第6章 集団と組織

図6.1 | 「ティーパーティー・エクスプレス」の全国ツアーがミネソタを訪れ、州議事堂前で集会を開催しました。セクシュアルハラスメントや暴行の被害者を支援したり認知を広めたりする文脈で「me too」という言葉を生み出したタラナ・バークは、MeToo運動に関する進化や問題点について頻繁に発言しています。(Credit: a. Fibonacci Blue/flickr; b Marco Verch)

図6.1 | 「ティーパーティー・エクスプレス」の全国ツアーがミネソタを訪れ、州議事堂前で集会を開催しました。セクシュアルハラスメントや暴行の被害者を支援したり認知を広めたりする文脈で「me too」という言葉を生み出したタラナ・バークは、MeToo運動に関する進化や問題点について頻繁に発言しています。(Credit: a. Fibonacci Blue/flickr; b Marco Verch)

この章の概要

6.1 集団の種類
6.2 集団のサイズと構造
6.3 公式組織

はじめに

米国の歴史を通じて、個人は、目標を達成し、変化をもたらすために集団を形成してきました。一部の集団はゆるやかに定義されている一方で、他の集団は高度に組織化された構造と使命を持ちます。そして場合によっては、集団は文化、社会、経済、政府に対して大きな影響力を持つこともあります。

2009年、政府の支出に抗議する人々は、アメリカ革命戦争へとつながった反税制の出来事であるボストン茶会事件にちなんで、一連の「ティーパーティー」を開催しました。ティーパーティー活動家たちはまた、大きな政府、高い税金、政治腐敗に反対し、銃の権利と伝統的な家族の価値観を支持しました。彼らは「我々の愛する国、アメリカ合衆国の安全、主権、あるいは国内の平穏に挑戦するあらゆる問題への認識」を呼びかけました(Tea Party, Inc., 2021)。この運動は主要な政治勢力に成長し、全米のほぼすべてのコミュニティーに支部が誕生しました。

2010年には、ティーパーティーの候補者が下院と上院で議席を獲得し、この集団とそのメッセージの政治的な力を証明しました。草の根運動が衰えるにつれ、ティーパーティーは共和党内で影響力を持つようになりました。その考え方の多くは、主流の保守運動と共和党の綱領に同化しています。

2016年、フォックスニュースの司会者として大成功を収めていたグレッチェン・カールソンは、フォックス会長のロジャー・エイルズに対してセクシュアルハラスメントを理由に訴えを起こしました。この訴訟をきっかけに、他の女性たちもエイルズやエンターテインメント業界の人たちに対して同様の申し立てをするために前に歩み出るようになりました。その直後、女優のアリッサ・ミラノがツイッターにこんな声明を投稿しました:「もし性的嫌がらせや性的暴行を受けたすべての女性が、ステータスとして「Me too」と書いたら、人々に問題の大きさを感じてもらえるかもしれない。」「MeToo」というフレーズは、2006年に活動家のタラナ・バークが有色人種の女性に力を与えるために、この文脈で初めて使用したものでした。ミラノの投稿から一日以内に、「MeToo」のフレーズやハッシュタグはツイッターで50万回以上使われ、フェイスブックでは470万人によって1200万件以上の投稿で使用されました。また、他の著名人を含む何千人もの人々が、セクシュアルハラスメント、虐待、暴行に関する自身の体験談を共有しました(MeTooMvmt.org, 2020)。「MeToo」運動は、多くのニュース番組やトークショーで主要な話題となりました。その後の数か月間で、この運動は、セクシュアルハラスメントと闘い、女性をより良くサポートするための企業や政府の改革に火をつけました。この運動は、虐待の被害者が名乗り出るきっかけとなり、学術界、メディア、政府、その他の業界で連続的な嫌がらせや虐待で告発された著名な個人への制裁や解任につながりました。

ティーパーティーは組織として発展しました。緩やかに連携した地域支部の集まりから、密接に提携した複数の非営利団体(IRSに申請済み)、共和党内の政治派閥、議会内の会派へと発展しました。MeToo運動についてはどうでしょうか?バークは2006年にそれを始め、ハッシュタグがより多くの認識と新しい政策を呼び起こすずっと前から、変化を実現するために活動していました。MeTooは人々を集めて集団で活動させましたが、まだ恒久的なMeTooの組織を形成するには至っていません。

長続きする社会的単位である集団は、共有された価値観体系を育むのに役立ち、私たちが知っているような社会の構造にとって重要な役割を担っています。集団を研究するための社会学的な視点は、主として3つあります:それは機能主義的、紛争理論的、相互作用論的なものです。私たちは、これらの手法のレンズを通してティーパーティーやMeToo運動を見ることで、それらが提供する役割や課題をより良く理解することができます。

機能主義の視点は、社会のさまざまな側面がどのように絡み合っているかを見る、大局的でマクロレベルの見方です。この視点は、社会はすべての部分が全体にとって必要なバランスのとれたシステムであるという考え方に基づいており、全体との関係でこれらの部分が果たす役割について研究しています。機能主義者は、それぞれの運動が役割を果たすマクロレベルの必要性に注目するかもしれません。例えば、構造機能主義者は、政治的な存在感が薄いと感じていた社会の大きなセクターの懸念を代弁するためにティーパーティーがどのように生まれたのか、あるいはMeTooがどのようにセクシュアルハラスメントやジェンダー不平等に注意を払うように人々を駆り立てたのかを問うかもしれません。このアプローチでは、それぞれの集団がどのようにして不満の声を上げることを可能にし、それによって社会を安定させたかを見ることがあります。

紛争の視点は、不平等の発生と拡大に焦点を当てた、もう1つのマクロ分析的な見方です。紛争理論家がティーパーティー運動を研究する場合、ティーパーティー運動が過去30年間にわたり政治システムを操ってきた利害関係者をどのように批判したかを見るかもしれません。また、この視点は、権力者を守るためにセクシュアルハラスメントを放置してきた組織に対して、MeTooがどのように挑んだかを探ることもできるでしょう。

第三の視点は、シンボリック相互作用または相互作用論の視点です。この手法では、集団を分析する際にミクロレベルの見方をとります。これらの研究者は全体像を研究するのではなく、集団の日々の相互作用に注目します。このような細部を研究することで、相互作用論者はリーダーシップのスタイルや集団力学のような問題に目を向けます。ティーパーティー運動の場合、相互作用論者は、「ニューヨークのティーパーティーの動きは、アトランタのそれとどう違うのか」と問うかもしれません。あるいは、MeTooの場合、研究者は、運動の中で誰が議題やアプローチを規定しているのかを知ろうとするかもしれません。

6.1 集団の種類

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 第一次集団と第二次集団を区別する
  • 第一次集団と第二次集団のサブタイプとして、内集団と外集団を認識する
  • 準拠集団を定義する

私たちのほとんどは、集団という言葉を深く考えることなく、気軽に使っています。しかし、この言葉を使うとき、私たちはしばしば異なることを意味します。「子供たちの集団は皆その犬を見た」と言ったとしても、それは講義室にいる250人の生徒を意味することもあれば、前庭で遊んでいる4人のきょうだいを意味することもあります。日常的な使用では一般的な言葉となりますが、それは臨床的、科学的に重要な意味を帯びています。さらに、集団という概念は、私たちが社会や人間の相互作用について考える際の多くにとって中心的な役割を担っています。では、社会学的な目的のために、どのようにしてその意味をより正確に研ぎ澄ますことができるのでしょうか?

集団を定義する

集団という言葉は不定形的なもので、二人だけの集まり(学校で他の生徒と組む「グループプロジェクト」を思い浮かべてください)、クラブ、友人の定期的な集まり、一緒に仕事をしたり趣味を共有したりする人々など、さまざまな集まりを指すことがあります。要するに、この言葉は、ある程度の頻度で交流し、自分のアイデンティティーがその集団と何らかの形で一致しているという感覚を共有する、少なくとも二人の人間の集まりを指すものです。もちろん、人が集まるたびに、それが集団となるとは限りません。例えば、集会は通常一回限りのイベントであり、ある政党に所属しているからといって他者との交流を意味するものではありません。スターバックスで列に並んでいる人たちのように、たまたま同じ時間に同じ場所にいるものの交流がなく、アイデンティティーの感覚を共有していない人たちは、集合体、あるいは群衆とみなされます。

集団でないもののもう1つの例は、似たような特徴を共有しながら、何らの形でも互いに結びついていない人々です。これらの人々はカテゴリーとみなされます。一例として、1980年から2000年頃に生まれた子供たちは、すべて「ミレニアル世代」と呼ばれます。なぜミレニアル世代は集団ではなく、カテゴリーなのでしょうか?なぜなら、彼らの一部はアイデンティティーの感覚を共有しているかもしれませんが、全体としては、互いに頻繁に交流しているわけではないからです。

興味深いことに、集合体やカテゴリーの中の人々が集団になることがあります。災害時には、近所の知らない人たち(集合体)が仲良くなり、地元の避難所でお互いに頼り合うかもしれません。災害後に、人々がただ近くに住んでいるだけの状態に戻っても、同じ経験をした者同士として、結束力の感情は続くかもしれません。そのような人たちは、緊急時の備えの訓練を実施したり、次回のための物資を調整したり、あるいは特別な助けを必要とする隣人の世話を交代でしたりと、集団として残り続けるかもしれません。

同じように、1つのカテゴリー内に多くの集団が存在することもあります。例えば、教師を考えてみましょう。このカテゴリー内には、教員組合、部活指導を行う教員、PTAに関わるスタッフなどの集団が存在する可能性があります。

集団の種類

社会学者チャールズ・ホートン・クーリー(1864-1929)は、集団が第一次集団第二次集団という2つのカテゴリーに大きく分けられると提案しました(Cooley, 1909)。クーリーによれば、第一次集団は私たちの生活において最も重要な役割を担っています。第一次集団は通常かなり小規模で、一般に長期の感情的方法によって対面で関わる個人で構成されています。この集団は、感情的な必要性の役に立ち、実用的な機能よりも表出的な機能を果たします。第一次集団は通常、重要な他者で構成されます。重要な他者とは、私たちの社会化に最も影響を与える個人のことです。第一次集団の最も良い例は家族です。

第二次集団は、しばしばより大きく非人格的なものです。また、タスクに集中し、時間を限定している場合もあります。このような集団は、表出的というよりは道具的な機能を果たしており、それは、その役割が感情的というよりは目標志向や課題志向であることを意味します。教室やオフィスは、第二次集団の一例です。

第一次集団も第二次集団も、厳密な定義や決められた制限に縛られることはありません。実際のところ、人々はある集団から別の集団へと移動することができます。例えば、同僚の集団は、最初は第二次集団ですが、従業員として長年一緒に働くうちに、共通の興味や強い絆が見つかり、第一次集団に変化することがあります。私たちが「メディアとテクノロジー」の章で議論するように、共通の関心を持つ人々のオンライン・ネットワークですら、時として第二次集団から第一次集団の地位へと移行することがあります。

現実世界における社会学

彼女が会ったことのない親友たち

作家のアリソン・レヴィは、一人で仕事をしていました。彼女は在宅で働くことの自由度と柔軟性は気に入っていたものの、ブレインストーミングや社交といった実用上の目的から、同僚とのコミュニティーが恋しくなることも時にありました。レヴィは、インターネット時代に多くの人がするように、ウェブフォーラムを通じて他の作家のグループをオンライン上で見つけました。やがて、同じような読者を対象に執筆する約20人の作家のグループが、大きなグループから離れ、招待制のプライベートフォーラムを立ち上げました。一般的な作家はジェンダー、年齢、趣味を問いませんが、このグループは20代から30代の女性の集まりで、全員が子供や若者向けの小説を書いていました。

当初、この作家たちのフォーラムは、メンバーの職業や仕事の状況によって結ばれた第二次集団であることは明らかでした。レヴィが説明したように、「インターネットでは、したいだけ出席したり、欠席したりすることができます。誰もあなたが現れることを期待しているわけではないのです。」そこは出版社や最近出版された本や作家の情報、業界の動向などを調べるには便利な場所でした。しかし、時が経つにつれて、レヴィはこの場所が別の目的の役に立っていることに気がつきました。このグループは、書くこと以外にも共通点(年齢やジェンダーなど)があるため、会話は自然と子育てや親の老い、健康や運動などにも及んでいきました。レヴィは、そこが文章だけでなく、さまざまな話題について語り合える共感できる場であることに気づきました。さらに、ある人が数日間投稿がないと、他の人は心配して、その音沙汰のない作家のことについて誰か何か聞いていないかと尋ねました。その結果、ほとんどのメンバーが、旅行中やしばらくの間オフラインになる必要がある場合は、グループに伝えるようになりました。

グループは共有し続けました。家族の難病を経験したこのサイトのあるメンバーは、「あなたたちなしでは、私はどうなっていたかわからない。誰も傷つけずに吐き出せる場所があるのは、本当に素晴らしいことです」と書いています。他の人も同じような感想を述べています。

では、これは第一次集団なのでしょうか?この人たちのほとんどは、お互いに会ったことがありません。ハワイ、オーストラリア、ミネソタ、そして世界中に住んでいます。一生会うことはないかもしれません。レヴィは最近、このグループに向けてこう書きました。「私の『現実の』友人のほとんどは、そして私の夫でさえも、書くということをよく理解してくれません。あなたたちがいなかったら、私はどうすればいいのかわかりません。」距離が離れていて、物理的な接触がないにもかかわらず、このグループは明らかに表出的な欲求を満たしています。

図6.2 | 建築工学の学生が現場の周りに集まっています。学問的な関心によって、内集団と外集団はどのように定義されるでしょうか?(Credit: USACEpublicaffairs/flickr)

図6.2 | 建築工学の学生が現場の周りに集まっています。学問的な関心によって、内集団と外集団はどのように定義されるでしょうか?(Credit: USACEpublicaffairs/flickr)

内集団と外集団

集団が強力なものとなる方法の1つは、包摂と、その逆である排除を通じたものです。私たちがエリート集団や選ばれた集団に属しているという感覚は有頂天にさせるものであり、一方、仲間に入れてもらえない、あるいは集団と競争しているという感覚は、別の意味でモチベーションを高めることがあります。社会学者のウィリアム・サムナー(1840-1910)は、この現象を説明するために、内集団外集団という概念を開発しました(Sumner, 1906)。手短に言えば、内集団とは、個人が所属していると感じる集団であり、その集団が自分という人間の不可欠な一部であると信じるようなものです。逆に、外集団とは、誰かが所属していない集団のことで、しばしば私たちは外集団との関係で軽蔑や競争を感じることがあります。スポーツチーム、組合、友愛会などは、内集団と外集団の例です。第一次集団は内集団と外集団の両方から構成されており、第二次集団も同様です。

集団の所属は中立的または肯定的なものですが、内集団と外集団の概念は、白人至上主義運動のような人間の負の行動も説明することができます。内集団は、他者を「自分たちとは違い」、劣っていると定義することによって、文化、人種、性別、年齢、セクシュアリティーに基づいて他者を否定的に判断する態様である、自文化中心主義、人種差別、性差別、年齢差別、異性愛至上主義を実践することになりかねません。

しばしば、第二次集団の中に内集団が形成されることがあります。例えば、職場には、一緒にゴルフをする上級管理職、一緒にコードを書くエンジニア、勤務時間外に社交する若い独身者などといった人々の集まりがあります。このような内集団は、他の内集団メンバーに対して好意や親和性を示すかもしれませんが、組織全体としては、それを認めることができないか、認めたくないかもしれません。そのため、組織は内集団同士の政治的な動きに注意を払います。なぜなら集団内での地位を得ることの一形態として、メンバーが他者を排除するかもしれないからです。

大局的な観点

いじめとネットいじめ:テクノロジーは嘲笑をどう変えたか

「棒や石は私の骨を折るかもしれないが、言葉は私を傷つけることは決してない」という古い詩文が不正確であることは、ほとんどの人が知っています。言葉は人を傷つけることがあり、それはいじめの例でこれ以上ないほど顕著になります。いじめは、子供や若者において、しばしば極端に残酷なレベルに達することがあります。これらの人生の段階にある人々は、他人の意見に特に脆弱で、仲間集団に深く入り込んでいます。今日では、ネットいじめが増加しています。ネットいじめには、脅迫的な文章を送る、(ソーシャルメディアなどの)公のフォーラムで誰かに嫌がらせをする、誰かのアカウントをハッキングして本人になりすます、恥ずかしい画像をオンライン上に投稿する、などの行為が含まれます。ネットいじめ研究センターの調査によると、10代の28%がネットいじめの被害に遭ったことがあるという結果が出ています(Hinduja and Patchin, 2019)。深刻ないじめは、自殺願望や自殺未遂につながる可能性があります(John, 2018)。研究者は、対面やオンラインでのいじめを経験した学生は、自殺を試みる可能性が11倍高いと指摘しています(Hinduja, 2018)。面と向かってのいじめは、被害者と直接やり取りする意思が必要ですが、ネットいじめでは、いじめっ子が自宅というプライバシーのある場所から、被害を直接目撃することなく、他人に嫌がらせをすることができます。このような形態のいじめは、広くアクセス可能であり、したがって実行が容易であるため、特に危険です。ネットいじめは、被害が物理的な場所に限定されないため、無力感や逃れることのできない感覚を生み出すことがあります。多くの被害者が、複数のプラットフォームやフォーマットで同時に嫌がらせを受けたと報告しています。

2010年、マサチューセッツ州サウスハドレーに住む15歳の少女フィービー・プリンスが、学校の女子生徒から執拗ないじめを受けた末に自殺したことで、ネットいじめは初めて国際的な見出しとなりました。彼女の死後、いじめっ子たちは訴追され、州ではいじめ防止法が制定されました。これを機に、米国ではネットいじめを含むいじめに対する考え方が大きく変わりました。現在、学校、家庭、地域社会には、この問題に関する教育と予防を提供するための数多くのリソースがあります。ソーシャルメディアのプラットフォームとその親会社も、(しばしばコミュニティーからの圧力により)いじめの検出と報告機能を改善するための措置を講じています。

全米教育統計センターが2013年に発表した報告書によると、3人に1人近く(27.8%)の生徒が学校の仲間からいじめられたと報告しています。また、17%の生徒がネットいじめの被害者であると報告しています。全体的に、LGBTQの若者は他の若者よりも高い割合で標的にされ、少数派の人口集団のメンバーも、全体としてネットいじめの被害者になる可能性が高いです(Hinjuda & Patchin, 2020)。最後に、大人(特に大学生)も頻繁にネットいじめの被害者や加害者になっています。

準拠集団

図6.3 | アスリートはしばしば若者の準拠集団として捉えられます。(Credit: nonorganical/ flickr)

図6.3 | アスリートはしばしば若者の準拠集団として捉えられます。(Credit: nonorganical/ flickr)

準拠集団とは、人々が自分自身を比較する集団のことで、測定の基準となるものです。米国社会では、仲間集団が一般的な準拠集団です。子供も大人も、仲間がどんな服を着ているか、どんな音楽が好きか、自由な時間に何をしているかに注意を払い、観察したものと自分自身とを比較しています。ほとんどの人は複数の準拠集団を持っており、そのため、中学生の男の子は、自分のクラスメートだけでなく、兄の友人にも目を向け、異なる規範のセットを目にすることがあります。また、お気に入りのスポーツ選手の行動を観察して、さらに別の参照点を見出すかもしれません。

他の準拠集団の例としては、自分の文化センター、職場、家族の集まり、そして両親などがあります。準拠集団は、しばしば、競合するメッセージを伝えます。例えば、テレビや映画では、若い大人が仕事もしていないのに、素晴らしいマンションや車を持ち、活発な社会生活を送っていることが多いです。また、ミュージックビデオでは、若い女性が、年齢以上の経験を示唆するような性的に挑発的な方法で踊ったり歌ったりすることがあります。いつの時代も、私たちは自分の行動を導き、社会規範を確立するのに役立てるために、準拠集団を利用しています。では、前向きな準拠集団に囲まれることが、どれほど重要なのでしょうか?あなたが準拠集団を認識していなくても、その集団があなたの行動に影響を与えることは変わりません。あなたの準拠集団を特定することで、自分が目指す社会的アイデンティティーや距離を置きたいと思う社会的アイデンティティーの源を理解する助けとなるでしょう。

現実世界における社会学

大学:内集団、外集団、そして準拠集団の世界

図6.4 | あなたは、どの学生の友愛会にうまくなじむでしょうか?学生クラブの勧誘日は、学生がこれらの異なる集団について学ぶ機会を提供します。(Credit: Texas A&M/flickr)

図6.4 | あなたは、どの学生の友愛会にうまくなじむでしょうか?学生クラブの勧誘日は、学生がこれらの異なる集団について学ぶ機会を提供します。(Credit: Texas A&M/flickr)

大学に入学する学生にとって、集団についての社会学的研究は、すぐに実用的な意味を持つようになります。結局のところ、私たちの多くは、新しい場所に到着すると、自分がどの程度なじめるか、あるいは自分の望む方法で目立つことができるかを確認するために、周囲を見渡すのです。これは、準拠集団に対する自然な反応であり、大きなキャンパスでは、多くの競合する集団が存在する可能性があります。例えば、あなたが学内スポーツをしたい強壮なアスリートで、好きなミュージシャンは地元のパンクバンドだとします。あなたは、自分が2つのまったく異なる準拠集団と関わっていることに気づくでしょう。

これらの準拠集団は、あなたの内集団になることも外集団になることもあります。例えば、キャンパス内のさまざまな集団が、あなたに入会を勧誘してくるかもしれません。あなたの学校には、男子学生や女子学生の友愛会がありますか?もしそうなら、彼らは学生を、つまり自分たちが価値があると判断した学生を、自分たちの仲間にしようと説得するでしょう。そして、もしあなたがサッカーが好きで、学内のチームでプレーしたいのに、すれて破れたジーンズにコンバットブーツ、地元のバンドのTシャツを着ていたら、サッカーチームがあなたにチャンスを与えるよう説得するのは難しいかもしれません。ほとんどのキャンパスの集団は、競合する集団を侮辱するようなことはしませんが、内集団対外集団という意識は確実にあります。「あいつら?」とあるメンバーは言うかもしれません。「あいつらもいいけど、あいつらのパーティーは俺らのほどクールじゃない。」あるいは、「あの集団には、まじめなエンジニアのギークしか入らない。」このように、内集団と外集団に即座に分類されるため、学生は慎重に選択しなければなりません。なぜなら、あなたがどのような集団と付き合うかで、今後数年間の友達が決まるかもしれないからです。

6.2 集団のサイズと構造

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • サイズが集団力学に与える影響について説明する
  • リーダーシップのスタイルを区別する
  • 集団が個人の行動に与える影響について解釈する
図6.5 | 士官候補生は、同調性がいかに強く集団を規定し得るかを例示します。(Credit: West Point — The U.S. Military Academy/flickr)

図6.5 | 士官候補生は、同調性がいかに強く集団を規定し得るかを例示します。(Credit: West Point — The U.S. Military Academy/flickr)

ダイアド、トライアド、大集団

小集団とは、一般に、核家族、ダイアド、トライアドのように、集団の構成員全員がお互いを知り、同時に相互作用を共有するのに十分なほど小さな人数の集まりのことです。ゲオルク・ジンメル (1858–1918)は、二人組であるダイアドと三人組であるトライアドの違いについて、広範に書きました(Simmel, 1902)。前者では、もし一人が脱退すれば、その集団はもはや存在し得ないです。離婚によって夫婦の「集団」が事実上消滅することや、親友同士が二度と口をきかなくなることを考えればよいでしょう。しかしながら、トライアドの場合、その力学はまったく異なります。もし一人が脱退しても、その集団は存続します。トライアドは、異なる組の関係性を有します。もし集団内に三人いれば、2対1の力学が働き、どんな問題でも多数意見が形成される可能性があります。

小集団は一般に、強い内部の結束とつながりの感覚を持っています。大きな目標を達成しようとするときには、小集団は困難に直面することがあります。大きな集団と対立すると、彼らは意見を聞いてもらうのに苦労をし、変革の力になりにくいです。

小集団が大集団になるときを正確に定義することは困難です。もしかしたらそれは、ある集団が大きくなりすぎて、同時に議論に参加する人数が多すぎるときに起こるのかもしれません。また、ある集団が運動の一環として他の集団と一緒になったときに起こることもあります。このような大きな集団は、同じキャンパス内の友愛会やクラブ活動のように地理的な空間を共有している場合もあれば、世界中に散らばっている場合もあります。集団が大きければ大きいほど、より多くの注目を集めることができ、メンバーが達成したい目標に向かってより多くの圧力をかけることができます。同時に、集団が大きくなればなるほど、分裂や結束の欠如のリスクも高まります。

集団のリーダーシップ

多くの場合、大きな集団には何らかのリーダーシップが必要です。小規模な第一次集団においては、リーダーシップは非公式なものになる傾向があります。結局のところ、ほとんどの家族は、誰が集団を統治するかについて投票をすることはないですし、ほとんどの友人の集団もそうです。事実上のリーダーが出現しないわけではありませんが、正式なリーダーシップが存在することは稀です。第二次集団においては、通常の場合リーダーシップはよりあからさまになります。それらは役割と責任の概要を表し、それに従う指揮系統を持つことがしばしばあります。軍隊のようないくつかの第二次集団は、高度に構造化され、明確に理解された指揮系統を持ち、時にはその指揮系統に命がかかっていることもあります。もし、さまざまな人が命令を出し、誰の言うことを聞けばいいのかわからないとしたら、兵士たちは戦場でどれだけ機能することができるでしょうか?職場や教室など、他の第二次集団にも正式なリーダーが存在しますが、リーダーシップのスタイルや機能は大きく異なる場合があります。

リーダーシップ機能とは、リーダーの主な目標のことを指し、道具的なものと表出的なものがあります。道具的なリーダーとは、目標志向で、決められた仕事を達成することに主眼を置く人です。私たちは、陸軍大将やフォーチュン500社のCEOが道具的なリーダーであると想像できます。一方、表出的なリーダーは、感情的な強さと健康を促進し、人々がサポートされていると感じられるようにすることに重きを置きます。社会的、宗教的リーダーであるラビ、神父、イマーム、青少年施設や社会福祉プログラムのディレクターは、しばしば表出的なリーダーとして認識されています。時に人々は、男性が道具的な役割を、女性が表出的な役割を引き受けることを期待します。他方のジェンダーのやり方を示す女性や男性は、逸脱者とみなされ、抵抗に直面することがあります。しかし、男女ともに、表出的リーダーシップと道具的リーダーシップを組み合わせて使うリーダーを好みます(Boatwright and Forrest, 2000)。

社会学者は、3つのリーダーシップのスタイルを認識しています。民主主義的なリーダーは、すべての意思決定において集団の参加を促します。彼らは、行動の道筋を選んで前進する前に、合意形成に努めます。このタイプのリーダーは、例えば、どの活動やプロジェクトを進めるかについて会員が投票するクラブで特によく見られます。民主主義的なリーダーはとても好感を持たれますが、合意形成に時間がかかるため、意思決定が遅々として進まないという危険性がしばしばあります。さらに、集団のメンバーが二手に分かれ、解決策を見出すどころか対立する派閥に固定されてしまうというリスクもあります。

これに対して、レッセ・フェール(フランス語で「なすに任せよ、自由放任」の意)のリーダーは、集団のメンバーが自己管理し、自分たちで意思決定することを認め、手を出しません。この種のリーダーの一例は、美術棚を開けて材料を置いておき、生徒には「自由に手に取り、作品を作りなさい」と言うような美術の先生でしょう。このようなスタイルは、明確な目標や指針があり、非常に意欲的で成熟した参加者には効果を発揮するでしょうが、集団の解散や進展の欠如を招く危険性があります。

最後に、権威主義的なリーダーは、集団のメンバーからのフィードバックがほとんどない状態で、命令を下し、タスクを割り当てます。このようなリーダーは、しばしば目標を達成することに強く焦点を合わせる道具的なリーダーです。フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグのように、起業家がこの類型に当てはまることがよくあります。驚くことではありませんが、権威主義的なリーダーは労働者を疎外する危険性があります。しかしながら、迅速な意思決定が必要な場合や、意思決定が高度な専門知識によって裏付けられている場合には、このスタイルのリーダーシップが求められることもあります。

さまざまな状況において、これらのリーダーシップのスタイルは、それぞれ効果的で成功する可能性があります。自分がどのようなリーダーシップのスタイルを好むか考えてみましょう。それはなぜでしょうか?教室、職場、スポーツチームなど、生活のさまざまな場面で、同じスタイルを好きになるでしょうか?

大局的な観点

女性の政治立候補者

図6.6 | カマラ・ハリスは、他の多くの女性リーダーと同様に、独特で時に相反する期待に直面しています。彼女はリーダーでありたいと望んでいるかもしれませんが、他の人々はそれ以上に彼女が好かれているかどうかを気にしています。(Credit: California National Guard/flickr)

図6.6 | カマラ・ハリスは、他の多くの女性リーダーと同様に、独特で時に相反する期待に直面しています。彼女はリーダーでありたいと望んでいるかもしれませんが、他の人々はそれ以上に彼女が好かれているかどうかを気にしています。(Credit: California National Guard/flickr)

カマラ・ハリスは、女性として、そして黒人・南アジア系の出自として初めて米国の副大統領に選出され、大きな壁を破りました。2020年の予備選挙で自ら有力な大統領候補であったハリスは、当時の大統領候補者であったジョー・バイデンから、選挙での勝利を確保するために副大統領候補になるよう要請されました。

しかしながら、2020年11月3日に行われた大統領または副大統領の投票では、他にも10人以上の女性が投票用紙に載っていたことを知ると、あなたは驚くかもしれません。その多くはすべての州で投票に参加していたわけではなく、少なくとも一人(リッキー・スー・キング)は実際のところ自分に投票しないよう人々に勧めていました。シャーリー・チザム、レノーラ・フラニ、ジル・スタイン、ヒラリー・クリントン、その他多くの女性が候補者となりましたが、米国はまだ女性を大統領に選出したことがありません。

研究者や政治アナリストは、政治指導者(候補者と選出された役職者の両方)がどのように受け取られるかについて、ジェンダーが重要な役割を果たすことを長い間立証してきました。その出発点として、たとえ女性であっても、公衆は大統領に男性的な資質を好むという研究結果が示されています。例えば、被験者がベム性別-役割調査目録と黙示的リーダーシップ調査目録を記入した研究では、仮想の「理想的な」大統領は、女性的な資質よりも男性的な資質を多く持っていることがわかりました(Powell and Butterfield, 2011)。

男性的な資質に対する暗黙の選好にとどまらず、女性候補者は「好感度の罠」とときに呼ばれるものに直面します。基本的に、公衆はリーダーに特定の資質を期待し、好みますが、候補者のジェンダーに基づく特定の資質もまた、期待し、好みます。女性大統領候補の場合、これらの期待はしばしば対立します。例えば、男性候補が女性的資質を低く評価された場合、その好感度は大きく影響されません。しかし、ヒラリー・クリントンのような女性候補が女性的資質を低く評価された場合、その好感度は大きく影響されます。興味深いことに、同じ調査で、カマラ・ハリスはクリントンよりもずっとバランスのとれたジェンダーの資質の評価を受けていることがわかりました。研究者たちは、カマラ・ハリスが大統領ではなく副大統領に立候補したため、その評価をクリントンの評価と直接比較することはできないと認めています。しかし、この違いは、多くの女性が議員や知事職には選ばれても、大統領には選ばれない理由を示しているのかもしれません(Conroy, Martin, and Nadler, 2020)。

このような受け止められ方は、職場でも同じように現れます。規範的な固定観念、つまり、男性または女性がどのように振る舞うべきかという考え方は、女性の指導的地位への昇進を制限しています。男性は野心的であることが評価されがちですが、自己主張の強い振る舞いを呈する女性は一般に利己的であったり、過度に競争的であると認識されます(Baldoni, 2020)。さらに、男性が職場で手助けをすると、その貢献が評価される一方で、女性が行った同じ作業は認識されません。学者たちは、米国企業やフォーチュン500社のトップレベルでは、女性の割合が低いことを観察しています(Heilman, 2012)。

図6.7 | この冗談のギフトは、女性リーダーが社会規範に違反した場合、どのような見方をされる可能性があるかを示しています。(Credit: istolethetv/flickr)

図6.7 | この冗談のギフトは、女性リーダーが社会規範に違反した場合、どのような見方をされる可能性があるかを示しています。(Credit: istolethetv/flickr)

同調

私たちは皆、ある程度は溶け込みたいものです。同様に、もし目立ちたいのであれば、どのように目立つか、どのような理由で目立つかを選びたいものです。例えば、最先端のファッションが好きな人は、新しいトレンドを作るために、示唆に富んだ新しいスタイルの服を着るかもしれません。

同調とは、個人が集団の規範や期待にどの程度従うか、ということです。あなたも思い出せるでしょうが、私たちは、どのように行動し、どのような服装をし、どのように振る舞うかを評価し理解するために、準拠集団を利用しています。驚くことではありませんが、若者は特に、誰が同調し、誰が同調しないかを意識しています。母親からアイロンのかかったボタンダウンのシャツを着せられている高校生の男の子は、「みんながTシャツを着ていて、自分はバカに見える」と抗議するかもしれません。また、別の男子高校生は、目立つためにそのようなシャツを着るのが好きかもしれません。あなたはどの程度注目されるのが好きですか?特別視されないように、集団の規範に合わせることを自覚的に好みますか?同調したくない人について考えるとき、すぐに思い浮かぶ人はクラスにいますか?

心理学者のソロモン・アッシュ(1907-1996)は、特に小さな集団の中で、同調することへの圧力がいかに大きいかを示す実験を行いました(Asch, 1956)。社会学研究の囲み記事で彼の研究について読み、あなたがアッシュの実験に参加したらどうするか考えてみましょう。あなたは率直に答えるでしょうか?何があれば素直に発言しやすくなり、何があれば発言を控えることになるでしょうか?

社会学研究

期待に同調する

1951年、心理学者のソロモン・アッシュは、8人ほどの小さな集団にテーブルを囲んで座ってもらいました。座っている中の1人だけが真の被験者で、残りの人は実験者の助手でした。しかしながら、この被験者は、他の全員が自分と同じように、視覚判断の実験のために連れてこられた人間であると思い込まされていました。この集団に対して、1枚目には1本の縦線、2枚目には長さの異なる3本の縦線が描かれた2枚のカードが示されました。 実験者は、この集団に聞き取り調査をし、2枚目のカードのどの線と1枚目のカードの線が一致するかを、参加者に1人ずつ尋ねました。

しかしながら、これは実際には視覚判断のテストではありませんでした。それは、アッシュが行った同調の圧力に関する研究でした。彼は、どの線が一致しているかを判断できるはずの被験者に対して、複数回の誤答がどのような影響を与えるかを知りたいという好奇心を持っていました。これをテストするため、アッシュはやらせの回答者に特定の方法で回答させました。被験者は、自分の番が回ってくる前に、ほとんど全員の答えを聞かなければならないような席に座らされました。時には、被験者以外のメンバーが全員一致で、明らかに間違っている答えを選ぶこともありました。

では、結論はどうだったのでしょうか?アッシュは、50人のテストの被験者のうち37人が、少なくとも一度は「明らかに間違っている」答えを返していることを発見しました。集団の残りの全員から満場一致で間違った答えを突きつけられたとき、被験者は平均して4つのやらせの答えに同調しました。アッシュはこの研究を修正し、繰り返し行いました。その際、被験者はやらせの間違った答えを聞きますが、自分の答えを声に出すのではなく、書き留めることを許されました。このバージョンでは、集団に反しないように不正解を答えるという同調性の例の数が3分の2に減少しました。また、集団の大きさが、被験者が同調するようプレッシャーを感じる度合いに影響することもわかりました。

その結果、5、6人が間違った立場を主張する際に率直な答えを返すよりも、1人が間違った意見を言ったときに率直な答えを返すことのほうが圧倒的に多いことがわかりました。最後に、アッシュは、ほぼ全員の意見が一致していても、1人の味方がいれば正しい答えを出す可能性がはるかに高くなることを発見しました。集団の中に1人でも反対意見があれば、被験者が同調するのはわずか4分の1の回数になりました。明らかに、1人の少数派より2人の少数派の方が楽だったのです。

アッシュは、「人々は集団に好かれることを望む」、「人々は集団の方が自分より情報が豊富だと思う」という同調についての主たる2つの原因があると結論付けました。彼は、自分の研究結果に動揺しました。それは、知的で教養のある人たちが、ほとんど説得されるまでもなく、事実と違うことに従ってしまうということを彼に示していました。彼は、この結果が、私たちの社会における教育制度や価値観の真の問題を浮き彫りにしていると考えました(Asch, 1956)。

イェール大学の心理学者スタンレー・ミルグラムは、現在単にミルグラム実験として知られている実験において同様の結果を得ました。1962年、ミルグラムは、権威ある人物から指示されると、研究対象者が圧倒的に自分の良心と直接相反する行為を行うことを発見しました。この実験では、質問に正しく答えなかった他者に対して、苦痛を伴う衝撃を与えること、さらには致命的と思われる衝撃を与えることを対象者は躊躇しませんでした。

同様の研究の詳細については、http://www.prisonexp.org/ をご覧ください。

傍観者効果と責任の分散

社会心理学者は、私たちが意識するかしないかにかかわらず、他人の存在が私たちの行動に影響を与えることを認識しています。その一例が傍観者効果で、これは緊急時や社会規範が侵害されているときに、周囲に他人がいると人々が干渉しにくくなるという状況のことです。彼らは、他の傍観者がいることで、責任を感じにくくなります(Beyer et al., 2017)。これは、責任の分散として知られています。

ほとんどの場合、人々は「自分は関わりたくないし、それが何か悪いことを見ても反応しない理由だ」と報告します。彼らは、別の誰かが歩み出て助けてくれるだろうと思っています。研究者たちは、被害者を知らない場合、人々は助ける可能性が低いことを発見しました(Cherry, 2020)。

このように考えてみてください。あなたは教室に向かって歩いていて、周りに何人かの学生がいます。誰かが発作を起こして地面に倒れました。あなたならどうしますか?傍観者効果は、あなたが倒れている人を知らない限り、助けるよりも立ち去る可能性が高いことを示唆しています。しかしながら、社会心理学者は、そばにいるのが自分一人であれば、あなたは助けるか、少なくとも立ち止まって確認する可能性がはるかに高いと考えています。

6.3 公式組織

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 公式組織の種類を区別する
  • 官僚制の特徴を認識する
  • 社会のマクドナルド化がもたらす影響を明らかにする

現代生活の不満は、社会が大規模で非人格的な第二次的な組織に支配されていることです。学校から企業、医療、政府に至るまで、これらの組織は公式組織と呼ばれ、高度に官僚化されています。実際、すべての公式組織は官僚制であるか、あるいはそうなる可能性が高いです。ここでは、私たちは公式組織の目的とその官僚制の構造について議論します。

公式組織の種類

図6.8 | ガールスカウト隊も矯正施設も公式組織です。(Credit: (a) moonlightbulb/flickr; (b) CxOxS/flickr)

図6.8 | ガールスカウト隊も矯正施設も公式組織です。(Credit: (a) moonlightbulb/flickr; (b) CxOxS/flickr)

社会学者のアミタイ・エツィオーニ(Etzioni, 1975)は、公式組織は3つのカテゴリーに分類されると提唱しました。規範的組織は、自発的組織とも呼ばれ、共有された利害に基づくものです。その名が示すように、組織への参加は任意です。人々は、そのメンバーとなることに無形の方法でやりがいを感じます。彼らは非物質的な利益を得ます。オーデュボン協会やスキークラブは、規範的組織の例です。

強制的組織とは、私たちが強制的に、あるいはむりやりに参加させられなければならない集団のことです。刑務所や更生保護施設などがこれにあたるでしょう。シンボリック相互作用論者のアーヴィング・ゴフマンは、強制的組織の多くは全制的施設であると述べています(Goffman, 1961)。全制的施設とは、受刑者や軍人が管理されたライフスタイルを送り、その中で完全な再社会化が行われる施設のことです。

第三のタイプは功利的組織で、その名の通り、特定の物質的報酬を必要とするために加入するものです。高校や職場はこのカテゴリーに属します。ある人は卒業証書を求めるために、別の人はお金を稼ぐために参加します。

表6.1 | 公式組織の表。この表は、エツィオーニの三種類の公式組織を示しています。(Credit: Etzioni, 1975)

表6.1 | 公式組織の表。この表は、エツィオーニの三種類の公式組織を示しています。(Credit: Etzioni, 1975)

官僚制の構造

官僚制は、公式組織の理想的なタイプです。理想的といっても、社会学者は「最良」を意味しているのではありません。むしろ、官僚制には、そのほとんどが示す特徴の集まりがあります。先駆的な社会学者であるマックス・ウェーバーは、官僚制を、権威の階層、明確な分業、明示的なルール、非人格性といった特徴を持つものとしています(Weber, 1922)。人々はしばしば官僚制について、「遅い」「ルールに縛られている」「切り抜けるのが大変」「不親切」といった不満をこぼします。ここで、官僚制を定義する用語を見て、その意味を理解してみましょう。

権威の階層とは、ある個人またはオフィスを別の個人またはオフィスに従属させ、その別の個人またはオフィスはさらなる上司のもとに従わなければならないという指揮命令系統のことを指します。例えば、あなたがウォルマートの従業員であるとして、シフトマネージャーはあなたに仕事を割り当てます。シフトマネージャーはストアマネージャーに従い、ストアマネージャーは地域マネージャーに従う、といった順に続いていき、そしてCEOは取締役会のメンバーに、そして取締役は株主に従わなければなりません。この官僚制では、全員が指揮命令系統に従います。

官僚制には明確な分業があります。それぞれの個人が専門的な仕事をこなします。例えば、大学では、心理学の教授は心理学を教えていますが、彼らは学生に学資援助書類を渡そうとはしません。入試課がこの仕事を引き受けることが多いです。この場合は、明確で常識的な分け方です。しかし、厨房で料理が滞留しているレストランで、接客係がその近くで携帯電話でテキストを打っていたらどうでしょうか?彼女の仕事は、料理を運ぶことではなく、お客さんを座らせることです。これは賢明な分業と言えるでしょうか?

官僚組織には明示的なルールがあり、そのルールは概説され、文書化され、標準化されています。例えば、あなたの大学では、学生のための指針が学生ハンドブックに記載されています。テクノロジーが変化し、大学キャンパスがネットいじめや個人情報の盗難など、新たに発生する懸念に遭遇するにつれ、組織は明示されたルールでこれらの新たな問題をカバーしようと躍起になっています。

最後に、官僚制は非人格性によっても特徴付けられます。これは、職業上の状況から個人的な感情を排除するものです。この特徴は、ある程度において、縁故採用や裏取引、その他のタイプのえこひいきを避けると同時に、組織が相手にする顧客やその他の人を保護したいという思いから生まれたものです。非人格的官僚制は、効果的かつ効率的に、大量の顧客に迅速に対応することができます。しかしながら、明示的なルール、明確な分業、厳格な権威の階層のために、独特な状況や新しい状況に容易に適応することができません。その結果、ウォルマートのような官僚的な構造を持つ店舗は、個人、他の企業、そして地域全体のことをほとんど気にかけていないと、顧客からよく不満が出ます。

官僚制はしばしば実力主義です。これは、採用や昇進は縁故や無作為の選択ではなく、証明され文書に記されたスキルに基づいて行われることを意味します。一流大学に入学するには、SATで好成績を収め、印象的な成績表が必要です。弁護士になり、クライアントを代理するためには、あなたはロースクールを卒業し、州の司法試験に合格しなければなりません。もちろん、伝統的な実力主義の道を歩まなかった人たちが成功した例は、数多く記録されています。大学を中退した創業者がいるテクノロジー企業や、ユーチューブの動画が拡散して有名になったパフォーマーを思い浮かべてみてください。

さらに、実力主義を目指す組織は、課題に直面します。実力主義が確立された組織は、どの程度人材を発掘できていると思いますか?裕福な家庭では、家庭教師、面接指導コーチ、試験準備サービス、コンサルタントなどを雇い、自分の子供が最高の学校に入れるように手助けしています。ニューヨーク市では、幼稚園の頃からこのようなことが行われており、特に評価の高い学校をめぐる競争は熾烈を極めています。これらの学校の多くは、学校をより民主的なものにするために、多額の奨学金基金制度を設けていますが、果たしてすべての志願者に公平な機会を提供しているでしょうか?

官僚制には、いくつかの良い側面があります。それは効率性を高め、機会の平等を確保し、多くの人々に仕えることを目的としています。そして、厳格な階層が必要な場合もあります。しかし、多くの官僚制が大きくなったのは、私たちの学校モデルが開発されたのと同じ時期、つまり産業革命の時代だったことを思い出してください。若い労働者が訓練を受け、大量生産、組立ライン作業、工場での仕事のために組織が構築されました。このような場面では、明確な命令系統が重要でした。しかし、情報化時代の今、このような厳格な訓練や手順の遵守は、かえって生産性や効率性を低下させる可能性があります。

今日の職場では、より速いペース、より多くの問題解決、そして柔軟な仕事への取り組みが求められています。明示的なルールや分業に固執しすぎると、組織は取り残されかねません。そして残念なことに、一度確立された官僚制は、それ自体が命取りになってしまうこともあります。あなたは「大洋の真ん中でタンカーの向きを変えようとする」という表現を聞いたことがあるかもしれませんが、これは、大きくてやり方が決まっているものを方向転換することの難しさを指しています。州政府と現在の予算危機は、この課題の一例です。即座に変革を行うことはほとんど不可能であり、各州は毎年、ますます不均衡になる予算に対処することができません。最後に、官僚制は、特権的な白人男性がすべての権力を握っていた時代に制度として発展しました。表向きは実力主義に基づきますが、官僚制は、伝統的に男性や特権階級が歩んできた道の実力だけを認めることによって、既存の権力のバランスを永続させることができます。

ミヒェルス(Michels, 1911)は、すべての大組織は、組織全体が少数のエリートによって支配される寡頭制の鉄則によって特徴付けられると示唆しました。これは本当だと思いますか?大組織は協調的になり得ますか?

図6.9 | エジプトのマクドナルドの店頭は、社会のマクドナルド化を示しています。(Credit: s_w_ellis/flickr)

図6.9 | エジプトのマクドナルドの店頭は、社会のマクドナルド化を示しています。(Credit: s_w_ellis/flickr)

社会のマクドナルド化

社会のマクドナルド化(Ritzer, 1993)とは、政府や教育、さらには人間関係などを含む、一般的な社会制度において、ファストフードのビジネスモデルの存在感が増していることを指します。この言葉自体は、出版物や研究、一般的な会話ではあまり広く使われませんが、その影響は非常に身近で、当たり前のことでさえあります。マクドナルドのモデルには、効率性(分業)、予測可能性、計算可能性、コントロール(監視)が含まれます。例えば、平均的なチェーンの食料品店では、レジにいる人が顧客の会計をし、ストッカーが商品棚を補充し、惣菜担当者が注文に応じて肉やチーズをスライスしています(効率性)。あなたがその食料品チェーンのどこかの店内に入れば、いつでも同じ種類の商品を受け取り、同じ店内組織を目にし、同じブランド品を同じ価格で見つけることができます(予測可能性)。商品は1ポンド単位で売られているので、あなたは玉ねぎの袋の価格を単純に推測するのではなく、果物や野菜の購入量を量ることができます。従業員はタイムカードを使って時間を計算し、残業代を受け取っています(計算可能性)。最後に、店の従業員は全員制服を着ており、通常は名札を付けているので、簡単に識別できることにあなたは気づくでしょう。店内を監視するための防犯カメラがあり、倉庫など店内の一部は一般的に顧客が立ち入れない場所とされています(コントロール)。このようなアプローチはチェーン店ではあまりにも当たり前なので、あなたは気づいてすらいないかもしれません。実際、もしあなたが大型チェーンのレストランやウォルマートのような店に行って、こうした均一な特徴を持たない労働者や工程を見ると、奇妙に感じるでしょう。

マクドナルド化は、利益を向上させ、世界中のより多くの人々にさまざまな商品やサービスを提供できるようになった一方で、市場で入手できる商品の種類を減らし、入手できる製品を画一的、一般的、当たり障りのないものに変えてしまいました。大量生産された靴と地元の靴職人が作った靴の違い、家族経営の農場の鶏肉と企業の生産者の鶏肉、地元の食堂のコーヒーとスターバックスのコーヒーの違いを考えてみてください。農家の直売市場や地ビール工場、さまざまなDIYのトレンドなど、いくつかのより現代的な取り組みは「脱マクドナルド化」と言えるでしょう。また、最近の個性を強調する広告や商品では、マクドナルドでさえも脱マクドナルド化を進めているようです。

この現象が企業に与える影響はそれ自体興味深いものですが、社会学者や普通の市民は、社会の他の領域における反響のほうを気にすることが多いです。その主な例は、この教科書の後のほう広範に議論する教育です。カリキュラムや教育実践は、長い間、州の指導のもとで地元の学区の領分でした。一部の専門家は、これが非効率と期待よりも低い成績につながっていると感じていました。1990年代から、特に2000年代初頭の落ちこぼれ防止法によって、全国的な基準が地方での取り組みに優先し始めました。しかし、望ましい結果(教育の改善)を測定するのは難しく、達成するのははるかに困難です。資金不足、困難な基準、国民や地方自治体の激しい反対により、この法律の影響は概ね限定的とみなされ、最終的には段階的に縮小されました。

医療もまた、大量生産と効率化のモデルへと移行しています。この教科書の後のほうで探究することになるように、米国の医療機関や保険会社は、部分的にはアメリカの高齢化や健康な人口の減少の結果として、圧倒的な需要の増加に直面しました。1990年代には、病院の「合併熱」と呼ばれたように、医療提供者の統合が進みました。地元の病院や小さな医院までもが、大規模なシステムに合併・買収されました(Fuchs, 1997)。この傾向は、急患診療所のような医療提供者が新たに増加したことでも続いています。その他の効率化と標準化の方法としては、遠隔医療、新しいタイプの医療従事者、保険の義務化、人工知能などが含まれます。

現実世界における社会学

マックジョブの秘密

私たちはしばしば官僚制を蔑むような言い方をしますが、ファストフード店ほどこの言葉が熱を帯びるような組織はないでしょう。エリック・シュローサーの著した『ファストフードが世界を食いつくす』など、いくつかの書籍や映画では、ファストフード・チェーンに何が運び込まれ、何が行われ、何が出てくるのか、その醜態が描かれています。ファストフード・チェーンは、環境への影響から、米国における肥満の蔓延に果たした役割に至るまで、数多くの社会悪と結びつけられています。さらに、ファストフード店で働くことはしばしば軽んじられ、軽蔑的に本当の仕事ではなくマックジョブだと言われることさえあります。

しかし、ビジネススクールのジェリー・ニューマン教授は、7つのファストフード店のカウンターに潜入して働き、そこで実際に何が行われているのかを発見しました。彼の著書『秘密のマックジョブ生活(My Secret Life on the McJob)』には、その体験が記されています。シュローサーとは異なり、ニューマンは、これらのレストランには悪い面もあるが、良い面も多いことを見出しました。具体的には、従業員たちは誠実で勤勉であること、経営者はしばしば印象的であること、そして仕事には多くの人が想像している以上に多くのスキルと努力が必要であることを彼は主張しています。この本の中でニューマンは、ある製薬会社の重役を引き合いに出して、その人物が「応募者の履歴書にファストフードサービスの仕事があることは、その従業員が信頼でき、プレッシャーにうまく対処することを示すのでプラスになる」と述べたとしています。

チポトレ、パネラ、コストコなどの企業は、マクドナルド化の影響の多くに対抗しようと試みています。実際、コストコは従業員に平均時給20ドル、年間4万ドル強を支払うことで知られています。従業員の90%近くがコストコから健康保険を受けており、これは小売業では聞かれることのない数字です。

チポトレは従業員の賃金が高いことでは知られていませんが、責任を持って調達した業者からの高品質の食品を販売しようとしていることでは知られています。これは、マクドナルドのようなハンバーガーチェーンの間でシュローサーが述べているのとは異なるアプローチです。

それでは、あなたはどう考えますか?このようなマックジョブやそれを提供する組織は、経済や人々のキャリアにおいて重要な役割を果たしているのでしょうか?それとも、それらは、巨大な官僚制の否定的な面を象徴するような、行き止まりの仕事なのでしょうか?あなたは、そのような組織で働いたことがありますか?やりたいですか?

重要用語

集合体:同じ時間に同じ場所にいるものの交流がなく、アイデンティティーの感覚を共有していない人々の集まり

権威主義的なリーダー:命令を下し、タスクを割り当てる指導者

官僚制:権威の階層、明確な分業、明示的なルール、および非人格性によって特徴付けられる公式組織

カテゴリー:似たような特徴を共有しながら、何らの形でも互いに結びついていない人々

明確な分業:官僚制の中でそれぞれの個人が専門的な仕事をこなすこと

強制的組織:刑務所や精神病院など、人が自発的に参加しない組織

同調:個人が集団や社会の規範に従う度合い

民主主義的なリーダー:行動に移す前に、集団の参加と合意形成を促すリーダー

ダイアド:二人組の集団

明示的なルール:官僚制におけるルールの種類。概説され、記録され、標準化されたルール

表出的な機能:感情的な必要性の役に立つ集団の機能

表出的なリーダー:プロセスを重視し、全員の心の豊かさを確保するリーダー

公式組織:大規模で非人格的な組織

集団:ある程度の頻度で交流し、何らかの一致したアイデンティティーの感覚を共有する、少なくとも二人の人間の集まり

権威の階層:官僚制に見られる明確な指揮命令系統

非人格性:職業上の状況から個人的な感情を取り除くこと

内集団:人が所属し、自分のアイデンティティーの不可欠な一部であると感じている集団

道具的な機能:目標志向や課題志向であること

道具的なリーダー:仕事を達成することに主眼を置いた目標志向のリーダー

寡頭制の鉄則:組織は協調によってではなく、少数のエリートによって支配されるという理論

レッセ・フェールのリーダー:集団のメンバーが自分たちで意思決定することを認める、手をださないリーダー

リーダーシップ機能:リーダーの主な焦点または目標

リーダーシップのスタイル:リーダーが目標を達成したり、集団のメンバーから行動を引き出したりするために用いるスタイル

社会のマクドナルド化:一般的な社会制度において、ファストフードのビジネスモデルの存在感が増していること

実力主義:証明され文書に記されたスキルという実力に基づいて、加入や昇進が行われる官僚制

規範的組織または自発的組織:人々が共有された利益を追求するために、またはそれらが何らかの無形の報酬を提供するために参加する組織

外集団:個人が属していない集団で、競合することもある

第一次集団:最も身近な人たちからなる小規模で非公式な集団

準拠集団:個人が自分自身を比較する集団

第二次集団:タスクに集中し、時間を限定している、より大きく非人格的な集団

全制的施設:参加者が管理されたライフスタイルを送り、その中で完全な再社会化が行われる組織

トライアド:三人組の集団

功利的組織:特定の物質的な必要性を満たすために加入される組織

各節のまとめ

6.1 集団の種類

集団は、私たちが自分自身をどのように考えるかを大きく規定します。集団には、第一次集団と第二次集団の2つの主要な種類があります。その名が示すように、第一次集団は長期的で複雑なものです。人は集団を比較の基準として、自分自身(自分が何者であるか、何者でないかの両方)を定義するために使用します。時に集団は、人々を排除するために、あるいは先入観を強める道具として使われることがあります。

6.2 集団のサイズと構造

集団のサイズと力学は、メンバーがどのように行動するかに大きく影響します。第一次集団には、非公式なリーダーシップが存在することはあっても、正式なリーダーが存在することはほとんどありません。一般に、同時に議論するにはメンバーが多すぎるときに、集団の規模が大きいとみなされます。第二次集団では、感情的な健康や福利を重視する表出的なリーダーと、結果をより重視する道具的なリーダーの二種類のリーダーシップ機能があります。さらに、民主主義的なリーダー、権威主義的なリーダー、レッセ・フェールのリーダーという異なるリーダーシップのスタイルがあります。

集団の中で人々が規範に従おうとする度合いを同調性といいます。多くの実験により、同調への衝動がいかに強くなり得るかが示されています。同調と服従がいかに人々を倫理的、道徳的に疑わしい行為に導くかについての実生活での例を検討する価値があります。

6.3 公式組織

大きな組織は、規範的/自発的、強制的、功利的の3つの主たるカテゴリーに分類されます。私たちは矛盾した時代に生きています:変化のペースやテクノロジーによって、人々はより素早く、より官僚的でない考え方をすることが求められる一方で、病院や学校、政府などの大きな官僚組織は、その組織形態によってこれまで以上に妨げられています。同時に、過去数十年の間に、地元の制度を官僚化し、慣習化する流れが生まれました。ボブのコーヒーショップやジェーンのヘアサロンの代わりにダンキンドーナツやスーパーカットがあるなど、全米のメインストリートはますます互いに似通っています。このような傾向は、社会のマクドナルド化と呼ばれています。

各節についての質問

6.1 集団の種類

  1. 機能主義者は、ティーパーティー運動のような現象を研究するとき、何を考慮しますか?
  1. 抗議行動に参加するすべての人が、全体の中で果たしている微細な機能
  2. このような多様でリーダーのいない集団の中で繰り広げられる内的衝突
  3. この運動が、不満を持つ人々に安全で統制のとれた形で不満のはけ口を提供することにより、社会の安定にどのように寄与しているか
  4. この運動の中で形成される派閥や分派
  1. 機能主義的な視点・紛争理論的な視点と、相互作用論的な視点との間の最大の違いは何ですか?
  1. 最初の2つの視点は集団や状況の長期的な反響を考慮するが、最後の視点は現在に焦点を当てる。
  2. 最初の2つの視点はより一般的な社会学的視点であり、最後の視点はより新しい社会学的モデルである。
  3. 最初の2つの視点は組織内の階層的な役割に焦点を当て、最後の視点はより全体的な視野を持つ。
  4. 最初の2つの視点は集団が直面する大規模な問題を扱い、最後の視点はより詳細な側面を検討する。
  1. 第二次集団は社会でどのような役割を担っていますか?
  1. それらは、取引的で、タスクに基づき、短期であり、実際的なニーズを満たすものである。
  2. それらは、人々が他人と自分を比較することを可能にする社会的ネットワークを提供する。
  3. そのメンバーは、感情的なサポートを与えたり受けたりする。
  4. それらは、個人が自分の信念や先入観に挑戦することを可能にする。
  1. ある高校生が、学術賞を受賞したことでバスケットボールチームからからかわれたとき、彼女は競合する__________に対処しています。
  1. 第一次集団
  2. 外集団
  3. 準拠集団
  4. 第二次集団
  1. 以下のうち、内集団の例でないものはどれでしょう?
  1. クー・クラックス・クラン
  2. 学生友愛会
  3. シナゴーグ
  4. 高等学校
  1. その価値観、規範、信念が自分自身の行動の基準となるのに役立つような集団とは何ですか?
  1. 第二次集団
  2. 公式組織
  3. 準拠集団
  4. 第一次集団
  1. 10代の若者の危険で自己破壊的な行動や低い自尊心を心配している親は、彼女の子供の__________を見てみたいと思うかもしれません。
  1. 準拠集団
  2. 内集団
  3. 外集団
  4. 上記すべて

6.2 集団のサイズと構造

  1. 赤ちゃんが生まれたばかりの二人は、__________から__________になりました。
  1. 第一次集団;第二次集団
  2. ダイアド;トライアド
  3. カップル;家族
  4. 事実上の集団;核家族
  1. 表出的なリーダーになりやすいのは誰ですか?
  1. 急成長している化粧品会社の営業部長
  2. 改革校の高校教師
  3. 慢性疾患児のためのサマーキャンプの責任者
  4. ファストフード店の店長
  1. 以下のうち、民主主義的なリーダーシップが向いている集団として適切でないものはどれですか?
  1. 消防署
  2. 大学の教室
  3. 高校のプロム委員会
  4. ホームレスシェルター
  1. アッシュの同調性に関する研究において、被験者が同調に抵抗する能力に貢献したものは何ですか?
  1. 非常に少人数の目撃者
  2. 味方の存在
  3. 自分の回答を非公開にできること
  4. 上記すべて
  1. トップダウンで上から流れてくるようなコミュニケーションパターンを持つ集団のリーダーシップのタイプはどれですか?
  1. 権威主義的
  2. 民主主義的
  3. レッセ・フェール
  4. 表出的

6.3 公式組織

  1. 規範的な組織の例でないものはどれですか?
  1. ブッククラブ
  2. 教会の青年部
  3. 動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)抗議団体
  4. 自習室
  1. 全制的施設の例であるものはどれですか?
  1. 刑務所
  2. 高等学校
  3. 政党
  4. スポーツジム
  1. なぜ人は功利的組織に参加するのでしょうか?
  1. そこにいる他の人たちと親和性を感じるから
  2. 参加することで具体的な利益を得ることができるから
  3. 選択の余地がないから
  4. そうするようプレッシャーを感じるから
  1. 以下のうち、官僚制の特徴でないものはどれですか?
  1. 参加への強制
  2. 権威の階層
  3. 明示的なルール
  4. 分業
  1. 官僚制の意図する肯定的な側面にはどのようなものがありますか?
  1. 生産性の向上
  2. 効率の向上
  3. すべての人の平等な扱い
  4. 上記すべて
  1. 社会のマクドナルド化の利点は何ですか?
  1. 商品の種類が増える。
  2. 盗難が少なくなる。
  3. 商品が世界中でより手に入りやすくなる。
  4. ビジネスの機会が増える。
  1. 社会のマクドナルド化の欠点は何ですか?
  1. 商品の種類が少なくなる。
  2. 大学院の学位を持つ従業員へのニーズが高まる。
  3. 競争が少ないので、価格が高くなる。
  4. 仕事が減るので、失業率が上がる。

簡潔に答えてください

6.1 集団の種類

  1. テクノロジーによって、あなたの第一次集団と第二次集団はどのように変化しましたか?オンライン接続により、より多くの(そして別々の)第一次集団を持つようになりましたか?レヴィのように、会ったこともない人たちで構成される真の第一次集団を持てる人がいると思いますか?その理由、あるいはそうでない理由は何ですか?

  2. MeToo運動とティーパーティー運動のような、2つの異なる政治的集団や組織を比較対照してください。リーダーシップ、メンバー構成、活動内容などの点で、2つの集団はどのように異なりますか?集団の目標は、参加者にどのような影響を与えますか?その中に内集団はありますか(そして、それらは外集団を作り出しましたか)?あなたの答えを説明してください。

  3. ヘイトクライムという概念は、内集団・外集団と結びつけられてきました。このような集団の力学によって、人々が排除されたり、いじめられたりした例を思い浮かべることができますか?

6.2 集団のサイズと構造

  1. 権威主義的なリーダーシップのスタイルが有益であるシナリオを考えてください。それを説明してください。それがうまく機能する理由は何ですか?また、そのリスクは何ですか?

  2. あなたが、(あなたの意見では)状況に合わないリーダーシップのスタイルを使っているリーダーに導かれたときについて記述してください。それはいつ、どこでのことでしたか?そのリーダーはどうすればもっとうまくできたでしょうか?

  3. あなたがアッシュの研究に参加していると想像してください。そのような場面で正しい答えを回答するのは難しいと感じますか?その理由、あるいはそうでない理由は何ですか?あなたが現在においてこの研究を改善するならば、どのように変更しますか?

  4. あなたはどのようなリーダーになる傾向がありますか?あなたは、状況の変化に応じて、異なるリーダーシップのスタイルや機能を受け入れますか?あなたがリーダーシップの立場にあった時、どのような機能・スタイルを発揮したのか、例を挙げてください。

6.3 公式組織

  1. 最近、ファストフード店にスポットライトが当たっていることについてどう思いますか?ファストフード店は社会の悪に加担していると考えますか?必要とされるサービスを提供していると思いますか?あなたはこのような仕事をしたことがありますか?どのようなことを学びましたか?

  2. あなたは、ゼネラルモーターズ、アマゾン、フェイスブックなどの今日の大企業のことを官僚制とみなしますか?その理由、あるいはそうでない理由は何ですか?そこでは、官僚制の主な特徴のうちどれが見られますか?また、どれが欠けていますか?

  3. あなたはどこで買い物をしたり、外食をしたり、コーヒーを買ったりするのが好きですか?ウォルマートのような大型チェーン店ですか、それとも小規模な小売店ですか?スターバックスですか、地元のレストランですか?あなたは何を基準に決定しますか?この節を読んで、これらの選択についての考え方が変わりましたか?その理由、あるいはそうでない理由は何ですか?

さらなる研究

6.1 集団の種類

ネットいじめの原因や統計のさらなる情報については、ネットいじめの調査に関するこのウェブサイト(http://openstax.org/l/Cyberbullying)をご覧ください。

6.2 集団のサイズと構造

あなたのリーダーシップのスタイルは何ですか?このリーダーシップ・スタイル・クイズ(http://openstax.org/l/Leadership)は、それを見つけ出すのに役立ちます。

6.3 公式組織

上述したように、マクドナルド化という概念は、成長しているものです。マクドナルド化という現象についてさらに議論しているこちらの記事をご覧ください(http://openstax.org/l/McDonaldization)。

参考文献

はじめに

Cabrel, Javier. 2011. “NOFX - Occupy LA.” LAWeekly.com, November 28. Retrieved February 10, 2012 (http://blogs.laweekly.com/westcoastsound/2011/11/nofx_-_occupy_la_-_11-28-2011.php).

Tea Party, Inc. 2014. “Tea Party.” Retrieved December 31, 2020 (http://www.teaparty.org).

MeTooMvmt.org, 2021. “History and Inception.” Retrieved December 31, 2020. (https://metoomvmt.org/get-to-know-us/history-inception/).

6.1 集団の種類

Cooley, Charles Horton.1963 [1909]. Social Organizations: A Study of the Larger Mind. New York: Shocken.

Cyberbullying Research Center. n.d. Retrieved November 30, 2011 (http://www.cyberbullying.us).

Hinduja, Sameer. 2018. “Bullying, Cyberbullying, and Suicide Among US Youth: Our Updated Research Findings.” Cyberbullying Research Center, https://cyberbullying.org/bullying-cyberbullying-suicide-among-us-youth.

Hinduja, Sameer, and Justin W. Patchin.2019. “Summary of Our Cyberbullying Research (2007-2019).” Cyberbullying Research Center, https://cyberbullying.org/summary-of-our-cyberbullying-research/. Retrieved February 14, 2021

Hinduja, S. & Patchin, J. W. (2020). Bullying, Cyberbullying, and Sexual Orientation/Gender Identity. Cyberbullying Re- search Center (cyberbullying.org).

John, Ann. “Self-Harm, Suicidal Behaviours, and Cyberbullying in Children and Young People: Systematic Review.” Journal of Medical Internet Research. https://www.jmir.org/2018/4/e129/

Khandaroo, Stacy T. 2010. “Phoebe Prince Case a ‘Watershed’ in Fight Against School Bullying.” Christian Science Monitor, April 1. Retrieved February 10, 2012 (http://www.csmonitor.com/USA/Education/2010/0401/Phoebe-Prince-case-a-watershed-in-fight-against-school-bullying).

Occupy Wall Street. Retrieved November 27, 2011. (http://occupywallst.org/about/).

Schwartz, Mattathias. 2011. “Pre-Occupied: The Origins and Future of Occupy Wall St.” New Yorker Magazine, November 28.

Sumner, William. 1959 [1906]. Folkways. New York: Dover.

“Times Topics: Occupy Wall Street.” New York Times. 2011. Retrieved February 10, 2012 (http://topics.nytimes.com/top/reference/timestopics/organizations/o/occupy_wall_street/index.html?scp=1-spot&sq=occupy%20wall%20street&st=cse).

We Are the 99 Percent. Retrieved November 28, 2011 (http://wearethe99percent.tumblr.com/page/2).

6.2 集団のサイズと構造

Asch, Solomon. 1956. “Studies of Independence and Conformity: A Minority of One Against a Unanimous Majority.” Psychological Monographs 70(9, Whole No. 416).

Baldoni, John. 2020. “Double-edged workplace ambition: Good for men, bad for women.” SmartBrief. August 7, 2020. https://www.smartbrief.com/original/2020/08/double-edged-workplace-ambition-good-men-bad-women

Boatwright, K.J., and L. Forrest. 2000. “Leadership Preferences: The Influence of Gender and Needs for Connection on Workers’ Ideal Preferences for Leadership Behaviors.” The Journal of Leadership Studies 7(2): 18–34.

Beyer, F., Sidarus, N., Bonicalzi, S., & Haggard, P. (2017). Beyond self-serving bias: diffusion of responsibility reduces sense of agency and outcome monitoring. Social cognitive and affective neuroscience, 12(1), 138–145. https://doi.org/10.1093/scan/nsw160

Cherry, K. 2020. “The Diffusion of Responsibility Concept in Psychology.” Very Well Mind. Retrieved October 28, 2020 (https://www.verywellmind.com/what-is-diffusion-of-responsibility-2795095).

Conroy, M,, Martin, D. J., and Nalder. KL. (2020). “Gender, Sex, and the Role of Stereotypes in Evaluations of Hillary Clinton and the 2016 Presidential Candidates.” Journal of Women, Politics & Policy 41(2): 194-218.

Cox, Ana Marie. 2006. “How Americans View Hillary: Popular but Polarizing.” Time, August 19. Retrieved February 10, 2012 (http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1229053,00.html).

Dowd, Maureen. 2008. “Can Hillary Cry Her Way to the White House?” New York Times, January 9. Retrieved February 10, 2012 (http://www.nytimes.com/2008/01/09/opinion/08dowd.html?pagewanted=all).

Heilman, Madeline E. 2012. “Gender stereotypes and workplace bias.” Research in Organizational Behavior. 32: 113-135

HeroicImagination TV. (2011, September 28). The Bystander Effect. [Video]. YouTube. Click to view content (https://www.youtube.com/watch?v=z4S1LLrSzVE)

Kurtieben, Danielle. 2010. “Sarah Palin, Hillary Clinton, Michelle Obama, and Women in Politics.” US News and World Report, September 30. Retrieved February 10, 2012 (http://www.usnews.com/opinion/articles/2010/09/30/sarah-palin-hillary-clinton-michelle-obama-and-women-in-politics).

Milgram, Stanley. 1963. “Behavioral Study of Obedience.” Journal of Abnormal and Social Psychology 67: 371–378.

Simmel, Georg. 1950. The Sociology of Georg Simmel. Glencoe, IL: The Free Press.

Weeks, Linton. 2011. “The Feminine Effect on Politics.” National Public Radio (NPR), June 9. Retrieved February 10, 2012 (http://www.npr.org/2011/06/09/137056376/the-feminine-effect-on-presidential-politics).

6.3 公式組織

Di Meglio, Francesca. 2007. “Learning on the McJob.” Bloomberg Businessweek, March 22. Retrieved February 10, 2012 (http://www.businessweek.com/stories/2007-03-22/learning-on-the-mcjobbusinessweek-business-news-stock-market-and-financial-advice).

Etzioni, Amitai. 1975. A Comparative Analysis of Complex Organizations: On Power, Involvement, and Their Correlates. New York: Free Press.

Fuchs, Victor R.. 1997. “Managed Care and Merger Mania,” JAMA 277.11 (920-921).

Goffman, Erving. 1961. Asylums: Essays on the Social Situation of Mental Patients and Other Inmates. Chicago, IL: Aldine.

Michels, Robert. 1949 [1911]. Political Parties. Glencoe, IL: Free Press.

Newman, Jerry. 2007. My Secret Life on the McJob. New York: McGraw-Hill.

Ritzer, George. 1993. The McDonaldization of Society. Thousand Oaks, CA: Pine Forge.

Schlosser, Eric. 2001. Fast Food Nation: The Dark Side of the All-American Meal. Boston: Houghton Mifflin Company.

United States Department of Labor. Bureau of Labor Statistics Occupational Outlook Handbook, 2010–2011 Edition. Retrieved February 10, 2012 (http://www.bls.gov/oco/ocos162.htm).

Weber, Max. 1968 [1922]. Economy and Society: An Outline of Interpretative Sociology. New York: Bedminster.


この訳文は元の本のCreative Commons BY 4.0ライセンスに従って同ライセンスにて公開します。問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。この本は、https://openstax.org/details/books/introduction-sociology-3eで無料でダウンロードできます。