目次・序文
Centre for Effective Altruism
Suite 2, Littlegate House
16-17 St Ebbes Street
Oxford
OX1 1PT
United Kingdom
この作品は、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際ライセンスの下に提供されています。
校閲と内部デザイン:ピーター・オーア
画像:マリア・グティエレス(特にクレジットのない限り)
本書に掲載されている連絡先やウェブアドレスなどの情報は、出版日現在で正確であることを保証するためにあらゆる努力を行っています。しかしながら、出版社および著者は、誤りや出版後に発生した変更について、一切の責任を負いません。さらに、出版社および著者は、第三者のウェブサイトやその内容に対して、いかなる管理も行わず、責任も負いません。法的免責事項の全文は、https://80000hours.org/legal/でご覧いただけます。
8万時間:良いことをする、充実したキャリアを見つけよう
著者:ベンジャミン・トッドと80,000 Hoursチーム
著者について
80,000 Hoursは、2011年にオックスフォードで設立された独立した非営利団体です。80,000 Hoursは、キャリア選択に関する調査を行い、オンラインや対面でのアドバイスを提供しています。
ベンジャミン・トッドは、80,000 HoursのCEO兼共同創設者です。彼はこの組織を、オックスフォード大学の学生団体から、130万ドルの寄付を集め、読者数100万人を誇るNPOへと成長させました。彼はオックスフォード大学で物理学と哲学の修士号を取得し、気候物理学の論文を発表しており、(へたくそな)中国語を話します。
ベンは、ウィル・マッカスキル教授(『〈効果的な利他主義〉宣言! 慈善活動への科学的アプローチ』の著者で、効果的な利他主義(Effective Altruism)運動の共同創設者、そして世界最年少の哲学教授の1人)など、80,000 Hoursチームの他のメンバーからのアドバイスを受けています。
目次
はじめに このガイドの使い方
第1章 夢のような仕事を作り出すのは何だろうか?
私たちが間違うところ
充実したキャリアのための目標として過大評価されている2つのもの
夢のような仕事で目指すべきものは何だろうか?
単純にあなたの情熱に従うべきか?
世の中に貢献できることをする
結論
自分のキャリアに当てはめてみる
まとめ:夢のような仕事を作り出すのは何だろうか?
第2章 1人の人間が違いを生み出すことはできるのだろうか? 証拠が語っていること
他のキャリアよりも大きなインパクトを与えるキャリアがある
「違いを生み出す」とはどういう意味か?
どんなキャリアでも、大きな違いを生み出す方法
今すぐ行動を起こす
どのキャリアが充実した、インパクトの大きなものなのか?
まとめ:1人の人間が違いを生み出すことはできるのだろうか?
第3章 世界で最も差し迫った問題は何だろうか?
1. 軽視されている問題に取り組む
2. 最も大きな規模の問題に取り組む
3. 解決可能な問題に取り組む
4. あなたの個人的な適性
例:開発途上国の貧困とアメリカの貧困
なぜこれが重要なのか?
では、どのグローバルな問題が最も差し迫っているのか?
自分のキャリアに当てはめてみる
まとめ:世界で最も差し迫った問題は何だろうか?
第4章 最も多くの人を助けることができるのはどのキャリアだろうか? なぜ、あなたがキャリアで良いことをすると聞いたことのあるアイデアがベストでないのか?
アプローチ1:与えるために稼ぐ
アプローチ2:アドボカシー
アプローチ3:研究
アプローチ4:直接的な仕事
どのアプローチが問題に合うか?
自分が抜きんでる可能性のあることをやる
結論:どの仕事で最も多くの人を助けることができるのか?
自分のキャリアに当てはめてみる
まとめ:最も良いことができるのはどのキャリアだろうか?
第5章 将来最もよい立場にいるためには、どの仕事が一番適しているのか? キャリアの初期でありがちな2つの失敗の避け方
間違い1:自分に投資する機会を無視する
間違い2:将来に役立つ柔軟なキャリア資本を構築していない
どの仕事がキャリアの初期に最適なのか?
どの仕事でも柔軟なキャリア資本を得るにはどうしたらよいのか?
結論
自分のキャリアに当てはめてみる
まとめ:将来最もよい立場にいるためには、どの仕事が一番適しているのか?
第6章 自分に合ったキャリアの見つけ方
仕事が得意であることは、あなたが思う以上に重要である
内省がうまくいかない理由
自分に合ったキャリアを見つけるために、調査に出かけよう
選択肢の絞り込み方
探索の方法:まずは安上りなテスト
探索の方法:選択肢をうまく並べる
ジェス - 探索の事例研究
結論
自分のキャリアに当てはめてみる:自分に合ったキャリアを見極める方法
まとめ:自分に合ったキャリアの見つけ方
第7章 キャリアプランの立て方
A/B/Zプラン
キャリアプランの一例
計画を見直すことを約束する
自分のキャリアに当てはめてみる
まとめ:キャリアプランの立て方
第8章 仕事の見つけ方
段階1: リード
段階2:コンバージョン
段階3:交渉
モチベーションを保つ
さまざまな仕事に関するアドバイスをチェックする
二度と就職活動はしない
結論
自分のキャリアに当てはめてみる
まとめ:仕事の見つけ方
第9章 コミュニティーが重要な理由
私たちのコミュニティーの紹介
なぜ参加するのか?
どうすればもっと効果的に協力し合えるか?
参加するには
おわりに
このガイドの全体像を簡単に説明すると
さて、どうしよう?
本書の残りの部分
重要な考え方の要約
仕事の満足度
違いを生み出す
最も差し迫った問題
どのキャリアが最も人を助けることができるか?
キャリア資本
自分に合ったキャリア
キャリアプランニング
仕事を得るには
付録1 違いを生み出すことの意味
定義
価値判断の役割
実際のところ、あなたのインパクトはどのように測られるのか?
正義や環境についてはどうなのか?
付録2 どんな仕事でも、より良い立場に身を置くための11の方法
1. 自分のことに気を配り、基本を大切にする
2. メンタルヘルスに気を配る
3. ポジティブ心理学を活用する
4. お金を貯める
5. 優れた人たちに囲まれる
6. より生産的になるためにできることをする
7. 学習方法を習得する
8. より合理的になる
9. 役に立つスキルを独学で学ぶ
10. 都市を変えることを検討する
11. 専門家やイノベーターになる
結論
付録3 キャリアを決定する際に避けるべき4つのバイアス
1. 狭い視野で考える
2. はまり込む
3. 確率を見誤る
4. 自分の直感に頼りすぎる
付録4 私たちの意思決定の枠組み
私たちはどのようにしてさまざまなキャリアを比較するのか?
この枠組みの使い方
それぞれの要素を評価するための質問
付録5 インパクトの大きな研究を行う方法
キャリアの初期に行うべき研究とは何か?
最もインパクトのある研究トピックは何か?
あなたは研究者になるべきか?
非学術的な立場を忘れない
付録6 違いを生み出すために待つべきか?
まとめ:お金を寄付するのは今か、後か?
まとめ:時間を割くのは今か、後か?
主な要素についての詳細
その他の検討事項
付録7 学部生(および学部生候補)に対するアドバイス
優先順位
どの学位科目を選ぶか?
どれほどの時間を勉強に費やすか?
学位取得以外でやるべきことは何か?
そもそも大学に行くべきか?
どのタイプの大学に行くべきか?
付録8 キャリア・レビューの要約
保険数理
生物医学研究
コンピュータサイエンスの博士号
データサイエンス(スキル構築および与えるために稼ぐ)
経済学の博士号
エグゼクティブサーチ
財団の助成金担当者
効果的な非営利団体を設立する(国際開発)
高級弁護士(与えるために稼ぐ)
ジャーナリズム
経営コンサルティング(スキル構築および与えるために稼ぐ)
マーケティング(スキル構築および与えるために稼ぐ)
医療関係のキャリア
看護
政党政治
哲学の博士号
政策指向の公務員
テック系企業のプロダクトマネジャー
国際機関でのプログラムマネジャー
芸術とエンターテインメントで名声を追求する
大手テック系企業でのソフトウェア・エンジニアリング(スキル構築および与えるために稼ぐ)
スタートアップの初期従業員
教職
テック系スタートアップの創業者
シンクタンクでの研究
クオンツ型ヘッジファンドでのトレーディング(与えるために稼ぐ)
価値ある学術研究
ウェブデザイナー
付録9 問題プロファイルの要約
バイオセキュリティー
気候変動(極端なリスク)
工場畜産
グローバルな優先課題の研究
貧しい国の健康
土地利用の改革
核セキュリティー
効果的な利他主義の推進
人工知能がもたらすリスク
開発途上国における喫煙
さらなる読み物
書籍
エッセイと資料
全部読んだ?次はこれだ
謝辞
はじめに
あなたのキャリアには、約8万時間という時間があります:1週間に40時間、1年に50週、そしてそれが40年間。これは、キャリアにおけるあなたの選択が、あなたがこれから行う決定の中で最も重要なものの1つであることを意味します。
正しい選択をすることで、あなたは世界で最も差し迫った問題の解決に貢献するとともに、より満足感の得られる、面白い人生を送ることができます。しかし、これほど重要な決断であるにもかかわらず、巷には良いアドバイスは驚くほど少ないです。
2011年、私たちはオックスフォード大学で、自分たちのキャリアをどうするかについて考えていました。私たちは、自分たちが楽しめて、かつ世界をより良い場所にするような仕事を見つけたいと望んでいました。私たちは迷っていました:非営利団体で働くべきか、大学院で学ぶべきか、企業で働きながら慈善活動で貢献するべきか、それともまったく別のことをするべきか?
しかし、良いアドバイスはあまり見つかりませんでした。キャリアに関するアドバイスのほとんどは、単にさまざまな仕事に応募する方法についてのものであり、そもそも何をすべきかを決める方法ではなかったのです。また、キャリアを活かして良いことをするためのアドバイスといえば、ソーシャルワークや教職、CSRで働くといったものが中心で、これらが明らかにベストな選択肢であるとは思えませんでした。私たちが話を聞いたほとんどの人は、キャリアに関するアドバイスを利用することすらなく、ただ友人に話を聞いて、自分で解決しようとしていました。
そこで、私たちは自分たちで調査を始め、その結果を発表しました。すると、驚いたことに、人々は耳を傾けてくれたのです。
2011年11月、私たちはオックスフォード大学の研究者と協力して80,000 Hoursを設立しました。2012年7月には資金を調達し、1チームの雇用にこぎつけました。それ以来、私たちは何百人もの専門家に話を聞き、見つけられる限りの関連する文献をすべて読み、100万人以上の人に私たちのオンラインアドバイスを読んでもらいました。
私たちは、自分たちが受けたかったアドバイス、つまり使いやすく、透明性のある説明と、入手可能な最善の証拠に基づいたアドバイスを提供することを目指しています。私たちは、個人の寄付によって支えられている非営利団体であり、リクルーターや企業からお金を受け取っていませんので、私たちのアドバイスはすべて公平なものです。私たちの唯一の目的は、あなたが自身のキャリアを通じてもっと有益なインパクトを与えるお手伝いをすることです。
私たちにはまだまだ学ぶべきことがたくさんありますが、このトピックについて私たちほど体系的に研究している人は他にはいないと思っています。
今日までに、私たちのアドバイスによってキャリアプランを大きく変えた人は1000人を超えています(私たちが知っている人たちだけで)。私たちの読者は、効果的な慈善事業に3000万ドル以上を寄付すると約束し、良いことをすることに焦点を当てた新しい団体を10個も設立しました。ある団体は国際開発で何百人もの命を救い、ある団体は政府の政策で無視されている分野に取り組み、またある団体は画期的なテクノロジーを開発しています。
このガイドでは、私たちがこれまでに学んだ重要なことをすべてまとめています。
もし、あなたが自分のキャリアを1%だけ大きなインパクトのあるものに、あるいは1%だけ楽しいものにすることができるとしたら、キャリアの1%までをそのために費やす価値があると言えるでしょう。これは800時間、つまりフルタイムで働く5か月分に相当します。私たちはこれからこの本で、1回の週末を少し上回るくらいの時間をかけることになります。
このガイドの使い方
以下は私たちが扱うことになる内容です:
- 夢のような仕事を作り出すのは何だろうか?
- 1人の人間が違いを生み出すことはできるのだろうか?
- 世界で最も差し迫った問題は何だろうか?
- 最も多くの人を助けることができるのはどのキャリアだろうか?
- 将来最もよい立場にいるためには、どの仕事が一番適しているのか?
- 自分に合ったキャリアの見つけ方
- キャリアプランの立て方
- 仕事の見つけ方
- コミュニティーが重要な理由
最初の4つのセクションは、長期的にどのような選択肢を目指すべきかということについてです。残りは、そこに到達し、行動を起こす方法についてです。つまり、私たちは長期的な課題から短期的な課題へと向かっていきます。
このガイドは特に20代の学生や最近大学を卒業した人を対象にしていますが、ほとんどのセクションは誰にでも関係するものです。もしあなたがキャリアの途上にいる場合は、1章から4章、6章、7章、9章を中心にお読みください。
最後には、さらにいくつかの資料もあります:
- 重要な考え方の簡単な要約
- 重要な考え方をさらに説明する追加記事
- 上位のキャリア・レビューの要約
- 問題領域プロファイルの要約
このガイドを最大限に活用するには、各章を読んで、それぞれの章に付随する演習を行うことをお勧めします。1日か2日の時間をとって、すべての章に目を通す時間を作るのがベストです。最後に、私たちのオンラインツールを使って、すべての考え方を習得したことを確認し、新しいキャリアプランを作成してください:
http://80k.link/HWC
私たちがこのコンテンツをある日の午後を使ってお伝えしたとき、参加者の半数以上の方が人生の計画を変更されたこともしばしばありました。
では、さっそく始めましょう。あなたの8万時間の最高の使い道は何ですか?
ベンジャミン・トッド
80,000 Hours CEO兼共同創設者