第5章 社会化

図5.1 | 救急隊員は、さまざまな病気や怪我をした患者を治療するために準備をしています。彼らは、医療トレーニングに加えて、意思決定、チームワーク、コミュニケーション、ストレス管理などのスキルも積み上げています。これらの能力は、たとえ救急隊員が他の雇用分野に転職した場合でも、生涯およびキャリアを通じて非常に価値あるものとなります。しかしながら、迅速かつ効率的な意思決定は、緊張感の少ない環境でも常に通用するとは限りません。(Credit: COD Newsroom/Flickr)

図5.1 | 救急隊員は、さまざまな病気や怪我をした患者を治療するために準備をしています。彼らは、医療トレーニングに加えて、意思決定、チームワーク、コミュニケーション、ストレス管理などのスキルも積み上げています。これらの能力は、たとえ救急隊員が他の雇用分野に転職した場合でも、生涯およびキャリアを通じて非常に価値あるものとなります。しかしながら、迅速かつ効率的な意思決定は、緊張感の少ない環境でも常に通用するとは限りません。(Credit: COD Newsroom/Flickr)

この章の概要

5.1 自己発達の理論
5.2 社会化が重要な理由
5.3 社会化の主体
5.4 生涯にわたる社会化

はじめに

ノエルが15歳の時、救急車の隊員ボランティアに勧誘するチラシを見ました。ノエルは興味をそそられました。医療の道に進むことに興味があり、ボランティアも好きでしたが、救急車の仕事は専門的な訓練を受けた年上の人の仕事という印象がありました。説明会でノエルは、救急隊のジュニアメンバーは物資や通信を手伝えること、救急車の出動時に同乗して救急救命士(EMT)を補佐できることを知りました。ノエルは興奮して、すぐに登録しました。

ノエルは、救急救命士(中にはノエルよりほんの数歳だけ年上の人もいました)が、自信をもって重大な決断を下すことに驚きを覚えました。救急救命士は、訓練とガイドラインにしっかりと頼っていましたが、それを素早く行っていました。また、患者を乗せて病院に到着したとき、ノエルは看護師や医師、その他のスタッフの効率の良さに同じような衝撃を受けました。ノエルは、その決断力と必要な専門知識に対して深い尊敬の念を抱くようになりました。

大学時代、ノエルは医療のより戦略的な側面に惹かれ、医療管理学の学位を取得しました。その一方で、救急救命士の資格を取得し、大学の救急隊チームに参加しました。その後、大学院に在籍したノエルは、小さな街で非常勤のプロの救急救命士として活動していました。成績もよく、さまざまな経験を積んだノエルは、数州離れた場所で素晴らしい仕事の誘いを受けました。

都市部の病院でインターンをし、救急救命士として何年も過ごしたノエルは、医療にある程度の緊急性を予期するようになっていました。病院事務は明らかに救急救命機関ではなく、ノエルは自身の仕事のペースの遅さに悶々としていました。在庫リスト、荷物受け取り証明書類、電子メールの返信、そして会議のスケジュールまで、すべて数人の承認を得る必要がありました。ノエルはこの仕事を楽しんでいましたが、もっと素早く仕事をすることに慣れていました。

ある日、ノエルは機器の請求書に目を通し、皆から見過ごされていた重大な誤りに気づきました。25万ドル近い過払い金が納入業者に支払われようとしていたのです。ノエルはすぐに経理部に電話をかけました。応答はありません。そして、Slackのグループメッセージを送信し、上司と請求・支払手続きに関わる数人に電子メールを送りました。ノエルは、この問題に直談判で対処するために建物の別の場所へ向かおうとしていましたが、ついにメッセージが飛び込んできました:「よくやった、ノエル。この支払いは、解決するまで保留にしよう。」

その日の終わり頃、ノエルはマネージャーのトレイシーから、立ち寄るようにとのメッセージを受け取りました。トレイシーのオフィスには、経理部長を含む三人が集まっていました。褒められると思っていたノエルは、トレイシーがノエルの行った悪いことを順にすべて指摘し始めたことにショックを受けました。

「あなたの取り乱したようなメッセージと度を越えた言葉遣いは、信じられないほどの混乱を引き起こした…ほとんど無責任だ」とトレイシーは言いました。

「しかし、私は正しかった」とノエルは、自分の意図したよりも大きな声で答えました。

トレイシーは「正しいかどうかは別として、あなたは経理の担当者に伝えて、結果を待つべきだった。その代わりに、あなたはパニックに陥った」と言いました。

「私は確かに経理に電話したが、返事がなかったので、次のステップに進む必要があった。私はパニックになったのではなく、決断力があった。」ノエルがそう言ったとき、頭の中では自分が正しい判断をして誰かの命を救ったときのことを考えていました。

トレイシーはため息をつきました。「決断力というのは、混乱を引き起こすときには良いものとは言えない。あなたのせいで、五人の人がすべてを投げ出して調査を始めた。何人かは自分のせいだと思った。」ノエルは抗議し始めましたが、トレイシーは首を横に振りました。「あなたがより速いペースの環境から来たことを私は理解しているし、イライラしていたこともわかる。しかし、あなたがここで働くのであれば、私たちの文化の中で働く必要がある。私たちのやり方に逆らって押し通るのではなく、それを理解するようにしてほしい。そうでなければ、誰も幸せになれない、とりわけあなたは。」トレイシーはノエルに、一晩ゆっくり考えて、翌朝また話をしに来るように言いました。

この状況では、誰が正しかったのでしょうか?ノエルは病院の出費を数十万ドル減らしたか、少なくとも返金処理にかかる時間を省略することができました。より広い責任を持つトレイシーは、ノエルのやり方がもたらす長期的な影響や、チームの優秀なメンバーであるノエルがチーム内でどう機能するかを考慮していました。

トレイシーは、組織の文化について懸念していました。文化とは、そのトピックに関する章で論じたように、ある集団が共有する信念、価値観、慣習のことです。国、社会、宗教、スポーツチームなどにはすべて文化があり、企業にもあります。あなたが就職のための面接をする際にも、このことが話題に上るでしょう。組織を研究する研究者は、労働者が企業文化の中に適切に取り込まれていない場合、相互の失望のサイクルが始まり、そこでは労働者が企業の価値観を拒否し、最終的に退職または解雇される可能性が高いということを発見しました(Cebollero, 2019)。

なぜノエルはこの仕事を楽しめなかったのでしょうか?そして、なぜ人々はノエルのアプローチに当惑してしまったのでしょうか?ほとんどの場合において、ノエルはそのペースややり方に対応できていませんでした。それまでの経験が、病院の文化とは相反するものだったからです。企業文化は、その素養のある人であれば学びやすいものですが、そうでない人は、過去の行動を振り払う時間が必要かもしれません(Schein, 1988)。専門家は、このような適応の責任は、新規雇用者と会社の間で分担されると指摘しています。

ノエルはどのように学び、トレイシーはそれを手伝うために何ができたでしょうか?企業文化は、他のタイプの文化が学習されるのと同じように、規範や価値観の観察と適応、信念の理解と適用、そして一般的には、集団の一員として生産的になろうとすることを通して学習されます。子供が遊びや学校での振る舞いを学ぶように、人々は社会化と呼ばれる継続的なプロセスを通じて、生産的なパートナーであることを学びます。

社会化とは、人々が社会の熟練した一員となるよう教え込まれる過程のことです。社会化は、人々が社会の規範や期待を理解し、社会の信念を受け入れ、社会の価値観を認識するようになる方法を記述します。社会化とは、社交(家族や友人など他人と交流すること)とは異なります。それは、正確には、社交を通して起こる社会学的なプロセスのことです。

ノエルの物語は人生の比較的進んだ段階の話ですが、社会化は幼年期にとって極めて重要です。人間の最も基本的な活動でさえも、学習されます。ハイハイを覚え、その後、歩くのを覚えることは大きな節目ですが、幼児を持つ親や保護者、家族なら誰でも知っているように、階段を上る、ベッドから安全に降りる、普通の椅子に座る、普通のカップで飲むなど、他の小さな達成もその子にとって人生を左右することがあります。同様に、家族の行動や価値観も、時には観察から、時には積極的な指導から学習されなければなりません。

以下の節では、社会化という複雑なプロセスの重要性と、それが多くの個人、集団、社会制度との相互作用を通じてどのように行われるかを探究していきます。私たちは、社会化が子供の発達にとってどのように重要であるかだけでなく、人生の各段階で新しい社会環境や期待に備えるための生涯にわたるプロセスでもあることを探ります。しかし、その前に、私たちは自己発達、つまり自己の感覚を認識するようになる過程、社会化できる「自己」を認識するようになる過程についての研究に目を向けます。

5.1 自己発達の理論

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 自己発達の心理学的理論と社会学的理論を区別する
  • 道徳的発達の過程を説明する

私たちは生まれたとき、遺伝的な構成と生物学的な特徴を持っています。しかしながら、人間としての私たちは、社会的な相互作用を通じて発達していきます。心理学と社会学の両分野で、多くの学者が自己発達のプロセスを説明し、その「自己」がどのように社会化されるかを理解するための前段階としています。

自己発達の心理学的視点

精神分析学者ジークムント・フロイト(1856-1939)は、人がどのように自己の感覚を発達させるかについての理論を提出した、最も影響力のある近代科学者の一人です。彼は、成熟の過程をいくつかの段階に分け、人の自己発達は、その発達の初期段階と密接に関連していると仮定しました。

フロイトによれば、特定の段階に適切に関与するのに失敗したり、あるいは関与しなかったりすると、成人期を通じて感情的・心理的な影響を受けることになります。

心理学者のエリク・エリクソン(1902-1994)は、フロイトの研究に部分的に基づいて、人格発達の理論を作り上げました。しかしながら、エリクソンは、人格は時間の経過とともに変化し続け、本当の意味で完成することは決してないと考えました。彼の理論には、誕生に始まり死によって終わる8つの発達段階が含まれています。エリクソンによれば、人は生涯を通じてこれらの段階を通過していきます。フロイトが心理性的段階と人間の基本的な衝動に焦点を当てたのとは対照的に、エリクソンの自己発達観は、自分自身の基本的な欲求と社会的に受け入れられるものとの間で折り合いをつける方法など、より社会的な側面を評価するものでした(Erikson, 1982)。

ジャン・ピアジェ(1896-1980)は、子供の発達における社会的相互作用の役割に注目した心理学者です。彼は、自己の発達は、自分の心の中に存在するものとしての世界と、社会的に経験されるものとして存在する世界との間の交渉を通じて進化することを認識しました(Piaget, 1954)。これらの三人の思想家はいずれも、自己の発達に関する現代的な理解に貢献しています。

心理学者のハリー・ハーロウ(1905-1981)は、幼いアカゲザルの発達における孤立と母性剥奪の影響を観察することによって、人間の発達における社会的関係性の役割を研究したことで知られています。ハーロウは、サルが孤立状態に置かれると、自傷行為などの不穏な行動を示し、他のサルと再び引き合わされたときに打ち解けるのが難しいことを発見しました。ハーロウはまた、隔離されたサルに、布で覆われたものや針金で作られたものなどといった、模擬的な代理母を与えました。観察された行動に基づくと、若いサルは布製の母親に愛着を持ち、精神的な支えとして寄りかかっているように見えました。70年以上経った今でも、この実験は心理学者、社会学者、人間の発達に関心を持つ人々の研究に役立っています。

社会学研究

社会学か心理学か:その違いは何でしょうか?

あなたはこう疑問に思うかもしれません:もし社会学者と心理学者がどちらも人とその行動に関心を持っているのなら、この2つの学問分野はどう違うのだろうか?彼らは何に同意していて、どこで考えが分かれるのだろうか?その答えは複雑ですが、この区別は両方の分野の研究者にとって重要です。

一般的な違いとして、どちらの学問分野も人間の行動に関心がありますが、心理学者は心がその行動にどのように影響を与えるかに焦点を当て、社会学者は行動を形成する上での社会の役割を研究していると言えるかもしれません。心理学者は、人々の心の発達や、心がどのように世界を処理するかに関心を持ちます。社会学者は、社会のさまざまな側面が、個人の世界との関係にどのように寄与しているかに焦点を当てる傾向があります。この違いを考えるもう1つの方法は、心理学者は人間の行動を理解するために、内面(メンタルヘルス、感情的なプロセス)を見る傾向があり、社会学者は外面(社会制度、文化規範、他者との相互作用)を見る傾向があるということです。

エミール・デュルケーム(1858-1917)は、人々の自殺率の違いを心理的原因(心の健全さなど)ではなく、社会的原因(宗教の違い)に起因するとしたとき、研究においてこの区別を初めて行った人物となりました(Durkheim, 1897)。今日、私たちはこれと同じ区別を目にすることができます。例えば、あるカップルがデートで初めてキスをするまでの過程を研究する社会学者は、デートに関する文化的規範や、時間経過に伴う性的な活動の社会的パターン、あるいはこの過程がシニア世代と10代の若者とでどのように異なるかに研究の焦点を当てるかもしれません。心理学者の場合は、その人の幼いころの性的意識や性的欲求の精神的な処理に興味を持つ可能性が高いでしょう。

社会学者と心理学者が協力して知識を深めることもありました。しかしながら、ここ数十年、社会学者は社会の大きな問題やパターンにますます焦点を当てるようになり、心理学者は人間の心に焦点を絞り込み続けているため、両者の分野はより明確に分かれてきています。この2つの学問分野は、異なるアプローチを通じて貴重な貢献をしており、異なるタイプの有用な洞察を私たちに与えてくれます。

自己発達の社会学的理論

社会学的視点への先駆的な貢献者の一人がチャールズ・クーリー(1864-1929)です。彼は、人の自己理解は、他者からどのように見られているかという認識によって部分的には構築されると主張し、そのプロセスを「鏡に映った自我」(Cooley, 1902)と名付けました。

その後、ジョージ・ハーバート・ミード(1863-1931)は、社会的相互作用を通じて育まれる、その人固有のアイデンティティーである自己を研究しました。「自己」についてのこのプロセスを行うためには、個人は他者の目を通して自身を見ることができなければなりません。それは生まれつきの能力ではありません(Mead, 1934)。社会化を通じて、私たちは他人の立場に立って、その人の視点を通して世界を見ることを学びます。これは、「他者」の視点から自分自身を見ることで、私たちの自己の意識の向上を助けてくれます。

私たちはどのようにして新生児の状態から「自己」を持つ人間へとなるのでしょうか?ミードは、すべての人が通り抜ける発達の特定の道筋があると考えました。準備段階では、子供は模倣することしかできず、他人が物事をどう見ているかを想像する能力はありません。彼らは養育者などの定期的に相互作用する人々の行動を模倣します。これに続くのは遊びの段階であり、そこでは子供は他の人が持っているような役割を引き受け始めます。そのため、子供は着せ替え遊びをして「お母さん」を演じたり、おもちゃの電話で大人と同じように話したりして、「大人」の行動をすることで、親の視点を試そうとするかもしれません、

ゲーム段階では、子供は同時に複数の役割を考え、それらの役割が互いにどのように作用し合うかを学びます。また、さまざまな目的をもった異なる人々が関わる相互作用を理解することも学びます。例えば、この段階の子供は、レストランで働く人々にはさまざまな責任があり、それらが一体となってスムーズな食事の経験を提供していることを認識するはずです(ある人は席に案内し、別の人は注文を取り、また別の人は料理を作り、さらに別の人が汚れた食器を片付けます)。

最後に、子供は、一般化された他者、つまり一般社会における共通の行動的な期待についての考え方を発達させ、理解し、学習します。この発達段階までに、個人は自分が一人または多くの他者からどのように見られているかを想像できるようになり、社会学的な観点から「自己」を持つようになります(Mead, 1934; Mead, 1964)。

コールバーグの道徳的発達の理論

道徳的発達は、社会化のプロセスの中で重要な位置を占めています。この言葉は、社会が考える「良いこと」と「悪いこと」を人々が学ぶ方法を指しており、それは社会が円滑に機能するために重要なものです。道徳的発達は、人々が抑制のきかない衝動でもって行動することを防ぎ、代わりに社会にとって何が正しいか、他の人にとって何が良いのかを考えるものです。ローレンス・コールバーグ(1927-1987)は、人がどのようにして「何が正しくて、何が間違っているか」を判断できるようになるのかに興味を持ちました。このトピックを理解するために、彼は道徳的発達の理論を開発し、そこに3つのレベル、すなわち、前慣習的レベル、慣習的レベル、後慣習的レベルを含めました。

前慣習的な段階では、高いレベルの認知能力を持たない幼児は、自分の周りの世界を自分の感覚を通した形でしか経験しません。10代になると、若者は他人の感情を段々と意識するようになり、それを考慮して「良いこと」「悪いこと」を判断するようになり、慣習的な理論が発展します。後慣習的と呼ばれる最終段階では、人々が道徳を抽象的な言葉で考えるようになります。例えば、アメリカ人は誰もが生命、自由、幸福の追求の権利を持っていると信じています。また、この段階では、人々は合法性と道徳性が必ずしも均等に一致するわけではないことも認識しています(Kohlberg, 1981)。2011年、何十万人ものエジプト人が政府の腐敗に抗議するために集まったとき、彼らは後慣習的な道徳を使用していました。彼らは、自分たちの政府が合法であるにもかかわらず、道徳的に正しくないことを理解していました。

ギリガンの道徳的発達とジェンダーの理論

もう一人の社会学者、キャロル・ギリガン(1936-)は、コールバーグの研究が男性のみを対象に行われたため、彼の理論にはジェンダーバイアスが見られる可能性があると認識していました。女性の研究対象者であれば、違った反応を示したのでしょうか?女性の社会科学者なら、研究を分析する際に異なるパターンに気づくでしょうか?最初の問いに答えるため、彼女は少年少女の道徳性の発達の違いを研究することにしました。ギリガンの研究は、少年と少女が道徳について異なる理解を有していることを示唆しました。男の子は、ルールや法律を重視することにより、正義の視点を持っているようでした。一方、女の子は、道徳的に間違っていると思われる行動の背後にある人々の理由を考慮し、ケアと責任の視点を持っているようです。

コールバーグの研究が男女両方の対象者を含むべきであったというのはギリガンの言う通りですが、彼女の研究は標本サイズが小さいため科学的に否定されています。また、ギリガンがこの研究で指摘した結果も、後続の研究者によって再現されていません。ギリガンが観察した違いは、道徳性の発達の問題ではなく、社会化の問題でした。男性と女性の行動の違いは、少年少女に社会的規範や性別によって期待される行動を教えるジェンダー社会化の結果です(「なんてかわいらしい女の子!」参照)。

ギリガンはまた、コールバーグの理論が、正義の視点が正しい、あるいはより良い視点であるという前提に立っていることを認識していました。それに対してギリガンは、どちらの視点も「より良い」ものではなく、正義の2つの規範は異なる目的を果たすものであると理論化しました。最終的に、ギリガンは、男の子は、規則によって業務が円滑に進む職場環境のために社会化され、女の子は、柔軟性によって世話や養育に調和がもたらされる家庭環境のために社会化されると説明しました(Gilligan, 1982; Gilligan, 1990)。

現実世界における社会学

なんてかわいらしい女の子!

「なんてかわいいドレスなんでしょう!」「君の髪のリボン好きだよ」「わぁ、今日はとてもきれいね」

『Think: Straight Talk for Women to Stay Smart in a Dumbed Down World(考える:子供だましな世界で賢くあり続けるための女性に向けた率直な話)』の著者であるリサ・ブルームによると、私たちのほとんどは、小さな女の子に初めて会ったときに、このような挨拶をします。「だからなんだ?」とあなたは思うかもしれません。

ブルームは、私たちが少女の外見にこだわりすぎており、その結果、社会が少女たちに、自分の外見が極めて重要であると信じ込ませるように社会化していると主張しています。そして、ブルームは何かを捉えているのかもしれません。あなたは小さな男の子に、その服装がどんなに魅力的か、その靴がどんなに素敵か、今日の彼はどんなにハンサムか、どれだけの頻度で伝えていますか?ブルームは、その主張を裏付けるための1つの例として、3歳から6歳の女の子の約50%が太っていることを気にしていることを挙げています(Bloom, 2011)。私たちは、自分の身体のイメージを気にしている幼稚園児のことを話しているのです。社会学者は、このような種類のジェンダー社会化について強い関心を抱いています。この社会化によって、男の子と女の子はどうあるべきか、どう振る舞うべきか、どんなおもちゃや色を好むべきか、服装はどれほど重要か、といった社会的期待が強化されます。

このような種類のジェンダー社会化に対する1つの解決策として、スウェーデンのエガリア保育園では、ジェンダーレスな環境で子供たちが成長する実験が行われています。エガリアでは、すべての子供たちが「彼」や「彼女」ではなく「友達」といった中立的な言葉で呼ばれます。遊び場やおもちゃは、ジェンダーの期待を強めるいかなるものも排除するように意識的に設定されています(Haney, 2011)。エガリアは、子供たちの就学前の世界から、社会的なジェンダー規範をすべて排除しようと務めています。

極端?そうかもしれません。では、その中間は何なのでしょうか?ブルームは、私たちが単純なステップから始めることを提案しています。幼い女の子を紹介されたときに、お気に入りの本や好きなものについて尋ねましょう。つまり、外見ではなく、その子の心に働きかけるのです(Bloom, 2011)。

5.2 社会化が重要な理由

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 個人と社会の両方における社会化の重要性を記述する
  • 生まれか育ちかの論争を説明する

社会化は、個人にとっても、彼らが暮らす社会にとっても重要です。それは、人間とその社会世界がいかに完全に絡み合っているかを示しています。まず、社会がそれ自体として永続しているのは、新しいメンバーに文化を教えることによるものです。ある社会の新しい世代がその生活様式を学ばなければ、その社会は消滅してしまいます。社会が存続するためには、その文化に特徴的なものは何であれ、そこに加わる人々に伝えられなければなりません。例えば、米国の文化が存続するためには、米国の子供たちは民主主義に関連する文化的価値観について学ばなければなりません。つまり彼らは、投票の規範に加え、投票機などの有形物の使い方も学ばなければなりません。彼らは、親や保護者が投票する姿を見たり、学校によっては生徒会選挙で本物の投票機を使ったりすることで、それらを学ぶのかもしれません。もちろん、若い世代がレストランでの食事のエチケットやフットボールの試合でのテールゲートパーティーの儀式を学ぶことも、米国文化では同じくらい重要なものだと主張する人もいるでしょう。実際、米国では、社会の生活様式を次の世代に引き継ぐために、人々が子供たちに教える考え方や物質がたくさんあります。

図5.2 | あなたは手を使って食べることができますか?誰が支払うべきでしょうか?誰かが立ち上がったらあなたも立ちますか?それは相手のジェンダーによりますか?さまざまな文化の食事マナーや習慣は、社会化によって学ばれます。(Credit: Kurman Communications/flickr)

図5.2 | あなたは手を使って食べることができますか?誰が支払うべきでしょうか?誰かが立ち上がったらあなたも立ちますか?それは相手のジェンダーによりますか?さまざまな文化の食事マナーや習慣は、社会化によって学ばれます。(Credit: Kurman Communications/flickr)

社会化は、私たち個人にとって不可欠なものです。社会的相互作用は、私たちが徐々に他人の目を通して自分を見ることができるようになるための手段や、自分が何者であるかの学び方、自分を取り巻く世界への適合の仕方を提供してくれます。さらに、社会でうまくやっていくためには、私たちは、服を着る方法から特定の場にふさわしい服装まで、寝る時間から寝る場所まで、夕食に食べるのに適切とみなされるものからそれを調理するためのコンロの使い方まで、物質的な文化と非物質的な文化の両方の基本を学ばなければなりません。最も重要なのは、私たちはコミュニケーションや思考を行うために、支配的な言語であれ、サブカルチャーに共通する言語であれ、口頭であれ、手話であれ、言語を学ばなければならないことです。社会化されなければ、私たちは文字通り自己を持つことができません。

生まれか育ちか

一部の専門家は、私たちが何者であるかは、私たちを取り巻く関係性や養育といった育ちの結果であると主張します。また、私たちが何者であるかは完全に遺伝に基づくと主張する人もいます。この考え方によると、私たちの気質や興味、才能は生まれる前から決まっています。そして、この観点からは、私たちがどんな人間であるかは、生まれに基づくものです。

研究者が生まれの影響を測定しようとする方法の1つに、双子の研究があります。ある研究では、別々に育てられた一卵性双生児を追跡調査しています。一卵性双生児は同じ遺伝子を共有していますが、場合によっては異なる方法で社会化されました。このようなタイプの状況の例はまれですが、別々に育った一卵性双生児がどの程度同じか違うかを調べることで、人間の気質や嗜好、能力が遺伝的構成と社会的環境によってどのように形成されるかについての洞察を研究者が得ることができます。

例えば、1968年、双子の女の子が養子に出され、互いに引き離され、別々の家庭で育てられました。養父母も、そして間違いなく赤ちゃん自身も、この双子が科学研究の対象となった五組の双子のうちの一組であることに気づいていませんでした(Flam, 2007)。

2003年、当時35歳だった二人の女性は再会しました。エリゼ・シェインとポーラ・バーンスタインは、まるで鏡を見ているような気分で、驚きをもって一緒に座っていました。見た目が似ているだけでなく、手振りや表情といった振る舞い方もそっくり同じでした(Spratling, 2007)。このような研究は、私たちの気質や行動の根源が遺伝的なものであることを示唆しています。

遺伝とホルモンは人間の行動に重要な役割を果たしますが、社会学の大きな関心事は、社会が人間の行動に与える影響、つまり、生まれと育ちの議論の育ちの側です。この双子はどんな人種だったのでしょうか?両親はどのような社会階層に属していたのでしょうか?ジェンダーはどうでしょう?宗教は?これらの要因はすべて、遺伝的な構成と同じように双子の人生に影響を与え、社会学的なレンズを通して人生を見る際に考慮すべき重要なものです。

大局的な観点

あなたが聞いたことのない最も賢い男、クリス・ランガンの生涯

警備員。消防士。工場労働者。カウボーイ。クリス・ランガンは、大人になってからの人生の大半を、このような仕事に就いて、なんとかやりくりしてきました。彼は大学の学位を持っておらず、援助もなく、過去には多くの失望がありました。クリス・ランガンは195を超えるIQも有しており、平均的な人よりも100ポイント近く高かったです(Brabham, 2001)。では、なぜクリスは神経外科医や教授、航空技師にならなかったのでしょうか?マルコム・グラッドウェルの著書『天才! 成功する人々の法則』(Gladwell, 2008)によれば、クリスは高いレベルで成功するために必要な社会的スキルのセット、つまり生まれつきのものではなく、学ぶべきスキルを持っていませんでした。

グラッドウェルは、社会学者アネット・ラローが、さまざまな経済的背景を持つ12の家族を密着取材し、その子育て術を調べた最近の研究に注目しました。低所得家庭の親は、「自然な成長の達成」という戦略に従っていました。つまり、子供に大きな独立性を持たせ、自分で成長するように放っておきました。しかしながら、高所得家庭の親は、「子供の才能、意見、スキルを積極的に育て、利用」します(Gladwell, 2008)。これらの親は、分析的な会話をし、確立されたものに対して積極的に疑問を投げかけることを奨励し、交渉スキルの発達を促す傾向がありました。また、このような親は、スポーツや音楽、先取り教育プログラムなど、幅広い活動を子供に取り入れることができました。ある中流階級の子供が英才教育プログラムへの入学を拒否されたとき、母親は学校に嘆願し、娘が入学できるまで追加のテストを手配しました。しかしながら、低所得者層の親は、教育委員会などの権威を疑うことなく、従順であることが多くありました。彼らの子供たちは、制度に抵抗なく立ち向かい、声を上げるようには社会化されていませんでした(Gladwell, 2008)。

このことは、世界で最も賢い男(Brabham, 2001)と言われるクリス・ランガンとどのような関係があるのでしょうか?クリスは深刻な貧困の中で生まれ、虐待とアルコール依存の継父とともに各地を転々としました。彼の天才的な才能は、ほとんど気づかれることはありませんでした。リード・カレッジへの奨学金を得た後、母親が必要な書類に記入しなかったため、彼は資金援助を失うことになりました。事務局に事情をうまく納得させることができなかったため、前学期にはすべてAの成績だったクリスが、成績証明書ではFの成績とされ、退学を余儀なくされました。モンタナ州立大学に入学した後も、事務員に授業日程の変更を拒否され、16マイルの距離を通学するために必要な手段を見つけることができませんでした。クリスはまばゆいばかりの才気を有していましたが、彼に欠けていたのは実践的な知性、すなわち、心理学者のロバート・スタンバーグが「誰に対して何を言うべきか、いつそれを言うべきか、どう言えば最大の効果が得られるかを知っていること」(Sternberg et al., 2000)と定義するものです。そのような知識は、彼の社会性の一部ではありませんでした。

クリスは学校をあきらめ、いくつものブルーカラーの仕事で働き始め、その傍らで自分の知的関心を追求するようになりました。最近、彼の「宇宙の認知理論モデル」に注目が集まっていますが、彼は教育システムにうんざりし、抵抗感を抱いたままです。

グラッドウェルが結論付けたように、「彼は一人で道を切り開かなければならなかったが、これまでだれ一人として、ロックスターも、プロスポーツ選手も、ソフトウェアの億万長者も、天才でさえも、一人で成功した者はいない」(Gladwell, 2008)。

図5.3 | 一卵性双生児は見た目は似ていますが、その違いから社会化の影響を知る手がかりが得られることがあります。この双子は同じ進路を選びましたが、そうでない双子も少なくありません。(Credit: Senior Airman Lauren Douglas/U.S. Air Force)

図5.3 | 一卵性双生児は見た目は似ていますが、その違いから社会化の影響を知る手がかりが得られることがあります。この双子は同じ進路を選びましたが、そうでない双子も少なくありません。(Credit: Senior Airman Lauren Douglas/U.S. Air Force)

社会学者は皆、個人と社会の健全な発達のために社会化が重要であることを認識しています。しかし、3つの主要な理論パラダイムを用いて取り組む研究者は、このトピックにどのようにアプローチしているのでしょうか?構造機能主義者は、社会化が社会にとって不可欠であり、それは社会でうまく活動できるようにメンバーを訓練するためであり、また新しい世代に文化を伝達することによって文化を永続させるためであると言うでしょう。社会化がなければ、社会の構成員が死ぬにつれて、その文化は消滅してしまいます。紛争理論家は、社会化が、異なる社会的特性を持つ人々に異なる期待や規範を伝えることによって、世代から世代へと不平等を再生産する、と主張するかもしれません。例えば、ジェンダー、社会階級、人種によって、個人は異なる形で社会化されます。クリス・ランガンのケースのように、これが異なる(不平等な)機会を生み出します。社会化を研究する相互作用論者は、対面でのやりとりや象徴によるコミュニケーションに関心を持ちます。例えば、男の子の赤ちゃんに青、女の子の赤ちゃんにピンクの服を着せることは、ジェンダーの役割の違いについてのメッセージを伝える小さな方法の1つです。

5.3 社会化の主体

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 社会化における家族と仲間集団の役割を評価する
  • 学校、職場、政府などの制度を通じて、人々がどのように社会化されるかを記述する

社会化は、人々が社会世界でうまく機能することを学ぶのに役立ちます。社会化のプロセスはどのように起こるのでしょうか?私たちはどのようにして、社会の物質的な文化の対象物を使うことを学ぶのでしょうか?私たちは社会の非物質的な文化を表す信念、価値観、規範をどのように採用するようになるのでしょうか?この学習は、仲間集団や家族といったさまざまな社会化の主体、さらに公式・非公式の社会制度との相互作用を通じて行われます。

社会集団の主体

社会集団は、しばしば社会化の最初の経験を提供します。家族、そして後には仲間集団が、期待を伝え、規範を強化します。人々はまず、このような環境で物質的な文化の有形物の使い方を学ぶとともに、社会の信念や価値観に触れていきます。

家族

家族は、社会化の最初の主体です。母親や父親、兄弟姉妹、祖父母、さらに拡大家族のメンバーなど、すべての人が子供に知っておく必要のあることを教えます。例えば、彼らは子供に物(服、コンピュータ、食器、本、自転車など)の使い方、他者(ある人は「家族」で、別の人は「友達」で、さらに別の人は「他人」、「先生」、「隣人」です)との関わり方、世界の仕組み(何が「現実」で、何が「想像」か)などを示します。あなたの子供の頃の自分の経験から、あるいは子育てに携わったときのあなたの役割からわかるように、社会化には、果てしなくさまざまな物や考え方について教え、学ぶことが含まれます。

しかしながら、家族は真空の中で子供を社会化するのではないことを心に留めておいてください。多くの社会的要因が、家族の子育てのあり方に影響を与えています。例えば、私たちが社会学的想像力を働かせれば、個人の行動は、それが行われた歴史上の時代によって影響を受けるということを認識することができます。60年前、息子が悪さをしたら父親が木のへらやベルトで叩くことは、特に厳しいことだとは思われなかったでしょうが、今日では同じ行為が児童虐待とみなされるかもしれません。

社会学者は、人種、社会階級、宗教、その他の社会的要因が社会化において重要な役割を果たすと認識しています。例えば、貧しい家庭では、子育てにおいて従順さや同調性が重視されるのに対し、裕福な家庭では判断力や創造性が重視されます(National Opinion Research Center, 2008)。これは、労働者階級の親が教育水準が低く、規則に従い順応できることが役立つ反復作業の仕事を多くしているために起きているのかもしれません。裕福な親は、より良い教育を受けている傾向があり、管理職や創造的な問題解決を必要とする職業に就くことがしばしばあるため、彼らはこうした立場で有益な行動を子供に教えます。これは、子供たちが、親がすでに就いている種類の仕事に就くよう効果的に社会化されて育てられ、階級制度を再生産することを意味します(Kohn, 1977)。同様に、子供たちはジェンダー規範、人種の認識、階級に関連した行動を遵守するように社会化されます。

例えば、スウェーデンでは、専業主夫の父親は社会的な風景の一部として受け入れられています。政府の政策により、新生児がいる家庭には補助金付きの480日間の休業が与えられ、この有給休暇は母親と父親で共有することも選択できます。ある専業主夫は、家で赤ちゃんの息子の世話をすることは「本当に父親らしいことだ。それはとても男性的なことだと思う」と言っています(Associated Press, 2011)。スウェーデンの父親の90%近く(約34万人)が育児休暇を利用しており、出産1回につき平均7週間を取得しています(The Economist, 2014)。これは、米国の政策と私たちの社会が期待するジェンダーの役割とどのように比較されるでしょうか?このように育てられたスウェーデンの子供たちは、親のジェンダー規範に対してどのように社会化されるでしょうか?それは、米国における親のジェンダー規範とどのように異なるでしょうか?

図5.4 | 両親や保護者についての社会化された役割は、社会によって異なります。(Credit: Quaries.com/flickr)

図5.4 | 両親や保護者についての社会化された役割は、社会によって異なります。(Credit: Quaries.com/flickr)

仲間集団

仲間集団とは、年齢や社会的地位が似ていて、同じ興味を持つ人々で構成される集団のことです。例えば、遊び場にいる子供たちが、順番を守ることについての規範やゲームのルール、バスケットボールでのシュートの打ち方などを年下の子供たちに教えるように、仲間集団の社会化は幼少期から始まります。子供たちがティーンエイジャーに成長しても、このプロセスは継続します。親とは別のアイデンティティーを確立し、自立心を発揮し始める思春期の子供たちにとって、仲間集団は新たな意味で重要なものとなります。さらに、子供は通常、家族とともに行うのとは異なるタイプの活動を仲間と行うため、仲間集団は独自の社会化の機会を提供します。仲間集団は、思春期の子供たちにとって、家族の領域の外側での最初の大きな社会化の経験を提供します。興味深いことに、友人関係は青少年の優先順位の中で上位に位置するものの、これは親の影響によってバランスが取られるということが研究で示されています。

制度的な主体

私たちの文化の社会制度もまた、私たちの社会化を促進します。学校、職場、政府のような公式な制度は、これらのシステムの中でどのように行動し、どのようにかじ取りするかを人々に教えます。また、メディアなど他の制度は、規範や期待についてのメッセージで私たちをあふれさせることにより、社会化に寄与しています。

学校

アメリカの子供たちのほとんどは、1日のうち約7時間、1年のうち180日を学校で過ごしており、学校が子供たちの社会化に重要であることを否定するのは困難です(U.S. Department of Education, 2004)。生徒が学校にいるのは、このシステムの顕在的な機能、つまり、数学、読解、科学、その他の教科などを学ぶためだけではありません。学校は、チームワークの実践、スケジュールの遵守、教科書の使用といった行動へと子供たちを社会化することにより、社会における潜在的な機能も担っています。

図5.5 | この幼稚園児たちは、単に読み書きを学ぶだけでなく、人にちょっかいを出さない、列に並ぶ、一緒に遊ぶなどの規範を社会化されています。(Credit: woodleywonderworks/flickr)

図5.5 | この幼稚園児たちは、単に読み書きを学ぶだけでなく、人にちょっかいを出さない、列に並ぶ、一緒に遊ぶなどの規範を社会化されています。(Credit: woodleywonderworks/flickr)

模範となる教師や指導者が率いる学校や教室の儀式は、社会が子供たちに期待することを定期的に強化します。社会学者は、学校のこのような側面のことを隠れたカリキュラム、つまり学校が行う非公式な教えと表現しています。

例えば、アメリカの学校では、成績の付け方や教師が生徒を評価する方法の中に、競争意識が組み込まれています(Bowles and Gintis, 1976)。子供たちは、リレー競走や算数コンテストに参加する際、社会には勝者と敗者が存在することを学びます。あるプロジェクトで力を合わせることが求められると、子供たちは協力的な状況で他の人々とチームワークを実践します。隠れたカリキュラムは、子供たちに大人の世界への準備をさせます。子供たちは、官僚主義、規則、期待、順番待ち、日中何時間もじっと座っていることに対処する方法を学びます。異なる文化の学校では、その文化内でうまく機能するよう準備するために、子供たちを異なる方法で社会化します。チームワークと官僚主義への対応という潜在的な機能は、米国文化の特徴です。

また、学校は市民権や国家の誇りについて教えることで、子供たちを社会化します。米国では、子供たちは忠誠の誓いを唱えるように教えられます。ほとんどの学区では、米国の歴史と地理についての授業が義務付けられています。歴史に対する学問的な理解が進むにつれ、米国の教科書は、他の文化に対する態度や歴史的な出来事に関する見方を更新するために精査され、改訂されてきました。したがって、子供たちは、以前の教科書でもって行われたかもしれないものとは異なる形で、自国や世界の歴史に対して社会化されています。例えば、アフリカ系アメリカ人やネイティブ・アメリカン・インディアンへの不当な扱いについての情報は、過去の教科書よりもそれらの出来事をより正確に反映しています。

大局的な観点

議論を引き起こす教科書

2001年8月13日、ソウルで20人の韓国人男性が集まりました。それぞれは、教科書を理由にして、自分の指を一本ずつ切り落としました。これらの男性たちは、日本政府が日本の中学校で使用することを承認した八冊の中学校教科書に抗議するために、過激な手段をとりました。韓国政府(および他の東アジア諸国)によれば、この教科書は日本の歴史における否定的な出来事を軽く扱い、他のアジア諸国をないがしろにしていました。

1900年代初頭、日本はアジアで最も攻撃的な国の1つでした。例えば、日本は1910年から1945年の間、韓国を植民地として保持していました。今日、韓国人は、日本人がこれらの教科書を通じて植民地の歴史をごまかしていると主張しています。主な批判の1つは、第二次世界大戦中、日本人が韓国人女性を強制的に性的奴隷にしたことに言及していないことです。この教科書は女性たちを「徴募」して働かせたと記述していますが、これは実際に起こったことの残酷さを軽視した婉曲な表現です。日本の教科書の中には、1919年に行われた重要な朝鮮独立デモを「暴動」として片付けているものもあります。実際には、日本兵が平和的なデモ参加者を攻撃し、およそ6000人が死亡、1万5000人が負傷しました(Crampton, 2002)。

この抗議は、国が主導する教育システムにおいて教科書が社会化の重要な道具であることを確認するものです。

職場

図5.6 | 職場での社会化は非公式および公式に生じ、物質的および非物質的な文化を含むことがあります。(Credit: U.S. Department of Agriculture/flickr)

図5.6 | 職場での社会化は非公式および公式に生じ、物質的および非物質的な文化を含むことがあります。(Credit: U.S. Department of Agriculture/flickr)

子供たちが一日の大半を学校で過ごすのと同じように、米国の成人の多くは、どこかの時点でかなりの時間を職場で過ごすことになります。生まれたとき以来、自分の文化に社会化されているにもかかわらず、労働者は、コピー機の操作方法などの物質的な文化と、上司に直接話してもいいのか、冷蔵庫をどう共有するのかなどの非物質的な文化の両面から、職場へと新たに社会化する必要があります。この章の「はじめに」の項では、ノエルは新しい会社の文化を十分に受け入れていませんでした。重要なことは、このような社会化の義務は、単に労働者にだけあるわけではないということです:組織行動学やその他のビジネスの専門家は、企業にもその責任を課しています。組織は、満足度、生産性、職場定着率を高めるために、強力な新人研修と社会化プログラムを持たなければなりません(Cebollero, 2019)。

仕事によって、必要な社会化の種類は異なります。かつては、多くの人が引退まで1つの仕事を続けていました。現在では、少なくとも10年に1回は転職する傾向にあります。18歳から46歳までの間に、平均的なベビーブーム世代の若年層は11.3種類の仕事を経験しました(U.S. Bureau of Labor Statistics, 2014)。これはつまり、人々はさまざまな職場環境へと社会化するとともに、それにより社会化されなければならないことを意味します。

宗教

一部の宗教は非公式な制度ですが、ここでは公式な制度で行われている実践に焦点を当てます。宗教は、多くの人々にとって重要な社会化の手段です。米国には、シナゴーグ、寺院、教会、モスク、そして同様の宗教的コミュニティーがたくさんあり、そこには人々が礼拝や学習のために集まります。他の制度と同様、これらの場所では、宗教の物質的な文化(メズーザ[ユダヤ教で戸口に掲げる祈りの言葉を入れた箱]、祈りのための敷物、聖体拝領の聖餅など)との付き合い方を参加者に教えています。人によっては、結婚や出産といった家族構成に関わる重要な儀式が、宗教的な祝賀行事と結びついていることもあります。多くの宗教の制度では、ジェンダー規範を支持し、社会化を通じてその実施に貢献しています。家族単位を強化する正式な通過儀礼から、ジェンダーの役割を強化する権力の力学まで、組織的な宗教は一群の社会化された価値観を共有し、それが社会を通じて受け継がれるように育みます。

政府

私たちはそれについて考えることはありませんが、現代に行う通過儀礼の多くは、政府が定めた年齢規範に基づくものです。「成人」と定義されるのは、通常18歳になることを意味しますが、これは人が法的に責任を持つようになる年齢です。そして、65歳は「高齢者」の始まりであり、ほとんどの人がこの年齢で高齢者手当の適格者になります。

私たちが老人、成人、納税者といった新しいカテゴリーの1つに入るたびに、私たちは新しい役割に社会化されなければなりません。高齢者は、メディケア[高齢者向け医療保険制度]、社会保障給付金、高齢者向けショッピングの割引など、さまざまな知識を身につけなければなりません。アメリカ人男性は18歳になると、30日以内に選抜徴兵登録システムに登録し、潜在的な兵役のためのデータベースに入力されなければなりません。これらの政府の指示は、私たちが新しいカテゴリーへの社会化を必要とするポイントを示しています。

マスメディア

マスメディアは、テレビ、新聞、ラジオ、インターネットを介して、個人的なものでない情報を多くの聴衆に流通させています。平均的な人は1日に4時間以上をテレビの前で過ごしており(子供はさらに長い時間画面を見ており)、メディアは社会規範に大きな影響を与えています(Roberts, Foehr, and Rideout, 2005)。人々は、新しい技術や交通手段といった物質的な文化の対象物についてだけでなく、何が真実か(信念)、何が重要か(価値観)、何が期待されているか(規範)といった非物質的な文化についても学びます。

現実世界における社会学

少女と映画

図5.7 | 一部の研究者、親、児童の権利擁護者は、彼らが「プリンセス文化」と呼ぶものの中で女の子を育てることの影響について懸念しています。多くの人は、ディズニーのようなエンターテインメント企業を、映画の中での女の子の描き方について非難しています。

図5.7 | 一部の研究者、親、児童の権利擁護者は、彼らが「プリンセス文化」と呼ぶものの中で女の子を育てることの影響について懸念しています。多くの人は、ディズニーのようなエンターテインメント企業を、映画の中での女の子の描き方について非難しています。

若年層に向けた映画では、多くの少女や女性が主人公となっています。「白雪姫」「シンデレラ」「眠れる森の美女」から「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「ムーラン」へと続きました。これらの作品の多くは、登場人物がもともとお姫様でない場合、王子様や(ムーランの場合は)将軍と結婚することで映画を終えるのが一般的です。ディズニー映画では、すべての「プリンセス」がその人生の中で受動的な役割を果たすわけではありませんが、通常は男性に助けられる必要のある状況におり、彼女たちが求めるハッピーエンドには結婚が含まれます。

このようなプリンセスの流行に伴って、多くの親たちが、ディズニーの作り上げたプリンセスの文化について懸念を示しています。ペギー・オレンスタインは、人気となった書籍『プリンセス願望には危険がいっぱい』の中で、この問題を取り上げています。オレンスタインは、なぜすべての少女が「プリンセス」になることを期待されているのか、なぜ多くの少女にとってピンクがすべてを覆い尽くすような強迫観念になっているのか、と考えています。他の母親は、3歳の娘が走ったりジャンプしたりといった「お姫様らしくないこと」をするのを嫌がるとき、何がいけなかったのだろうかと考えます。このようなプリンセス文化の影響は、生涯を通じて女の子に悪影響を及ぼす可能性があります。早くから美しさを強調し、女児の数学や科学への関心を低下させるとともに、「典型的な女性的」な教育シナリオを避けるようになることもあります(Coyne, 2016)。

他の人は、こうした問題を認めつつも、プリンセス映画や「プリンセス文化」をそれほど心配する必要はないと考えています。子供たちの周りにはさまざまなメディアや活動があり、子供たちはプリンセスの衣装を着て喜びつつ、一方で女性的な固定観念に反するようなミミズ掘りやホッケーの練習をするかもしれないと、心配する親に対して注意を促す人もいます(Wagner, 2019)。また、プリンセスの映画や商品を禁止するのではなく、子供たちがそれらを楽しむように彼らと関わることがより効果的かもしれないと指摘する人もいます。そして、多くの人が、少女や女性は現在、数年前とは異なる描かれ方をしていることが多いことを認めています。

ディズニーは、この懸念についてメッセージを受け取っているようです。2009年の『プリンセスと魔法のキス』は、「プリンセス映画が嫌いな人のためのプリンセス映画」と特に銘打たれ、自分を救ってくれる男性を必要としない才能あるシェフで経営者を主人公に据えています。『メリダとおそろしの森』のメリダと『モアナと伝説の海』のモアナは、従来のプリンセスとは一線を画し、勇気をもって他者を助けるという偉業を成し遂げているように見えます。『アナと雪の女王』は、ロマンチックな愛よりも姉妹愛に重点を置いています。また、プリンセスであることを意図されてはいませんが、スターウォーズのレイは、映画に登場した後、何年もの間、女の子のハロウィン・コスチュームの定番でした。

5.4 生涯にわたる社会化

学習目標

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:

  • 社会化がどのように発生し、生涯を通じて繰り返されるかを説明する
  • 社会化を年齢に関連した移行点に適用する
  • 再社会化がいつ、どのように起こるかを記述する

社会化は一度きり、あるいは短期間の出来事ではありません。私たちは、ベルトコンベアーに乗って移動するときに、社会化装置によって「スタンプ」を押され、それで一回限りの社会化をされるわけではありません。実際のところ、社会化は生涯続くプロセスです。

米国では、生涯を通じての社会化は、年齢規範と「時間に関連した規則や規制」によって大きく規定されます(Settersten, 2002)。年齢が上がるにつれて、私たちは学齢期になったり、就労期や退職期に入ったりするなど、新しい役割への社会化を必要とする年齢に関連した移行点に遭遇します。例えば、米国政府はすべての子供に学校への通学を義務付けています。20世紀初頭に制定された児童労働法制は、子供時代を労働の時間ではなく、学習の時間とすることを国家的に宣言しています。しかしながら、ニジェールやシエラレオネのような国家では、児童労働を規制する法律がほとんどないため、そのような慣行は依然として一般的で社会的に受け入れられています(UNICEF, 2012)。

大局的な観点

世界中での高校卒業後の生活

米国では、高校を卒業したばかりの人たちが、ますます大学進学に力を入れるようになってきています。近年では、高校卒業生の約3分の2が10代から24歳までに大学に入学しています。同じ人口のうち約3分の1が労働力に主として参加している、つまり、雇用されているか、雇用を求めています(Bureau of Labor Statistics, 2020)。大学に通う人のうち、大部分(約69%)は、高校卒業後すぐに最初の秋学期から大学に通う、即時入学者とされています(NCES, 2020)。

他の国々、特に西ヨーロッパの高所得国でも、大学教育の傾向は似ていますが、すぐに開始する学生はより少ないです。ギャップイヤー、海外経験、あるいは強制的な待機時間などが、学生をさまざまな大学入学前の目的地へと導いています。例えば、デンマークでは、「1年休み」を取る学生の数が非常に多く、政府は、すぐに入学する学生に現金ボーナスを与えることを模索しています(Anderson, 2009)。数十年もの間、デンマークの高校卒業生のうち、すぐに大学に入学したのは約25%だけであり、その数は2010年代に入っても減り続け、2018年には過去最低のわずか15%となっています(Ritzau, 2019)。この数字を、3分の2以上の学生がすぐに大学に入学するという前述の米国の数字と比較してみてください。そして、デンマークでは、大学はほぼ普遍的に無料であることにも注目してください。

米国では、この人生の移行点はかなり異なる形で社会化されています。1年間の休みを取ることは、いくつかの他の国に比べればずっと一般的ではありませんが、近年は着実に増えてきています。多くの場合、米国の若者は10代後半までに目標とする大学や将来の仕事上の選択肢をいくつか選び、高校卒業後すぐにそれらの進路に進み始めることを奨励されます。前述のように、米国の学生の多くは大学に進学していませんが、そのほとんどは労働力(軍隊を含む)として働いています。

他の国では、利用可能な教育機関、経済状況、家庭の必要性に応じて、まったく異なるアプローチをとっています。ある国では、高校卒業後すぐに大学へ進学することがしばしばありますが、他の国(米国を含む)ではそうです。数十の国は男性に徴兵制(兵役)を義務付けており、そしていくつかは女性にも徴兵制を設けています(スウェーデン、イスラエル、ノルウェー、エリトリア、ベネズエラなど)。

もし、あなたがこれらの他国に住んでいたら、あなたの生活はどう変わっていたでしょうか?国によって異なる、人生の年齢での移行点に関連する同様の社会規範を思い浮かべることができますか?

人生の社会的期待の多くは、文化的なレベルで明確にされ、実施されます。他者と交流し、他者が交流する様子を見ることで、役割を果たすことへの期待が明確になります。小学校や中学校では、ボーイフレンドやガールフレンドを持つことの可能性は望ましくないと考えられていたかもしれません。高校で行われる社会化によって、その期待は一変します。高校の社会的なシーンで、デートや恋愛に興奮や重要性が付与されているのを観察することにより、人は子供や学生であるだけでなく、重要な他者であることも期待されていることがすぐにわかります。高校、専門学校、大学といった正規の教育機関を卒業することは、新たな一群の期待に社会化されることを含みます。

教育への期待は、文化によって異なるだけでなく、階級によっても異なります。中流階級や上流階級の家庭では、娘や息子が高校を卒業したら4年制大学に進学することを期待するかもしれませんが、他の家庭では、家族の多くが以前からそうしてきたように、子供がすぐにフルタイムの仕事を始めることを期待するかもしれません。

現実世界における社会学

ミレニアル世代が大人になるまでの長い道のり

社会化の違いは世代によってもさまざまです。あなたが「加齢と高齢者」の章で見ることになるように、ミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ばに生まれた人々)は、いつ子供時代が終わり、いつ人生の最盛期が始まり、いつ人が「老いる」のかについて、非常に異なる態度を持っています。(予告:ミレニアル世代は、ベビーブーム世代やX世代の人が同じ年齢だった頃と比べて、子供時代が終わるのが遅く、人が老いるのは早いと考えています。)

ミレニアル世代は、2008年の金融不況によって深刻な影響を受けました。不況が本格化する中、多くの人は高校や大学への入学、学業の継続、卒業のプロセスの中にいました。雇用の見通しが歴史的な低さにある中で、多くの卒業生が仕事を見つけることができず、時には親元へ戻り、学生ローンの返済に苦しむことになりました。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、この経済的な停滞によって、ミレニアル世代は、多くのアメリカ人が成人であるとみなすものを先延ばしにせざるを得ませんでした。「従来のサイクルは軌道を外れてしまったようだ。若者たちは、恋愛相手や定住の家に縛られないまま、より良い選択肢がないために学校へと戻り、旅行し、確約を避け、無給のインターンシップやティーチ・フォー・アメリカの臨時の(そしてしばしば過酷な)雇用のために激しく競い、大人の生活の始まりを先送りしている」(Henig, 2010)。ブーメラン世代とは、最近大学を卒業したものの、大学卒業時に適切な雇用が得られず、しばしば実家に戻ることのある人たちを指す言葉です(Davidson, 2014)。

成人期を定義する5つのマイルストーンは、「学校を卒業する、家を出る、経済的に自立する、結婚する、子供を持つ」(Henig, 2010)であるとヘニグは書いています。これらの社会的マイルストーンは、ミレニアル世代にとって、たとえ達成できたとしても、より長い時間をかけて達成されています。社会学者たちは、この世代の状況が社会全体にどのような長期的な影響を与えるかを考えています。

社会化の過程で、成人期には一群の新たな挑戦と期待、そして新たな役割がもたらされます。年齢を重ねるプロセスが進むにつれて、社会的な役割も進化していきます。夜遊びや連続したデートなど、若い頃の楽しみは、社会の目にはだんだんと受け入れられなくなります。責任と誓約が成人期の柱として強調され、男性も女性も「落ち着く」ことが期待されるようになります。この時期、多くの人が結婚やシビルユニオンに踏み切り、子供を家族に迎え、キャリアパスに集中します。彼らは学生や重要な他者ではなく、パートナーや親へとなります。

幼い子供が医者や弁護士のなりきり遊びをしたり、おままごとをしたり、着飾ったりするように、大人もまた、将来の人生の役割に備える予期的社会化に取り組んでいます。例としては、結婚前に同棲するカップルや、育児書を読みながら新生児のために家を準備している、もうすぐ親になる人が含まれるでしょう。予期的社会化の一環として、経済的に余裕のある大人は、老後の生活設計を考え始め、お金を貯め、将来の医療の選択肢を検討します。新しい人生の役割への移行は、それを支える社会構造があるにもかかわらず、困難なものになり得ます。

大不況から立ち直り始めてから約10年後、この国は新たな不況に見舞われました。かつて非常に厳しい雇用状況の中へと参入したミレニアル世代は、債務を抱え、貯蓄もほとんどない状態でした。2020年7月までに、ミレニアル世代の失業率は11.5%で、実際のところ2008年の大不況時の失業率よりも高くなっていました。ミレニアル世代より後に生まれた人々の集団であるZ世代はさらにひどく、失業率は18%に達しました(Hoffower, 2020)。経済的不安と潜在的な社会化の影響のサイクルは、この10年で再び起こるかもしれません。

再社会化

再社会化の過程では、以前の役割で役立っていた古い行動が、もはや役に立たないために取り除かれます。再社会化は、高齢者ケアセンターに移ったり、全寮制の学校に通ったり、刑務所で刑期を務めたりするときに必要です。新しい環境では、これまでのルールはもはや通用しません。再社会化のプロセスは、典型的には通常の社会化よりもストレスがかかります。なぜなら、人々は、自分にとって習慣化された行動を捨て去らなければならないからです。再社会化には特定の意味がありますが、多くの組織では、研修や再教育のプロセスを再社会化の要素を具現化したものと考えています。

再社会化の最も一般的な方法は、人々が社会から隔離され、誰かのルールに従うことを強制される全制的施設において行われるものです。海上の船は全制的施設であり、宗教的な修道院や刑務所、一部のカルト組織も同様です。それらは大きな社会から切り離された場所です。2012年末時点で、刑務所や拘留施設に住んでいた690万人のアメリカ人も、このタイプの施設のメンバーです(U.S. Department of Justice, 2012)。

多くの個人は、二段階のプロセスを通じて、何らかの制度へと再社会化されます。まず、ある制度に入るメンバーは、分解の儀式として知られるものによって、古いアイデンティティーを振り払わなければなりません。分解の儀式では、新メンバーは古いアイデンティティーの側面を失い、新しいアイデンティティーを与えられます。その過程は時に穏やかです。高齢者が老人向けケアホームに入るには、家を離れ、長年のアイデンティティーの一部であった多くの荷物を手放さなければならないことがしばしばあります。介護担当者は高齢者を慈しむように導きますが、その過程はやはり喪失となり得ます。多くのカルトでも、このプロセスは穏やかで、支援と思いやりのある環境の中で行われます。

他の状況では、分解の儀式がより過激になる場合もあります。新しい囚人は、自由、権利(プライバシーの権利を含む)、個人的な持ち物を失います。軍隊に入るとき、兵士は髪を短く刈られます。古い服は脱がされ、揃いの制服を着用します。これらの人々は、「兵士」としてのアイデンティティーに再社会化されるために、以前のアイデンティティーの印をすべて放棄しなければなりません。

図5.8 | 基礎訓練では、空軍の隊員は、互いに同じように歩き、動き、姿を似せることを教えられます。(Credit: Staff Sergeant Desiree N. Palacios, U.S. Air Force/Wikimedia Commons)

図5.8 | 基礎訓練では、空軍の隊員は、互いに同じように歩き、動き、姿を似せることを教えられます。(Credit: Staff Sergeant Desiree N. Palacios, U.S. Air Force/Wikimedia Commons)

ある制度の新しいメンバーは、古いアイデンティティーを剥奪された後、新しい社会に調和した新しいアイデンティティーを構築します。軍隊では、兵士たちは一緒に基礎訓練を受け、そこで新しいルールを学び、互いに絆を深めていきます。彼らは、指導者が定めた計画的なスケジュールに従って行動します。兵士たちは、点検に備えて自分の場所を清潔に保ち、正しい隊列で行進することを学び、上官の前では敬礼しなければなりません。

全制的施設で生活した後の生活への対処を学ぶためには、さらに別の再社会化のプロセスが必要です。米軍では、兵士は規律と勤勉さの能力を学びます。彼らは、任務達成のためには個人的な目標を脇に置いて、部隊の成果に誇りを持ちます。退役した兵士の多くは、これらのスキルを活かして素晴らしいキャリアを歩んでいます。しかし、退役後、外の世界や次にすべきことがよくわからず、大きな課題を抱えている人もいます。市民生活への再社会化のプロセスは、単純なものではありません。

他のタイプの組織では、人々の行動を変えるという点で、再社会化の概念を利用したり、拡張したりすることがあります。企業の研修担当者(および研修についての研究者)は、研修生が古い行動を捨て、まったく新しい行動を採用する必要性をときに強調します。この人たちが研修終了後に職場に戻ると、彼らは古い行動を振り払うように言われることがあるかもしれません。同様に、チーム全体が研修に行く場合、彼らは自分たちの文化を振り払うよう求められるかもしれません(Weinbauer-Heidel, 2019)。このような研修のすべてに再社会化のメタファーが当てはまるわけではありませんが、ストレスマネジメントや優先順位/プロジェクト管理などの行動的、あるいは個人的・専門的な領域は、研修を効果的にするために再社会化の原則を借りていることがあります。

重要用語

予期的社会化:将来の人生の役割に備える方法

分解の儀式:全制的施設の新しいメンバーが、古いアイデンティティーの側面を失い、新しいアイデンティティーを与えられるプロセス

一般化された他者:一般社会における共通の行動的な期待

隠れたカリキュラム:子供を社会的な規範へと社会化する、学校が行う非公式な教え

道徳的発達:社会における「良いこと」と「悪いこと」を人々が学ぶ方法

生まれ:自己発達に及ぼす遺伝的構成の影響

育ち:社会的環境が自己発達に果たす役割

仲間集団:年齢や社会的地位が似ていて、同じ興味を持つ人々で構成される集団

再社会化:古い行動が取り除かれ、代わりに新しい行動が学習されるプロセス

自己:社会的相互作用を通じて育まれる、その人固有のアイデンティティーの感覚

社会化:人が社会の規範や期待を理解し、社会の信念を受け入れ、社会の価値観を認識するようになるプロセス

各節のまとめ

5.1 自己発達の理論

心理学的な自己発達の理論は、自己発達における社会と社会的相互作用の役割を明確に研究する社会学者によって拡張されてきました。チャールズ・クーリーとジョージ・ミードは、自己の発達についての社会学的な理解に大きく貢献しました。ローレンス・コールバーグとキャロル・ギリガンは、彼らの考えをさらに発展させ、私たちの道徳性についての感覚がどのように発達するかを研究しました。ギリガンはコールバーグの理論にジェンダーの差異という次元を追加しました。

5.2 社会化が重要な理由

社会化は重要なものです。なぜなら、それは社会と文化を維持するのに役立つからです。また、それは個人の発達にとって重要な要素でもあります。研究により、私たちが何者であるかは、生まれ(私たちの遺伝子やホルモンの構成)と育ち(私たちが育った社会環境)の両方から影響を受けていることが示されています。社会学は、社会の影響が私たちの行動パターンに与える作用に最も関心があり、それは、階級やジェンダーによって異なる行動様式によって明らかにされています。

5.3 社会化の主体

家族や仲間といった社会的集団との直接的な相互作用は、他者が私たちにどのような行動を期待するかを教えてくれます。同様に、社会の公式および非公式な制度も、そこに含まれる人々を社会化します。学校、職場、メディアは、文化的規範や価値観を伝達し、強化します。

5.4 生涯にわたる社会化

社会化とは、成人期や高齢期など、人生の新たな局面を迎える際に繰り返される、生涯にわたるプロセスです。再社会化とは、これまで培ってきた社会性を取り除き、新たに学習したルールや役割に置き換えるプロセスです。再社会化は蓄積された古い習慣を取り除くことになるため、それはストレスが多く、困難なプロセスになることもあります。

各節についての質問

5.1 自己発達の理論

  1. 社会学用語としての社会化は、__________を表しています。
  1. 社会的な状況において人々がどのように相互作用するか
  2. 人はどのようにして社会的規範、信念、価値観を学ぶのか
  3. 集団の中にいるときの人の内的な精神状態
  4. 内向的な人と外向的な人の違い
  1. ハーロウのアカゲザルの研究では、__________ことが示されました。
  1. 他の霊長類の種に育てられたアカゲザルは社会化が不十分である
  2. サルは人間の真似をすることにより十分に社会化できる
  3. 社会的な快適さよりも食べ物の方が重要である
  4. 食べ物よりも社会的な快適さの方が重要である
  1. ローレンス・コールバーグによる慣習的レベルでは何が起こりますか?
  1. 子供は抽象的な思考をする能力を身につける。
  2. 道徳は、苦痛と快楽によって発達する。
  3. 子供は、社会が道徳と不道徳と考えるものを考慮し始める。
  4. 親の信念は、子供の道徳性に影響を与えない。
  1. キャロル・ギリガンは、道徳性に関する初期の研究者が何を見落としていたと考えていましたか?
  1. 正義の視点
  2. 道徳的な状況に対する共感的な反応
  3. 女性の視点
  4. 社会環境が道徳の発達にどのような影響を与えるか
  1. 心理学と社会学を区別する1つの方法とは何ですか?
  1. 心理学は心に焦点を当て、社会学は社会に焦点を当てる。
  2. 心理学者は心の健康に興味を持ち、社会学者は社会的な機能に興味を持つ。
  3. 心理学者は行動を理解するために内側に目を向け、社会学者は外側に目を向ける。
  4. 上記すべて

5.2 社会化が重要な理由

  1. 社会学者が双子研究から結論を導き出す際に注意が必要なのはなぜですか?
  1. 結果が一人で生まれた人には当てはまらない。
  2. 双子はしばしば異なる方法で育てられた。
  3. 双子は実際には二卵性であることが判明する可能性がある。
  4. しばしば標本のサイズが小さい。
  1. 社会学の観点から、人の社会化に大きな影響を与えない要因はどれですか?
  1. ジェンダー
  2. 階級
  3. 血液型
  4. 人種
  1. クリス・ランガンの話は、__________ことを例示するものです。
  1. 片親の家庭で育った子供は、IQが高い傾向がある
  2. 知能は社会化よりも重要である
  3. 社会化は知能よりも重要であることがある
  4. 社会化も知能も大学入試には影響しない

5.3 社会化の主体

  1. なぜ裕福な親は、貧しい親よりも、子供を創造性や問題解決に向けて社会化する傾向があるのでしょうか?
  1. 裕福な親は、ホワイトカラー職になるためのスキルに向けて子供を社会化させている。
  2. 裕福な親は、子供が自分たちのルールに反抗することを気にしない。
  3. 裕福な親は、反復作業に従事することはない。
  4. 裕福な親は、良い教育よりもお金に関心がある。
  1. 学校は、子供たちがいつか労働力になるために、どのようにして準備をさせているでしょうか?
  1. 標準化されたカリキュラムで
  2. 隠れたカリキュラムを通して
  3. チームワークに向けて社会化することで
  4. 上記すべて
  1. 以下のうち、宗教によって人々が社会化される方法でないものはどれですか?
  1. 人々は自分の宗教の物質的な文化を学ぶ。
  2. 人生の段階や役割は、宗教的な儀式と結びついている。
  3. 神的な存在に対する個人の内的体験が、その人の信仰につながる。
  4. 礼拝の場は、集団の体験を共有するための空間を提供する。
  1. 学校の顕在的な機能として、以下のうちどれが挙げられますか?
  1. 発言するときと沈黙するときの理解
  2. 読み書きの学習
  3. スケジュールに従うこと
  4. ロッカールームのエチケットを知ること
  1. 以下のうち、社会化の最も初期の主体として典型的なものはどれですか?
  1. 学校
  2. 家族
  3. マスメディア
  4. 職場

5.4 生涯にわたる社会化

  1. 以下のうち、アメリカ人が新しい役割に社会化しなければならない、年齢に関連した移行点でないものはどれですか?
  1. 幼児期
  2. 学齢期
  3. 成人期
  4. 高齢の市民
  1. 米国で最近高校を卒業した人の社会化について、正しいのは以下のうちどれですか?
  1. 彼らは大学入学前に1年間「休み」を取ることが期待されている。
  2. 彼らは1年間の兵役を要求される。
  3. 彼らは卒業後すぐに大学、専門学校への入学、または労働力になることが期待されている。
  4. 彼らは親元から離れることを要求される。

簡潔に答えてください

5.1 自己発達の理論

  1. 社会学者が研究する可能性のある、現在の問題やパターンについて考えてみてください。社会学者はどのような種類の質問をし、どのような研究手法を採用するでしょうか?次に、同じ問題を研究するために、心理学者が用いる可能性のある質問と手法を検討してください。両者のアプローチの違いについてコメントしてください。

  2. なぜ男性と女性の両方の参加者を使って研究を行うことが重要なのか、説明してください。ジェンダーの差異を示す可能性のある社会学的トピックは何ですか?あなたの考えを説明するために、いくつかの例を挙げてください。

5.2 社会化が重要な理由

  1. なぜ双子の研究は、遺伝と社会化が子供に及ぼす相対的な影響について知るための重要な方法なのでしょうか?人間の発達に関するどのような疑問に答えるのに、双子の研究が最も適していると思いますか?どのような種類の質問に対しては、双子の研究はあまり役に立たないと思いますか?

  2. クリス・ランガンのような人が、社会的なシステムによって助けられた後でも困難が続くのはなぜだと思いますか?彼らが社会世界でうまく機能できないのは、何を見落としているからでしょうか?

5.3 社会化の主体

  1. 親が幼い子供とジェンダーの役割について話し合うことは重要だと思いますか、それともジェンダーは後のために残した方が良い話題でしょうか?子供に本や映画、おもちゃを買い与えるとき、親はどのようにジェンダー規範を考慮するでしょうか?あなたはどのように考慮すべきだと考えますか?

  2. あなたの観察に基づくと、青少年が意思決定をする際に、親の言うことや仲間集団の言うことに耳を傾ける傾向が強いのはどのような場合でしょうか?どのような種類のジレンマであれば、他の社会的主体よりも特定の社会的主体のほうに適しているでしょうか?

5.4 生涯にわたる社会化

  1. 学生の友愛会に入会する人、大学や全寮制学校に入学する人、あるいは幼稚園に通い始める子供について考えてみましょう。この学生が経験するプロセスは、どのような社会化の一形態となるでしょうか?この学生はどのような新しい文化的行動に適応しなければならないでしょうか?

  2. 再社会化には全制的施設が必要だと思いますか?その理由、あるいはそうでない理由は何ですか?誰かが再社会化される方法として、他に何か思い当たることはありますか?

さらなる研究

5.1 自己発達の理論

ローレンス・コールバーグは、道徳的ジレンマを用いた研究で最も有名です。彼は少年たちにジレンマを提示し、その状況をどう判断するかを質問しました。コールバーグの最も有名な道徳的ジレンマである「ハインツのジレンマ」について、このサイトにアクセスして読んでください。(http://openstax.org/l/Dilemma)

5.2 社会化が重要な理由

離れた場所で育ち、人生の後半にお互いを発見した他の双子の数組についてのこの記事を調べてみてください。(http://openstax.org/l/twins)

5.3 社会化の主体

Glassdoor.comは、企業のレビューや、自分に合った企業を見つけるための記事を提供しています。Glassdoor.comのブログ(https://openstax.org/l/company_culture)でこれらのトピックについて何を言っているかを見て、企業文化や労働者の経験について知るために、気に入った会社をいくつか探してみましょう。

5.4 生涯にわたる社会化

ホームレスは退役軍人の間で蔓延している問題です。多くの兵士が軍を離れ、あるいは戦争から戻った後、市民生活に再社会化することに困難を抱えています。この問題については、ホームレスの退役軍人のための全米連合のウェブサイト(http://openstax.org/l/NCHV)で詳細をご覧ください。

参考文献

はじめに

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