向があります。自分や他人の行動に対する説明が偏ってしまうのは、他人の行動の動機について十分な情報を持っていないことや、自尊心を高めるような説明をしてしまうことが原因です。
12.2 自己提示
人間の行動は、社会的役割、規範、およびスクリプトに大きく影響されます。ある状況下でどのように行動すべきかを知るために、私たちは社会における役割に応じてどのように振る舞うべきかという文化的知識を共有しています。社会規範は、それぞれの役割に適した行動や不適切な行動を指示します。それぞれの社会的役割にはスクリプトがあり、それによって人間は与えられた環境での一連の適切な行動を学ぶことができます。有名なスタンフォード監獄実験は、状況の力が、所与の状況で私たちの従う社会的役割、規範、およびスクリプトをどのように決定することができるか(たとえその行動が私たちの典型的な行動に反していたとしても)、ということを示す例です。
12.3 態度と説得
態度とは、ある人、ある考え方、またはある物に対する私たちの評価や感情のことであり、典型的には肯定的または否定的なものです。私たちの態度や信念は、外部の力による影響だけでなく、自分でコントロールできる内部の影響によっても左右されます。態度の変化の内的な形態としては、認知的不協和、つまり自分の思考、感情、および行動が相反するときに経験する緊張感があります。不協和を減らすために、個人は自分の行動、態度、または認知を変えたり、あるいは新しい認知を加えたりすることができます。外部の説得の力には広告が含まれます。私たちの行動に影響を与える広告の特徴には、発信源、メッセージ、および聴衆が含まれます。説得には2つの主要ルートがあります。説得の中心ルートは、事実や情報を使って潜在的な消費者を説得するものです。周辺ルートでは、美しさ、名声、および肯定的な感情などの手がかりとの肯定的な結びつきを用います。
12.4 同調、遵守、および服従
不正確な情報に直面したとしても、状況の力によって人は同調する、つまり集団に従うようになります。集団規範への同調は、溶け込みたい、好かれたいという欲求と、正確でありたい、集団から情報を得たいという欲求との2つの動機付けによって行われます。権威的な人物も私たちの行動に影響を与え、多くの人々は従順になり、個人的な価値観に反する命令であっても命令に従います。また、集団の圧力に同調すると、集団思考、つまり集団の調和を維持しようとする結束力のある集団のメンバーから生じる誤った意思決定プロセスが生じることがあります。集団の状況は、簡単な課題では成果を促進することで人間の行動を改善することができますが、難しい課題では成果を抑制することがあります。また、個人の努力を評価することができない場合には、他者の存在が社会的な手抜きにつながることもあります。
12.5 先入観と差別
人は多様であるため、自分とは異なる人と交流するときに葛藤を経験することがあります。先入観、つまり否定的な感情や評価は、人々が異なる社会集団(すなわち外集団)から来ている場合によく見られます。外集団に対する否定的な態度は、差別につながります。他者への先入観や差別は、ジェンダー、人種、民族、社会階級、性的指向、その他さまざまな社会的アイデンティティーに基づいています。脅威を感じている内集団は、自分の窮状を外集団のせいにして、外集団に不満を責任転嫁することがあります。
12.6 攻撃性
攻撃性とは、他人に危害や苦痛を与えようとすることです。敵対的攻撃性は、苦痛を与える意図を持った怒りの感情によって動機付けられています。道具的攻撃性は、目標を達成することによって動機付けられており、必ずしも苦痛を与える意図は関わりません。いじめは、国際的な公衆衛生上の懸念事項であり、主に青年期の人々に影響を与えます。いじめとは、被害者に危害を加えることを目的とした行動を繰り返すことであり、身体的、心理的、感情的、および社会的な虐待の形をとることがあります。いじめは、自殺を含むメンタルヘルス上の悪影響を青少年に与えます。ネットいじめは、いじめる側が匿名でいられて、被害者は嫌がらせに対処できずに無力であるようなオンライン環境で行われる新しい形態のいじめです。困っている人を助けるのが社会規範であるにもかかわらず、緊急事態を目撃した傍観者が多い場合、責任の分散によって誰か1人が助ける可能性は低くなるでしょう。
12.7 向社会的行動
利他主義とは、他者を助ける純粋な形態であり、共感によるものです。これは、他者を助ける利己的な動機付けとは対照的です。他者と関係を築くことは、社会的存在にとって必要なことです。私たちは、典型的には自分に近い距離にいる人や、共通点のある人と関係性を築きます。私たちは人間関係において、互恵性と自己開示を期待します。また、魅力の基準は文化やジェンダーによって異なりますが、私たちは身体的に魅力的な人と関係を築きたいと望みます。愛には、親密性、情熱、およびコミットメントのさまざまな組み合わせによって決まる多くのタイプがあります。理想的な愛の形である完全な愛は、この3つの要素をすべて含んでいます。満足度や関係を維持するかどうかを判断する際、個人はしばしば社会的交換のアプローチを用いて、関係を築くことや維持することの費用と便益を比較検討します。
レビュー問題
1.分野としての社会心理学は、人間の行動を予測する際の________に焦点を当てています。
a.人格特性
b.遺伝的素因
c.生物学的な力
d.状況的要因
2.自分の成功に対して内的な帰属をし、自分の失敗に対して外的な帰属をすることは、________の例です。
a.行為者-観察者バイアス
b.根本的な帰属の誤り
c.自己奉仕バイアス
d.公正世界仮説
3.集団主義的な文化は、(1)________であり、個人主義的な文化は、(2)________です。
a.(1)気質的なもの、(2)状況的なもの
b.(1)状況的なもの、(2)気質的なもの
c.(1)自律性、(2)集団の調和
d.(1)公正世界仮説、(2)自己奉仕バイアス
4.行為者-観察者バイアスによると、私たちは________について、より多くの情報を持っています。
a.行動に対する状況的な影響
b.自分の行動への影響
c.他人の行動への影響
d.行動に対する気質的な影響
5.________とは、集団のメンバーの適切な思考と行動についての集団の期待の集合体です。
a.社会的役割
b.社会規範
c.スクリプト
d.帰属
6.サッカーの練習の初日に、ホセはTシャツ、ショートパンツ、サッカーシューズに着替え、チームメイトに加わるためにフィールドに駆け出します。ホセの行動は、________を反映しています。
a.スクリプト
b.社会的影響
c.優れた運動能力のある行動
d.規範的な行動
7.服を買うとき、十代の若者はしばしば社会規範に従います。これは、________によって動機付けられたものでしょう。
a.親のルールに従うこと
b.お金を節約すること
c.周りに溶け込むこと
d.格好良くなること
8.スタンフォード監獄実験では、主任研究者でさえ、刑務所の管理者としての役割に屈しました。これは、________が行動に影響を与える力の一例です。
a.スクリプト
b.社会規範
c.同調
d.社会的役割
9.態度は、人々、物、考え方に対する私たちの________を表します。
a.扱い
b.評価
c.認知
d.知識
10.認知的不協和は、私たちの________の感覚を乱すため、不快感を引き起こします。
a.依存
b.予測不可能性
c.一貫性
d.力
11.説得の中心ルートが効果的であるためには、聴衆は(1)________、(2)________なければなりません。
a.(1)分析的であり、(2)動機付けられて
b.(1)注意深く、(2)幸せで
c.(1)知的であり、(2)非感情的で
d.(1)騙されやすく、(2)注意散漫で
12.周辺ルートの説得で使われる手がかりの例としては、________を除く以下のすべてが含まれます。
a.有名人の推薦
b.肯定的な感情
c.魅力的なモデル
d.事実に基づいた情報
13.アッシュの実験では、参加者は________な社会的影響によって同調しました。
a.情報的
b.規範的
c.刺激的
d.説得的
14.情報的な社会的影響はどのような状況下で起こりやすいでしょうか?
a.個人が仲間に溶け込みたいと望んでいるとき
b.答えがはっきりしないとき
c.集団が専門知識を持っているとき
d.bとcの両方
15.社会的手抜きは、________に起こります。
a.個人の成果を評価できないとき
b.課題が簡単なとき
c.aとbの両方
d.上記のいずれでもない
16.もし集団のメンバーが、集団の総意と認識されているものに合わせて自分の意見を修正するならば、________が起こります。
a.集団の結束
b.社会的促進
c.集団思考
d.社会的手抜き
17.先入観は(1)________についてのものであり、差別は(2)________についてのものです。
a.(1)感情、(2)行動
b.(1)思考、(2)感情
c.(1)感情、(2)思考
d.(1)行動、(2)感情
18.以下のうち、先入観の一種ではないものはどれですか?
a.同性愛嫌悪
b.人種差別
c.性差別
d.個人主義
19.________は、外集団が内集団の不満について非難されるときに起こります。
a.固定観念化
b.内集団バイアス
c.責任転嫁
d.年齢差別
20.自分の固定観念を支持する情報を探し出すとき、私たちは________を行っています。
a.責任転嫁
b.確証バイアス
c.自己成就的予言
d.内集団バイアス
21.典型的には、男子からのいじめは(1)________についてのものであり、女子からのいじめは(2)________についてのものです。
a.(1)感情的な危害、(2)身体的な危害
b.(1)身体的な危害、(2)感情的な危害
c.(1)心理的な危害、(2)身体的な危害
d.(1)社会的排除、(2)言葉による嘲笑
22.以下の青年期の子供のうち、最もいじめの対象になりにくいのは誰ですか?
a.身体に障害のある子供
b.トランスジェンダーの青年期の子供
c.感情的に敏感な少年
d.フットボールチームのキャプテン
23.傍観者効果は、________のために起こる可能性が高いです。
a.暴力に対する鈍感さ
b.人々が緊急事態に気づかないこと
c.責任の分散
d.感情の無感覚
24.利他主義は、________によって動機付けられる向社会的行動の一形態です。
a.自分のことを良く思うこと
b.私心なく他者を助けること
c.報酬を得ること
d.傍観者に勇気を示すこと
25.研究では、新しいアパートに引っ越した後、サムは________と友達になる可能性が最も高いことが示唆されています。
a.隣の部屋の人
b.アパートの3階上に住んでいる人
c.通りの向こう側に住んでいる人
d.新しい郵便配達員
26.男女ともに恋愛相手に求める傾向がある特徴は何ですか?
a.ユーモアのセンス
b.社会的技能
c.リーダーシップの潜在能力
d.肉体的な魅力
27.愛の三角理論によると、情熱と親密性はあるがコミットメントがないことによって定義される愛のタイプは何ですか?
a.完全な愛
b.空虚な愛
c.ロマンチックな愛
d.好意
28.社会的交換理論によると、人間は人間関係において(1)________を最大化し、(2)________を最小化したいと望みます。
a.(1)親密性、(2)コミットメント
b.(1)便益、(2)費用
c.(1)費用、(2)便益
d.(1)情熱、(2)親密性
批判的思考の問題
29.状況的な影響と気質的な影響を比較対照し、それぞれの例を挙げてください。状況的な影響と気質的な影響が、不適切な行動をどのように説明するかについて説明してください。
30.個人主義的な文化の人々と集団主義的な文化の人々が、重要なスポーツイベントで優勝した理由を説明する際に、どのような違いがあるか例を挙げてください。
31.スタンフォード監獄実験では、なぜ「良い」看守は他の看守の虐待行為に反対しなかったのでしょうか?学生の囚人は単に弱い人間だったのでしょうか?なぜ彼らは虐待されることに反対しなかったのでしょうか?
32.スタンフォード監獄実験では、社会的役割、社会規範、およびスクリプトがどのように現れたかを記述してください。この実験は、日常生活にどのように応用できますか?人々が役割を果たし始め、虐待をするようになった最近の例はありますか?
33.認知的不協和の一例(授業や教科書で使われていないもの)を挙げ、個人がそれをどのように解決するかを述べてください。
34.あなたが広告代理店に勤めていて、「至福のソーダ」の売り上げを伸ばすための広告キャンペーンの開発を任されていると想像してください。あなたなら、説得の中心ルートを使って、この製品の広告をどのように展開しますか?説得の周辺ルートを使った広告をどのように展開しますか?
35.外部に意見を求めることで、集団思考を防げることを説明してください。
36.社会的手抜きと社会的促進を比較対照してください。
37.一部の人々は、人種やジェンダーに関する先入観よりも、性的指向に関する先入観を公然と示したがるようです。その理由を推測してください。
38.人が責任転嫁する相手を非難するとき、その非難を裏付ける証拠をどのように選んでいると思いますか?
39.敵対的攻撃性と道具的攻撃性を比較対照してください。
40.以前の節で取り上げた、ネットいじめの発見と防止が難しいことを示す証拠は何ですか?
41.人間関係が形成されるかどうかに影響するものについて記述してください。
42.進化論では、人間は自分の遺伝子を永続させ、生殖するように動機付けられていると主張しています。進化論の観点を用いて、人間が魅力を感じる男性と女性の特徴を記述してください。
個人的に当てはめてみる問題
43.あなたの行動が状況の力に影響された経験の個人的な例を挙げてください。
44.選手やコーチなどのスポーツ関連の人物が、メディアの中で勝敗について自己奉仕的な帰属を述べている例を考えてください。例としては、負けた場合には審判の不正確な判定を非難し、勝った場合には自分の多大な努力や才能を引き合いに出すことなどが挙げられるでしょう。
45.自分の宗教とは全く異なる宗教行事に参加してみて、適切なスクリプトを知らないと自分がどのように感じ、どのように行動するかを見てみましょう。あるいは、バル・ミツバー(ユダヤ文化における成人の儀式)、キンセアニェーラ(ラテンアメリカ文化の一部では、15歳になる女の子にパーティーが開かれます)、結婚式、葬式、または競馬や雄牛乗りなどの新しいスポーツイベントのような、今まで参加したことのない、個人的な重要イベントに参加してみてください。適切なスクリプトがない不慣れな環境の中で、自分の感情や行動を観察し、記録してみてください。あなたは黙って行動を観察しますか、それとも他の人にその場の人々の行動を解釈してもらうよう尋ねますか?将来、同じようなイベントに参加するとしたら、あなたの行動はどのように変化するかを記述してください。
46.あなたが引き受けている社会的役割を3つ以上挙げて、記述してください。なぜそのような役割を引き受けたのですか?あなたに期待されているものの、それに抵抗しようとしている役割にはどのようなものがありますか?
47.認知的不協和は、しばしば重要な決定をした後に生じます。それは、決定後の不協和(俗にいう買い手の後悔)と呼ばれます。不協和の原因となった最近のあなたの決定について記述し、あなたがそれをどのように解決したかを述べてください。
48.あなたやあなたの知っている人が、誰かの承諾を得るためにフット・イン・ザ・ドアのテクニックを使ったときのことを記述してください。
49.次にエレベーターに乗るとき、同調の研究を行ってください。エレベーターに乗ったら、ドアに背を向けて立ちます。他の人があなたの行動に同調するかどうか見てみましょう。この現象を隠しカメラで撮影したビデオ(https://www.youtube.com/watch?v=dDAbdMv14Is)を見てください。あなたの結果は予想通りでしたか?
50.ほとんどの学生は、ミルグラムの実験で電圧を上げることはないだろうと断言しています。あなたは、自分ならば学習者にショックを与えることを拒否したと思いますか?自分の過去の行動を見て、電圧を上げるように命令されたら従うだろうということを示唆する証拠はありますか?
51.誰かがあなたに対して先入観を持っていると感じたときの例を挙げてください。その態度の原因は何だと思いますか?その人は何か差別的な行動をしていましたか?もししていたとしたら、どのようにしてですか?
52.あなたが誰かに対して先入観を持っていると感じたときの例を挙げてください。あなたはその人をどのように差別しましたか?あなたはなぜそのようなことをしたのだと思いますか?
53.いじめやネットいじめを経験したり、目撃したことがありますか?それはあなたをどのように感じさせましたか?あなたはそれに対して何をしましたか?この節を読んだ後、あなたは何かを異なった形で行うでしょうか?
54.次回、助けを必要としている人を見かけたら、周囲をよく観察してください。傍観者効果が働いているかどうかを確認し、その人が助けを得られるように対策を取ってください。もしあなたが助けることができない場合は、助けられる大人や権威的な人物に知らせてください。
55.あなたの最近の友人関係や恋愛関係について考えてみてください。それらの関係の発展には、どのような要因が影響していると思いますか?また、友人や恋愛相手になったきっかけは何でしたか?
56.友人関係や恋愛関係において、自分がどれだけ満足しているかを判断するために、社会的交換理論のアプローチを使ったことはありますか?人間関係において、費用が便益を上回ったことはありますか?ある場合は、あなたはその不均衡にどのように対処しましたか?
参考文献
Adams, H. E., Wright, L. W., Jr., & Lohr, B.A. (1996). Is homophobia associated with homosexual arousal? Journal of Abnormal Psychology, 105, 440–445.
Albarracín, D., & Wyer, R. S. (2001). Elaborative and nonelaborative processing of a behavior-related communication. Personality and Social Psychology Bulletin, 27, 691–705.
Alexander, M. (2001, August 22). Thirty years later, Stanford prison experiment lives on. Stanford Report. http://news.stanford.edu/news/2001/august22/prison2-822.html.
Allport, G. W. (1954). The Nature of Human Prejudice. Addison-Wesley.
American Psychological Association. (n.d.) Social psychology studies human interactions. https://www.apa.org/action/science/social/
American Psychological Association. (2010). Bullying: What parents, teachers can do to stop it. http://www.apa.org/news/press/releases/2010/04/bullying.aspx.
Aronson, E., & Mills, J. (1959). The effect of severity of initiation on liking for a group, Journal of Abnormal and Social Psychology, 59, 177–181.
Asch, S. E. (1955). Opinions and social pressure. Scientific American, 193, 31–35.
Bandura, A. (1999). Moral disengagement in the perpetration of inhumanities. Personality and Social Psychology Review, 3(3), 193–209. doi:10.1207/s15327957pspr0303_3.
Bartels, J. (2019). Revisiting the Stanford prison experiment, again: Examining demand characteristics in the guard orientation. The Journal of Social Psychology, 159(6), 780–790.
Bartels, J. M., Milovich, M. M., & Moussier, S. (2016). Coverage of the Stanford prison experiment in introductory psychology courses: A survey of introductory psychology instructors. Teaching of Psychology, 43(2), 136–141.
Batson, C. D. (1991). The altruism question: Toward a social-psychological answer. Erlbaum.
Berkowitz, A. D. (2004). The social norms approach: Theory, research and annotated bibliography. http://www.alanberkowitz.com/articles/social_norms.pdf.
Berkowitz, L. (1993). Aggression: Its causes, consequences, and control. McGraw-Hill.
Betz, N. E. (2008). Women’s career development. In F. Denmark & M. Paludi (Eds.), Psychology of women: Handbook of issues and theories (2nd ed., pp. 717–752). Praeger.
Blau, F. D., Ferber, M. A., & Winkler, A. E. (2010). The economics of women, men, and work (6th ed.). Prentice Hall.
Bond, C. F., & Titus, L. J. (1983). Social facilitation: A meta-analysis of 241 studies. Psychological Bulletin, 94, 265–292.
Bond, R., & Smith, P. B. (1996). Culture and conformity: A meta-analysis of studies using Asch’s (1952b, 1956) line judgment task. Psychological Bulletin, 119(1), 111–137.
Bowen, L. (2011). Bullying may contribute to lower test scores. Monitor on Psychology, 42(9), 19.
Brown, R. (2010). Prejudice: Its social psychology (2nd ed.). Wiley-Blackwell.
Burger, J. (2009). Replicating Milgram: Would people still obey today? American Psychologist, 64, 1–11. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19209958
Buss, D. M. (2004). Evolutionary psychology: The new science of the mind (2nd ed.). Allyn and Bacon.
Buss, D. M. (1989). Sex differences in human mate preferences: Evolutionary hypotheses tested in 37 cultures. Behavioral and Brain Sciences, 12, 1–49.
Carnahan, T., & McFarland, S. (2007). Revisiting the Stanford Prison Experiment: Could participant self-selection have led to the cruelty? Personality and Social Psychology Bulletin, 33(5), 603–614.
Ceci, S. J., & Williams, W. M. (2011). Understanding current causes of women’s underrepresentation in science. Proceedings of the National Academy of Sciences, 108, 3157–3162.
Chang, E., Kannoth, S., Levy, S., Wang, S., Lee, J., & Levy, B. (2020). Global reach of ageism on older persons’ health: A systematic review. PLoS ONE, 15, 1–24.
Choi, I., & Nisbett R. E. (1998). Situational salience and cultural differences in the correspondence bias and actor-observer bias. Personality and Social Psychology Bulletin, 24(9), 949–960. doi:10.1177/0146167298249003.
Cialdini, R. B. (2001). Harnessing the science of persuasion. Harvard Business Review, 79, 72–81.
Cialdini, R. B., Brown, S. L., Lewis, B. P., Luce, C., & Neuberg, S. L. (1997). Reinterpreting the empathy-altruism relationship: When one into one equals oneness. Journal of Personality and Social Psychology, 73, 481–494.
Colin Powell regrets Iraq war intelligence. (2011). http://www.aljazeera.com/news/americas/2011/09/20119116916873488.html.
Cozby, P. C. (1973). Self-disclosure: A literature review. Psychological Bulletin, 79, 73–91.
Crisp, R. J., & Turner, R. N. (2009). Can imagined interactions produce positive perceptions? Reducing prejudice through simulated social contact. American Psychologist, 64, 231–240.
Crowley, A. E., & Hoyer, W. D. (1994). An integrative framework for understanding two-sided persuasion. Journal of Consumer Research, 20(4), 561–574.
Croyle, R. T., & Cooper, J. (1983). Dissonance arousal: Physiological evidence. Journal of Personality and Social Psychology, 45, 782–791.
Cuddy, A. J., Norton, M. I., & Fiske, S. T. (2005). This old stereotype: The pervasiveness and persistence of the elderly stereotype. Journal of Social Issues, 61, 267–285.
Deutsch, M., & Gerard, H. (1955). A study of normative and informational social influences upon individual judgment. Journal of Abnormal and Social Psychology, 51, 629–636.
Devine, P. G. (1989). Stereotypes and prejudice: Their automatic and controlled components. Journal of Personality and Social Psychology, 56, 5–18.
Devine, P. G., & Elliot, A. J. (1995). Are racial stereotypes really fading? The Princeton trilogy revisited. Personality and Social Psychology Bulletin, 21, 1139–1150.
Dixon, T. L., & Linz D. (2000). Overrepresentation and underrepresentation of African Americans and Latinos as lawbreakers on television news. Journal of Communication, 50(2), 131–154.
Dodge, K. A., & Schwartz, D. (1997). Social information processing mechanisms in aggressive behavior. In D. M. Stoff and J. Breiling (Eds.), Handbook of Antisocial Behavior (pp. 171–180). John Wiley and Sons.
Doliński, D., Grzyb, T., Folwarczny, M., Grzybała, P., Krzyszycha, K., Martynowska, K., & Trojanowski, J. (2017). Would you deliver an electric shock in 2015? Obedience in the experimental paradigm developed by Stanley Milgram in the 50 years following the original studies. Social Psychological and Personality Science, 8(8), 927–933.
Dollard, J., Miller, N. E., Doob, L. W., Mowrer, O. H., & Sears, R. R. (1939). Frustration and aggression. Yale University Press.
Dovidio, J. F., & Gaertner, S. L. (2004). On the nature of contemporary prejudice. In P. S. Rothenberg, (Ed.), Race, class, and gender in the United States: An integrated study (6th ed., pp. 132–142). Worth.
Dovidio, J. F., Gluszek, A., John, M. S., Ditlmann, R., & Lagunes, P. (2010). Understanding bias toward Latinos: Discrimination, dimensions of difference, and experience of exclusion. Journal of Social Issues, 66, 59–78.
Eagly, A. H., & Chaiken, S. (1975). An attribution analysis of the effect of communicator characteristics on opinion change: The case of communicator attractiveness. Journal of Personality and Social Psychology, 32, 136–144.
Eagly, A. H., & Chaiken, S. (1993). The psychology of attitudes. Harcourt Brace Jovanovich College.
East Haven mayor suggests “he might have tacos” to repair relations with Latinos. (2012). https://www.youtube.com/watch?v=PCUwtfqF4wU.
Ehrlinger, J., Gilovich, T., & Ross, L. (2005). Peering into the bias blind spot: People’s assessments of bias in themselves and others. Personality and Social Psychology Bulletin, 31, 680–692.
Festinger, L. (1957). A theory of cognitive dissonance. Stanford University Press.
Festinger, L., & Maccoby, N. (1964). On resistance to persuasive communications. The Journal of Abnormal and Social Psychology, 68, 359–366.
Festinger, L., Schachler, S., & Back, K. W. (1950). Social pressures in informal groups: A study of human factors in housing. Harper.
Fink, B., Neave, N., Manning, J. T., & Grammer, K. (2006). Facial symmetry and judgments of attractiveness, health and personality. Personality and Individual Differences, 41, 491–499.
Fiske, S. T., Cuddy, A. J., Glick, P., & Xu, J. (2002). A model of (often mixed) stereotype content: Competence and warmth respectively follow from perceived status and competition. Journal of Personality and Social Psychology, 82(6), 878–902.
Fiske, S. T., Gilbert, D. T., & Lindzey, G. (2010). Handbook of social psychology (5th ed.). Wiley.
Freedman, J. L., & Fraser, S. C. (1966). Compliance without pressure: The foot-in-the-door technique. Journal of Personality and Social Psychology, 4, 195–202.
Gaertner, S., Dovidio, J., Banker, B., Houlette, M., Johnson, K., & McGlynn, E. (2000). Reducing intergroup conflict: From superordinate goals to decategorization, recategorization, and mutual differentiation. Group Dynamics: Theory, Research, and Practice, 4, 98–114. https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2F1089-2699.4.1.98
Geen, R. G. (1989). Alternative conceptions of social facilitation. In P. B. Paulus (Ed.), Psychology of group influence (2nd ed., pp. 15–51). Lawrence Erlbaum.
Granström, K., Guvå, G., Hylander, I., & Rosander, M. (2009). Riots and disturbances: How riots start and how order is secured. Linköping University Electronic Press.
Greenberg, J., Schimel, J., & Martens, A. (2002). Ageism: Denying the face of the future. In T. D. Nelson (Ed.), Ageism: Stereotyping and prejudice against older persons (pp. 27–48). MIT Press.
Greenwald, A. G., McGhee, D. E., & Schwartz, J. L. (1998). Measuring individual differences in implicit cognition: The implicit association test. Journal of Personality and Social Psychology, 74, 1464–1480.
Greenwald, A. G., & Ronis, D. L. (1978). Twenty years of cognitive dissonance: Case study of the evolution of a theory. Psychological Review, 85, 53–57.
Griggs, R. A. (2014). Coverage of the Stanford Prison Experiment in introductory psychology textbooks. Teaching of Psychology, 41(3), 195–203.
Grove, J. R., Hanrahan, S. J., & McInman, A. (1991). Success/failure bias in attributions across involvement categories in sport. Personality and Social Psychology Bulletin, 17(1), 93–97.
Gupta, P. B., & Lord, K. R. (1998). Product placement in movies: The effect of prominence and mode on recall. Journal of Current Issues and Research in Advertising, 20, 47–59.
Harding, L. (2018). Students of a feather “flocked” together: A group assignment method for reducing free-riding and improving group and individual learning outcomes. Journal of Marketing Education, 40, 117–127. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0273475317708588
Hare, A. P. (2003). Roles, relationships, and groups in organizations: Some conclusions and recommendations. Small Group Research, 34, 123–154.
Harvard University, Department of Psychology. (2019). Mary Whiton Calkins. https://psychology.fas.harvard.edu/people/mary-whiton-calkins
Haugtvedt, C. P., & Wegener, D. T. (1994). Message order effects in persuasion: An attitude strength perspective. Journal of Consumer Research, 21, 205–218.
Hebl, M. R., Foster, J. B., Mannix, L. M., & Dovidio, J. F. (2002). Formal and interpersonal discrimination: A field study of bias toward homosexual applicants. Personality and Social Psychology Bulletin, 28(6), 815–825.
Heckert, T. M., Latier, A., Ringwald-Burton, A., & Drazen, C. (2006). Relations among student effort, perceived class difficulty appropriateness, and student evaluations of teaching: Is it possible to “buy” better evaluations through lenient grading? College Student Journal, 40(3), 588.
Herek, G. M., & McLemore, K. A. (2013). Sexual prejudice. Annual Review of Psychology, 64, 309–33. doi:10.1146/annurev-psych-113011-143826.
Heider, F. (1958). The psychology of interpersonal relations. Wiley.
Hinduja, S., & Patchin, J. W. (2010). Bullying, cyberbullying, and suicide. Archives of Suicide Research, 14(3), 206–221.
Hinduja, S. & Patchin, J. W. (2011). Cyberbullying research summary: Bullying, cyberbullying, and sexual orientation. Cyberbullying Research Center. http://www.cyberbullying.us/cyberbullying_sexual_orientation_fact_sheet.pdf.
Hodge, S. R., Burden, J. W., Jr., Robinson, L. E., & Bennett, R. A., III. (2008). Theorizing on the stereotyping of black male student-athletes. Journal for the Study of Sports and Athletes in Education, 2, 203–226.
Hoff, D. L., & Mitchell, S. N. (2009). Cyberbullying: Causes, effects, and remedies. Journal of Education, 47, 652–665.
Hovland, C. I., Janis, I. L. and Kelley, H. H. (1953). Communications and persuasion: Psychological studies in opinion change. Yale University Press.
Hovland, C.I., Weiss, W. (1951, Winter). The influence of source credibility on communication effectiveness. Public Opinion Quarterly, 15(4), 635–650.
Igou, E. R., & Bless, H. (2003). Inferring the importance of arguments: Order effects and conversational rules. Journal of Experimental Social Psychology, 39, 91–99.
Ito, T. A., & Urland, G. R., (2003). Race and gender on the brain: Electrocortical measures of attention to race and gender of multiply categorizable individuals. Journal of Personality & Social Psychology, 85, 616–626.
Iyengar, S., & Westwood, S. J. (2015). Fear and loathing across party lines: New evidence on group polarization. American Journal of Political Science, 59(3), 690–707.
Jackson, J. M., & Williams, K. D. (1985). Social loafing on difficult tasks: Working collectively can improve performance. Journal of Personality and Social Psychology, 49, 937–942.
Janis, I. L. (1972). Victims of groupthink. Houghton Mifflin.
Jones, E. E., & Nisbett, R. E. (1971). The actor and the observer: Divergent perceptions of the causes of behavior. General Learning Press.
Jost, J. T., Banaji, M. R., & Nosek, B. A. (2004). A decade of system justification theory: Accumulated evidence of conscious and unconscious bolstering of the status quo. Political Psychology, 25, 881–919.
Jost, J. T., & Major, B. (Eds.). (2001). The psychology of legitimacy: Emerging perspectives on ideology, justice, and intergroup relations. Cambridge University Press.
Karau, S. J., & Williams, K. D. (1993). Social loafing: A meta-analytic review and theoretical integration. Journal of Personality and Social Psychology, 65, 681–706.
Kassin, S. (2017). The killing of Kitty Genovese: What else does this case tell us? Perspectives on Psychological Science, 12, 374–381. https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1745691616679465
Krosnick, J. A., & Alwin, D. F. (1989). Aging and susceptibility to attitude change. Journal of Personality and Social Psychology, 57, 416–425.
Kumkale, G. T., & Albarracín, D. (2004). The sleeper effect in persuasion: A meta-analytic review. Psychological Bulletin, 130(1), 143–172. doi:10.1037/0033-2909.130.1.143.
Larsen, K. S. (1990). The Asch conformity experiment: Replication and transhistorical comparisons. Journal of Social Behavior & Personality, 5(4), 163–168.
Latané, B., & Darley, J. M. (1968). Group inhibition of bystander intervention in emergencies. Journal of Personality and Social Psychology, 10, 215–221.
Latané, B., Williams, K. and Harkins, S. G. (1979). Many hands make light the work: The causes and consequences of social loafing. Journal of Personality and Social Psychology, 37, 822–832.
Laurenceau, J.-P., Barrett, L. F., & Pietromonaco, P. R. (1998). Intimacy as an interpersonal process: The importance of self-disclosure, partner disclosure, and perceived partner responsiveness in interpersonal exchanges. Journal of Personality and Social Psychology, 74(5), 1238–1251. doi:10.1037/0022-3514.74.5.1238.
Le Texier, T. (2019). Debunking the Stanford Prison Experiment. American Psychologist. 74(7), 823–839.
Lerner, M. J., & Miller, D. T. (1978). Just world research and the attribution process: Looking back and ahead. Psychological Bulletin, 85, 1030–1051.
Lumsdaine, A. A., & Janis, I. L. (1953). Resistance to “counterpropaganda” produced by one-sided and two-sided “propaganda” presentations. Public Opinion Quarterly, 17, 311–318.
Malle, B. F. (2006). The actor–observer asymmetry in attribution: A (surprising) meta-analysis. Psychological Bulletin, 132(6), 895–919. doi:10.1037/0033-2909.132.6.895.
Malloy, T. E., Albright, L., Kenny, D. A., Agatstein, F., & Winquist, L. (1997). Interpersonal perception and metaperception in non-overlapping social groups. Journal of Personality and Social Psychology, 72, 390–398.
Markus, H. R., & Kitayama, S. (1991). Culture and the self: Implications for cognition, emotion, and motivation. Psychological Review, 98, 224–253.
Martin, C. H., & Bull, P. (2008). Obedience and conformity in clinical practice. British Journal of Midwifery, 16(8), 504–509.
Masuda, T., & Nisbett, R. E. (2001). Attending holistically versus analytically: Comparing the context sensitivity of Japanese and Americans. Journal of Personality and Social Psychology, 81(5), 922–934. https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2F0022-3514.81.5.922
McPherson, M., Smith-Lovin, L., & Cook, J. M. (2001). Birds of a feather: Homophily in social networks. Annual Review of Sociology, 27, pp. 415–444. doi:10.1146/annurev.soc.27.1.415.
Milgram, S. (1963). Behavioral study of obedience. Journal of Abnormal and Social Psychology, 67, 371–378.
Milgram, S. (1965). Some conditions of obedience and disobedience to authority. Human Relations, 18, 57–76.
Miller, D. T., & Ross, M. (1975). Self-serving biases in the attribution of causality: Fact or fiction? Psychological Bulletin, 82, 213–225.
Miller, N., & Campbell, D. T. (1959). Recency and primacy in persuasion as a function of the timing of speeches and measurements. The Journal of Abnormal and Social Psychology, 59, 1–9.
Mischel, W. (1977). The interaction of person and situation. Personality at the crossroads: Current issues in interactional psychology, 333, 352.
Mitchell, D. H., & Eckstein, D. (2009). Jury dynamics and decision-making: A prescription for groupthink. International Journal of Academic Research, 1(1), 163–169.
Nelson, T. (Ed.). (2004). Ageism: Stereotyping and prejudice against older persons. The MIT Press.
Nisbett, R. E., Caputo, C., Legant, P., & Marecek, J. (1973). Behavior as seen by the actor and as seen by the observer. Journal of Personality and Social Psychology, 27, 154–164.
Nisbett, R. E., Peng, K., Choi, I., & Norenzayan, A. (2001). Culture and systems of thought: Holistic versus analytic cognition. Psychological Review, 108, 291–310.
Nosek, B. A. (2005). Moderators of the relationship between implicit and explicit evaluation. Journal of Experimental Psychology: General, 134(4), 565–584.
O’Keeffe, G. S., & Clarke-Pearson, K. (2011). The impact of social media on children, adolescents, and families. Pediatrics, (127)4, 800–4. doi:10.1542/peds.2011-0054.
Olson, M. A., & Fazio, R. H. (2003). Relations between implicit measures of prejudice what are we measuring? Psychological Science, 14, 636–639.
Olweus, D. (1993). Bullying at school: What we know and what we can do. Wiley-Blackwell.
Penton-Voak, I. S., Jones, B. C., Little, A. C., Baker, S., Tiddeman, B., Burt, D. M., & Perrett, D. I. (2001). Symmetry, sexual dimorphism in facial proportions and male facial attractiveness. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 268, 1617–1623.
Petty, R. E., & Cacioppo, J. T. (1986). The elaboration likelihood model of persuasion. In Communication and persuasion: Central and peripheral routes to attitude change (pp. 1–24). Springer. doi:10.1007/978-1-4612-4964-1.
Petty, R. E., Wegener, D. T., & Fabrigar, L. R. (1997). Attitudes and attitude change. Annual Review of Psychology, 48, 609–647.
Pliner, P., Hart, H., Kohl, J., & Saari, D. (1974). Compliance without pressure: Some further data on the foot-in-the-door technique. Journal of Experimental Social Psychology, 10, 17–22.
Plant, E. A., & Devine, P. G. (1998). Internal and external motivation to respond without prejudice. Journal of Personality and Social Psychology, 75, 811–832.
Ramesh, A., & Gelfand, M. J. (2010). Will they stay or will they go? The role of job embeddedness in predicting turnover in individualistic and collectivistic cultures. Journal of Applied Psychology, 95(5), 807.
Raymer, M., Reid, M., Spiegel, M., & Purvanova, R. (2017). An examination of generational stereotypes as a path towards reverse ageism. The Psychologist-Manager Journal, 20, 148–175.
Regan, P. C., & Berscheid, E. (1997). Gender differences in characteristics desired in a potential sexual and marriage partner. Journal of Psychology & Human Sexuality, 9, 25–37.
Reicher, S., & Haslam, S. A. (2006). Rethinking the psychology of tyranny: The BBC prison study. British Journal of Social Psychology, 45(1), 1–40.
Rhodes, N., & Wood, W. (1992). Self-esteem and intelligence affect influenceability: The mediating role of message reception. Psychological Bulletin, 111, 156–171.
Richard, F. D., Bond, C. F., Jr., & Stokes-Zoota, J. J. (2003). One hundred years of social psychology quantitatively described. Review of General Psychology, 7(4), 331–363. doi:10.1037/1089-2680.7.4.331.
Riggio, H. R., & Garcia, A. L. (2009). The power of situations: Jonestown and the fundamental attribution error. Teaching of Psychology, 36(2), 108–112. doi:10.1080/00986280902739636.
Rikowski, A., & Grammer, K. (1999). Human body odour, symmetry and attractiveness. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 266(1422), 869–874. doi:10.1098/rspb.1999.0717.
Roesch, S. C., & Amirkham, J. H. (1997). Boundary conditions for self-serving attributions: Another look at the sports pages. Journal of Applied Social Psychology, 27, 245–261.
Rojek, J., Rosenfeld, R., & Decker, S. (2012). Policing race: The racial stratification of searches in police traffic stops. Criminology, 50, 993–1024.
Rosenberg, M. J., & Hovland, C. I. (1960). Cognitive, affective and behavioral components of attitudes. In Attitude organization and change: An analysis of consistency among attitude components (pp. 1–14). Yale University Press.
Rosenthal, R., & Jacobson, L. F. (1968). Teacher expectations for the disadvantaged. Scientific American, 218, 19–23.
Ross, L. (1977). The intuitive psychologist and his shortcomings: Distortions in the attribution process. Advances in Experimental Social Psychology, 10, 173–220.
Ross, L., Amabile, T. M., & Steinmetz, J. L. (1977). Social roles, social control, and biases in social-perception processes. Journal of Personality and Social Psychology, 35, 485–494.
Ross, L., & Nisbett, R. E. (1991). The person and the situation: Perspectives of social psychology. McGraw-Hill.
Rudman, L. A. (1998). Self-promotion as a risk factor for women: The costs and benefits of counterstereotypical impression management. Journal of Personality and Social Psychology, 74(3), 629–645.
Rusbult, C. E., & Van Lange, P. A. (2003). Interdependence, interaction, and relationships. Annual Review of Psychology, 54, 351–575.
Schank, R. C., Abelson, R. (1977). Scripts, plans, goals, and understanding: An inquiry into human knowledge. Lawrence Erlbaum Associates.
Shepperd, J. A., & Taylor, K. M. (1999). Social loafing and expectancy-value theory. Personality and Social Psychology Bulletin, 25, 1147–1158.
Sherif, M., Harvey, O. J., White, B. J., Hood, W. R., & Sherif, C. W. (1961). Intergroup conflict and cooperation: The Robbers Cave experiment. The University Book Exchange. http://livros01.livrosgratis.com.br/ps000162.pdf
Simms, A., & Nichols, T. (2014). Social loafing: A review of the literature. Journal of Management Policy and Practice, 15, 58–67.
Singh, D. (1993). Adaptive significance of female physical attractiveness: Role of waist-to-hip ratio. Journal of Personality and Social Psychology, 65, 293–307.
Sommers, S. R., & Ellsworth, P. C. (2000). Race in the courtroom: Perceptions of guilt and dispositional attributions. Personality and Social Psychology Bulletin, 26, 1367–1379.
Spears, B., Slee, P., Owens, L., & Johnson, B. (2009). Behind the scenes and screens: Insights into the human dimension of covert and cyberbullying. Journal of Psychology, 217(4), 189–196. doi:10.1027/0044-3409.217.4.189.
Sternberg, R. J. (1986). A triangular theory of love. Psychological Review, 93, 119–135.
Stewart, J. B. (2002). Heart of a soldier. Simon and Schuster.
Sutton, R.M. and Douglas, K.M. (2005). Justice for all, or just for me? More support for self-other differences in just world beliefs. Personality and Individual Differences, 9(3). pp. 637-645. ISSN 0191-8869.
Tajfel, H. (1974). Social identity and intergroup behaviour. Social Science Information, 13(2), 65–93.
Tajfel, H., & Turner, J. C. (1979). An integrative theory of intergroup conflict. In W. G. Austin & S. Worchel (Eds.), The social psychology of intergroup relations (pp. 33–48). Brooks-Cole.
Tavris, C., & Aronson, E. (2008). Mistakes were made (but not by me): Why we justify foolish beliefs, bad decisions, and hurtful acts. Houghton Mifflin Harcourt.
Taylor, L. S., Fiore, A. T., Mendelsohn, G. A., & Cheshire, C. (2011). “Out of my league”: A real-world test of the matching hypothesis. Personality and Social Psychology Bulletin, 37(7), 942–954. doi:10.1177/0146167211409947.
Teger, A. I., & Pruitt, D. G. (1967). Components of group risk taking. Journal of Experimental Social Psychology, 3, 189–205.
Triandis, H. C. (2001). Individualism-collectivism and personality. Journal of Personality, 69, 907–924.
van Veen, V., Krug, M. K., Schooler, J. W., & Carter, C. S. (2009). Neural activity predicts attitude change in cognitive dissonance. Nature Neuroscience, 12, 1469–1474.
Vandebosch, H., & Van Cleemput, K. (2009). Cyberbullying among youngsters: Profiles of bullies and victims. New media & Society, 11(8), 1349–1371. doi:10.1177/1461444809341263.
Walker, I., & Crogan, M. (1998). Academic performance, prejudice, and the jigsaw classroom: New pieces to the puzzle. Journal of Community and Applied Social Psychology, 8, 381–393.
Walker, M. B., & Andrade, M. G. (1996). Conformity in the Asch task as a function of age. The Journal of Social Psychology, 136, 367–372.
Walster, E., & Festinger, L. (1962). The effectiveness of “overheard” persuasive communications. Journal of Abnormal and Social Psychology, 65, 395–402.
Wason, P. C., & Johnson-Laird, P. N. (1972). The psychology of deduction: Structure and content. Harvard University Press.
Weiner, B. (1979). A theory of motivation for some classroom experiences. Journal of Educational Psychology, 71(1), 3–25.
Wilson, M., & Daly, M. (1985). Competitiveness, risk taking, and violence: The young male syndrome. Ethology and Sociobiology, 6, 59–73.
Wilson, T. D., Lindsey, S., & Schooler, T. Y. (2000). A model of dual attitudes. Psychological Review, 107, 101–126.
Zajonc, R. B. (1965). Social facilitation. Science, 149(3681), 269–274. doi:10.1126/science.149.3681.269
Zhang, X., Fung, H. H., Stanley, J. T., Isaacowitz, D. M., & Zhang, Qi. (2014). Thinking more holistically as we grow older? Results from different tasks in two cultures. Culture and Brain, 2, 109–121. https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40167-014-0018-4
Zimbardo, P. G. (1969). The human choice: Individuation, reason, and order versus deindividuation, impulse, and chaos. In Nebraska symposium on motivation. University of Nebraska press.
Zimbardo, P. G. (2007). The Lucifer effect: Understanding how good people turn evil. Random House.
Zimbardo, P. G. (2013). An end to the experiment. http://www.prisonexp.org/psychology/37.
この訳文は元の本のCreative Commons BY 4.0ライセンスに従って同ライセンスにて公開します。問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。この本は、https://openstax.org/details/books/psychology-2eで無料でダウンロードできます。