第6章 自分に合ったキャリアの見つけ方
自分が得意な仕事を見つけることが重要なのは誰もが知っていることですが、どうすればいいのでしょうか?
標準的なアドバイスは、「自分の才能に気づく」まで、何週間も何週間も考え続けることです。それに役立てるために、キャリアアドバイザーは、あなたの興味や好みについてのクイズを出します。また、ギャップイヤーを取り、深く内省し、さまざまな選択肢を想像し、自分を本当にやる気にさせるものは何なのかを見つけ出すことを勧める人もいます。
しかし、私たちが前章で見たように、ほとんどのスキルが本当に得意になるには、何十年もの練習が必要です。つまり、あなたの能力は大部分において「発見」されるというより構築されるのです。ダーウィン、リンカーン、J・K・ローリング、オプラは皆、キャリアの初期に失敗し、その後、その分野で完全に支配的な地位を占めるようになりました。アルバート・アインシュタインについての1895年の校長からの通信には、「彼は何にもならないだろう」と書かれています。
「私は何が得意か」と問うと、無駄に選択肢を狭めてしまいます。それよりも、「私は何が得意になり得るか」と問うたほうがよいです。
それはそれとして、より大きな問題は、これらの方法はうまくいかないということです。多くの研究では、自分が得意になる分野を前もって予測するのは本当に難しく、特に「直感とともに進む」場合にはなおさらであることが示されていますし、キャリアテストもうまくいかないことが分かっています。
その代わりに、自分に合ったキャリアを見つけるには、調査に出かけること、つまり内側にではなく外側に目を向け、選択肢について学び、試してみることが一番です。ここでは、その方法を説明します。
仕事が得意であることは、あなたが思う以上に重要である
自分が得意とする仕事を見つけることが重要なのは誰もが認めるところです。しかし、私たちは、多くの人が考えている以上に、このことが重要だと考えています。
これまで見てきたように、ある分野で最も成功した人がインパクトの大部分を占めるため、自分が本当に抜きんでることのできる仕事を見つければ、あなたはより大きなインパクトを与えることができます(第4章)。また、あなたはより幸福になれる可能性も高く(第1章)、より印象的な業績を積み上げて、より良いキャリア資本を得ることができます(第5章)。
だからこそ、個人的な適性が仕事の中に探し求める重要な要素の1つなのです。私たちは「個人的な適性」を、その仕事に取り組んだ場合に秀でる可能性のことと考えています。
個人的な適性とは、他のすべての要素の掛け算のようなものです。つまり、私たちがこれまで説明してきたことをすべてまとめると、それが完璧な仕事を得るための公式となるのです:
2つのキャリアの選択肢を比較する場合、これらの要素を使って横に並べて比較することができます。
個人的な適性は重要です。実際のところ、おそらく他の3つの要素よりも重要でしょう。ですから、私たちは、あなたが苦手であるような「インパクトの大きな」仕事に就くことは、決してお勧めしません。しかし、どのようにすれば自分に最も適性のある仕事を見つけられるでしょうか?
あなたが第4章を読むうちに、長期的な選択肢についてのいくつかアイデアが得られたものと思います。ここでは、それらをどのように絞り込み、自分に合ったキャリアを見つけるかを説明します。
内省がうまくいかない理由
パフォーマンスは予測不可能
「直感とともに進む」や「心の声に従う」といったアドバイスは、前もって何が得意になるかを見つけ出せることを前提にしています。しかし、実際はそれはできません。
さまざまな仕事におけるパフォーマンスを予測する方法について、私たちがこれまでに見つけることのできた最高の研究を紹介します。これは、雇用主が使用する選考試験のメタ分析で、85年以上にわたって行われた数百の研究をもとに作成されています。47これがその結果の一部です:
どのテストもあまり良いものではありません。0.5の相関はかなり弱いので、利用可能な最善のテクニックを使用して予測しようとしても、多くの場合「間違い」になるでしょう:悪く見える候補者が優秀であることはよくありますし、その逆もまたしかりです。人を採用したことのある人なら、まさにその通りだと言うでしょう。
採用は非常に高額になるため、雇用主はどうしても最高の候補者を選びたいですし、彼らはその仕事が何を要求しているかも正確に把握しています。そのような人たちが、利用可能な最高のテストを行っても、誰が最も優秀になるかを事前に判断できないのであれば、おそらくあなたにもそれほどチャンスはないでしょう。
直感とともに進んではいけない
もしあなたが事前にパフォーマンスを予測しようとするならば、「直感とともに進む」のは最良の方法とは思えません。数十年にわたって収集された意思決定の科学の研究によると、直感的な意思決定は特定の状況でしか機能しないことが分かっています。48
例えば、誰かがあなたに腹を立てている場合、あなたの直感は非常に速くあなたに伝えてくれます。これは、私たちの脳が生物学的に、危険が迫ると素早く警告を発するようにできているからです。
また、直感は訓練すれば素晴らしく正確になります。チェスの名人は、最善の手に対する直感が驚くほど優れていますが、これは、同じようなゲームをたくさんプレイすることによって直感を鍛え、何が有効で何が無効かという感覚を構築してきたからです。
しかしながら、直感による意思決定は、ビジネスがどれだけ速く成長するか、サッカーの試合でどこが勝つか、学生がどのような成績を取るかなどを判断するのには向いていません。第1章では、直感は、何が自分を幸せにしてくれるかを判断するのが苦手であることを見ました。
キャリアの意思決定は、チェスのグランドマスターになることよりも、これらの例に似ています。直感を鍛えるのは、次のような場合に難しくなります:(i)決断の結果が出るまでに時間がかかる、(ii)練習する機会がほとんどない、あるいは(iii)状況が変わり続ける。キャリアの選択をする状況は、まさにこれに当てはまります。私たちが人生で大きなキャリアの決断をするのはほんの2、3回で、結果が出るまで何年もかかりますし、就職市場もどんどん変わっていきます。
ここから言えるのは、あなたの直感は、最適なキャリアについてのヒントは与えてくれます。「この人は信用できない」「このプロジェクトにはワクワクしない」など、直感が教えてくれることはあります。しかし、単に「直感とともに進む」ことはできません。
キャリアテストもうまくいかない理由
多くのキャリアテストは、「ホランドタイプ」や似たようなものに基づいて作られています。それらのテストは、あなたを「芸術的タイプ」「企業的タイプ」など、6つのホランドタイプのどれかに分類します。そして、そのタイプに合ったキャリアを推薦するのです。しかしながら、上の表からわかるように、「ホランドタイプの一致」とパフォーマンスは非常に弱い相関しかありません。仕事の満足度ともほとんど相関がありません。ですから、私たちは従来のキャリアテストを推奨していないのです。
パフォーマンスを予測するのに有効なものは何か?
上の表を見ると、パフォーマンスを最もよく予測するテストは、(IQという興味深い例外を除いて)実際に仕事をすることに最も近いテストであることがわかります。これはおそらく、予想されたことでしょう。
仕事のサンプル試験は、単純に仕事の一部を行い、その結果を経験豊富な人に評価してもらうものです。同僚からの評価は、同僚があなたのパフォーマンスをどう思うか測定します(したがって、内部での昇進にのみ使用することができます)。試用期間や職務知識テストは、まったく説明を要しないでしょう。
つまり、自分の得意なものを知るには、実際にやってみることが重要です。それこそが、私たちが個人的な適性を見つけ出す際に「調査に出かける」というのをモットーにしている第一の理由なのです。
自分に合ったキャリアを見つけるために、調査に出かけよう
本当に自分が得意になるであろうものを見つけるには、人と話をして、選択肢について知り、試してみることが必要です。実際に仕事をすることに近ければ近いほどよいです。
だから、選択肢を決めるときは、まず時間をかけてじっくりとリサーチしてください。これは、長期的な計画を立てるときでも、2つのオファーを比較するときでも、仕事を辞めることを検討するときでも同じことです。ある種の決断は、多くのリサーチを必要とするほど大切なものはかかっていません。しかし、キャリアに関する決断は人生の何年にもわたって影響を与えるものなので、何週間もかけて行う価値があります。
第二に、最終的には、あなたはいろいろなことに挑戦することが必要になるでしょう。特にあなたがキャリアの初期にいる場合や、単にまったく将来に確信がない場合は、今後2~5年の間に、長期的な選択肢の上位2~4つを試してみることを検討してください。例えば、エンジニアや著作家になることを長期的に考えているのであれば、エンジニアの勉強をしながら、週に1回の午後はブログを書いてみるのもいいかもしれません。
また、自分の経験を広げ、新しいアイデアを見つけるために、1つか2つのワイルドカードを試してみることも検討してみてください。新しい国に住む、珍しいサイドプロジェクトを追求する、普通であれば働かないような分野(政府、非営利団体、社会事業など)に挑戦するなど、通常の道から外れた珍しい選択肢があります。
なぜ「調査に出かける」のか?
まず、私たちがこれまで見てきたように、自分が得意なことを知るのに最適な方法だからです。
さらに、戦略として、キャリアの最初のうちは、より多くのことを学ぶのに時間を費やすのが理にかなっています。キャリアの初期には、あなたは自分の強みや選択肢についてほとんど知りません。数年かけてたくさんのことを学べば、今後数十年にわたり、より適切な判断を下すことができるようになるでしょう。
多くの成功者がまさにそれをやりました。トニー・ブレアは、政界に入る前にロックのプロモーターとして働いていました。私たちが見たように、コンドリーザ・ライスは政界入りする前はクラシック音楽家でしたし、スティーブ・ジョブズはインドで1年間を過ごして薬物に手を出したり、禅僧になるために日本へ移住することも考えたりしたほどです。
現在では、多くの人が生涯にわたっていくつかの分野や役割で働くことが広く受け入れられています。典型的な25歳から34歳の人は3年ごとに転職し、それ以降も転職は珍しいことではありません。
最後の理由は、キャリアの最大の失敗の1つである「検討する選択肢が少なすぎる」ことを避けるためです。私たちは、当初は博士号、医学、法律などの道が当たり前のように感じたからという理由で進んだものの、もっと多くの選択肢を検討していればもっと自分に合ったものを簡単に見つけることができたような人たちにたくさん会ってきました。いくつかの分野に挑戦してみれば、このような失敗を避けるのに役立つでしょう。しかしながら、あまりにも早くから1つの目標に決めようとすると、素晴らしい選択肢を逃してしまうかもしれません。
とはいえ、探索するには犠牲がつきものです。1つの仕事を試すには数年がかかり、転職回数が多すぎると信頼できない人のように見えてしまいます。どうすれば、コストを低く抑えながら、探索することができるでしょうか?
選択肢の絞り込み方
あなたはすべてを試すことはできません。ですから、探索する前に、長期的な選択肢についてのアイデアを選抜された候補へと絞り込む必要があります。
どのように絞り込むのがベストなのでしょうか?直感的な意思決定は当てにならないので、少し系統立てて考えるのが効果的です。
多くの人が長所と短所のリストを参考にしますが、これにはいくつかの弱点があります。まず、思いついた長所と短所が、その意思決定で最も重要な点であるという保証はありません。第二に、長所と短所のリストでは、反証となる証拠を探したり、より多くの選択肢を生み出したりすることを強制されることはありませんが、これらはより良い意思決定をするための最も強力な方法です。長所と短所のリストは、自分がすでに信じていることを正当化するために使うのが簡単なのです。
ここでは、私たちが推奨する絞り込みのプロセスをご紹介します。これは、意思決定の科学に関する文献レビューと、1対1のアドバイスでうまくいったことを基にしています。これは、あなたがいくつかの選択肢と選抜された候補とを比較する必要があるときや、現在の仕事と代替案を比較するときにも使えます。
1. 選択肢の大きなリストを作る。
どのような問題に注力したいのか、どのような役割を果たしたいのか、を含む最初のリストを書き出してみてください。例えば、グローバルヘルスに焦点を当てた経済学研究者、食肉代替物企業のマーケティング、ソフトウェア・エンジニアとして与えるために稼ぐ、などです。
次に、もっと多くのことを考え出すよう自分に強制します。第3章と第4章で、そのアイデアを見つけられます。しかし、さらに考えるのに役立てるために、いくつかの質問を用意しました:(i)最初に挙げた選択肢のどれかを取ることができないとしたら、あなたはどうしますか?(ii)もしお金が目的でないとしたら、あなたはどうしますか?(iii)あなたの友人は何とアドバイスしていますか?(iv)(すでに経験がある場合)あなたの最も価値のあるキャリア資本をどのように使うことができますか?(v)あなたの選択肢を組み合わせて、両方の長所を生かすことは可能ですか?(vi)あなたの人脈を通じて、もっと多くの機会を見つけることはできますか?
2. あなたの選択肢に順位をつける。
最初は推測から始めましょう。
もしあなたに時間がある場合は、(i)インパクト、(ii)個人的な適性、(iii)仕事に対する満足度の他の要素、(iv)その他自分にとって重要な要素に基づいて、選択肢を1~5で点数をつけます。あなたが短期的な選択肢を検討しているのであれば、キャリア資本の評価も行いましょう。こうすることで、最も重要な要素に焦点を当てることができます。各要素の評価方法については、付録4の「意思決定の枠組み」の記事でヒントが得られます。
次に、候補を絞り込んでいきます。すべての要素で他の選択肢(「支配的な選択肢」)よりも悪い選択肢と、ある要素で非常に悪い選択肢を除外します。すべてのスコアを合計すると、選択肢の非常に大ざっぱな順位がわかります。どこかの結果が奇妙に思える場合は、その理由を理解するよう努めてください。それぞれの選択肢について、「なぜ私は間違っていたのだろう」と問いかけ、順位を調整します。これは、バイアスを減らすのに非常に有効な方法です。
3. 重要な不確定要素。どのような情報があれば、最も簡単に順位が変わるでしょうか?もし、ある質問に対する答えが得られるとしたら、どの質問が最も有用でしょうか?これらを書き出してみましょう。例:「私はティーチ・フォー・アメリカに参加できるだろうか?」、「私はプログラミングを楽しめるだろうか?」、「オープンサイエンスと比較して、世界の貧困はどれくらい差し迫っているだろうか?」など。もし行き詰まったら、たった1回の週末でキャリアを決めなければならないと想像してください。正しい選択をするために、あなたならその時間に何をしますか?
4. 最初の調査。これらの重要な不確定要素のうちのどれかをすぐに調べられますか?例えば、あなたがデータサイエンティストを楽しめるかどうかわからない場合、それがどのようなものか、誰かに話を聞きに行くことはできますか?あるいは、私たちのキャリア・レビューのように、何か読めるものはあるでしょうか?
この時点で、明確な勝者がいるかもしれません。その場合は、次のパートを飛ばして進むことができます。しかしながら、ほとんどの人は、かなり良さそうな選択肢を2、3個持ってしまうことになります。そうなったら、探索を行う時が来ています。でも、どうすればいいのでしょうか?
探索の方法:まずは安上りなテスト
よく、経済学に挑戦してみたいという人が、修士課程に申し込むことがあります。しかし、それは大きな投資です。それよりも、できるだけ少ない労力で多くのことを学べる方法を考えましょう。それは「安上がりなテスト」です。
テストの「はしご」を作るという考え方もできます。例えば、もしあなたが政策提言に興味がある場合、以下のような段階を踏むことができます:
関連するキャリア・レビューを読み、Google検索をして、基本的なことを学びます(1~2時間)。
あなたが通常やれる次に最も有用なことは、その分野の人と話をすることです。適切な人物であれば、文字で書かれたものとしてあなたが見つけられる情報よりもはるかに最新の、そして個人的な情報を与えてくれるでしょう(2時間)。
さらに3人のその分野で働く人に話を聞き、1、2冊の本を読みます(20時間)。その分野を専門とするキャリアアドバイザーに話を聞くのも一案です。その際、自分の経歴から、その分野に参入するのに最も効果的な方法を見つけてください。このような人たちと話しているとき、彼らは非公式にあなたを面接しているのだということを心に留めておいてください。面接のための準備に関する私たちのアドバイスは、第8章を参照してください。
次に、政治キャンペーンにボランティアで参加したり、自分が集中したい政策分野に関するブログを立ち上げたりするなど、1~4週間程度の作業でできるプロジェクトを探しましょう。もしあなたが前の段階を踏んでいれば、何が最適かわかるはずです。
ここまで来てから、短期間の職場体験、インターンシップ、大学院での勉強など、2~24か月かかるものに専念することを検討してください。このとき、何らかの組織で2~3か月の試用の立場を提供されると、双方があなたの適性を迅速に評価する努力をすることになり、実際に有利になります。
それぞれの時点で、政策提言が最も有望な選択肢の1つであるかどうかを再評価し、そうである場合にのみ次のステップに進むとよいでしょう。
探索の方法:選択肢をうまく並べる
数年にわたり多くの選択肢を試す場合、それらを正しい順序で並べることが重要です。
1. 大学院進学後よりも、大学院進学前に探索する
大学卒業後の2年間、あなたは何か普通でないことに挑戦するライセンスを持ってます。
それは、うまくいかなかった場合、修士、MBA、博士課程を経て、従来の道に戻るという「大学院リセット」ができるため、特に良い機会です。
さらに、博士課程を修了すると、学術界から離れることは非常に困難です。というのも、博士号取得後、ポスドクになり、さらに学術界の終身の地位になるのは非常に競争が激しく、100%研究に専念しなければ成功する可能性は極めて低いからです。ですから、もし学術界に決心がつかないのなら、可能であれば博士号取得前に代替案を試してみてください。
2. 「可逆的」な選択肢を優先する
例えば、ビジネスの立場から非営利団体の仕事に就くのは、その逆よりも簡単です。ですから、もしあなたがこの2つの間で迷っているのなら、まずビジネスの立場を取ることです。
3. 実験できる選択肢を選ぶ
以下のように、複数の分野を試せる仕事を選ぶのも1つのアプローチです:
さまざまな業界で働く - フリーランスやコンサルティングの立場は特によいです。
さまざまなスキルを磨く - 小さな会社での仕事は、この点で特に優れていることが多いです。
仕事以外のことを探求するための自由な時間とエネルギーを自分に与える。
4. 副業に挑戦する
すでに仕事をしている人は、副業として新しい選択肢を試す方法を考えてみてください。あなたは、空いた時間に短いプロジェクトができますか?あるいは、既存の仕事の中で関連のあることができますか?少なくとも、その仕事のたくさんの同僚に話してみましょう。
もしあなたが学生であれば、できるだけ多くのインターンシップや夏季プロジェクトに参加するようにしましょう。大学の休暇は、人生の中で最も良い探索の機会の1つです。
5. 柔軟なキャリア資本を構築し続ける
もしあなたが確信を持てないならば、柔軟なキャリア資本を構築し続けましょう。そうすれば、物事がどのような展開になろうとも、将来においてより有利な立場にいることができるでしょう。
ジェス - 探索の事例研究
ジェスが数年前に数学と哲学の専攻で大学を卒業したとき、彼女は学術界に興味があり、心の哲学を学ぶことに傾いていましたが、ほとんど世の中にインパクトを与えないのではと懸念していました。
そこで、大学を卒業した翌年、彼女は数か月間、金融業界で働いてみました。彼女は自分が楽しめるだろうとは思っておらず、実際にそうであることが判明しました。そこで、その選択肢を自信を持って排除しました。また、彼女は数か月間、非営利団体で働いたり、さまざまな研究分野について本を読んだりしました。
そして何より大切なこととして、彼女は多くの人、特に自分が一番興味のある学問分野の人とたくさん話をしました。その結果、政策立案者の意思決定を改善する方法に焦点を当てた、心理学の博士課程に進むことになりました。
博士課程では、証拠に基づく政策の一流シンクタンクでインターンシップを経験し、オンライン新聞で心理学についての記事を書き始めました。これは、彼女が、学者であることの「公的な知識人」としての側面と、政策の世界に進むという選択肢とを探索していることを意味しました。
博士号を取得した時点で、彼女は学術界を進み続けることもできますし、政策や執筆に転向することもできます。また、金融や非営利の分野に戻ることもおそらく可能でしょう。最も重要なことは、彼女はどの選択肢がベストなのかについて、はるかに良いアイデアを得ることができるだろうということです。
結論
私たちは、自分の得意なことは、内省を通じて、洞察の一瞬のひらめきの中で見つけられると思いたいものです。しかし、それはうまくいきません。
というより、その過程は科学者が仮説を検証するようなものです。あなたは自分が得意になりそうなことを考え(仮説)、それを検証する(実験)のです。自分は文章を書くのが得意だと思いますか?それならブログを始めましょう。自分はコンサルティングが嫌いになるだろうと思いますか?せめてコンサルタントに話を聞いてみてください。
もし、あなたが自分の「天職」や「情熱」をまだ知らないとしても、それは普通のことです。どのキャリアが自分に合っているかなど、駆け出しのうちは予想もつかないことです。
それよりも、いろいろなことに挑戦してください。そうすれば学ぶことができ、より充実したキャリアに一歩一歩近づいていけるはずです。
それでは、ここまでで私たちが扱ってきたすべての内容をまとめて、よくあるキャリアプランニングの失敗を確実に回避しましょう。
自分のキャリアに当てはめてみる:自分に合ったキャリアを見極める方法
上記のプロセスを用いて、あなたの選択肢を3~5つの選抜候補に絞り込みます。
選抜候補のそれぞれの選択肢について、1つか2つの安上りなテストを書き出します。今後1~2か月の間に、これらのテストを実施してください。
もしあなたが残りの上位の選択肢を試したいとしたら、どのような順番が最善でしょうか?数年かけていろいろな分野を試してみるという計画だけでも考えてみましょう。
最終的な決断をする必要があるときは、もう一度絞り込みのプロセスを行うことができます。ここでの違いは、もっといろいろなことを探索するのではなく、最後に最高の選択肢についての最良の推測をしなければならないだろうということです。
良い決断や予測をする方法についてもっと知りたいならば、チップ・ハースとダン・ハースの著書『決定力!正解を導く4つのプロセス』とフィリップ・テトロックの著書『超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条』をお勧めします。
Schmidt, Frank L., and John E. Hunter. “The validity and utility of selection methods in personnel psychology: Practical and theoretical implications of 85 years of research findings.” Psychological bulletin 124.2 (1998): 262.↩︎
https://80000hours.org/articles/dont-go-with-your-gut-instinct/で私たちの完全な証拠のレビューをご覧ください。また、ダニエル・カーネマンの素晴らしい本『ファスト&スロー─あなたの意思はどのように決まるか?』もお勧めします。↩︎