第18章 労働と経済

図18.1 | 今日、オフィスやその他の雇用の場において、従業員はかつてないほど懸命に働いています。(Credit: Juhan Sonin/flickr)

図18.1 | 今日、オフィスやその他の雇用の場において、従業員はかつてないほど懸命に働いています。(Credit: Juhan Sonin/flickr)

この章の概要

18.1 経済システム
18.2 グローバル化と経済
18.3 アメリカにおける労働

はじめに

もし米国経済が、活気のある農産品やテクノロジー商品の代わりに、基本的な物々交換だけで進んでいたらどうでしょう?それでも図18.1に示されるような精力的なビルを見ることができるでしょうか?

社会学において経済とは、社会の資源が交換され、管理される社会制度のことを指します。初期の経済は交易に基づいており、それはしばしば、人々がある品物を別の品物と取り替えるという単純な交換でした。今日の経済活動は初期の交易よりも複雑になっていますが、根本的な目的は変わりません:財やサービスを交換することで、個人の必要性や欲求を満たすことができます。1893年、エミール・デュルケームは、社会の経済と関連するような、「機械的」「有機的」連帯と彼が呼ぶものについて記述しました。機械的連帯は、より単純な社会に存在し、そこでは類似の仕事、教育、宗教を共有することから社会的結束が生まれます。有機的連帯は、仕事の専門化によって生まれる相互依存から生じます。複雑な米国経済や他の先進国の経済は、有機的連帯の定義を満たしています。ほとんどの個人は専門化された職務をこなし、異なる専門化された職務をこなす他の人々が提供する商品やサービスと交換するために使う資金を稼いでいます。単純化した例を挙げれば、小学校の教師は食料を農家に、医療を医者に、住居の建築を大工に頼っています。農家も医者も大工も、子供たちを教育する教師を頼りにしています。彼らは皆、お互いとその仕事に依存し合っています。

経済は、人類社会の最も初期の社会構造の1つです。人類最古の書記形態(シュメールの粘土板など)は、商人間の取引、支払い、債務を記録するために発達しました。社会が成長し変化するにつれて、その経済も成長・変化します。小さな農業共同体の経済と、高度な技術を持つ大国の経済は大きく異なります。この章では、私たちは、さまざまなタイプの経済システムと、それがさまざまな社会でどのように機能してきたかを調べていきます。

デトロイトは、かつてはこの国の大規模かつ収益性の高い自動車産業の総本山として殷賑を極めていましたが、自動車製造の仕事が他国にアウトソーシングされ、外国の自動車ブランドが米国の市場シェアを拡大し始めたため、すでに数十年にわたって人口が減少していました。ミシガン州の人口データ(State of Michigan, n.d.)によると、デトロイトの人口は1950年には約185万人でしたが、経済恐慌後の2010年には70万人をわずかに上回るまでに減少しました。この大幅な減少は、街に大きな打撃を与えました。デトロイトの建物の3分の1は放棄されたと推定されています。現在の平均住宅価格は7000ドル前後で推移していますが、全米では住宅は平均20万ドル前後で販売されています。同市は破産を申請しており、その失業率は30%前後を推移しています。

米国の賃金格差

1963年に米国議会で可決された同一賃金法は、男女間の賃金格差を是正するように設計されていました。この法律は、その本質では、実質的に同じような仕事をしている男女に同等の賃金を支払うことを雇用主に義務付けたものです。しかしながら、それから50年以上経った現在でも、女性が稼ぐお金は男性に比べて低いままです。2013年にホワイトハウスが発表した報告書によると、フルタイムで働く女性の収入は、男性の収入1ドルに対してわずか77セントでした(National Equal Pay Taskforce, 2013)。その7年後、格差は4セント縮まっただけで、男性の収入1ドルに対して女性の収入は81セントとなっています(Payscale, 2020)。

ホワイトハウスの報告書の一部は、こう書いています。「この著しい格差は単なる統計にとどまらず、現実における帰結を有している。労働人口のほぼ半分を占める女性が、毎日家に持ち帰るお金が少ないということは、家族の日常生活に必要なお金が少ないということであり、生涯にわたって働き続けた場合、老後のための貯蓄がはるかに少ないということを意味する。」

同様に衝撃的なこととして、この事態に人種や民族性を加えると、この格差はさらに広がります。例えば、アフリカ系アメリカ人女性の平均収入は、白人男性の収入1ドルに対して64セントです。ラテン系女性は、白人男性の収入1ドルごとに56セント、つまり44%少ないです。アフリカ系アメリカ人とラテン系の男性の収入も、白人男性より著しく低いです。アジア系アメリカ人は、白人男性と同等かそれ以上稼ぐ唯一のマイノリティーである傾向があります。

ある種の職業では、参入している人の教育レベルが高く、より実力主義的な昇進・昇格方法をとっているはずの職業であっても、賃金格差に独自の違いがあります。例えば、米国とカナダの科学者には、人々が労働力に参入するとすぐに始まる著しい賃金格差があります。例えば、学位取得後に職が決まっている博士号取得者のうち、男性の初任給平均は年間9万2000ドルであるのに対し、女性は7万2500ドルに過ぎないと報告されています。生命科学分野で常勤職に就いている男性の期待される給与中央値は8万7000ドルであるのに対し、女性は8万ドルでした。数学とコンピュータ科学では、男性は期待される給与中央値が12万5000ドルであるのに対し、女性ではその数字は10万1500ドルであると報告されました(Woolston, 2021)。

最近の経済状況

2015年、米国は「大不況」からの回復を続けていました。大不況は、ほぼ間違いなく1929年の株式市場の崩壊とそれに続く大恐慌以来最悪の景気後退でした。

2008年の不況は、積極的な融資、投資会社による極めてリスクの高い行動、政府による監視の甘さによってもたらされました。この期間、銀行は貧弱なクレジット履歴を持つ人々に、時には欺瞞的な初期の低金利で住宅ローンを提供しました。金利が上昇すると、借り手の住宅ローン返済額は支払いができなくなるほど増加しました。同時に、投資会社はこうしたリスクの高い住宅ローンを、それぞれ数十億ドル相当の大規模な一括でまとめられた投資商品(不動産担保証券またはMBS)の形で購入していました。格付け会社は、不動産担保証券をそのリスクの度合いに応じて格付けすることになっていましたが、どのような種類の住宅ローンが含まれていても、通常、すべてのMBSを優良と格付けしました。住宅ローンが債務不履行になると、投資会社の保有資産は減少しました。大量の債務不履行が発生したことで、融資を行った金融機関に加えて、MBSを購入した金融機関にも負担がかかり、このストレスは経済全体、そして世界中に波及しました。

金融システム全体が恒久的な損害の危機に瀕していたため、アメリカ政府はこれらの企業の多くを救済し、航空会社や自動車会社など他の産業にも支援を行いました。しかし大不況を止めることはできませんでした。米国は高失業率の長期化、富の極端な減少(最上層の人々を除く)、賃金の低迷、個人資産(家屋や土地)の価値喪失の時代に陥りました。

しかしながら、2009年以降、企業が足元を固めるにつれて雇用は回復し始めました。2012年までには、この国のほとんどの雇用率は大不況前の水準に近づきました。しかしながら、人口のほとんどの層で所得の中央値は上昇しておらず、実際には後退しているケースが多いです。中流階級の規模、所得、富は1970年代から減少しており、その影響はおそらく大不況によってさらに加速されました。今日、富はトップ層に不公平に分配されています。企業の利益は141%以上増加し、CEOの給与は298%以上上昇しました。

賃金は上昇せず、実店舗型小売業(百貨店や同様のチェーン店)など経済の一部も不振でしたが、経済全体としては大不況後から2020年まで成長しました。失業率は2019年後半に歴史的な低水準に達しました。COVID-19がそのすべてを変えました。あなた自身も経験したかもしれませんが、全産業が操業停止や大幅な事業縮小を余儀なくされ、信じられないような損失を被りました。仕事を解雇された人もいれば、労働時間や賃金を減らされた人もいました。失業率は再び急上昇し、過去最低を記録してからわずか半年で15%近い最高値に到達しました。接客業から鉱業に至るまで多様な業種で雇用の大幅な減少が報告され、特にパートタイム労働者が大きな打撃を受けました。2021年初頭には、全体の失業率はおおむね通常の水準に戻りました。しかしながら、長い間仕事がなかった人々への影響は甚大なものでした(Congressional Research Service, 2021)。

18.1 経済システム

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 経済システムの種類とその歴史的発展を区別する
  • 資本主義と社会主義について、理論と実践の両面から記述する
  • 機能主義者、紛争理論家、シンボリック相互作用論者の経済と労働に対する見方について論じる
図18.2 | ウラジーミル・イリイチ・レーニンはロシア共産主義の創始者の一人でした。J・P・モルガンは歴史上最も影響力のある資本家の一人でした。両者は経済がどのように運営されるべきかについて、まったく異なる見解を持っています。(Credit: Photos (a) and (b) Wikimedia Commons)

図18.2 | ウラジーミル・イリイチ・レーニンはロシア共産主義の創始者の一人でした。J・P・モルガンは歴史上最も影響力のある資本家の一人でした。両者は経済がどのように運営されるべきかについて、まったく異なる見解を持っています。(Credit: Photos (a) and (b) Wikimedia Commons)

現代の支配的な経済システムは資本主義と社会主義であり、それぞれのシステムには世界中で多くのバリエーションがあります。各国は、支配者や経済的な運命の変化に応じてシステムを切り替えてきました。例えば、ロシアは世界における当該地域での共産主義の崩壊以来、市場を基盤とした経済への移行を進めています。ベトナムはベトナム戦争で経済が壊滅的な打撃を受け、それに対応するために国営経済に再編され、最近では社会主義スタイルの市場経済へと移行しています。過去において、他の経済システムはそれを形成した社会を反映していました。それらの初期のシステムの多くは何世紀も続きました。こうした経済の変化は、社会学者たちに多くの疑問を投げかけます。これらの古い経済システムとは何なのでしょうか?それらはどのように発展したのでしょうか?なぜ衰退したのでしょうか?古い経済システムと現代の経済システムの類似点と相違点は何なのでしょうか?

農業社会・工業社会・脱工業社会の経済学

図18.3 | 農業経済は、発見と技術に依拠して最低限の生存から繁栄へと移行します。バナウエの棚田は、イフガオ族の祖先が手作業でこの景観へと切り開いたものです。稲が育つには平らで完全に水没した田んぼが必要なので、山間部はもともと稲作に適していません。山腹を変形させ、大規模な灌漑システムを維持することによって、この農民-技術者たちは、通常この地形がもたらすであろう収穫量をはるかに上回る米を生産しました。興味深いことに、この場所の経済は再び変化しており、棚田を耕作するよりも棚田を訪れる観光の方が急成長しています。

図18.3 | 農業経済は、発見と技術に依拠して最低限の生存から繁栄へと移行します。バナウエの棚田は、イフガオ族の祖先が手作業でこの景観へと切り開いたものです。稲が育つには平らで完全に水没した田んぼが必要なので、山間部はもともと稲作に適していません。山腹を変形させ、大規模な灌漑システムを維持することによって、この農民-技術者たちは、通常この地形がもたらすであろう収穫量をはるかに上回る米を生産しました。興味深いことに、この場所の経済は再び変化しており、棚田を耕作するよりも棚田を訪れる観光の方が急成長しています。

私たちの最古の祖先は狩猟採集者として生活していました。拡大家族の小集団が、生活の糧を求めてあちこちを歩き回りました。彼らは資源が豊富な地域に短期間定住したかもしれません。彼らは肉を得るために動物を狩り、野生の果物、野菜、穀物を集めました。彼らは獲ったもの、採集したものをできるだけ早く食べました。なぜなら、保存したり持ち運んだりする手段がなかったからです。ある地域の資源が底をつくと、集団は移動しなければならず、所有するものはすべて一緒に持って旅をしなければなりませんでした。食料備蓄は、彼らが持ち運べるものだけで構成されていました。多くの社会学者は、狩猟採集民は真の経済を有していなかったと主張しています。なぜなら、物資が乏しいため、集団は通常他の集団と交易をしなかったからです。

農業革命

人々が作物を育て、動物を飼い慣らし始めたとき、最初の真の経済が到来しました。正確な時期については、考古学者の間でもまだ大きく意見が分かれていますが、調査によれば、農業は世界中のいくつかの場所で、それぞれ異なる時期に独立して始まったということが示されています。最古の農業は、中東の肥沃な三日月地帯で1万1000~1万年前頃に始まりました。次にインドのインダス川と中国の長江、黄河の流域で、1万~9千年前に始まりました。ニューギニアの高地に住む人々が農耕を発達させたのは9000~6000年前、サハラ以南のアフリカでは5000~4000年前に農耕が行われていました。西半球では農業の発達が遅れ、5000~3000年前に、後のアメリカ東部、メキシコ中部、南アメリカ北部となる場所で発生しました(Diamond, 2003)。

図18.4 | 農業の実践は、異なる時期に異なる社会で生まれました。(Information: Wikimedia Commons)

図18.4 | 農業の実践は、異なる時期に異なる社会で生まれました。(Information: Wikimedia Commons)

農業は、例えば土を砕くための先の尖った棒のような最も単純な技術から始まりましたが、人々がその同じ作業をするためのさらに効率的な道具である犂を引くために動物を利用するようになってから、本格的に沸き起こりました。この新しい技術によって、1つの家族が自分たちを養うだけでなく、他の人々を養うにも十分な作物を育てることができるようになりました。作物の世話さえしていれば毎年豊富な食料が得られることがわかったため、人々は狩猟採集の放浪生活を放棄して、農耕をするために定住するようになりました。

食料生産の効率が向上したことで、すべての人が一日中畑で懸命に働かなくてもよくなりました。農業が発展するにつれて、新しい技術とともに新しい仕事が生まれました。余剰作物を貯蔵し、加工し、保護し、輸送する必要がでてきました。農機具や灌漑システムを建設し、維持する必要もありました。野生動物を家畜化し、群れの面倒を見る必要がありました。経済が発展し始めたのは、人々が商品やサービスを取引するようになったからです。同時に、農民はやがて支配階級のために働くようになりました。

農耕以外の仕事に従事する人が増えるにつれ、村は町へと成長し、やがて都市へと発展しました。都市部では行政官や公務員が必要とされるようになりました。所有権、支払い、債務、損害賠償などをめぐる争いが、法律と裁判所、そしてそれらの法律を管理・執行する裁判官、書記官、弁護士、警察の必要性につながりました。

当初、ほとんどの商品やサービスは贈答品として、あるいは小さな社会集団の間で物々交換によって取引されていました(Mauss, 1922)。ある形態の商品やサービスを別のものと交換することは、物々交換として知られていました。このシステムが機能するのは、ある人が偶然、相手が必要とするものを同時に持っている場合だけです。この問題を解決するために、人々はいつでも使える交換手段というアイデアを発展させました。つまり、貨幣です。貨幣とは、社会が支払いのために交換できるように価値を与えることに合意した物体のことを指します。初期の経済では、貨幣はしばしばコヤスガイの貝殻、米、大麦、あるいはラム酒といったものでした。貴金属はその耐久性と携帯性から、多くの文化ですぐに交換手段として好まれるようになりました。最初の硬貨は、紀元前650~600年頃に現在のトルコにあるリディアで鋳造されました(Goldsborough, 2010)。初期の法規範は、貨幣の価値とさまざまな商品の交換レートを定めました。また、そこには相続の規則、犯罪に対する罰則としての罰金、財産の分割方法や課税方法なども定められていました(Horne, 1915)。シンボリック相互作用論者は、物々交換と貨幣は象徴的交換のシステムであると指摘するでしょう。貨幣は象徴的な意味を持ち、それは現代の現金、小切手、デビットカードの使用にも受け継がれています。

現実世界における社会学

貨幣なしで生きる女性

貨幣を持っていないところを想像してみてください。もしあなたがフライドポテトが食べたい、新しい靴が欲しい、あるいは車のオイル交換が必要だとしたら、あなたはどうやってそれらの商品やサービスを手に入れるでしょうか?

これは単なる理論上の質問ではありません。考えてみてください。社会の辺縁にいる人々は、このような状況で何をするでしょうか?家庭内虐待から逃れて、あらゆるものを投げ出し、何も持たない人のことを考えてみてください。あるいは、新しい生活を築きたいが、その機会を見つけるために別の生活を捨てなければならなかった移民のことを。あるいは、単に一度の食事を望むだけのホームレスの人のことを。

この最後の例であるホームレスこそ、ハイデマリー・シュヴェルマーが貨幣をあきらめた原因です。彼女はドイツにいる離婚した高校教師でしたが、子供たちをホームレス人口の多い田舎町に転居させたことで、彼女の人生が一転しました。彼女は社会で通貨として機能するものに疑問を持ち始め、何か新しいことをしようと決意しました。

シュヴェルマーはギブ・ウント・ニム(英語で「ギブ・アンド・テイク」)というビジネスを立ち上げました。このビジネスは、お金を使わないことを基本に運営され、人々が現金を介さず商品やサービスを他の商品やサービスと交換できるように努めています(Schwermer, 2007)。この短期間の実験から始まったものは、今や新しい生活様式となっています。シュヴェルマーは、この変化によって、外見的な富ではなく、人々の内面的な価値に焦点を当てることができるようになったと述べています。彼女は自分の体験談を綴った二冊の本を書き(売り上げはすべて慈善事業に寄付しています)、そして何よりも重要なことに、お金では得られなかった人生の豊かさを手に入れました。

社会学の3つの視点は、彼女の行動をどう見るでしょうか?彼女の型破りなやり方のどこに最も興味を持つでしょうか?機能主義者は彼女の規範の逸脱を、正常なバランスを崩す社会的逆機能と考えるでしょうか?紛争理論家なら、彼女を社会階層にどう位置づけるでしょうか?シンボリック相互作用論者なら、現代社会で重要なシンボルであるお金を使わないという彼女の選択をどう評価するでしょうか?

あなたはギブ・ウント・ニムをどう考えますか?

都市国家が国へと成長し、国が帝国へと成長するにつれて、その経済も成長しました。大帝国が崩壊すると、その経済も崩壊しました。新しく形成された国々の政府は、自国の市場を保護し、拡大しようと目論みました。彼らは、世界中に新しい市場と資源を見つけるための発見の航海に資金を提供し、それが急速な経済発展の進行の先駆けとなりました。

これらの市場を確保するために植民地が設立され、領土を占領するために戦争資金が調達されました。これらの事業の資金は、投資家から資本を集め、彼らには得られた商品から返済がなされることによって部分的には賄われました。また、政府や民間人は大規模な貿易会社を設立し、それらは株式や債券を売却することで世界各地での事業資金を調達しました。

各国政府は、重商主義と呼ばれるシステムを発展させることによって、市場での自分たちのシェアを守ろうと試みました。重商主義とは、税金やその他の賦課金を通じて植民地市場や外国市場を支配することにより、銀や金を蓄えることに基づいた経済政策です。その結果生じた制限的な慣行や厳しい要求には、独占、特定の商品の禁止、高関税、排他要件などが含まれました。また、重商主義政府は製造業を奨励し、技術改良に資金を提供する能力によって、産業革命につながる機器の製造に貢献しました。

産業革命

18世紀末まで、製造業のほとんどは手作業で行われていました。それは、発明家たちが商品を製造するための機械を考案するにつれて変わっていきました。少数の技術革新が、イギリス経済の大きな変革へとつながりました。繊維産業では、綿、梳毛、亜麻の紡績が、ジェニー紡績機やミュール紡績機といった名前の新しい機械を使って、より早く、より安価に行えるようになりました(Bond, 2003)。もう1つの重要な技術革新が鉄の生産において行われました:製錬の全工程で、木からの木炭ではなく石炭からのコークスを使用できるようになったため、鉄の生産コストは劇的に低下し、利用可能性も向上しました(Bond, 2003)。ジェームズ・ワットは、多くの学者が最も大きな変化と認めるものを先導しました。彼は、改良型蒸気機関によって輸送に革命をもたらし、それによって商品の生産全体に革命をもたらしました。

工場での仕事を求めて人々が都市に移り住むにつれ、工場での生産も変化しました。労働者は組み立てラインで仕事をし、製造工程の1つか2つのステップだけを完了するように訓練されました。このような進展によって、より多くの完成品を以前よりも効率的かつ迅速に製造できるようになりました。

産業革命は農業のやり方も変えました。それまでは、多くの人々が自給自足の農業を実践し、自分たちを養い、税金を納めるのに十分な量しか生産していませんでした。新しい技術によって、トラクター、種まき機、脱穀機、コンバイン収穫機など、ガソリンを動力源とする農具が導入されました。農家は利益を最大化するため、単一の作物を大規模に作付けすることを奨励されました。輸送手段が改善され、冷蔵が発明されたことで、農産物は世界中に安全に出荷されるようになりました。

産業革命は世界を近代化しました。資源の増加に伴い、社会と経済も成長しました。1800年から2000年の間に、世界の人口は6倍に増加し、一人あたりの所得は10倍に跳ね上がりました(Maddison, 2003)。

多くの人々の生活が向上する一方で、産業革命は多くの社会問題も生み出しました。このシステムの中にはさまざまな不平等がありました。所有者が莫大な富を築く一方で、幼い子供を含む労働者は安全でない環境で長時間労働に従事しました。労働者の権利、賃金保護、安全な労働環境は、この時代に生じた問題であり、今日でも懸念事項となっています。

脱工業社会と情報時代

情報社会としても知られる脱工業社会は、近代化した国々で発展してきました。現代の最も価値ある財の1つは情報です。情報を生産し、保存し、広める手段を持つ人々が、この種の社会のリーダーです。

学者がさまざまなタイプの社会(農業、工業、脱工業など)の発展を理解する1つの方法は、その経済を4つのセクター(第一次、第二次、第三次、第四次)に分けて検討することです。それぞれのセクターには異なる焦点があります。第一次産業は原材料(金属や農作物など)を抽出し、生産します。第二次産業は、それらの原材料を最終製品に変えます。第三次産業は、育児、医療、資金管理などのサービスを提供します。最後に、第四次産業はアイデアを生み出します。これには、新技術につながる研究、情報の管理、社会の最高レベルの教育や芸術などが含まれます(Kenessey, 1987)。

後進国では、国民の大半が第一次産業に従事しています。経済が発展するにつれて、より多くの人々が第二次産業で雇用されるようになります。米国、日本、西ヨーロッパなどのよく発展した経済では、労働力の大半がサービス産業で雇用されています。例えば米国では、労働力のほぼ80%が第三次産業に従事しています(U.S. Bureau of Labor Statistics, 2011)。

日常生活のあらゆる場面でコンピュータの利用が急速に増加していることが、情報経済への移行の主な理由です。コンピュータ化されたロボットが多くの作業をこなすようになったため、工場で働くために必要な人の数は減っています。グローバル経済が発展した結果、その他の製造業の仕事は開発途上国にアウトソーシングされるようになりました。インターネットの成長により、ほとんどすべてがオンライン上に存在するような産業が生まれました。さまざまな業界内でも、テクノロジーは商品の生産方法を変え続けています。例えば、音楽産業や映画産業は、かつてはCDやDVDのような物理的な製品を生産して流通させていました。現在、これらの商品はますますデジタルで生産され、ストリーミングやダウンロードされることが増えており、物理的な製造コストははるかに低くなっています。情報とそれを創造的に使用する手段は、脱工業化経済における必需品となっています。

資本主義

図18.5 | 資本主義は驚異的なイノベーションを可能にしますが、同時に雇用主や所有者に多くの決定を下す権限を与えています。このパン会社は、その製品を包装し、出荷準備するプロセスを自動化しています。ご覧の通り、この工場のフロアにはほとんど人がいないように見えます。(Credit: KUKA Roboter GmbH, Bachmann)

図18.5 | 資本主義は驚異的なイノベーションを可能にしますが、同時に雇用主や所有者に多くの決定を下す権限を与えています。このパン会社は、その製品を包装し、出荷準備するプロセスを自動化しています。ご覧の通り、この工場のフロアにはほとんど人がいないように見えます。(Credit: KUKA Roboter GmbH, Bachmann)

資本主義の単一の定義について、学者が必ずしも合意するとは限りません。私たちの目的のために、ここでは、資本主義を、(国家所有ではなく)私的所有があり、利潤を生み出す原動力があり、それによって富が生み出される経済システムとして定義します。これは、今日米国で行われている経済のタイプです。資本主義の下で、人々は資本(事業ベンチャーに投資された資金または財産)を事業に投資し、市場で消費者に向けて販売できる製品やサービスを生産します。会社への投資家は一般的に、生産と流通のコストを差し引いた後の売上で得た利益の分配を受ける権利があります。これらの投資家は、しばしばその利益を再投資して事業を改善・拡大したり、新たな事業を買収したりします。この仕組みがどのように機能するかを説明するために、次の例を考えてみましょう。サラ、アントニオ、クリスはそれぞれ、革新的なベビー用品を提供する新興企業に25万ドルを投資します。その会社が初年度に100万ドルの利益を上げると、その利益の一部がサラ、アントニオ、クリスの三人に投資の見返りとして還元されます。サラは2つ目の製品ラインの開発資金として同じ会社に再投資し、アントニオはテクノロジー分野の別の新興企業を支援するためにリターンを使い、クリスは休暇用の小型ヨットを購入します。

製品やサービスを提供するために、所有者は労働者を雇い、彼らに賃金を支払います。原材料費、消費者に課す小売価格、賃金として支払う金額は、需要と供給の法則および競争によって決定されます。需要が供給を上回ると、価格は上昇する傾向にあります。供給が需要を上回れば、価格は下落する傾向にあります。複数の企業が同じ買い手に同じような製品やサービスを販売する場合、そこには競争が存在します。競争は、消費者に競合他社からではなく自社から買ってもらおうとするため、価格の低下や品質の向上につながる可能性があり、消費者にとっては良いこととなり得ます。

賃金も同様の形で設定される傾向があります。供給が不足している才能、技能、教育、または訓練を持ち、企業に必要とされている人々は、同等の技能を持たない人々よりも多くを稼ぐ傾向があります。労働力における競争は、人々がどれだけ支払われるかを決定するのに役立ちます。多くの人が失業し、仕事が不足している時代には、人々はしばしば、自分のサービスの需要が高いときよりも低い額を受け入れることを厭いません。このシナリオでは、企業は労働者の賃金を上げないことによって、利益を維持または増やすことができます。

資本主義の実践

産業革命の時代、資本家が多くの国の経済を支配し始めると、企業の急速な成長とその多大な収益性により、一部の所有者は、産業全体を独占できる巨大企業を創設するために必要な資本を手に入れました。多くの企業は、原材料から生産、販売店に至るまで、その産業の生産サイクルのあらゆる側面を支配しました。これらの企業は、その富を利用して、あらゆる競争相手を買収したり、抑圧したりすることができました。

アメリカでは、このような巨大独占企業の用いた略奪的な戦術が、政府による行動を引き起こしました。1800年代後半から、政府は独占企業を解体する一連の法律を制定し、運輸、鉄鋼生産、石油・ガスの探査・精製などの主要産業がビジネスを行う方法を規制しました。

米国は資本主義の国と考えられています。しかしながら、米国政府は制定する法律や政府機関が施行する規制を通じて、民間企業に大きな影響力を持っています。税金、賃金に関する規制、労働者の安全や環境を守るための指針、さらに銀行や投資会社に対する金融規則などを通じて、政府はすべての企業のビジネス方法に対して一定のコントロールを行使しています。州政府や連邦政府は、郵便局、学校、病院、高速道路と鉄道、上下水道、電力会社など、特定の産業の大部分を所有、運営、または管理してもいます。政府が経済にどの程度関与すべきかについてをめぐる議論は、今日でも論争の的として残っています。そのような関与は社会主義(一種の国営経済)だと批判する人もいれば、労働者の権利や一般住民の福利を守るために介入が必要だと考える人もいます。

社会主義

図18.6 | 第二次世界大戦後の中国とロシアの経済は、社会主義の一形態の例です。(Credit: Wikimedia Commons)

図18.6 | 第二次世界大戦後の中国とロシアの経済は、社会主義の一形態の例です。(Credit: Wikimedia Commons)

社会主義とは、財とその生産を政府が所有し(しばしば「国営」と呼ばれます)、労働と富を社会の構成員の間で平等に共有することを推進する経済システムです。社会主義の下では、サービスを含め、人々が生産するものはすべて社会的生産物とみなされます。財の生産やサービスの提供に貢献した人は誰でも、その販売や使用から生じる利益を分け合う権利があります。社会の全構成員が公平に分け前を得られるようにするため、政府は財産、生産、分配を管理できなければなりません。

資本主義が個人の利益を追求するのに対し、社会主義は社会に利益をもたらすことに重点を置きます。社会主義者は、資本主義経済が不公平な富の分配や、社会を犠牲にして権力を行使する個人などといった不平等につながると主張します。社会主義は、理想的には、資本主義に内在する問題を回避するために経済をコントロールしようと努めます。

社会主義の中でも、経済をどの程度まで統制すべきかについては、見解が分かれています。ある極端な考え方は、最も個人的なもの以外はすべて公共の財産だと考えます。他の社会主義者は、医療、教育、公益事業(電力、通信、下水)などの必要不可欠なサービスのみを直接管理する必要があると考えます。この形態の社会主義では、農場、小規模店舗、企業は私有できますが、政府の規制を受けます。

社会主義者が意見を異にするもう1つの分野は、社会がどのレベルで統制を発揮すべきかということです。旧ソ連、中国、ベトナム、北朝鮮のような共産主義国では、国家政府が中央集権的に経済を統制しています。それらの政府はすべての企業に対して、何を生産し、どれだけ生産し、それにいくらの値段をつけるかを指示する権限を持っていました。他の社会主義者は、統制は脱中央化されるべきであり、統制される産業から最も影響を受けている人々によって発揮されるべきだと考えています。この例としては、住民が依存している企業を町が一括して所有し、管理することが挙げられるでしょう。

共産主義国のいくつかは、経済における課題のため、中央計画から市場の力に多くの生産と価格決定を委ねるようになっています。市場社会主義とは、限定的な私的所有権を認めたり、市場の需要に応じたりするなど、資本主義の何らかの特徴を取り入れた社会主義のサブタイプを表します。これには、企業が生み出した利益が直接その企業の従業員に支払われたり、公的資金として使われたりするような状況が含まれます(Gregory and Stuart, 2003)。多くの東欧諸国や一部の南米諸国は混合経済です。主要産業は国有化され、政府によって直接管理されていますが、ほとんどの企業は民間所有で、政府によって規制されています。

米国では、組織的な社会主義が力を持つことはありませんでした。労働組合と政府が労働者の権利を確保することに成功したことと、労働者の大半が享受している高い生活水準とが相まって、社会主義はアメリカで実践されている統制された資本主義よりも魅力的なものとなることはありませんでした。

図18.7 | この地図は、ある時点で社会主義経済を採用した国々を示しています。色は社会主義が優勢であった期間を示しています。(Credit: Wikimedia Commons)

図18.7 | この地図は、ある時点で社会主義経済を採用した国々を示しています。色は社会主義が優勢であった期間を示しています。(Credit: Wikimedia Commons)

社会主義の実践

資本主義と同様、社会主義の背後にある基本的な考え方は、歴史のはるか昔にさかのぼります。古代ギリシャのプラトンは、人々が物質的な財を共有する共和制を提案しました。初期のキリスト教共同体は、さまざまな宗教団体によって設立された修道院のシステムが行っていたのと同様に、共有の所有権を信じていました。フランス革命の指導者たちの多くは、打倒した貴族の財産だけでなく、すべての私有財産の廃止を求めました。1516年に出版されたトマス・モアの『ユートピア』は、私有財産をほとんど持たず、共同農場での義務的労働がある社会を想像していました。それ以来、ユートピアとは、すべてが完璧な想像上の場所や状況を意味するようになりました。実験的なユートピア共同体のほとんどは、私有財産の廃止を創設の理念としました。

現代の社会主義は、実際には1800年代から1900年代にかけての野放しな産業資本主義の行き過ぎに対する反動として始まりました。所有者たちが享受していた莫大な富と贅沢な暮らしぶりは、労働者たちの悲惨な境遇とは鋭い対照をなしていました。

社会学の最初の偉大な思想家たちの幾人かは、社会主義の台頭を研究しました。マックス・ウェーバーは、社会主義のいくつかの側面、特にその合理主義と、それが社会改革にどのように役立ち得るかを賞賛しましたが、彼は、政府に完全な支配権を持たせることが、そこから逃れることのできない「将来の束縛の鉄の檻」をもたらす可能性があることを懸念しました(Greisman and Ritzer, 1981)。

ピエール=ジョゼフ・プルードン(1809-1865)もまた、社会主義をユートピア的共同体の創造に利用できると考えた初期の社会主義者です。1840年の著書『財産とは何か』の中で、彼は「財産とは窃盗である」(Proudhon, 1840)という有名な言葉を述べています。これによって、彼は、もし所有者が財産を生産したり獲得するために働かなかった場合、所有者は働いている人々から財産を盗んでいるのだ、ということを意味していました。プルードンは、経済が相互主義と呼ばれる原則を用いて機能すると考え、その原則のもとでは、個人や協力的な集団は、相互に満足のいく契約に基づいて、互いに生産物を交換しあうと考えました(Proudhon, 1840)。

社会主義に関して群を抜いて最も重要で影響力のある思想家はカール・マルクスです。マルクスは、自身の著作と、彼の協力者であった実業家フリードリヒ・エンゲルスとの著作を通じて、科学的な分析プロセスを用いて、歴史を通じて階級闘争の解決が経済の変化を引き起こしたことを示しました。マルクスは、奴隷と所有者から、農奴と領主、職工と親方、労働者と所有者へと関係性が発展していくのを見ました。マルクスもエンゲルスも、社会主義が小さなユートピア的共同体の設立に使えるとは考えていませんでした。むしろ彼らは、労働者が資本主義的所有者に反抗し、生産手段を掌握した後に社会主義社会が生まれるだろうと考えていました。彼らは、産業資本主義が、社会主義、そして共産主義国家へと進展しうるところまで社会の生産レベルを引き上げるために必要なステップであると感じていました(Marx and Engels, 1848)。これらの考え方は、社会紛争理論という社会学的視点の基礎を形成しています。

現実世界における社会学

政治家、社会主義、そして変わりゆく視点

ほとんどの大統領選挙や、いくつかの州や地方の選挙では、候補者の一人または複数が、恐怖心を喚起し、愛国心の欠如を示すことを意味する言葉で侮辱されることでしょう:彼らは社会主義者と呼ばれます。

アメリカの歴史上、少数の例外を除いて、主流派の政治家たちであればこのラベルを剥がす努力をしてきたでしょう。このラベルは、アメリカよりも自由が少なく、一般的に繁栄していない、破綻した国や全体主義的な国を思い起こさせたかもしれません。

しかしながら、最近では、この言葉をより心地よく感じている政治家もいるようです。とりわけバーモント州選出の上院議員バーニー・サンダースは「民主的社会主義者」という言葉を受け入れており、ニューヨーク州選出の下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスもそうです。彼らは、ヨーロッパのいくつかの国のものに似た政府の関与モデルを支持しています。彼らは学生ローンの免除、公立大学の無償化、国民皆保険制度、営利目的の刑務所の廃止などの政策を提唱しています。場合によっては、電力会社のような企業が支配するいくつかの産業における企業解体や政府の関与を提唱することもあります。また、ドイツやイギリスなど多くの半社会主義社会が世界有数の経済大国であり、経済的機会が豊富で、(富裕になる能力を1つの指標とするならば)百万長者や億万長者がたくさんいることも指摘しています。

社会主義に付随することのある政治的なダメージを超えて、アメリカの多くの人々は、民間の産業に政府が関与するという考え方を好みません。選択と無制限の機会はアメリカの物語の一部であり、大企業は私たちのライフスタイルに良い影響を与えてきました。しかし、そうした考え方の一部は変わりつつあります。この教科書の他の部分で述べられているように、米国では所得格差がかつてないほど拡大しており、さまざまな政治的背景を持つ多くの人々が、所得の不平等を非難しています。

米国経済のもう1つの側面は、すでに社会主義的な傾向があるかどうかです。その一例が、政治家が(与野党を問わず)特定の企業や産業に助成金支払いや減税を行う各種の補助金の慣行でしょう。補助金は、小規模農家のような人々が危機の時期にあっても存続できるようにするために必要な場合もありました。多くの年において、数百億ドルの農業補助金は農業収入全体の25%以上を占めており、2003年には41%、2020年には39%となっています(Abbott, 2020)。石油のように収益性の高い産業でも補助金は一般的で、米国政府は多くの企業のエネルギー生産事業に深く関わっています。政府はまた、しばしば連邦準備制度による措置を通じて、民間銀行の融資業務にも大きな役割を果たしています。企業救済、高水準の軍事費支出、政府が群を抜いて米国市民の最大の雇用主であるという事実を加えると、米国が純粋な資本主義社会でないことは明らかです。ほとんどの経済学者は、米国を混合経済と呼んでいます。

それはそんなに悪いことでしょうか?どちらのシステムも完璧ではありません。億万長者のヘッジファンド・マネージャーであるレイ・ダリオは、社会的平等と慈善事業に注意を向ける前に資本主義の恩恵を受けていたことは確かですが、このように表現しています:「ほとんどの資本主義者は経済的パイの上手な分け方を知らず、ほとんどの社会主義者はパイの上手な増やし方を知らない」(Dalio, 2019)。

収斂理論

私たちは、米国など一部の資本主義国の経済が、社会主義によく似た特徴を持っていることを見てきました。一部の産業、特に公共事業は、政府が所有するか、規制を通じて管理されています。福祉、メディケア[高齢者向け医療保険制度]、社会保障などの公的プログラムは、私的な必要性に公的資金を提供するために存在します。また、私たちは、ロシア、中国、ベトナムなどの共産主義(あるいはかつて共産主義だった)大国のいくつかが、中央計画による国家統制の社会主義から、市場の力による価格や賃金の決定、一部の事業の民間所有を認める市場社会主義に移行したことも見てきました。多くの旧共産主義国では、共産主義下で経験した停滞に比べ、こうした変化が経済成長につながりました(Fidrmuc, 2002)。

開発途上国の経済が、以前に先進国が経験したのと同じような段階を経ているかどうかを研究する中で、社会学者は収斂と呼ばれるパターンを観察してきました。これは、経済が発展するにつれて、社会は時間の経過とともに類似したものへと向かうという理論を記述するものです。

収斂理論は、ある国の経済が成長するにつれて、その国の社会組織は工業化社会に近いものへと変化していくと説明します。人々は1つの仕事に一生とどまるのではなく、条件の改善や機会の発生に応じて職を転々とするようになります。これはつまり、労働力には継続的な訓練と再訓練が必要になることを意味します。諸都市が経済活動の中心地となるにつれて、労働者は農村部から都市部へと移動し、政府は拡大した公共サービスの提供においてより大きな役割を担うようになります(Kerr et al., 1960)。

この理論の支持者は、第二次世界大戦後に急速に経済を再建したドイツ、フランス、日本を挙げます。また、1960年代から1970年代にかけて、シンガポール、韓国、台湾などの東アジア諸国が、先進経済国に収斂していったことを指摘します。現在、これらの国々は先進国そのものとみなされています。

図18.8 | 社会学者は、欧州連合(EU)に加盟した国々と離脱した国の社会における収斂と発散の兆候を探します。イギリスはEU離脱に投票し、数年にわたる政策転換、数人の新首相、交渉の末、2020年に正式に離脱し、2021年にほとんどの貿易協定を終了しました。なお、イギリスの離脱は、イギリス、スコットランド、北アイルランド、6.7平方キロメートルの領土であるジブラルタルも離脱することを意味することに留意してください。(Credit: Hogweard/Wikimedia Commons)

図18.8 | 社会学者は、欧州連合(EU)に加盟した国々と離脱した国の社会における収斂と発散の兆候を探します。イギリスはEU離脱に投票し、数年にわたる政策転換、数人の新首相、交渉の末、2020年に正式に離脱し、2021年にほとんどの貿易協定を終了しました。なお、イギリスの離脱は、イギリス、スコットランド、北アイルランド、6.7平方キロメートルの領土であるジブラルタルも離脱することを意味することに留意してください。(Credit: Hogweard/Wikimedia Commons)

このような急成長を遂げるためには、開発途上国の経済が、新規事業への投資や伝統的に低い生産性を改善するために安価な資本を呼び込むことができなければなりません。また、商品を購入するための新しい国際市場へのアクセスも必要です。これらの特徴が整っていなければ、それらの経済が追いつくことはできません。これが、一部の国の経済が収斂するどころか発散している理由です(Abramovitz, 1986)。

経済成長のもう1つの重要な特徴は、技術の導入に関するものです。開発途上国は、他国が先に直面した技術導入のいくつかのステップを回避することができます。テレビや電話システムはその好例です。先進国が金属線や光ファイバーケーブルに基づく精巧なシステム・インフラストラクチャーを確立するのに多大な時間と資金を費やしたのに対し、開発途上国は今日、はるかに少ない投資で携帯電話や衛星通信に直接移行することができます。

もう1つの要因は、社会構造に関する収斂に影響します。その開発の初期において、ブラジルやキューバのような国々は、大規模なプランテーションで非熟練労働者が栽培する換金作物(例えばコーヒーやサトウキビなど)を基盤に経済が成り立っていました。エリート層がプランテーションと政府を運営し、民衆を他の取り組みに向けて訓練や教育することにはほとんど関心がありませんでした。このため、裕福なプランテーション所有者の権力が挑戦を受けるまでは、経済成長が制限されていました(Sokoloff and Engerman, 2000)。一般に、経済が向上すると、社会のより広い改善へとつながります。社会は教育制度の改善から恩恵を受け、人々は学習や余暇により多くの時間を割くことができるようになります。

経済に関する理論的視点

経済の歴史と基本的な構成要素について私たちの理解を深めたところで、次に理論に目を向けてみましょう。社会科学者はこれらのトピックをどのように研究するのでしょうか?彼らはどのような問いを立てるでしょうか?社会学的知識の体系に加えるために、どのような理論を構築するでしょうか?

機能主義の視点

機能的な視点に立つ人は、労働と経済を、最大限の効率を発揮するように設計された、円滑に動く機械として見る可能性が最も高いでしょう。例えば、デイヴィス=ムーア論文は、何らかの社会階層は社会的必然であることを示唆しています。特定の高度技能職の必要性と、その職業の相対的な難易度や資格取得に要する時間の長さが組み合わさると、その仕事に対する報酬が高くなり、より多くの教育を受け、より困難な職業に従事する経済的動機を提供することになります(Davis and Moore, 1945)。この理論は、博士号や医学の学位を持つ人だけが就くことのできるキャリアに伴う名声や給与を説明するのに用いることができます。

機能主義的な視点では、経済の継続的な健全性は財やサービスの流通を保証するため、国家の健全性にとって不可欠であると考えるでしょう。例えば、私たちは、食料が農場(高機能で効率的な農業システム)から道路(安全で効果的なトラック輸送や鉄道ルート)を経由して、都市中心部(労働者が集まる高密度地域)に運ばれることを必要とします。しかしながら、時には経済における逆機能(社会制度や組織を混乱させる可能性のある機能(Merton, 1968))が生じることがあります。なぜなら、通常は、いくつかの制度は、変わりゆく社会情勢に追いつくのに十分なほどに素早く適応することができないからです。この教訓は、最近起きた住宅バブルの崩壊によって再認識されました。リスクの高い融資慣行と規制の不十分な金融市場のせいで、私たちはいまだに大不況(マートンであれば、大きな逆機能として表現することでしょう)の後遺症から回復する途上にあります。

このうちのいくつかは循環的なものです。市場は想定される通りに商品を生産しますが、やがて市場は飽和し、商品の供給が需要を上回ります。典型的には、市場は余剰(あるいは過剰)、インフレーション(あなたのポケットの中のお金で今日買えるものが、昨日買えたものより少なくなること)、不況(2四半期以上連続して景気が落ち込むこと)の段階を経ます。機能主義者は、市場の力がこれらの段階を循環するように変動するのに任せよ、と言うでしょう。現実には、経済恐慌(複数の経済部門にまたがる持続的な不況)のリスクを制御するために、米国政府はしばしば金利を調整し、貸出を増やし、結果として支出を増やすよう促すでしょう。要するに、自然のサイクルで変動するままにしておくことは、多くの政府が喜んで手を出すようなギャンブルではありません。

紛争の視点

紛争の視点をとる理論家にとって、経済は社会の安定の源ではありません。むしろ経済は、特に資本主義市場における経済的不平等を反映し、再生産するものです。紛争の視点は、古典的なマルクス主義的なものであり、ブルジョアジー(支配階級)は、プロレタリアート(労働者)を搾取し、おそらくは抑圧することによって富と権力を蓄積し、働けない人々(高齢者、病弱者)を大量の失業者として規制します(Marx and Engels, 1848)。マリー・アントワネットが、農民が飢えていると聞かされたときに「彼らにケーキを食べさせよ」と言ったとされる象徴的な(おそらく作り話であろう)発言から、大不況の最中に始まった「ウォール街を占拠せよ」運動まで、不公平感はほとんど変わっていません。紛争理論家は、富がそれに値しない人々の手に集中していると考えています。2010年の時点で、20%のアメリカ人がアメリカの富の90%を所有していました(Domhoff, 2014)。不平等は革命前のフランスほど極端ではないかもしれませんが、米国は見かけほどには実力主義ではないと多くの人に思わせるには十分なほどです。

シンボリック相互作用論の視点

シンボリック相互作用論の視点でもって取り組む人々は、社会についてのミクロ分析的観点を持ちます。彼らは、現実が日々の相互作用を通じて社会的に構築される方法と、社会がシンボルの共通理解に基づいてコミュニケーションする人々によって構成される方法に焦点を当てています。

労働と経済に関連するシンボリック相互作用論の重要な概念の1つに、キャリア継承があります。この概念は簡単に言えば、子供は親と同じか似た職業に就く傾向があるということを意味するもので、これは調査研究でも実証されている相関関係です(Antony, 1998)。例えば、警察官の子供は、法執行機関で成功するのに役立つ規範や価値観を学び、模範として従うことのできるキャリアパスを持っているため、法執行機関をより魅力的に感じるかもしれません。キャリア継承に関連するのは、キャリアの社会化、つまり特定の仕事の規範や価値観を学ぶことです。

最後に、シンボリック相互作用論者は、何が仕事の満足度に寄与するかを研究することがあります。メルヴィン・コーンと彼の同僚の研究者たち(Kohn et al., 1990)は、労働者が最も幸福になりやすいのは、仕事の一部を自分がコントロールしていると思うとき、仕事に関連する意思決定過程に自分が加わっていると感じるとき、監視から自由であるとき、仕事の結果にとって自分が不可欠であると感じるときであると断定しました。スニヤル、スニヤル、ヤシン(Sunyal, Sunyal, and Yasin, 2011)は、ストレスに対する脆弱性の感覚の高さ、労働者の経験するストレスの多さ、そして知覚されるリスクの量の多さが、労働者の仕事満足度の低さを一貫して予測することを見出しました。

18.2 グローバル化と経済

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • グローバル化を定義し、現代社会におけるその現れについて記述する
  • 経済的観点から見たグローバル化の長所と短所を論じる
図18.9 | 即時のコミュニケーションによって、多くの国際企業が事業の一部をコストの安いインドなどの国に移転することが可能になりました。(Credit: Wikimedia Commons)

図18.9 | 即時のコミュニケーションによって、多くの国際企業が事業の一部をコストの安いインドなどの国に移転することが可能になりました。(Credit: Wikimedia Commons)

グローバル化とは何でしょうか?

グローバル化とは、国際貿易を通じて政府、文化、金融市場が単一の世界市場に統合されるプロセスを指します。多くの場合、そのプロセスは、(企業の側による)市場拡大や(非営利団体の側による)医療へのアクセス向上など、単一の動機から始まります。しかし、通常は雪だるま式に効果が現れ、グローバル化は経済的、慈善事業的、起業家的、文化的な取り組みが混在するようになります。文化的植民地主義を憂慮する人々にとってすら、安全な飲料水にアクセスできない農村部に浄水技術を導入するキャンペーンのように、その取り組みが明らかな利益をもたらすこともあります。

しかしながら、他のグローバル化の取り組みはもっと複雑です。例えば、北米自由貿易協定(NAFTA)を見てみましょう。この協定は、カナダ、アメリカ、メキシコを含む北米諸国の間で結ばれたもので、国際貿易を制限するような関税(税金)や輸入に関する法律の類をなくし、より自由な貿易の機会を可能にしました。しばしば、貿易の機会は政治家や経済学者によって誤って伝えられ、経済的苦境に対する万能薬として提供されることがあります。例えば、貿易は雇用機会の増加にも減少にもつながる可能性があります。というのも、輸出を容易にする、より緩和された法律によって、米国で雇用が増加する可能性がある一方で、輸入は正反対の可能性があるからです。米国が国外からより多くの商品を輸入するようになると、ますます多くの製品が海外で製造されるようになるため、雇用は典型的には減少します。

1994年にNAFTAが創設されたとき、多くの著名な経済学者は雇用の大幅な増加につながると信じていました。しかし、2010年までに、証拠は逆の影響を示していました。データでは、全州で68万2900人の米国雇用が失われたことが示されました(Parks, 2011)。NAFTAは、米国の北部と南部の国境を越える商品や資本の流れを増加させましたが、メキシコの失業率も増加させたため、職を求める動機を持った不法移民の量が増加しました。NAFTAは2018年に再交渉され、2020年に正式に米国・メキシコ・カナダ協定に取って代わられました。

グローバル化を推進する力には、グローバル経済や、資産、販売、生産、雇用を支配する多国籍企業など、いくつかのものがあります(United Nations, 1973)。多国籍企業の特徴には以下のようなものがあります:多国籍企業の資本の大部分がさまざまな国から集められており、その事業は国境に関係なく行われ、富を中核国やすでに裕福な個人の手に集中させ、グローバル経済で重要な役割を果たしていることです。

私たちは、製品がいくつかの国際的な取引を通じて組み立てられるグローバルな組み立てラインの出現を目の当たりにしています。例えば、アップルは次世代マックのプロトタイプを米国で設計し、部品はさまざまな周縁国で製造され、その部品は組み立てのためにマレーシアなど別の周縁国に輸送され、技術サポートはインドにアウトソーシングされます。

グローバル化はまた、国際的に統合された経済的なつながりが製造と販売を目的として労働者と企業を結びつける、グローバルな商品チェーンの発展にもつながっています(Plahe, 2005)。例えば、主にメキシコ北部にあるマキラドーラでは、労働者は輸入された裁断済みの布地を縫製して衣服に仕上げていることがあります。

グローバル化は国際的な分業ももたらし、そこでは中核国の比較的裕福な労働者が、周縁国や準周縁国の低賃金労働者群と競争します。これは外国人や外国製品に対する非論理的な恐怖、さらには憎悪である外国人嫌悪の感覚につながる可能性があります。米国で利益を最大化しようとする企業はこのリスクを意識しており、メキシコ製であるにもかかわらず米国旗がプリントされたシャツを販売するなど、自社製品を「アメリカ化」しようとしています。

グローバル化のさまざまな側面

グローバル化した貿易は今に始まったことではありません。古代ギリシャやローマの社会は、アフリカ、中東、インド、中国の他の社会と交易していました。イスラム黄金時代の間やモンゴル帝国の勃興後、交易はさらに拡大しました。ヨーロッパ諸国による発見の航海の後に植民地帝国が成立したことは、世界中で交易が行われるようになったことを意味します。19世紀には産業革命が起こり、ますます大量の物資が交易されるようになりました。しかしながら、第二次世界大戦と冷戦後の技術、特に通信技術の進歩は、今日起きているこのプロセスの爆発的な加速を引き起こしました。

さまざまな国の経済の間に存在する類似点と相違点を見る1つの方法は、生活水準を比較することです。そのために最もよく使われる統計が、一人あたりの国内プロセスです。これは、ある国の国内総生産(GDP)を、その人口で割ったものです。下の表は、CIAワールド・ファクトブックに掲載されている228か国のうち、上位11か国と下位11か国を比較したものです。

表18.1 | 一人あたり国内総生産。すべての国がグローバル化の恩恵を受けているわけではありません。最貧国の一人あたりGDPは、最富裕国の一人あたりGDPの255分の1にも満たないです。(Credit: World Bank)

表18.1 | 一人あたり国内総生産。すべての国がグローバル化の恩恵を受けているわけではありません。最貧国の一人あたりGDPは、最富裕国の一人あたりGDPの255分の1にも満たないです。(Credit: World Bank)

グローバル化には利点と欠点があります。利点としては、飛躍的に加速する開発の進展、国際的な意識とエンパワーメントの創出、富の増大の可能性などが挙げられます(Abedian, 2002)。しかしながら、グローバル化によって各国が弱体化する可能性があることも、これまでの経験から明らかになっています。グローバル化を批判する人々の中には、自由貿易と無制約の市場から最大の利益を得る巨大な国際金融企業や産業企業の影響力の増大を懸念する者もいます。彼らは、こうした企業がその莫大な富と資源を利用して、地元住民の利益よりもむしろ自分たちの利益のために行動するように政府を支配することを恐れています(Bakan, 2004)。実際、上記のリストの下位にある国々を見ると、鉱物資源開発の主な恩恵を受けているのが、大企業と少数の重要な政治的人物であるような場所であることが見て取れます。

また、環境や地域経済に悪影響を及ぼすとして、グローバル化に反対する批判者もいます。しばしばグローバル化の主要な要素である急速な工業化は、規制環境の欠如により、広範囲に及ぶ経済的損害をもたらす可能性があります(Speth, 2003)。さらに、雇用が乏しい国では労働者を保護する社会制度が整備されていないことが多いため、一部の批判者は、グローバル化が労働運動の弱体化につながると述べています(Boswell and Stevis, 1997)。最後に、批判者たちは、裕福な国々が自国の製品を競争から守る一方で、経済的に弱い国々に市場開放を強要できることを懸念しています(Wallerstein, 1974)。これは特に、貧しい開発途上国の主要な輸出品目であることの多い農産物に当てはまります(Koroma, 2007)。2007年に国連に寄稿した記事の中で、コロマは、グローバル化の取り組みに参加しようとする「後発開発途上国」(LDC)が直面する困難について論じています。これらの国々は通常、生産と貿易において柔軟かつ機敏に対応するためのインフラストラクチャーを欠いているため、天候不順から国際的な価格変動に至るまで、あらゆる影響に対して脆弱になります。要するに、LDCにとっては、より多くの機会が提供されるどころか、競争の激化とグローバル化市場の速いペースによって、前進することがこれまで以上に難しくなる可能性があります(Koroma, 2007)。

製造業やサービス業の仕事を開発途上国にアウトソーシングする傾向が強まり、一部の先進国では失業の増加が引き起こされています。移転した仕事に代わる新しい仕事を開発し、それに対応できる労働力を育成しない国では、グローバル化への支持が弱まるでしょう。

18.3 アメリカにおける労働

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 現在の米国の労働力と二極化の傾向について記述する
  • 女性と移民が現代の米国の労働力をどのように変えたかを説明する
  • 今日の米国における貧困の基本的要素を分析する
図18.10 | 多くの大学生やその他の人々が、最初の仕事やより良い仕事を求めて就職フェアに参加します。(Credit: COD Newsroom/flickr)

図18.10 | 多くの大学生やその他の人々が、最初の仕事やより良い仕事を求めて就職フェアに参加します。(Credit: COD Newsroom/flickr)

アメリカン・ドリームは常に機会に基づいています。精力的な新進気鋭の人物が勤勉さのみに基づいて成功に登りつめるという神話が数多くあります。一般的な知恵では、もしあなたが一生懸命勉強し、良い労働習慣を身につけ、高校を卒業すれば、あるいはさらに良いことに大学を卒業すれば、良い仕事に就く機会が得られるとされています。それが長い間、人生を成功させる鍵だと考えられてきました。そして、現実は神話が示唆するよりも常に複雑でしたが、2008年に始まった世界的な不況は、アメリカン・ドリームに打撃を与えました。この不況の間、800万人以上の米国人労働者が職を失い、失業率は全国レベルで10%を超えました。現在、回復はまだ不完全ではありますが、経済の多くの分野で雇用が増え、失業率は低下しています。

現実世界における社会学

リアルマネー、バーチャルワールド

図18.11 | 仮想世界であっても、良い生活を送るためには現実のお金がかかります。(Credit: Juan Pablo Amo/flickr)

図18.11 | 仮想世界であっても、良い生活を送るためには現実のお金がかかります。(Credit: Juan Pablo Amo/flickr)

もしあなたがワールド・オブ・ウォークラフト、ファイナル・ファンタジー、フォートナイト、Apexなどのオンラインゲームを楽しんでいる数千万人のゲーマーの一人でないならば、一部の人々にとってはこれらが単なるゲームではないということを知らないかもしれません:それらは雇用なのです。仮想世界は、オンライン上の不動産や通貨などを現金で売買・管理できる起業家にとって、非常に現実的な利益をもたらしています(Holland and Ewalt, 2006)。もし人々が架空の商品に現実のお金を払うというのが奇妙に見えるならば、真剣なゲーマーにとっては、オンライン世界は現実の世界と同等の重要性を持っていると考えてみてください。

こうした起業家たちが商品を売ることができるのは、ゲームサイトが仮想世界に希少性を導入しているからです。食料、石油、宝石、仮想商品など、どんな資源であれ、希少性は需要と供給を促進します。供給が少なく、需要が高い場合、人々は欲しいものを手に入れるために喜んでお金を払うことがしばしばあります。たとえゲームが楽しみを提供するものであっても、希少性は緊張感を高め、より大きな満足感につながります。

では、それはどのような仕組みになっているのでしょうか?そのような生計を立てる方法の1つは、特定の鉱石を採掘したり、販売する製品を作ったりするなど、特定の資源を栽培、採集、工作することです。購入者は、競争力を求めている人や、単純にそれらの作業に時間を費やしたくない人たちです。他の方法としては、パワーレベリングがあります。これは、ある人が他の人にお金を払ってゲームをプレイしてもらい、ゲーム環境における富や力を手に入れることです。あなたが「メディアとテクノロジー」の章で読んだように、オンライン上でのプレゼンスは、広告主から、あるいはファンから直接、配当を得ることもできます。人気の高いプレイヤーは、Twitchやその他のサービスで自分のゲームプレイをストリーム配信していますし、他の人はコーチングやゲームガイド、レビューを提供しています。

そして、賞金やその他の報酬もあります。ゲーム大会では、優勝者に賞金が授与されることもあります。最後に、大学やプロのeスポーツの成長は、マネタイズ化や仮想世界と現実世界のクロスオーバーがスポンサーシップ、賞金、奨学金という形で継続的に利益を生むことを示しています。

労働力の二極化

不況に見舞われる何年も前から、米国で就くことのできる仕事の構成は変わり始めており、前述のように、アメリカン・ドリームは常に簡単に実現できるものではありませんでした。地理、人種、ジェンダー、その他の要因は、いつでも成功の現実に一役買ってきました。より最近では、製造業の仕事の開発途上国へのアウトソーシング(仕事または一連の仕事の外部への委託)が増えたため、高賃金で、しばしば労働組合に加入しているブルーカラー職の利用可能な数が大幅に減少しています。同様の問題はホワイトカラー部門にも生じており、インドのムンバイやカナダのニューファンドランドにある国際的な技術サポートのコールセンターに見られるように、多くの低レベルの事務職やサポート職もアウトソーシングされています。企業が指揮命令系統を効率化し、合併による業界の統合が進むにつれて、監督職や管理職の数は減少しています。コンピュータ・プログラマーのような高い教育と技能を持つ労働者でさえ、その職が海外に消えていくのを目の当たりにしています。

労働者をテクノロジーに置き換える職場のオートメーションも、雇用市場における変化のもう1つの原因です。コンピュータは、多くの定型的な仕事を、かつてそのような仕事をしていた人間よりも速く、安価にこなすようにプログラムすることができます。簿記や事務作業、生産組立ラインでの反復作業といった仕事は、すべてオートメーションに適しています。近所のスーパーマーケットのセルフレジを思い浮かべてください。ユニットごとに固定されている自動化されたレジは、有給の従業員の代わりとなります。以前は1つのレジに一人のレジ係が必要だったこの仕事も、今では一人のレジ係が6つ以上のセルフレジの取引を監督できます。

景気回復が続いており、雇用市場は一部の地域では実際に成長していますが、それは非常に二極化した形でのことです。二極化とは、雇用市場に格差が生じており、ほとんどの雇用機会は最低レベルか最高レベルのもので、中間レベルの技能や教育を持つ人の仕事はほとんどないことを意味します。一方の端部では、食品サービスや小売業などの産業において低技能・低賃金の仕事に強い需要があります。もう一方の端部では、特定の分野では、高度な技能と教育を受けた専門家、技術者、管理職に対する需要が着実に高まっているという調査結果もあります。こうした高技能職は、給与も高い傾向にあります(Autor, 2010)。

ある地位が高給である一方、そうでない地位もあるという事実は、階級制度の一例です。階級制度とは、社会経済的なはしごのさまざまな段の間を(上にも下にも)移動することが可能な経済階層のことです。理論的には、少なくとも米国で組織されているような階級制度は実力主義の一例であり、それは能力(典型的には技能と勤勉さの形態)に上方への移動性で報いる経済システムです。機能主義の視点に立つ理論家は、この制度は勤勉さに対して報いるように設計されており、人々が報酬を求めて卓越に向けた努力をするよう促していると指摘するかもしれません。紛争の視点に立つ理論家であれば、実力主義であっても勤勉さが成功を保証するわけではないという考えでもって反論するかもしれません。なぜなら、人脈や高等教育といった形態の社会資本(経済的成功を達成するための基盤を提供するような、社会的関係や知識のネットワークの蓄積)が、高収入の仕事に就くために必要とされることが多いからです。知性と勤勉さだけでは十分でないことに、私たちはますます気づいています。もしあなたが適切な名前、人脈、プレイヤーを活用する方法についての知識がなければ、上方への移動性を経験することはないでしょう。

多くの仕事がアウトソーシングされたり、オートメーションによって廃止されたりするなか、アメリカではどのような種類の仕事に需要があるのでしょうか?漁業や林業の仕事は減少傾向にありますが、いくつかの市場では仕事が増えています。それには、コミュニティー・社会サービス、個別介護・サービス、金融、コンピュータ・情報サービス、医療などが含まれます。下図は米国労働統計局によるもので、成長が予測される分野を示しています。

図18.12 | 選択された職業グループ別、変化率予測(2019~29年) - この図は、いくつかの職業グループの成長予測を示しています。(Credit: Bureau of Labor Statistics)

図18.12 | 選択された職業グループ別、変化率予測(2019~29年) - この図は、いくつかの職業グループの成長予測を示しています。(Credit: Bureau of Labor Statistics)

典型的にはかなりの教育と訓練を必要とする職業は、有利なキャリア選択になる傾向があります。特に、医療、技術、貿易など、何らかの免許や正式な資格が必要な仕事は、そうでない仕事よりも給与が高いのが一般的です。労働統計局によると、サービス業には消防署の仕事からアイスクリームをすくう仕事までのすべてが含まれます(Bureau of Labor Statistics, 2019)。必要とされる訓練は多種多様であり、それゆえ賃金の潜在的な格差も同様に大きいです。職業グループ別ではなく(上図参照)、産業別に見た場合、最も大きな成長分野の1つは健康分野です。この成長は、准看護師レベルの看護補助者から管理者レベルの介護スタッフまで、さまざまな職種にまたがっています。ベビーブーム世代が高齢化するにつれ、彼らは以前のどの世代よりも長生きするようになり、この人口層の増加には、在宅医療看護から老人栄養管理まで、私たちの国の高齢者介護制度の全体の能力向上が必要とされます。

注目すべきは、農業の仕事が減少していることです。この分野は、従来は教育の少ない人でも、低賃金ではあるものの安定した仕事を見つけることができました。このような仕事が減少することで、ますます多くの労働者は、自分たちが利用可能な雇用形態のための訓練を受けていないことに気づくでしょう。

雇用についてのもう1つの予測される傾向は、仕事を得て維持するために必要な教育と訓練のレベルに関連しています。下図が示すように、より多くの教育を受けた人ほど成長率が高いです。専門職学位や修士号取得者は、それぞれ20%、22%の仕事の増加が見込まれ、学士号が必要な仕事は17%の成長が予測されています。スペクトルのもう一方の端部では、高校卒業資格かそれに相当する資格を必要とする仕事は12%の成長しか見込めず、高校卒業資格未満しか必要としない仕事は14%成長するでしょう。端的に言えば、学位がなければ仕事を見つけるのはより難しくなるだろうということです。これらの予測は全職業カテゴリーにわたる全体的な成長率に基づいているため、当然ながらさまざまな職業分野によってばらつきがあるだろうということに言及しておく価値があります。しかしながら、繰り返しになりますが、最も教育の少ない人は、アメリカン・ドリームを実現するのが最も難しい人となるでしょう。

表18.2 | より多くの教育は、(一般的に)より多くの仕事と、より高い報酬額を意味します。(Credit: Bureau of Labor Statistics)

表18.2 | より多くの教育は、(一般的に)より多くの仕事と、より高い報酬額を意味します。(Credit: Bureau of Labor Statistics)

かつては、米国の教育水準の上昇は、教育に依存する仕事の数の増加に追いつくことができていました。しかしながら、1970年代後半以降、男性の大学入学率は女性を下回り、卒業率も10%近く低くなっています。技能職に必要な教育レベルに達する男性候補者の不足は、女性、マイノリティー、移民に機会を開いています(Wang, 2011)。

労働力における女性

この章の冒頭で論じたように、数十年来、女性の労働力への参入数は増加の一途をたどっています。また、女性は男性よりも高い割合で大学を卒業し、より高い学位を取得しています。その結果、多くの女性が高賃金、高技能の仕事に就くのにより良い立場に位置しています(Autor, 2010)。

女性はより多くの、より良い仕事に就き、その賃金は男性の賃金よりも急速に上昇していますが、米国国勢調査の統計では、同じ職種で女性が得ている賃金は男性の81%に過ぎないということが示されています(U.S. Census Bureau, 2020)。

移住と労働力

簡単に言えば、人々は仕事がほとんど、あるいはまったくないところから仕事があるところへと、それを妨げる何かがない限り、移動します。ある国へと移動するプロセスのことを移住と呼びます。機会の土地という評判から、米国は長い間、あらゆる技能レベルの労働者の移住先となってきました。2008年の景気後退期にはその割合が多少減少したものの、移民は滞在許可を取った人も取っていない人も含め、米国の労働力の主要な部分を占め続けています。

不況が到来する前の2005年には、移民が労働力の14.7%を占め、歴史的な高水準を記録しました(Lowell et al., 2006)。1970年代から2000年代にかけて、米国では大学教育を受けた移民と高校卒業資格を持たない移民の両方が増加しました。このようなスペクトルに広がる移民は、今後10年間に増加すると予測される高賃金の仕事にも、低賃金・低技能の仕事にも適しています(Lowell et al., 2006)。2000年代初頭、米国は確かに、その評判通りの機会を提供し続けているように思われました。しかし、非常に多くの雇用が失われ、失業率が10%近くになった2008年の不況期はどうだったのでしょうか?その時、移民労働者はどのようにしていたのでしょうか?

その答えは、全米経済研究所(NEBR)が不況の公式な終息を宣言した2009年6月の時点で、「外国生まれの労働者は65万6000人分の雇用を獲得し、一方、国内生まれの労働者は120万人分の雇用を失った」というものです(Kochhar, 2010)。この数字が示唆するように、この年の失業率は移民労働者では低下し、自国の労働者では上昇しました。この傾向の理由は完全には明らかではありません。ピューの調査によれば、移民は職から職へと移りわたる柔軟性が高い傾向にあるとともに、移民層は不況の犠牲となる時期が早かったため、立ち直りが早かった可能性があると示唆されています(Kochhar, 2010)。理由はどうであれ、2009年の雇用増加は、移民がこの国の経済的苦境から免れるのにはまったく十分ではありません。雇用数が増えても移民の収入は減少しており、雇用の増加は大幅に低い賃金や福利厚生を甘んじて受け入れることに起因しているのではないかという説を唱える人もいます。

政治的な議論は、しばしば低賃金で働く移民についての会話によって煽られますが、実際には高度な技能を持ち、高収入を得ている移民労働者も同様に多く存在します。多くの移民は、米国で供給が不足している才能、教育、訓練を身に着けていると主張する雇用主によってスポンサード(後援)されています。このようなスポンサード移民は、すべての合法移民の15%を占めています(Batalova and Terrazas, 2010)。興味深いことに、米国国民は一般的に、こうした高度労働者が経済成長につながり、政府サービスの低下を招かないと考え、支持しています(Hainmueller and Hiscox, 2010)。その一方で、滞在許可を有さない移民は、農業、サービス業、建設業などの極めて低賃金の仕事にとらわれがちで、暴露や強制送還のリスクを冒さずに状況を改善する方法はほとんどありません。

米国の貧困

不況の間や変わりゆく雇用市場の中で人々が職を失うと、新しい職を見つけるのに時間がかかります(そもそも見つけられるとして)。もし彼らが新しい職を見つけたとしても、それはしばしば賃金がかなり低かったり、フルタイムでなかったりします。その結果、人々は貧困に追い込まれることになります。米国では相対的貧困と呼ばれるものがある傾向があり、それは自国の平均的な人々のライフスタイルを送ることができないこととして定義されています。これは、後進国で頻繁に見られる絶対的貧困と対比されなければなりません。絶対的貧困とは、食料などの基本的必需品を買うことができない、またはほとんどできない状態であるとして定義されます(Byrns, 2011)。

私たちは、米国の全体的な失業の明確な実態を提供する失業統計に頼ることさえできません。第一に、失業統計には不完全雇用が考慮されていません。不完全雇用とは、ある人が、自身の教育や経験によって適格となるべきものよりも低賃金で地位の低い仕事を受け入れる状況のことです。第二に、失業統計は以下の人だけを計数しています:

  1. 積極的に仕事を探している人
  2. 過去四週間、仕事から収入を得ていない人
  3. 働く用意があり、働く意志があり、働く能力がある人

アメリカ政府が発表する失業統計が正確であることはほとんどありません。なぜなら、失業者の多くは落胆して仕事を探すのをやめてしまうからです。それだけでなく、これらの統計は、若年労働者や高齢労働者、慢性失業者(ホームレスなど)、季節労働者や移民労働者を過小に計数しています。

ある程度の失業は、労働市場の相対的な柔軟性の欠如の直接的な結果であり、構造的失業とみなされます。構造的失業とは、職を求める人々と利用可能な職との間に社会的レベルの不一致がある場合を指します。このミスマッチは、地理的なもの(ある地域では雇用が行われているが、失業者のほとんどは別の場所に住んでいる)、技術的なもの(自動車産業のように労働者が機械に取って代わられる)、教育的なもの(労働力の間で特定の知識や技能が不足している)であることがありますし、あるいは人々が求める仕事の種類と雇用する企業の種類とが突然変わることによって生じることもあります。

米国は生活水準が高いため、多くの人々がフルタイムの仕事に就いていますが、相対的貧困の基準からするとまだ貧しい人がいます。それはワーキングプアです。米国は、他の多くの先進国に比べてワーキングプアの割合が高いです(Brady, Fullerton and Cross, 2010)。雇用に関して、労働統計局はワーキングプアを、少なくとも27週間以上働いているか、仕事を探しているにもかかわらず、貧困線を下回ったままの人と定義しています。ワーキングプアについての多くの事実は予想される通りのものです:パートタイムでしか働いていない人は、フルタイムで雇用されている人よりもワーキングプアに分類される可能性が高く、教育レベルが高いほどワーキングプアに分類される可能性は低く、18歳未満の子供がいる人は、子供がいない人の4倍もワーキングプアのカテゴリーに分類される可能性が高いです。2009年には、ワーキングプアのアメリカ人は1040万人で、2008年から約17%増加しました(U.S. Bureau of Labor Statistics, 2011)。

図18.13 | 就労貧困率と非就労貧困率の比較(2000年前後) - 米国では、他の先進国に比べ、貧困状態にある人々のうち、仕事を持つ人の割合が高いです。

図18.13 | 就労貧困率と非就労貧困率の比較(2000年前後) - 米国では、他の先進国に比べ、貧困状態にある人々のうち、仕事を持つ人の割合が高いです。

図18.14 | 貧困率は州や地域によって異なります。あなたが見て取れるように、貧困レベルが最も高い地域は比較的密集していますが、二番目に高い貧困率は、南西部のネバダ州やアリゾナ州から北東部のニューヨーク州まで、全米の州で発生しています。(Credit: U.S. Census Bureau)

図18.14 | 貧困率は州や地域によって異なります。あなたが見て取れるように、貧困レベルが最も高い地域は比較的密集していますが、二番目に高い貧困率は、南西部のネバダ州やアリゾナ州から北東部のニューヨーク州まで、全米の州で発生しています。(Credit: U.S. Census Bureau)

ほとんどの先進国は、失業保険、福祉事業、食料支援など、さまざまなレベルの社会サービスを提供することによって、市民を絶対的貧困から保護しています。また、人々が再び雇用市場に参入できるよう、職業訓練や再訓練を提供することもあるかもしれません。かつては、高齢者は働くのをやめた後、特に貧困に陥りやすかったですが、年金、退職金制度、社会保障制度は、これを防ぐために設計されました。米国で大きな懸念となっているのは、貧困の中で成長する若者の数の増加です。貧困の中で育つと、貧困から抜け出し安定した職に就くために必要な教育やサービスへのアクセスが絶たれてしまうことがあります。これまで見てきたように、より多くの教育がしばしば安定への鍵であり、貧困の中で育った人々は、賃金の高い仕事を見つけることが最も難しく、サイクルを永続させています。

社会学者や市民にとって重要なもう1つの考え方は、貧困であることの費用です。現実的な意味では、手持ちのお金が多く、信用力があり、収入が安定しており、信頼できる保険に加入している人は、そうしたものがない人とは異なる方法で商品やサービスを購入することができます。例えば、収入の多い人は、クレジットカードやローンを通じてより多くの信用を得ることができるだけでなく、請求書をより確実に支払うことができます。例えば、車を購入するときにも、彼らは月々の支払額を少なくしたり、頭金を少なくしたりする交渉ができるでしょう。さらに単純化した状況では、支払うお金をより多く持っている人は食料品をまとめ買いすることができ、小分けに買わなければならない人よりも単位量あたりの出費がはるかに少なくて済みます。ほとんどの大人にとって、最も大きな出費は住居費です。一家の出費の中で住居費が占める割合が大きいだけでなく、交通費(行く必要のある場所にどれだけ近いところに住んでいるか)や育児費など、他の多くの出費も住居費によって左右されます。そして、貧困状態にある人々は、他の人々よりもかなり多くを住居費に支払っています(時には総所得の70から80%)。資力の乏しい人々はまた、持ち家ではなく賃貸住宅を借りる傾向が強いため、同じように信用を築くことができず、後に不動産を売却して自己の資産を活用する機会もありません(Nobles, 2019)。

政府、組織、個人、そして社会全体が貧困層をどのように支援するかは、広範な研究によって情報を与えられ、重要な論争に値する問題です。社会学者やその他の専門家たちは、こうした議論に貢献し、こうした状況がもたらす影響や状況を変えるための介入策についての証拠を提供しています。これらの問題に関して下された決定は、米国で働くことに対して甚大な影響を与えます。

重要用語

オートメーション:労働者をテクノロジーによって置き換えること

物々交換:人々がある形態の商品やサービスを別のものと交換するプロセス

資本主義:(国家所有ではなく)私的所有があり、利潤を生み出す原動力があり、それによって富が生み出される経済システム

キャリア継承:子供は親と同じか似た職業に就く傾向があるという慣行

収斂理論:経済が発展するにつれて、社会が時間とともにどのように、またなぜ類似へと向かうのかを説明する社会学理論

恐慌:複数の経済部門にまたがる持続的な不況

経済:それを通じて社会の資源(財やサービス)が管理される社会制度

グローバルな組み立てライン:製品がいくつかの国際的な取引を通じて組み立てられる慣行

グローバルな商品チェーン:製造と販売を目的として労働者と企業を結びつける、国際的に統合された経済的なつながり

市場社会主義:限定的な私的所有権を認めたり、市場の需要に応じたりするなど、資本主義の何らかの特徴を取り入れた社会主義のサブタイプ

機械的連帯:より単純な社会に見られ、類似の仕事、教育、宗教を共有することから生まれる社会的結束の一形態

重商主義:税金や関税を通じて植民地市場や外国市場を支配することにより、銀や金を蓄えるという国家政策に基づく経済政策

貨幣:社会が支払いのために交換できるように価値を与えることに合意した物体

相互主義:社会主義の一形態で、個人や協力的な集団は、相互に満足のいく契約に基づいて、互いに生産物を交換しあう

有機的連帯:仕事の専門化によって生まれる相互依存から生じる社会的結束の一形態

アウトソーシング:仕事が外部(多くの場合、他国)に委託される慣行

二極化:ローエンドとハイエンドの仕事の差が大きくなり、中間にいる人の数が減少するという慣行

不況:2四半期以上連続して景気が落ち込むこと

社会主義:財とその生産を政府が所有し(しばしば「国営」と呼ばれる)、労働と富を社会の構成員の間で平等に共有することを推進する経済システム

構造的失業:職を求める人々と利用可能な職との間にある社会的レベルの不一致

自給自足の農業:農民が自分自身と家族を養うのに十分な量しか作らない農業

不完全雇用:ある人が、自身の教育や経験によって適格となるべきものよりも低賃金で地位の低い仕事を受け入れる状況

外国人嫌悪:外国人や外国製品に対する非論理的な恐怖、さらには憎悪

各節のまとめ

18.1 経済システム

経済とは、社会の資源(財とサービス)を管理する社会制度のことを指します。農業革命は、商品の取引に基づく最初の経済の発展につながりました。製造プロセスの機械化は産業革命をもたらし、2つの主要な競合する経済システムを生み出しました。資本主義のもとでは、私的な所有者が自分の資本と他人の資本を投資して、開かれた市場で販売できる財やサービスを生産します。価格と賃金は需要と供給、そして競争によって決まります。社会主義のもとでは、生産手段は共同で所有され、経済は政府によって一元的に管理されます。いくつかの国の経済は、この2つのシステムが混在しています。収斂理論は、国の発展レベルと経済構造の変化との間の相関関係を説明しようとするものです。

18.2 グローバル化と経済

グローバル化とは、国際貿易を通じて政府、文化、金融市場が単一の世界市場に統合される過程を指します。グローバル化には利点と欠点があります。しばしば最悪の結果を蒙るのは、天然資源の採掘に富を依存している国々です。多くの批評家は、グローバル化が多国籍企業にあまりにも大きな力を与え、政治的決定がこれらの主要な金融プレイヤーに影響されることを恐れています。

18.3 アメリカにおける労働

米国の雇用市場は、個人の業績に基づいて社会階層を形成する実力主義であることを目的としています。アウトソーシングやオートメーションといった経済的な力が労働力を二極化しており、ほとんどの仕事の機会は、低レベル・低賃金の肉体労働か、抽象的な技能に基づく高レベル・高賃金の仕事のどちらかになっています。労働力における女性の役割は増大していますが、女性はまだ完全な平等を達成していません。移民は米国の労働市場で重要な役割を果たしています。経済の変化により、たとえ働いていても貧困に追い込まれる人が増えています。福祉、社会保障、その他の社会プログラムは、貧困の最悪の影響から人々を守るために存在します。

各節についての質問

18.1 経済システム

  1. 商品の例はどれですか?
  1. レストランでの食事
  2. トウモロコシ
  3. 大学の講義
  4. 本、ブログ記事、雑誌記事
  1. 最初の経済が発展し始めたのはいつですか?
  1. 狩猟採集民がすべて死んだとき
  2. 貨幣が発明されたとき
  3. 人々が作物を栽培し、動物を飼いならし始めたとき
  4. 最初の都市が建設されたとき
  1. 脱工業社会で最も重要な商品は何ですか?
  1. 電気
  2. 貨幣
  3. 情報
  4. コンピュータ
  1. ソフトウェア開発者として働く人は、経済のどのセクターに属しますか?
  1. 第一次産業
  2. 第二次産業
  3. 第三次産業
  4. 第四次産業
  1. 税金や関税を通じて植民地や他国の市場を支配することにより、銀や金を蓄積するという国家政策に基づく経済政策はどれですか?
  1. 資本主義
  2. 共産主義
  3. 重商主義
  4. 相互主義
  1. 社会主義の発展に関する主導的な理論家は誰ですか?
  1. カール・マルクス
  2. ハイデマリー・シュヴェルマー
  3. エミール・デュルケーム
  4. アダム・スミス
  1. 現在ロシアで行われている社会主義のタイプは、__________社会主義の一形態です。
  1. 中央計画
  2. 市場
  3. ユートピア
  4. ゼロサム
  1. 米国で社会主義が政治運動に発展しなかった理由の1つは、労働組合が__________ことです。
  1. 労働者の権利を確保した
  2. 医療を保障した
  3. 独占を解体した
  4. 労働力を多様化した
  1. 収斂の例となる国はどれですか?
  1. シンガポール
  2. 北朝鮮
  3. イングランド
  4. カナダ

18.2 グローバル化と経済

  1. ベンは、ゼネラルモーターズが米国の工場を閉鎖し、メキシコに工場を開設したことで、職を失いました。今、ベンは移民排斥を強く主張し、メキシコ人の大規模な強制送還を求める運動をしています。論理的には、彼らの存在が彼に危害を加えるわけでもなく、彼らがいなくなったからといって彼の仕事が回復するわけでもありません。ベンは__________を経験しているかもしれません。
  1. 外国人嫌悪
  2. グローバルな商品チェーン
  3. 外国人愛好
  4. グローバルな組み立てライン
  1. 以下のうち、グローバル化の一側面でないものはどれですか?
  1. 国際貿易を通じた政府の統合
  2. 国際貿易を通じた文化の統合
  3. 国際貿易を通じた金融の統合
  4. 国際貿易を通じた保育の統合
  1. 批判者がグローバル化に反対する理由の1つは、それが__________からです。
  1. 世界貿易に良い影響を与える
  2. 環境に悪影響を与える
  3. 最貧国に富を集中させる
  4. 政治的安定性に悪影響を与える
  1. __________を除いて、以下の全てはグローバル都市の特徴です。
  1. 多国籍企業の本社があること
  2. 顕著で国際的な政治的影響力を行使していること
  3. 国際NGOの本部があること
  4. 影響力のある哲学者を受け入れていること
  1. 以下のうち、多国籍企業の特徴でないものはどれですか?
  1. 多国籍企業の資本の大きな割合が、さまざまな国籍の人々から集められている。
  2. 多国籍企業のビジネスは国境に関係なく行われる。
  3. 多国籍企業は富を中核国に集中させる。
  4. 多国籍企業は主に米国に本社を置いている。

18.3 アメリカにおける労働

  1. 米国の労働力がほぼ実力主義であることを示す証拠はどれですか?
  1. 高技能職の雇用機会が増加している。
  2. 中級職の雇用機会が減少している。
  3. 高技能職は低技能職よりも賃金が高い。
  4. 同じ仕事でも、女性は男性より収入が低い傾向がある。
  1. もし誰かが生活必需品を購入するのに十分な収入がない場合、その人は__________と言われます。
  1. 絶対的貧困
  2. 本質的貧困
  3. 現実的貧困
    d.ワーキングプア
  1. ローエンドとハイエンドの仕事の差が大きくなり、中間にいる人の数が減少するという慣行は何ですか?
  1. 二極化
  2. 実力主義
  3. アウトソーシング
  4. 構造的失業

簡潔に答えてください

18.1 経済システム

  1. 中央計画を伴う国家社会主義と市場社会主義との違いを説明してください。

  2. 資本主義経済と社会主義経済はどのような形で収斂し得るでしょうか?

  3. 急成長する経済が家族に与える影響について記述してください。

  4. テクノロジー主導のサービス経済に近づくにつれ、米国経済はどのように変化すると思いますか?

18.2 グローバル化と経済

  1. グローバル化は、あなたが聴く音楽、読む本、見る映画やテレビ番組にどのような影響を与えていますか?

  2. 移住は開発途上国の経済にどのような影響を与えるでしょうか?

  3. グローバル化は地域文化にとって危険ですか?その理由、あるいはそうでない理由は何ですか?

18.3 アメリカにおける労働

  1. 米国の雇用市場で二極化が起こるにつれて、他の社会制度にも影響が及ぶでしょう。例えば、もし中間レベルの教育が雇用に結びつかなければ、教育レベルにおいても二極化が起こるかもしれません。社会学的想像力を使って、どのような社会制度にどのような影響が出るかを検討してみましょう。

  2. あなたは米国には真の実力主義があると思いますか?その理由、あるいはそうでない理由は何ですか?

さらなる研究

18.1 経済システム

グリーンな仕事は、良い仕事に就く見込みを高めるだけでなく、環境も改善する可能性があります。雇用における緑の革命についてもっと知るためには、このウェブサイトをご覧ください(http://openstax.org/l/greenjobs)。

従来の資本主義に代わる選択肢の1つは、労働者が自分たちの働く会社を所有することです。会社所有のビジネスについてさらに学ぶには、このウェブサイトをチェックしてください(http://openstax.org/r/employee-owned)。

18.2 グローバル化と経済

世界社会フォーラム(WSF)は、世界経済フォーラム(WEF)の設立に対抗して設立されました。WSFは、世界的な市民社会のアイデアに専心する団体の連合体であり、資本主義に焦点を当てすぎているとするWEFに代わるものとして自らを提示しています。WSFについてより詳しく知るためにはこちらをご覧ください(http://openstax.org/l/WSF)。

18.3 アメリカにおける労働

職場における女性の役割は常に変化しています。詳しく学ぶには、米国労働省のウェブサイトのこのページ(http://openstax.org/l/women_workplace)をご覧ください。

今後10年間の仕事と雇用の傾向を見るには、米国労働統計局の雇用予測プログラム(http://openstax.org/l/BLS)をチェックしてください。

参考文献

はじめに

National Equal Pay Task Force. 2013. “Fifty Years After the Equal Pay Act: Assessing the Past, Taking Stock of the Future.” Retrieved December 15, 2014. (http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/equalpay/equal_pay_task_force_progress_report_june_2013_new.pdf).

Payscale.com. 2020. “State of the Gender Pay Gap 2020.” Payscale.com. (https://www.payscale.com/data/gender-pay-gap)

State of Michigan, The. n.d. “Detrioit’s Financial Crisis: What You Need to Know.” Retrieved December 15, 2014. (http://www.michigan.gov/documents/detroitcantwait/DetroitFactSheet_412909_7.pdf).

U.S. Department of Agriculture. 2014. “Supplemental Nutrition Assistance Program Participation and Costs.” Retrieved December 15, 2014. (http://www.fns.usda.gov/sites/default/files/pd/SNAPsummary.pdf).

Woolston, Chris. 2021. “Pay gap widens between men and women scientists in North America.” Nature Career News. February 11 2021. (https://www.nature.com/articles/d41586-021-00387-3)

18.1 経済システム

Abbott, Chuck. 2020. “Record High Ag Subsidies To Supply 39% of Farm Income.” Agriculture.com, December 2020. (https://www.agriculture.com/news/business/record-high-ag-subsidies-to-supply-39-of-farm-income)

Abramovitz, Moses. 1986. “Catching Up, Forging Ahead and Falling Behind.” Journal of Economic History 46(2):385–406. Retrieved February 6, 2012 (http://www.jstor.org/pss/2122171).

Antony, James. 1998. “Exploring the Factors that Influence Men and Women to Form Medical Career Aspirations.” Journal of College Student Development 39:417–426.

Bond, Eric, Sheena Gingerich, Oliver Archer-Antonsen, Liam Purcell, and Elizabeth Macklem. 2003. The Industrial Revolution—Innovations. Retrieved February 6, 2012 (http://industrialrevolution.sea.ca/innovations.html).

Congressional Research Service. 2021. “Unemployment Rates During the COVID-19 Pandemic.” January 2021. (https://fas.org/sgp/crs/misc/R46554.pdf)

Dalio, Ray. 2019. “Why and How Capitalism Needs To Be Reformed Parts 1&2.” LinkedIn Personal Post. April 5 2019. (https://www.linkedin.com/pulse/why-how-capitalism-needs-reformed-parts-1-2-ray-dalio/)

Davis, Kingsley, and Wilbert Moore. 1945. “Some Principles of Stratification.” American Sociological Review 10:242–249.

Diamond, J., and P. Bellwood. 2003. “Farmers and Their Languages: The First Expansions.” Science April 25, pp. 597-603.

Domhoff, G. William. 2011. “Wealth Income and Power.” Who Rules America. Retrieved January 25, 2012 (http://www2.ucsc.edu/whorulesamerica/power/wealth.html).

European Union. 2014.”On the Road to EU Membership.” Retrieved December 15, 2014. (http://europa.eu/about-eu/countries/on-the-road-to-eu-membership/index_en.htm).

European Union. 2014. “EU Member Countries”. Retrieved December 15, 2014. (http://europa.eu/about-eu/countries/member-countries/).

Fidrmuc, Jan. 2002. “Economic Reform, Democracy and Growth During Post-Communist Transition.” European Journal of Political Economy 19(30):583–604. Retrieved February 6, 2012 (http://siteresources.worldbank.org/INTDECINEQ/Resources/fidrmuc.pdf).

Goldsborough, Reid. 2010. “World’s First Coin.” Retrieved February 6, 2012 (http://rg.ancients.info/lion/article.html).

Gregory, Paul R., and Robert C. Stuart. 2003. Comparing Economic Systems in the Twenty-First Century. Boston, MA: South-Western College Publishing.

Greisman, Harvey C., and George Ritzer. 1981 “Max Weber ,Critical Theory, and the Administered World.” Qualitative Sociology 4(1):34–55. Retrieved February 6, 2012 (http://www.springerlink.com/content/k14085t403m33701/).

Horne, Charles F. 1915. The Code of Hammurabi : Introduction. Yale University. Retrieved (http://avalon.law.yale.edu/subject_menus/hammenu.asp).

Kenessey, Zoltan. 1987. “The Primary, Secondary, Tertiary and Quaternary Sectors of the Economy.” The Review of Income and Wealth 33(4):359–386.

Kerr, Clark, John T. Dunlap, Frederick H. Harbison, and Charles A. Myers. 1960. Industrialism and Industrial Man. Cambridge, MA: Harvard University Press.

Kohn, Melvin, Atsushi Naoi, Carrie Schoenbach, Carmi Schooler, and Kazimierz Slomczynski. 1990. “Position in the Class Structure and Psychological Functioning in the United States, Japan, and Poland.” American Journal of Sociology 95:964–1008.

Maddison, Angus. 2003. The World Economy: Historical Statistics. Paris: Development Centre, OECD. Retrieved February 6, 2012 (http://www.theworldeconomy.org/).

Marx, Karl, and Friedrich Engels. 1998 [1848]. The Communist Manifesto. New York: Penguin.

Marx, Karl, and Friedrich Engels. 1988 [1844]. Economic and Philosophic Manuscripts of 1844 and the Communist Manifesto, translated by M. Milligan. New York: Prometheus Books.

Mauss, Marcel. 1990 [1922]. The Gift: The Form and Reason for Exchange in Archaic Societies, London: Routledge.

Merton, Robert. 1968. Social Theory and Social Structure. New York: Free Press.

Proudhon, Pierre-Joseph. 2010 [1840]. Property Is Theft! A Pierre-Joseph Proudhon Anthology. Iain McKay Ed. Retrieved February 15, 2012 (http://anarchism.pageabode.com/pjproudhon/property-is-theft).

Schwermer, Heidemarie. 2007. “Gib und Nimm.” Retrieved January 22, 2012 (http://www.heidemarieschwermer.com/).

Schwermer, Heidemarie. 2011. Living Without Money. Retrieved January 22, 2012 (http://www.livingwithoutmoney.org).

Sokoloff, Kenneth L., and Stanley L. Engerman. 2000. “History Lessons: Institutions, Factor Endowments, and Paths of Development in the New World.” Journal of Economic Perspectives 14(3)3:217–232.

Sunyal, Ayda, Onur Sunyal, and Fatma Yasin. 2011. “A Comparison of Workers Employed in Hazardous Jobs in Terms of Job Satisfaction, Perceived Job Risk and Stress: Turkish Jean Sandblasting Workers, Dock Workers, Factory Workers and Miners.” Social Indicators Research 102:265–273.

U.S. Bureau of Labor Statistics. 2011. “Employment by Major Industry Sector.” Retrieved February 6, 2012 (http://www.bls.gov/emp/ep_table_201.htm).

18.2 グローバル化と経済

Abedian, Araj. 2002. “Economic Globalization: Some Pros and Cons.” Papers from the Sixth Conference of the International Environment Forum, World Summit on Sustainable Development. Johannesburg, South Africa. Retrieved January 24, 2012 (http://iefworld.org/dabed02.htm).

Bakan, Joel. 2004. The Corporation: The Pathological Pursuit of Profit and Power. New York: Free Press.

Bhagwati, Jagdish. 2004. In Defense of Globalization. New York: Oxford University Press.

Boswell, Terry and Dimitris Stevis. 1997. “Globalization and International Labor Organization.” Work and Occupations 24:288–308.

Central Intelligence Agency (CIA). 2014. “The World Factbook: Country Comparison: GDP Per Capita (PPP).” Retrieved December 15, 2014. (https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/rankorder/2004rank.html).

Koroma, Suffyan. 2007. “Globalization, Agriculture, and the Least Developed Countries.” United Nations Ministerial Conference on the Least Developed Countries. Istanbul, Turkey.

Plahe, Jagjit. 2005. “The Global Commodity Chain Approach (GCC) Approach and the Organizational Transformation of Agriculture.” Monash University. Retrieved February 6, 2012 (http://www.buseco.monash.edu.au/mgt/research/working-papers/2005/wp63-05.pdf).

Parks, James. 2011. “Report: NAFTA Has Cost 683,000 Jobs and Counting,” AFL-CIO Blog, May 3. Retrieved February 6, 2012 (http://blog.aflcio.org/2011/05/03/report-nafta-has-cost-683000-jobs-and-counting).

Sassen, Saskia. 2001. The Global City: New York, London, Tokyo. Princeton, NJ: Princeton University Press.

Speth, James G., ed. 2003. Worlds Apart: Globalization and the Environment. Washington, DC: Island Press.

The United Nations: Department of Economic and Social Affairs. 1973. “Multinational Corporations in World Development.” New York: United Nations Publication.

Wallerstein, Immanuel. 1974. The Modern World System. New York: Academic Press.

18.3 アメリカにおける労働

Autor, David. 2010. “The Polarization of Job Opportunities in the U.S. Labor Market Implications for Employment and Earnings.” MIT Department of Economics and National Bureau of Economic Research, April. Retrieved February 15, 2012 (http://econ-www.mit.edu/files/5554).

Batalova, Jeanne, and Aaron Terrazas. 2010. “Frequently Requested Statistics on Immigrants and Immigration in the United States.” Migration Policy Institute. Retrieved February 6, 2012 (http://www.migrationinformation.org/USfocus/display.cfm?id=818).

Brady, David, Andrew Fullerton, and Jennifer Moren Cross. 2010. “More Than Just Nickels and Dimes: A Cross-National Analysis of Working Poverty in Affluent Democracies.” Social Problems 57:559–585. Retrieved February 15, 2012 (http://www.soc.duke.edu/~brady/web/Bradyetal2010.pdf).

DeNavas-Walt, Carmen, and Bernadette D. Proctor. 2013. “Income and Poverty in the United States: 2013.” U.S. Census Bureau. Retrieved December 15, 2014. (http://www.census.gov/content/dam/Census/library/publications/2014/demo/p60-249.pdf).

Hainmueller, Jens, and Michael J. Hiscox. 2010. “Attitudes Toward Highly Skilled and Low-Skilled Immigration: Evidence from a Survey Experiment.” American Political Science Review 104:61–84.

Holland, Laurence H.M. and David M. Ewalt. 2006. “Making Real Money in Virtual Worlds,” Forbes, August 7. Retrieved January 30, 2012 (http://www.forbes.com/2006/08/07/virtual-world-jobs_cx_de_0807virtualjobs.html).

Kochhar, Rokesh. 2010. “After the Great Recession: Foreign Born Gain Jobs; Native Born Lose Jobs.” Pew Hispanic Center, October 29. Retrieved January 29, 2012 (http://pewresearch.org/pubs/1784/great-recession-foreign-born-gain-jobs-native-born-lose-jobs).

Lowell, Lindsay B., Julia Gelatt, and Jeanne Batalova. 2006. “Immigrants and Labor Force Trends: the Future, Past, and Present.” Migration Policy Institute Insight No. 17. Retrieved February 6, 2012 (http://www.migrationpolicy.org/ITFIAF/TF17_Lowell.pdf).

Nobles, Allison. 2019. “Poverty is Expensive.” The Society Pages. November 27 2019. (https://thesocietypages.org/trot/2019/11/27/poverty-is-expensive/)

U.S. Bureau of Labor Statistics. 2010. Occupational Outlook Handbook, 2006–2007 ed. Retrieved from February 15, 2012 (https://www.bls.gov/ooh/).

U.S. Bureau of Labor Statistics. 2010. “Overview of the 2008-2018 Projections.” Occupational Outlook Handbook, 2010–2011 ed. Retrieved February 15, 2012 (http://www.bls.gov/oco/oco2003.htm#industry).

U.S. Bureau of Labor Statistics. 2011. “A Profile of the Working Poor, 2009.” Retrieved January 25, 2012 (https://www.bls.gov/opub/reports/working-poor/archive/workingpoor_2009.pdf).

U.S Bureau of Labor Statistics. 2012. “Employment Projections–2010–20.” U.S. Department of Labor. Retrieved December 15, 2014. (http://www.bls.gov/news.release/archives/ecopro_02012012.pdf).

U.S. Bureau of Labor Statistics. 2013. “Occupational Employment Projections to 2022.” Department of Labor. Retrieved December 15, 2014. (http://www.bls.gov/opub/mlr/2013/article/pdf/occupational-employment-projections-to-2022.pdf).

U.S. Bureau of Labor Statistics. 2013. “Table 7: Employment by Summary Education and Training Assignment, 2012 and Projected 2022.” United States Department of Labor. Retrieved December 15, 2014. (http://www.bls.gov/news.release/ecopro.t07.html).

U.S. Census Bureau. 2010. “Income, Poverty, and Health Insurance Coverage in the United States.” Retrieved February 15, 2012 (http://www.census.gov/prod/2011pubs/p60-239.pdf).

Wang, Wendy and Kim Parker. 2011. “Women See Value and Benefit of College; Men Lag Behind on Both Fronts.” Pew Social and Demographic Trends, August 17. Retrieved January 30, 2012 (http://www.pewsocialtrends.org/2011/08/17/women-see-value-and-benefits-of-college-men-lag-on-both-fronts-survey-finds/5/#iv-by-the-numbers-gender-race-and-education).

Wheaton, Sarah. 2011. “Perry Repeats Socialist Charge Against Obama Policies.” New York Times, September 15. Retrieved January 30, 2012 (http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2011/09/15/perry-repeats-socialist-charge-against-obama-policies).


この訳文は元の本のCreative Commons BY 4.0ライセンスに従って同ライセンスにて公開します。問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。この本は、https://openstax.org/details/books/introduction-sociology-3eで無料でダウンロードできます。