第19章 健康と医療
![図19.1 | 医療従事者は極めて危険な作業の最前線にいます。感染区域に入る医療従事者には、個人防護服が不可欠です。(Credit: Navy Medicine/flickr)](images/19-1.jpg)
図19.1 | 医療従事者は極めて危険な作業の最前線にいます。感染区域に入る医療従事者には、個人防護服が不可欠です。(Credit: Navy Medicine/flickr)
この章の概要
19.1 健康の社会的構築
19.2 グローバルヘルス
19.3 アメリカにおける健康
19.4 健康と医療の比較
19.5 健康と医療に関する理論的視点
はじめに
2014年3月19日、リベリアとシエラレオネで「謎の」出血熱の感染急増が発生しました。この感染急増は後に、現在のコンゴ民主共和国である場所で最初に発見されたエボラ出血熱であることが確認されました。2014年から2016年にかけての感染急増で、2万8000人以上が罹患し、1万1000人以上が死亡しました(CDC, 2020)。
西アフリカの人々にとって、この感染急増は個人的に悲劇的で恐ろしいものでした。世界の他の多くの地域では、この感染急増によって緊張が高まりましたが、誰の行動も変わることはありませんでした。米国の医療スタッフ(西アフリカと国内の両方)の感染は恐怖と不信を招き、西アフリカからの航空便の制限が、この病気の感染拡大を食い止めるための1つの方法として提案されました。エボラ出血熱が最初に米国に入ったのは、西アフリカで感染し、治療のために母国へ移送された米国人宣教団の医療スタッフを通じてでした。その後の数年間で、西アフリカでエボラ出血熱の感染急増が何度か起こり、数千人が死亡しました。
2014年の大流行から6年後、西アフリカの人々は別の病気に直面しました。しかし、今回は彼らだけのことではありませんでした。コロナウイルスのパンデミックはものの数か月のうちに世界中を席巻しました。いくつかの国は他国よりもこの病気にはるかにうまく対処しましたが、それはすべての人に影響を与えました。中国、イタリア、アメリカなどの高度に工業化された国々は初期の感染急増の中心地でした。ブラジルとインドはその後増加し、イギリスとロシアも同様でした。ほとんどの国は、国境を閉鎖し、学校や企業を休業に追い込み、国民生活を一変させるという極端ともいえる対策をとりました。また、他の国はさらに一段と踏み込み、数人の感染者が発見されただけで完全に封鎖しました。また、いくつかの国は対応がまちまちであり、典型的な結果として感染率が高く、圧倒的な犠牲者を出しました。例えば、ブラジルやアメリカでは、政治指導者や多くの国民がウイルスを封じ込めるための対策を拒否しました。ワクチンが広く利用されるようになる頃には、この2か国はコロナウイルスによる死亡者数が世界で最も多くなっていました。
世界はエボラウイルスの流行から学んだのでしょうか?それとも世界の一部だけが学んだのでしょうか?米国が世界最悪のCOVID-19感染急増に直面する前に、政府はヨーロッパの多くの国々と同様に渡航を停止しました。これは確かに重要な一歩でしたが、その他の対策は不十分でした。この国の大統領選の最中、マスク着用とソーシャルディスタンスの取り方についての相反するメッセージが政治的武器となり、局所的な感染と死亡者の急増は、科学的指導に反して行われた集会が原因であるとたびたび指摘されました。ブラジルの大統領は医学的見解に積極的に異議を唱え、渡航やビジネスの制限を拒否し、自国政府の多くの人々(政治的盟友でさえも)と対立しました。ブラジルのワクチン接種のペースは米国に比べて遅く、米国の患者数と死亡者数が減少し始めた矢先に、ブラジルは患者数と死亡者数を急増させました。
重大な制限に反対する人々も、この病気と闘うために制限を利用した人々も、その影響が肉体的な健康をはるかに超えるものであったことを認めています。愛する人を失って打ちひしがれた家族は、葬儀やその他の集まりで支えてくれる親族もなしに苦痛を乗り越えなければなりませんでした。このウイルスから回復した人々の多くが深刻な健康問題を抱え、重要な治療が遅れた人々は、通常では考えられないほど大きな問題を抱えることとなりました。恐怖、孤立、緊張した家族関係が感情的な問題を引き起こしました。多くの家族が収入を失いました。教育方法が突然変化したため、学習にも明らかに影響が出ました。このパンデミックが収束してから何年も経たなければ、本当の結果は完全には解明されないでしょう。
では、コロナウイルスのパンデミックの極みを経験した今、あなたにとって「健康」とは何を意味しますか?それに対するあなたの意見は、COVID以前のあなたの態度と異なっているでしょうか?COVIDで重症化したり死亡したりした人の多くは、高血圧や肥満など他の健康問題(併存疾患として知られています)を抱えていました。あなたは、一般的な健康状態についての態度が変わった人を知っていますか?政府に対する疑念が強まったり弱まったり、医師や科学者の言うことに耳を傾ける傾向が強まったり弱まったりした人を知っていますか?また、もし別のパンデミックが発生した場合、病気や死を防ぐ最善の方法は何だと思いますか?
医療社会学とは、人間がどのように健康と不健康、病気と障害、そして病人と健常者の両方にとってのヘルスケアという問題を管理しているかを体系的に研究する学問です。医療社会学者は、健康と不健康の身体的、精神的、社会的要素を研究します。医療社会学者の主なトピックには、医師と患者の関係、医療の構造と社会経済、文化が病気や健康に対する態度にどのような影響を与えるか、などが含まれます。
19.1 健康の社会的構築
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 医療社会学という言葉を定義する
- 不健康の文化的意味、不健康の社会的構築、医学知識の社会的構築を区別する
健康の社会的構築は、医療社会学における主要な研究トピックです。一見すると、健康の社会的構築という概念は意味をなさないように思えます。結局のところ、もし病気が測定可能で生理学的な問題であるならば、病気を社会的に構築することに疑問などないでしょう?まあ、そう単純ではありません。健康の社会的構築という考え方は、物理的で客観的に定義可能な現象に対する、この学問分野のアプローチの社会文化的側面を強調するものです。
社会学者のコンラッドとバーカー(Conrad and Barker, 2010)は、この概念における過去50年間の発展の主要な知見を理解するための包括的な枠組みを提示しています。彼らの要約では、この分野の知見を、不健康の文化的意味、不健康の経験の社会的構築、医学知識の社会的構築、という3つの小見出しに分類しています。
不健康の文化的意味
多くの医療社会学者は、不健康には生物学的要素と経験的要素の両方があり、これらの要素は互いに独立して存在すると主張しています。私たちの生物学ではなく、私たちの文化が、どのような不健康が汚名を着せられ、どのような不健康がそうでないか、どのような不健康が障害とみなされ、どのような不健康がそうでないか、どのような不健康が確定的な病気(医学の専門家の間で疑いなく認められている病気)ではなく、論争可能な病気(医学の専門家の中には、その病気の存在を疑わしいと考える人もいるという意味)とみなされるか、を決定しているのです(Conrad and Barker, 2010)。
例えば、社会学者のアーヴィング・ゴフマン(Goffman, 1963)は、社会的な汚名がいかにして個人の社会への完全な統合を妨げているかについて述べています。実質的に、ゴフマン(Goffman, 1963)は、私たちが不健康を汚名として捉えることで、他者が病人を好ましくない態度で見るように押しやるのかもしれないと示唆しています。不健康に汚名を着せることは、しばしば患者と彼らが受けるケアの種類に最大の影響を与えます。私たちの社会や医療機関でさえ、精神障害、エイズ、性感染症、皮膚疾患といった特定の病気を差別していると主張する人は多くいます(Sartorius, 2007)。これらの病気のための施設は基準未満で、他の医療分野から隔離されていたり、より劣悪な環境に追いやられていたりします。この汚名により、人々は自分の不健康に対する助けを求めず、必要以上に悪化させてしまうかもしれません。
論争となる病気とは、一部の医療専門家から疑問視されているか、疑問を持たれる可能性のある病気のことです。線維筋痛症や慢性疲労症候群のような病気は、医療専門家の意見によって、本当の病気であったり、患者の頭の中にしかなかったりするかもしれません。このような動態は、患者がどのように治療を求め、どのような治療を受けるかに影響を与える可能性があります。
不健康の経験の社会的構築
不健康の経験の社会的構築という考え方は、社会的構築物としての現実という概念に基づいています。言い換えると、客観的な現実は存在せず、あるのはそれについての私たち自身の認識だけです。不健康の経験の社会的構築は、一部の患者が自分の病気を明らかにする様態をコントロールする方法や、患者が不健康に対処するために開発するライフスタイルの適応などの問題を扱います。
不健康の経験の構築という点では、文化と個人の性格との両方が重要な役割を果たしています。ある人々にとっては、長期にわたる不健康は自分の世界を狭くし、他の何よりもその不健康によって定義されるようになるという効果を持つことがあります。他の人々にとっては、不健康は発見のチャンスであり、新しい自己を再認識するチャンスです(Conrad and Barker, 2007)。個人が不健康をどのように経験するかには、文化が大きな役割を果たします。エイズや乳がんのような広く蔓延している病気には、長年にわたって変化してきた特定の文化的な目印があり、それが個人や社会の病気の捉え方を支配しています。
今日、多くの健康保健機関は、個人の認識が健康や不健康の本質を形成する度合いを認めています。例えば、身体活動に関しては、疾病管理予防センター(CDC)は、個人の身体活動を評価するために標準的運動強度レベルを使用することを推奨しています。心拍数や脈拍の測定は、投薬やその他の問題によって影響を受ける可能性があるため、この主観的運動強度(RPE)によって、個人の実際の運動強度レベルをより完全に把握することができます(Centers for Disease Control, 2011a)。同様に、多くの医療専門家は、疼痛管理戦略を決定するのに役立てるために、知覚される疼痛について同等の尺度を使用しています。
![図19.2 | 疼痛評価ツール。モスビー疼痛評価尺度は、医療提供者が個人の疼痛レベルを評価するのに役立ちます。シンボリック相互作用論者はこの方法について何を観察するでしょうか?(Credit: Arvin61r58/openclipart)](images/19-2.jpg)
図19.2 | 疼痛評価ツール。モスビー疼痛評価尺度は、医療提供者が個人の疼痛レベルを評価するのに役立ちます。シンボリック相互作用論者はこの方法について何を観察するでしょうか?(Credit: Arvin61r58/openclipart)
医学知識の社会的構築
コンラッドとバーカーは、医学知識がいかに社会的に構築されているかを示しています。つまり、医学知識はジェンダー、階級、人種、民族性における不平等を反映し、また再生産し得るということです。コンラッドとバーカー(Conrad and Barker, 2011)は、女性の健康の社会的構築と、医学知識が数世代の間にどのように大きく変化したかを例として用いています。例えば、19世紀初頭には、妊婦は胎児に危害が及ぶことを恐れて、運転やダンスをすることを戒められました。それは、今日、妊婦が(もっと妥当な理由により)喫煙や飲酒を戒められているのと同じようなものです。
社会政策とディベート
乳がん啓発は行き過ぎたのでしょうか?
![図19.3 | ピンクのリボンはあちこちで目にする乳がんについての注意喚起です。しかし、ピンクリボンチョコレートは乳がん撲滅に役立つのでしょうか?(Credit: wishuponacupcake/Wikimedia Commons)](images/19-3.jpg)
図19.3 | ピンクのリボンはあちこちで目にする乳がんについての注意喚起です。しかし、ピンクリボンチョコレートは乳がん撲滅に役立つのでしょうか?(Credit: wishuponacupcake/Wikimedia Commons)
毎年10月、世界はピンク色に染まります。フットボールや野球の選手はピンクの装具を身につけ、高層ビルや大きな公共施設は夜になるとピンクのライトで照らされます。買い物客は膨大な数のピンク色の製品の中から選ぶことができます。2014年、乳がんとの闘いを支援したい人々は、以下のピンク色の製品のいずれでも購入することができました:キッチンエイドのミキサー、マスターロックの南京錠と自転車チェーン、ウィルソンのテニスラケット、フィアットの車、スミス&ウェッソンの拳銃。あなたが読んだ通りで、間違いありません。これらすべてのピンク色の製品の目的は、乳がんに対する意識向上と資金集めです。しかしながら、ピンク色の容赦ない侵食には、ピンク色のマーケティングが行き過ぎたのではないかと多くの人が疑問を抱いています。
スーザン・G・コーメン財団が1991年に開催した「レース・フォー・ザ・キュア」のイベントでピンクのリボンを配ったときから、ピンクは乳がんと結び付けられています。それ以来、ピンクのリボンは数え切れないほどの製品に付けられ、ひいてはピンク色はこの病気の治療への支援を表すようになりました。乳がんの治療法を見つけるというスーザン・G・コーメン財団の使命や、このグループが研究・治療のために何百万ドルもの寄付金を集めてきたという事実については、誰も異議は唱えないでしょう。しかしながら、これらすべての製品が本当に乳がんとの闘いに役立っているのか、あるいはどれほど役立っているのか、疑問に思う人もいます(Begos, 2011)。
乳がんの啓発団体ブレスト・キャンサー・アクション(BCA)は、自分たちのことを乳がんと闘う他の機関の監視役と位置づけています。彼らは、製薬業界の企業のような、この健康産業と潜在的な利益関係を持つ団体からの資金提供を受け入れません。BCAは、ピンク色の商品を売る企業による乳がんへの最終的な貢献について消費者に疑問を抱かせるため、商標登録された「シンク・ビフォア・ユー・ピンク」キャンペーンを展開しています。彼らは、「ピンク色」の商品の購入に反対するアドバイスをしているわけではありません。彼らはただ、消費者にどれだけの資金が投入され、それがどこから来て、どこへ行くのかを知ってもらいたいだけです。例えば、購入金額の何%が乳がん撲滅のために使われるのでしょうか?BCAは、その額がいくらであれば十分かを判断してはおらず、消費者に情報を提供し、消費者自身がその額が十分だと感じるかどうかを検討するよう促しています(Think Before You Pink, 2012)。
BCAはまた、消費者が購入しようとしている製品が実際には乳がんに寄与していないこと(彼らはこの現象を「ピンクウォッシング」と呼んでいます)を確認するよう提案しています。この問題は2010年、スーザン・G・コーメン財団がケンタッキー・フライド・チキン(KFC)と提携し、「バケッツ・フォー・ザ・キュア」と呼ばれるプロモーションを実施した際に全米で話題になりました。KFCは、グリルチキンまたは普通のフライドチキンのバケット1杯につき50セントをコーメン財団に寄付し、同財団が受け取る一回の寄付金としては最大の800万ドルに達することを目標としました。しかしながら、この提携をひどい提携と見る批評家もいました。高い体脂肪と、脂肪分の多い食品を食べることは、がんのリスクを高めることにつながっており、BCAを含む反対派は、この明らかに矛盾した目標についてコーメン財団を非難しました。コーメン財団の回答は、このプログラムは、コーメン財団がこれまでほとんど働きかけていなかった低所得者層のコミュニティーにおける意識向上に大いに貢献した、というものでした(Hutchison, 2010)。
あなたはどう考えますか?資金集めや意識向上は、健康問題に優先するほど重要なことでしょうか?「ピンクウォッシング」の例として、他にどのようなものが思い浮かびますか?
19.2 グローバルヘルス
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 社会疫学を定義する
- 社会疫学の理論をグローバルヘルスのいくつかの問題の理解に応用する
- 高所得国と低所得国を区別する
社会疫学は、疾病の原因と分布についての研究です。社会疫学は、社会問題がさまざまな人口集団の健康にどのように結びついているかを明らかにすることができます。これらの疫学的研究は、高所得国の健康問題が低所得国のそれとは異なるだけでなく、病気とその診断が変化していることを示しています。例えば、心血管疾患は現在、低所得国において最も罹患率の高い病気であり、最も死に至る可能性の高い病気でもあります。そして世界全体では、心血管疾患の症例と死亡の70%は、修正可能なリスクによるものです(Dagenais, 2019)。
一部の理論家は国を3つのタイプに区別します:中核国、準周縁国、周縁国です。中核国とは、私たちが高度先進国あるいは先進工業国と考える国のことであり、準周縁国とは、しばしば開発途上国や新興工業国と呼ばれる国のことであり、周縁国とは、比較的未開発の国のことです。米国の医療制度に最も広く蔓延している問題は、医療への手ごろな価格でのアクセスですが、他の中核国には異なる問題があり、準周縁国や周縁国はさらに多くの懸念に直面しています。グローバルヘルスの現状を見直すことは、政治と富が医療へのアクセスを形作るさまざまな方法についての洞察を提供し、どの人口集団が健康格差の影響を最も受けているかを示してくれます。
高所得国における健康
高所得国で増加傾向にある肥満は、心血管疾患、筋骨格系疾患、糖尿病、呼吸器疾患など、多くの疾患と関連しています。経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development, 2011)によると、肥満率はすべての国で上昇しており、最も上昇しているのは高所得国です。米国は肥満率が最も高く42%です。これらの人々の一部は重度肥満とみなされ、米国の成人の9%に見られます(Hales, 2020)。
ウォレス・ハフマンとその同僚の研究者たち(Huffman et al., 2006)は、先進国における肥満の増加にはいくつかの要因が寄与していると主張しています:
- テクノロジーの向上と家族の人数の減少により、家庭での生産作業が減少しています。
- 加工食品、甘味飲料、甘くて塩辛いスナック菓子などの不健康な市場商品が、家庭で作られる品目に取って代わっています。
- 余暇活動は、例えばコンピュータゲーム、ネットサーフィン、テレビ視聴など、より座りがちなものになっています。
- より多くの労働者が、活動的な仕事(農業や製造業)からサービス業にシフトしています。
- 受動的な交通手段へのアクセスが増えたことで、車での移動が増え、歩くことが減っています。
肥満と体重の問題は、平均余命の低下や共有される医療費の増加など、社会的に大きなコストをもたらします。
虚血性心疾患は高所得国で最も多い単一の死因ですが、あらゆる種類のがんが組み合わさると、全体としてはより高い死因となります。高所得国では、がんが心血管疾患の2倍の死者数を占めています(Mahase, 2019)。
低所得国における健康
一人あたりの所得が低い周縁国では、最も差し迫った懸念は医療費ではありません。むしろ、低所得国では、感染症、高い乳幼児死亡率、医療従事者の不足、上下水道の未整備といった問題に対処しなければなりません。こうした健康上の懸念から、低所得国では乳幼児死亡率が高く、平均余命も短いです。
低所得国における医療問題の最大の要因の1つは、清潔な水や基本的な衛生資源へのアクセスが欠如していることです。2014年のユニセフの報告書によると、開発途上国の人口のほぼ半数が、改善された下水処理施設を欠いています。世界保健機関(WHO)は193か国の保健関連データを追跡し、地域別に整理しています。2011年の世界保健統計報告書では、以下のような統計が発表されています:
2019年の世界全体では、5歳未満児の死亡率は出生1000人あたり38人であり、これは過去数十年と比較して劇的な変化です。(1990年には出生1000人あたり93人の割合でした(World Health Organization, 2020)。)しかしながら、低所得国ではこの割合はもっと高いです。低所得国の児童死亡率は高所得国の11倍で、高所得国では出生1000人あたりの死亡数が7人であるのに対し、低所得国では76人です(Keck, 2020)。地域別に見ると、5歳未満児死亡率が最も高いのはWHOアフリカ地域(出生1000人あたり74人)で、WHOヨーロッパ地域(出生1000人あたり8人)の約9倍です(World Health Organization, 2021)。
5歳未満の子供の死因で最も多いのは、肺炎、下痢、先天異常、早産の合併症、出生時の窒息/外傷、マラリアであり、これらはすべて、予防接種、十分な栄養、安全な水と食料、訓練を受けた医療提供者によって必要な時に与えられる質の高いケアなど、手ごろな価格での介入で予防や治療が可能なものです。
低所得国の医師や看護師を利用できる度合いは、高所得国の10分の1です。低所得国の医療専門家を目指す人々にとって医学教育へのアクセスや患者へのアクセスに課題があることが、この問題を悪化させています(World Health Organization, 2011)。
19.3 アメリカにおける健康
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 社会疫学をアメリカにおける健康に応用する
- ジェンダー、社会経済的地位、人種、民族性に基づく健康格差について説明する
- 米国におけるメンタルヘルスと能力障害の問題を要約する
- 汚名と医療化という用語について説明する
米国の健康は複雑で、しばしば矛盾した問題です。一方では、最も裕福な国の1つとして、米国は世界の他の国々との健康比較において良い成果を収めています。しかしながら、すべての市民に医療を提供するという点では、米国はほとんどすべての先進国に遅れをとってもいます。以下の項では、米国における健康のさまざまな側面について見ていきます。
人種と民族性による健康
米国の社会疫学を見るとき、人種間の格差を見逃すことは難しいです。黒人のアメリカ人と白人のアメリカ人との格差は、このギャップを明確に示しています。2018年、白人男性の平均余命は黒人男性より約5年長く、黒人男性の74.7歳に対し白人男性は78.8歳でした(Wamsley, 2021)。(未曾有のCOVID-19パンデミックが顕著な原因ではありますが、2020年にはすべての人種の平均余命がさらに低下したことに注意してください。)他の指標も同様の格差を示しています。異なる人種・民族性における2018年の乳幼児死亡率は以下の通りです:
- 非ヒスパニック系の黒人:10.8
- ネイティブ・ハワイアンまたはその他の太平洋諸島出身者:9.4
- ネイティブ・アメリカン/アラスカ・ネイティブ:8.2
- ヒスパニック系:4.9
- 非ヒスパニック系の白人:4.6
- アジア人およびアジア系アメリカ人:3.6 (Centers for Disease Control, 2021)
ヘンリー・J・カイザー財団の報告書(James et al., 2007)によると、アフリカ系アメリカ人は、がんから心臓病、糖尿病まで、いくつかの病気や死亡原因の発生率も高いです。同様に、メキシコ系アメリカ人やネイティブ・アメリカンなどの民族的少数派も、白人よりもこれらの病気や死亡原因の発生率が高いことに注意しておくことが重要です。
リサ・バークマン(Berkman, 2009)は、この格差は1960年代の公民権運動で縮小し始めたものの、1980年代初頭から再び拡大し始めたと指摘しています。このような民族集団間の健康格差がいつまでも続く理由は何でしょうか?その答えの多くは、これらの集団が受ける医療のレベルにあります。全米医療格差報告書によると、保険の違いを調整した後でも、人種的・民族的少数派集団は、支配的な集団よりも受ける医療の質が低く、医療へのアクセスも悪いことが示されています。この報告書では、以下のような人種間の医療の不平等が明らかにされています:
- 黒人、ネイティブ・アメリカン、アラスカ・ネイティブは、質の指標の約40%において、白人より悪い医療を受けていました。
- ヒスパニック系、ネイティブ・ハワイアン、太平洋諸島出身者は、質の指標の30%以上において、白人より悪い医療を受けていました。
- アジア系の人々は、質の指標の30%近くで白人より悪い医療を受けていましたが、質の指標の30%近くで白人より良い医療を受けていました(Agency for Healthcare Research and Quality, 2020)。
社会経済的地位による健康
人種や民族性による健康の議論は、しばしば社会経済的地位による健康の議論と重なります。なぜなら、アメリカにおいて、これら2つの概念は絡み合っているからです。医療研究・品質局(Agency for Health Research and Quality, 2010)が指摘するように、「人種的・民族的少数派は、非ヒスパニック系の白人よりも、貧困であるか、貧困に近い状態にある可能性が高い」ため、被支配集団に関連するデータの多くは、社会経済的に低い集団にも当てはまる可能性が高いです。マリリン・ウィンクルビーとその研究協力者(Winkleby et al., 1992)は、「ある人が経験する罹患率と死亡率の最も強く最も一貫した予測因子の1つは、その人の社会経済的地位(SES)である。この知見は、ほとんど例外なくすべての疾患にわたって持続し、生涯を通じて継続し、疾患の数多くの危険因子にも及んでいる」と述べています。罹患率とは疾病の発生率のことです。
経済力はSESの実態のほんの一部でしかないことを心に留めておくことが大切です。研究により、教育も重要な役割を果たすことが示唆されています。フェランとリンク(Phelan and Link, 2003)は、肺がん(喫煙による)、冠動脈疾患(食生活や運動習慣の乱れによる)、エイズなど、行動に影響される多くの病気は、当初はいくつものSESの集団の全体に広がっていたと指摘しています。しかしながら、習慣と疾病を結びつける情報が普及すると、これらの疾病は高いSESの集団では減少し、低いSESの集団では増加しました。このことは、ある病気に関する教育イニシアティブの重要な役割と、そのイニシアティブが異なるSESの集団に効果的に行き渡る方法における不平等の可能性を示しています。
ジェンダーによる健康
女性は、医療産業への不平等なアクセスと、医療産業における制度化された性差別との両方によって悪影響を受けます。カイザー・ファミリー財団の最近の報告書によると、2001年から2008年にかけて、女性は必要な専門医にかかる能力が低下しています。2008年には、4分の1の女性が自身の医療の質に疑問を抱いていました(Ranji and Salganico, 2011)。医療の質は、部分的にはアクセスと費用によって示されます。2018年には、女性のおよそ4人に1人(26%)が、費用のために医療を遅らせたり、症状を放置していると報告しました(比較すると男性は5人に1人(19%))。費用のために、およそ5人に1人の女性が予防医療を延期したり、推奨される検査や治療を抜かしたり、薬の使用を減らしたりしていました(Kaiser Family Foundation, 2018)。
私たちは、ある種の精神障害と診断される確率が男性よりも女性の方が高いことの中に、制度化された性差別の一例を見て取れます。心理学者のダナ・ベッカーは、精神障害の診断と統計マニュアルによれば、境界性パーソナリティ障害(BPD)と診断されるうちの75%が女性であると指摘しています。この診断の特徴は、アイデンティティー、気分、行動の不安定さであり、ベッカーは、これがあまりにも多くの女性のための十把一絡げの診断として使われてきたと主張します。彼女はさらに、この診断が持つ蔑視的な意味合いを批判し、それが、心理療法の専門家の内外を問わず、多くの人々にそう診断された女性に対する嫌悪感を抱かせることになる、と述べています(Becker, n.d.)。
また、多くの批評家が、制度化された性差別の一例として、女性問題の医療化を指摘しています。医療化とは、以前は正常であった生活の側面が、逸脱したものとして再定義され、それを改善するために医学的注意が必要とされるプロセスを指します。歴史的にも現代においても、月経、月経前症候群、妊娠、出産、月経閉止など、女性の生活の多くの側面が医療化されてきました。妊娠・出産の医療化は、ここ数十年の間で特に論争を呼んでおり、多くの女性が医療的なプロセスから離脱して、より自然な出産を選択しています。フォックスとワーツ(Fox and Worts, 1999)は、すべての女性が出産の過程で痛みと不安を経験するものの、社会的支援が医療的支援と同じくらい効果的にその両方を和らげることを発見しました。言い換えれば、医学的介入は、痛みや出産の困難を助ける上で社会的介入よりも効果的ではないということです。フォックスとワーツはさらに、協力的なパートナーを持つ女性ほど、医療介入が少なく、産後うつになるケースも少ないことを見出しました。もちろん、標準的な医療モデル以外の質の高い出産ケアへのアクセスは、すべての社会階級の女性が容易に利用できるものではないかもしれません。
現実世界における社会学
不眠の医療化
![図19.4 | 多くの人が十分な睡眠をとれていません。しかし、不眠症は薬で治すべき病気なのでしょうか?(Credit: Wikimedia Commons)](images/19-4.jpg)
図19.4 | 多くの人が十分な睡眠をとれていません。しかし、不眠症は薬で治すべき病気なのでしょうか?(Credit: Wikimedia Commons)
あなたの「睡眠衛生」はどうですか?睡眠衛生とは、不眠に寄与する生活習慣や睡眠習慣を指します。不眠につながる悪習慣には、就寝時間の不一致、運動不足、深夜の就業、日中の昼寝、騒音や照明、画面を見る時間を含む睡眠環境などがあります(National Institutes of Health, 2011a)。
国立衛生研究所によると、睡眠衛生を調べることは、不眠の問題を解決するための第一歩です。
しかしながら、米国の多くの人々にとって、睡眠衛生を変えるだけでは十分ではないようです。医学研究所の2006年の報告書によると、不眠は、最大で7000万人もの人々に影響を及ぼす、十分に認識されていない公衆衛生上の問題です。この報告書が発表されてから数か月の間(あるいは数年の間)に、アンビエン、ルネスタ、セプラコール(3つの睡眠導入剤)を販売する製薬会社による広告が、毎週平均1億8800万ドルもかけてこれらの薬を宣伝していたことは興味深いです(Gellene, 2009)。
アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリック・ヘルス誌に掲載された研究(Moloney, Konrad, and Zimmer, 2011)によると、睡眠薬の処方は1993年から2007年にかけて劇的に増加しました。この間、医師の診察中に不眠を訴える人は2倍以上に増えましたが、不眠症と診断された人は約84万人から610万人へと7倍以上に増えました。この研究の著者らは、不眠が不眠症として医療化され、「不眠症は公衆衛生上の懸念事項かもしれないが、わずかな効果しかなく、高価で、些細とは言えない副作用のある薬による過剰治療の可能性は、集団衛生上の明確な懸念を引き起こす」と結論付けています(Moloney, Konrad, and Zimmer, 2011)。実際、2004年にアーカイヴズ・オブ・インターナル・メディシン誌に発表された研究では、薬物療法ではなく認知行動療法が最も効果的な睡眠介入であったことが示されています(Jacobs, Pace-Schott, Stickgold, and Otto, 2004)。
100年前、眠れない人は羊を数えろと言われました。今、彼らは錠剤を飲み、その錠剤をすべて合わせれば、製薬業界にとって非常に利益の上がる市場となっています。不眠の医療化の背後にこの産業があるのでしょうか、それともそれは単に必要性に応えているだけなのでしょうか?
メンタルヘルスと能力障害
精神疾患や障害を持つと定義された人々が受ける待遇は、国によって大きく異なります。新しい千年紀を迎えた後の米国では、そのような不利な扱いを経験したことのない人は、社会が市民一人ひとりに保証している権利を当然のものと考えています。もちろん、便宜を図ってもらえなかったり、不運にも突然一時的な能力障害を経験したりすることで、絶えず不自由な思いをしている人を知っているのでない限り、私たちは、この保護が比較的最近のものであることについて考えることはありません。
メンタルヘルス
精神障害(日常生活への対処が困難になる状態)や精神疾患(長期的な治療が必要な、重度かつ永続的な精神障害)を抱える人々は、さまざまな影響を経験します。米国国立精神衛生研究所(NIMH)によると、米国には精神疾患や精神障害を持つ成人が5000万人以上おり、これは成人全人口の20%にあたります。このうち、1300万人が重篤な精神疾患または精神障害とみなされる状態にあります(成人人口の5%)。重篤な精神疾患とは、機能障害や能力障害を引き起こすものです(National Institute of Mental Health, 2021)。最後に、6歳から17歳の子供の16.5%が精神疾患または精神障害を経験しています(National Alliance on Mental Illness, 2021)。
米国で最も一般的な精神障害は不安障害です。米国成人のほぼ18%がある1年の間に罹患する可能性があり、28%が生涯の中で一度は罹患する可能性があります(Anxiety and Depression Institute of America, 2021)。時折感じる不安と真の不安障害を区別することが重要です。不安は、誰もがある時点で感じるストレスに対する正常な反応ですが、不安障害とは、心配や恐怖の感情が何か月も続くものです。不安障害には、強迫性障害(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会恐怖症と限局性恐怖症が含まれます。
米国で二番目に一般的な精神障害は気分障害であり、米国成人のおよそ10%がある1年の間に罹患する可能性があり、21%が生涯の中で一度は罹患する可能性があります(National Institute of Mental Health, 2005)。気分障害は、米国における病気による入院の最も一般的な原因です(Agency for Healthcare Research and Quality, 2021)。主な気分障害はうつ病と気分変調性障害です。不安と同様、抑うつも誰もがある時点で経験することのように思えるかもしれません。そして、たいていの人が、人生の中で悲しいときや「ブルー」になるときがあるのも事実です。しかしながら、本当のうつ病エピソードは、単に短い期間悲しいと感じるだけではありません。それは長期にわたる、衰弱させるような病気であり、通常は完治するためには治療が必要です。双極性障害は、気力と気分の劇的な変化を特徴とし、しばしば個人が日常的な作業を遂行する能力に影響を及ぼします。双極性障害は、躁病エピソードとうつ病エピソードの間を揺れ動くことから、以前は躁うつ病と呼ばれていました。
どのような定義を用いるかにもよりますが、気分障害とパーソナリティ障害には重なる部分があり、米国では年間9%の人がパーソナリティ障害に罹患しています。パーソナリティ障害とは、重大な苦痛や機能障害につながる、長期間持続する永続的で柔軟性のないパターンであって、物質の使用や他の医学的状態によるものではありません。言い換えれば、パーソナリティ障害は、社会にとっては異常とみなされるが、本人にとっては正常と思われるような態様で人々に行動をとらせるものです。
パーソナリティ障害に関する診断と分類は進化しており、やや議論を呼ぶものです。精神障害の診断とあり得る治療の指針として、アメリカ心理学会は、精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)を発行しています。最新版の作成に携わる専門家たちは、当初、パーソナリティ障害のカテゴリーを変更することを提案していました。しかしながら、最終的な出版物では、元の10分類は維持されましたが、分類のための代替的/新興的アプローチが含まれています。このような進化は、多くの課題と多様な治療状況を示すとともに、理論家、実際の医療者、管理団体、その他の利害関係者間の相違点を表しています。「社会学研究」の章で議論したように、研究と調査は根気のいる多面的なプロセスです。診断の応用が発展するにつれて、健康問題の交差点やそれらが社会制度や文化的規範によってどのように定義されるかについて学問分野を超えた学者が理解する上で、その定義がどのように役立つかが見えてくるでしょう。
![図19.5 | 薬物療法はADHDの子供にとって一般的な選択肢です。(Credit: Deviation56/Wikimedia Commons)](images/19-5.jpg)
図19.5 | 薬物療法はADHDの子供にとって一般的な選択肢です。(Credit: Deviation56/Wikimedia Commons)
もうひとつ、よく診断される精神障害に注意欠陥・多動性障害(ADHD)があり、米国の子供の9%、生涯ベースで成人の4%が罹患しています(Danielson, 2018)。ADHDは最も一般的な小児の障害の1つであるため、子供だけに見られる病気と誤って考えられることがしばしばあります。しかしADHDは、子供のころに診断されていたり、あるいは大人になってから診断されたりした大人にとっても深刻な問題となり得ます。ADHDは、注意を払うことが困難で、行動をコントロールすることが難しく、過剰に活動することが特徴です。その結果、子供の教育上・行動上の問題、大学での成功の問題、職場や家庭生活での困難につながる可能性があります。しかしながら、このような薬が過剰に処方されているかどうかをめぐっては、社会的な議論もあります(American Psychological Association, n.d.)。ADHDの診断、治療、社会的理解における大きな困難は、年齢を含むさまざまな要因によって発生の仕方が変化することです(CHADD, 2020)。
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、「社会的相互作用の困難、言語的・非言語的コミュニケーションの困難、反復的行動や興味への関与」(National Institutes of Health, 2011b)を特徴とする発達性脳障害の一群を包含します。2021年現在、CDCは54人に1人の子供が自閉症スペクトラム障害であると推定しています。発生率が非常に高いだけでなく、認知が広まるにつれ、診断率も着実に上昇しています。2005年には子供166人に1人の割合でしたが、2012年には子供88人に1人となりました。増加率と認知度は診断と治療に役立っていますが、自閉症は親や家族にとって大きな恐怖の原因です。それは人間関係、特に言葉によるコミュニケーションに影響を及ぼすため、自閉症の子供(とその親)は敬遠され、大きく誤解され、不当に扱われることがあります。例えば、言葉で表現することができない自閉症スペクトラム障害を持つ人々は、しばしば知能が低いと決めつけられたり、時には他の人たちから会話や活動に参加できないと思われて仲間はずれにされたりします。親は自分の子供をASDの子供と遊ばせたり、付き合わせたりするのを嫌がるかもしれません。ASDの大人も、機会を与えられなかったり、歓迎されていないと感じさせられたりといった、同じような誤解や不当な扱いの多くを経験しています(Applied Behavior Analysis, n.d.)。
能力障害
![図19.6 | ハンディキャップのある人もアクセス可能であることを示す標識は、能力障害のある人が施設にアクセスできることを示しています。障害のあるアメリカ人法は、すべての人にアクセスを提供することを義務付けています。(Credit: Ltljltlj/Wikimedia Commons)](images/19-6.jpg)
図19.6 | ハンディキャップのある人もアクセス可能であることを示す標識は、能力障害のある人が施設にアクセスできることを示しています。障害のあるアメリカ人法は、すべての人にアクセスを提供することを義務付けています。(Credit: Ltljltlj/Wikimedia Commons)
能力障害とは、日常的な作業を遂行する能力の低下を指します。世界保健機関は、ハンディキャップを表現するために使用されるさまざまな用語を区別していますが、これは社会学的視点にとって重要です。彼らは、身体的制限を表現するために機能障害という用語を使用し、能力障害という用語は社会的制限を指すために取っておいています。
1990年に障害のあるアメリカ人法(ADA)が成立する以前は、米国の能力障害のある人々は、私たちのほとんどが当たり前のように享受している機会や社会制度からしばしば排除されていました。これは、雇用やその他の差別を通じて起こっていただけでなく、健常な人たちの利便性のために設計された世界を、米国のほとんどの人々が気軽に受け入れていたことを通じても生じていました。車椅子に乗っていて、車椅子が利用しやすい縁石がない歩道を使おうとしたときのことを想像してみてください。目の不自由な人として、点字の幅広い普及なしに情報にアクセスしようとするところを想像してみてください。運動制御が限られており、つかみにくい丸い取っ手のドアに直面したところを想像してみてください。このような問題こそ、ADAが対処しようとしているものです。歩道の傾斜、点字による指示、より利用しやすいドアの取っ手は、すべて能力障害のある人々を支援するための便宜措置です。
能力障害のある人々は、その不健康な状態によって汚名を着せられることがあります。汚名を着せるとは、彼らのアイデンティティーが損なわれることを意味します。彼らは異なるものとしてラベルが貼られ、差別され、時には敬遠されることさえあります。彼らは(相互作用論者ならば指摘するように)ラベルを貼られ、(機能主義者ならば指摘するように)マスター・ステータスを与えられ、社会から完全なアイデンティティーを付与された人ではなく、「盲目の少女」や「車椅子の少年」になってしまいます。これは特に、精神疾患や精神障害によって能力障害を持つ人々に当てはまります。
メンタルヘルスの項で議論したように、多くのメンタルヘルス障害は衰弱させるものであり、人が日常生活に対処する能力に影響を与える可能性があります。これは社会的地位、住居、そして特に雇用に影響を与える可能性があります。労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics, 2011)によると、2010年には、能力障害のある人の失業率は能力障害のない人よりも高く、それぞれ14.8%に対して9.4%でした。この失業率は、積極的に仕事を探している人のみを対象としています。実際、能力障害のある人の10人中8人は「労働力から外れている」、つまり仕事を持っておらず、仕事を探してもいないと考えられています。この人口と高い失業率とを組み合わせると、能力障害のある人の雇用-人口比率は18.6%となります。能力障害のない人の雇用-人口比率ははるかに高く、63.5%です(U.S. Bureau of Labor Statistics, 2011)。
現実世界における社会学
肥満:受け入れられている最後の先入観?
肥満の人を見た人々の多くは、その体格に基づいてその人たちについて否定的な思い込みをすることがあります。イェール大学ラッド食品政策・肥満センターの研究によると、大柄な人は「太り過ぎや肥満の人は怠け者で、やる気がなく、自制心に欠けており、能力が低く、規則を守らず、だらしがないという、広く及んだ否定的な固定観念」の対象となっています(Puhl and Heuer, 2009)。
歴史的には、アメリカでも他の国でも、先入観のある意見に基づいて人々を差別することは容認されるとみなされてきました。1865年に憲法修正第13条によって奴隷制度が廃止された後も、黒人に対する制度化された人種差別や先入観は根強く残っていました。固定観念の交換可能性の一例として、今日、太りすぎや肥満の人々に対して投げかけられるのと同じ侮辱(例えば、怠け者)が、それ以前の歴史ではさまざまな人種集団や民族集団に対して投げかけられてきました。
なぜ肥満の人に対して先入観を抱くこと、さらには憎悪することが容認されるとみなされているのでしょうか?プールとホイヤーは、こうした感情は、肥満が自己管理、より良い食生活、より多くの運動によって予防可能であるという認識に起因すると示唆しています。この主張を際立たせているのは、肥満の原因が生物学的なもの(例えば甲状腺の病気)や遺伝のようなコントロール不可能な要因によるものだと考えた場合、人々の肥満に対する認識がより肯定的になることが研究で示されているという事実です。
健康の専門家は、肥満は1つの病気であり、単なる食べ過ぎの結果ではないことを強調しています。しばしば、それを避けることを難しくする多くの要因があります。たとえ肥満に影響を及ぼす可能性のある制御不可能な要因がある程度理解されていたとしても、肥満の人は依然として汚名を着せる対象となっています。プールとホイヤーの研究は、職場やメディア、さらには医療関係者における差別を記録した多くの研究の1つです。大柄な人は、痩せている人に比べて大学に入る可能性が低く、仕事でも成功しにくいです。
肥満の人々に汚名を着せることは、一見無害に見えるものから潜在的に違法なものまで、さまざまな形で現れています。映画やテレビ番組では、太り過ぎの人々はしばしば否定的に描かれたり、笑いものにされるお定まりの登場人物だったりすることがあります。ある研究によると、子供向け映画では、「最も人気のある子供向け映像の64%において、肥満はネガティブな特徴(邪悪、魅力がない、不親切、残酷)と同一視されていた。72%の映像では、やせた体のキャラクターは、優しさや幸福感といった望ましい特徴を持っていた」ことが見出されました(Hines and Thompson, 2007)。大人向けの映画やテレビでは、否定的な描写はしばしば滑稽であることを意味します。映画やテレビで肥満の人々が描かれたのを見た時のことを考えてください。今度は、そのような形で公然と中傷されている他の被支配集団を思い浮かべてみてください。同じような例を見つけるのは難しいです。
19.4 健康と医療の比較
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 米国で利用できるさまざまな種類の医療について説明する
- 米国の医療制度を他国の医療制度と比較する
各国の医療制度には広範で構造的な違いがあります。中核国では、医療そのものは似ていても、その違いは医療の管理運営に生じるかもしれません。周縁国や準周縁国では、基本的な医療の管理運営の欠如が制度を決定づける特徴になることがあります。ほとんどの国は、現代医療と伝統医療の何らかの組み合わせに依拠しています。技術、研究、設備に大規模な投資を行っている中核国では、通常、現代医療に重点が置かれ、伝統医療(代替医療や補完医療とも呼ばれます)は二次的な役割を担っています。例えば米国では、アメリカ医師会(AMA)が医学教育に補完・代替医療を取り入れることを支持することを決議しました。開発途上国では、たとえ中国のように急速に近代化が進んでいる国であっても、伝統医療(西洋の世界ではしばしば「補完的」と理解されます)の役割はまだ大きいかもしれません。
米国の医療
米国の医療保険は、大きく分けて公的医療(政府が資金を拠出)と民間医療(民間が資金を拠出)の2つの主たるカテゴリーに分けられます。
公的資金で賄われる主な医療プログラムは、65歳以上の人とその他の障害基準を満たす人に医療サービスを提供するメディケアと、その他の資格要件を満たす非常に低所得の人にサービスを提供するメディケイドの2つです。その他の政府が資金を拠出するプログラムには、ネイティブ・アメリカン(インディアン健康サービス局)、退役軍人(退役軍人保健局)、子供(児童健康保険プログラム)に焦点を当てたサービス機関があります。
民間保険は通常、雇用ベースの保険と直接購入型保険のどちらかに分類されます。雇用ベースの保険は、雇用主または組合がその全部または一部を提供する医療保険であり、従業員だけ、または従業員とその家族をカバーすることができます。直接購入型保険は、個人が民間企業から直接購入する保険です。
これらすべての選択肢があっても、米国人口のかなりの部分は無保険のままです。2019年には約2600万人、つまり米国居住者の8%が医療保険に加入していませんでした。2020年にはその数は3100万人に増えました(Keith, 2020)。さらに数百万人が、その年の一部にだけ健康保険に加入していました(Keisler-Starkey, 2020)。保険に加入していない人々は、重篤な病気にかかるリスクと、長期にわたって進行する慢性的な病気にかかるリスクの両方にさらされています。定期的な健康診断や予防医療を受ける無保険者はほとんどおらず、さまざまな急性の健康問題に対しては緊急医療に頼っています。
保険に加入していない人の数は、過去数十年に比べてはるかに少なくなっています。2013年とそれ以前の多くの年には、無保険者の数は4000万人台で、人口のおよそ18%でした。2014年に全面施行された医療費負担適正化法により、より多くの人々が手頃な価格の保険に加入できるようになりました。無保険者の数は2016年に最低を記録し、その後再び上昇に転じました(Garfield, 2019)。
ある程度の保険に加入している人は、保険が不十分である可能性があるという事実を隠しているかもしれません。つまり、保険でカバーされない医療費に対して所得の10%以上を支払っている人、あるいは低所得者の成人の場合、医療費や保険の免責金額が所得の5%以上の人のことです(Schoen, Doty, Robertson, and Collins, 2011)。
なぜこれほど多くの人々が無保険あるいは加入している保険が不十分なのでしょうか?医療費の高騰がその問題の一因です。ほとんどの人が雇用主を通じて保険に加入していますが、すべての雇用主が保険を提供しているわけではなく、特にパートタイム労働者が多い小売企業や中小企業ではそうです。最後に、保険会社は長年にわたり、既往歴(以前にかかった病気や慢性疾患)のある人の保険加入を拒否することができました。
患者保護・医療費負担適正化法(しばしばACAと省略されるか、通称オバマケアと呼ばれます)は、米国の医療における画期的な変革でした。2010年に成立し、2014年に完全施行されたこの法律は、メディケイドのような制度への加入資格を増やし、既往歴のある人々の保険加入を保証し、保険会社や医療提供者が集めた保険料が直接的に医療へと向かうのを確実にするための規制を定めました。また、2014年までに保険に加入するか、罰則金を支払うかをすべての人に義務付ける個人保険加入義務も盛り込まれました。多額の補助金を含む一連の条項は、現在高い割合の保険未加入や不十分な保険の原因となっている所得の格差に対処することを意図しています。2012年、連邦最高裁判所はACAの個人保険加入義務の合憲性を支持しました。米国ではACAの下で2900万人が医療保険に加入しました(Economic Policy Institute, 2021)。ACAによって義務付けられていた個人保険加入義務は、2019年に後続の法律によって廃止されました。
![図19.7 | 医療費負担適正化法は、ある人々にとっては救い主であり、ある人々にとっては標的です。連邦議会や各州政府が法律でこれを覆そうとしたり、裁判でこれを弱体化させようとしたりする中、支持者たちは街頭で彼らに向けてその重要性を訴えました。(Credit: Molly Adams)](images/19-7.jpg)
図19.7 | 医療費負担適正化法は、ある人々にとっては救い主であり、ある人々にとっては標的です。連邦議会や各州政府が法律でこれを覆そうとしたり、裁判でこれを弱体化させようとしたりする中、支持者たちは街頭で彼らに向けてその重要性を訴えました。(Credit: Molly Adams)
ACAは依然として論争の的となっています。連邦最高裁は2012年、全米独立企業連盟対セベリウスの裁判で、PPACAのメディケイド拡大への参加を州に強制することはできないとの判決を下しました。この判決により、連邦議会や連邦裁判所、一部の州政府、保守系団体、独立系企業において、ACAに対するさらなる異議申し立てへの道が開かれました。ACAは選挙や世論を動かす要因となっています。2010年と2014年に共和党が連邦議会で議席を伸ばしたのは、オバマケアに対する強い懸念に関連していました。しかしながら、ひとたび何百万人もの人々がこの法律によってカバーされ、経済が改善し続けると、世論と選挙は逆に揺れ動きました。医療は有権者にとって最重要課題であり、同法の維持を望む声が、今回の選挙で民主党が獲得した議席の多くに反映され、それは2020年まで持ち越されました。
その他の場所での医療
米国の医療には明らかに改善すべき点があります。しかし、それは他国の医療と比べてどうなのでしょうか?米国の多くの人々は、この国には世界最高の医療があると口癖のように言います。確かに米国は多くの周縁国や準周縁国よりも質の高い医療が受けられますが、必ずしも「世界最高」ではありません。米国の医療と他国の医療との比較に関する報告書の中で、研究者たちは、米国が「がん医療など、いくつかの分野では比較的良好であるが、予防や治療が可能な病状による死亡率など、他の分野ではあまり良好ではない」ことを明らかにしています(Docteur and Berenson, 2009)。
患者保護・医療費負担適正化法に対する批判の1つは、それが社会化医療の制度を構築することになるというものです。この言葉は、米国の多くの人々にとって、冷戦時代やそれ以前から残る否定的な意味合いを持ちます。社会化医療制度のもとでは、政府が制度を所有し運営します。その制度が医師、看護師、その他のスタッフを雇用し、病院を所有し運営します(Klein, 2009)。社会化医療の最たる例はイギリスにあり、そこでは国民保健サービス(NHS)がすべての住民に無料で医療を提供しています。そして、一部のアメリカ市民が社会主義をほのめかすようないかなる医療制度変更にも条件反射的に反応するにもかかわらず、アメリカには退役軍人保健局という社会化された制度があります。
政府が医療制度を所有する社会化医療と、単純に誰もが医療を受けられることを保証する制度である普遍的医療とを区別することは重要です。ドイツ、シンガポール、カナダはすべて普遍的医療を導入しています。人々はしばしば、カナダの普遍的医療制度であるメディケアをこの制度のモデルとして注目します。カナダでは、医療は公的資金で賄われ、別個の州政府と準州政府によって運営されています。しかしながら、医療そのものは民間の提供者が行っています。これが普遍的医療と社会化医療の主たる違いです。1970年に制定されたカナダ保健法では、すべての医療保険制度は「資格を有するすべてのカナダ住民が利用でき、包括的な保障内容で、アクセスしやすく、州間で持ち運び可能で、公的に運営される」ものでなければならないと定めています(International Health Systems Canada, 2010)。
開発途上国や後進国の医療制度の問題に比べれば、医療の社会化や管理医療の選択肢に関する白熱した議論は取るに足りないものに思えます。多くの国では、一人あたりの所得が非常に低く、政府もばらばらであるため、私たちが知っているような医療は事実上存在しません。病院、医療従事者、予防接種、抗生物質やその他の医薬品、さらには飲料水や洗濯用の衛生的な水など、先進国の人々が当たり前のように享受しているケアが、人口の多くの人々には利用できません。国境なき医師団、ユニセフ、世界保健機関のような組織は、こうした国々が最も基本的な保健の必要性を満たせるよう支援する上で、重要な役割を果たしています。
![図19.8 | この地図は、マラリアの発生が確認されている国々を示しています。低所得国では、マラリアは依然として一般的な死因です。(Credit: CDC/Wikimedia Commons)](images/19-8.jpg)
図19.8 | この地図は、マラリアの発生が確認されている国々を示しています。低所得国では、マラリアは依然として一般的な死因です。(Credit: CDC/Wikimedia Commons)
国連の保健部門であるWHOは、2000年に8つのミレニアム開発目標(MDGs)を設定し、2015年までにこれらの目標を達成することを目指しました。MDGsの中には、健康に影響を及ぼす社会経済的な要因に広く対処するものもありますが、MDGs4、5、6はいずれも、米国のほとんどの人々が決して熟考することのないような大規模な健康上の懸念に特化しています。MDG4は児童死亡率の削減、MDG5は妊産婦の健康の改善、MDG6はHIV/AIDS、マラリア、その他の疾病との闘いです。これらの目標は特に劇的なものではなさそうに思われるかもしれませんが、それらの背後にある数字を見れば、その深刻さがわかります。
MDG4についてWHOは、2009年の5歳未満児の乳幼児死亡率が「WHOアフリカ地域(出生1000人あたり127人)と低所得国(出生1000人あたり117人)[で低下したが]、それらの数字は1990年のグローバルな水準(出生1000人あたり89人)よりは依然として高かった」と報告しています(World Health Organization, 2011)。適切な医療と清潔な飲料水によって、これらの死亡を避けることができたという事実は、ヘルスケアの重要性を示しています。
MDG5では多くの進展が成し遂げられ、妊産婦死亡数は34%減少しました。しかしながら、妊産婦死亡のほとんどすべては開発途上国で発生しており、アフリカ地域は依然としてその数が多いです(World Health Organization, 2011)。
MDG6について、WHOは、マラリア、結核、HIV/AIDS、その他の疾病の一人あたり罹患率がある程度減少していることを確認しています。しかしながら、その減少は人口の増加によってしばしば相殺されています(World Health Organization, 2011)。繰り返しになりますが、低所得国、特にアフリカ地域の国が、疾病に関する最悪の問題に見舞われています。疾病の予防と制御における重要な要素は疫学(すなわち疾病の発生、分布、制御の可能性の研究)です。エボラ出血熱の汚染に対する恐怖は、主に西アフリカで、そしてより小さな規模ではありましたがアメリカでも、2014年の夏から秋にかけて全国的なニュースとなりました。
19.5 健康と医療に関する理論的視点
学習目標
この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
- 機能主義者、紛争理論家、相互作用論者の視点を健康の問題に適用する
3つの主要な理論的視点は、それぞれ異なった形で健康、不健康、医療というトピックへアプローチします。あなたは、この後に続く理論のうち、どれか1つだけを好むかもしれませんし、理論や視点を組み合わせることで、私たちがどのように健康とウェルネスを経験するのかの全体像が見えてくるのに気づくかもしれません。
機能主義
機能主義の視点によれば、健康は社会の安定性に不可欠であり、したがって病気は逸脱の公認された形態です。タルコット・パーソンズ(Parsons, 1951)は、これを病人役割という観点から論じた最初の人物です。病人役割とは、病者とその世話をする人々にとっての適切な行動を規定する期待のパターンです。
パーソンズによれば、病人には権利と責任の両方を伴う特定の役割があります。まず初めに、病人は病気になることを選んだわけではないので、自分の状態に責任があるとして扱われるべきではありません。病人には、通常の社会的役割から免除される権利もあります。病人は、健常者の義務を果たす必要はなく、非難されることなく通常の責任を回避することができます。しかしながら、この免除は一時的なものであり、病気の重症度に応じたものです。また、この免除には医師による正当化が必要です。つまり、その病気が真正なものであることを医師が認証しなければなりません。
病人の責任は2つあります:治そうとすることと、技術的に有能な医師の助けを求めることです。もし病人が適切な期間より長く病気の状態にとどまれば(仮病)、彼らは汚名を着せられるかもしれません。
パーソンズは、病人は通常の社会的役割を果たすことができないため、その病気が社会を弱体化させると主張します。したがって、病人の行動を正常な期待に沿うように戻すために、さまざまな形の社会統制が必要になることがあります。健康についてのこのモデルでは、医師は門番の役割を果たし、誰が健康で誰が病気かを決定します(これは医師がすべての権力を持っているような関係性です)。しかし、誰が病気かを決めるのに、医師にこれほどの権力を認めることは適切なのでしょうか?また、病気であるにもかかわらず、さまざまな理由(例えば、個人的/社会的義務、経済的必要性、保険がないなど)でその立場を離れたくない人たちはどうなるのでしょうか?
紛争の視点
紛争の視点を用いる理論家たちは、他の多くの社会問題と同様、医療制度の問題も資本主義社会に根ざしていると示唆します。紛争理論家によれば、資本主義と利潤の追求は健康の商品化、すなわち、一般に商品として考えられていないものを、市場で売買できるものに変えることにつながります。この捉え方では、金と権力を持つ人々(支配集団)が、医療制度の運営方法について決定を下します。そのため、彼らは自分たちが確実に医療を受けられるようにすると同時に、被支配集団がアクセスの欠如を通じて従属的なままでいるようにします。このことが、支配集団と被支配集団の間に顕著な医療格差、健康格差を生み出しています。
階級的不平等が生み出す健康格差と並んで、人種差別、性差別、年齢差別、同性愛差別が生み出す健康格差も数多くあります。健康が商品である場合、貧困層は貧弱な食生活による不健康を経験し、不健康な環境で生活し働く可能性が高くなり、制度に異議を唱える可能性は低くなります。米国では、不釣り合いな数の人種的少数派も経済力が低いため、不健康の重荷を大きく背負っています。支配集団と被支配集団の対立に苦しむのは貧困層だけではありません。これまで長い間、同性カップルは、健康保険という形でも、医療の責任という形でも、配偶者としての利益を拒否されてきました。さらにこの問題に拍車をかけているのは、医師と患者の関係性において医師が不釣り合いな権力を握っており、そのために医師には社会的・経済的に多大な利益が提供されていることです。
紛争理論家は、医療制度におけるある種の不平等を指摘する点では正確ですが、研究者を支援し、研究者に報いる経済構造、すなわち収益性に依存する構造なしには成し得なかったであろう医学の進歩についてはしかるべき功績を認めていません。さらに、医師と患者の間の力の差を批判する中で、彼らはおそらく、患者ではなく医師が持っている苦労して獲得した医学的専門知識を軽視しており、真に平等主義的な関係性をより捉えどころのないものにしています。
シンボリック相互作用論
この視点で取り組む理論家によると、健康と不健康はどちらも社会的に構築されたものです。私たちが本章の冒頭で議論したように、相互作用論者は、人々が不健康に帰属させる特定の意味や原因に焦点を当てています。逸脱の医療化という用語は、「悪い」行動を「病気」の行動に変えるプロセスを指します。関連するプロセスは脱医療化であり、それにより「病気」の行動が再び正常化されます。医療化と脱医療化は、誰が患者に対応するか、人々が患者にどのように対応するか、そして人々が患者の個人的責任をどのように見るかに影響を与えます(Conrad and Schneider, 1992)。
![図19.9 | この19世紀の版画では、「アルコール王」が酒樽の上の骸骨とともに描かれています。彼の背後には「貧困」、「悲惨」、「犯罪」、「死」の文字が宙に浮いています。(Credit: Library of Congress/Wikimedia Commons)](images/19-9.jpg)
図19.9 | この19世紀の版画では、「アルコール王」が酒樽の上の骸骨とともに描かれています。彼の背後には「貧困」、「悲惨」、「犯罪」、「死」の文字が宙に浮いています。(Credit: Library of Congress/Wikimedia Commons)
医療化の一例は、私たちの社会がアルコールとアルコール依存症をどのように見ているかの歴史が物語っています。19世紀には、酒を飲みすぎる人は悪い怠け者とみなされていました。彼らは酔っぱらいと呼ばれ、逮捕されたり町から追い出されたりすることも珍しくありませんでした。酔っぱらいは同情的に扱われませんでした。なぜなら、当時は、飲酒を止められないのは自分のせいだと考えられていたからです。しかしながら、20世紀後半になると、飲み過ぎる人はだんだんとアルコール依存症の人、つまり、病気や遺伝的に依存症になりやすい素因を持ち、飲酒に対して責任を負わない人として定義されるようになりました。アルコール依存症が個人の選択ではなく病気であると定義されたことで、アルコール依存症患者はより同情と理解をもって見られるようになりました。こうして、「悪さ」は「病気」に変わりました。
脱医療化の例は歴史上にも数多くあります。南北戦争時代、奴隷主から逃亡した奴隷たちは、ドラペトマニアと呼ばれる精神障害と診断されました。これはその後、奴隷にされたことに対する完全に適切な反応として再解釈されています。より最近の例では、1973年までアメリカ心理学会によって精神障害または性的指向の混乱とされていた同性愛があります。
相互作用論は診断の主観的な性質を認めてはいますが、ある行動が病気と定義されるようになったとき、誰が最も利益を得るのかを覚えておくことは重要です。製薬会社は、疲労、不眠、多動といった、実際には治療が必要な病気ではないかもしれないものの、企業にとってはより儲ける機会であるような病気を治療することによって何十億ドルもの売り上げをあげています。
重要用語
不安障害:心配や恐怖の感情が数か月間続くもの
商品化:一般に商品として考えられていないものを、市場で売買できるものに変えること
論争となる病気:一部の医療専門家から疑問視されたり、疑問を持たれる可能性のある病気
脱医療化:「病気」の行動を正常化する社会過程
能力障害:日常的な作業を遂行する能力の低下。世界保健機関は、これは社会的制限であると指摘している
疫学:疾病の発生、分布、制御の可能性の研究
機能障害:能力の低い人が直面する身体的制限
個人保険加入義務:保険に加入するか、罰則金を支払うことになるかをすべての人に義務付ける政府の規則
正当化:ある病気が真正なものであることを医師が認証する行為
医療社会学:人間がどのように健康と不健康、病気と障害、そして病人と健常者の両方にとってのヘルスケアという問題を管理しているかについての体系的な研究
医療化:悪い、あるいは逸脱しているとみなされていた生活の側面が、病気であり、改善するために医療的な処置が必要であると再定義されるプロセス
逸脱の医療化:「悪い」行動を「病気」の行動に変えるプロセス
気分障害:うつ病や双極性障害のような長期にわたる、衰弱させるような病気
罹患率:疾病の発生率
死亡率:所与の時間または場所における死亡者数
パーソナリティ障害:社会にとっては異常とみなされるが、本人にとっては正常と思われるような態様で人々に行動をとらせる障害
民間医療:個人が民間企業から購入する医療保険。民間医療には雇用主負担のものと直接購入型のものがある
公的医療:政府によって資金が拠出または提供される医療保険
病人役割:病者とその世話をする人々にとっての適切な行動を規定する期待のパターン
社会疫学:疾病の原因と分布についての研究
社会化医療:政府が医療制度全体を所有し運営すること
固定観念の交換可能性:変化せず、新しい被支配集団に適用するために再利用される固定観念
汚名を着せる:誰かのアイデンティティーを損なう行為。彼らは、病気や能力障害のために、その人は異なるものとしてラベルが貼られ、差別され、時には敬遠される
不健康に汚名を着せる:差別され、患者が社会から見下されたり、敬遠されたりするような不健康
保険が不十分な人:保険でカバーされない医療費に対して所得の10%以上を支払っている人
普遍的医療:誰もが医療を受けられることを保証する制度
各節のまとめ
19.1 健康の社会的構築
医療社会学とは、人間がどのように健康と不健康、病気と障害、そして病人と健常者の両方にとってのヘルスケアという問題を管理しているかを体系的に研究する学問です。健康の社会的構築は、社会がどのように医学的考えを形成し、またそれによって形成されるかを説明します。
19.2 グローバルヘルス
社会疫学は、疾病の原因と分布についての研究です。グローバルな視点から見ると、高所得国の健康問題は、がんなどの疾患や、心臓病、糖尿病、筋骨格系疾患などといった肥満と関連する疾患に向かう傾向があります。低所得国は、心血管疾患、感染症、高い乳幼児死亡率、医療従事者の不足、不十分な上下水道システムに悩まされる傾向が強いです。
19.3 アメリカにおける健康
米国の人々の健康状態は、低開発国に比べれば概して良好ですが、肥満や糖尿病の蔓延など、米国は依然として困難な問題に直面しています。さらに、米国で歴史的に不利な立場に置かれていた人種集団、民族性、社会経済的地位、ジェンダーの人々は、より低いレベルの医療を経験しています。メンタルヘルスと能力障害は、社会規範に大きく影響される健康問題です。
19.4 健康と医療の比較
さまざまな国の医療制度には広範で構造的な違いがあります。中核国では、その違いには、公的資金による医療、私的資金による医療、その両方の組み合わせなどが含まれます。周縁国や準周縁国では、基本的な医療の管理運営の欠如が制度を決定づける特徴になることがあります。
19.5 健康と医療に関する理論的視点
機能主義の視点は、完全に機能する社会に健康と不健康がどのように当てはまるかを見ますが、紛争の視点は、社会において対立する勢力に健康と不健康がどのように当てはまるかを問題にします。相互作用論の視点は、社会的相互作用がどのように健康と不健康に関する考え方を構築するかに関心を持ちます。
各節についての質問
19.1 健康の社会的構築
- どの病気が汚名を着せられるかについて、誰が決めるのでしょうか?
- 療法士
- 患者自身
- 社会
- 上記すべて
- 慢性疲労症候群は__________の一例です。
- 汚名を着せられた病気
- 論争となる病気
- 能力障害
- 脱医療化
- 主観的運動強度(RPE)は__________の一例です。
- 健康の社会的構築
- 医療化
- 能力障害への便宜措置
- 論争となる病気
19.2 グローバルヘルス
- 社会疫学とは何ですか?
- なぜある病気は汚名を着せられ、他の病気は汚名を着せられないのかについての研究
- なぜ病気が蔓延するのかについての研究
- 社会のメンタルヘルスについての研究
- 疾病の原因と分布についての研究
- 中核国は、__________としても知られています。
- 高所得国
- 新興工業国
- 低所得国
- 開発途上国
- 高所得国における死亡の多くは、__________に関連しています。
- がん
- 肥満
- 精神疾患
- 清潔な水の不足
- 世界保健機関によると、低所得国の5歳未満児の死因で最も多かったのは何ですか?
- 飢餓
- 喉の渇き
- 肺炎と下痢性疾患
- 上記すべて
19.3 アメリカにおける健康
- 以下の記述のうち、正しくないものはどれですか?
- 米国の黒人男性の平均余命は白人男性より約5年短い。
- 米国の黒人の乳幼児死亡率は白人の約2倍である。
- 黒人のがん罹患率は白人より低い。
- ヒスパニック系の人は非ヒスパニック系白人よりも医療へのアクセスが悪い。
- 悪い、あるいは逸脱しているとみなされていた生活の側面が、病気であり、改善するために医療的な処置が必要であると再定義される過程を__________と呼びます。
- 逸脱
- 医療化
- 脱医療化
- インターセクション理論
- 米国で最も多く診断されている精神障害は何ですか?
- ADHD
- 気分障害
- 自閉症スペクトラム障害
- 不安障害
- 歩道の傾斜と点字標識は__________の例です。
- 能力障害
- 障害のあるアメリカ人法によって要求される便宜措置
- 能力障害のある人々のためのアクセシビリティーの形態
- bとcの両方
- 能力障害のある人々の失業率が高いのは、__________の結果かもしれません。
- 医療化
- 肥満
- 汚名を着せること
- 上記すべて
19.4 健康と医療の比較
- 主に65歳以上の人に保険を提供している公的医療制度はどれですか?
- メディケイド
- メディケア
- 退役軍人保健局
- 上記すべて
- 社会化医療の例はどれですか?
- カナダの制度
- 米国の退役軍人保健局
- 米国の患者保護・医療費負担適正化法に基づく新制度
- メディケイド
- 2010年の米国医療保険制度改革における個人保険加入義務条項は何を求めるものですか?
- すべての人に政府から保険を購入することを義務付ける
- すべての人にメディケイドへの加入を義務付ける
- すべての人に保険に加入するか、罰則金を支払うことを義務付ける
- 上記のいずれでもない
- イギリスの医療制度は__________の一例です。
- 社会化医療
- 民間医療
- 単一支払者の民間医療
- 普遍的民間医療
- ミレニアム開発目標を策定した団体はどれですか?
- ユニセフ
- カイザー・ファミリー財団
- 国境なき医師団
- 世界保健機関
19.5 健康と医療に関する理論的視点
- 以下のうち、機能主義の視点において、病人の権利と責任に含まれないものはどれですか?
- 病人は自分の状態に責任がない。
- 病人は治そうとしなければならない。
- 病人は治す際に望むだけの時間をかけることができる。
- 病人は社会の通常の義務から免除される。
- 医療制度における階級、人種、ジェンダーの不平等は、__________の視点を支持します。
- 紛争
- 相互作用論
- 機能主義
- 上記すべて
- DSMから同性愛が削除されたのは、__________の一例です。
- 医療化
- 逸脱
- 相互作用論
- 脱医療化
簡潔に答えてください
19.1 健康の社会的構築
一般的な病気を1つ選び、その病気のどの部分が医学的に構築され、どの部分が社会的に構築されているかを述べてください。
どのような病気が最も汚名を着せられていますか?最も汚名を着せられていない病気は何ですか?これはさまざまな文化や社会階級によって違うでしょうか?
19.2 グローバルヘルス
もし社会疫学者が植民地時代の米国を調査したならば、彼らは現在と当時とでどのような違いを見出すでしょうか?
米国における肥満関連疾患のいくつかの要因は何だと思いますか?
19.3 アメリカにおける健康
アメリカにおける人種集団、民族集団、ジェンダー集団間の健康格差の要因は何ですか?
あなたは精神障害を持つ人を知っていますか?その精神障害は、その人の生活にどのような影響を与えていますか?
19.4 健康と医療の比較
PPACAの最も良いところと最も悪いところは何だと思いますか?それはなぜですか?
米国の医療制度とWHOのミレニアム開発目標とを比較対照してください。
19.5 健康と医療に関する理論的視点
PPACAの最も良いところと最も悪いところは何だと思いますか?それはなぜですか?
米国の医療制度とWHOのミレニアム開発目標とを比較対照してください。
さらなる研究
19.1 健康の社会的構築
将来のパンデミックを予防・管理するために、国家や人々が取りうる対策について論じたこの記事を読んでください(https://openstax.org/l/pandemics1)。そこには国際的な取り組みや研究へのリンクが多数掲載されています。これらの措置に対する私たちの責任についてどう考えますか?
19.2 グローバルヘルス
世界の平均余命に関するこの地図を調べてみましょう(http://openstax.org/l/global_life_expectancies)。あなたはどのような傾向に気づきますか?
19.3 アメリカにおける健康
障害、疾患、神経多様性を持つ人々は、彼らに対する最良の接し方を知らない他の人々からでさえ、しばしば不当な扱いを受けます。自閉症の子供たちは、絶えずこのような経験をしています。自閉症の子供を持つ親によるこの手引き(https://openstax.org/l/behavior1)を吟味し、自閉症の人々に対する接し方や考え方についてさらに学んでください。
19.4 健康と医療の比較
プロジェクト・モスキート・ネット(http://openstax.org/l/project_mosquito_net)は、殺虫剤を噴霧した蚊帳は、小児マラリアによる死亡を半減させることができると述べています。
19.5 健康と医療に関する理論的視点
米国では、処方薬の使用に基づいて、物質使用障害と過剰摂取が急増しました。その原因は広範囲に及び、製薬会社のアプローチ、医療政策、社会的原因に根ざしていました。米国のオピオイド危機の原因についての記事(https://openstax.org/l/substance_disorders)で詳細を読んでください。
参考文献
はじめに
ABC News Health News. “Ebola in America, Timeline of a Deadly Virus.” Retrieved Oct. 23rd, 2014 (http://abcnews.go.com/Health/ebola-america-timeline/story?id=26159719).
Centers for Disease Control. 2011b. “Pertussis.” The Centers for Disease Control and Prevention. Retrieved December 15, 2011 (http://www.cdc.gov/pertussis/outbreaks.html).
Centers for Disease Control. 2020. “What Is Ebola Virus Disease.” (https://www.cdc.gov/vhf/ebola/about.html)
Conrad, Peter, and Kristin Barker. 2010. “The Social Construction of Illness: Key Insights and Policy Implications.” Journal of Health and Social Behavior 51:67–79.
CNN. 2011. “Retracted Autism Study an ‘Elaborate Fraud,’ British Journal Finds.” CNN, January 5. Retrieved December 16, 2011 (http://www.cnn.com/2011/HEALTH/01/05/autism.vaccines/index.html).
Devlin, Kate. 2008. “Measles worry MMR as vaccination rates stall.” The Telegraph, September 24. Retrieved January 19, 2012 (http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/3074023/Measles-worries-as-MMR-vaccination-rates-stall.html).
Sugerman, David E., Albert E. Barskey, Maryann G. Delea, Ismael R. Ortega-Sanchez, Daoling Bi, Kimberly J. Ralston, Paul A. Rota, Karen Waters-Montijo, and Charles W. LeBaron. 2010. “Measles Outbreak in a Highly Vaccinated Population, San Diego, 2008: Role of the Intentionally Undervaccinated.” Pediatrics 125(4):747–755. Retrieved December 16, 2011 (http://www.pediatricsdigest.mobi/content/125/4/747.full).
World Health Organization. 2014. “Global Alert and Response.” Retrieved Oct. 23rd 2014 (http://www.who.int/csr/disease/ebola/en/).
Zacharyczuk, Colleen. 2011. “Myriad causes contributed to California pertussis outbreak.” Thorofar, NJ: Pediatric Supersite. Retrieved December 16, 2011 (http://www.pediatricsupersite.com/view.aspx?rid=90516).
19.1 健康の社会的構築
Begos, Kevin. 2011. “Pinkwashing For Breast Cancer Awareness Questioned.” Retrieved December 16, 2011 (http://www.huffingtonpost.com/2011/10/11/breast-cancer-pink-pinkwashing_n_1005906.html).
Centers for Disease Control. 2011a. “Perceived Exertion (Borg Rating of Perceived Exertion Scale).” Centers for Disease Control and Prevention. Retrieved December 12, 2011 (http://www.cdc.gov/physicalactivity/everyone/measuring/exertion.html).
Conrad, Peter, and Kristin Barker. 2010. “The Social Construction of Illness: Key Insights and Policy Implications.” Journal of Health and Social Behavior 51:67–79.
Goffman, Erving. 1963. Stigma: Notes on the Management of Spoiled Identity. London: Penguin.
Hutchison, Courtney. 2010. “Fried Chicken for the Cure?” ABC News Medical Unit. Retrieved December 16, 2011 (http://abcnews.go.com/Health/Wellness/kfc-fights-breast-cancer-fried-chicken/story?id=10458830#.Tutz63ryT4s).
Sartorius, Norman. 2007. “Stigmatized Illness and Health Care.” The Croatian Medical Journal 48(3):396–397. Retrieved December 12, 2011 (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2080544/).
Think Before You Pink. 2012. “Before You Buy Pink.” Retrieved December 16, 2011 (http://thinkbeforeyoupink.org/?page_id=13).
“Vaccines and Immunizations.” 2011. The Centers for Disease Control and Prevention. Retrieved December 16, 2011 (http://www.cdc.gov/vaccines/default.htm).
World Health Organization. .n.d. “Definition of Health.” Retrieved December 12, 2011 (http://www.who.int/about/definition/en/print.html).
World Health Organization: “Health Promotion Glossary Update.” Retrieved December 12, 2011 (http://www.who.int/healthpromotion/about/HPR%20Glossary_New%20Terms.pdf).
19.2 グローバルヘルス
Bromet et al. 2011. “Cross-National Epidemiology of DSM-IV Major Depressive Episode.” BMC Medicine 9:90. Retrieved December 12, 2011 (http://www.biomedcentral.com/1741-7015/9/90).
Dagenais, Gilles and Darryl P Leong, PhD and Sumathy Rangarajan, MSc and Fernando Lanas, PhD and Prof Patricio Lopez-Jaramillo, PhD and Prof Rajeev Gupta, PhD. 2019. “Variations in common diseases, hospital admissions, and deaths in middle-aged adults in 21 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study.” September 8 2019. (https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)32007-0/fulltext#articleInformation)
Hales CM, Carroll MD, Fryar CD, Ogden CL. Prevalence of obesity and severe obesity among adults: United States, 2017–2018. NCHS Data Brief, no 360. Hyattsville, MD: National Center for Health Statistics. 2020
Huffman, Wallace E., Sonya Kostova Huffman, AbebayehuTegene, and KyrreRickertsen. 2006. “The Economics of Obesity-Related Mortality among High Income Countries” International Association of Agricultural Economists. Retrieved December 12, 2011 (http://purl.umn.edu/25567).
Mahase, Elisabeth. 2019. “Cancer overtakes CVD to become leading cause of death in high income countries” The BMJ. September 3 2019. (https://www.bmj.com/content/366/bmj.l5368)
Organization for Economic Cooperation and Development. 2011. Health at a Glance 2011: OECD Indicators. OECD Publishing. Retrieved December 12, 2011 (http://dx.doi.org/10.1787/health_glance-2011-en).
UNICEF. 2011. “Water, Sanitation and Hygiene.” Retrieved December 12, 2011 (http://www.unicef.org/wash).
World Health Organization. 2011. “World Health Statistics 2011.” Retrieved December 12, 2011 (http://www.who.int/gho/publications/world_health_statistics/EN_WHS2011_Part1.pdf).
19.3 アメリカにおける健康
Agency for Health Research and Quality. 2010. “Disparities in Healthcare Quality Among Racial and Ethnic Minority Groups.” Agency for Health Research and Quality. Retrieved December 13, 2011 (http://www.ahrq.gov/qual/nhqrdr10/nhqrdrminority10.htm)
Agency for Healthcare Research and Quality. 2021 “HCUP Fast Stats. Healthcare Cost and Utilization Project (HCUP). March 2021. Agency for Healthcare Research and Quality. (https://www.hcup-us.ahrq.gov/faststats/national/inpatientcommondiagnoses.jsp?year1=2017)
Agency for HealthCare Research and Quality. 2020. “2019 National Healthcare Quality & Disparities Report.” (https://www.ahrq.gov/sites/default/files/wysiwyg/research/findings/nhqrdr/2019qdr-intro-methods.pdf)
American Psychological Association. 2011a. “A 09 Autism Spectrum Disorder.” American Psychiatric Association DSM-5 Development. Retrieved December 14, 2011.
American Psychological Association. 2011b. “Personality Traits.” American Psychiatric Association DSM-5 Development. Retrieved December 14, 2011.
American Psychological Association. n.d. “Understanding the Ritalin Debate.” American Psychological Association. Retrieved December 14, 2011 (http://www.apa.org/topics/adhd/ritalin-debate.aspx)
Anxiety and Depression Institute of America. 2021. “Facts and Statistics.” Retrieved April 1 2021. (https://adaa.org/understanding-anxiety/facts-statistics)
Applied Behavior Analysis. “30 Things Parents of Children on the Autism Spectrum Want You to Know” (https://www.appliedbehavioranalysisprograms.com/things-parents-of-children-on-the-autism-spectrum-want-you-to-know/)
Becker, Dana. n.d. “Borderline Personality Disorder: The Disparagement of Women through Diagnosis.” Retrieved December 13, 2011 (http://www.awpsych.org/index.php?option=com_content&view=article&id=109&catid=74&Itemid=126).
Berkman, Lisa F. 2009. “Social Epidemiology: Social Determinants of Health in the United States: Are We Losing Ground?” Annual Review of Public Health 30:27–40.
Blumenthal, David, and Sarah R. Collins. 2014 “Health Care Coverage under the Affordable Care Act—a Progress Report.” New England Journal of Medicine 371 (3): 275–81. Retrieved December 16, 2014 (https://owl.english.purdue.edu/owl/resource/717/04/).
Centers for Disease Control. 2021. “Infant Mortality.” (https://www.cdc.gov/reproductivehealth/maternalinfanthealth/infantmortality.htm)
CHADD. 2021. “ADHD Changes in Adulthood.” Children and Adults with Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder. (https://chadd.org/adhd-weekly/adhd-changes-in-adulthood/)
Danielson, Melissa L. Rebecca H. Bitsko, Reem M. Ghandour, Joseph R. Holbrook, Michael D. Kogan & Stephen J. Blumberg. 2018. “Prevalence of Parent-Reported ADHD Diagnosis and Associated Treatment Among U.S. Children and Adolescents, 2016.” Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology, 47:2, 199-212, DOI: 10.1080/15374416.2017.1417860
Fox, B., and D. Worts. 1999. “Revisiting the Critique of Medicalized Childbirth: A Contribution to the Sociology of Birth.” Gender and Society 13(3):326–346.
Gellene, Denise. 2009. “Sleeping Pill Use Grows as Economy Keeps People up at Night.” Retrieved December 16, 2011 (http://articles.latimes.com/2009/mar/30/health/he-sleep30).
Hines, Susan M., and Kevin J. Thompson. 2007. “Fat Stigmatization in Television Shows and Movies: A Content Analysis.” Obesity 15:712–718. Retrieved December 15, 2011 (http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1038/oby.2007.635/full).
Institute of Medicine. 2006. Sleep Disorders and Sleep Deprivation: An Unmet Public Health Problem. Washington DC: National Academies Press.
Jacobs, Gregg D., Edward F. Pace-Schott, Robert Stickgold, and Michael W. Otto. 2004. “Cognitive Behavior Therapy and Pharmacotherapy for Insomnia: A Randomized Controlled Trial and Direct Comparison.” Archives of Internal Medicine 164(17):1888–1896. Retrieved December 16, 2011 (http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=217394).
James, Cara et al. 2007. “Key Facts: Race, Ethnicity & Medical Care.” The Henry J. Kaiser Family Foundation. Retrieved December 13, 2011 (http://www.kff.org/minorityhealth/upload/6069-02.pdf).
Kaiser Family Foundation. 2018. “Key Findings From the Kaiser Women’s Health Survey. March 13 2018. (https://www.who.int/data/gho/data/themes/topics/topic-details/GHO/child-mortality)
Keck School of Medicine. 2020. “The Shrinking Child Mortality Rate: 5 Things to Know.” Keck School of Medicine of University of Southern California. (https://mphdegree.usc.edu/blog/the-shrinking-child-mortality-rate-5-things-to-know/)
Moloney, Mairead Eastin, Thomas R. Konrad, and Catherine R. Zimmer. 2011. “The Medicalization of Sleeplessness: A Public Health Concern.” American Journal of Public Health 101:1429–1433.
National Alliance on Mental Illness. 2021. “Mental Health By The Numbers.” Retrieved April 1, 2021. (https://www.nami.org/mhstats)
National Institute of Mental Health. 2005. “National Institute of Mental Health Statistics.” Retrieved December 14, 2011 (http://www.nimh.nih.gov/statistics/index.shtml).
National Institutes of Health. 2011a. “Insomnia.” The National Institute of Health. Retrieved December 16, 2011 (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedhealth/PMH0001808/).
National Institutes of Health. 2011b. “What is Autism Spectrum Disorder (ASD)?” National Institute of Mental Health. Retrieved December 14, 2011 (http://www.nimh.nih.gov/health/publications/a-parents-guide-to-autism-spectrum-disorder/what-is-autism-spectrum-disorder-asd.shtml).
National Institute of Mental Health. 2021. “Mental Illness.” Retrieved April 1, 2021. (https://www.nimh.nih.gov/health/statistics/mental-illness.shtml#part_15)
Phelan, Jo C., and Bruce G. Link. 2001. “Conceptualizing Stigma” Annual Review of Sociology 27:363–85. Retrieved December 13, 2011 (http://www.heart-intl.net/HEART/Legal/Comp/ConceptualizingStigma.pdf).
Phelan, Jo C., and Bruce G. Link. 2003. “When Income Affects Outcome: Socioeconomic Status and Health.” Research in Profile: 6. Retrieved December 13, 2011 (http://www.investigatorawards.org/downloads/research_in_profiles_iss06_feb2003.pdf).
Puhl, Rebecca M., and Chelsea A. Heuer. 2009. “The Stigma of Obesity: A Review and Update.” Nature Publishing Group. Retrieved December 15, 2011 (http://www.yaleruddcenter.org/resources/upload/docs/what/bias/WeightBiasStudy.pdf).
Ranji, Usha, and Alina Salganico. 2011. “Women’s Health Care Chartbook: Key Findings from the Kaiser Women’s Health Survey.” The Henry J. Kaiser Family Foundation. Retrieved December 13, 2011 (http://www.kff.org/womenshealth/upload/8164.pdf).
Scheff, Thomas. 1963. Being Mentally Ill: A Sociological Theory. Chicago, IL: Aldine.
Szasz, Thomas. 1961. The Myth of Mental Illness: Foundations of a Theory of Personal Conduct. New York, NY: Harper Collins.
U.S. Census Bureau. 2011. “Statistical Abstract of the United States: 2012.” 131st ed. Washington, DC. Retrieved December 13, 2011 (http://www.census.gov/compendia/statab).
U.S. Bureau of Labor Statistics. 2011. “Persons with a Disability: Labor Force Characteristics News Release.” Bureau of Labor Statistics. Retrieved December 14, 2011 (http://www.bls.gov/news.release/disabl.htm).
Wamsley, Laurel. 2021. “American Life Expectancy Dropped by a Full Year in the 1st Half of 2020.” National Public Radio. February 18 2021. (https://www.npr.org/2021/02/18/968791431/american-life-expectancy-dropped-by-a-full-year-in-the-first-half-of-2020)
Winkleby, Marilyn A., D. E. Jatulis, E. Frank, and S. P. Fortmann. 1992. “Socioeconomic Status and Health: How Education, Income, and Occupation Contribute to Risk Factors for Cardiovascular Disease.” American Journal of Public Health 82:6.
World Health Organization. 2020. “Children: Improving Survival and Well-Being.” September 8 2020. (https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/children-reducing-mortality)
World Health Organization. 2021. “Child Mortality.” Retrieved April 1 2020. (https://www.who.int/data/gho/data/themes/topics/topic-details/GHO/child-mortality)
19.4 健康と医療の比較
Anders, George. 1996. Health Against Wealth: HMOs and the Breakdown of Medical Trust. Boston: Houghton Mifflin.
Centers for Disease Control and Prevention. 2014 “Attention Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD) Data and Statistics.” Retrieved October 13, 2014 (http://www.cdc.gov/ncbddd/adhd/data.html)
Docteur, Elizabeth, and Robert A. Berenson. 2009. “How Does the Quality of U.S. Health Care Compare Internationally?” Timely Analysis of Immediate Health Policy Issues 9:1–14.
Economic Policy Institute. 2021. “How would repealing the ACA affect healthcare and jobs in your state?” (https://www.epi.org/aca-obamacare-repeal-impact/)
Garfield, Rachel and Orgera, Kendal and Damico, Anthony. 2019. “The Uninsured and the ACA: A Primer - Key Facts about Health Insurance and the Uninsured amidst Changes to the Affordable Care Act” Kaiser Family Foundation. (https://www.kff.org/report-section/the-uninsured-and-the-aca-a-primer-key-facts-about-health-insurance-and-the-uninsured-amidst-changes-to-the-affordable-care-act-how-many-people-are-uninsured/)
Kaiser Family Foundation. 2011. “Health Coverage of Children: The Role of Medicaid and CHIP.” Retrieved December 13, 2011 (http://www.kff.org/uninsured/upload/7698-05.pdf).
Kaiser Family Foundation. 2010. “International Health Systems: Canada.” Retrieved December 14, 2011 (http://www.kaiseredu.org/Issue-Modules/International-Health-Systems/Canada.aspx).
Keisler-Starkey, Katherine and Bunch, Lisa. 2020. “Health Insurance Coverage In the United States 2019.” United States Census Bureau. (https://www.census.gov/library/publications/2020/demo/p60-271.html)
Keith, Katie. 2020. “Tracking the uninsured rate in 2019-20.” Health Affairs. October 7 2020. (https://www.healthaffairs.org/do/10.1377/hblog20201007.502559/full/)
Klein, Ezra. 2009. “Health Reform for Beginners: The Difference between Socialized Medicine, Single-Payer Health Care, and What We’ll Be Getting.” The Washington Post, December 14. Retrieved December 15, 2011 (http://www.bloomberg.com/news/2011-12-15/don-t-let-death-panels-kill-a-better-way-to-die-commentary-by-ezra-klein.html).
Kogan, Richard. 2011. “Program Cuts Under a Balanced Budget Amendment: How Severe Might They Be?” Center on Budget and Policy Priorities. Retrieved December 15, 2011 (http://www.cbpp.org/cms/?fa=view&id=3619).
Pear, Robert. 2011. “In Cuts to Health Programs, Experts See Difficult Task in Protecting Patients.” The New York Times, September 20. Retrieved December 13, 2011 (http://www.nytimes.com/2011/09/21/us/politics/wielding-the-ax-on-medicaid-and-medicare-without-wounding-the-patient.html).
Rooney, Kate and Moyer, Liz. 2018. “Health care topped the economy as the biggest issue for voters now, here’s why.” CNBC. November 8, 2018. (https://www.cnbc.com/2018/11/07/healthcare-topped-the-economy-as-the-biggest-issue-for-voters-now-heres-why.html)
Schoen, C., M.M. Doty, R.H. Robertson, and S.R. Collins. 2011. “Affordable Care Act Reforms Could Reduce the Number of Underinsured U.S. Adults by 70 Percent.” Health Affairs 30(9):1762–71. Retrieved December 13, 2011 (http://www.commonwealthfund.org/Publications/In-the-Literature/2011/Sep/Reduce-Uninsured.aspx).
Uchiyma, T., M. Kurosawa, Y. Inaba. 2007. “MMR-Vaccine and Regression in Autism Spectrum Disorders: Negative Results Presented from Japan.” Journal of Autism and Deviant Disorders 37(2):210–7.
U.S. Census. 2011. “Coverage by Type of Health Insurance: 2009 and 2010.” U.S. Census Bureau, Current Population Survey, 2010 and 2011 Annual Social and Economic Supplements. Retrieved December 13, 2011 (http://www.census.gov/hhes/www/hlthins/data/incpovhlth/2010/table10.pdf).
U.S. Census. 2011. “CPS Health Insurance Definitions.” Retrieved December 13, 2011 (http://www.census.gov/hhes/www/hlthins/methodology/definitions/cps.html).
Washington University Center for Health Policy. n.d. “Health Care Access for Medicaid Patients—Physicians and Dentists Interview Study.” Retrieved December 15, 2011 (http://healthpolicy.wustl.edu/Content/HealthCareAccess.html?OpenDocument).
World Health Organization. 2011. “World Health Statistics 2011.” Retrieved December 12, 2011 (http://www.who.int/gho/publications/world_health_statistics/EN_WHS2011_Part1.pdf).
World Health Organization. 2014. “Ebola Virus Disease Fact Sheet, Updated September 2014.” Retrieved October 19, 2014 (http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs103/en/).
19.5 健康と医療に関する理論的視点
Conrad, Peter, and Joseph W. Schneider. 1992. Deviance and Medicalization: From Badness to Sickness. Philadelphia, PA: Temple University Press
Parsons, Talcott. 1951. The Social System. Glencoe, IL: Free Press.
Scheff, Thomas. 1963. “The Role of the Mentally Ill and the Dynamics of Mental Disorder.” Sociometry 26:436–453.
この訳文は元の本のCreative Commons BY 4.0ライセンスに従って同ライセンスにて公開します。問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。この本は、https://openstax.org/details/books/introduction-sociology-3eで無料でダウンロードできます。