第2章 社会学研究

図2.1 | 多くの人が満月のときには犯罪率が上がると考えていますが、科学的な調査ではこの結論は支持されていません。(Credit: Arman Thanvir/flickr)

図2.1 | 多くの人が満月のときには犯罪率が上がると考えていますが、科学的な調査ではこの結論は支持されていません。(Credit: Arman Thanvir/flickr)

この章の概要

2.1 社会学研究へのアプローチ
2.2 研究手法
2.3 倫理的な懸念事項

はじめに

社会学がアメリカの大学に進出するにつれて、学者たちは社会学を、研究に依拠して知識の体系を構築する科学へと発展させました。社会学者は、社会と社会的相互作用の理解を深めるために、データ(観察と記録)を収集し、科学的手法や解釈の枠組みを適用するようになりました。

社会の状況についての私たちの観察には、私たち自身の見解や限られたデータに基づくバイアスが含まれていることがしばしばあります。主観を避けるために、社会学者は実験や研究を行い、直接的な経験から経験的証拠を集め、分析します。研究仲間はこの研究の結論を検討し、その結論を検証するために実験や研究を繰り返したり、他の文脈に適用したりすることがよくあります。査読付き研究の例は、学術雑誌で見つけることができます。

学術雑誌「クライム・サイエンス(犯罪科学)」に掲載されたCOVID-19と犯罪率の関係に関する研究について考えてみましょう。研究者たちは、COVID-19による自宅待機という制限によって、街頭犯罪と住居侵入強盗の両方が減少するという仮説を立てました。研究者たちは、スウェーデンの警察が犯罪を追跡し、将来の犯罪を予測するために使用しているデータを収集しました。その結果、彼らは、暴行、スリ、侵入強盗が大幅に減少していることを発見しました(Gerell, Kardell, and Kindgren, 2020)。このように、研究者は経験的証拠と統計分析を用いて、COVID-19による制限が犯罪率にどのような影響を与えたかという問いに答えています。本章では、社会学者がこのような研究を行う際に用いるアプローチや手法を探っていきます。

2.1 社会学研究へのアプローチ

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 科学的手法を定義し、記述する
  • 社会学研究において科学的手法がどのように使用されるかを説明する
  • 解釈の枠組みの機能と重要性を記述する
  • 調査研究における正確性、信頼性、妥当性の違いについて記述する

社会学者が社会学的な視点を適用し、質問を始めるときには、どんなトピックも制限されることはありません。人間の行動のあらゆる側面が、調査し得る源となります。社会学者は、人間が作り出し、住んでいる世界に疑問を投げかけます。彼らは、人々がその世界を進んでいく際の行動パターンを気に留めます。科学的手法の枠組みと学術的な解釈の視点の中で、社会学的手法と体系的な調査を用いて、社会学者は、産業を変革してきた職場における社会的パターン、家族のメンバーを啓発してきた家族における社会的パターン、教室の構造変化を助けてきた教育における社会的パターンを発見しました。

社会学者はしばしば、この世界で物事がどのように、あるいはなぜ起こるのかという質問を問うことから研究プロセスを始めます。それは、新しい流行についての独特な質問かもしれませんし、生活によくある側面についての古くからの質問かもしれません。いったん質問が形成されると、社会学者はそれに答えるために綿密なプロセスを進みます。そのプロセスをどのように設計するかを決定する際、研究者は何らかの科学的アプローチや解釈の枠組みを採用することがあります。以下のセクションでは、知識に向けたこれらのアプローチについて記述します。

科学的手法

社会学者は、実験、調査(サーベイ)、実地調査など、実証済みの研究手法を駆使しています。しかし、人間とその社会的相互作用はあまりにも多様であり、これらの相互作用を図式化したり説明したりすることは不可能と思われることもあります。科学とは、発見や化学反応、あるいはアイデアの正誤を証明することであり、人間の行動のニュアンスを探ることではない、と思われるかもしれません。

しかしながら、それこそが、人間の行動を研究する上で科学的モデルが有効である理由なのです。科学的な研究プロセスでは、結果が客観的で正確であることを確認するのに役立つパラメータが設定されます。科学的手法は、ある研究に焦点を当て、その結果を整理するための制約と境界を提供してくれます。

科学的手法は、経験的証拠に基づいて社会世界についての理論を発展させ、検証するものです。科学的手法は、経験的な世界を体系的に観察するという誓約によって定義され、客観的、批判的、懐疑的、論理的であるように努めます。それは、何世紀にもわたる科学的な探究によって確立された一連の6つの所定のステップから構成されています。

図2.2 | 科学的手法。科学的手法の6つのステップは、研究において不可欠なツールです。

図2.2 | 科学的手法。科学的手法の6つのステップは、研究において不可欠なツールです。

社会学的な研究は、知識を正しい事実や間違った事実に還元するものではありません。研究の成果は、人間の行動や社会的慣習を説明したり、他の文化、儀式、信念、あるいは流行や態度に関する知識を得たりといった、それまで知らなかった洞察を人々に与える傾向があります。

一般的には、社会学者は、さまざまな結末または結果における社会的特性の役割についての問題に取り組んでいます。例えば、心理的な幸福感、コミュニティーの結束力、職業の幅、富、犯罪率などの点で、異なるコミュニティーはどのようになっているのでしょうか?コミュニティーは円滑に機能しているでしょうか?社会学者は、基本的な人間の必要性を満たすための障害を発見するために、しばしば亀裂へと目を向けます。また、彼らは、犯罪、物質乱用、離婚、貧困、計画外の妊娠、病気などにつながる環境の影響や行動パターンを研究することもあります。また、社会学の研究は、否定的な行動や困難な状況にばかり焦点を当てているわけではないので、社会研究者は、休暇の傾向、健康的な食習慣、近隣の組織、高等教育のパターン、ゲーム、公園、運動習慣などを研究するかもしれません。

社会学者は、データの収集だけでなく、その解釈や分析にも科学的手法を用いることができます。社会学者は、科学的な論理と客観性を慎重に適用します。彼らは結果に興味を持ちますが、それに執着しているわけではありません。彼らは自分の政治的、社会的な意図とは無関係に仕事をします。だからといって、研究者に好みや意見を備えた個性がないわけではありません。しかし、社会学者は、調査研究のデータを収集し分析する際に、できるだけ客観性、焦点、一貫性を保つために、慎重に科学的手法を用いています。

その体系的なアプローチにより、科学的手法は社会学的な研究を形作る上で有用であることが証明されています。科学的手法は、社会問題を探究する際に客観性と一貫性を確保するのに役立つ、体系的に組織された一連のステップを提供します。それらのステップは、正確性、信頼性、妥当性のための手段を提供します。最終的に、科学的手法は議論と分析のための共有された基盤を提供します(Merton, 1963)。一般的に、科学的手法には6つのステップがあり、以下に説明します。

ステップ1:質問をする、または研究トピックを見つける

科学的手法の最初のステップは、質問をし、問題を選択し、興味のある明確な領域を特定することです。トピックは、何らかの地理的な場所と時間枠の中で研究するのに十分なほど狭いものであるべきです。「社会は持続的に幸福になれるか」というのは漠然としすぎているでしょう。また、質問は普遍的な価値を持つのに十分なほど広いものであるべきです。「個人の衛生習慣は、XYZ高校の生徒の価値観について何を明らかにするだろうか?」では、あまりにも狭すぎるでしょう。社会学者は、明確に定義されたパターンや関係を調べるための質問を構成するよう努めます。

例えば、衛生についての研究では、衛生とは「(健康とは対照的に)身体的な外観を維持するための個人的な習慣」と定義することができ、研究者は「個人の衛生習慣の違いは、外観に置かれた文化的価値をどのように反映しているのだろうか?」と尋ねるかもしれません。

ステップ2:文献をレビューする/既存の情報源を調査する

研究者が取りかかる次のステップは、文献レビューを通じた背景調査を行うことです。これは、類似または関連する既存の研究を見直すものです。図書館を訪れ、オンラインで徹底的に検索し、学術雑誌を探し回ることで、研究トピックについての既存の研究を発見することができます。このステップは、研究者が過去に実施された研究を幅広く理解し、そのトピックにおいて理解が欠けているところを特定し、自身の研究を先行知識の上に構築するために役立ちます。学生研究者を含む研究者は、研究で使用した、または研究に影響を与えた既存の情報源を正しく引用する責任があります。(独自の視点を強めるのである限り)過去に発表された資料を借用することに問題はありませんが、それは適切に参照しなければならず、決して盗用してはいけません。

研究者は、犯罪を研究するために、裁判所システム、警察のデータベース、刑務所情報、犯罪者・看守・刑務所長などへのインタビューからの既存のデータを整理することもあります。既存の研究に加えてこれらの情報を調べ、既存の知識の穴を埋めるためにこれらの情報源をどのように使うことができるかを判断することが重要です。既存の情報源を検討することは、研究者を教育するとともに、調査研究の設計を洗練し改善するのに役立ちます。

ステップ3:仮説を立てる

仮説とは、ある現象について、その現象と1つかそれ以上の原因要素との間の関係についての推測に基づく説明のことです。社会学では、仮説は、ある形態の人間の行動が他の行動に対してどのように影響を与えるかをしばしば予測します。例えば、仮説は「もし~ならば、~」構文のような形で表現されるかもしれません。これを私たちのトピックである犯罪に関連させてみましょう:「もし失業率が上がれば、犯罪率も上がるだろう。」

私たちは、科学的な研究では、変化の原因である独立変数(IV)と、結果(すなわち変化させられたもの)である従属変数(DV)を含めて、仮説を立てます。上記の例では、失業が独立変数で、犯罪率が従属変数です。

社会学の研究では、研究者は人間の行動の1つの形を独立変数として設定し、それが従属変数に与える影響を観察します。ジェンダー(独立変数)は所得率(従属変数)にどのように影響するでしょうか?宗教(独立変数)は家族の人数(従属変数)にどのような影響を与えるでしょうか?社会階層(従属変数)は、教育レベル(独立変数)にどのように影響されるでしょうか?

表2.1 | 従属変数と独立変数の例。一般的に、独立変数は、従属変数に何らかの変化をもたらします。

表2.1 | 従属変数と独立変数の例。一般的に、独立変数は、従属変数に何らかの変化をもたらします。

上記の例をとると、ある研究者は、子供に適切な衛生習慣を教える(独立変数)と、子供の自尊心(従属変数)が高まるという仮説を立てるかもしれません。しかしながら、この仮説はその逆もあり得ることに注意してください。ある社会学者は、子供の自尊心(独立変数)を高めることで、衛生習慣(ここでは従属変数)が向上または改善されると予測するかもしれません。独立変数と従属変数を特定することは、非常に重要です。衛生の例が示すように、関連する2つのトピックや変数を単純に特定するだけでは十分ではありません。それらの見込みのある関係性は、仮説の一部でなければなりません。

ステップ4:研究を設計し、実施する

研究者は、信頼性を最大化するように研究を設計します。信頼性とは、研究が再実施された場合に、研究結果が再現される可能性がどの程度あるかということを指します。信頼性は、ある人に起こったことが集団のすべての人に起こる可能性や、ある状況で起こることが別の状況でも起こる可能性を高めるものです。料理は科学です。あなたがレシピに従い、計量カップのような調理器具を用いて材料を測るならば、別の料理人が同じレシピに従い、同じ種類の道具を使う限り、同じ結果が得られます。計量カップは、このプロセスに正確性をもたらすものです。もし、ある人が計量カップではなく、手などの正確性の低い道具を使って材料を測った場合、同じ結果が再現されないかもしれません。正確性のある道具と方法は、信頼性を高めます。

研究者はまた、妥当性を得るようにも努めています。妥当性とは、研究が測定するように設計されたものをどれだけうまく測定できているかということを指します。信頼できる妥当な結果を出すために、社会学者は操作的定義を策定します。つまり、彼らは、それぞれの概念や変数を、それを客観的に測定するために必要な物理的または具体的な手順という観点から定義します。操作的定義は、その概念の観察可能な状態を特定するものです。概念を操作可能にすることによって、すべての研究者は、体系的または再現可能な方法でデータを収集することができます。さらに、研究者は、実験や手法が研究しようとする現象を妥当に表しているかどうかを判断することができます。

例えば、個別指導がどのように成績を向上させるかを問う研究では、「個別指導」を「教育機関に雇われたその分野の専門家による一対一の支援」と定義するかもしれません。しかしながら、ある研究者は「良い」成績をC以上と定義する一方で、別の研究者はB+を「良い」成績の出発点として用いるかもしれません。結果が再現され、より広い科学界で受け入れられるためには、研究者は標準的な操作的定義を使用しなければならないでしょう。これらの定義は、研究の一貫性と再現可能性を確保するために、限界を設定し、切り捨ての点を確立します。

研究手法については、本章の次の節でより詳細に探究します。

ステップ5:結論を引き出す

研究設計を構築した後、社会学者は、データを収集し、集計または分類し、分析し、結論を導き出します。分析結果が仮説を支持するものである場合、研究者は取り組んでいた理論や政策課題にとってその結果が意味するものについて議論することができます。分析結果が仮説を支持しないものである場合、研究者は実験の繰り返しを検討したり、手順を改善する方法を考えたりすることができます。

しかしながら、たとえ結果が社会学者による研究結果の予測に反するものであっても、これらの結果は社会学的な理解に貢献します。社会学者は、研究への反応の一般的なパターンを分析しますが、パターンに対する例外にも同様に興味を持っています。教育の研究において、ある研究者は、高校を中退した人はやりがいのある仕事を見つけるのが難しい、と予測するかもしれません。高学歴であればあるほど、給与が高くなり、キャリアの幸福度も高くなると考える人は多いですが、確かに例外はあります。学歴が低い人も見事なキャリアを積んでいますし、高学歴の人も仕事を見つけるのに苦労します。社会学者は、結果が仮説を実証することもあれば、矛盾することもあることを承知の上で、仮説を準備します。

社会学者は、結論を引き出す際に、操作的定義や研究の設計が結果にどのような影響を与えるかを注意深く心に留めておきます。「犯罪の増加」という概念について考えてみましょう。これは、前述のスウェーデンの犯罪に関する研究のように、先週から今週にかけての犯罪の増加率として定義されるかもしれません。しかし、「犯罪の増加」を評価するために使われるデータは、誰が犯罪を犯したか、どこで犯罪が起こったか、どのような犯罪が起こったかなど、多くの要因によって制限があるかもしれません。もし、そのデータが「テキサス州ヒューストンの郵便番号77021で発生した犯罪」を対象に集められたものだとしたら、ヒューストンのような大都市以外の地方で起きた犯罪へと一般化できないかもしれません。破壊行為についてのデータが収集された場合、それは暴行行為へと一般化できない可能性があります。

ステップ6:結果を報告する

研究者は、学会や学術雑誌でその結果を報告します。これらの結果は、その分野の他の社会学者による精査を受けることになります。研究の結論が広く受け入れられるようになる前に、研究はしばしば同じ環境または異なる環境で繰り返されます。このように、社会学的な理論や知識は、社会現象間の関係がより広い文脈や異なる状況の中で確立されるにつれて発展していきます。

解釈の枠組み

多くの社会学者が研究アプローチとして経験的データと科学的手法に依拠する一方で、解釈の枠組みでもって活動する人もいます。このアプローチは、体系的ではありますが、一般化できる結果を見出そうとする仮説-検証モデルには従いません。その代わり、解釈の枠組み(解釈的視点と呼ばれることもあります)は、参加者の視点から社会世界を理解しようとするもので、これは人間の経験について深い知識や理解を得ることにつながります。

解釈的な研究は、一般に、その知見においてより記述的または物語的なものとなります。解釈的な研究者は、仮説とそれを検証する方法を確立するのではなく、目の前のトピックを探究するためのアプローチを開発します。それは、かなりの量の直接観察やストーリーテリングを含む対象者との相互作用を伴うことがあります。このタイプの研究者は、そのプロセスを通じて学び、時には研究方法やプロセスを途中で調整し、それらが進化するにつれて調査結果を最適化することもあります。

批判的社会学

批判的社会学は、既存の社会学的研究や理論の脱構築に重点を置いています。フランクフルト学派として知られる学者たちは、カール・マルクスの研究に影響を受け、社会科学は他の学術的な探究と同様に、社会に存在する階級、カースト、人種、ジェンダー、その他の関係性の組み合わせによって構成される権力システムの中に組み込まれていると提案しました。その結果として、社会科学は純粋に客観的なものとして扱うことはできません。批判的社会学者は、理論や手法、そして結論のことを、次の2つの目的のいずれかを果たすものであると考えています:それらは、社会的権力と抑圧のシステムを正当化し合理化するものであるか、あるいは、不平等や人間の自由に対する制限から人間を解放するものであるかのどちらかです。脱構築は、データ収集を伴うことがありますが、このデータの分析は、経験主義的でもなければ、実証主義的でもありません。

2.2 研究手法

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 科学的手法の6つのステップを思い出す
  • 調査(サーベイ)、実地調査、実験、二次データ分析の4種類の研究手法を区別する
  • 特定のトピックに対する特定の研究アプローチの適切性を説明する

社会学者は、社会世界を調査し、問題や興味深いパターンを見て、それを研究することに着手します。彼らはさまざまな研究手法を用いて研究を設計します。研究設計の計画を立てることは、社会学研究の重要なステップです。社会学者は一般的に、社会調査の方法として広く使われているものから選び取ります:それらは、調査(サーベイ)などの一次データソース収集、参与観察、エスノグラフィー、事例研究、非侵入型観察、実験、および、二次データ分析、すなわち既存の情報源の使用です。どの研究手法にも長所と短所があり、研究のトピックがどの方法を使うかに強く影響します。研究を行う際には、自分のトピックについての知識を収集したり取得したりするための最良の方法を考えますが、自分を建築家に例えて考えてみましょう。建築家は家を建てるために設計図を必要としますが、社会学者としてのあなたの設計図は、データ収集方法を含むあなたの研究設計です。

特定の社会環境に踏み入るとき、研究者は注意しなければなりません。匿名であるべき時もあれば、身分を明らかにするべき時もあります。インタビューを実施するべき時もあれば、単に観察するべき時もあります。参加者の中には、徹底した情報提供が必要な人もいれば、自分が観察されていることを知るべきでない人もいます。研究者は、犯罪が多発する地域を真夜中にうろついて、「ギャングのメンバーはいないか?」と呼びかけるようなことはしません。

社会学者の存在を見えなくすることは、その他の理由から常に現実的であるというわけではありません。刑務所での行動や早期教育、クー・クラックス・クランを研究する研究者には、このような選択肢はありません。研究者は、刑務所や幼稚園の教室、クー・クラックス・クランの会合にふらっと立ち寄って、目立たないように行動を観察したり、注目を集めたりすることはできないのです。このような状況では、他の手法が必要です。研究者は、研究トピックに最も適しており、研究参加者や対象者を保護し、研究への全体的なアプローチに適合するような手法を選択します。

調査(サーベイ)

研究手法として、調査(サーベイ)は、行動や意見についての一連の質問に答える対象者からデータを収集するもので、多くの場合、質問票やインタビューの形で行われます。調査(サーベイ)は、最も広く使われている科学的な研究手法の1つです。標準的な調査(サーベイ)形式は、個人が私的な考えを述べることができるような匿名性のレベルを可能にします。

図2.3 | 質問票は一般的な研究手法です。(Credit: CDC Global/flickr)

図2.3 | 質問票は一般的な研究手法です。(Credit: CDC Global/flickr)

米国では、ほとんどの人がどこかの時点で何らかのタイプの調査(サーベイ)に回答しています。2020年の米国国勢調査は、社会学的データの収集を目的とした大規模調査(サーベイ)の好例です。1790年以来、米国では6つの質問からなる調査(サーベイ)を実施し、住民に関する人口統計データを収集してきました。質問は、米国内に住む住民の人口統計に関連するものです。現在、国勢調査は、アメリカ合衆国と5つの領土の住民を対象としており、12問で構成されています。

しかしながら、すべての調査(サーベイ)が社会学的な研究とみなされるわけではなく、人々が一般的に遭遇する調査(サーベイ)の多くは、仮説の検証や社会科学的な知識への貢献というよりも、マーケティングの必要性や戦略の特定に重点を置いています。「1か月に何本ホットドッグを食べますか?」「店員は親切でしたか?」といった質問は、通常、科学的な研究として設計されたものではありません。ニールセン・レーティングスは、科学的な市場調査によってテレビ番組の人気を決定するものです。しかしながら、「アメリカン・アイドル(American Idol)」や「アメリカン・ダンスアイドル(So You Think You Can Dance)」などのテレビ番組が実施する人気投票は、特定の番組の視聴者という代表性のない集団に対して行われるものであるため、一般化することはできません。あなたは、携帯電話や電子メールを通じて、食料品店やレストラン、小売店からアンケートを受け取ることがあります。このアンケートに回答すると、特典がもらえることもしばしばあります。

図2.4 | リアルタイム調査(サーベイ)は、教室やライブ会場、さらには大衆メディアでもよく見かけるようになりました。ツイッター投票が、写真のような物理的なデバイスに取って代わることがしばしばあります。(Credit: Sam Howzit/flickr)

図2.4 | リアルタイム調査(サーベイ)は、教室やライブ会場、さらには大衆メディアでもよく見かけるようになりました。ツイッター投票が、写真のような物理的なデバイスに取って代わることがしばしばあります。(Credit: Sam Howzit/flickr)

社会学者は、特定の目的のために管理された条件下で調査(サーベイ)を実施します。調査(サーベイ)は、人々からさまざまな種類の情報を収集します。調査(サーベイ)は、社会的な状況における人々の実際の行動を把握するのにはあまり適していませんが、人々がどのように感じ、考え、行動するかについて、少なくともどのように感じ、考え、行動すると言っているかについて発見するのには適した方法です。調査(サーベイ)では、大統領候補の好みや、個人の行動(睡眠、運転、テキストメッセージの習慣など)の報告や、雇用形態、収入、教育レベルなどの情報を追跡することができます。

調査(サーベイ)の対象は、特定の母集団、すなわち大学のスポーツ選手、留学生、1型糖尿病(若年性)の10代などといった、ある研究において着目される人々です。ほとんどの研究者は、母集団のごく一部、すなわち標本(より大きな母集団を代表する管理可能な数の対象者)に調査(サーベイ)を行うことを選択します。研究の成功は、標本がどれだけうまく母集団を代表しているかによって決まります。無作為標本では、母集団内のすべての人が同じ確率で研究に選ばれることになります。その結果、ギャラップ世論調査は、全国規模の無作為標本抽出を実施すれば、連絡を取ったのが2千人であろうと1万人であろうと世論を正確に推定することができるはずです。

研究者は、対象者を選んだ後、質問と回答の記録について具体的な計画を立てます。対象者には、調査(サーベイ)の性質と目的を前もって伝えておくことが重要です。もし彼らが調査に参加することに同意した場合、研究者は対象者に感謝し、興味があれば研究結果を見る機会を提供します。研究者は、情報を収集するための手段である何らかの道具を対象者に提示します。

一般的な道具は、質問票です。対象者は、多くの場合、一連のクローズドエンド型[選択回答形式]の質問に答えます。研究者は、「はい」「いいえ」で答えられる質問、あるいは多肢選択式(対象者が各質問に対する可能な回答を選択できるようにする)の質問をします。この種の質問票は、量的データ、つまり、数えることができ、統計的に分析できる数値形式のデータを収集します。「はい」や「いいえ」の回答や正解の数を数え、パーセンテージで表します。

また、質問票では、「はい」や「いいえ」やチェックボックスの選択肢にとらわれず、より複雑な質問でより複雑な答えを求めることもできます。このようなタイプの質問票では、オープンエンド型[自由回答形式]の質問を用いて、短いエッセイでの回答を求めます。時間をかけて答えを書こうとする参加者は、個人的な宗教的信念、政治的見解、目標、道徳観などを伝えることができるかもしれません。回答は主観的なものであり、人によって異なります。「あなたは大学教育をどのように生かそうと考えていますか?」

内的な思考プロセスを調査するトピックの中には、直接観察することが不可能であり、公の場で正直に議論することが困難なものもあります。匿名で質問に答えることができれば、人々はより正直な答えを共有しやすくなります。このようなタイプの個人的な説明は、言葉によって伝達される質的データです。質的な情報は、整理して集計することが困難です。研究者は、幅広い範囲の回答を得ることになるでしょうし、その中には驚くべきものもあるかもしれません。しかし、記述された意見の利点は、それらが提供してくれる詳細で豊富な内容です。

インタビューは、研究者と対象者が一対一で会話するもので、あるトピックについて調査(サーベイ)を行う方法です。しかしながら、参加者はあらかじめ決められた選択肢によって制限されることはなく、望む通りに答えることができます。インタビューという行ったり来たりの会話の中で、研究者は詳しい説明を求めたり、脇にそれたトピックに時間をかけたり、追加の質問をしたりすることができます。インタビューでは、対象者が自由に心を開き、しばしば複雑になる質問に答えてくれることが理想的です。正解も不正解もありません。対象者は、質問にどう正直に答えていいかわからないこともあるでしょう。

「アルコール摂取に対する社会の見方は、あなたが初めてアルコールを口にするかどうかの決断にどのように影響しますか?」、「両親の離婚があなたの家族に社会的な不名誉を与えることになると感じましたか?」といった質問は、非常に多くの要素を含んでおり、答えを分類することは困難です。研究者は、対象者が特定の方法で回答するように誘導したり、促したりすることを避ける必要があります。さもなければ、結果は信頼性に欠けることになります。また、研究者にとっては、対象者の信頼を得ること、対象者に共感したり同情したりすること、判断せずに耳を傾けることが有益でしょう。

調査(サーベイ)は、しばしば量的データと質的データの両方を収集します。例えば、受刑者にインタビューする研究者は、人口動態、つまり人種、年齢、性別といった統計的に分析可能な量的データを得ることができます。例えば、研究者は、受刑者の20%が50歳以上であることを発見するかもしれません。また、研究者は、受刑者が服役中に教育機会を得た理由やその他の説明的な情報など、質的データも収集することができます。

調査(サーベイ)は、オンライン、電話、郵送、対面などで実施することができます。研究者が実験室や図書館、職場の外でデータを収集する場合、彼らは実地調査を行っていることになります。これが私たちの次のトピックです。

実地調査

社会学の仕事は、限定された狭い空間で行われることはほとんどありません。むしろ、社会学者は世界へと出て行きます。社会学者は、対象者が生活し、働き、遊ぶ場所で彼らに会うのです。実地調査(フィールドリサーチ)とは、自然な環境から一次データを収集することを指します。実地調査を行うためには、社会学者は進んで新しい環境に足を踏み入れ、それらの世界を観察し、参加し、体験しなければなりません。フィールドワークでは、対象者ではなく、社会学者がなじみのない場所へ出向くことになります。

研究者は、人々と交流し、あるいは観察し、その過程でデータを収集します。実地調査の重要なポイントは、コーヒーショップであれ、部族の村であれ、ホームレスシェルターであれ、陸運局であれ、病院であれ、空港であれ、ショッピングモールであれ、ビーチリゾートであれ、対象者の自然な環境の中で行われることです。

図2.5 | 社会学の研究者は、国や文化を越えて旅し、自然な環境の中で対象者と交流し観察します。(Credit: IMLS Digital Collections and Content/flickr)

図2.5 | 社会学の研究者は、国や文化を越えて旅し、自然な環境の中で対象者と交流し観察します。(Credit: IMLS Digital Collections and Content/flickr)

実地調査は、しばしば特定の環境から始まりますが、研究の目的は、その環境での特定の行動を観察することです。フィールドワークは、人々がどのように考え、どのように行動するかを観察するのに適しています。それは、彼らがなぜそのように行動するのかを理解しようとするものです。しかしながら、自然な環境には多くの変数が存在するため、研究者は原因と結果を絞り込むのに苦労することがあります。また、実地調査は相関関係を調べるものですが、標本数が少ないため、2つの変数の間に因果関係を確立することはできません。実際のところ、社会学で集められたデータの多くは、原因と結果を特定するものではなく、相関関係を特定するものです。

現実世界における社会学

社会学の対象としてのビヨンセとレディー・ガガ

図2.6 | 研究者は、調査(サーベイ)や参与観察を用いて、多面的なパフォーマーとしてのレディー・ガガやビヨンセに関するデータを蓄積しています。(Credit a: John Robert Chartlon/flickr, b: Kristopher Harris/flickr)

図2.6 | 研究者は、調査(サーベイ)や参与観察を用いて、多面的なパフォーマーとしてのレディー・ガガやビヨンセに関するデータを蓄積しています。(Credit a: John Robert Chartlon/flickr, b: Kristopher Harris/flickr)

社会学者は、レディー・ガガとビヨンセ、そして彼女たちが音楽、映画、ソーシャルメディア、ファン参加、社会的平等に与える影響について研究してきました。研究者はその研究の中で、二次分析、参与観察、コンサート参加者からの調査(サーベイ)など、いくつかの研究手法を用いています。

クリック、リー、ホリデイの3人(Click, Lee & Holiday, 2013)は、その研究の中で、ソーシャルメディアを活用してアーティストとコミュニケーションをとっているレディー・ガガのファン45人にインタビューしました。これらのファンは、レディー・ガガを自分自身を映し出す鏡であり、インスピレーションの源であると捉えていました。ファンたちは、彼女のように、主流文化の一部でないことを受け入れています。レディー・ガガのファンの多くは、LGBTQコミュニティーのメンバーです。彼らは「Born This Way」という曲を掛け声のように捉え、「Paws Up」という彼女の呼びかけに、連帯感を表す身体表現として、伸ばした腕と、モンスターの爪のように曲げて丸めた指を使って答えます。

サーシャ・ブキャナン(Buchanan, 2019)は、ビヨンセのファングループとリアーナのファングループという2つのファングループの関係を研究するために参与観察を利用しました。彼女は、iHeartRadio、MTV EMA、BETが主催するアワードショーを観察しました。これらのショーは、ベスト・ファンアーミー、ビッゲスト・ファンズ、ファンデモニウムという賞を競い合うように、片方のグループをもう片方のグループと戦わせました。ブキャナンは、メディアはこのようにして、商業的に最も成功した2人の黒人女性ボーカル・アーティスト間のライバル神話を維持していると論じています。

参与観察

2000年、ロドニー・ロスマンというコミック作家は、ホワイトカラーの仕事の内幕を知りたいと思いました。彼は、ニューヨークの「ドットコム」企業の代理店の無機質な高層オフィスに潜入しました。彼はそこで2週間、毎日働くふりをしました。その主な目的は、単純に自分に気づいてくれる人がいるか、あるいは自分の存在に疑いを持つ人がいるかを確認することでした。誰もそうはしませんでした。受付係は彼に挨拶しました。従業員も笑顔で「おはようございます」と声をかけてくれました。ロスマンはチームの一員として受け入れられていました。彼は、デスクを確保し、受付係に自分の所在を伝え、ミーティングに参加するまでになりました。彼はその経験を『ニューヨーカー』誌に「私の偽の仕事」(Rothman, 2000)という記事として発表しました。その後、彼はストーリーの中のいくつかの詳細を捏造した疑いで信用を失い、『ニューヨーカー』誌は謝罪文を発表しました。しかしながら、ロスマンの面白い記事は、ある「ドットコム」企業の内部を魅力的に描写しており、作家や社会学者が資料を発掘するためにどこまでやるかを例証するものでした。

ロスマンは、参与観察と呼ばれる研究形態をとっていました。これは、研究者が人々の中に入り、ある集団の日常的な活動に参加し、文脈の中で彼らを観察することを目的とするものです。この方法によって、研究者は社会生活の特定の側面を体験することができます。研究者は、ある傾向や制度、行動などを直接観察するために、多大な労力を費やすかもしれません。食堂でウェイトレスとして働いたり、ホームレスとして数週間生活したり、警察官が通常の受け持ち区域を巡回するのに同乗したりすることもあります。多くの場合、これらの研究者は、研究対象となる集団に違和感なく溶け込もうとし、研究結果を損なうと判断した場合には、自分の本当の身元や目的を明らかにしないこともあります。

図2.7 | 彼女は働くウェイトレスなのでしょうか、それとも参与観察を用いて研究を行う社会学者なのでしょうか?実地調査を行う研究者は、対象者を直接知るために、仕事を得たり、他の手段を講じたりすることがあります。(Credit: Gareth Williams/flickr)

図2.7 | 彼女は働くウェイトレスなのでしょうか、それとも参与観察を用いて研究を行う社会学者なのでしょうか?実地調査を行う研究者は、対象者を直接知るために、仕事を得たり、他の手段を講じたりすることがあります。(Credit: Gareth Williams/flickr)

実地での研究の冒頭では、研究者はある疑問を抱いているでしょう:「キャンパスで最も人気のある食堂の厨房で実際に何が行われているのだろうか?」、あるいは「ホームレスであるとはどのようなものなのか?」参与観察は、研究者がある環境を内側から探りたい場合に有効な方法です。

実地調査を行う研究者は、単に観察して学ぶことを望みます。そのような環境では、研究者は注意を怠らず、何が起ころうとも開かれた心で対応し、すべての観察を正確に記録します。やがてパターンが現れると、質問はより具体的になり、観察は仮説につながり、仮説は研究者がデータを分析し、結果を生み出す際の指針となります。

社会学の研究者のロバート・S・リンドとヘレン・メレル・リンドが実施した米国の小さな町に関する研究では、チームがデータを集めるうちに目的を変えていきました。彼らは当初、米国の町における宗教の役割に焦点を当てた研究を行う予定でした。しかし、観察結果が集まるうちに、工業化と都市化の影響こそ、この社会集団にとってもっと重要なトピックであることに気づいたのです。リンド夫妻は、方法は変えませんでしたが、研究の目的を見直しました。

これが彼らの発表した結果である『ミドルタウン:現代アメリカ文化の研究』(Lynd & Lynd, 1929)の構成を形作りました。

リンド夫妻は、自分たちの使命について率直に語りました。インディアナ州マンシーの町の人々は、なぜこの研究者たちが自分たちの中にいるのかを知っていたのです。しかし、社会学者の中には、自分たちの存在を人々に気づかせないことを好む者もいます。秘密裏に参与観察をすることの主な利点は、研究者が集団のメンバーの本物の自然な行動にアクセスできることです。しかしながら、その課題は、他人の行動パターンを乱すことなく、その場へのアクセスを得ることです。集団、組織、あるいはサブカルチャーの内部のメンバーとなるためには、時間と労力を要します。研究者は、自分自身とは異なる者のように振る舞わなければなりません。その過程には、ロールプレイ、接点作り、ネットワーク作り、仕事への応募などが含まれます。

ひとたびある集団に入ると、何か月も、あるいは何年もかけて、観察対象者の一員になりきる研究者もいます。しかしながら、観察者である研究者は、あまりにも深く入り込むことはできません。彼らは自分の目的を念頭に置き、社会学的な視点を適用しなければなりません。そうすることで、しばしば認識されていない社会的パターンを明らかにすることができます。参与観察で収集される情報は、量的というよりも質的なものがほとんどであるため、最終的な結果は記述的または解釈的なものになることが多いです。研究者は、論文や書籍で調査結果を発表し、自分が目撃し経験したことを記述することがあります。

ジャーナリストのバーバラ・エーレンライクが著書『ニッケル・アンド・ダイムド』のために行ったのも、この種の調査です。ある日、編集者と昼食をとりながら、エーレンライクはあるアイデアを口にしました。「最低賃金の労働で人はどうやって生存できるのだろう?低所得の労働者はどうやって生活しているのかしら?」と、彼女は不思議に思いました。「誰かが研究するべきだわ。」すると、驚いたことに、編集者は「なぜあなたがやらないんです?」と言いました。

こうしてエーレンライクは、労働者階級の仲間入りをすることになりました。数か月間、彼女は快適な自宅を離れ、高等教育や市場価値のある仕事のスキルをほとんど持たない人々の中で生活し、仕事をしました。彼女は、身分を隠して、ウェイトレス、清掃員、老人ホームの補助者、小売チェーン店の従業員といった、最低賃金の仕事に応募し、働きました。参与観察の間、彼女はこれらの仕事から得た収入だけで、衣食住や交通費の支払いをしました。

彼女は、最低賃金の仕事で生活するのはほとんど不可能だという当たり前のことを発見しました。また、中流階級や上流階級の人々の多くが考えもしないような態度を経験し、観察しました。彼女は、労働者階級の従業員の扱いを直接目撃したのです。生活費を稼ぐため、生き残るために極端な手段を取る人々を目の当たりにしました。彼女は、2つも3つも仕事を持ち、週7日働き、車で生活し、慢性的な健康問題の治療費を払えず、ランダムに解雇され、薬物検査を受け、ホームレスのシェルターを出たり入ったりしている同僚の従業員のことを記述しました。彼女はそのような生活の一端を明るみに出し、困難な労働条件や低賃金労働者が受ける劣悪な待遇を説明しました。

高給取りの作家としての実生活に戻った彼女が書いた本は、広く読まれ、多くの大学の授業で使用されています。

図2.8 | 実地調査は現実の場所で行われます。仕事の空間はどのような環境を醸成するでしょうか?社会学者がその場に溶け込むと、どんな発見があるでしょうか?(Credit: Lyncconf Games/flickr)

図2.8 | 実地調査は現実の場所で行われます。仕事の空間はどのような環境を醸成するでしょうか?社会学者がその場に溶け込むと、どんな発見があるでしょうか?(Credit: Lyncconf Games/flickr)

エスノグラフィー

エスノグラフィーとは、研究者が社会的なコミュニティー全体の自然な環境に身を置き、その日常生活や文化を観察・体験することです。エスノグラフィー研究の中心は、対象者が自分自身の社会的地位をどのように見ているか、また、社会集団との関係において自分自身をどのように理解しているかに焦点を当てることです。

エスノグラフィー研究では、例えば、アメリカの小さな漁師町、イヌイットのコミュニティー、タイの村、仏教の僧院、私立の寄宿学校、遊園地などを観察するかもしれません。これらの場所にはすべて境界線があります。人々はその境界線の中で生活し、働き、学び、休暇を過ごします。人々は何らかの理由でそこにいるため、何らかのやり方で行動をとり、何らかの文化的規範を尊重します。エスノグラファーは、決められた時間をかけて、選ばれた場所のあらゆる側面を調査し、可能な限り多くのことを吸収することに力を注ぐでしょう。

アマゾンの部族を研究する社会学者は、村人が日常生活を送る様子を眺め、それについて論文を書くかもしれません。またあるエスノグラファーは、霊的な瞑想施設を観察するために施設に申し込んでゲストとして長期滞在し、観察してデータを記録し、その資料を照合して結果を生み出すかもしれません。

制度的エスノグラフィー

制度的エスノグラフィーは、エスノグラフィー研究の基本的な原則を拡張したもので、日常の具体的な社会関係に意図的に焦点を当てるものです。カナダの社会学者ドロシー・E・スミス(Smith, 1990)によって開発された制度的エスノグラフィーは、しばしば社会分析へのフェミニストに触発されたアプローチと考えられており、主に男性優位の社会と権力構造における女性の経験を考察します。スミスの研究は、学問的にも女性の生活の研究においても、社会学が女性を排除してきたことに異議を唱えるものと考えられています(Fenstermaker, n.d.)。

歴史的に、社会科学の研究は、女性を物としてみなし、男性の視点から見た場合を除き、女性の経験を無視する傾向がありました。現代のフェミニストたちは、女性やその他の周縁化された集団を従属的なものとして記述することは、権威ある人々が自らの支配的な立場を維持するのに役立つと指摘しています(Social Sciences and Humanities Research Council of Canada, n.d.)。スミスの3つの主要著作は、彼女が「権力の概念的実践」と呼ぶものを探究しており、今でもフェミニスト理論やエスノグラフィーにおける代表作とされています(Fensternmaker, n.d.)。

社会学研究

『ミドルタウン:現代アメリカ文化の研究』の誕生

1924年、ロバート・リンドとヘレン・リンドという若い夫婦が、アメリカのある町を対象に社会学的手法を適用し、アメリカの「普通の」人々が何をし、何を信じているかを探るという前例のないエスノグラフィーに取り組みました。インディアナ州マンシー市(人口約3万人)を対象として選び、彼らはこの小さな町に移り住み、18か月の間、そこに住み続けました。

エスノグラファーたちは何十年もの間、ギャングや移民、貧困層など、少数派や部外者とみなされる集団の異文化を調査してきていました。しかし、いわゆる平均的なアメリカ人を研究した人は誰もいませんでした。

リンド夫妻は、インタビューを記録し、調査(サーベイ)を使ってデータを集め、自分たちが観察したことを客観的に記述しました。彼らは既存の資料を調べ、1890年のマンシーと自分たちが観察した1924年のマンシーを比較しました。すると、マンシーの大人たちのほとんどは農家で育ったものの、現在は市街地の家に住んでいることがわかりました。その結果、リンド夫妻は工業化と都市化の影響に研究の焦点を当てました。

彼らは、マンシーがビジネス階級と労働者階級の集団に分かれていることを観察しました。彼らは、ビジネス階級とは抽象的な概念や記号を扱うものであり、労働者階級とは道具を使って具体的な物を作る人々だと定義しました。この2つの階級は、それぞれ異なる目標や希望を持って異なる生活を送っていました。しかしながら、リンド夫妻は、大量生産が両階級に同じような暮らしを提供していることを観察しました。裕福な家庭と同じように、労働者階級もラジオ、自動車、洗濯機、電話、掃除機、そして冷蔵庫を所有することができるようになっていました。これが1920年代に出現しつつあった物質的な現実でした。

リンド夫妻は、原稿を6つの章に分け、作業を進めました:それは、「生活する」、「家庭を築く」、「若者を訓練する」、「余暇を使う」、「宗教的実践に参加する」、「地域活動に参加する」でした。

この研究が完了したとき、リンド夫妻は大きな問題に直面しました。この本を依頼したロックフェラー財団が、「役に立たない」と言って出版を拒否してきたのです。そこでリンド夫妻は、「自分たちで出版社を探せないか」と要望しました。

『ミドルタウン:現代アメリカ文化の研究』は、1929年に出版されただけでなく、すぐさま社会学的研究としては前例のないベストセラーとなりました。この本は、出版初年度に6刷が完売し、その後も絶版にはなっていません(Caplow, Hicks, & Wattenberg, 2000)。

このようなものは、それまでにはありませんでした。『ミドルタウン』は、ニューヨーク・タイムズ紙の一面に書評が掲載されました。1920年代と1930年代の読者は、インディアナ州マンシーの市民に自分を重ね合わせましたが、彼らは、社会学的手法と、米国の普通の人々を定義するための科学的データの使用にも、同じくらい魅了されました。この本は、社会データがアメリカ大衆にとって重要であり、興味深いものであることを証明するものでした。

図2.9 | ロバート・リンドとヘレン・リンドがこの「典型的な」アメリカの共同体の研究を始める5年前の1917年、インディアナ州マンシーにおけるある教室の様子。(Credit: Don O’Brien/flickr)

図2.9 | ロバート・リンドとヘレン・リンドがこの「典型的な」アメリカの共同体の研究を始める5年前の1917年、インディアナ州マンシーにおけるある教室の様子。(Credit: Don O’Brien/flickr)

事例研究

研究者は、ある特定の人物や出来事を研究したいと望むことがあります。事例研究とは、1つの出来事、状況、または個人を詳細に分析するものです。事例研究を実施するために、研究者は、文書やアーカイブ記録などの既存の情報源を調べ、インタビューを実施し、直接的な観察に取り組み、可能であれば参与観察も行います。

研究者はこの方法を用いて、里子、麻薬王、がん患者、犯罪者、レイプ被害者などの単一の事例を研究することができるかもしれません。しかしながら、事例研究という手法に対する大きな批判は、それがトピックに深みを与える一方で、一般化された結論を形成するのに十分な証拠を提供しないというものです。言い換えると、一人の人間がパターンを実証することはできないので、たった一人の人間に基づいて普遍的な主張をすることは困難です。このため、ほとんどの社会学者は、事例研究を主要な研究手法として用いていません。

しかしながら、単一の事例が独特なものである場合には、事例研究が有用になります。このような場合、1つの事例研究が多大な洞察に貢献することがあります。例えば、野生の子供は人間から隔離されて育った子供です(「野生児」とも呼ばれることがあります)。野生児は「文明化された」子供の発達に不可欠な要素である社会的接触や言語がないまま成長します。これらの子供は、動物の行動や動作を模倣し、独自の言語を作り出すこともしばしばあります。「野生児」の事例は、世界でもわずか百例ほどしかありません。

あなたも想像できるでしょうが、野生児は、研究者にとって非常に興味深い対象です。野生児は、「普通」の成長や養育の枠から外れて育っているため、子供の発達についての独特な情報を提供してくれます。また、野生児はほとんどいないため、事例研究は研究者がこの主題を研究する上で用いる最も適切な手法となります。

オクサナ・マラヤというウクライナの少女は3歳のとき親からのひどい育児放棄に遭いました。彼女は犬と一緒に小屋で暮らし、生肉や残飯を食べていました。5年後、隣人から当局へ「四つん這いになって走り、吠えている少女を見た」と通報がありました。職員はオクサナを社会復帰させ、そこで世話をし、人間の行動をいくつか教えましたが、彼女は完全に社会化されることはありませんでした。彼女は自活できないと指定され、現在は精神科施設で暮らしています(Grice, 2011)。このような事例研究は、社会学者にとって、他の手法では得られないようなデータを収集する方法を提供するものです。

実験

あなたも、もしかしたら自分だけの社会理論を試したことがあるかもしれません。「夜に勉強して、朝に復習すれば、定着力が上がる。」あるいは、「ソーダを飲むのをやめれば、体調が良くなる。」原因と結果。こうすれば、ああなる。あなたが理論を検証するとき、その結果は仮説を証明するか反証するかのどちらかになります。

研究者が社会理論を検証する方法の1つに、実験を行うことがあります。これは関係性を調べ、仮説を検証するという科学的なアプローチです。

実験には大きく分けて、実験室での実験と、自然実験あるいは現場実験という二種類があります。実験室環境では、限られた時間の中でより多くのデータを記録できるよう、研究をコントロールすることができます。自然実験あるいは現場実験では、データ収集にかかる時間をコントロールすることはできませんが、情報が研究者による干渉や介入を受けずに収集されるので、その情報はより正確だと考えられるかもしれません。

研究手法としては、どちらのタイプの社会学的実験も、「もしあることが起こったら(原因)、別のあることが起こるだろう(結果)」という「もし~ならば、~」構文を検証するのに有効です。実験室での実験を用意するために、社会学者は人工的な状況を作り出し、変数を操作することができるようにします。

古典的には、社会学者は、年齢、階級、人種、教育などで似たような特徴を持つ人々の集合を選びます。その人たちは2つの群に分けられます。1つは実験群、もう1つは対照群です。実験群は独立変数によって操られ、対照群は操られません。例えば、個別指導の効果を検証するために、社会学者は実験群の生徒に個別指導を行い、対照群には行わないことがあります。そして、両群の成績に差があるかどうかをテストし、個別指導が実験群の生徒に効果があったかどうかを確認します。あなたも想像できるでしょうが、このような事例の場合、研究者はどちらの群の生徒の成果も台無しにはしたくないので、設定はやや人工的なものになります。例えば、そこでのテストは、生徒の恒久的な記録に反映される成績には用いられないでしょう。

また、もし研究者が「個別指導の効果を測定する研究の一環として、生徒を観察する」と生徒に告げれば、生徒は自然な振る舞いをしないかもしれません。これはホーソン効果と呼ばれるもので、研究の一環として観察されていることを知っているために人が行動を変えてしまうことを言います。ホーソン効果は、いくつかの調査研究において避けられないものです。なぜなら、社会学者はそのような研究の目的を明らかにしなければいけないからです。対象者は自分が観察されていることに必ず気付いているので、ある程度の人為性が生じるかもしれません(Sonnenfeld, 1985)。

社会学研究

実際の実験

図2.10 | 社会学者フランセス・ヒューセンスタムは、交通違反の取り締まりと人種に基づくバンパーステッカーの相関を探る実験を行いました。この人種プロファイリングの問題は、現在も激論を呼ぶトピックになっています。(Credit: dwightsghost/flickr)

図2.10 | 社会学者フランセス・ヒューセンスタムは、交通違反の取り締まりと人種に基づくバンパーステッカーの相関を探る実験を行いました。この人種プロファイリングの問題は、現在も激論を呼ぶトピックになっています。(Credit: dwightsghost/flickr)

実験のプロセスを説明するには、実生活の例が役に立つでしょう。1971年、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の社会学教授であるフランセス・ヒューセンスタムは、警察の先入観についてある理論を持っていました。その理論を検証するために、彼女はある実験を行いました。彼女は、黒人、白人、ヒスパニックという3つの民族的な背景を持つ人たちから15人の学生を選びました。そして、ロサンゼルスのフリーウェイを経由してキャンパスへと日常的に車で行き来している学生で、1年以上運転経歴が完璧な人を選びました。

次に、彼女は各自の車にブラックパンサーのバンパーステッカーを貼りました。このステッカーは、社会的価値観を表すものであり、独立変数です。1970年代、ブラックパンサーは人種差別と積極的に闘う革命的なグループでした。ヒューセンスタムは、学生たちに普段の運転パターンを守ってもらうように頼みました。彼女は、ブラックパンサーを支持しているように見えるかどうかで、高速道路をパトロールしている警察による優良ドライバーの扱いがどのように変わるかを確かめようとしたのです。従属変数は、交通違反の車両停止/出頭指示回数です。

最初の逮捕は、車線変更を誤ったというもので、実験開始の2時間後に行われました。ある参加者は、3日間で3回も車を止められました。彼は研究を辞退しました。17日後、15人のドライバーは合計33回の交通違反の出頭指示を受けました。実験は中止されました。交通違反の罰金を支払うための資金が底をつき、参加者の熱意もなくなったのです(Heussenstamm, 1971)。

二次データ分析

社会学者はしばしば独自の調査研究を行いますが、二次データ分析を通じてこの学問分野に知識を提供することもあります。二次データとは、一次資料源から収集した直接の調査結果ではなく、他の研究者がすでに完成させている研究成果や、機関や組織によって収集されたデータのことです。社会学者は、歴史家、経済学者、教師、あるいは初期の社会学者によって書かれた著作を研究するかもしません。また、定期刊行物、新聞、雑誌、あるいは歴史上のあらゆる時代の組織データを念入りに調べることもできます。

入手可能な情報を利用することで、時間や費用を節約できるだけでなく、研究に深みを持たせることもできます。社会学者はしばしば、著者の本来の目的や意図とは異なる新しい方法で研究結果を解釈します。例えば、1960年代に女性がどのような行動や振る舞いをするよう奨励されていたかを研究するために、研究者はその時代の映画やテレビ番組、シチュエーションコメディーを見るかもしれません。また、1950年代後半から1960年代前半にかけてのテレビの出現による行動や態度の変化を研究するために、社会学者は二次データの新しい解釈に頼ることがあるでしょう。今から数十年後には、研究者は携帯電話やインターネット、ソーシャルメディアの出現について同様の研究を行う可能性が高いです。

社会科学者はまた、さまざまな機関の研究を分析することでも学びます。米国労働統計局や世界保健機関(WHO)のような政府部門やグローバルな集団は、社会学者にとって有益な知見を伴う研究を発表しています。差し押さえ率のような公的統計は、不況の影響を研究するのに有用かもしれません。人種的な人口統計と教育への資金提供に関するデータを比較し、異なる集団がアクセスできる資源を調べることができるかもしれません。

古い映画やWHOの統計のような二次データの利点の1つは、それが非反応型の研究(または非侵入型の研究)であること、つまり対象者と直接に接触することがなく、人々の行動を変化させたり影響を与えることがないことです。人と直接に接触することが必要な研究とは異なり、既に発表されているデータを利用すれば、集団に入り込む必要もなく、その研究プロセスに内在する投資やリスクも必要ありません。

利用可能なデータを使用することには、それなりの課題もあります。公的な記録は、必ずしも簡単に入手できるものではありません。研究者は、それらを突き止め、記録にアクセスするために足で探すことが必要になります。膨大な資料の山の中の捜索を導き、関係のない資料を読んで時間を無駄にしないために、社会学者は内容分析を用います。これは、二次データから集められた情報を、目下の研究に関連して記録し、評価する体系的なアプローチを適用するものです。

また、既存のデータの正確性を確認する方法がない場合もあります。例えば、警察に停止させられた飲酒運転者の数を数えるのは簡単です。しかし、そうでない人は何人いるのでしょうか?10代の学生のうち、高校を中退した人の割合を知ることは可能ですが、その後、復学したりGED[高校卒業に相当する一般教育修了認定]を取得した人の数を知ることは、もっと難しいかもしれません。

また、データが必要な形で入手できなかったり、研究者が求める正確な観点からトピックを調査できていなかったりする場合にも、問題が生じます。例えば、公立校の教授に支払われる平均給与は公文書として公開されています。しかし、この数字から、それぞれの教授がその給与水準に達するまでに要した期間や、学問的な経歴、教職を務めてきた期間が明らかになるとは限りません。

内容分析を行う際には、既存の資料の出版時期を考慮し、その研究に影響を与えたと思われる態度や一般的な文化的理想を考慮することが重要です。例えば、ロバート・S・リンドとヘレン・メレル・リンドが1920年代に研究をまとめたとき、当時の態度や文化的規範は現在と大きく異なっていました。ジェンダーの役割、人種、教育、仕事についての信念は、その時代以降著しく変化しています。当時にあっては、その研究の目的は、米国の小さなコミュニティーについての洞察を明らかにすることでした。現在では、それは1920年代の態度や価値観を示すものになっています。

2.3 倫理的な懸念事項

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • なぜ倫理的基準が存在するのかを理解する
  • 非倫理的な研究について詳しく調べる
  • アメリカ社会学会の倫理綱領について認識していることを証明する

社会学者は、人間の行動を解明するための研究を行います。知識は、肯定的な変化を達成するために使用することができる強力な道具です。その結果として、社会学的な研究を行うことは、非常に大きな責任を伴います。すべての研究者と同様に、社会学者も研究を行う際には、人間の対象者や集団に危害を加えないようにする倫理的義務を考慮しなければなりません。

ドイツの先駆的な社会学者であるマックス・ウェーバー(1864-1920)は、もう1つの重要な倫理的懸念事項を明らかにしました。ウェーバーは、個人的な価値観が研究結果を開示するための枠組みを歪める可能性があることを理解していました。彼は、研究設計のいくつかの側面が個人の価値観に影響される可能性があることを認めながらも、個人の価値観が回答の解釈を形成するのを許すことはまったく不適切であると宣言しました。社会学者は、研究の過程や結果を公表する際に、バイアスや判断を持たず、公平さを保つという実践である価値中立性を確立しなければならないと彼は述べています(Weber, 1949)。社会学者は、重要なデータを省略したり歪曲したりすることなく、研究結果を開示する義務を負っています。

価値中立性は可能なのでしょうか?多くの社会学者は、完全な客観性を保つことは不可能であると考えています。彼らはむしろ、社会学的研究にはある程度の価値観の偏りが含まれている可能性があることを理解するよう、読者に注意を促します。これは結果を否定するものではなく、読者がそれらを真実の一形態として、つまり事実に基づく1つの視点として見ることを可能にするものです。社会学者の中には、社会制度を研究する際に、無批判にとどまり、可能な限り客観的であろうとする者もいます。彼らは、データを収集・分析する際に、個人的なバイアス、特に潜在意識のバイアスを克服するよう努力します。彼らは、政治的・道徳的な観点などの特定の意図に沿った所定の結果に合わせるために、データを歪めることを避けます。研究者は、個人的な見解や予測された結果、あるいは広く受け入れられている信念と矛盾する場合でも、結果を報告する倫理的な義務を負っています。

アメリカ社会学会(ASA)は、北米における社会学者の主要な専門家組織です。ASAは、社会学を学ぶ学生にとっても素晴らしい助けとなります。ASAは、社会学研究を行うための正式なガイドラインである倫理綱領を保持しており、これはこの学問分野で使用される原則と倫理基準で構成されています。これらの正式なガイドラインは、1905年にジョンズ・ホプキンズ大学で実務者たちによって制定され、1997年に改訂されました。人間を対象とした研究を行う場合、これらの倫理綱領は、研究者に以下のことを求めています:

  1. 研究の客観性と完全性を維持する
  2. 対象者のプライバシーと尊厳に関する権利を尊重する
  3. 個人的な危害から対象者を保護する
  4. 機密を保持する
  5. インフォームドコンセントを求める
  6. 協力・支援への謝意を示す
  7. 資金援助の源を開示する

残念ながら、これらの倫理綱領が無視されると、社会学的研究に携わる人間にとって非倫理的な環境を作り出してしまいます。歴史を通じて、非倫理的な研究は数多くあり、そのいくつかを以下に要約します。

図2.11 | タスキギー研究の参加者は、自分の診断についての重要な情報が与えられず、重大な健康問題につながりました。(Credit: Centers for Disease Control)

図2.11 | タスキギー研究の参加者は、自分の診断についての重要な情報が与えられず、重大な健康問題につながりました。(Credit: Centers for Disease Control)

タスキギー実験:この研究は、1932年にアラバマ州メイコン郡で行われ、梅毒と診断された399人を含む600人のアフリカ系アメリカ人男性を対象としたものでした。参加者は、「悪い血」の病気と診断されたと告げられました。1940年代にこの病気の治療薬としてペニシリンが出回りましたが、残念ながらこのアフリカ系アメリカ人男性たちには治療が行われませんでした。なぜなら、この研究の目的が、「未治療の梅毒がアフリカ系アメリカ人男性にどのような影響を与えるか」を確認することだったからです(Caplan, 2007)。

ヘンリエッタ・ラックス:皮肉なことに、この研究は、倫理綱領の発祥の地であるジョンズ・ホプキンズ大学の関連病院で行われました。1951年、ヘンリエッタ・ラックスはジョンズ・ホプキンズ病院で子宮頸がんの治療を受けていました。医師たちは、彼女が「不死の」細胞を持っていることを発見しました。この細胞は急速に、しかも無限に増殖するため、医学研究にとって非常に貴重なものでした。医師たちは、彼女の同意なしに、彼女の細胞を収集・共有し、膨大な数の細胞株を作製しました。ラックスの細胞は、ポリオワクチンをはじめとする実験や治療に広く利用され、大量生産されるようになりました。今日、これらの細胞はHeLa細胞として世界的に知られています(Shah, 2010)。

ミルグラム実験:1961年、心理学者のスタンレー・ミルグラムがイェール大学である実験を行いました。その目的は、個人の良心と相反する行為を行うように指示する権威的な人物に従う被験者の意思を測定することでした。教師役の人は、単語ペアの問題で誤った回答をした生徒に電気ショックを与えていると思い込んでいました。徐々に強くなる電気ショックを与えることにどれだけ不安を感じていても、教師役の人たちは続けるように言われました。ここでの倫理的な懸念事項は、自分が他人を傷つけていると信じていた教師役の人たちが直面した極度の精神的苦痛に関わるものです(Vogel, 2014)。

フィリップ・ジンバルドーとスタンフォード監獄実験:1971年、心理学者のフィリップ・ジンバルドーは、スタンフォード大学の学生を対象とした研究を実施しました。学生たちは囚人の役と看守の役になり、与えられた役割に応じて演じることを要求されました。この実験は2週間の予定で行われましたが、経過や「囚人たち」の扱いが悪かったため、6日間しか続きませんでした。倫理的な懸念だけでなく、参加者が特定の行動をとるように指示を受けていたことが明らかになり、この研究の妥当性が疑われるようになりました。

ラウド・ハンフリーズ:1960年代、ラウド・ハンフリーズは、同性間の性的出会いで知られる公園のトイレで実験を行いました。彼の目的は、同性との関係を求める人々の背景や動機の多様性を理解することでした。しかし、彼がインタビューした男性たちを観察し質問する際に、自分の身元と意図を偽っていたため、彼の倫理面が問題視されました(Nardi, 1995)。

重要用語

正確性:道具を使うことで、計測がより正確になる

事例研究:1つの出来事、状況、または個人の詳細な分析

倫理綱領:アメリカ社会学会が社会学における倫理的な研究と専門的な責任ある学問を育成するために制定した一連のガイドライン

内容分析:二次データから集められた情報を、目下の研究に関連して記録し、評価する体系的なアプローチを適用すること

相関関係:ある変数の変化と別の変数の変化が一致する場合であるが、必ずしも因果関係を示すものではない

デバンキング:利点、論理、証拠を吟味することによって、明白に見えるものを超えて虚偽を暴くこと

従属変数:他の変数によって変化する変数

経験的証拠:直接的な観察、科学的に収集されたデータ、または実験から得られる証拠

エスノグラフィー:社会的環境における思考や行動に参加し、観察すること

実験:制御された条件下での仮説の検証

実地調査:実験室での実験や調査(サーベイ)をせずに、自然な環境からデータを収集すること

ホーソン効果:研究者に観察されていることを意識して、研究対象者が特定の行動をとること

仮説:2つかそれ以上の変数の間で予測される結果についての、検証可能で知識に基づいた推測

独立変数:従属変数の変化を引き起こす変数

解釈の枠組み:観察または相互作用を通じて、トピックまたは対象の深い理解を求める社会学的な研究アプローチ。このアプローチは仮説検証に基づいていない

インタビュー:研究者と対象者の一対一の会話

文献レビュー:学術的な研究ステップの1つで、あるトピックに関するすべての既存の研究を特定・調査し、新たな研究の基礎を作る

非反応型の研究:二次データを使用し、研究対象者との直接的な接触を含まず、人々の行動を変化させたり影響を与えたりしない研究

操作的定義:研究者が研究しようと計画している抽象的な概念の具体的な説明

参与観察:研究者が「内部者」の視点から観察を行うために、ある集団や社会的な環境に身を置くこと

母集団:研究の対象となる定義された集団

一次データ:じかの経験から直接収集されたデータ

質的データ:数値化されていない記述的なデータで、しばしば主観的であり、自然な環境で経験されたことに基づいている

量的データ:数値形式で収集されたデータで、数えることができ、統計的に分析できるもの

無作為標本:無作為に抽出され、より大きな母集団の代表とされる研究参加者

信頼性:研究の一貫性を示す指標で、ある研究が再実施された場合、結果が再現される可能性がどれだけ高いかを考慮するもの

標本:母集団を代表する少人数で管理可能な数の対象者

科学的手法:質問をして、既存の情報源を調査し、仮説を立て、データ収集方法を設計し、データを収集し、結論を引き出すという確立された学術的研究法

二次データ分析:他者が収集したデータを使用し、新しい解釈を適用する

調査(サーベイ):思考、行動、意見についての一連の質問に答える対象者からデータを収集することで、多くの場合、質問票の形式で行われる

妥当性:社会学的な測定が研究のトピックを正確に反映している度合い

価値中立性:研究の過程や結果を公表する際に、バイアスや判断を持たず、公平さを保つという実践

各節のまとめ

2.1 社会学研究へのアプローチ

研究者は、科学的手法を用いて、質問をする、既存の情報源を調査する、仮説を立てる、研究を設計する、データを収集・分析する、結論を引き出す、という6つの段階で研究を行います。科学的手法は、研究を整理するための明確な方法を提供するという点で有用です。社会学者の中には、科学的手法を採用するのではなく、解釈の枠組みを通じて研究を行う人もいます。

科学的な社会学研究は、しばしば変数間の関係を観察します。研究者は、ある変数が他の変数にどのようにして影響を与えるかを研究します。研究を実施する前に、研究者は用語に対して操作的定義を適用し、従属変数と独立変数を確立することに注意します。

2.2 研究手法

社会学研究は、かなり複雑なプロセスです。あなたが見て取れるように、単純な研究設計でさえも、多くのことが行われています。人間の行動に関するデータを収集する際、また、決定的な結果を得るためにデータを解釈・分析する際にも、多くの手順と考慮すべきことがあります。社会学者が科学的手法を用いるのには、それなりの理由があります。科学的手法は、データおよび結果が信頼でき、妥当で、客観的であることを保証するために、研究者が研究を計画し、実施するのに役立つ組織的な体系を提供してくれます。

実験、調査(サーベイ)、参与観察、エスノグラフィー、事例研究、二次データ分析など、研究者が利用できる多くの手法には、すべて利点と欠点があります。研究の強さは、データを収集する適切な手法を選択し、実施するかどうかにかかっています。トピックによっては、1つの手法を使うこともあれば、複数の手法を組み合わせて使うこともあります。研究に着手する前に、研究設計を計画しておくことが重要です。収集した情報自体が驚くべきものであるかもしれず、研究設計は、予測されたデータと予測されなかったデータを分析するための確固たる枠組みを提供するものであるべきです。

表2.2 | 主な社会学研究の手法。社会学研究の手法には利点と欠点があります。

表2.2 | 主な社会学研究の手法。社会学研究の手法には利点と欠点があります。

2.3 倫理的な懸念事項

社会学者や社会学を学ぶ学生は、実施するあらゆる研究に対して倫理的な責任を負わなければなりません。彼らは、まず第一に、参加者の安全を保証しなければなりません。可能な限りいつでも、参加者が研究に参加する前に十分なインフォームド・コンセントを受けていることを確認しなければなりません。

アメリカ社会学会(ASA)は、社会学者が研究を行う際に考慮しなければならない倫理的指針の要素を定めています。この指針は、研究の実施、既存の情報源の適切な利用、資金提供の受諾、結果の公表について述べています。残念ながら、過去には倫理綱領が存在しなかったり、研究者がASAの指針を守らなかったりした結果、人間が身体的・心理的な被害を受けるような非倫理的な行為がなされた事例もありました。

社会学者は、価値中立性を維持するよう努めなければなりません。彼らは客観的にデータを収集・分析し、個人的な好み、信念、意見を脇に置かなければなりません。また、たとえ個人的な価値観や信条に反していても、調査結果を正確に報告しなければなりません。

各節についての質問

2.1 社会学研究へのアプローチ

  1. 科学的手法の第一のステップは__________です。
  1. データを収集し、分析すること
  2. 記事を要約すること
  3. あるトピックについて質問すること
  4. 仮説を立てること
  1. 測定は、研究のトピックに沿って、それが測定することを意図しているものを実際に測定する場合、__________とみなされます。
  1. 信頼できる
  2. 社会学的
  3. 妥当
  4. 量的
  1. 社会学研究では、ある__________の変化が別の__________の変化を引き起こすような関係を検証します。
  1. テスト対象
  2. 行動
  3. 変数
  4. 操作的定義
  1. ある研究で、10歳の少年たちに1週間毎朝ドーナツを食べさせ、その後体重を測定し、体重がどれだけ増えたかを調べます。従属変数となる因子はどれですか?
  1. ドーナツ
  2. 少年たち
  3. 1週間の期間
  4. 増えた体重
  1. 「小児肥満」の操作的定義として、最も適切な記述はどれですか?
  1. 不健康な食品を食べ、テレビを見たりビデオゲームをする時間が長すぎる子供たち
  2. 2型糖尿病や心臓病などの健康問題を引き起こす可能性のある苦痛を伴う傾向
  3. その身長の子供にとっての健康的な体重より少なくとも20%重い体重
  4. 現在の子供たちは、以前の世代の子供たちよりも体重が重くなる傾向

2.2 研究手法

  1. 二次データとみなされる資料はどれですか?
  1. あなたが他者からもらった写真や手紙
  2. 他の著者たちが彼らの研究について書いた本や論文
  3. あなたが収集し、今回あなたの結果に含まれるようになった情報
  4. 調査(サーベイ)・インタビューした参加者からの回答
  1. 参加者を選ぶのに、なぜ無作為標本抽出が効果的なのでしょうか?
  1. 参加者は自分が研究の一部であることを知らないから
  2. 研究者は誰が研究対象になるかをコントロールできないから
  3. 通常の標本より大きいから
  4. 誰もが同じ確率で研究に参加するから
  1. ロバート・S・リンドとヘレン・メレル・リンドは、ミドルタウンの研究で主にどのような研究手法を用いましたか?
  1. 二次データ
  2. 調査(サーベイ)
  3. 参与観察
  4. 実験
  1. 科学的手法に最も適した研究手法はどれですか?
  1. 質問票
  2. 事例研究
  3. エスノグラフィー
  4. 二次データ分析
  1. エスノグラフィーと他のタイプの参与観察との主な違いは、__________。
  1. エスノグラフィーは仮説検証に基づいていないことである
  2. エスノグラフィーの対象者は、自分が研究されていることに気づいていないことである
  3. エスノグラフィー研究は、常に少数民族集団を対象としていることである
  4. エスノグラフィーは、対象者がコミュニティーとの関係において自分自身をどのように見ているかに焦点を当てることである
  1. 事例研究の結果について、最も適切に記述しているのはどれですか?
  1. その詳細さのために、それは他の手法よりも信頼性の高い結果が得られる
  2. その結果は一般に適用できない
  3. それは二次データ分析だけに頼っている
  4. 上記すべて
  1. 二次データの使用は、非侵入型、あるいは__________の研究手法とみなされています。
  1. 非反応型
  2. 非参加型
  3. 非制限型
  4. 非対面型

2.3 倫理的な懸念事項

  1. 価値中立性を例示している文章はどれですか?
  1. 子供の肥満は明らかに親の怠慢の結果であり、したがって、学校はそれを防ぐために大きな役割を果たすべきである
  2. 2003年、アーカンソー州などの州では、小学校に清涼飲料水の自動販売機の撤去を義務付ける法律が採択された
  3. 学校で子供たちがジャンクフードに触れることを制限するだけでは、肥満を防ぐには不十分である
  4. 身体活動と健康的な食事は、子供の教育の基本的な部分である
  1. 価値中立性の概念を定義したのはどの人物あるいは団体ですか?
  1. 機関内審査委員会(IRB)
  2. ピーター・ロッシ
  3. アメリカ社会学会(ASA)
  4. マックス・ウェーバー
  1. ファストフードがライフスタイル、健康、文化に与える影響を研究する際、研究者は倫理的にどのグループから資金を受け入れることができないですか?
  1. ファストフード店
  2. 非営利の医療機関
  3. 私立病院
  4. 保健・社会サービス局のような政府機関

簡潔に答えてください

2.1 社会学研究へのアプローチ

  1. 科学的手法の最初の3つのステップを書き出してください。あなたが興味を持っている、社会学研究に適した幅広いトピックを考えてみてください。例えば、大学における民族の多様性、ホームカミングの行事、スポーツの奨学金、10代の運転などです。では、そのトピックについて、プロセスの最初のいくつかのステップを踏んでみましょう。各ステップごとに、数文または1段落の文章を書いてください:1) そのトピックについて研究のための質問を作成します。2) そのトピックについて少し調べ、読んでみたい論文や本のタイトルを書き出します。3) 仮説を立てます。

  2. 研究手法における正確性、妥当性、信頼性の間の相互関係を説明してください。

2.2 研究手法

  1. 調査(サーベイ)はどのような種類のデータを集めますか?調査(サーベイ)はどのようなトピックに最も適した研究手法でしょうか?調査(サーベイ)を使用する場合、どのような欠点が予想されますか?さらに詳しく調べるために、研究の問いを立てて、仮説を書き出してください。次に、そのトピックに関連する6つほどの質問からなるアンケートを作成します。それぞれの質問には根拠を示してください。次に、母集団を定義し、無作為標本を集めて調査(サーベイ)を実施する計画を立ててください。

  2. 特定の場所で決められた時間、実地調査を行うことを想像してください。研究のトピックそのものを考えるのではなく、研究者であるあなたがどのように研究の準備をしなければならないかを考えてみましょう。個人的、社会的、物理的にどのような犠牲を払わなければならないでしょうか?個人的な影響をどのように管理しますか?データを収集するために、どのような組織的な設備やシステムが必要ですか?

  3. あなたが強い関心を持つトピックについて、簡単な研究設計を組み立ててください。次に、慈善団体や助成団体に研究資金の提供を依頼する手紙を書いてください。どのようにすれば、説得力があり、かつ現実的で客観的な方法でプロジェクトを記述することができますか?あなたの研究の結果が、すでに存在する社会学的な研究成果に対して、どのような有意義な貢献をすることになるのかを説明してください。

2.3 倫理的な懸念事項

  1. アメリカ社会学会(ASA)は、なぜこれほど詳細な一連の倫理原則を作成したのだと思いますか?どのような種類の研究が、人間の参加者を危険にさらす可能性がありますか?有害となるかもしれない研究の例をいくつか考えてみてください。社会学の名の下に、人権を脅かす境界を越えようとする研究者がいるかもしれないと思いますか?それはなぜですか?

  2. あなたは、自分の健康や安全が危険にさらされる可能性があるものの、何千人、あるいは何十万人もの人々を助ける可能性がある社会学研究に、喜んで参加しますか?例えば、糖尿病やがんを治すことができる新薬の研究に、たとえそれがあなたにとって大きな不便や身体的不快感、あるいは後遺症の可能性を意味するとしても、あなたは参加したいですか?

さらなる研究

2.1 社会学研究へのアプローチ

社会学における科学的手法に関する歴史的な視点については、アメリカン・ジャーナル・オブ・ソシオロジー誌に掲載されたF・スチュアート・チャピンによる「社会学における科学的手法の要素」(1914)を読んでください。(http://openstax.org/l/Method-in-Sociology)

2.2 研究手法

現在の現実世界における社会学実験に関する情報は、エブリディ・ソシオロジー・ブログをご覧ください。(http://openstax.org/l/Sociology-Experiments)

2.3 倫理的な懸念事項

1905年に設立されたアメリカ社会学会は、ワシントンDCにある非営利団体で、1万4000人の社会学の研究者、教員、学生、実務家の会員を擁しています。その使命は、「現在および将来の社会学に最も広範な影響を与える可能性のある指針を明確にし、プログラムを実施すること」です。この組織についてはこちらで詳しく学んでください(http://openstax.org/l/ASA)。

参考文献

はじめに

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